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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
159
:
◆V9ncA8v9YI
:2015/06/01(月) 12:52:59
吹っ飛ばされはしたが、おかげでエリポンはアユミンのある特徴に気づくことが出来た。
アユミンは太刀による斬撃、つまりは接近することでしか攻撃出来ないと言うのに
1回当てるたびにエリポンからわざわざ距離をとっているのだ。
反撃を恐れている、とか、勢いをつけるために助走が必要、とか理由は様々だろうが
なんにせよ向こうが離れているのであればやりようはある。
「これがエリの地属性魔法!」
エリポンは腕の筋肉に力を入れて、掌を思いっきり地面へと叩きつけた。
これはバレーボールのアタックそのもの。一つ異なるのはエリポンの人間離れしたした怪力で放たれたという点だけだ。
いくらツルツルだろうと地面は地面。
激しい衝撃を受けた大地は、轟音とともに砕けていった。
半径2メートル弱の足場に亀裂を入れたエリポンを見て、アユミンはビビってしまう。
(なんて魔法だ!地割れを起こすなんて信じられない!
どうしよう、あの魔法を使われると地面がザラザラになっちゃう……)
アユミンの考える通り、エリポンの足場はもうツルツルではなかった。
粉々になった土やら石やらのおかげで立つのに十分な摩擦を生んでいるのだ。
しかし、エリポンはこの魔法を多用するわけにはいかない。
硬く均された大地に力一杯のビンタを喰らわせるようなものなので、
いくらエリポンが屈強な肉体を持ってるとは言っても、骨や筋肉への負担が大きすぎるのだ。
ゆえに使えるのは足場を安定させる用途の今回限り。
本当にアユミンを仕留めるための魔法は別に用意している。
「次は風属性魔法っちゃん。エリの斬撃は風の刃を発生させる。」
そう言うとエリポンはゴルフのクラブを扱うかのように打刀「一瞬」を振りかぶった。
もちろんエリポンに風の刃など起こせるわけがない。
刀を足下の小石に当てて、それをゴルフボールのようにアユミンへと飛ばそうと考えているのだ。
しかし、アユミンだってただでもらう気はさらさらなかった。
風の魔法は本気で怖いが、ダンスで培った柔軟性を活かして避けてやろうと思ったのだ。
(私は天気組団の一員なんだ。どんなに見苦しい格好になったとしても、食らいついてみせる!)
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