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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
307
:
◆V9ncA8v9YI
:2015/07/07(火) 20:44:59
メイとカナナンは必死で逃げようとしたが、マイミの俊足の前では無意味だった。
手足に金属を装着しているというのに、あっという間に追いついてしまう。
そしてマイミがメイを目掛けて手を伸ばしたことから、次のターゲットも明らかだった。
(私ぃ!?やだやだやだ!!)
メイは頭をフル回転させて、誰に演技すればこの状況を回避できるか必死に考えた。
はじめに浮かんだのはマイミと同じ食卓の騎士のクマイチャンだったが、すぐに却下する。
クマイチャンの強さはあの巨体と長刀があってこそなので、メイが演じても何にもならないのである。
ではモモコはどうかとも思ったが、そもそも演じるのに十分なほど観察していない。
フクになってフクダッシュ……したところで俊足には勝てないだろう。
タケに変身……しても無意味だ。張本人が吐かされたばかりなのだから。
カナナン……頭の良さまでは真似できない。
リナプー……影の薄さはトレース出来ても透明化術は使えない。犬もいないし。
三舎弟の誰か……まだ早い。(メタ的にも)
マロ……むしろ弱くなりそう。あのスタイルで強いのはマロ本人だけだ。
アヤチョ王……行けるかも!?と思ったが、周りにはテンションを上げる美術仏像グッズが存在しない。
(うわあああ!誰を演じてもダメじゃない!)
気づけばメイはマイミに胸倉を掴まれていた。
このままタケのように100連ラッシュを受けるしかないのだろう。
気が重すぎるが受け入れるしか道はない。
(こうなったら仕方ない、覚悟を決めるか。)
メイは決心した。
とは言ってもただ諦めるという訳ではない。
全て受けきる覚悟を決めたのだ。
「ちょーっとだけ待ってもらえませんか!」
「なんだ?長くは待たないぞ。」
「ヘアメイクの時間だけください!」
メイはノーメイクだった。
演技の幅が狭まるのを嫌うため、いつでもフラットでいられるように常日頃からすっぴんで生活しているのである。
しかし、やらねばならない時だけは話は別。
ここぞという時にはマロ・テスクから教わった化粧をして気合を入れるのだ。
そのメイクの名は「ヤンキータイプ」。
スケバン風の塗りに加えて、髪型をオールバックにした今のメイは迫力満点。
まさに番長という肩書きに恥じぬ見た目へと変貌した。
「こっから本気で行かせてもらうんで、世露死苦ぅ!」
「お前、さては不良だな!更生しがいのある奴め!」
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