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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

234 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/17(水) 08:44:28
「ハルナン、アヤを斬って!」
「!」

いきなり自分を斬れと言い出すアヤチョは、傍からはおかしくなったように見えるかもしれないが
ハルナンにはその意図するところがすぐに分かった。
要するにアヤチョは毒を抜いて欲しかったのだ。
毒ヘビに噛まれた探検家がナイフで切ることで指から血を流すように
剣で血液ごと麻痺毒を排出するのがマロ対策に繋がるのである。
もちろんハルナンの本心としてはそんなことをしたくはない。
彼女の扱うフランベルジュ「ウェーブヘアー」は通常の剣と違って刃が波打ったような形状をしている。
そのフォルムは一見美しくも見えるのだが、その本性はあまりにもえげつなかった。
ギザギザの刀身は相手の肉を斬るのではなく削ぎ落とすことに特化しているため、治療時に縫合することが困難なのである。
こんな剣で親友のアヤチョを斬るくらいなら自分を斬るほうが楽かもしれないが
毒に苦しませるよりは幾分マシだと判断して、心を鬼にして斬りかかる。

「分かったよアヤチョ!」

ハルナンは銃弾を受けたアヤチョの腹と、胸、そして首を一回ずつ傷つけた。
毒が脳に到達しないように、その経路から血液を噴出させたのだ。
実際これで毒を抜くことが出来たのかは分からないが、強烈な激痛は確実に気付けにはなっている。
血まみれになりながらも、アヤチョは依然変わらない闘志でマロを睨みつける。

「もう終わりだよカノンちゃん。すぐに殺してあげる。」
「……」

銃撃と毒殺の両方を無効化された今、自分に勝ち目がないことはマロ自身がもっとも自覚していた。
例え逃げたとしても、アヤチョの執念を持ってすれば必ず追いつかれてしまうだろう。
ならば殺されぬためには降伏すれば良いのか?
そんなことは許されない。
ここでアヤチョとハルナンに屈服したら、クマイチャンを騙し続けることになる。
かつて自分を救ってくれたヒーローを愛する気持ちだけは、どんなことがあっても守りたかった。

「……私の愛を軽く見るな。」

マロにはとっておきの策がある。
しかしそれには重大な副作用が伴うかもしれない。
ユカニャ王は危険など無いと言っていたが、信用できるか怪しいものだ。
だが、同格のアヤチョがここまでリスキーな行動を取り続けた以上、
もはやノーリスクで勝とうなんて甘い考えは捨てるべきなのだ。
マロはユカニャに(わざと)返却し忘れた五色の液体を取り出し、全ての同時に開封する。
そして、一気にジュースを飲み干したのだ。

「私はもう根性のない豚じゃない!!」


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