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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

361 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/25(土) 17:31:59
モモコはこれまで不思議なことを何回も起こしてきた。
鉄に貼り付く石を投げて剣を重くしたり、
自分に飛んでくる床の破片を棒立ちのまま回避したり、
斬撃の軌道を小指一本で逸らしたり、
クマイチャンの動きを完全に止めたり、と様々だ。
思えば流星ガールの位置まで到達した跳躍力もおかしいし、
それを受け止めても(骨折したとはいえ)腕が千切れず残る耐久力も異常だ。
おそらくそれらの全てがモモコの暗器'14によるものなのだと推測できる。
だが、上に挙げたものの中には直接相手にダメージを与えるようなものは無かった。
実際、モモコが用意した暗器のうち攻撃的な性質を持つものは一個しか用意されていないし、
今回はまだ使用していない。

「これ、準備が必要なのよね。スキが大きすぎるから。」
「!!……まさかアレを!」
「そう、クマイチャンの動きを封じた今、やっと"モモアタック"が使える。」

今のモモコに腕は使えない。
ただし、尻ならフリーだ。
以前に簡単な組み手で"モモアタック"を受けたことがあるため、クマイチャンは知っていた。
どういう攻撃かも、どれくらい危険かも。
これを喰らえばひとたまりもないことを理解しているため、クマイチャンは慌てて全身を動かそうとする。
今、自身を止めている暗器は透明のリナプーや犬らが抑えつけていた時と感じが似ていた。
つまりはフルパワーを出せば動けないこともないのだ。
早々にこの呪縛から逃れてモモアタックを回避しなければ敗北は必至。ならば必死にもなる。
しかし、体を動かそうと力を入れるほどに、節々に激痛が走り出す。
なんと肌の露出した面のいたる箇所に、無数の切り傷が発生していたのだ。
まるで何か細いものに食い込んで、千切れてしまったかのよう。

(これは……糸?)

見えない攻撃の正体に気付きかけたクマイチャンだったがもう遅い。
その一瞬の躊躇いをついて、モモコは跳躍していた。
狙いはクマイチャンの腹。武器は己の尻。
暗器によってコーティングされたお尻で無慈悲なまでのヒップアタックを叩き込む。

「モモアターーーック!!」
「あぐっ!!…………」

お尻なのに何故か鋭利で尖がったような感触。
それを受けたクマイチャンは激痛に耐え切れず、意識を飛ばしてしまう。


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