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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

363 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/26(日) 21:55:00
「凄い……本当に倒しちゃった……」

クマイチャンがズシンと倒れゆく様を見て、クールトーンは思わず言葉を漏らす。
こんな大きい人間が敗北する光景なんて見たことないのだから無理もないだろう。
そんな良い経験をした少女を、サユ王は微笑ましく見守っている。
食卓の騎士同士の戦いは研修生には刺激が強すぎるため、
もしかしたら漏らしたり、嘔吐したりすることもありえると思っていた。
それらが自分にかかったとしても、サユは王としての寛大な心で受け入れようともしていた。
だが、クールトーンはそんな粗相などせず立派に最後まで見届けたのだ。
(ある意味では少し残念だが)これはとても喜ばしいことだと王は考える。

「さてと、決着がついてすぐのところ悪いんだけど」

サユ王はクールトーンを床に降ろしては、勝者モモコへと近づいていく。
大事な話をするためだ。

「なぁに?サユ王様。」
「弁償。」
「んー?」
「訓練場の床と扉と天井の修理代、請求しておくから」
「……えっと、なんで私に?どっちかと言えばクマイチャンじゃない?」
「いろいろ手を出して小金持ってるんでしょ?知ってるんだから。」
「え、え、それ誰に聞いたの?」
「あなたのところの団長(キャプテン)から。手紙で。」
「はぁ……やっぱりバレてたのね。侮れないわー。」
「だから、修理代。」
「それとこれとは別でしょ。クマイチャンに払わせなさいよ。」
「訓練場は早く修理しないといけないの。来月あたり使う予定があるのよ。
 だからすぐ入金できるモモコに払ってもらう方が助かるんだけど。」
「そっちの都合じゃないの!」
「あーあ。じゃあ今回の単独行動をシミハムに報告しようかなー。モーニング帝国帝王として。」
「ええー!?許してニャン許してニャン。」

サユ王とモモコが対等に話しているのもクールトーンにとっては不思議だった。
改めて元プラチナ剣士であるサユ王の凄さを思い知らされる。


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