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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

154 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/28(木) 12:58:46
「逃げても無駄っちゃん!」

エリポンは後退したアユミンをすぐさま追いかけた。
彼女の足の速さがあればすぐに追いつき、また斬りかかることが出来るだろう。
だがアユミンも本気でエリポンから逃げようなどとは思っていなかった。
追いつかれると同時に、今度は逆にエリポンの側へと前進したのだ。
この後退と前進のコンビネーションを見て、エリポンは団長フクの戦い方を思い出す。

(これはフクのバックステップ&ダッシュ!?だったらまずい!)

エリポンは訓練にて何度もフク・ダッシュによる体当たりを受けていた。
その爆発力はそうとう泣かされたので、エリポンは必死で身構える。
だが、当然ながらアユミンの技はフクのそれとは違っていた。
前に来たかと思えば、またすぐに後ろに下がったのだ。
意味の無いように見える行動に混乱するエリポンだったが、他に道が無いために再度追いかける。

「もうなんなの!?待てーーー!」
(エリポンさんハマったな、よし、ここでキレ全開だ!)

アユミンは前後左右へのステップの回数とスピードを更に増加させる。
彼女の凄いところは大太刀を握りつつもこれだけの激しい移動が出来てしまう点だ。
刀の重量で比較すると軽いはずのエリポンの方が、めまぐるしく変化するダーイシの場位置に対応できず、疲労してしまう。

「はぁ…はぁ…もう動かんで!止まって!!」
「分かりました。」
「えっ、わっ!」

あれだけ動き回っていたアユミンが急に止まったので、エリポンは驚き、前方につんのめってしまう。
転んでたまるかと必死に踏ん張ろうとしたが、踏まれる側の地面がそれを許さなかった。
なんとエリポンとアユミン達の足下は、まるで誰かに整備されたかのようにツルツルだったのだ。

「うえぇ!!な、なにこれ〜」
「磨いたんですよ。たった今、私がやったんです。」

2人がいたのは屋内でもなんでもない広場のはずだった。
ところがアユミンは持ち前の足捌きによって大地を均してしまったのだ。
予測不能なアユミンの移動術に翻弄されたエリポンにこの摩擦の少ない環境で踏ん張ることなど出来るはずもなく、
盛大にスベってしまう。
まるで氷のようにスベりやすい地面を作るからこそ、
アユミンは天気組団の中で「雪の剣士」と呼ばれていたのだ。

(転んじゃったらもう私の刀を防げないよね?これで決める!!)


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