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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

243 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/20(土) 18:02:34
(え?二人とも何を・・・・・・)

ハルナンは必殺技という響きに馴染みがなかった。
平和な時代を過ごしてきたゆえに、それを目の当たりにする機会に恵まれなかったのだ。
だとすればここでアヤチョとマロの激突を見れたのは幸運かもしれない。
絶対的に相手を仕留める自信があるからこそ「必殺技」と呼んでいる。
そうして繰り出される攻撃が強くないわけがない。
しかもマロの投げた「爆弾ツブログ」は文字通り「必」ず「殺」す爆弾だ。
かつては人を殺すほどの威力は無かったらしいが、数年に及ぶ改良により破壊力が増している。
虫の息のアヤチョを仕留める程度の仕事は問題なく完遂するだろう。
だがマロの爆弾には重大な構造的欠陥があった。
持ち運びに便利だったり、奇をてらいやすいという理由で小型にしているのだが
そのせいで重量がとても軽かったのだ。
つまりマロの爆弾は小型銃同様、風に弱い。
そして、アヤチョの必殺技「聖戦歌劇」は風を巻き起こす。
いや風だけではない、落雷のような衝撃まで発生させることが出来る。
アヤチョの構えは二つあったが、「雷神の構え」を「TRUTH」と定義すれば、「風神の構え」は「REVERSE」となる。
そしてそれらの要素をシャッフル&ミックスしたのが「MARBLE」と位置づけられる「聖戦歌劇」だ。
聖女と乙女の両方の面を持つアヤチョは雷神の如き速度で手刀を振り下ろしては、
途中で手の向きを変えて、掌を大気へと衝突させる。そうすることで風神の如き爆発的な突風を起こすとが出来るのだ。
「聖戦歌劇」は一瞬のうちに爆弾を吹き飛ばし、そのままの勢いでマロの胸に落雷する。
本来はこれを七支刀で行うのが有るべき姿であるのだが、その必要はなかった。
全身をジュースに蝕まれているマロの意識を打ち切るには、ただの掌底だけで十分だったのだ。
限界を迎えたマロは、さっきまで騒々しかったのが嘘のように静かになってしまう。

「・・・・・・気絶した?」

マロの性格からして気絶した振りをしている可能性も十分ありえるが
それについてはユカニャ王がきっぱりと否定してくれる。

「それはありません。ジュースの効果が効いているので、自分の身を守る考えは浮かばないはずです。
 そもそもマロさんはもう戦闘できる身体じゃ・・・・・・」
「そういうもんなんだ・・・・・・わかったよ、じゃあ。」

そう言うとアヤチョはマロにトドメを刺すためにもう一度右腕を上げる。
人体急所の集中している顔面に「聖戦歌劇」をぶつけることで息の根を止めようと考えたのだ。
そんなアヤチョを、見るに見かねたハルナンが必死に制止する。

「やめてアヤチョ!それ以上やったらマロさん死んじゃう!」
「うん、殺すつもりだよ。」
「そんなことする必要ありませんって!」
「なんで?ハルナンを裏切ったんだよ?このまま生かしておくとまた邪魔をするよ?
 ハルナンは王様になるのと、カノンちゃんを生かすのとどっちが大事なの?」
「アヤチョさんが・・・・・・いや、アヤチョが人殺しにならない方が大事です。」
「!!!」
「だからもう止めて。お願い。」

冷徹だったアヤチョの表情が、みるみるうちに柔和なものになってくる。
自分を気遣うハルナンの気持ちが心から嬉しかったのだ。

「分かった。ハルナンがそう言うならもう殺さない。」


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