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『スウィート・メモリーズ』ロールスレッド
236
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/11(土) 21:33:23 ID:???
>>231
「資源獲得を目的とした暗躍だな。別段珍しくもない」
カノッサがバックに居ることと主目的は資源の獲得。そのためなら現地の状況をひっかき回すことに躊躇がない。
全く以って、いつもの事だ。越境組織ならばどこでもやっているし、イムカの銀河帝国も例外ではない。
【ゆえにハイプリエステスの慚愧についてはイムカの感想は酷く淡白だ。龍鬼の末路についても。
危機感が欠如し、旧習に引きずられても結末ならば、単純に命数が尽きたのだろう、と】
「大尉…私達にこの件に下手に関わる必然は――?」
と、ここでジョシュアに耳打ち。イムカの知る現在がここで死した場合、
パラレルワールドになるか消滅するかは不明だが関わるメリットは…違う。
「何でもない忘れろ」
と、前言を撤回するイムカだった。ここに流れて以来、消極的に過ぎる。自覚はある。
何故か?仲間がどうにかすると信じているから?否、自身に余裕が無いからだ。らしくもない。
一刻も早く帰還し、ニュクスを保護せねばならぬと思考を占有。理由をこねくり回すが実情は私事塗れだ。恥を知れ。
「―――!!」
が、それでも視界に光の飛来を観測した瞬間にはコンバットポーチより銀の小鎚を取り出せた。
(ウカツ…反応が遅れた!!)
おそらくイムカの反応は他者に比べてワンテンポ遅い。間に合うか――
「人類の神なりし皇帝陛下の護りあれ!≪異端者への防壁≫」
発動すれば地面より隆起した数多の銀色に輝く防壁が形成されるが――!
237
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/11(土) 21:57:14 ID:.OO1K2GQ
>>ALL
「ぐッ……!」
天より降り注ぐ破壊の流星は唐突として現れ、エリッタそのものを包み込むように広範囲に降り注ぐ。
ソーマが咄嗟の助けとしてエルミスを庇い、二人は地面へ倒れこむように大きく移動。直後に二人が立っていた位置へ魔法弾が着弾し、土が真っ赤に焼けるような高熱の爆発を伴う。
ニアやイムカは地へと盾を突き立て、シェグムントとリーゼを。メアリーは診療所の付近をカバーし、被害を最小限へと低下させた。
「感謝する、お前たち……!」
「一体何が……」
ソーマを押し退けて起き上がるエルミス。直ぐさま何が起きたのか辺りを見回すも、当然地上には何も見当たらず。
その内空が暗くなりゆくのを見て、ようやく敵が空にあることを察知し天を仰いだ。
「聞こえるか、人間どもよ!」
そこに居たのは大量の龍鬼、龍鬼、龍鬼……血の涙を流しながら焼け焦げた羽を舞い散らせる、復讐の鬼たちである。
ある鬼は溢れた臓物を、またある鬼は娘の亡骸を抱え。その凄惨たる様相にさしものエルミスもほんの僅かに青ざめていた。
彼の知る龍鬼とは、このような光景とは最も離れた、閉鎖的ながらも愛に満ちた種族なのだから。
「我らは平和を愛し、争いを拒み続けた!争いの種である異種族との交流も拒み続けた!」
「閉鎖的と称されても、それが常しえに続く平和をもたらすと考えていたからだ……!」
「平和以外に何も求めなかった!そのような我らに対する仕打ちがこれか!」
「貴様らは…………これで満足なのか!?」
天を仰ぐエルミス、量子短銃を空へ向けたまま、引き金を引くことが出来ないジョシュア。
ミスカは涙を湛えながらも、崩れ落ちたリーゼを気遣い、ダグラスは怒りのあまり握り拳から血を滴らせていた。
そんな龍鬼たちに追い討ちをかけるように、村の端から無数の火球が飛び、幾人かの龍鬼を撃ち落とす。
「龍鬼だ!殺せぇ!」
「くそッ!カノッサ野郎共だ!龍鬼を追って来やがった!」
時の声が上がるのと、ソーマから魔剣を受け取った騎士が敵の接近を報せるのは同時であった。
カノッサのソーサラーの増援である。エリッタの分隊に連絡が取れず、龍鬼にも逃げられたため、本隊がこちらに雪崩れ込んだのだ。
ダグラスが飛び込んだ。続いてジョシュアが。ミスカもそれに続こうとするが、ハイプリエステスの左手がそれを掴む。
「ここは私達に任せて!早く住民を馬車に載せるんだ!行って!」
越境者らには龍鬼やカノッサの攻撃から村民を守り、馬車を逃すという使命があると彼女は叫ぶ。
襲いかかるソーサラーに一発頭突きをかまし、胸に黒剣を差し込んで肩口まで捌き、左手に握ったもう一振りを首へとねじ込む。
オスクロとソーンブラを握る手は生身であり、やはりこの15年間に彼女に何か変化が起こったことを想起させるだろう。
ともあれ、越境者に課せられた役割は二つ。村民の誘導と敵対勢力の撃退である。再びの三つ巴ではあるが、今度は心強い味方がいる。
【越境者に課せられた役割:敵の殲滅/村民の護衛・誘導】
238
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/11(土) 22:08:57 ID:???
>>237
「求めれば手に入ると思ってたら、それは大間違いだってんですっ」
断じてニアは戦構えにシフト、報復の雷から民を守るべくして触腕と月光を構える
歩み続ける存在としての彼女は、願いだけでは報われぬ現実を知っている
戦わなければならないのだ、立ちはだかる全ての敵となる、たとえそれが何者であろうとも
希望とは勝ち取るものなのだ、声に叫び高らかに吼えるものなのだ
それ以外の他の在り方はニアの希望に値しない、その影すら仮象であるとそうとすら考える
故に、
「任せましたってんですよっ!!」
「……生きたければついてくるってんですっっっ!!!」
大きく息を吸って、吐き出すと同時の強大なるシャウト
退路をその触腕を持ってして切り拓くべく振るい、月光を突き出すであろう
239
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/11(土) 22:10:00 ID:???
>>237
「…どうしたものか」
初手全力のBBとメアリーの動きは鈍い。
消耗の激しかったメアリーは既にB5サイズの魔導書に戻りBBの懐の中だ。
空色の騎士姿も解除され今は使用できそうにない。
「まあ、ヒト斬り包丁振り回すモノがやれる事って一つしかないんですよ!」
虚空より出現した一見すると矢鱈メカメカしい懐中電灯を右手に青年は駆ける。
得物の照射部分からは光芒が発せられ刀身を形成する。
振るとぶぃん、ぶぅおん、と懐かしくも未来的な良い音を奏でながら
ハイプリエステスらの側へと向かい敵を斬る!
240
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/11(土) 22:13:04 ID:???
>>237
「生存競争に敗れた者どもの恨み節だ。聞くにも値せん」
イムカにとって、この状況は全く以って同情の余地など微塵もない末路だ。
彼女は一度だけジョシュア達に目くばせして、
「大原則を忘れるなよ。〝敵〟なら〝殺せ〟だ」
【戦場の息吹が流れ込んだならばイムカはイムカでいられる。つまりは、無慈悲なる政治将校としてだ】
「住民の誘導は任せた。抑えはやってやるさ」
状況を再度確認!現在の自戦力の内、一定数は龍鬼に対する個人的感情から、
カノッサのソーサラーと比して積極性に欠ける面がうかがえる。ならば政治将校らしく徹するべし。
(龍鬼の自由行動を許すのは甚だよろしくない。惨事の直後であり、危急の状況。和解の模索など埒外。
連中の物言いからするに仲間意識が非常に強く、切り捨てる思考に至るには迷いを稼げる公算もある。ならば――)
【イムカは思考すると同時に鷲の羽毛を取り出す。奇跡の具材だ】
「皇帝陛下の祝福あれ!≪大跳躍≫」
魂削る祈りと共にイムカの足元に風が吹き荒れ、通常ではありえぬ跳躍を行う。
それこそ、龍鬼たちの棲まう高度まで一気に急上昇する形でだ。
≪ブラスターモード:エリミネーター/ギロチンバースト≫
粒子短銃の各部が展開し、露出した放熱板を赤く輝かせる。
銃口より放たれた高出力レーザー刃が回転斬りのように一息に振るわれ、イムカは周囲龍鬼の寸断を図る。
241
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/11(土) 22:13:31 ID:???
>>237
「イターイ」
押し退けられれば、先程剣を迎え入れた傷口が痛む。行動を阻害するほどではないが。
わざとらしく呻きながら起き上がった彼を迎え入れたのは、暗く、赫い空だった。
血の涙を、血の雨を流して怒りを叫ぶ龍鬼。これもありふれた事だ、どんな者でも、理不尽に曝されればタガは飛ぶ、復讐の鬼に堕ちる。
その事をどうこう言うつもりはない。あれは詰まる所自分なのだから。怨嗟のままに見当違いの方向へ暴虐への怒りを晴らそうとしていた、自分の合わせ鏡なのだから。
彼の分裂しかかった自我が、レンズのピントが合うようにして一つに重なる。ただ一点を見つめる歪んだ視線は、流れる事もない血の涙に掻き消された
「───ガラパゴス化極まれりだな!勘違いも甚だしい!」
だからこそ、彼は鬼達を愚弄する。認めてしまえば、自分を赦してしまいそうだから。理解を示せば、怯えた身体が共鳴して背中から這い上がる罪の魔手に押し潰されてしまいそうだから。
善人ぶる資格などあるまい。義憤を示す権利などあるまい。ここまで罰の生を駆け抜けてきた彼自身が、その狡さを赦しはしない。
怒鳴り散らすソーマタージの口元が一瞬光り、次の瞬間にはフラットな形状の酸素供給機が面頬めいて鼻から下を覆った。
「……と、言うわけだ。俺様は…キルスコアでも稼がせてもらおう。残りは避難指示だ。
たまにこういう事しないと、俺がどういうキャラか忘れちゃうだろ?」
先程の攻撃で爆ぜた地面。そこから飛び散った握り拳大の石を手に取れば、手触りを確かめるように数度手の中で弄ぶ。
一向に向き直って人々の方を指せば、彼は敵の殲滅に駆け出した。戦闘躯体とはこの為だけに存在する故。
「Tがハードなのをくれてやるよッ!」
242
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/11(土) 22:27:45 ID:.OO1K2GQ
>>238
「敵はいい、他の越境者が敵をせき止めてる間、お前は馬車を用意しろ」
「タイドメイカーでそこの荷台の中身を空にするんだ!」
チームの多くが殲滅行動に出た今、ニアのすべきことは逃走用の馬車を調達することだ。
手始めに行商人の馬車の荷台を開け、人が乗るだけのスペースを確保しなくてはならない。
「手数」の多い彼女であれば、楽勝だろう。
>>239-241
「……貴様ら、いつか地獄に堕ちようぞ」
情緒たっぷりに吐き出された龍鬼の苦しみを、すっぱりと斬り捨てる越境者。
龍鬼の一党はそれを受けて、完全に人間に対する情が失せたらしく。
「いや……今!」
「私が、この私が引導を渡してやるッッ!!」
怒り狂った龍鬼の首長が、ソーマとイムカ目掛けて降下。最上級の破壊魔法と共に落下攻撃を仕掛ける。
それは先程の魔法弾の近接版とでも言うべきか。両手に纏ったそれをすれ違いざまにぶつけるものだ。
威力は十分、鉄板であろうと溶融させるほどの高熱を発生させるものだ。
「邪魔をするな、異教徒のクズ共ッ……!」
一方消耗気味のブラフォードの前に現れるのは、カノッサの魔術師である。
先程襲いかかってきた者たちとは纏う気迫が違う。少しはできるということか。
ともあれ一片の慈悲も見せず、ブラフォードへ火炎の放射を浴びせてくるだろう。
「あー、できれば誰か……住民を馬車までエスコートしてくれないか?」
「ニアは馬車で、ミスカは馬を……」
「……分かったよ、俺がやれば良いんだろう」
一方残されたエルミスは一人ぼやきながら、怪我人を担いでニアの元へと向かう。
243
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/11(土) 22:35:03 ID:???
>>242
「なんでも知り合いが言うには…平和に不可欠なのは寛容と自己犠牲だそうで」
放たれる火炎放射、消耗している今では剣の一振りでかき消すなど不可能。
火炎は青年の身体を包み込み焼き付く―
「貴方方には寛容さが全く足りてませんね」
―せない!
火を吹き飛ばし魔術師に急接近する大きな黒い影。
それは漆黒の全身鎧を模した超跳躍と滑空機能搭載の2m級強化外骨格。
24時間連続稼働可の生命維持装置付きで水中でも宇宙空間でも活動可能。
装着までに1秒とかからないのが最大の売り。
バックパックの左右に合体させる事で巨大両手剣になる長剣がマウント可能。
とある軍需企業開発の強化外骨格その名は『KUROKISI』!!
鋼の塊が繰り出すショルダータックルに生身で耐えられるとしたらそりゃ化け物だけだ!
244
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/11(土) 22:35:25 ID:???
>>242
(何千回も繰り返してきたことだ。今更だな)
地獄というのがあるならば特等席をとうに予約済みだ。
その程度の覚悟なくして、どうして酷薄なる世界で生き延びられるというのか。
「さて―――」
龍鬼の族長は悠長にも今頃落下攻撃を仕掛けているが、
イムカはそれよりも(
>>240
)はるかに早く、エリミネーター/ギロチンバーストで周囲ごと攻撃をしているのだ。
【行動の結果は先送りされたが、単純にイムカの方が〝早い〟のだ】
245
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/11(土) 22:37:47 ID:???
>>242
「よゆーってんですっ!」
指示があれば文字通り、手数を用いてぽいぽいぽーいっちょ荷物を千切っては捨て千切っては捨てるであろう
その辺の回転数と膂力は実際優れており、タイドメイカー本来の役割とはやや異なるが素早く完了させる
「ほらほら、早く早く、焦らなくってはいいですけどねっ、迅速にっ!!」
エルミスの護衛があって避難民が到着すれば、押し込むように馬車へと
扱いとして文句もあろうが、それも生きていればこそ口を開けるというものだ
ニアも周囲の敵影を警戒しつつも、護衛へとシフト
246
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/11(土) 22:40:39 ID:???
>>242
「もう堕ちてるよ───」
口元を微かに吊り上げたのは酸素供給機に阻まれ、静かな自嘲の嗤いは戦の熱に溶かされ、外には伺えまい。
片手を外に向けてスナップ。音を鳴らし、もう一方の手に持った石をギュッと握る。
急降下する首長の手。体内のマナスカウターはアッサリと《計測不能》の文字を表示し、力量差の計算を投げ捨てる。
僅かばかり緩く腰を落とし、深く息を吐く。力の抜けた雰囲気に反し、あたかもマタドールじみてその総身には緊張が篭る。
敵との距離、畳四枚分、三枚分、二枚分───今!
「───セェァッッ!!!」
横に跳びながら首長の顔面めがけ、投げつけるのは固い固い一発の石!サイボーグの怪力と、急降下する首長自身の速度の合わさったそれは、マトモに生身に当たればタダでは済むまい。
無論、ソーマタージ自身も無事ではない。ギリギリまで引きつけての回避など、高熱を完全に回避しきれるはずがない。
首長の通り抜けるであろう風圧に煽られ、高熱を肌に受け、苦悶の呻きを漏らしてソーマタージは数m離れたところに転がった。白煙を燻らせて。
「───敵はッ!」
ガバリと起き上がるその顔は、右半分が灼け爛れかけたもの。醜い火傷痕は表面の溶けかかった酸素供給機の裏にまで続いている。
高熱は容赦無く服の奥の人工筋肉と皮膚を、内蔵計器を蝕んでいった。ほんの一瞬のすれ違いの間に。
痛む片方の目を細め、敵の状態を捉えようと首を回す───。
247
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/11(土) 22:55:57 ID:???
>>243
「ぐ、グワーーーーッ!!」
外骨格によるタックルは自動車事故の如く、魔術師を容易に粉砕し死へと至らしめる。
瞬時の変身であったために幾人かの魔道士はたじろぐが、すぐに士気を取り戻す。
「怯むな!蒸し殺せ!」
周囲の魔術師たちはなおも火炎放射にてブラフォードの鎧を包み込もうとしている。
いくら重装甲とはいえ、数千度にも達する炎を浴び続ければ機能にも支障が出てくるだろう。
そして彼のような相手を、この魔術師共は幾度となく葬ってきたのだ。
>>244
>>246
跳躍したイムカの攻撃によって、幾らかの龍鬼が翼を焼かれて堕ちてゆく。
しかし種全体を集めたこの数の前には、微々たる損害にすぎないだろう。
同じ種族であるユピ=セセットも越境者に加勢して争いを止めようとしてはいるが、たった三人で龍鬼を壊滅させるのは現実的ではなかった。
「グオオオオッ!」
結果としてはワームの首長とソーマとの一騎打ちの形となり、イムカは上方よりそれを見下ろす形となる。
ソーマの投石はモロに顔面へと当たるも、怒りのあまりに眼を赤く輝かせる龍鬼にとっては、軌道がそれる程度でさしたる効果は及ぼさない様子。
それに地面に立ってみると、この龍鬼……体型こそ細身なものの、案外とても大柄だ。
ゆうに3mは越す身長に、ぎっしりと筋肉の詰まった翼。そんな体を持ち上げる翼は広げれば10メートルに達する。
地面に蹄の後を残すほど強く踏みしめ、ソーマタージへと突撃を繰り出す。今度は右手に魔力の剣を纏い、彼の臓物を引きずり出すために。
>>245
タイドメイカーと連れ添って幾年、流石に慣れた手つきで荷物を捨てるニア。
空になった大容量の馬車に六人ほどを詰め込むと、あと六人ほどを残して満杯となってしまう。
残る二つの馬車があるのは、村の外れの納屋。丁度そこに龍鬼の魔法弾が堕ち、爆発によってニアの気を引くだろう。
「くそッ!馬車が破壊されるより先に引っ張り出してくるんだ!」
「崩れた梁の下に御者が生き埋めになってる、そいつも助けてやれ!」
そこにある二つの馬車を外へと運べば完了だ。しかし爆撃によって納屋が崩壊し、崩れ落ちた梁が運び出す邪魔となっている。
まずはそれを退け、それから馬車を運び出す必要があるだろう。失敗すれば納屋が崩れ落ち、馬車はパアだ。
248
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/11(土) 23:07:16 ID:???
>>247
「分かりましたってんですっ!」
天から降り注ぐ災厄の火
その残滓が火の粉となりて頬を焼いた。不快感
されど怖気はない、ニアは常に死を拒み続ける
「……ほらほらっ、いい天気だってんですよさっさと逃げましょうっ!」
瓦礫を容易に押し退け取り払い投げ捨て、馬車を引っ張り出し行者を担ぎ
本来いのちへの終止を告げるべくその触腕はただ純粋に守るべくして稼働する
貪欲な墓はすぐ背にまで迫り、白熱でうなじを焼くのだ
されど晩秋を求め、今はただ護り……そして走る!
249
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/11(土) 23:12:25 ID:???
>>247
「対処法としては間違っていません」
なるほど高熱による機能不全と更には蒸し焼きも狙った包囲陣。
魔術師共は互いの炎にまかれぬよう、互いに距離を取り確たる連携をとっているのだろう。
どの方面に逃げようとも炎が邪魔をし包囲を抜けるのは極めて困難だ。
まあ、それはあくまで通常の移動手段しか持たぬモノの末路だが。
「間違っていたのは私を相手にした事だけですから」
BBがマウントしてある剣を一本右手に携え無造作に振るう。
放たれるは飛ぶ斬撃、一瞬だけ炎を切り裂き、
だが絶え間ない炎を掻き消すことなど不可能な撃、
大きく弧を描いて一人の魔術師の背後に落ちる。
彼を知らぬなら誰もが思う、苦し紛れの一撃が外れた、と。
落ちた一撃が地面に接触、弾けて消える。
瞬間、KUROKISIはその場に立っていた。
BBが有する空間操作の異能が成せる技だ。
間髪入れず容赦なく背後から魔術師を切り捨てる。
飛ぶ斬撃で。
無論、斬撃はヒトの生身など貫通し、次なる獲物へと射線も合わせて放たれた。
尋常ならざる移動速度で鋼の鎧がヒトを斬る。
250
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/11(土) 23:15:04 ID:???
>>247
「だろうな……ッ!」
怒り狂った獣だ。ダメージが通った気配は無い。もっと大きな威力か、破壊力が必要。
引き攣る目元をどうにか開き、両の目を動かして周囲を見回す。図らずも一騎討ちの形となってしまったらしい。
向こうは怒りというバフがかかり、こちらはバッドステータス。倦んだ退屈よりの解放と笑うほど、彼は死合に魅力を感じられない。
(向かってくるか───!)
相対するはデーモンもかくやという迫力の、自然が育んだ怒れる筋肉。こちらに得物は無く、負傷も無視出来ない。
勝負は早く、一瞬で付ける必要がある。腕を緩く伸ばせば、ギン!と赤い両眼で真っ直ぐ睨む!
「スゥーッ───!」
こちらへの突撃が迫る。突き刺さる──その直前、ソーマタージは右に逸れた。直撃の点、死の線から最低限逃れるべく。
だが、それは回避ではない。片方の手が狙うのは剣持つ首長の手首。もう片方の手が向かうのは魔力の剣。
両の手が狙い通り獲物を捕らえたならば、手首を持ち上げ刃を押し込み回転させる。股下を潜り、正中線を通り抜けさせるように!
これぞ東洋の神秘的武道の技が一つ、太刀取り!道場稽古ではない、全力の殺し合いでの行為は、雪崩を一本のストローに流し込むが如き精密性と集中力を要する。
それを乗り越えても、相手の力量が自分より高ければ無様な結果に終わる。判定は一瞬、しかして緊張はピークに達し、鈍化する主観時間の中心臓は激しく脈打つ。
次に攻撃を食らうのはどちらか。願わくば、敵であらん事を。後悔をしている暇などなく、ただ修羅は惨殺を狙う!
251
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/11(土) 23:20:04 ID:???
>>247
「龍鬼の生き残りの殲滅など非現実的だが――」
しかし、翼をもがれ落下してゆく〝戦えぬ残り少ない生き残り〟を果たして、
龍鬼は〝見捨てる〟ことは叶うだろうか?憤怒に任せてこちらの追撃を優先するだろうか?
【これは賭けであり、終焉の遠未来にてエルフを相手に幾度も行ってきた戦術だ。
言うなれば狙撃手がヘッドショットではなく手傷を負わせることを優先するトラップに似ている。
殺せば1人が消えるが、負傷すればそれをさらに援けるために2、3人以上を戦闘行動不能に陥れられるのだ】
(聞いたところ時勢に甘い連中だ。負傷者もろともヘルゲン人が始末する可能性も十分にあるかな)
酷薄であるが、この状況の第一はあくまで撤退支援である。
生かさず殺さず、そしてこちらが目立てば目立つほど撤退の助けとなろう。
【同時に、だ。これで龍鬼と人間の禍根は決定的である。
これは歴史に介入してしまったのか、それとも歴史に内包されているのか。イムカには知りようがない】
「サーボスカル!!」
イムカの力ある声!当然であるが、戦況を俯瞰的に視るのは将校としての第一要件!!
≪0000111111010101≫
【サーボスカルとのアクセスによりイムカの視界にはサードビューとしてBB(
>>249
)の戦況も認識している】
イムカは貴重なフラググレネードを龍鬼の群れの中へ空中投擲し、粒子短銃を両腕でしかと構える。
≪ブラスタモード;エリミネータ^/ロングショット≫
拡張現実をズーム、遠距離レティクルにて照準!射出!!
【BBが切り込む間隙を見出すため、半包囲で炎を浴びせかける魔術師の一角に狙撃】
【→さらに龍鬼の群れに対して〝負傷〟を目的としたグレネード範囲攻撃。あくまで追撃困難状態を呼び込む戦術である】
252
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/11(土) 23:29:24 ID:???
>>248
「よし!馬車の準備ができた……!」
「よくやったぞニア、後でダグラスに撫でてもらえッ!」
ニアが引きずり出した馬車に、ミスカが馬を繋ぐ。彼女の纏う空気のせいか、不思議と爆撃の中でも馬は怯えない。
そのうち爆撃が止み、馬に対する危険は消える。後はエルミスとミスカがニアへ労いの言葉をかけ、難民たちを誘導してゆくだろう。
一台目の馬車は怪我人で、二台目の馬車はシェグムントとリーゼ、そして比較的軽傷の者たちで満たされる。三台目の最も大きな馬車こそが、越境者らが乗るそれである。
>>249
「ハハ……ヒャハハハッ!! これでお前もお終――」
「……待て、あの黒騎士はどこに消ぇえぁ」
炎に包まれる黒騎士は、それでいてその威厳を絶やすことはない。
燃え上がるその激しさに高揚の笑みを浮かべていた魔術師達が違和感に気づく頃、一人の魔術師が直上よりの狙撃によって脳天を刺し貫かれたのを皮切りに。
「ひ、ヒィッ……! 待て!殺すな!ころ」
次々と魔術師の首が両断され、やがて数体の骸が転がる。魔力の炎が消えたのち、焦げ野に立つのは黒騎士一人。彼に挑んだ者は、一つの例外もなく視界から消え去るだろう。
ジョシュアとダグラスも獅子奮迅たる勢いで敵を屠り、次第に攻勢が止み始める。ひとまず第一派は凌げたという所か。
>>ALL
イムカに翼を焼かれた龍鬼達の多くは地面に落ちたまま息絶える。しかし僅かに生き残った彼等を、拾う者も偲ぶ者もおらず。
首長以外の龍鬼たちは翼を翻し、未だに煙の立ち昇る里の方へと戻っていった。
首長の手首を取り、その勢いを生かして腹部へと剣を差し込んだソーマタージ。しかし彼もその膂力を生かし、腹部より魔法剣を一時は引き抜くも。
失血による目眩から一瞬抜けた力、今度は深々と胸に突き刺さる自らの腕は、正中線に沿って首元まで振り抜かれる形となる。
ついに膝から崩れ落ちた首長は、明るく晴れた夕暮れの空を見上げた。
そこには空を埋め尽くす血塗れの龍はおらず、ただ不気味なほどに晴れた空だけが紅く輝いていた。
「ぐ…………」
「貴様等も、狙いは【天使の傷痕】か……」
「あの力、人の手には渡さぬぞ」
「今……我が同胞たちが、魔力結晶を破壊しに向かった……」
消えた龍鬼たちはカノッサの大多数が立ち去った里へと戻り、結晶を囲んで手を繋いでいる頃だろう。
持てる魔力の全てを賭して、結晶の持つ魔力結合を綻ばせ、結晶を崩壊させるために。
まるで空気の詰まった風船が割れる時のように、結合が失われた魔力は綻びを起点に大爆発を引き起こす。
その威力はエリッタはもちろん、この辺りすべてを消し飛ばし、15年後の未来においてはヘルゲンそのものを衰退させ、西の大陸の人口を1割ほどまで減少させている。
「クク、あれ程の魔力だ…………この世界もろとも、消え去るだろう……」
「犠牲は大きいが……人間を根絶やしにできるのなら、構わんさ……」
「朽ち果て、ろ……」
「人間……共……」
勝ち誇った笑みを湛え、復讐の鬼へと堕ちた龍鬼の首長は息絶える。
人間が干渉しなければ、ここまでの悪感情に満ちた笑みをこの種族が浮かべることは無かったはずだ。
哀れなワームの亡骸を見下ろしながら、ミスカは心臓をずぐりと抉られるような痛みを感じ、それと共に無垢であった心にドス黒い感情を沸き立たせていた。
「くそ……ソーマが正しかったな、もうじきエリッタは地図から消える」
「こいつの見立てより、被害は少なく済みそうだが…………この辺りは跡形も無くなるだろう」
「撤収するぞ!馬車に乗り込め!」
一方ではエルミスが崩壊の訪れよりも先にエリッタを離れるべく、馬車へ難民たちを乗せている。
三台目の馬車の荷台は空いており、おそらくは越境者のための馬車なのだろう。重量物さえ外せば、問題なく乗れるはずだ。
253
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/11(土) 23:40:31 ID:???
>>252
「……はいってんですっ!」
「みんなー、こっちだってんですよー!!」
馬車から一同へと叫ぶニア、手と触腕をブンブン振ってアピール重点
遁走に対しての忌避感はない、越境者とはそうあってしかるべきなのだから
入り日に染められた空、雲が気紛れに天使達と風に踊る
ひとすじの小川がひとびとと亡骸の足元をひたしては、花々の合間を流れている
丘の向こう、気の早い一番星を指し示すように立ち昇る煙……死と破壊、怨念、そして復讐
すべてを振り切り道を走るような馬車の中、ニアは瞳を細めてその連鎖の被害者達を眺めていた
254
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/11(土) 23:44:00 ID:???
>>252
「憎悪か。さもあらん――藁のように死ぬといい」
撤退していく者達と地面の堕ちた者達、そしてついには崇高な志を捻じ曲げ無念の内に朽ち逝く者。
さて、滅びの美学を完遂する者達はともかくとして、それに巻き込まれるわけにはいかない。
「働きすぎたな」
大跳躍の後にはサーボスカルを足場にして跳んだりと長い跳躍を終えて、
ようやくイムカは地面に足を降ろして、馬車の中に入り込んだ。
「………」
ふと、ミスカの姿が目に入って、
「もし許せぬなら私だけにしろ。キリがないぞ」
と、言って、ミスカの搭乗を促した。状況が許さぬとかそんな言い訳など不毛極まる。
そして、責められるべきは終始〝任務障害要素〟として龍鬼を駒のようにしか見なかったイムカであるべきと。
【キリがないのだ本当に。そしてミスカがそうなってしまうのは御免被るのだ。イムカは】
255
:
BB&メアリー
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/11(土) 23:46:03 ID:???
>>252
メアリー「結局、誰も隣人を愛さない。自分達の事ばかり」
BB「…今更説教した所で変われるのは未来を見てるヒトだけだよ」
外骨格を虚空へと収納した青年の懐で魔導書が呟く。
馬の手綱は握った。放浪の騎士であれど騎士は騎士。
馬の扱いは心得ている。
皆が乗ればサッサと馬車を出すだろう。
256
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/11(土) 23:49:57 ID:???
>>252
「───セ、エエエアアアアッッッ!!!」
斬、斬!空気を吐き出す獰猛な掛け声と共に、一瞬の抵抗すら押しのけ、斬り裂き、命を奪う!
終わった。一先ずは。 飛び散った返り血を顔に浴びながら、ソーマタージは荒い呼吸を何度か繰り返した。
「ありがとヨ……。テメーの身体も……斬れるぐらいの……、剣にしてくれて……」
「大きな勘違いをしているみたいだが……。もう遅いな」
笑みを湛えて事切れたその表情。開いているのなら血に濡れた手で目を閉じてやってから、ソーマタージは一行の元へ向かう。
引き攣る皮膚をどうにか動かして、ヒョコヒョコと。しかし確固たる足取りで馬車へ。
……通り過ぎ様、ミスカの内に芽生えつつ何かに気付いたかのように、一度だけ彼女の方を向く。する事は無く、ただのそれだけだが。
「クリーンな核爆発みたいなもんか……クソッ」
どうにか馬車に乗り込めば、忌々しげに呟く。これもまたよくある事だ、勝ち目が見えなくなれば、自分達ごと滅茶苦茶にする。
重荷になるような荷物など、機械の身体しかない。どけと言われたらそれまでだが、寝っ転がって少しばかりの休憩を貪ろうとするだろう。
「急げ急げ!爆発なんて、浴びて良い事は一つもねーぜ!」
257
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 00:00:45 ID:???
>>ALL
「……シェグムントさん、リーゼロッテさん、どうかご無事で」
「お腹の子が、どうか健やかに育ちますように」
「ほらレヴィ!早く乗って!」
「これから酷いことされるって分かってても、私……やっぱりあなたを見捨てられないから」
「はえ? はぁ……で、でででもぉっ……」
(気遣って貰えるトカ、ちょっと初めてカモ…………)
「出すぞ!捕まれ!」
シェグムント夫妻や呪術師のレヴィ、そして応急処置を施した怪我人を詰め込んで。
二台の馬車が走り出すと、殿を務めるのは無論越境者達が乗り込んだひときわ大きな馬車である。
ブラフォードとミスカを御者に越境者らが乗り込むと、燃え落ちるエリッタを後に馬は早足に駆けはじめる。
徐々に遠のいてゆく戦火の中には、未だカノッサの魔術師と『眼』が地獄の犬のように噛み合っていた。
「このまま山脈を盾にして進んでいこう、谷が多い地形だが……爆風は凌げるだろう」
「あの、あなた……」
「ずっと聞きそびれていたんですけど、名前を……名前を教えてくれませんか?」
荷台にてようやくといった風に一息いれるエルミス。ジョシュアとダグラスは龍鬼たちの黙祷でも捧げるかのごとく、沈黙を貫いていた。
不意に前方の馬車の荷台より、ひょっこりとリーゼロッテが顔を出して、騎士であるブラフォードとミスカへ挨拶。
自分とよく似た風貌のミスカに親近感を感じずにはいられないのか、彼女の名を尋ねる。
「わ、私の……ですか、私は……」
「…………ミスカ。ミスカ・リーゼ――」
ミスカははじめこそ言い淀んでいるようだったが、やがて腹を括ったようで。
振り絞るような声で自らの名を紡いでいた、その時である。
爆発音。衝撃と共に馬車が急減速し、馬がミスカとブラフォードを振り落とす。
「クソッ!脱輪だ!」
その原因は後方より追撃を掛けたカノッサの軽戦車である。馬一匹に戦車を引かせ、荷台には二人の魔術師。火球を召喚しては次々と投射してくる。
殲滅しようにも馬車は破壊され、相手をしている暇もなく崩壊が訪れるだろう。今となっては爆心地より距離を稼ぐほかはない。
故に越境者らが今やるべきことは、戦車に制圧射撃をかましつつ前へ前へと走ることだ。
現にジョシュアらはそうし、ミスカは中級魔法による火柱を以って戦車の前進を阻んでいる。
258
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/12(日) 00:10:50 ID:???
>>257
「……あぁっ!?」
「っ、まだ来るってんですかっ……!」
ミスカの名を聞けば目を丸く、しかし次なる脅威は即座にやって来る
戦車の進軍を阻むべくニア、決断的に馬車の幌の骨組みに上り腰を下ろす
そしてタイドメイカー八葉、そして一蓮……8の触腕を組み結び形作る正に大流を産み出す大海蛇
それを持ってして質量兵器めいて戦車へと打突の勢いのまま射出!
次なる触腕で落馬したミスカとブラフォードを馬車へと復帰させんと
259
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/12(日) 00:12:55 ID:???
>>257
「俺がイライラして妊娠キャンセルパンチする前に、とっとと走らせろ!」
怒鳴り散らすその口調は、僅かではあるが焦燥の混ざったもの。
爆発の規模は首長の見立て程ではなくとも、こちらは十分に死ぬだけの威力だろう。まごまごしてる暇は無い。
後ろを向けば、地獄の一つの如く喰らい合い、殺し合う者達。度し難き血舐め共よ。
「オイ、待てよ。言う気か?バック・トゥ・ザ・フューチャー見た事ないのか───」
立ち上がって止めようとしたその時、ミキサーじみた振動が襲いかかる!荷台の中を跳ねる!
地面に転がり、衝撃を殺して素早く立ち上がる。背後には敵、あれか。
「手前ェ…!俺を怒らせる日を間違えたな───!!」
悪鬼めいた形相が、黒い血管網に覆われる。瞬間、爆発的な熱波がソーマタージを中心に放たれた!
体内のナノマシン活性剤による、全身の細胞の強制進化。戦闘に適した姿は、さながら鉛色の悪魔か。
ギラギラと輝く複眼が外れた車輪を捉え、ゴツゴツとした手が掴み上げる。親指を立て、腹部に突き立てる!
己が身体を使った割腹!しかしてそれは自害ではなく、車輪に血を纏わせるためのもの!
ベットリと朱に濡れたそれを掴むと、紫電は表面の血を操り、尖らせる。まるで丸鋸の様に───
「───ッツアアアアアァァァァアアッッ!!」
壮絶な叫びと共に、円盤めいて投げた!血の丸鋸を! 猛烈な回転で以って、戦車を引く馬の脚を切断せしめんと!
「バーカ、少数民族をイジメるレイシスト野郎〜ベンベロバー……」
260
:
BB&メアリー
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/12(日) 00:18:10 ID:???
>>257
メアリー「あの人達、もしかしなくても愚か者?」
BB「木に逆さ吊りにしてやりたい位にはね!」
馬車から投げ出されようが驚きはしない。
常人であれば大怪我以上の事になるだろうが、
そもそも手綱を握ったのも襲撃を恐れていたからで
気構えがあれば軽い風の魔法で姿勢制御とミスカを抱きとめて地に降りるのは容易い。
そして消耗している時に頼りになるのは契約を交わし、
一時的にそのチカラを貸し与えてくれる存在だ。
BB「『22頁・アラクネ』!!」
浮かんだビジョンは大蜘蛛。
大蜘蛛がBBを囲うように伸ばした足を一旦閉じ、大きく開く。
そこに出来上がっているのは魔力の糸で編み上げられた蜘蛛の巣である。
それを戦車目がけ撃ち放つ!!
261
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/12(日) 00:22:01 ID:???
>>257-260
「早々上手くはいかないか」
魔力が結晶化したクリスタルを砕き、僅かながらも魔風を発生させる。
それを左腕のミスリルの腕輪に伝わらせる。
【ファイアスターター程度の魔力であるが十九の聖痕に火を入れることに成功する】
「リ・エグザイル起動!」
聖剣の名残、夜を殺すモノ、揺れる天秤。
余剰魔力など殆どなく、一回限りしか使えぬ奥の手。
【リ・エグザイルは四つのリングに分離し、イムカの周囲に付き従う】
「妨害は貴様らに任せるぞ。制御が難しいからな」
イムカは攻撃には加わらず、進み続ける馬車への進路上に
リングを配置していく。リ・エグザイルは液体金属のように形状変化し、
それぞれのリングが人が通れるほどの大きさに拡張された。
「コイツを潜る度にそれぞれ一気に加速できる。距離を放しつつ離脱できる路だな」
イムカは攻撃を続ける者達のための撤退路を確保。
これな相手が戦車だろうが、人間の脚で4回までなら急加速し、撤退戦に持ち込める。
【→攻撃にはあえて参加せずリ・エグザイルの機能、物質の加速と転送を用いた脱出路を確保】
262
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 00:35:32 ID:???
>>ALL
「クソッタレ!走れ走れ走れーーッ!」
「あ、ありがとうございます……!行きましょう!」
風のクッションと触腕に拾われたミスカは礼を言う。落馬は免れたものの馬車は使い物にならず、一行は徒歩での移動を強いられることになるだろう。
すでにジョシュアは全力で前へと進み、エルミスもスーツのジャケットを脱ぎながら全力疾走でそれを追っている。
ただダグラスのみが、ニアを気にかけるように振り返って走るのを止めているようだった。
さて、この期に及んで邪魔立てしてきた者達の運命だが……
まぁ越境者が束になれば当然ではあるが、カノッサの戦車は瞬く間に爆発四散してしまったようだ。
ソーマによる血のピザカッターが馬の脚を両断し、バランスを崩した戦車をアラクネの糸が地面に据え付けるように動きを止める。
とどめにニアの編み込んだ太い触手が振り下ろされ、ベチーンと音を立てて戦車は完全に潰れてしまった。
ニアが触腕を上げれば、ネットリと赤いものが絡み付いている筈、それが死の証左だ。
「クソクソクソッ!このままじゃ巻き込まれっちまう!」
『まったく、一人じゃなんにも出来ないんだから……』
「あ?誰だ……?」
息を荒げながら走るジョシュア。やはり徒歩ではどう考えても爆発圏内からは逃げ切ることができず、巻き込まれることになるらしい。
そんな絶体絶命の状況の中、突如として頭の中に響く声は、まるで機械仕掛けの神の如く。
最悪のタイミングに訪れ、ジョシュアらに希望という名の一筋の光を授ける。
『助けてあげる』
低い音と共に見慣れたポータルが開く。ジョシュアらから100mほど離れた場所、谷を飛び越えた向こう側にそれは現れた。
ジョシュアらが過去を越えて越境を果たした際に、何度となくくぐり抜けてきたそれは、触れるたびに厄災を呼んでくるような代物ではあったが。
しかし皮肉なことに、今はこれを潜りこの世界を脱することしか爆発の影響から逃れることはできないのだ。
「ありゃ……テッセラクトか!?」
「野郎共、越境だ!越境で凌げるぞ!」
「コミッサー、角度調整!谷の向こうだ!」
「飛び込めぇぇェェェーーーーッ!」
イムカが展開したリ・エグザイルの加速装置を用いれば、ギリギリ到達できるような距離だ。
しかし時を越える力を持つポータルは極めて不安定であり、ごく短い間しか存在することはできない。
現にもう揺らぎを見せつつ、ポータルは消滅の兆候を見せていたのだ。
ジョシュアはイムカにリ・エグザイルの射出先をポータルに向けるように要請し、まずは自ら飛び込んでポータルの向こうへと飛んで行く。
そしてその中からは安全を示す叫び声と共に、後続の越境者らへと手が差し伸べられた。
エルミスにダグラス、続々とポータルへと飛び込んでゆく越境者らの中、疲弊ゆえか怒りに我を失っていたがゆえか。
集中力を欠いていたミスカが最後の一段を通過する際、足を踏み外した!
263
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/12(日) 00:45:09 ID:???
>>262
「こんなところで……ッ!」
血のエンチャントただ一度で変身は解け、ゼイゼイと荒い呼吸を漏らすソーマタージは顕となる。
血を垂れ流す腹部を押さえ、触手針で縫合。原始的にも程がある行為は、治療と呼ぶ事すら憚られる。
もつれそうになる脚を必死で動かし、ただただ前へ、前へ───
「ソニックで見たな!いやPSO2か?」
軽口をどうにか叩いてリ・エグザイルのリングへ!速度はぐんぐんと増し、人力キャノンボールめいて開かれしゲートへと迫る!
音すらも起き去らんばかりの心構えで走り、飛び込み──ミスカが足を踏み外すのが見えた。
「───ッ!」
加速した勢いのまま、ただ手を伸ばす。自分には烏滸がましいとしても、越境者と言う同胞の手を取る事だけは諦められなくて。
加速は容赦なくソーマタージの身体を連れていく。伸ばした手は鈍化する主観時間の中、徐々に後方へ引き寄せられていく───
「───おジャ魔女がトチッた!」
彼女の手は掴めただろうか?叶わなかっただろうか?いずれにせよ、彼は着地も受け身も出来ぬ体勢のまま、ゲートに転がり込む事となるだろう。
打ち据える身体の痛みなど忘れたかのように、ソーマタージは叫ぶ。
264
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/12(日) 00:45:16 ID:???
>>262
眼前に広がる不安定なポータル、垂れ下がる蜘蛛糸
手を伸ばせばすぐに……しかしニアは振り返り鉄火場の地獄と化した世界に多く留まる事を選択した
その結果として、ミスカに向けて触腕を巻きつけやや強引なカタチでの救助を狙うムーブが行えた事を結果がどうであれ重畳と思えるであろう
消滅の寸前まで魔風を浴びて、月光を握り……意を決して世界の境界線へと飛び込んだ
265
:
BB&メアリー
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/12(日) 00:48:11 ID:???
>>262
BB「おっと」
空間に所縁を持つ上に騎士たる青年が周囲も見ず我先に脱出するようなこともなく。
ミスカのトラブルにも直ぐに気が付く。
だがその距離は決して近くないだろう。
問題はない。
物理的に手を伸ばして届かぬ距離であろうが青年の手は届くのだ。
念動力、サイコキネシス、呼び方はどうでもいい。
その見えざる手は確実に届く。
届いた後は引っ張ればいい。
チカラが足りず引っ張れない?
そうであるなら空間転移だ。彼女を救い上げる手なら十分に備えている。
メアリー「今日は異能の大盤振る舞いね!」
266
:
イムカ・グリムナー【最善への希求
:2019/05/12(日) 00:51:45 ID:???
>>262
「ッ!?」
ジョシュアの言にイムカはリ・エグザイルの進路を調整。
何しろ乏しいリソースでどうにか制御しているような状況なのだ。余裕が全くない。
【それゆえにどうにか全員を運びながらリングを戻し、ゲートに突っ込んだ際はイムカに残されたリソースなゼロだった】
【ミスカの状態も咄嗟に分かってはいたが、僅かに揺らげば明後日の方にすっ飛んでしまうような薄氷の上、
より多くをゲートに運ぶ役割であった以上、イムカに出来ることは何もなかった→イムカはそのままゲートへ】
267
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 00:58:49 ID:???
>>ALL
越境者の加速と同時、背後にて視力を奪う程の閃光。破滅の訪れ、エリッタの崩壊が始まったのだ。
加速のままにミスカに追い付き、彼女の手を取らんとするソーマタージ。しかしそれは辛くも指先による接触に終わることになる。
しかしそれをカバーするが如く、ブラフォードによる異能が落下を始めたミスカの身体を引っ張り上げた。
さらにニアの触腕がミスカの胴に巻き付き、無理矢理テッセラクトへ引き込むべく共に加速を続け。
最後にはジョシュアがしっかりと彼女の手を取り、直ぐそばまで破壊の迫る瀬戸際でテッセラクトの中へと力任せに引き込んだ!
「よしッ、捕まえたぞ、ミスカ……!」
「おい、これでまた貸しだ。飯作れよな」
ポータルが消失した音。仰向けに倒れこんだジョシュアは、しっかりと掴んだミスカの腕を離さず。
今回の越境では彼女は皆に貸しを作ったと、また全員に手料理を振る舞うことを約束させようと。
……返事がない。ジョシュアはミスカの様子を伺うべく、痛む上体をゆっくりと起こして。
「ミスカ……?」
「…………エルミス」
そのまま、顛末を見守っていた越境者に視線を送ると、唯一背を向けていたエルミスへ声を掛ける。
しかしエルミスは目の前の光景に目を奪われたままに振り返らず、再びの呼びかけによって我に帰ったように振り返る。
「エルミス……ミスカが……」
そこにあったのは、断面よりシュウシュウと煙を立ち上らせるミスカの左腕。その肘より先である。
ジョシュアは呆然とした表情を浮かべたまま、その左腕を両手で抱えていた。
「あ、ありえない…………」
「まさか……何故……」
ミスカを失った悲しみに明け暮れるジョシュアであったが、エルミスの脳内は彼とは異なる感情に支配されていた。
それは恐ろしいほど適切に揃えられた証拠と、それに際し納得を否定することができない。その事実に対する困惑であった。
30歳ほどの年、金色の髪、失われた左腕。そして強いカノッサへの憎悪。
全てが符合した。現代において刃を交えたあのハイプリエステスは――
【次回、エピローグ】
268
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 22:07:18 ID:???
「これから、どうしましょうか」
エリッタの崩壊より、数時間後。
リーゼロッテはついに追いつく事のなかった越境者を偲びながら、天へと届かんとするキノコ雲を見つめていた。
ラコタ山脈の向こうで煌々と光りを放つのは、かつてエリッタと呼ばれていた場所だ。
かつて緑に包まれていたそこは、今は爆炎のみが立ち上がり、数年は消えない魔法の火が燻る焦土と化している。
「……僕達の命が尽きるより前に、この子だけは助けよう」
「セントラ大陸の西の果て……魔女の森に先代の賢者様がご隠居なさっている」
聖騎士シェグムントとその妻リーゼロッテは、もとより短命の定めであった。
それは呪いにも似て、相容れないふたつの種族の壁を超え、愛を育んだ者に神より与えられる罰である。
医学と神学に長けた彼が死力を尽くし、ようやくリーゼロッテが子を遺すことができるほどに延命できていたのだ。
すらりとした体型に戻ったリーゼロッテの手には、布に包まれ、安らかに眠る赤子が抱かれており。
故に彼らは、もうじき死ぬ。
「あの方ならば、この子をまっすぐに育ててくれる筈だ」
「たとえ天使と人間の血を宿した……『戒血』を持っていたとしても」
しかしそこに絶望のような感情は微塵もなく、自らの生きた証として、新たな命をこの世に産み落とす事ができたという喜びだけが二人の心を満たしていた。
神への背徳と越境者の犠牲という大きな代償の果てに生まれた子。罪の意識はあれど、その咎は自分達にあるのだ。
生まれた子は何の罪もなく、だからこそ晴れやかにその命の旅路を歩んでほしい。
故に彼女の両親は、彼女を捨てたという筋書きを賢者に託し、彼女を運命から解き放ったのだ。
「ねぇ、シェグムント」
「この子の名前、決めました……」
「私の大事な、この子の名前は……」
運命という呪縛から逃れたからこそ、これから待ち受ける過酷な道。
それはきっと容易いものではないだろう。だからこそそれを越えたその先に、本物の自由が待ち受けている筈だ。
だからこそ、今はただ喜ぼうではないか。新たなる命の誕生を。
祝福されしその御子の名は――
「……ミスカ」
「ミスカ・リーゼロッテ・エリッタ」
269
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 22:07:57 ID:???
【次元断層 テッセラクト内部――】
「エルミス、ミスカが……」
ジョシュアはミスカの腕を抱き、呆然とした様子でエルミスへと視線を向けていた。
仲間を失った悲しみが重苦しくジョシュアの心を支配する。彼女に手を差し伸べたにも関わらず、あの爆発の中に置き去りにしてしまったのだから。
責任感を感じずにはいられなかった。越境者全員で回したパスを、ジョシュアは見事にしくじったのだから。
「あ、有り得ない……」
「まさか……な、何故なんだ……」
悲しみに暮れるジョシュアに対し、エルミスの歪んだ表情は異なる感情からくるものであった。
それは困惑。この絶望的状況において用意されたのは、ミスカが現代のハイプリエステスであるという覆しようのない証拠。
もしこの事実が知れれば、越境者は自らの手でミスカに引導を渡してしまったということになる。
だからこそエルミスも大きな衝撃を受けつつ、なんとかそれを漏らす事なく飲み込んだのである。
今はそうする事が、傷口を広げぬ最善の策だと知っていたから。
270
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/12(日) 22:21:03 ID:???
>>269
「ここは何処だ。そして脱出法を模索せねば」
イムカはジョシュアとエルミスを一瞥したのち、すぐさまに思考を切り替えた。
主目的は何ら変わっていない。脱出と帰還。それこそが至上の聖務である。
【皇帝陛下への不断の奉仕を絶やさぬためにも、イムカ個人の事情のためにも
ここで悠長に行方不明などしている場合ではない】
〝敵〟なら〝殺せ〟は闘争の大原則であり、ミスカを以って答え合わせがされたところで、
イムカ・グリムナーには、銀河帝国上級政治将校には、乱れるなど許されない。
(キリが無いと言ってはずだがな。馬鹿な子だ)
一片の感傷もないのか?と言えば嘘になる。
が、だからといって事象は覆らないし、事態はそんなこととは関係なく流れてゆく。
嘆くのも、跪くのも他者の役割だ。それはイムカの役割ではない。
「ジョシュア、不自然な越境ゲートが開く前に〝誰だ〟とか妙なことを言っていたな。
つまりはこの越境は何かしらの干渉によるものと考えるべきか」
腕を組んでそう思案するイムカの背後ではサーボスカルが浮遊し
≪000011111010101≫
早速この〝場所〟に対する走査(スキャン)を開始した。
【冷血女だと思われても仕方ない態度であり事実そうなのだろうとイムカも納得している】
271
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/12(日) 22:21:16 ID:???
>>269
「むぅっ……」
ニアとして、彼女は今現状において懐疑的であった
それは、蟲達の跋扈する世界を共に駆け抜けた仲として、そして何よりも友として
更に加えるならば、ニア自身はハイプリエステスとの戦闘に対して未知故に
幾つもの複雑な螺旋の果ての命運だとして、しかしてそれらの多くは暫定に過ぎない、少なくともニアはそれを信じているのだ
「……」
「ならっ、……もしも、今の絵が気に食わないってんなら……」
「……描き変えられるように動けばいいってんです、ニア達は多分……世界で唯一そう言うことが許されているってんですから……!」
その激励は自らを奮い立たせる為にも似ていた
ニアの現時点での生涯の大半を占めている衰退した世でのアラウンドザワールド
その仲間であるミスカの消失に痛打を受けぬはずはない
しかしそれでも、希望へと歩みを止める事はしない
だからこそのニアなのだ、それ故の『ニア』なのだ
272
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/12(日) 22:26:44 ID:???
>>269
アキレス「 」
死に物狂いで越境を果たそうとしたときだ
ミスカが足を捕られたのが見えた 助けようとした
だが間に合わなかった 一度ついた勢いは止まらず 伸ばした手は届かず
ジョシュアがやっとのことでつかんだ手はここにあり・・・手だけがここにあり・・・
アキレス「 ッ・・・!!」
―――ギィ!!ギィ!!
頭が理解をする前にジョシュアの胸倉をつかむ ジョシュアを睨む自分の顔はいったいどんな表情を浮かべているのだろう
突然の行動にベティもアキレスの頭を叩いてやめさせようとする
アキレス「 」
この場合ジョシュアを殴ればいいのか 泣けばいいのか 悔いればいいのか どうすればいいのか
ベティに後頭部をガンガン殴られてもなお真っ白な頭は元に戻らず
ジョシュアを掴む手が力なく垂れ下がり ジョシュアの横に倒れ込んだ
―――ギィ!!ギィ!!
ベティも今はどうしたらいいのか分からない
273
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/12(日) 22:28:42 ID:???
>>269
「状況はよく分かりませんが…」
実際何が起き、何が発覚したのか青年には知る由もない。
「偶々幸運にも越境出来た、という具合ではなさそうですね?
意図的な…それもまた驚きですが、そういった越境でしょう?これは」
周囲を見回し何かないかと。
「……兎に角、今は動きましょう」
ミスカの腕を見、苦々しく思う。
あの時確かに手は掴んだ、そう思ったのだが。
274
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/12(日) 22:36:00 ID:???
>>273
(………)
結果事象が覆ったような感覚。あるいは歴史の修正力と呼ぶべきものでも働いたのだろうか。
クルト・カントールの時もそうだった。努力も空しく、結果は知りえる結果として収束されてしまう。
【あるいは観測者である自分達が介入したからこそルートが規定された?などとは思いたくない】
それならば、あらゆる努力も足掻きも無駄なのか?という絶望が結論となる。
それを許容するほど酔っぱらった覚えはないのだ。
「だな。行動あるのみなのだが」
BBにそう言い周囲を見やったが、今はいささかダメージが深いようだ、と嘆息をついた。
275
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 22:41:47 ID:???
>>ALL
感情が振り切れたアキレスの一連の行動を受けてなお、ジョシュアはどうすることもできず。
ただただ溢れる感情を決壊させないために、力ない彼の身体をひしと両腕で抱き締めるのみだ。
やがてミスカの腕はジョシュアの腕をすり抜けて、蒼く光る粒子となって時空の狭間へと溶けていった。
越境者達がエリュシオンで手に入れた武具や装備も、そうして溶けて消えてゆく。
ブラフォードは落ちゆくミスカの身体を異能で引き上げ、ニアがそれを触腕で引っ張り、その手をジョシュアが掴んだのは事実。すべて起こったことである。
この場合において、彼女を失った理由としては唯一つ。ポータルが閉じるまでに引きずりこむ。その最後のステップが間に合わなかったのだ。
『ふふ、男の子はもっとガンガン行った方が良いんじゃないかな?』
『そんな風に攻めあぐねてると……いつかきっと後悔するよ』
「な……!」
ふと聞き慣れた声が響くと、茫然自失としていたエルミスは驚いて振り返る。
最初にテッセラクトを通り過ぎた時と同じく、そこに見えるのは幻影である。
それは越境者がかつて打倒したハイプリエステスのものであり、彼らの記憶の中にあるものだ。
『私は「眼」の指導者、ハイプリエステス』
『カノッサは世界を混沌へと導く……手を貸すなら、あなた達も同罪だよ』
「これは……過去、か……?」
エルミスが驚く間も無く、次の幻影が映し出される。それは彼女が始めて越境者へ刃を向けた時。
その記憶を眺めながら、ダグラスはミスカについて一切語る事なくニアの側へと寄り添っていた。
ダグラスはミスカと面識がなく、今はこれが最善というほかないと彼なりに配慮したのだろう。
『あなた達は強くなる必要があるの、少なくとも……私でさえ歯が立たなかった脅威に対抗するために』
『私の最後のお願い、聞いてよ……タェンティース、ソーマ』
二度目の戦いはカノッサの依頼によるものであった。ハイプリエステスの打倒には多くの兵力が投入され、
最新鋭の兵器を用いて手傷を受けた彼女を、越境者達が全力で追い込み、討伐に成功する。
『……あぁ、でも、最期は…あなたに、』
『看取って…ほしかった、なぁ………ア――』
『黙りなサイ、ただのトレイター』
切り刻まれ、串刺しになり、やがて猛毒の満ちる谷底へと真っ逆さまに落ちてゆく。
越境者が実際に目にしたのは、そこまでであったが。
『――……き、レ……す……』
『…………』
「…………くそ」
「"これ"を作り出している奴は……何が目的だ……?」
幻影は切断された喉から血を滴らせ、断末魔の一声を絞り出すハイプリエステスの最期を写していた。
それを目の当たりにしたエルミスは憤りを隠せずにいた。当たり前だ。みすみす彼らの傷口をえぐるようなものを見せられているのだから。
この幻影といい、恣意的に開くポータルといい、イムカの言う通り何者かが裏で糸を引いている。ジョシュアもまた弱々しく、「はい」とだけ返した。
それが敵対的存在であるかどうかは分からない。しかし間違いなく、一連の不可解な事象すべてにその意思が絡んでいるのだ。
276
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/12(日) 22:45:37 ID:???
「───まさか───」
エルミスの様子を見るまでもなく、ソーマタージは同じ事を考えていた。あの日戦った者の一人なのだから、思い至るのは当然と言えた。
吐き気を催す程の後悔が鎌首をもたげる。熱を帯びて赤く爛れた顔が、僅かばかりに青ざめる。
カノッサへの憎悪、喪くした左腕、髪の色、今際の際の言葉───全てが分かってしまった。
「……wikiで見たときから、薄々そんな気はしてたが………」
誰に言うでもなく呟く。引き攣れた身体をどうにか動かし、彼は一行の後を追う。
誰かに明かすつもりはない。胸を焦がす後悔も、罪も、背負うのは慣れている。
//お言葉に甘えて一レスだけお邪魔するのです…っ
277
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/12(日) 22:52:23 ID:???
>>275
「思考誘導のための幻影か。馬鹿馬鹿しいな」
この状況で感情をぶらされる事は極めて危険であるとイムカは知悉している。
敵対的存在であるか否かはどうでもいい。が、好ましからざる相手であるとは認識できた。
「散々揺さぶりをかけた上のことだ。ロクな代物ではあるまい」
粒子短銃にエネルギーセルを叩き込む。
現状においては想定は無限倍であるが、最悪四の五の言わずに
問答無用でレーザーを叩き込むのが最善であるパターンすらある。
(真意の欠片が知れたとて、それが何になるというのだ)
【あえて露悪的な態度を取るイムカである。おそらくはこちらを見ている輩に弱みを見せるわけにはいかない】
278
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/12(日) 22:52:34 ID:???
>>275
アキレス「ふぐっ・・・ぅぅぅうううううああああああ・・・!!!!」
ジョシュアに抱きしめられ ここでようやっと涙があふれる
まるで子供のようになきじゃくる
そこに現れた幻影 見えたのは現代のハイプリエステス 否 ミスカの姿
確かあの時はロイが相対して そして殺めた
その時の様子 α-12に喉を切り裂かれてなお自分のことを呼んでいた
はらはらと流す涙もそのままに 呆けたように動かない
健気に自分を呼ぶミスカの声が 頭の中にいつまでもこだましていた
279
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/12(日) 22:58:12 ID:???
>>274
>>275
「私は此処までの経緯を知らない部外者ですが…だからこそ至って冷静ですよ。
それで、こんな幻影まで見せて我々に未だ何かさせる気ですか?」
何者かが居るのだろう。
それが可視化できるかどうかは不明だが。
「そろそろ本題に入ったらどうです。些か趣味が悪いッ!」
事の次第など知る由もない。
だが、知人らの苦悶に満ちた表情はそれだけで己が奮い立つ理由になる。
280
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/12(日) 22:59:00 ID:???
>>275
「……」
静かに寄り添うダグラスの、その肩に側頭部を預けニアは押し黙り思考を巡らせていた
イムカの言葉、そして目の前の幻影
一連の騒動の荊棘の、蔦を引く存在がぼんやりと認知出来はじめていた
否、それはまるで雲が空に浮かんでいると言った途方も無い認識にも等しい
それを構成する物質が何かすら不明瞭な……それでも、仰ぎ見る事だけは叶う
怖くはない、眩暈がするだけだ。「敵」との距離を縮めなければならない
「……「敵と水平に対立するのだ」……」
「まだ、まだ……見えない事だらけだってんですっ……」
涙を流すのは後だ、まだ耐えられる
歯を噛み締めて、まばたきは増える
立ち上がって月光を握り、上天を仰いだ、その先の存在を睥睨するように
281
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 23:15:15 ID:???
>>ALL
後悔に押し潰されそうなソーマの呟き。そしてアキレスの嗚咽とブラフォードの怒号がこだまする中、薄らと人影のようなものが見え始める。
それは自分の、というより自分たちの姿だ。明後日の方向を向き、皆で戸惑いを隠せないでいる。
まさしく初のテッセラクト越境(
>>59
)の際、各々が見せていた反応に他ならないだろう。
そしてその中でミスカただ一人だけが、こちらを向き、手を差し伸べて……そして微笑んだ。
「……この時のため、だったのか」
アキレスを抱いていたジョシュアが呟く。無論ミスカは何も答えない。
しかし笑みを絶やさず、越境者らに笑みを浮かべるだけだ。
楽観的にも程があるが、今は誰の心の中にも、まるで彼女が語りかけているかのようにある言葉は浮かび上がるだろう。
『大丈夫、未来はまだ……終わってない』と。
「お前は、今の俺たちに向けて手を差し伸べていたのか?」
歩み寄ったエルミスが手を伸ばす。続いてジョシュアも。
その場にいるうちのどれだけが、彼女の握れなかった手に自らのそれを重ねるだろうか。
ともあれ、テッセラクトによる越境は終わりを告げる。はじめの一人がミスカの手に触れれば、異空間には暖かな光が満ちてゆき――
【2818年 木星軌道上】
「ここは……」
あたりを冷たい鉄が囲む閉鎖的な空間のなか、越境者達は意識を取り戻すだろう。
独房のようなそこにぎゅうぎゅう詰めの状態で、皆が折り重なった状態での越境。
そのような異様な光景を警戒するように、全身を物々しいパワーアーマーで包んだ兵士が此方を観察している。
苦しそうに越境者をかき分けて出てきたジョシュアが、まずその光景の既視感に気付く。
「おい、ここは……」
「――ワールシュタットじゃねェか……」
そこはジョシュアの越境の始まりの地。初めて流れ着いた世界であった。
【USSワールシュタット 独房区画】
「お前らどうやってそこに入ったんだ?少し目を離した隙に……鍵も掛かってるのに」
「まぁ、自分から独房に入ってくれるのは……構わないんだが」
瞬きほどの短な時間目を離しただけで、完全密封された独房に数人がすし詰めになっている。
自分の目の前で起きた出来事が信じられないようで、兵士は銃を向けたまま呆れたような声を上げた。
後方からはぞろぞろと増援の兵士がやってきて、その中には将校クラスの制服も見える。
初対面の相手同士で上手く付き合うには第一印象が大切だ。して、越境者各位の取る行動は。
282
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/12(日) 23:28:29 ID:???
>>281
(………)
イムカは終始無言で、ただホルスターに銃を収めた。
感慨はない。理由を察することも出来ぬ。行動の結果は覆らぬ。
「しばし成り行きか。なんともな」
と、つぶやくのみであった、が!!
------------
----------
--------
【USSワールシュタット】
「狭い!人口密集甚だしいぞ!――おい、誰だ尻を触っているのは!?そっちは胸だ馬鹿もの!!」
幻想的シーンが終わり不確かな現実に戻ってみれば、突然のスシ詰め状態!!
ナムアミダブツ!なんたるケオスか!!っと、ちょっとまてい!!
「ふん!!」
どうにか色んな障害物(人員含む)をかき分けて、軍服の襟を整えるとアイサツを行う。
「銀河帝国上級政治将校イムカ・ラヴィニス・ヴァール・ウル・グリムナー大佐だ。
転送実験の失敗でこちらに出現した次第だ。話の分かる者は居るか?」
言語については越境の世界修正力があるため問題にはしていない。
≪000011111010101≫
サーボスカルにホロディスプレイと展開させて、身分情報を含む多数の証明書を提示。
眉唾物と思われる可能性は高いが、嘘にしては手が込みすぎており、狂人にしては慄然としすぎており、
スパイにしてはあからさまに過ぎるという態度を装う。
283
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/12(日) 23:29:23 ID:???
>>281
「…んんっ」
状況を理解できぬまま、すっくと立ちあがり咳払い一つ。
「ログレスの放浪騎士ブラフォード=ブラッドレーと申します。
越境事象に詳しい何方かがいらっしゃれば幸いです」
内心『越境?』と首を傾げられたら一発アウトだ!と思いながら堂々と名乗る。
何一つ偽りはないんだからしかたがあるまい!!
284
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/12(日) 23:33:28 ID:???
>>281
「……はろー、狭いってんですねここっ」
ぎゅうぎゅうになったまま苦笑、手を振るニア
取り敢えず初対面の対応としてはフツーなのだ、ニアとしては
「ニア・シューペリオリティってんですっ」
「……身分はえーっと、ないってんですねぇ」
ぺこりと頭を下げる所作、今一つ洗礼されてはいない
285
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/12(日) 23:33:47 ID:???
>>281-282
アキレス「 」
こちらに手を差し伸べるミスカ
未来は終わっていない 一体何のことか
差し伸べられた手を触った・・・なんか柔らかい・・・しばし触って・・・
〜それからどうした〜
アキレス「ングェ・・・!?」
訳も分からず壁にたたきつけられる さっき触った柔らかさは指のそれとはちと違っていたが
とりあえず押しのけられた状態 壁と何かで押しつぶされそうである
―――ギィ!!ギィ!!
なおベティちゃんも押しのけられ 一体何があったのかと言わんばかりにハサミを振り上げた
286
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/12(日) 23:50:40 ID:???
>>ALL
「越境……?」
「あぁ、転移実験ね……」
すし詰め状態であった越境者は、全員が立ったとしてもギッチギチ。
故に、かのイムカですら何者かに押され頬やらを歪ませながら高らかに名乗りをあげるであろう。
ちなみに彼女のハプニングに対してはジョシュアは不関与。その事実を知れば後で血の涙を流すだろう。またはこっそり頼みに行くかも。
ともかく、越境という単語については首を傾げたものの、転移実験の失敗という建前はこの不可解な事象を説明するに至るだろう。
「あー……」
「んん゛っ、同じく銀河帝国海兵隊の…………ギデオンズ大尉だ、よろしく」
「ところで今は、その……何年だ?」
「もちろん宇宙標準暦じゃないぞ、西暦で……だ」
ジョシュアもそれに便乗し、他の越境者の膝あたりを靴で小突いてイムカの建前に合わせるように要請。
どうやら即銃殺ということはないようだ。イムカの名乗りが効いたか?その是非はこの世界と終焉の遠未来が、同一世界線に存在するかによって異なってくる。
そうこうしているうちに責任者らしき男がジョシュアらの前に歩み寄り、彼らは狭苦しい独房からようやく解放されるだろう。
「2818年だよ、ギデオンズ君」
「私は第8艦隊長のホーソーンだ、彼女が本当に銀河帝国とやらのお偉いさんならば、ここにいる理由を詳しく聞きたいのだがね」
「やっぱりか……」
「……お前ら、ちょっと待ってろ。俺が話をつけてくる……」
ホーソーンの言葉によってある事実が証明されることとなる。どうやらエリッタに辿り着いて以降、越境者らは決まった時間軸の中で越境しているようだ。
たとえば現代において、各々が違う世界で過ごしても必ず同じ方向の未来へと歩むように。
15年前のエリッタからはどの世界へ越境しても15年前のまま、ということである。
ジョシュアがこの世界に辿り着いたのは2833年、すなわち2818年のこの世界にはジョシュアはまだいない。
さらに付け加えると、IASCおよびOSATに必要不可欠なあるものが存在していない時代ということになる。
そこに目をつけたジョシュアは一人で話をつけるとホーソーンを連れて独房から出る。
それから、青ざめた顔の彼を連れ、十数分ほどで越境者の元へと戻ってきた。
「ホーソーンから冷凍睡眠用のカプセルを手配してもらった」
「これで15年眠れば、元の世界へ戻れるって訳だ」
何を材料としたかは分からないが、交渉は驚くほど円滑に進んだようであり、
ジョシュアは見事越境者らが現代へ帰る術を獲得して戻ってきたのであった。
無論その内容については、わざわざ知りたがる者以外には知る必要もないが。
これでともかく、元の世界へと帰る抜け道が見つかったのである。
287
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/13(月) 00:02:27 ID:???
>>285-286
越境直後もアキレスが指とは違う感触を覚えたとしたら、
たぶん、どっかですげ変わったんじゃね?上級政治将校様の胸と尻に。
【ナムサン!口笛でも吹いて誤魔化しておくんなし!!】
(ふむ…)
おそらくは〝イムカの銀河帝国〟は関与していない可能性が高いとこの時点で考える。
不和の時代と、断絶の時代という人類の衰退期を経た印象がそこにはないからだ。
【ゆえにここはつじつま合わせを最も行えそうなジョシュアに任せることにする】
-----------
---------
-------
「うーむ」
ここでイムカは考え込む。もし逆行を起こしているならば、先に待っている悲劇や破綻に介入できはしないか?と。
イムカはネファレムだ。15年のズレ程度ならば消化しきれるし、活動も可能だ。
「が、問題はタイムパラドックスか。どのような不都合が生じるか読めないし、
また、世界線の収束問題があれば、まったくの無駄足になる可能性も高い」
二人のイムカ?笑えん。どう統合されるかも未知数だし最悪消滅となる。
「どう思う?私なら取りこぼした物を拾いつつ帰還できる可能性はある。
が、徒労に終わる可能性と最悪を招く可能性も同じくらいに高い」
助言を求めてみた。
288
:
BB&メアリー
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/13(月) 00:05:52 ID:???
>>286
BB「成程…成程?」
素直に15年眠るという選択肢にやや引っ掛かりを覚える青年。
メアリー「今なら未来変えたい放題?」
BB「んん…意図して行きたい場所へ行けるなら、だからなあ」
289
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/13(月) 00:07:00 ID:???
>>286
「……寝るのは良いってんですけどぉ……」
「それだと15年後にニア達が2人になりませんっ?」
もしくは、この世界に縁の深いジョシュア達だけでもその可能性があるのではないか
まぁしかしてその手以外に存在しないというのであれば拒む理由は皆無
「……そもそもっ、今の越境が本来年月を超えられないってんなら」
「最初の過去に行ったのは何故なんでしょうっ……?」
ふむむと唸り小首を傾げる
過去へのスリップに理由や意図を感じる、そしてそれを成す事の出来る存在をも
290
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/13(月) 00:08:53 ID:???
>>286-287
誤魔化すも何もよくわかっていません
だが非常事態が故に真っ白だった頭は少しは動くようになった
未だ憔悴した様子だったが 自分の頭で考える
アキレス「なぁ もとに戻るのはいいんだけどさ ミスカの言っていた未来は終わっていないってどうなるのかな?
それに・・・イムカタンが言ってたようにタイムパラドックス? っていうのどうなるの?」
実際ミスカとの付き合いは長い
そのすべてがなくなってしまったのなら それはいったいどうなってしまうのか?
衰弱した頭で精いっぱい考える
291
:
BB&メアリー
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/13(月) 00:12:13 ID:???
>>287
メアリー「将校さんも同じ事を考えてるわ!」
はしゃぐB5魔導書と。
BB
「捻くれた考え方かもしれませんが
…この降って沸いたようなチャンスそれ自体が罠という可能性は?」
傾向的に向こう見ずな越境者と言えど此処までの不可解な事象には慎重になる。
292
:
◆T/233Moei6
:2019/05/13(月) 00:22:14 ID:???
転載よー
186 名前: ◆4J0Z/LKX/o [sage] 投稿日: 2019/05/13(月) 00:20:33 ???
すみません、エラーで書き込めないので携帯からっ
今日は一旦〆にして、明日返信にて締めくくりたいと思います
申し訳ないです、お疲れ様でしたっ
293
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/13(月) 01:38:34 ID:???
>>ALL
「タイム・パラドックスの問題だが、例えば……ニアがダグラスを救った時」
ジョシュアの突飛な提案に対し、流石に困惑の色を隠せない越境者たち。
しかしジョシュアは確固たる根拠を持っているようで、静かにその口を開いた。
「死ぬはずだった男が生きていること自体が、今の俺たちの未来とは違う未来を作り出すことになる筈だ」
「もし時間軸が一つに限られるなら、その時点で『ダグラスが死んだ未来』の俺たちは消えることにならねェか?」
「だが実際はダグラスが生きてるのに、俺たちにはなんの変化も訪れなかった」
「つまり俺たちの引き起こした事象は、正しい歴史の流れにあるか、もしくは修正力とやらで辻褄が合うようになってる」
もし過去への干渉を理由に未来が変容するのであるとすれば、ニアが未来を変えた時点で破滅は訪れて然るべきだろう。
しかし、現にそれは起こらなかった。理を越えた行動であるにも関わらず、正史であるか、あるいはそれによってもたらされた結果に辻褄が合うよう、現実が改変されたのか。
いずれにせよ、これまでジョシュアらが行ってきた行動全てが、世界を変えることなく存続させるのに必要であったということだ。
「アグラーヤの攻撃の後、ダグラスが消えて剣だけが残ったって結果は、隊長が生きてようが死んでようが変わりねェだろ?」
「ミスカはどォだ?あそこで取り残されなきゃハイプリエステスにはならなかった」
「それに実を言えば、ホーソーンは新型の軍用ナノマシンを欲しがってた」
「だがそいつは机上の空論ばかりで、実際には一度もキチンと動く試作品なんざ出来てねェ段階だ」
「そこに俺が現れて、技術的にそれを実現したグリードのサンプルを提供すれば……」
そしてジョシュアは、議題を先程のホーソーン艦隊長との交渉に戻す。やけにすんなりと進んだその流れについて。
冷凍睡眠装置の貸与を勝ち取った取引の全容はこうである。まずジョシュアがホーソーンの求めているものを言い当て、実際に目の前でその能力を見せる。ホーソーンは飛びつく。以上だ。
ジョシュアは自らの体を構築するナノマシンの構造データを提供することを約束し、その代わりに2833年にジョシュアという青年が現れた際に保護を行うことと、15年間の
冷凍睡眠を担保にしたのである。
巨額の投資を注ぎ込んでもなお完成へ漕ぎ着けなかったナノマシンの現物を前にすれば、双方ともあまりにも安い対価である。
かくして、ジョシュアは円滑にホーソーンとの取引を暫定的に結んだのであった。
「そういうことだ、『ソルダート・フトゥーロ』の適合性が俺だけやたらに高かったのは……」
「紛れも無いこの俺が、ドナーだったからなんだ」
かつてジョシュアとイムカが出会って間も無い頃、傷を癒すナノマシンであるソルダート・フトゥーロの適合性について話したことを覚えているだろうか。
人間であった時代にも関わらず、通常の兵士の倍以上の適合性という極めて異常な数値をジョシュアは叩き出していたのだ。
数万は存在する兵士の中で彼だけが特別に優れていた訳でもなく、彼自身がベースになっていたからこそ、ジョシュアはナノマシン適性に恵まれていたのだろう。
「だから俺たちはこのまま眠り、余計な行動を巻き起こさないように世界から一旦消える。そして15年後の俺たちが過去に飛ばされた後に目覚めれば……」
「俺たちの居るこの世界は、『正史』だってコトになる」
越境者たちが過去に飛ばされるその日まで、あと15年。
それまでジョシュアらは過去の自分たちへの干渉を最大限避けるため、存在を秘匿され眠ることになる。
ワールシュタットの最奥、VIP用の冷凍睡眠区画にて。自分たちが過去へと消えるのを、ただじっと待つのだ。
そうして越境者が消えた現代へと舞い戻れば、そこにはパラドクスの存在しない正史がある、それがジョシュアの考えであった。
「なぜ過去に飛ばされたか、そして俺たちを操ってるヤツは何者なのか」
「そいつは、これを引き起こした当事者であるニュクスに聞けばいい」
「どちらにせよ、過去に戻ったことが偶発的な事故じゃない限りは……」
「物語が動く方に賭けるしかない、違うか?」
どちらにせよ、今はこれ以外に方法はなく。
ジョシュアと越境者たちは、まもなく眠りにつくこととなる。
294
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/15(水) 20:09:42 ID:???
【冷凍睡眠当日】
ジョシュアらの越境から1週間後。
USSワールシュタットでは技術的ブレイクスルーを目前に、新型ナノマシンの研究意欲が爆発的に高まっていた。
ジョシュアが提供した体細胞の構造データを元に、構想期にあったソルダート・フトゥーロの技術的問題が解消されたのだ。
素体そのものではなくデータのみという形となったのは、グリードそのものを他人に提供することはあまりにも危険すぎるが故、理論の応用までにといった所であろうか。
ともあれ契約は果たされ、ジョシュアら越境者は15年間のコールドスリープ貸与と、USSワールシュタットでの庇護の権利を勝ち取ったのだった。
時間というものは不可逆的なもので、ジョシュアらの生きている次元では巻き戻すことは出来ない。けれど未来へ進むことならば、三次元においても可能なのだ。
越境者たちが正史世界へと帰るために必要な15年という時を超えるには、コールドスリープこそが唯一の方法であり、ジョシュアらは否応なく縋らざるを得ないのであった。
「こういう時、ソーマだったら『帰るぜよ、あん世界へ』とか言うんだろォな……」
「ミスカは……あいつは、何て言うかな」
期待と若干の不安を胸に、ジョシュアはコールドスリープ用のポッドの前に立っていた。その身に纏うのは懐かしきOSATのストライダーアーマーである。
初めて越境者たちと出逢った時に纏っていた装備と、それに応じた外見のジョシュアを見て、彼の姿を懐かしく思う者もいるだろう。
彼の装備を整えることのできる優れた整備環境は、無論越境者たちの失っていたメインウェポンや、その代替品に至るまでのすべてを補給できるだろう。
加えてワールシュタットは高度な技術によって生産された高品質な武器を保有しており、越境者たちは武器庫から望むだけの装備を調達できる。
【装備制限解除…キャラシート通りのカタログスペックを発揮可能】
【さらに、ワールシュタットの兵器の一部を持ち出し可能(要記載)】
「ハーネスよし、呼吸器よし、減圧パックよし……」
慣れた手つきで仲間のコールドスリープの準備を整えてゆくさまを、OSATの兵士たちは興味深そうに見ている。
確認の仕方も、手順も、海兵隊と全く同じ。異邦人とは思えぬその手際は、海兵たちをほんのちょっとだけ奇妙に思わせるだろう。
全ての準備が終われば、あとはカプセルに寝転ぶだけで冷凍シークエンスが開始する。一度睡眠導入へと至れば、人間も機械も、天使も悪魔も皆等しく眠りに就くほかない。
「心配すんな、ワールシュタットのコールドスリープは快適だ。……経験者は語る」
「冷凍睡眠剤アレルギーも、このタイプだとねェしな」
だからこそジョシュアは仲間の緊張を解しつつも、何か思い残した事があるように目を伏せる。
それから、両腕を軽く広げると越境者を呼び集め、小さな輪を作るだろう。
「じゃあ……皆、手を出してくれ」
「皆で手を繋ごう。救ってやれなかったミスカの分も……二度とあんな事が起こらないように」
ジョシュアは両腕を広げたまま、それぞれを両隣にいた越境者と繋ごうとするだろう。
少しナーバスになっているのかと聞かれれば、それはノーではない。ひょっとすれば目覚めは望む未来ではないかもしれないから。
それでもなお前に進むため、一人も欠けずに歩みを続けるために、大きなリスクの谷を飛び越える前に皆と手を繋ぎたいと心から思ったのだ。
そこには冷やかしも、いつもの皮肉もない。ただ真剣な眼差しに決意の灯火を宿しながら、ジョシュアは手を握る力を強めるのだった。
295
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/15(水) 20:37:46 ID:???
>>294
果たしてニアは、真紅のレオタード状のバトルスーツを身に付けていた
何故これがここにあるのかは分からないし、知る必要もないと思う
ただそれを見つけた時、凍て付き歩みを止め、それでも希望を抱く眠りにつく正装としてこれ以上はないと頬が緩むのを感じたのだ
「ふふふっ、そういうの好きでしたってんですもんね」
やや腫れた目蓋は重い
この数日間、気丈に振る舞い続ける事は上手く行っていたはずだ
小さな手を繋ぎ、想い……祈り、進む、進む、未来へと回帰を果たす為に
296
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/15(水) 21:33:24 ID:???
>>294
「…」
輪に入るべきか見守るべきか。
未だ己を部外者と断ずる青年は迷い、結局輪には加わらなかった。
懐の魔導書はそんな青年に不満気であったが…
「目が覚めたら、その時は是非握手を」
此処までは彼らの物語だ。
だが目覚めた先にあるのは新たな旅路だ。
並び立つなら其処からが相応しい、青年はそう思えてならなかったから。
297
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/15(水) 22:10:01 ID:???
>>294
〈ソーマタージ記 世界線Z84 スクラントン式空間座標…測定不能〉
〈神はいる。否、神に近しい高次元存在は確かにいる。あの黄金の立方体の中に〉
〈これが悲劇ならよく出来たものだろう。美しき女教皇は蒙昧なかつての同胞に討たれ、醜い浪人は彼女の忘れ形見の前にいけしゃあしゃあと現れる〉
〈描いた図通りだろうか?佳い感じだろうか? これが運命だと言うのなら、影法師に過ぎぬとしてもこのソーマタージは台無しにしてやる〉
〈そうだ。傲岸不遜な殺人鬼、殺しの安牌、醒めた夢の業人だとしても、迅る気持ちが仕組まれた“役割”だとしても、このソーマタージは動いてやる〉
〈一流の悲劇など糞食らえだ。オレは三流でも喜劇を選ぶ。あいつらの未来を創る。そうすれば、他の誰かが笑えるだろう〉
「お待たー?」
懐に冷凍保存用の処置を済ませた何かをしまい、ソーマタージは現れる。
その腰に提げたのは、工作用のカッターの刃に似た形状の高周波ブレード。大振りの電磁ナイフ。丸きり同じ物ではないが、性能はさして変わらない。
脇の下のホルスターに収めた大口径の自動拳銃と、予備弾倉二個。一度服の上からなぞると、ポッドを見上げた。これが今回入るものか。
「帰るぜよ、あん時代へ……ちょっとキツくない?アメリカ人のくせに?」
ジョシュアの想像通りの事を言う口が塞がる。わざとらしく窮屈そうにウェーと呻くと、着心地を確かめ、カプセルの内側を指でなぞった。
ナノマシンの治癒能力も、この中では役に立つまい。幸い今日眠りに着くまでの一週間の間、殆ど治っているが。
流石に冷凍睡眠の経験は無い。泥のように横たわっているだけの眠りなら何度かあるが。
眉をひそめて『より良い未来のために』なんておどけていると、ジョシュアが呼びつけてきた。円陣を組むらしい。
「俺らは運動部の高校生か?やれやれ……」
対照的に皮肉を漏らしながらも、言われた通りに手を繋ぐ。取れなかった彼女のものを思い出そうとするかのように。
「食ったりするなよ?俺も気をつけるから」
「───ヤツのあの手が果てしない大海原を血の色に染めて、緑を真っ赤に変えなきゃいいが」
アキレスの事を一度思う。愛する者を喪った痛みは、万分の一だとしても理解しているつもりだ。信じてはいるが、念の為。
心残りの一つを呟くと、カプセルへと向かうだろう。ただ一人になれる時、男はやっと噴き出る事が出来る。
「仇の一人はここだってな……」
298
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/15(水) 22:13:41 ID:???
>>294
〈ソーマタージ記 世界線Z84 スクラントン式空間座標…測定不能〉
〈神はいる。否、神に近しい高次元存在は確かにいる。あの黄金の立方体の中に〉
〈これが悲劇ならよく出来たものだろう。美しき女教皇は蒙昧なかつての同胞に討たれ、醜い浪人は彼女の忘れ形見の前にいけしゃあしゃあと現れる〉
〈描いた図通りだろうか?佳い感じだろうか? これが運命だと言うのなら、影法師に過ぎぬとしてもこのソーマタージは台無しにしてやる〉
〈そうだ。傲岸不遜な殺人鬼、殺しの安牌、醒めた夢の業人だとしても、迅る気持ちが仕組まれた“役割”だとしても、このソーマタージは動いてやる〉
〈一流の悲劇など糞食らえだ。オレは三流でも喜劇を選ぶ。あいつらの未来を創る。そうすれば、他の誰かが笑えるだろう〉
「お待たー?」
懐に冷凍保存用の処置を済ませた何かをしまい、ソーマタージは現れる。
その腰に提げたのは、工作用のカッターの刃に似た形状の高周波ブレード。大振りの電磁ナイフ。丸きり同じ物ではないが、性能はさして変わらない。
脇の下のホルスターに収めた大口径の自動拳銃と、予備弾倉二個。一度服の上からなぞると、ポッドを見上げた。これが今回入るものか。
「帰るぜよ、あん時代へ……ちょっとキツくない?アメリカ人のくせに?」
ジョシュアの想像通りの事を言う口が塞がる。わざとらしく窮屈そうにウェーと呻くと、着心地を確かめ、カプセルの内側を指でなぞった。
ナノマシンの治癒能力も、この中では役に立つまい。幸い今日眠りに着くまでの一週間の間、殆ど治っているが。
流石に冷凍睡眠の経験は無い。泥のように横たわっているだけの眠りなら何度かあるが。
眉をひそめて『より良い未来のために』なんておどけていると、ジョシュアが呼びつけてきた。円陣を組むらしい。
「俺らは運動部の高校生か?やれやれ……」
対照的に皮肉を漏らしながらも、言われた通りに手を繋ぐ。取れなかった彼女のものを思い出そうとするかのように。
「食ったりするなよ?俺も気をつけるから」
「───ヤツのあの手が果てしない大海原を血の色に染めて、緑を真っ赤に変えなきゃいいが」
アキレスの事を一度思う。愛する者を喪った痛みは、万分の一だとしても理解しているつもりだ。信じてはいるが、念の為。
心残りの一つを呟くと、カプセルへと向かうだろう。ただ一人になれる時、男はやっと噴き出る事が出来る。
「仇の一人はここだってな……」
299
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】>>555
:2019/05/15(水) 22:54:25 ID:???
>>294
「各種グレネードとエネルギーセルがあればいい」
基本的に殆どの装備をサーボスカルに持たせていたイムカなので
装備の追加については消耗品だけで事足りる。
【消耗品の補給→フラググレネード、クラックグレネード、エネルギーセル】
「士官だからな。安易に握手を交わせる立場でもあるまい」
イムカはジョシュアのナーバスには応えられなかった。
どちらかと言えばその資格がないと彼女自身が考えたためか。
(ミスカ、か)
正直、イムカの心情的にはさして同情はしていない。
復讐だろうが何だろうが望むままに生きたのならばそれで良かろう。
他人があれこれ斟酌する必要はないと。そしてそれがここでは異質な思考なのだと自覚もあった。
>>298
「ソーマタージ」
イムカはなぜかクマーのぬいぐるみをソーマタージにぽいっちょ。
「それがあったほうがよく眠れるのだろう。うむ」
いったい彼女の中でソーマタージはどんなキャラクターなのだろうか?であった。
300
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/20(月) 21:49:45 ID:???
【越境者の冷凍睡眠より、幾年後――】
凍結したカプセルの蓋を押し上げ、睡眠導入ゲルの中から手が伸びる。
永い眠りからジョシュアが覚めたのは、冷凍睡眠が自動的に解除されたことが原因であった。
すなわち、冷却剤の性能限界と電力の不足により、仮死状態の維持が困難になったということだ。
ハッチが開くと、ジョシュアはゲルまみれのアーマーのままで起き上がり、それから呼吸器に詰まった異物を吐き出すべくむせ返るのであった。
「ん、ぐッ……ゲホッ!ゲホゲホッ……!」
「……おい、何で電源が落ちて……」
肺の中に溜まった冷却剤と酸素添加剤を全て吐き出す。透明な塊が気道を通って床へと落ちた。
ジョシュアの身体から滴り落ち床に落ちたそれ。付着したゲルは、空気に触れると即時蒸発する特殊なポリマーで構成されている。それを示すようにジョシュアの肩は既に乾き始めていた。
それからコールドスリープ・ヴォルトの電源が落ちていることに気がつき、ジョシュアは近くのブレーカーにアクセスすると、手動で電源をオーバーライドする。
電源が復旧すると、窓を覆っていた電子スクリーンが光を通し、分厚い防弾ガラス越しに外の世界を眺めることが出来るのだが……
「は……?」
「おい嘘だろ……なんでまだ宇宙に居やがるんだ……!」
「クソ、AI……ホーキンス、起動しろ!」
ジョシュアが見たものは夜の闇でも星空でもなく、宇宙の深い深淵の色であり、その口からは困惑の声が思わず漏れていた。
電源が復旧したことで、この部屋の様々な機能が回復する。すると辺りからはありとあらゆるマルファンクションを告げるアラートが吐き出され、ヴォルトは騒音で満たされた。
ふらつく足取りのままジョシュアは端末に駆け寄ると、何が起きているのかを知るべくAIを起動して情報を表示する。
電源に致命的な損傷。どうやら冷凍睡眠のみに電力を回すべく、AIが意図的にシステムをダウンさせていたようだ。
『おはようございマす、ジョシュアさ ん』
『本艦のコールドスリー プ はいかがデしたか?』
「『へフィー』は見えねェ、てこたァ2033年世界か……」
「ホーキンス、年は……時間はどうなってやがる……」
ブレたり霞んだりしながら現れたのは、船のセントラルAIであるホーキンスだ。初めはひどく不安定な姿であった彼女は、時間の経過と共に、徐々に規定の姿を取り戻してゆく。
29世紀の遠未来においてワールシュタットは保守点検の為、木星圏にある造船システム『へファイストス』を最終的な帰還地点としている。越境者が眠る前に居た場所だ。
人類の科学力を結集させて建設された格子(ラティス)状の人工建造物。光学望遠鏡を用いれば地球からでも見えるような、巨大なそれをジョシュアが見逃すはずもなく。
ワールシュタットが木星にいないとなれば、それはなんらかの作戦の進行中であるか、越境によって2033年世界にスリップしてしまったかのどちらかである。
そして反対側のスクリーンに地球が見えるとなれば、それは後者である。29世紀の地球のように欠けたり、一部がガラス化などはしていないのがその証左。
されどそのダークサイドには人類の叡智を感じさせる街の明かりは一つもなく。ただ静寂の闇が広がるばかり。
それに何故ボストンに停泊していたはずのワールシュタットが宇宙にあるのか、ジョシュアはその理由をAIに問いただした。
ワールシュタットはその巨体が持つあまりの質量ゆえに、大気圏内から離脱することが出来ないのだ。ボストンを守る為に地球に降下して以来、この船は地上に釘付けの筈。
『どうやらこちラの 不手際により、貴方は予定よりも15年遅く……つまり、30年と4ヶ月の間、お眠りになっていたようです』
301
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/20(月) 21:50:59 ID:???
「な……30年、だと……」
ホーキンスはジョシュアを一目見ただけでギデオンズではないと見抜いていた。つまり、眠りに就いてから目覚めるまでの間に、ジョシュアは越境によってこの船を訪れたのだろう。
つまるところジョシュアの目論見通り、越境者らは正史世界から逸れることなく時を越えることが出来たようだ。
しかしそうであれば尚更何故、このような奇妙な目覚めを迎えることになったのか。その答えはホログラムによって構成された軍服姿の小さな女性、ホーキンスによって示されることになる。
彼女の口から語られたのは、越境者は15年のコールドスリープを通り越し、30年眠っていたということ。ここは正史の世界線から、丁度15年後の世界である。というものであった。
「一体何が起きてやがる……」
「ホーク、悪いがこの状況が納得いくよォなログを再生してくれ」
『アイサー』
理解を超えた状況に表情を歪めるジョシュアであったが、残りの越境者を起こすよりも先にこの状況を説明するための確認が必要だと判断したようだ。
そこで彼はホーキンスにこれまでの経緯が理解できるような説明を、音声や映像などを示したデータログ付きで求めた。
すっかり元の姿を取り戻したホーキンスは、慣れた手つきで無数のログの中からジョシュアの求めているであろう情報を提出する。
『こちらUSSワールシュタット、正体不明の勢力から攻撃を受けた……!』
『OSATが壊滅したんで、ジョントを使って宇宙まで逃げて来たが、街の一部を巻き込んじまって……クソッ』
そこに映し出されたいたのは攻撃を受けているワールシュタットと、それが短距離ワープによって宇宙へと退避した様子であった。
ジョシュアが窓の外を見ると、そこにはボストン市民であった者の遺体が着の身着のままで漂っていた。
「地球でジョントを使うなんて何事だ?……続きを再生してくれ」
『ワールシュタットからヴァルキリーII、悪い知らせだ』
『どうやら残ったのは俺たちだけのようだ……』
ジョントは指定した空間を切り取り、他の場所にそのまま転移するワープ方法だ。極めて素早く移動でき、スリップスペースのように光速まで加速する必要がない反面、移動距離は短い。
地球大気圏内で使用すれば街を巻き込むし、ワールシュタットぶんの体積の真空空間が市街地のすぐ側に発生することになる。よほど切羽詰まっていなければ使用することは許可されないだろう。少なくとも核攻撃程度では許されるものではない。
しかし第8艦隊が壊滅するほどの攻撃ともなれば話は別だ。旗艦ワールシュタットと新造艦のヴァルキリーIIのみが生き残るという状況は、無敵の第8艦隊を知るジョシュアには想像がつかないものであった。
『こっ……こちらワールシュタット!またあの化け物が来やがった……!!』
『ヴァルキリーIIは至急艦内から退避しろ!ジョントを使ってもいい!お前達だけでも逃げ――』
最後のログは破壊され、船体の中央から二つに分断されるワールシュタットの姿。ヴァルキリーIIから送信されたものであった。直後にヴァルキリーIIも轟沈し、ログは終了する。
消失の瀬戸際に一瞬だけ写っていたのは、まばゆく輝く翼を持つ小さな光……あれは、あの姿はまるで……天使?
「ホーク、これが起こったのは……」
『今から15年前、貴方達を起こす約束の日の1日前に……本艦は撃墜されました』
「クソ、なんてこった……すぐに皆を起こさねェと……!」
呆然と窓に張り付いたジョシュアが見たのは、へし折れたワールシュタットの残骸。すなわちこの船が宇宙空間で轟沈したという確固たる証拠である。
ホログラム越しには伝わらなかった絶望感が、冷や汗となってジョシュアの肌を伝う。無敵の第8艦隊が沈み、地球には沈黙が訪れている。オマケに自分たちは15年後の未来に取り残され、帰る方法も確立されていない。
越境者は未来において完全に孤立し、未だかつてない最大の脅威に晒されているのであった。
302
:
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/20(月) 21:52:10 ID:???
【スウィート・メモリーズ PART3】
303
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/25(土) 21:53:19 ID:???
「説明した通り、ここは俺たちが暮らしていた時代の……15年後の世界らしい」
冷凍睡眠から覚めた越境者達を並べ、エルミスはこれまでの状況を彼らへと概説する。
保管庫から取り出した装備を各自に行き渡らせると、エルミスもまたお気に入りの革手袋を嵌め、伸びた髪を結うゴムをきつく締め直していた。
その表情は何処か暗く、冷凍睡眠による帰郷が失敗に終わったという現実感を与える事だろう。
「15年前、俺たちが過去へと飛ばされたあの日……地上で何者かによる大規模な攻撃が起こった」
「ワールシュタットは沈み、OSATも壊滅……各国政府も機能してない状態だ」
「リレーアンテナが損傷していた為、HEXAとは連絡が取れなかったが……いい状況は望めないだろう」
ジョシュアから聞いた内容を簡潔に伝え、そしてAIのホーキンスが残してくれた証拠のログを表示。
ワールシュタットが轟沈し、守護者を失ったボストン、アメリカが何者かによって攻撃を受けている事。それに加え宇宙から見た限り、地球上から明かりが消えている事が周知されてゆく。
越境者の中には眠る前に手を握ったきり、姿を消してしまった者も居た。ホーキンスによれば、彼らは襲撃の際にワールシュタットから逃がす為に解凍されたらしい。
回答作業の半ばに、ワールシュタットを行動不能にする程の火力が加えられ、越境者達を起こす兵士も全滅してしまったものと思われる。
「いずれにせよ、実際に地上に行ってみない限り……現状を把握する事は難しいだろうな」
「危険だが、この船に残り続けるよりかは建設的な行動だ」
これからの方針については、とりあえず地球へと降下し安全な場所を確保してから、越境の手段を探るといった形になるだろう。
エルミスがそう締めくくると、付近を探索していたダグラスが帰ってくる。
「ジョシュア、エルミス……君達の言う通り、船内には誰も残っていないようだ」
「妙なのが……遺体が無かった。血痕なども殆ど見当たらない……」
船は中央部から袈裟斬り状態。まるで巨大な水圧カッターで両断されたかのような形で断ち切られているが、それ以外には目立った損傷はないようで。
全長4kmにも及ぶ巨大な船体が幸いしたのだろう。融合ジェネレーターのある後部船体、越境者の居るこの区画は特にダメージが少なく、15年もの間自壊せずに済んでいたようだ。
内部は惨状であることが予想されたが、多少の弾痕やバリケードが形成されている以外には別段争った形跡もなく、生存者が居ないことが不自然であるほど状態が良かった。
そこへジョシュアからの無線が入る。
『俺だ。ちょっくら周りを見てきたが、この区画は気密状態が保たれてるみてェだ』
『船が崩れるような兆しも見られなかった。こっちまで歩いて来れそォだ』
『宇宙服やらの装備はいらねェから、荷物だけ持ってこっちまで来てくれ』
淡々とした必要最低限の報告。その口調からは落胆や絶望は微塵も感じられない。
ジョシュアは越境者を起こして回ると、足早にアーマーを纏い、「ドロップポッドまでの道を確保する」と言い残して出て行ったきりだった。
しかしこの手段を提案したのは彼だ。一連の行動に対して無責任になっている訳ではない。
ただ自分が折れれば、この現実を受け入れられなかった越境者達の士気まで引きずることになってしまう。
それだけに感情を漏らしてしまっても平気なよう、彼らから離れることが得策だったのだろう。
強く推されることでもなければ、ジョシュアは誰も連れずに一人でドロップポッドへと向かっている筈だ。
だが悔しさを感じていないのかといえばそうではなく、彼もまた思うところがあったのは確かなようだ。
越境者が目覚めた時、冷凍睡眠室に備え付けられた大型デスクが引っこ抜かれ、分厚い鋼鉄の防壁が拳型に凹んでいたのだから。
ともあれジョシュアの言葉通り、部屋を出れば配備室まで100mほど、重力のない船内を壁伝いに移動することができるだろう。
酸素もあれば壁も綺麗なままで、あちこち電源が落ちていることを除けばほぼ完璧な状態だ。
配備室へと辿り着けば、そこは大きな空間であり、繭のような機械がぞろりと並んだそこに、ぽつんとジョシュアが立っていることだろう。
「そろそろ目ェ覚めたか?この人数ならポッドは一つで足りるから……そのまま入ってくれ」
そう言って制御盤の方へと歩いて行くジョシュアの目元は、少しだけ赤く泣き腫らしていた。
304
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/25(土) 22:08:38 ID:???
>>303
「やってて良かった、フォールアウト4」
水玉の寝間着姿のソーマタージは、被っていたナイトキャップを放り捨て、腹をポリポリと掻きながら皮肉げに肩を竦める。
支給された装備──預けておいたコートなどの衣類も含む──を手に取り着替えて装着すれば、垂れ掛かる前髪を掻き上げて状況確認。
「インディペンデンス・デイか、Local58みたいな事になったか……。
年寄りの歯に賭けて、俺達は孤立無援救援皆無孤軍奮闘の状況になったってワケだ」
ログに目を通し鼻を鳴らす。国家間の紛争ならば、あそこまで暗くなるわけがない。
最終戦争ならその可能性も十分にあるだろうが、それならこんな船を飛ばす事も、中途半端に破壊する事も無いだろう。
よって、外宇宙からの天敵か、思いもよらぬ何かの侵攻を受けたとソーマタージは判断した。
「死体が消えたってのか?骨片はどうだ、俺のいた国のカルトは、デカい電子レンジみたいなので抹消してたゾ」
ダグラスの報告に眉をひそめ、口元を手で押さえて考える。喰われたならその痕跡も残るはず。
敵の能力を纏めれば、発達した偉大な合衆国を壊滅させ、人の痕跡をこの世から消し去る事が可能という事になる。
ともあれ、考えるのは後だ。ジョシュアからの連絡を受け、今は動く時。
引き締めた表情に反し、水中を泳ぐかの如き軽やかな動き。しめやかに配備室へと向かった。
「エーと……一人用じゃないよな?ブロリーとかは?」
「───眼、擦ったろ。良くないな、そういうのは。角膜を痛める」
305
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/25(土) 22:11:24 ID:???
>>303
「……じゃあ、ニアはもう18歳?」
「合法的にお酒が飲めるってんですね……」
いいえ、違法です
ともあれ混乱気味の頭を回転させる為に一度落ち着くニア
装備は細身の剣、導きの月の光程度で後は真紅のバトルスーツの上に纏う衣服
ジョシュアに着いて行くことを提案したが、全身と、それと異能の確認を優先するようにでも言われたのであろう
拳大に凹む防壁に折り畳んだ手の甲を合わせて吐息、長い年月に刹那想いを馳せる
そうしたならば指示に従い移動、ポッドへの搭乗を済ませるであろう
「……」
掛ける言葉が見当たらない、きっとまだ脳の活性化が完了していないのであろう
306
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/25(土) 22:13:40 ID:???
>>303
アキレス「ど・・・どうしよう」
―――ギィ!!
全てを聞かされ 出てきた言葉はこれだけだった
あの日 どうにかしてミスカの運命を捻じ曲げるために冷凍催眠の装置に入った
それがこんな結果になろうとは思いもよらなかった
アキレス「そ そうだ この世界のジョッシュは? どうなったんだ!?」
この艦に保護されて越境者としてのキャリアが始まったジョシュアであったが
こんな状態になって 果たしてジョシュアは無事なのだろうか?
とりあえず先に行くジョシュアに続き 荷物を受け取ったアキレスがドロップポッドへと向かう
重力のない道は進むのは難儀であったが どうにかたどり着く
アキレス「それで・・・これからどうしよう」
と 目元の赤さには言及せず質問した
307
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/25(土) 22:16:41 ID:???
>>303
「…何がどうなっているのやら」
試してはいないがおそらく様々な『縁』は途切れたな、と青年は周囲の状況から推察する。
やっと歩調を合わせて歩き出そうとした幸先がこれとは中々な歓迎である。
漆黒のSF風コンバットスーツを着込み、
サブマシンガンの様なモノを携行して、青年はポッドへと向かう。
「目覚めの握手、といった雰囲気ではないですね。
とは言え考えるよりも今は動きましょう。判断材料がなさ過ぎます」
308
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 22:24:04 ID:???
「目覚めとしては最悪の類だな」
≪0001111010101≫
銀河帝国とコンタクトを取ろうにも現状は無理のようだ。
まあ、15年程度誤差の範囲ではあるのだが、
(元の時間軸に戻ることを前提にするか…越境理論的には可能なはずだが)
ワールドタイムゲートを使うか?とも考えるがこうも地球上が荒廃すると場所がワカラン。
少なくとも過去と異なりこの未来とやらとは因果が薄すぎる。ゲートさえ見つかれば…だが。
「まあ、状況把握からだな」
イムカは将校である。ゆえジョシュアの状態や様々な懸念は十分に思考を走らせていたが、
それよりもリソースを割くべき優先事項に考えは過る。
309
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/25(土) 22:38:12 ID:???
>>304
「死体どころか、生物のパーツすら存在しなかった……まるきり消えてしまったかのように」
「…………何のことだか分からねェな」
肉や内臓はおろか、骨や髪などの腐敗しない部位も残っていない。これは喰われたのではなく、消えたと許容する方が正しいだろう。
船内に何者かが攻め込んで兵士を壊滅させたのなら、これだけの損傷で済む理由がないからだ。
ジョシュアはソーマの言葉に素っ気なく返すと、さっさと乗り込むように促した。半日もすればいつもの彼に戻れるだろう。今は時間が必要だ。
ともあれ10人乗りの兵員輸送ポッドは対空砲すら防ぐシールドに守られており、人間一人に潰されて投げられる程にヤワでないことは確かだ。
>>305-306
「お前ら、さっさと乗れ。俺が地上まで送ってやる」
ポッドの設定に集中するジョシュア。しかし内心ではニアやアキレスの気遣いに感謝していた。
今は彼も慰めの言葉を求めてなどいない。余計に惨めになるだけだからだ。
「何を勘違いしてるか知らねェが……この世界は、俺たちの居た世界だぞ、アキレス」
戸惑うアキレスに対し、ジョシュアは装置を見つめたまま小さく呟く。
ミスカとの離別とハイプリエステスの出現、29世紀への越境とナノマシンの急激な発展。
これまでに起こったことの全てが、ジョシュアらの居た世界で起こった不可思議な現象の裏付けになっている。
故にジョシュアはエリッタから去る頃には気付いていた。あの過去も、未来も、すべては一つの時間軸で繋がっていると。
地球がこの有様になったのが、ワールシュタットが沈んだのが、主力の越境者たちが消えたからだとしたら……
>>ALL
「じゃ、降ろすぞ……」
慣れた手つきでポッドの降下シークエンスを起動する。どうやらこれはワールシュタットが地球に来てから、一度も使われることなく放置されていたらしい。
海上に浮かんでいたので当然といえば当然だが、それ故にジョシュアの居た代から、何も変わっていないのが救いとなったようだ。
スムーズに準備は完了し、ポッドは固定アームから切り離され、マスドライバーへと運ばれてゆく。
ポッドは750mもの砲身内を徐々に加速してゆき、最終的には時速5700km、すなわち秒速1マイル程まで加速した状態で射出される。
凄まじい速度ではあるが、宇宙では信じられないほどに静かなものだ。これは慣性蓄積コンバーターの賜物であり、加速時のGもほとんど感じられないだろう。
ここはほぼ宇宙空間だが、それでも僅かに大気が存在している。そのため既に断熱圧縮が起こり、ポッドの外殻は赤く発熱している。
ゆっくりと地表が近づいてくるにつれて、徐々にガタガタと機体が揺れ始めるだろう。空気を圧縮しながらポッドが減速しているのだ。
ここまでは何もトラブルなどなく、航行は順調だ。
雲を突っ切った時、焦土と化したボストンを目にするまでは。
310
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/25(土) 22:45:03 ID:???
>>309
「嗚呼これ、地上はモヒカンと刺肩パッドとミュータントで溢れてるやつだ。
よかったですねソーマタージさんシミュレーションばっちりじゃないですか(棒」
フルフェイスのコンバットスーツなので表情全く見えないけど、
白目向いて何かほざく青年。
311
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/25(土) 22:46:54 ID:???
>>309
「何かを喰う時、痕跡は残るものだ。体液、骨、消化出来ないパーツ……。少なくとも、人間食べ食べお化けの線は消えたな」
安心出来るかは分からないが、そこは確かだ。
ポッドに窮屈そうに入れば、険しい顔で敵の事を考える。何か異様な存在を前にして、こちらは何の対策も出来ていないに等しい。
「考えても仕方ない。寝るか」
「オイオイオイ、マジでハルマゲドンでも起きたか?」
カタカタと揺れる内部。チラリと窓の外に視線をやり、ガタリと体勢を崩して近寄った。
元々戦争の良く起きてる世界だったが、ボストンまでこうなっているとは。本格的に面倒な事になったらしい。
「……ボトルシップ、あの時壊さなくてもどの道壊されてたな」
312
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 22:50:20 ID:???
>>309
(元の帰還手段の想定は現在2パターン…状況を確認次第、どう動くか方策を決めるか)
降下ポットで降りるに至り、イムカは思案に時間を費やしていた。
そしてポッドで地表に降りる前に確認。
「水、食料、サバイバルキットは十分か?私の自前のエネルギーグリスも量はそれほどないのでな」
地球がワケのワカラン状態になっている以上、現地調達を念頭に突入などと希望的観測はいだけないというものだ。
飲まず食わずで永久に過ごせるほど、体内システムを自前で完結させた覚えはない。
「15年か。OSATには私が鍛えた部下もいるのでな。救ってやらねばなるまい」
そして、ニュクスも概ねロクな事になってはいないと容易に想像がつく。
無事ならばよし。最悪は…その時は覚悟せねばならないだろう。
「この15年後とやらを可能性(パラレル)世界とした上での帰還を模索する。基本方針はそれでいくか」
そうつぶやいたのは無感情な目で荒廃したボストンを目にした時だ。
313
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/25(土) 22:56:38 ID:???
>>309
アキレス「え? あ うん」
言葉少なくポッドに乗り込む
ここが 自分たちの知る世界?
もしも越境者が来なかったからだったとしたら
それは本来いるべきでない自分たちがいたからだとしたら・・・
そしたらこの原因h
―――ギィ!!
気が付いたらベティが膝の上でチ□ルチョコを差し出していた
元気出せ と言わんばかりに
アキレス「・・・ありがとう でも多分賞味期限切れだからポイしなさい」
久しぶりに笑みを漏らす しかし多分15年前のチョコはノーサンキュー
アキレス「誰か生存者がいればいいけど・・・」
壊滅したボストンを睨み そうつぶやいた
314
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/25(土) 23:02:32 ID:???
>>ALL
「これは……!」
シートからキャノピーに身を寄せて外の様子を伺うソーマと同じく、エルミスも驚いた表情を浮かべていた。
立ち並んでいたビルは崩壊し、辺りは黒く焼け焦げた破滅の土地となり、湾には軍艦の残骸が突き刺さっていた。
「何を驚いてやがんだ、予想はついてたろ」
「生存者は居るだろうが、友好的かな……怪しいモンだ」
そんな彼らに対し、ジョシュアはくぐもった低い声で皮肉を漏らす。
OSATの生き残りも居ればいいが、この状況では組織だって行動しているとは言えないだろう。
減速のスラスターの音にそれも掻き消され、すぐさまポッドは地表に降りることとなる。
四点式シートベルトのロックが外れ、ようやくシートから立ち上がることができるようになるだろう。
ジョシュアは席から立ち上がるなり銃を手に取り、越境者たちの尻を叩いてポッドから追い出した。
ちなみにベティがくれたチョコはちゃっかり食べた。
冷凍庫に置き去りになった数年モノのチョコのように時間が経ってカサカサの甘さ控えめ。ジョシュアの好物だ。
「降りろ!行け!ボサッとすんな!」
越境者を追い出せば自身もポッドから飛び降り、近くの岩場に身を隠して銃を構えながら辺りを見回す。
待ち伏せなどは確認できない。周囲の安全を確保すると、ジョシュアは胸の無線機に手を当て、越境者ら全員に話しかける。
「見えたか?降下の時に双眼鏡かなんかでポッドを見てるヤツが居た」
「東の方だ。1kmもない……5分以内に接触するぞ」
「BBの言うよォな、モヒカン野郎どもじゃなけりゃ良いが……」
降下経験の長いジョシュアが、レンズの反射を上空から確認したらしい。
優れた観察能力があればジョシュアと同じく気付けているだろうが、その勢力の詳細までは不明だ。
レーダー波を当てられた警告が出なかったので、それほど大規模な勢力でないことは確かだろう。
ジョシュアの読みは正しく、直ぐに野太いV6エンジンの排気音が近づいてくる。
315
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 23:02:33 ID:???
>>313
「……スカル」
≪000111010101≫
ステイシス圧縮フィールドと展開し、いくつかキャンディが宙から転がった。
「飴をやろう」
いちごキャンディをアキレスとベティちゃんにおすそわけ。
「あまり気負うな。何とかの考え休むに似たりだ」
励ましているのかけなしているのかビミョーないつものイムカの語り口である。んでもって、
「私が必ず何とかしてやる。だから案ずるだけ無駄というものだ」
相も変わらず何処からやってくるその傲岸不遜な自信は、であった。
316
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/25(土) 23:04:53 ID:???
【追記】
食糧や弾薬は万全ではないが、多くを兵員配備室のロッカーから調達できた。
4日程度であれば節制を必要とせずに行動が可能だ。
317
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 23:08:02 ID:???
>>314
「ふむ…」
まあ、崩壊した都市など見飽きるくらい見飽きている。
それこそイムカ自身がそれをやったことだって幾度もある。
「モヒカンでも構わん。必要なのは情報だ」
呆れるくらいに不遜なるイムカは、なんと岩場に隠れるでもなく、
見晴らしのいいフィールドのど真ん中で堂々と腕を組む傲慢ポーズで直立。
≪00011110101≫
サーボスカルはあっちゃーというようなジェスチャーでマニュピレイターをふりふり。
「こそこそするのは性に合わん。どうせ見つかっているのだ。正面から正体なり顔なり拝んでやる」
【気おくれゼロ、悲観ゼロ、政治将校たるもの部下(?)に堂々とした背中を見せねばならぬのだ!】
318
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/25(土) 23:10:34 ID:???
>>315
アキレス「あ・・・えと ありがとう」
こんな時でもイムカはイムカだった
それが頼もしくて そしておかしかった
いちごあめを口の中に放り込む 心地いい甘さが口いっぱいに広がった
>>314
と 飴のやさしさに包まれていたが時間切れ 地表に降り立つ
ジョシュアに急かされ外に出てみれば 改めて感じる荒廃具合
そしてこちらを捕捉した何者か
ジョシュアと共に近場の瓦礫に身を隠し ショットガンに散弾を詰める
エンジンの排気音に緊張感が高まっていった
319
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/25(土) 23:10:36 ID:???
>>314
「こんなことなら格闘技、もう少し磨いておくべきでしたか…
普段見ない赤い星を見かけたら早めに申告お願いしますね?」
エンジン音に反応し携行武器を構える。
「さて、ヒトを括り付けた車か、玉座が供えられたバギーか…
ここで普通車が出てきたら寧ろそっちの方が脅威な気がしてきました」
現状に振り回されて具合がおかしいことになっている青年。
割と荒廃世界にノリノリである。
320
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/25(土) 23:13:33 ID:???
>>314
「俺ァボストンの防衛システムがどれ程かは知らねーケド、やられる時は呆気なくやられるようなレベルなのか?」
驚いた表情のエルミスに赤い瞳を向け、静かに尋ねた。
万全の状態でこれ程までにやられたというのなら、かなりの考えものだ。マンアフターマンも産まれそうにない。
「分かってるって、今出ようとしてたところだ!けど言われたから出る気なくした!」
せっつかれながら怒鳴り返してポッドから降り立ち、固まった身体をほぐすかのように一度伸びる。
矢張り何も無い。ビルも、申し訳程度の微かな自然も、見慣れた景色全てが崩壊した。記憶の中の故郷の様に。
「……V6のエンジン音……。こんな状態でそんなもん乗ってる奴は、十中八九ロクデナシだ」
景色に視界を奪われていたため、ジョシュアのように降下中に気付く事は出来なかったが、今なら話は別だ。
聴こえてくる排気音に表情を鋭くすれば、腰のブレードに手を添える。いつでも抜刀出来るように。
……ついでに、イムカの後ろに位置取るようにコソコソと後退もする。決して彼女の自信を受けて都合のいい盾にしようとしたわけじゃない。ないったらない。
321
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 23:18:56 ID:???
>>319
「赤い星は見えないが、北斗七星の側に小さく輝く星ならよく見えるぞ」
イムカのつぶやきに何かひゅーっと風が通り過ぎて、
「冗談だ」
と、一言告げたそうな。遠未来的ジョークセンスだ!
>>320
「か弱い淑女を遮蔽物かわりとは何事だ」
≪00001111010101≫
ソーマタージにサーボスカルがぴこたんはんまぁをポコんとせんと振るう。
「V6か…惜しいな。V8だったら宗教になってたやもしれぬ」
イムカの言動は並列思考もあって時々よくわからん方向に飛ぶのだ!!
322
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/25(土) 23:28:55 ID:???
>>ALL
「構えろ、俺の合図で撃て」
近付いてくるエンジン音と共に高まる緊張。無謀な行動に出たイムカに歯噛みしながらも、有事の際に備えつつ銃のセーフティを外す。
仲間の越境者にも銃を構えさせ、イムカが襲われた際にいつでも攻撃できるように備えさせるつもりだろう。
「いや待て、この音は…………このクソ忌々しい音は」
「…………あいつのマスタングだ!」
しかし轟くエンジン音が鮮明になってゆくに従って、ジョシュアの様子も変わっていった。
しまいには彼女とおなじように岩陰から立ち上がり、陽炎を纏いながら遥か遠くから近づく白い車を見つめている始末だ。
それには理由がある。ある者はイタリアで、ある者はGNの酒場でその轟きを聞いた。VR38型エンジンを積んだ白いマスタングの咆哮を。
「ヘイズ!俺だ!ジョシュアだ!」
「おいヘイズ!俺だ…………」
飛び出したジョシュアが、銃を提げてマスタングへと大きく手を振る。
まさかここまで荒廃した世界で弟と再会できるとは。久しぶりに歓喜の表情を浮かべるジョシュアであったが。
後ろに一台のトラックを引き連れ、越境者らの直ぐそばで止まったそれから、降りてきたのはヘイズではない。
マスタングを運転していたのはボロの装備を身に纏ったOSATの兵士であり、後部座席からは白衣の老人が降りてくる。
「これはこれは、驚いた…………」
「今更帰ってくるとはな、越境者」
「……ドク」
アルフレッド・ノーマン・ヨハイム。通称ドク。越境者にしてカノッサ機関系組織『HEXA』の兵器開発部主任である。
15年前はHEXAと越境者のパイプラインとなって、生物兵器ニュクスの世話と経過観察を行なっていた。
彼と会った事のある者なら、記憶よりも随分と老けていることに気がつくだろう。杖をつき、白髪混じりだった禿頭は真っ白に染まっていた。
さて、ドクも周囲の兵士も、まだこちらに危害を加えるつもりはないようだ。
向こうもこちらも求めるものは同じ。一体何があった。一体どうしていたのか。それぞれの経緯とその情報だ。
質疑を行うのであれば、この場が相応しい。15年のブランクを経て、まだあの頃のように背中を預けられるまでの信頼には至っていないのだから。
【越境者たちはこれまで何があったのかを、それぞれの言葉で思い思いに伝えた】
【ニュクスの暴走、15年前への回帰、ミスカの喪失、30年の眠り……】
【ドクに質問を投げかければ、『あの日』から15年で何が変わったのかを、教えてくれるだろう】
323
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/25(土) 23:37:29 ID:???
>>322
ジョシュアの言葉に返事はせず 一つうなづいた そして・・・
アキレス「え? マスタングって・・・」
瓦礫から顔をのぞかせ見つけたそれは
ジョシュアの弟が乗っているというマスタングつまり
アキレス「ちょっとまってジョッシュ・・・って アレ?」
出てきたのは懐かしのOSAT兵士 そして
アキレス「あ ニュクスのアレがナニなおっちゃん」
名前が出てきませんでしたが知った顔
そして15年の月日を感じさせるおっちゃんとの再会
アキレス「さっきの言葉なんだけどさ 越境者って括りだったってことはさ
この世界 越境者はどこ行っちゃったの? いつからいなくなっちゃったの?」
と ドクに質問を投げかけた
324
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/25(土) 23:37:44 ID:???
>>321
「はは、この状況で冗談は程々にお願いしますね」
実際にネタをネタで返されても乾いた笑いしか出ない青年。
ノリノリではあるが割といっぱいいっぱい。
>>322
(とりあえず知り合いのようだし任せよう)
青年はジョシュアにやり取りを任せ周囲を見回す。
まあ何もなかろうが万が一も考えねばならない。
何せ想定外のことばかりが起きている。
昔の友が今も友とは限らない。
悲しい事だがヒトが周囲に気を回すのは自身に余裕が出来て始めて可能なことだ。
極限であろう世界において生半可な優しさは唾棄すべきものと考えている。
325
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/25(土) 23:39:09 ID:???
>>322
(慎重に過ぎるのだよ…全く)
イムカからすればバックアップにこれ程の猛者達が揃っているというのに
何を無駄に恐れる必要があるのか?という論法である。
【要するに自己と自軍への傲岸なまでの自信ゆえの行動というワケだ。
むろん、巻き込まれる方はたまったものではないが、それはいつものイムカであろう】
しかして、接近した何者かは、モヒカンでもヒャッハーでもなかった。
ジョシュアの不肖の弟ではないか。それもHEXAの若造も一緒か。
「久しいな。さて、世間話をする仲でもないから単刀直入に聞く」
イムカはドクに言葉を投げる。
「この有様はニュクスと関係あるのか?あと、ワールド・タイム・ゲートは確保できているか?この二点だ」
冷凍睡眠から目覚めました…ならばぶっちゃけこの世界との因果は希薄もいいところだ。
イムカはそこに賭けている。世界観の時間軸が普遍ならばクルトもジョシュアも自分もとっくに離散済みだ。
326
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/25(土) 23:39:40 ID:???
>>321-322
「だって“何とかしてやる”だの“こそこそするのは性に合わん”だの言うから…」
ピコポンされた頭をさすりながら、イムカには恨めしげな言葉。堂々とした背中を見せろとぶつくさ抗議。
「……あ、ああ………そうだな。ウン、あいつだ」
小首を傾げながらも同調。何であれ、無駄な消耗を避けれるのなら大歓迎。
ジョシュアに続いて岩陰から姿を現し、聞こえてくる音にポンと手を打つ。ようやっと思い出した。
「そう、ヘイズ!それと生意気なガキと、犬………」
「………ちょっと見ない間に、その……かなり老けたな?ガキももう…成長するどころか性転換してんじゃん」
ジョシュアが手を振り名前を呼ぶのと同時に、記憶の単語を飛び出させる!
───あまりにも違いすぎたが、何分先程まで忘れてたのでイマイチ自信がない。失礼だし。
「ヒーローは、遅れて現れるものサ」
気を取り直して咳払い。シニカルに鼻で笑って両手を軽く広げる仕草。
攻撃するつもりが無いのなら、こちらも今のところは大人しくする。共倒れは御免だ。
「話せば長くなる。詳しくは他のヤツのを読め───」
滔々と語るのは、ニュクスという少女の見舞いに行ってからの事。
様々な出来事を、出来るだけ正確に、客観的に、見たままに告げる。これで信頼に足るかは分からないが。
「───とまあ、こんなところだ。 そっちの状況は?それと…煙草吸っていいかね」
327
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/26(日) 00:05:13 ID:???
>>ALL
「……事情は、分かった」
「では次は…………此方の番だな、この15年……私は……私達は」
>>323
「15年前、ニュクスの暴走の直後に……侵攻が起きた」
「我々は力を合わせて戦ったが、最後には敗走したのだ」
「越境者の殆どが死亡し、僅かな生き残りも捕らえられ、ラボ送りになっている」
突如始まった侵攻に対し、越境者は負けた。ジョシュアを始めロイやアキレスなど主力の越境者の不在は、戦局に大きな影響を与えたようだ。
越境者は無残に殺されてゆき、特に優れた能力を持つ者たちは捕らえられ、実験動物にされている。
「おい、待てよ……ヘイズは、遥歩は……」
その言葉を聞くなり、ジョシュアはドクに詰め寄った。
マスタングはあれどヘイズは不在。相棒のレックスやナルも居ないとなれば、考えられる可能性は……
「殺された」
返された短い言葉に、ジョシュアは口を開けたまま呆然としていた。
それから数歩後ずさると、両膝をついて銃を取り落す。
>>325
「無い。我々の技術では過去への回帰は果たせなかった」
「君たちの様に偶発的なゲートの発生を待つ他は無いだろう」
ドクは破滅以前の世界へと飛んで、これをもたらした存在を消そうとした。
しかし越境現象はコントロールが効かないものであり、ドクだけの力ではどうにもならなかったのだ。
加えて越境者は虐殺の憂き目に遭い、越境現象のサンプルもなく、別世界からの援軍もない。
つまり手詰まりの状況が、15年以上も続いていたということになる。
「この惨状は……ニュクスが、いや……あの子を用いた生物兵器が起こしたものだ」
「奴は生命を跡形も残さず喰らい、エネルギーを吸収し無限に成長している」
「コードネームは……『アリス』」
「止める手立ては無い」
そしてこの凄惨たる光景を作り出したのは、他でもないニュクス自身であった。
詳しくは語らないまでも、そのコードネームを知っているという辺り、この事件にはHEXAが絡んでいることを匂わせている。
>>326
「あの時、共に戦ってくれていれば……未然に防げたかもしれんぞ」
15年前、カノッサも『眼』も越境者もOSATもHEXAも、皆が力を合わせてアリスと戦った。
しかし力及ばず破れ、こうして破滅が訪れている。
「思う存分吸ってくれ、地球上に生育するタバコ葉は……もうない」
「これが"状況"だ」
アリスはこれまでに世界中で生命を喰らい続け、北アメリカではあらゆる動物を始め木々や草花までもが絶滅した。
タバコもストックが無くなれば終わり。地球上に現存する植物や作物は、アリスからひた隠しにされる一部のものだけだ。
皮肉にも人間食べ食べお化けは実在しているようだ。それも血肉を撒き散らし臓物を散らかすよりも悪質なものだが。
つまりはジョシュアが見境なく人間を襲って回っているようなものだ。
>>324
ドクは越境者たちに通常の時間軸(普段のロールが行われている時間軸)からこの破滅の未来の間に何が会ったのかを聞かせた。
質問はせずに聞き入っていたBBも、その話に耳を傾ければ何が起きたのかは察しがつくだろう。
>>ALL
世界は現在進行形で破滅しており、あと半年もあれば地球上の生命の90%は消える。
ドクや兵士たちのような『残りカス』も一掃されてしまうだろう。
そうなればタイムゲート越境はおろか、そこまで生きていられるかすら怪しいものである。
328
:
ソーマタージ
◆P2bEA4mHeU
:2019/05/26(日) 00:18:25 ID:???
>>327
聞かされた状況は、想像よりずっと悪いものだった。世界の破滅とは、矢張りこういうものか。
一切の希望を捨てざるを得ない終末。カーテンは思っていたよりも乱暴に、滅茶苦茶に閉められた。ランダム越境まで生きていられるかどうか。
「ヒーローは気まぐれで大切な時に来なくて、そして身体は一つしかないのさ」
ありがとよ。なんて形ばかりの例を言えば、懐から取り出したのは冷凍睡眠前にいただいていたよくある煙草。
火を点け、溜め息と混じって口から飛び出し、漂う紫煙を眺めて思う。思考は冴えていき、どうしようもない事態という現実が先程以上に重くのしかかってきた。
生命を吸い上げて消滅させる───その話を受け、チラリとジョシュアの方に視線を向けた。彼のナノマシンと同じようなものか。
「大体分かった。……この世界線は、無かった事にしよう」
吸い殻を放り捨てるとあっけらかんと言い放つ。反応次第によっては肩を落とし、失望したような溜め息を吐くだろう。
「……ジョークだよ。 それはさておき、かなり拙い状況なのは分かった。
そして生憎だが、こちらは住所不定年齢不詳職業自称傭兵アーティスト政治将校頭蓋骨勇者のソーマタージとクールファイブだ。介錯以外でお役に立てるかどうか」
329
:
ニア・シューペリオリティ
:2019/05/26(日) 00:18:30 ID:???
>>327
「アリス」
その名を反芻し呟くニア
多くの衝撃に襲われたし、その中でも全くもってトラウマを抉る単語である
「……むぅっ……」
「……取り敢えず、流れるように逃げようとするなってんですっ」
ジョシュアの拳銃を押収すべくにょろりと伸ばす触腕一本
……まだ動く、この体と内に秘めた異能は己が意に従順に僕として動いてくれる
ならば絶望をするのは後だ、今はまだ足掻く事が叶うのだから
ニアは途方も無い闇の中、進むべき路を……例えそれが光へ続くそれでないとしても……希望だと信じて歩む
それこそがニアの存在証明なのだ、そうしなければ生きる事に見出す意味は無い
「ドク」
「お前達は何処から来て、何処へ向かう所だったってんですか」
「……ニア達を連れて行く事は出来ますってんでしょうか?」
330
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/26(日) 00:21:11 ID:???
>>327
「なるようになったし、なるようにしかならなかったといったところか」
イムカは考える。さて、いよいよ以ってこれは根から絶たねばならぬ案件となった。
それも越境時間軸の適応が為される前にカタを付けねばならぬ時間制限付きだ。
「ネーミングセンスがアレだな。瀟洒さに欠ける。HEXAのボスあたりがやらかしたか?」
悲観するのは阿呆でも出来る。あくまで打開策にのみ尽力すべきであろう。
「起こるかもわからぬランダム越境など頼れん。最悪は完全にこの時間軸が固定されかねん。
あくまで安定したワールド・タイム・ゲートによる帰還、あるいはそれに類似する事象によるものでなければならん」
手塩にかけて育てた部下がほぼ全滅だと?それもイムカが居らぬ間に?
そんなのは断固拒否である。上官として万難を排してでも馬鹿共を救わねば。そして――
(ニュクスが敵になるか。ならば、仕方あるまいな)
イムカは一度だけ深呼吸をして、
「戦略(プラン)を考えなければな。何かあるかドグ?」
ささやかながら手駒は増えた。そして、何もかもが飲み込まれる中、ただ眺めている性格か?とドグに問う。
帰還するにしても少なからずこの世界の脅威と接触してしまう方が早い。ならば――
「〝敵〟なら〝殺せ〟だ」
331
:
かぶり
◆IqwQDoqGqI
:2019/05/26(日) 00:24:41 ID:???
>>327
アキレス「そう・・・か オッサンやジョージ達 無事なのかな」
たくさんの越境者が死んだり捕まったりしたらしい
ひょっとしたら 彼等もまた・・・
アキレス「ダメだダメだ 弱気になっちゃ」
―――ギィ!!
頭を振って雑念を追い払う ベティもその意気だと言わんばかりにハサミを振り上げた
アキレス「それで 久々の越境者のご登場だ これを機に何か変えることができるか?」
と続けて質問した
332
:
BB
◆AaNrqSY5ys
:2019/05/26(日) 00:25:47 ID:???
>>327
「…」
思った以上に世界終わってるな、というのが素直な感想だった。
過去にせよ未来にせよ何者かの意図を感じつつ此処まで流れに身を任せたが…
「しかし結局は前に進むしかない、か」
問題は進み方が皆目見当つかない点だ。
現状では蜘蛛の糸ほどの光明も見いだせないのだが…
333
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/26(日) 00:46:31 ID:???
>>ALL
「鋭いな、首謀者は司令官のオメガ・インフェリオリティ……」
「前々から散々アーティファクトを集め、それをニュクスに摂取させていた女だ」
イムカの指摘に頷きながら、ドクはHEXAエージェントの殆どが司令官から離反したことを告げる。
しかし中にはその思想に同調したもの、生命や金品などの報酬や保身のため、司令官側についたものなど、一枚岩とは行かなかったようだ。
そして離反した者の殆どは殺され、今幹部で生き残っているのは、ドクを含めて二人だけだ。
「君達を過去へと越境させるための設備を作ってやってもいい」
「しかしその為には、この世界の破滅を防がなくてはならないだろう」
「だが正直言って、君達を助けるには、設備も何もかもが足りない」
「本社もワールシュタットも壊滅したことだし、敵の要塞でも奪えれば良いが……」
越境者の登場により、反乱軍は大いに戦局を変える事ができるだろう。
ドクはその報酬として過去への越境を可能にする技術を開発することを約束した。
しかしその為には設備が必要であり、それを手に入れ開発を続ける為にも、どちらにせよ越境者はオメガおよびアリスを倒す必要がある。
「この近くに教会を改装したキャンプがある。とりあえずは其処へ帰るつもりだ」
何処から来て、何処へ帰るのか。マスタングに乗り込みながら、ニアの質問にドクは答える。
キャンプ・トリニティ。その名前の通りトリニティ教会を要塞化した隠れ家を本拠地にしているのだとか。
334
:
流星
◆4J0Z/LKX/o
:2019/05/26(日) 00:47:02 ID:???
「其処で合わせたい人も居るしな」
「老い、越境の力は失ったが……それでも君たちの友だ」
「トラックに乗れ、トリニティまで送ろう――」
ドクはそこで彼ら越境者に合わせたい人間がいると伝えた。なんでも反乱軍の指揮を執っている、いわば司令官なのだとか。
同時にその人物がいなければ、ドク諸共全ての戦力が屠られ、反撃の手立てが無くなっていたことも。
その司令官に合わせたいと進言するドクであったが、その言葉を遮るようにグレネードランチャーの曲射が何度か降り注いだ。スモークだ。
「ッ……敵か!?」
「おいドク、あれがアリスか?」
「違う、あれは……」
ニアの触手が届くより先、取り落とした銃を拾い上げて構えるジョシュア。
弟が死んだと聞かされ茫然自失としていたとはいえ、腐っても兵士である。そこらの切り替えはまだ出来ている。まだ。
煙の中、隊列を組みながら歩いてくる5体の人影。全く乱れない歩調のままスモークを突っ切り、其処から現れた姿は。
人のようでいてどこか異形のような人間離れした印象を漂わせる、白い仮面を付けた女の集団であった。
「SCRAMBLERだ」
ジョシュアの問いに否定の言葉。ドクは冷や汗を浮かべながらそう告げた。
スクランブラーとは異能妨害装置を持ち圧倒的な火力を誇る、異能を殺す為に作られた越境兵器。
ハイプリエステスに痛手を与え、あのロイ・ゴールドマンをして越境者など要らないのではないかと言わしめた殺戮機械である。
170cm程の、兵器としては小柄な体躯。あんな少女がそうだと言うのか。
335
:
イムカ・グリムナー【最善への希求】
:2019/05/26(日) 00:56:07 ID:???
>>333
「予想の範疇だよ。色々な筋道が全部ご破算だがな」
OSATを教練したのも私兵化とHEXAとの交渉材料にしようという狙い。
企業連介入戦争で活躍したのもこの世界での名声を得るため。
全ての種は芽を出す事無く根こそぎに断たれてしまった。が、まだ手遅れではない。
「人工的なワールド・タイム・ゲートなりがあれば助かる。が、施設がいるのだな。道理だ」
少しは勝利条件とそれに至るまでのプロセスが出来て来たか。
とにもかくにも拠点は必要だ。案内されるとしよう。
「――大尉、腹を括っておけ」
展開によっては元上官を、そしてニュクスを殺すことになる。
(何――慣れたものさ)
握りすぎた手から血が滴っていたが…さしたる問題ではなかった。
>>328-332
「蜘蛛の糸どころの細さじゃあないが、一応のプロセスは出来たな」
敵施設の奪取→既定時間軸への帰還。その間に世界崩壊級のドンパチと交戦可能性あり。
「事の他、単純だ。解りやすくていい」
ホントーにこの政治将校の不遜な自信は何処から湧いている、であった。
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