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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

236 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/17(水) 22:26:52
ジュースを飲んだマロの身体は焼けるほど熱く火照り出す。
その異常なまでの即効性に少し怖くなったが、それも最初のうちだけ。
己の変化をすぐ実感出来たため、恐怖なんてどこかに吹っ飛んでしまう。

(身体が軽い!)

一番分かりやすいのはレモンジュースの効果だ。
身体が軽くなるジュースのおかげで、今のマロはまるで重力が無くなったような気分になっている。
普段から体重を気にするマロにとってこんなに嬉しいことはない。
更に戦闘で受けたダメージによる足取りの重さも消えていた。
アヤチョの起こす突風に衣装が引っ張られる感覚だって存在しない。
だからマロはこんな環境下でもダッシュでアヤチョまで接近することが出来る。
天使の羽が生えたようなマロにとって風神など全く怖くないのだ。

「なっ……カノンちゃんどうして!?」

接近戦が絶対的に苦手なマロが何も恐れずやってきたのがアヤチョには不思議でならなかった。
もちろんマロには考えがある。
リンゴジュースで頭の冴えたマロにとって、アヤチョを追い詰める策を考えることなど容易いのだ。

(ユカニャの言った通り、リンゴジュース飲むと確かに集中力が増すわ。
 風のせいで銃は撃てない。でもリンゴ、レモン、グレープ、メロンの効能を聞く限りでは
 接近戦でも十分戦える!アヤチョだって全然怖くない!!」

ダッシュで近づくや否や、マロは握り拳による左ストレートを繰り出す。
武闘派ではないマロの攻撃など片手で受け止められと思ったアヤチョは
破れたスカートから左手を離して、マロパンチに対するガードを試みるが
マロは高速高威力の突きでガードごと殴り飛ばしてしまった。
一撃でオジャンになった自分の左手を見てアヤチョは驚愕するが、それ以上に驚かされた
のはマロの腕だ。
殴りかかった側であるはずのマロの拳が、肉から骨が突き出るほどにボロボロになっていたのである。
マロがここまでの覚悟を持って攻撃できることを知らなかったこと、
そしてあのマロの行動に対して迂闊にも油断したことをアヤチョは深く悔いることとなる。
そんなアヤチョとは対照的に、マロの表情はどんどん笑顔になってくる。

(楽しい!腕は凄く痛いけどまだまだやれそうな気がする!
 アヤチョを倒せるなら、身体がダメになるのも全然怖くない。
 身体は軽いし、集中力は続くし、それに眼がよく見える。
 今の私は、世界で最強かもしれない。)

マロとアヤチョの戦いをヤキモキしながら見ていたのは本来のジュースの持ち主であるユカニャ王とサユキだ。
マロが五種のジュースを取り出した時からずっと青ざめている。
普段から困った顔をしているユカニャがより一層困り顔になりながら
近くにいたハルナンに嘆願する。

「戦いを止めてください!さもないと大変なことが起きます!
 あのまま戦いを続けたら、一生戦闘できない身体になっちゃうかもしれないんですよ!」

確かに、とハルナンは思った。
今のアヤチョの身体はひどくボロボロだ。
これ以上グレープジュースによるタガの外れた攻撃を受け続けたら、もう長くはないだろう。
一生戦闘できないどころか命を失うことだってありえるかもしれない。
しかしハルナンには二人の戦いを眺めることしか出来なかった。

「止められることなら止めたいですよ。
 でも、悔しいけど、あの二人の間に割って入る実力が私には無いんです……
 帝国剣士団長に相応しい強さをもっていないんですから……」


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