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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

295 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/06(月) 08:42:56
タケ、カナナン、メイの3人はフクを追うために城内を走り回っていた。
先ほどはバテバテだったタケも、もう体力をほぼ回復させている。
もともとフクからそんなに攻撃を受けたというわけではないので
疲労さえ無くなれば元気に戦うことが出来るのだ。

(よし、調子戻ってきたな。これならちゃんと戦えそう。
 天気組団や果実の国にはそこまでヤバそうな奴は居なかった。
 例えカリンが来たとしても問題ない。私はやれる。)

今のタケには迷いはなかった。
旧友フクを「倒す戦い」よりは、「護る戦い」の方が遥かにモチベーションが上がっているのである。
それに今の自分には頭の良いカナナンや、臨機応変に対応可能なメイがついている。
リナプーこそ居ないが、このメンツならばどんな敵でも対応可能と信じていた。
だが、その思いはすぐに断ち切られることになる。
はじめに異変を感じ始めたのはメイだった。

「ねぇ、なんか蒸し暑くない?」
「そやな……なんかジメジメしてるような」

季節はもう秋だというのに梅雨の時期のような湿度の高さだ。
さっきからこれが続いているのならまだ分かるが
急にムワッとしてきたのでおかしく感じるのも無理はない。
そして番長の中では唯一タケだけがこの異常の正体を知っていた。

「嘘……だろ……そんな馬鹿な……」

元気を取り戻しつつあったタケがいきなり腰を抜かしだすので、二人は驚いた。

「どうしたのタケちゃん!?」
「終わりだ。私たちはもうここで終わりなんだ……」
「弱気なこと言うなんてタケちゃんらしくもない!
 クマイチャン様のこと恐れとるんか?それならモモコ様がちゃんと……」
「違う!クマイチャン様よりもっとヤバいんだ!!
 残念だけど、もうフクちゃんを護れない……」

タケがそう言うと同時に、向こうの通路から強烈な暴風雨か襲いかかってくる。
雨粒が身を打つ痛みは非常にリアルなものだったが、これは現実ではない。
クマイチャンが全身を鉛に変えたように、モモコが冷気で体中の血を凍らせたように
この大雨も何者かによるプレッシャーが生んだイメージだったのだ。
まるで向こうから台風そのものが迫り来るような重圧に、カナナンとメイも恐怖する。

「タケちゃん!そこに居るのはひょっとして……」

言い終えるよりも早く、カナナンは何者かに鳩尾を殴られてしまった。
あまりの早業にタケもメイも全く追いつけない。
そして身構える前に、カナナン同様に2人も腹に強打を受けることになる。
まさに神速とも言えるその存在は、タケとメイが崩れ落ちるのを見届けながら口を開く。

「ついさっきハルナンから聞いたぞ、お前らも反乱軍に加担したんだってな!
 足腰立たなくなるまで性根を鍛え直してやるから覚悟しろ!!」

タケの身体の震えは最高潮になる。
過去にこの闘士から何度も何度もボコボコにされた記憶が蘇ってきたのだ。
この人にはもう勝てないと、遺伝子レベルで刷り込まれている。

「特にタケ!お前がついておきながら何をやってるんだ!」
「マイミ……姉ちゃん……」

その名はマイミ。
食卓の騎士に2人存在する騎士団長の1人だ。


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