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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

168 ◆V9ncA8v9YI:2015/06/03(水) 15:06:56
「サヤシ……どうしてここに……」

エリポンは目の前に現れた仲間の名をかすれた声で呼ぶ。
その者こそQ期団の1人、サヤシ・カレサス。
奇しくもエリポンやアユミンと同じ「刀」を扱う剣士だった。
その腕前は凄まじく、彼女の通った後は草木も残らないと噂されている。

「どうしてって、そんなのエリポンを助けに来たからに決まっちょる。」
「サヤシ!」
「大体エリポンの戦い方はまったくなっとらん!なんじゃあの変な動きは。
 どうせまたボロ負けしよると思って、ウチが助太刀に来たんじゃ。」
「サヤシ……」

サヤシは前々からエリポンには厳しかった。
同期のフクやカノンには甘々な声で接するというのに、何故かエリポンにだけこうなのだ。
このように言い合っている二人を見て、ただならぬ心境なのがアユミンだ。
計画上ではハルとマーチャン、そしてアーリーがサヤシを抑えるはずなのに
それらを物ともせずここに来るサヤシが脅威でならなかった。

(あの3人がやられたってこと!?秒殺で?信じられない!
 サヤシさんは強いとは聞いてたけどここまでとは……
 怖いけど、今すぐここで仕留めなきゃならないんだ!!)

アユミンはサヤシがエリポンの方を向いているうちに、不意打ちに近い形で斬りかかった。
サヤシの刀はいつの間にか鞘に収められているので、仮に気付かれたとしても即時に対応出来ないと踏んだのだ。
これでサヤシを斬れば残りはエリポンただ一人。計画に何の問題もなくなる。
だがアユミンは恐怖と焦りで大事なことを失念していた。
サヤシはモーニング帝国剣士最速であることを、
そして、その最速と呼ばれている最大の理由が超高速の振りを実現する居合術であるということを忘れていたのだ。

「はぁ!!」

アユミンの気配を感じ取ったサヤシは鞘から刀を瞬時に抜き取った。
その抜刀のスピードは並ではない。
迫り来ていた大太刀をあっという間に受け止めたことからもそれが分かる。

「そ、そんな……」
「ほう?今回のはなかなか良い一撃じゃ。心が感じられよる。」


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