したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

135 ◆V9ncA8v9YI:2015/05/24(日) 02:31:21
直情タイプが多いQ期団だが、唯一カノン・トイ・レマーネだけは冷静な性格をしていた。
普段の日常会話ではおちゃらけてはいるものの、それはあくまで場を盛り上げるため。
フク、エリポン、サヤシがボケた時には瞬時にツッコミに回ることからもそれが分かるだろう。
何事にも惑わされず常に本質のみを捉えることが出来るのが彼女の利点なのである。
また、人はカノンの耐久力の高さを恵まれた体型や重厚な鎧のおかげだと言うが、実際はそうではない。
相手の行動や周りの状況を察知し、常に頭を働かせて次の行動を予測するからこそ無駄な負傷が少ないのだ。
考えすぎるあまり「グレープジュースは毒入り」のように思ってしまうのが唯一の欠点ではあるが、
そこまでとことん最悪の可能性を想定するからこそ、現に彼女は生き残っている。
予想外の事態には弱いが、予想内には十分な対処を行うことが出来る。
また、彼女にはトーク力もあった。

「いやね、君たちの戦い方は合理的だと思うよ?
 トモって呼ばれてたっけ、キミ。 本当は仲間思いなのにあえて虐めっ子のフリをしてるんでしょ。
 そうした方が、その、カリンちゃん?、がもっと可哀想に見えるもんね。」
「は!?・・・馬鹿いわないで!」

思いがけないカノンの分析にトモはギョッとした。
自分はただ勝利のためにカリンを利用していただけなので、そのように言われるとは思いもしてなかったのだ。
ジュースを飲んだ時以上に顔が火照ってくるトモを見ながら、カノンは続ける。

「自分のことは自分でも分からないもんだよ。じゃあ証拠を見えてあげようか」

そう言うとカノンは床に倒れていたカリンの首根っこを掴み、自身とトモの直線上に付きつけた。
つまりカリンをトモの弓から自身を守る盾にしたと言う訳だ。
とんでもないことを考えるカノンに、トモは恐怖する。

「な、何をやって・・・・・・」
「撃ってみなよ。本当の虐めっ子だったら躊躇しないで撃てるでしょ?」
「!?」
「鎧を貫通するくらいの威力が有るんだから、この子の薄い身体くらい貫けると思うんだけどね。
 これはね、キミが私を倒せる最後のチャンスなんだよ。 カリンちゃんを貫通して私に当ててみな。」

トモは電気のようにビリビリとしたものが全身に流れるのを感じる。
確かにカノンを倒すには今言った方法をとるしかないだろう。しかしそんなことを出来る訳がない。
ただでさえ胸から流血するカリンを射抜いてしまったら、命を奪うかもしれないからだ。
何も出来ず黙りこくるトモだったが、そこにカリンの叫び声が聞こえてくる。

「トモが虐めっ子じゃない訳ないだろ!!すぐに私ごとあなたを撃ち殺すんだから覚悟しな!!
 ねぇトモはやくしてよ、こいつがビビッて私を放す前に、強烈なのをお願い。
 トモなら、出来るよ!」

トモはさっきのカノンの言葉以上に、カリンの犠牲精神に衝撃を受けた。
何故カリンが自分の命を犠牲にしてまでカノンを倒したいのか、モチベーションはどこにあるのか、それは分からないが
ここで撃たなければ本当の戦士ではないということは分かったのだ。
そして、そう気づいたトモは弓と矢を床に落としてしまう。

「私は戦士じゃなかったや・・・・・・ごめんねカリン」

武器が捨てられるのを確認したカノンは、すぐにカリンを投げ捨ててからトモに接近し、ローキックをぶちこむ。
様々な思いが入り混じったトモの膝の震えは相当のものであり、強烈な蹴りには到底耐えられなかった。
骨から鈍い音をだし、その場に倒れこんでしまう。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板