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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

355 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/20(月) 17:09:10
クールトーンにはサユ王の言うことが理解できなかった。
クマイチャンが床の上でのた打ち回っているのに対して、
モモコは平然な顔をして立っているために、負傷しているだなんて信じられない。

「普通に考えて、あの落下を直接受けて無事で済む訳が無いでしょう?
 きっと今頃モモコの腕の骨はバラバラになっているはずよ。」
「で、でも全然平気そうな……」
「そう、それがモモコの凄いところ。
 あの子はクマイチャンや他の食卓の騎士のような超人的身体能力をもたない代わりに
 人間離れした精神力とプロ根性を持ち合わせているの。
 きっと全身の骨を粉々にされたとしても、表情を崩すことはないはずよ。」

そんな人間が実在するなんて思いもしなかったので、クールトーンは驚いた。
きっと自分だったらちょっと怪我しただけで痛がってしまうだろう。
ただ、そんなモモコを凄いと思うと同時に、一つの疑問を浮かべていた。

「凄いと思います……でも……」
「でも?」
「表情を崩さないのって戦闘の役に立つんですか?……それってただの我慢じゃ……」

クールトーンの問いかけはもっともだった。
クマイチャンの超パワーや巨躯、マイミの超スピードやスタミナが戦闘に直結するのは理解できるが
モモコの強みが「表情を崩さない」と言われてもいまいちピンと来ない。
だが、サユは己の回答に自信を持っていた。

「効くの。相手が単純バカ……もとい、直情タイプの戦士なら特にね。」
「それって、クマイチャン様みたいなタイプのことですか?」
「そう、かつてモモコは私の同期と戦ったこともあったんだけど、その同期もクマイチャンに似ててね。
 無表情のモモコが何を考えているのか、次に何をしてくるのかほとんど読むことが出来なかったそうよ。
 ポーカーフェース。それがモモコの最も恐ろしいところなの。」
「は、はぁ……その同期さんより強いってことは、モモコ様はサユ王様より強かったってことですか?……」
「それはない。」
「え、でも」
「ありえない。」


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