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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

364 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/27(月) 12:54:38
「そ、そんなことよりあの子のテストの結果はどうなったの?」

モモコは苦し紛れにクールトーンを指差した。
攻撃法を一つでも見破れなければクビ。その約束を覚えていたのだ。
ここで最もドキリとしたのはもちろんクールトーン本人。
速記したうちの一枚を取り出しては、おそるおそるサユに提出する。

「自信があるのは一つだけです……どうですか?」

サユとモモコはクールトーンのちぎった一枚に注目した。
そこには読みやすい綺麗な文字で「モモコ様がクマイチャン様の剣に磁石のようなものを投げつけた。」と書いていた。
実はこれは大正解。
モモコは超強力な磁力を発する電磁石を複数くっつけることで
クマイチャンの長刀の重量を重くしていたのである。
クマイチャンの馬鹿力だからなんとか持つことが出来たが
並みの剣士ならば5, 6個も付与されたら剣を振れなくなるだろう。
剣士でなくても鉄製の武具を扱う者であれば容易に無力化することも可能だ。

「おめでとうーよく私の暗器を見破ったねーパチパチー」
「えへへ、ありがとうございます。」

クビを免れた安堵感でクールトーンはホッとするが
課題を与えたサユ王はあまり面白くない顔をしていた。
というのも、モモコの戦法において磁石の使用は基本中の基本であったため
出来ればそれ以外の暗器についても解明して欲しかったのである。

(まだ研修生だし、まずはこんなもんか……)

サユの憂いとはうらはらに、モモコはクールトーンを必要以上に褒め称えた。
実はモモコは(サユ王とは違った意味で)子供好き。
子供に読み書きを教える資格までこっそりと取得したとの噂だ。
年端もいかない少女が頑張るのを見ると応援したくなってくる。

「この短時間によくこんなに書いたわね。見せてもらえる?」
「えっ、全部ですか?」
「うんうん。私の戦いをどんな風に見てくれたのか気になって。見せて見せて。」
「ちょっと恥ずかしいですけど……はい。」

そう言いながらクールトーンは数十枚単位のメモを手渡した。
はじめはにこやかなにそれらを眺めていたモモコだったが、
読んでくうちにその表情は真剣なものになってくる。

「あなた……気づいていたの?」
「えっ?」
「サユ。相変わらず油断出来ない人ね。ほんとに。
 今までこんな子を隠してきてなんて……」
「えっ?」


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