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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

283 ◆V9ncA8v9YI:2015/07/02(木) 12:57:24
「それじゃさっそく……」

クマイチャンはモモコの「謎の石」が十数個くっついた長刀を片手で持ち上げる。
先ほどは不意を打たれたので支えきれなかったが、重くなったことを知っていればなんてことはないのだ。
そしてせっかく持ち上げた刀を勢いよく床へと叩きつけた。
現在の床は瓦礫の山。そこに衝撃が加わったものだから瓦礫の破片は全方位へと飛散する。
攻撃の対象がモモコのみではないことにクールトーンは恐怖した。

「……!!」
「怖がらなくていいよ、これくらい余裕で捌けるから。」

クールトーンを左腕で強く抱きしめたまま、サユは右手のレイピアで全ての破片を叩き落す。
全くの無傷で済んだのでクールトーンは驚いたが、サユは当然と言ったような顔をしていた。
サユはプラチナ剣士時代から(自称)可愛い顔が傷つかぬように回避術を極めていたので
現役を退いた今でもこれくらいのことは容易く出来てしまうのだ。
そうでもなければこんな特等席で戦いを見ようなどとは思わなかっただろう。

「クールトーンちゃん、戦いから目を逸らしちゃダメ。ほらモモコを見て。」
「あっ!?」

サユやクマイチャンと同格であるモモコも当然のように無傷だった訳だが、おかしな点が一つあった。
それはまったく武器を持っていないということ。
破片から身を守る道具が見当たらないと言うのに、全弾防ぎきってしまったのである。

「なんですかあれは!?ひょっとして魔法とけ……」
「何言ってるの、この世に魔法は存在しないのよ?」
「えっ、でもエリポンさん……」
「クールトーンちゃんに課題を与えるわ。今から戦いが終わるまでにモモコの攻撃を一つは見破りなさい。
 それが出来なかったら、クールトーンちゃんはクビよ。」
「ええええ〜!?そんな、難しいです!」
「出来るわ。いつものようにモモコの行動を一つ一つメモするのよ。
 それが出来た時、あなたはただの書記係じゃなくなるはず。
 全ての脅威からは私が守ってあげる。だから、ちゃんとその眼で見なさい。」


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