瑞鶴「ねぇ提督さん、まだ着かないの？」 - 1585751937

50：名前なんか必要ねぇんだよ！：2020/06/28(日) 07:22:21 ID:1VpwIDq6: ……へぇ。提督さんも結構色んな写真撮ってるんだ。

…そういえば、提督さんがよくカメラマンやってたもんね。鎮守府の皆で旅行行った時とか、誰かが改二になった記念の時とか。

…あ。うわ、懐かしい…！これって、鎮守府に来たばっかりの時のじゃん！…あははっ。提督さん、緊張して引きつった顔してる。

…ふふっ、確かにそうね。私もこの写真の時は、すっごく緊張してたっけ。

他の提督さんが、駆逐艦の子を初期艦にしてたのに……提督さんは、空母の私だもんね。

…くすっ。私だって、びっくりしたのよ？艦娘になって初めての配属先が、提督さんの初期艦だったんだもの。…まあ、過去に同じようなことはあったみたいだけどね。

……確かにそうねぇ。大変だったことは、いっぱいあったけど……でも、今日まで頑張ってこれたじゃん。

だから…これからも、頑張って行こうよ。私と、翔鶴姉ぇと…皆で力を合わせて…ねっ♪

…ふふっ♪頑張ろうね、提督さん♡

……ん、なぁに？………ぁ。………もう、こんな時間、かぁ。

………う、うん。……そう、ね。…部屋に戻らないと……ね。

(……………………………………………………………)

(…………………………………まだ、引き返せる)

(まだ……私も、提督さんも、翔鶴姉ぇも…誰も、傷付かずに済む。…今まで通りの生活を、続けられる)

……本当に、それでいいの？

……ぁ。……ごめん、何でもない。ちょっと…考え事、してただけ、だから。

(…………いや。…もう、決めたじゃん、私。)

(このままずっと、身体の内側で恋い焦がれて、どろどろに燃え溶けた想いに焼かれ続けるくらいなら───)

(───全部、吐き出してしまおう。)

…………ねぇ、提督さん。…さっきの話の続き、だけどさ。

……だめ。…明日じゃ、だめ。……今、聞いて欲しいの。

………私ね。今のままの私じゃ…頑張れない。

…ううん。そういう訳じゃ無いの。…そういう意味じゃなくて…もっと、別の理由。

……私…私、ね。…っ……すぅ……はぁ…………

………っ…提督さんのことが…大好きだったの。

提督さんと、鎮守府で一緒に過ごしていくうちに…どんどん、どんどん、提督さんを好きになっていって……

…ホントは、あの決戦の夜に、伝えたかった。…でも、あの時は…それだけの勇気が、私には無かった。

…提督さんとの関係が変わるのが、怖かったから……私が、臆病だったから。

……分かってる。その先は、言わなくても…知ってるよ、提督さん。

…提督さんと翔鶴姉ぇが、『そういう関係』だってこと……分かってる、から。

………その事が分かってからは、私も、ちゃんと身を引こうとしたんだよ？…提督さんと翔鶴姉ぇはお似合いだと思うし…提督さんの義妹としてなら、これからもずっと一緒に居れると思ったから。

……でも、ね。…思い出しちゃったの。

…こうして、昔みたいに提督さんの秘書艦になって…昔みたいに料理を作ったり、一緒に買い物に行ったり、何気ない会話をして毎日を過ごしているうちに……

……私がどれだけ、提督さんのことが大好きだったのか…解っちゃったの。

…だから、これは……私の、わがまま。

……提督さん。…お願い。

………今夜だけ。今夜だけ…私だけを見ていて欲しい。

…翔鶴姉ぇじゃなくて、『私』を、愛して欲しいの。

……そうすれば…提督さんのこと、諦められると思うから。

………ずるいお願いだって、分かってる。だから…提督さんに、選んで欲しい。

もし、受け入れられないなら…私はこのまま、ドアを開けて、部屋に戻る。

それはそれで、気持ちの整理がつくだろうから…私は、それでもいい。…明日はちょっと、酷い顔してるかもしれないけどね。

でも……もしも、もしも私を、受け入れてくれるなら…

…………何も言わずに、抱き締めてくれる？