したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

269 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/28(日) 01:56:03
クマイチャンのイライラは相当なものだった。
おでこに受けた鉄球はまだ我慢できるのだが、
たまに身体が言うことを聞かなくなるのが鬱陶しすぎる。
まるで透明人間に転ばされたり、押さえつけられたりしているかのよう。

(まぁそんなワケ……ん?)

透明人間というワードに気づいたクマイチャンは、昔を思い出して背筋を凍らせる。
数年前の大事件で、クマイチャンは「己の姿を極力見えにくくする戦士」と戦ったことがあった。
クマイチャンはフク達から化け物のように思われているが、クマイチャンからしてみたらその戦士こそが本当の化け物。
そして今現在、自身を悩ませている存在が同じ手法を取っていることは十分に有り得る。

(だったら簡単だ。こうすりゃいい。)

クマイチャンはドンと床を叩き、訓練場内を強く揺らす。
そのインパクトは人間の起こしたものとは思えぬほど凄まじく、メイを簡単に転ばせることに成功する。
そしてメイ以外にももう3つ。あちこちから倒れる音が聞こえてきた。

「人間の倒れる音が1つ。あとの2つはなんだろう?小さいな。
 まぁいいや、居ると分かっただけでも十分。」

カナナンの焦りの表情が、クマイチャンの推理が正解であることを裏付けている。
透明人間の正体は4番長の一人、帰宅番長リナプー・コワオールドだったのだ。
彼女は、クマイチャンが化け物と考える戦士の透明化術をマロ・テスクから教わっていた。
もともと影の薄いリナプーにその術はピッタリ。すぐに使いこなすことが出来たという。
しかもダッシュやバックステップで素早く動くメイに対して、リナプーの動きは非常にスロー。
よって、目の悪いクマイチャンには必要以上に見え難かったのだ。
しかしそれもここまで。クマイチャンに同様の足止めは通用しないだろう。
透明人間の存在に気づいた今、クマイチャンはちょっとやそっと邪魔されようと怯みはしない。
メイがまた高速移動で錯乱しようとも、無視して前進する。
クマイチャンの一番の目的はフクを倒すことだったので
鉄球を投げつけられようとも、小さな何かに噛みつかれようとも、動きを止めず接近するのだった。
そしてフクを射程に捉えるなり、自慢の長刀を振るっていく。

「終わりだよ!」
「!!……」

どんなものでもぶち壊す長刀が襲いかかるのを見て、フクはまたも死を覚悟する。
だがそんなことはサヤシが許さなかった。
フクを護る任務を請け負った彼女は、持てる力の全てを居合刀に乗せて長刀へとぶつけたのだ。
破壊力こそクマイチャンに劣るが、それは抜刀の速さ、そして勢いがカバーしてくれる。
ただの一撃防ぐだけで全身がビリビリと痺れるが、なんにせよフクを護ることは出来た。

「サヤシ!」
「良かった……ウチも少しは戦えそう。」

サヤシの行動で状況が好転するのをフク、そしてカナナンは感じた。
ただ戦力が一つ増えただけではない。
メンタルをやられていたサヤシが立ち上がることによって、全体の士気が上がったのだ。
しかもフクとタケの疲労もやや収まってきている。
この状況ならば戦況を次の段階へと進めることが出来るだろう。
それを確実にするために、フクはクマイチャンのもう一つの弱点をカナナンに伝える。

「今のクマイチャン様は、必殺技を使えないはず!」
「そやな、条件が整ってない。てことは決定力に欠ける訳か。」
「そう。サヤシがすべての攻撃を防げば、私たちが負けることは無いよ!!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板