財前時子「マラソンで四位の人を追い抜いた」 - 1740266382

1：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:19:42 ID:Xt1l6ozE: 時子「さて、貴方は何位かしら」

卯月「えっ、三位じゃないんですか？」

未央「三位でしょ！」

凛「三位だと思うけど……」

時子「……貴方の答えは？」

武内P「……四位の人を追い抜いたということは、つまり四位になることです」

未央「ギャハハハ！　なに言ってんのプロデューサー！」

卯月「み、未央ちゃん、お葬式の場で騒いじゃダメですよ！」

凛「そうだよ」

未央「あ……ゴメンナサイ」

時子「……」

武内P「財前時子さん……このたびはお悔やみ申し上げます」

時子「主人の許しも得ずにこの世を去るとは、あの豚は相当躾が足りなかったようね」
2：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:20:31 ID:Xt1l6ozE: 時子「貴方、亡くなったあの豚――私のプロデューサーと仲が良かったそうね。よく飲みに行っていたと聞いているわ」

武内P「ええ、彼はよく、誇らしげに財前さんのことを語っていました。聖歌隊に所属していたおかげで歌唱力は抜群、ダンスもキレがいいと」

時子「ふん、あの豚らしいつまらない寸評ね。私が一流の人間であることなど当たり前のことなのに」

時子「それで？　貴方が私の新しいプロデューサーになるのかしら？」

武内P「暫定的にはそうなります。今は財前さんの新しい担当プロデューサーをプロダクション内で決めているところです」

武内P「話がまとまるまでは、私が財前さんのプロデューサーです」

時子「そう。それじゃ、しばらく私の仕事はすべてキャンセルしておいて頂戴」

武内P「お休みをとられるということですか？」

時子「そうね。少し時間が欲しいの」

武内P「何のための時間ですか？」

時子「アイドルを続けるかどうかを考える時間よ」

武内P（意思決定に時間をかけるタイプではないと思っていましたが……）

武内P「……わかりました。ゆっくりお過ごしください」

時子「頼むわね。それじゃ」

（時子様が立ち去る音葉）
3：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:21:19 ID:Xt1l6ozE: 数週間後……とある墓地

時子（墓参りなどしてもプロデューサーは帰ってこない。けれど私はまたここに来てしまった……）

武内P「おや財前さん、奇遇ですね」

時子「なぜ貴方がここにいるのよ。いえ、よく飲みに行っていた友人の墓参りに来ても不思議ではないか……」

（武内Pが線香を上げる音葉）

武内P「……車での帰宅中に飲酒運転の乗用車に追突されて死亡……彼は一言も一文字も残せずいなくなってしまいました」

時子「でも奇跡的に顔への損傷はなかった。葬儀の時に見たけれど、あの豚は眠っているような顔つきだった……」

武内P「それで、決まりましたか？　アイドルを今後も続けるかどうか」

時子「あの豚が初めて私をスカウトしに来たときはただの冗談としか思えなかった」

時子「けれども実際にやってみたらアイドルはそれなりに楽しかった。歌もダンスも演技も。続けていくうちに仲間もできた。得られるものはそこそこにあった……」

時子「だけど、今回のようにアイドルをやっていて失うものもある。私は……」

武内P「私もこんな形で友人を失うのは辛いです」

武内P「しかし、いなくなった彼のために私たちができることといえば、彼の死を絶望視しないこと、ネガティブに捉えすぎないことではないでしょうか」

武内P「なにをやっても彼は戻ってこない。その代わり彼が生きていたこと、彼の生を私たちが彩っていたこと、私たちの生を彼が充実させていたことを肯定することはできる」

時子「……」

武内P「とはいっても、それはそれで難しい行いです。私も、なにをしたらいいのか決められないでいる……」

武内P「ですが財前さん、一流の貴女ならできるのでは？」

時子「……」

武内P「亡くなった彼も、財前さんが一流であり続けることを望んでいるはずです」

時子「まったくどいつもこいつも……」

時子「……だいぶ時間が経ったけれど、私の新しいプロデューサーは決まったのかしら？」

武内P「やっと適任者が見つかりました。もうじき業務の引き継ぎが済みます」

時子「急いでやって。私はそのあいだ練習でもしているわ」

武内P「練習？」

時子「豚を躾ける練習よ」
4：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:21:37 ID:zLRQTK2Y: 武内P久々に見た
5：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:22:31 ID:Xt1l6ozE: さらに数日後……

スマホ「ヴヴヴヴ……」

時子（メール？　武内暫定プロデューサーからだわ）

メール「財前さん、お疲れ様です。財前さんの新任プロデューサーが決まりました。つきましては顔合わせを行いたいと思います。お暇な日時をお知らせください」

時子「……」
6：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:23:19 ID:SGXZvINA: うるせーよオイ！
7：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:23:26 ID:Xt1l6ozE: かくして……

武内P「財前さん、こちらが新しいプロデューサーとなるお方です」

ニューP「君が財前時子んだな。すぐに仕事に行こう。君が休んでいたぶん仕事が溜まっているんだ」

時子「早速躾が必要なようね。私を呼ぶときは時子様と呼びなさい。それと、私からの命令にはすべて肯定で答えること」

ニューP「わかったぜ、時子様。さあ、仕事に行こう」

時子「その前に質問に答えなさい。マラソンで四位の人を追い抜いた。さて、貴方は何位かしら？」

ニューP「クイズなんてやってる暇はないぜ」

時子「私が命令しているのだけれど？」

ニューP「わかったよ。答えは四位に決まってるぜ」

時子「ほう？　理由を説明できるかしら」

ニューP「オレが四位の人を追い抜いたということは、オレは四位の人の後ろ、つまり五位を走っていたことになる」

ニューP「そのオレが四位を追い抜けば、追い抜かれた四位は五位になり、オレは四位になる。これでいいか？」

時子「成る程ね。及第点をあげておくわ」

ニューP「じゃ、仕事に行くぞ。午前中にオーディション、午後にグラビア撮影があるんだぜ」

時子「オーディション？　何の資料ももらっていないわ」

ニューP「渡すから移動中に読め。立ち止まってる暇はねえ。前進、前進、前進だ」

時子「……躾け甲斐のありそうな豚ね」

武内P「がんばってください、財前さん」

時子「貴方にも世話になったわね。今度何かお礼をするわ」

武内P「いえ、お気になさらず」

時子「私が気にするのよ。じゃあね」

（時子様とニューPが立ち去る音葉）
8：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:24:17 ID:Xt1l6ozE: 移動中、車内

時子「貴方、それなりに運転がうまいのね」

ニューP「親父が車好きでね。お前も一流のドライバーになれと免許が取れるようになった日からすぐに教習所へ叩き込まれたのさ」

時子「例えば飲酒運転の車が突っ込んできたら、かわせるかしら？」

ニューP「それはやってみないとわからんぜ。で、資料は読んだのかい」

時子「読んだわ。くだらないテレビドラマのくだらないヒロイン役のオーディション。よく私にこんな仕事をあてがったわね」

ニューP「そうか？　確かにくだらないジャンルかもしれないが、演出家は時子様好みのヤツのはずだぜ」

時子「主人の好みを把握しているとは、下僕としての資格はあるようね。次からは私がその演出家のどこが好みか考えておくようにしなさい」

ニューP「わかったぜ。じゃあ、オーディション会場に着くまで寝てな」

時子「別に眠くはないわよ」

ニューP「ウソこけ。毎日遅くまでレッスンルームでバチクソレッスンしてるってのあさんや美優さんが心配してたぜ」

時子「……」

ニューP「眠りに落ちなくても、目を閉じて楽にしてるだけでも疲れは取れるぜ。なるべく揺らさないように運転するから休んでな」

時子「……仕方ないわね」

（数十分後）

時子「すぅ……すぅ……」

ニューP「態度はツンツンしてるが寝顔は実にかわいいじゃねぇか。あの世にいっちまった同僚から預かったアイドル、こりゃトップまで連れてかないとバチが当たるぜ」

ニューP「だから、一緒に前に進もうぜ、時子様！」

時子「んん……プロ……デューサー……わ……たし……は……すぅ……すぅ……」

（車が緩やかに加速する音葉）

おしまい
9：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 08:24:54 ID:F3KHqEl2: 優しい世界
10：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 09:45:31 ID:vtRFVbaY: 元ネタ？わからないけどニューPってのは誰なんすかね？
11：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/23(日) 10:29:36 ID:c1dlUCqQ: 語尾が～ぜ。なせいで拓也さんしか想像できねーよ
それはそれとしてみんなも今から転職して時子様の豚に、なろう！！
12：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/02/24(月) 07:24:58 ID:Nk726esY: 時子さんかわいい
13：名前なんか必要ねぇんだよ！：2025/03/10(月) 08:24:38 ID:w8e1XQpU: 武内Pが進次郎みたいな事言ってて草