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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

242 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/19(金) 22:41:48
果実の国にはかつて、ピーチジュースを飲みながら戦う者がいた。
彼女は戦士にしてはとても気が弱く、オドオドしていて、常に戦いを恐れていたが
ジュースをひとたび飲めば勇敢なリーダーへと変貌し、仲間たちを率いて前線に赴いたと言う。
その頼もしさはまるで桃から生まれた戦士が鬼を退治するおとぎ話のよう。
しかしその末路はおとぎ話通りとは言い難く、
無鉄砲に敵陣深くへと入り込みすぎた結果、袋叩きにされてひどく負傷したとのこと。
果実の国の発達した医療技術を持ってしても戦士の傷を癒すことは難しく、一生戦闘の出来ない身体となってしまった。
ピーチジュースは勇気を与えてくれるため一見便利そうに思えるが、
恐怖心を持ち続けることこそが生きるために最も大切なことであることを彼女が教えてくれたのだ。
だというのに今現在、マロ・テスクが同じ過ちを犯そうとしている。
彼女には毛ほどの恐怖心も残っていない。ゆえに破滅はすぐ先に見えている。
記者の宝とも言える右手で殴ろうとしていることからもそれが分かるだろう。

「おりゃあ!!」
「ぐっ……!」

マロは手の甲がグシャグシャになる勢いでアヤチョの右肩を殴った。
薄手の上からそれだけの衝撃をぶつけられたのでアヤチョの肩はもうバキバキだ。
あまりの激痛で七支刀を持ってられなくなり、床に転がしてしまう。
これではもう攻撃のしようがない。逃げようとしても回り込まれる。
もう後がないと考えたその時、アヤチョは無意識に脚を出していた。
彼女の脚はマロと比較してずっと長いので、リーチの面で有利だと直感的に感じたのかもしれない。
とは言えマロはメロンで発達した眼のおかげで蹴りの軌道は簡単に予測できる。
長期に渡る戦いで重くなったはずの脚も、レモンの効能で軽々上がる。
そしてグレープで外したストッパーは、超強力&超高速の踏み付けを実現する。
思いっきり足を踏まれたアヤチョは激痛に耐え切れず悲痛な叫びをあげてしまう。
ところが、ダメージを被ったのはアヤチョだけではなかった。
骨が壊れても良いくらいの勢いで踏み込んだので、マロは足のみでなく膝、腰までも負傷してしまったのだ。
そうなったら痛いだけでは済まない。もう立てなくなる。
マロは気持ちは前に有るというのに、その場に転倒してしまう。

「なんで?……立てない……」

マロはリンゴのおかげでアヤチョを倒すことだけに集中できたのだが、
それに専念するあまり自分のことを省みる発想が全く無くなっていた。
少しでも恐怖心が有れば骨折を恐れたのかもしれないが、その感情はピーチが根こそぎ奪っている。
よってマロはタチアガールことが出来ず、この体勢のままアヤチョの追撃を受けることになる。

「なんだかよく分からないけど流石にもう終わりだよ……アヤの必殺技で決める。」
「まだ終わってない!こっちにだって必殺技があるんだから!!」

アヤチョは激痛の走る右手で手刀を作り、下方のマロへと振り下ろす。
それに対してマロは懐から小型の爆弾を取り出しては、アヤチョへと投げつける。
これが両者の必殺技、「聖戦歌劇」と「爆弾ツブログ」。
どちらも本調子とは言い難いが、今の相手を倒すには十分の威力を備えている。


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