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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

263 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/27(土) 12:28:37
クマイチャンが大転倒したおかげで、さっきまで遠かった顔が手の届くところにまで来ている。
今こそ刀で首を跳ね飛ばすチャンスであるとサヤシは頭で理解しているのだが
恐怖のせいかどうしても身体が動かなかった。
逃走中に何度も命を奪われかけたために戦意を喪失してしまったのだろう。
そんなサヤシの頭をカナナンがポンと叩く。

「ええんやで。」
「!」
「ぶっちゃけ私も怖くて一歩も動けへん。でもな、その代わり指示出しだけはキッチリやるつもりや。
 貴方は戦わなくてもいい。ただ、フクさんを護ることだけは気合入れてな。」
「ウチが……護る……」

サヤシを励ましたカナナンはすぐに次の指示に入る。
今が勝負の書き入れ時なので一秒も無駄には出来ないのだ。
4番長の中でアタッカーの役割を担うタケを欠いた現状でも、攻撃のしようはいくらでもある。
勉強番長カナナンは脳をフル回転させて、メイを動かしていく。

「フクさん!5時の方向10歩のところに"ブイナイン"有り!フク・バックステップは出来るか?」
「え?私?」
「フクちゃん、カナナンはメイに言ったんだよ。」
「あ……なるほど、私になりきってるのか。」

メイはカナナンの指示通りに素早くバックステップし、
タケが投げっぱなしにしていた鉄球「ブイナイン」を拾い上げた。
演技の自由度をあげる目的で普段武器を持たないメイだが、これなら敵に決定打を与えることが出来る。
もちろんフクの演技じゃボールは投げられないので、役をタケへと切り替える。

「うおおおおおお!アイラブベースボール!野球以外愛せないぜ!!」

誇張的表現にタケはイラっとしたが、これで勝機が見えてくる。
うまく頭にでもぶつけたらたいへん有利になるだろう。
しかしそれはクマイチャンも十分承知。
デッドボールを喰らうのは御免被るため、まずは上半身を起こそうとする。
ところが、カナナンの指示がそうはさせなかった。

「クマイチャン様は起き上がれない!」
「は!?」

馬鹿げたようなことではあるが、クマイチャンは本当に起き上がることが出来なかった。
頭が何故か重くなってるし、両腕もそれぞれ引っ張られているような感覚がある。
金縛りのようなものなので、フルパワーを出すことでなんとか動けたものの。
その時には既にメイによる速球が投げられていた。
タケのように豪速球とはいかないが、額に命中するには十分なスピードだった。

「あでっ!」

このように見事にペースを掴んでいるカナナンとメイを見て、フクは感心する。
それと同時に、番長に対して一つの疑問を浮かべていた。

(リナプーって人、さっきから見えないけどどこに行ったんだろう?)


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