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【SS?】咲さんが病んだらドスケベになるという風潮【咲京】

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:34:28 NVBZBYxk
基本咲京で、ちょっとずつエロを挟んでお話を進めたいです。
何か不快に感じるような描写があったらすみません。
キャラやカプを貶めるつもりで書くわけではないからゆるして
キャラ崩壊もあると思いますが、広い心で受け止めてください、オナシャス!


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:36:40 T/h9gq.w
頑張れ


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:41:57 NVBZBYxk
夕刻であった。須賀宅の京太郎の私室にて、京太郎と咲が向かい合って沈黙を続けている。
最近、見え隠れし始めていた咲の不穏な表情、見るたびに恐怖と違和感を感じていたそれを
今まさに、はっきりとこちらに向けられ、京太郎は立ち竦んでいた。

「ねえ、京ちゃん…」
「お、おう…どうした」
謎の威圧感を放ち、じわりと迫る咲に身体が勝手に後退りする。
「うわっ…と、へ、へへっ…」
ベッドに脹脛があたり、転びそうになる。後ろ倒れにそこへ座り、なんとか表情を誤魔化そうとする。

夕陽がカーテンに当たり、薄暗い真紅が広がっている。
不気味なほどに赤一色の部屋だからだろうか、京太郎は咲に狂気と恐怖を感じていた。

「京ちゃんは私のこと、本当に好き?」
「あ、……あったり前じゃねえか。何で今更そんなこと…、…!」
咲が背後に潜ませている何かが紅い光をチラチラと反射させているのが目に止まる。

「私、京ちゃんのこと大好きだから、京ちゃんのために色んなことしたよ。
 京ちゃんのを咥えてあげたし、初めてだってあげた。たくさんたくさん…ここに、出したよね?」
まるで胎内に子を孕んでいるかのように愛しそうに下腹部を優しく撫でる。
「ねえ、今更この関係をやめよう、なんて言わないよね?」
京太郎にぼやけたような定まらない視線を送る。

「そ、それは…」
身体がどうしても動かなかった。目の前にいる彼女が愛しいというよりも
深いところにある本能的な恐怖が精神をどす黒く蝕んでいる。
動かないと殺されるかもしれない、頭の中では先ほどから鳴りっぱなしの警鐘が更に響く。
だのに、手の小指一つ動かせない緊張した空気に京太郎の身体が固定されていた。
「…なあ、咲。今のお前にとって、俺はあっちゃいけない要素なんだ」

「何、何なのそれ…今までずっと一緒だったじゃない、どうして、…どうしてなの?」
消え入りそうな声を震わせながら両手で顔を隠し、床に引っ付くように座り込む。


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:43:39 NVBZBYxk
「…ごめん、俺も咲が好きだ。だからこそこんな関係は続けちゃいけない」
「じゃないと、俺もお前もダメになっちまう。それは咲も分かってるだろ?」

「…分からないよ。全然、ぜんぜん分からない」
床を両腕で叩き、操り人形のようにゆっくりと立ち上がり、伏せていた顔を露にする。
涙で濡れていたはずの目は真っ白で感情がないように見えた。
「こんなに好きだって言ってるのに、愛し合ったのに…一緒になれないのはおかしいよね」
忍ばせていた出刃包丁を構え、気づいたときにはもう距離を詰められていた。

「お、おい…咲何のつもりだ」
「もっと早く気づくべきだったなぁ…、こうすればよかったんだ」

「…?……!!!」
腹部を襲う熱く鋭い痛みが走る。咲は深く刺さった出刃を下に押し込み、肉は更に縦に裂けていく。
夥しい量の血が脚を伝い滴り落ち、ベッドを赤く染める。いよいよ身体を支える力も緩まってきた。
「ごめんね、痛いよね…。だけど京ちゃんが悪いんだよ?」

「さ、咲…。俺、は…」
残った力で咲の腕を引っ張り引き寄せる。
「ああ、そ、か…。ごめん、な…。まだ…離れるべきじゃ、なかった…ん…」
抱きしめようとして、フッと力が抜けてベッドに倒れ付す。
視界がどんどんと薄れてくる。京太郎の血で赤く染まった咲がだんだんとぼやける。

「…?……!!………!?………!!!………!!!」
我に帰ったのか、咲が怯え、慌てた表情で何かを叫びながら自分の身体を揺さぶっているのが分かった。
でも、もう遅かった。口を開くことは愚か、その顔を見ることも、触ることもできず、視界が黒く染まっていった。


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:45:20 JwK8yiVU
ちょっとずつて書き溜めしてないってこと?


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:47:15 VGb6JPoM
初っ端から流血沙汰とはたまげたなあ


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:49:06 NVBZBYxk
少しは書き溜めがあるんですけど、全編書き終えてるわけじゃないです。
全部書いてからスレ立てしないとまずかったですかね?


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:51:42 ph76ZIuE
>>7
そんな必要ないです
今までのSSを見る限り
やりたいようにやろう(提案)


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:55:10 JwK8yiVU
>>7
いやごめんね、一気に読めるのかなって思っただけ


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/08(日) 23:57:33 NVBZBYxk
>>8
ありがとナス!
じゃあとりあえず書いてるところまで乗っけてから続き書きますね

>>9
あっ、そっかぁ…。時間が出来たので、できるだけ早く書き上げます。センセンシャル!



けたたましい目覚まし時計のアラームが部屋中に鳴り響く。
「…!咲!?…あれ?確か、俺は」
寝起きでTシャツを捲り上げる。もちろん、怪我などなく
スポーツを嗜む男性らしい適度に割れた腹筋が露になるだけであった。

「あれは夢だったのか…」
携帯を開き、日時を確認する。
狂気に染まった咲に刺された日より数週間も前に時間が遡っている。
「夢だったのか…殺されたのはやっぱ嫌だけど、それ以外は結構いい夢だったなぁ…」

「ま、夢なら夢でよかったよな、俺も刺されないし、咲だって悲しまずに済むし」

「……………とりあえず起きるか」
顔を左右に振って、桃色の妄想を振り払おうとするが、無駄だった。
一旦、それを諦め、窓をあけて、空気を開放すると、まだ春の匂いが残る初夏の爽やかな風が部屋に舞い込んだ。
夢の中で繰り返し見た際どい場面を頭から振り払い、手早く着替え部屋の外へと向かった。

もう5月も半ばだった。咲が入部してからしばらく経ち、少し変わった日常が楽しくなりはじめていた。
今までハンドボールに汗を流していた京太郎にとって、運動や勉強はまったく尋常であり、いつも応援してくれていた咲と立場が逆転している現状が不思議であった。
だがそれよりも、その咲と共に部活に励んでいるという非現実的な現実は、まったく新鮮であり、無意識下で、京太郎の心は踊っていた。


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:02:23 zDLStY3g
肌を刺すような強い日差しを容赦なく降り注がせる太陽が在る空の下で青々とした並木が一陣の風に音を立てる。
いよいよ夏への到来を予告しているような暑さに、面影を残す春は過ぎ去ろうとしていた。

「それにしても年々暑くなってないか?」
汗が滲み出る気候が恨めしく、空を仰ぐ。より一層眩しい陽光が目に映り、手を翳す。

「おはよっ、京ちゃん。……どうしたの?」
背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

幾度も幾度も肌を重ねた記憶、腹部を包丁で刺された確かな痛覚がリフレインする。
それ以前に、恋仲でもない幼馴染を淫夢に見たことの気不味さも相まって、ドクンドクンと動機が耳にまで響いた。

「…京ちゃん、大丈夫?体調悪いなら学校の保健室まで一緒に行こうよ」
咲が前まで回りこんで来て顔を覗き込み、京太郎の表情を確認する。
「あ、ああ…大丈夫だよ。ちょっと、太陽が眩しくてな」
いつもの咲の表情に安堵した。やはりあれは夢だった、と確信して
少しでも咲を疑っていた自分を恥じながら、それを誤魔化した。
「…?くすくすっ、京ちゃんもそんな気障な台詞吐くんだね」

「ああ、悪いかよ」
「ううん、ちょっと新鮮だっただけ」
気を取り直すと、並びながら並木道を歩き出す。

「京ちゃんスタイルも顔も良いからそういうの似合うのかもね」
「なんだよいきなり」

「そう思っただけだよ」
「…そっか」
どう話を切り出せばいいか分からず、黙ったまま二人で歩き出す。
普段より会話が少ない通学路を行き、学校についた。


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:06:37 zDLStY3g
昇降口に辿り着くと、クラスの違う二人が別方向に歩き出そうとする。
「じゃあ、京ちゃん。またお昼ね」
「えっ?」
「レディースランチ食べたいんでしょ?」
「あ…、うーん。そうだなぁ、今日はいいわ」
「えっ、………うん。分かった」
「…?」
一瞬、普段の咲ではないような、得体の知れない違和感を感じた。

「折角気を遣ってくれたのに悪ぃな。今日は先約があってよ」
無意識に口から嘘を放り出る。
兎に角、咲の傍にいることが、理性的にも、生存欲求としても危険だと感じた結果だった。

「うん、それならしょうがないよ、じゃあ放課後ね」
「おう、俺がいなくて寂しいだろうけど、辛抱してくれよな」
「…………うん」
「えっ?おい、咲?」
「…!あ、なっ、もう!何で皆がいる前でそんな事言うかな、京ちゃん!」
「あ、あははは…、ごめんごめん。じゃあ、また後でな」

夢で見たような狂気、それを仄かに感じた気がした。けれど、認めたくはなかった。
あれは現実じゃない、夢だ。夢だったとして、この果てに行き着く先は―――。

想起された夢の最期を何とか思考の外へ追い出し、時計を見るともうHRの直前だった。
「やべっ、急がないと」
雑念を振り払うように勢い良く階段を駆け上がり、教室へと向かった。


13 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:11:41 zDLStY3g
一日中、京太郎は悶々とした妄想が頭から離れず、勉強が手つかなかった。
――尤も、集中できるほど洗練された意識を持っていても居眠りをするだけだが――
あの夢の中では咲が自分の次に…否、自分より大切だったかもしれない。
恋心か、愛情か。今はそれよりも、朝からずっと残っている咲の姿が、
普段とは似ても似つかない自分のそれで乱れる咲の姿が京太郎を前屈みにさせた。

結局、一日中思考に咲の事が付きまとい、そのまま放課後が来てしまった。
「(はぁ…俺って最悪な奴なのかもしれんな)」
思春期特有の性的な妄想―と思い込んだもの―を唯一の幼馴染に向けてしまう自分に自己嫌悪してしまう。

「部活行きたくねえなぁ…」
行ったら必然的に咲と会ってしまう。いやらしい目で見てしまうのは確実であった。
気持ちは後退りし、女々しく休むための言い訳を巡らせていた。

「…でも、結局律儀に来ちゃうんだよな、情けねえ」
京太郎は溜息をつきながら旧校舎へと足を向かわせていた。
今は大事な時期だ。大会だってある。確かに自分は周りに比べて詰めや読みが悪いかもしれない。
だが、そんな時期に個人的な事情で休んでしまっては、本当に自分が弱くなる気がした。

「おーっす」
ゆっくりとドアノブを回し、部屋を覗き込みながら入る。

「あっ、京ちゃん。早かったね」
なんだか、違っていた。目の前にいるのは確かに咲だった。
声も容姿も、仕草も全てが咲だ。だと言うのに、妙に何かがひっかかった。
「えっ、あれ、他の皆は?」
誤魔化すように部屋を見回す。咲以外誰でも部屋の中にはいない。

「皆HRが遅れてるんじゃないかな、たぶん待ってれば来るよ」
「そ、そっか、じゃあ適当に本でも読んどくか」
夢を見たせいだけなのかも分からない。いつもよりも、咲に「女性」を感じていた。
妖艶で、こちらの性的興奮を掻き立てるようなそんな雰囲気を纏っていた。


14 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:13:37 zDLStY3g
本の頁を捲る音と、外で揺れる木々の涼しげな音がより一層静けさを引き立てていた。
逆に目線を合わせず、話しかけないようにしている現状が逆に咲のことを意識させていた。

「ねえ、京ちゃん…」
「なんだ?」
唐突にかけられた言葉に、声色が裏返りそうになるのを抑えて、咲の方を見つめる。

「京ちゃんは、やっぱり胸が大きい女の子の方が魅力的だと思う?」
「どうしたんだよ、急に――」
「どうなの?」
声を遮るように返答を促す。
「うーん、まあ人によりけりだと思うけどなぁ」
「でも京ちゃんって、いっつも和ちゃんの胸ばっかり見てるよね」
「ぐぬぬ…。ま、まあ俺は、そうかもしれないけどさ」

「じゃあさ、京ちゃんは私みたいに小さい胸の女の子も、好き?」
「えっ…おい、冗談はやめてくれよ、俺たちはそんなんじゃないだろ」
「冗談じゃないよ、私は京ちゃんの気持ちを知りたいから聞いてるの」
「………」
気圧された。咲が自分を押してくる性格ではなかったはずだ。
明確な違和感と圧力に、京太郎は言葉を発することもできなくなった。

――だが、何故だろう。今までで初めて咲の姿に釘付けになった気がした。
柔和な表情、短い栗毛の髪、控えめな胸部。
豊満な体が好みであるはずの京太郎は、今の咲の何から何までが先程から魅力的に見えている。


15 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:14:44 zDLStY3g
「ねえ、京ちゃんはさ――」
何かを言いかけたとき、勢い良く廊下側の扉が開け放たれた。
「あっれー?どうして部室にいるの?あなた達」
部長が怪訝な顔をして、入り口に立っている。

「ぶ、ちょう…」
安堵したような、少し残念に思えるような、複雑な感覚を覚え、無意識に声が漏れた。
ともかくとして部室内の空気が清らかになり、京太郎の意識が現実に引き戻された気がした。

「…?どうしたのあなたたち」
「いえ、何でも無いんです。あの、部長、どうしたんですか?」
「あら、咲は知らなかったの?部員全員には確かに連絡を入れたつもりなのだけど」

「えっ、それは俺も知りませんよ。携帯に部長からのメールさえ来てませんし」

「うーん?おかしいわね…」
「まあ、とにかく今日はまこの家の事情で私が手伝いに行かないといけないから、部活は休みよ」
「じゃあ、急いでるから。須賀くん、戸締りとかは任せたわよ」

「あっ、はい。分かりました」

それだけを伝えると足早に部室を去る。窓からは走りながら外へ向かう部長の姿が見えた。
恐らく、外から京太郎と咲の姿が目に入ったのだろう。
「危険な人だなぁ…」
咲はボソっと京太郎に聞こえないように呟き、外を眺めていた。


16 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:19:17 zDLStY3g
「…でさ、京ちゃん」
人の気配が旧校舎から消えたことを確認してから窓の鍵を閉め、外側のカーテンをかける。
「…………」
不安と、少しばかりの期待に沈黙しながら京太郎は生唾を飲む。

「京ちゃんは、私のこと、好き?」
入り口のドアに鍵をかけて、京太郎の方へと迫る。
「そりゃあ、嫌いだったら昔から一緒にはいないだろ…」

「そんな誤魔化さないでよ…
 私だって恥かしくて、怖いけど、聞いてるんだよ」
顔を紅潮させて、目に涙の膜を作りながら、それでも視線を外さずにこちらを見てくる。

「……正直、今まで意識したことなかった。けど、色々あって少し意識するようになって
 でも、分からねえんだよ。急にそう言われても…。でも、嫌いってことは無えよ、それだけは言える」

「…よかった、嫌いじゃないんだ」
目の前にいる咲の雰囲気が、更に変わった気がした。
夢の中でみた、自分の腹部に出刃を突き立てた狂気に塗れたような…。

「ああ、でも…咲をその、そういう感じで好きかどうかは…」
言い終える前に自分のズボンに手をかけられていることに京太郎は気付く。

「お、おいっ、咲さん…?何をしていらっしゃるので?」
「私ね、京ちゃんが私を好きになってくれるなら、何でもするよ」
慣れない手つきでファスナーを降ろし、愚息を取り出そうとする。

「おい、やめろって…こんな、やりたくないことを咲はするのかよ」
「京ちゃんのなら、私…いいよ。それに」
穢れを知らぬ白い右手で、もう既に愚直に天を仰ぐ肉棒を取り出す。
「こんなに硬くなってるよ?…期待したんだよね」
右手を使い、優しく肉棒を握り、上下にゆっくりと撫でるように動かし始め、
十分に抱きしめるには足りない腕を背中に回し、身体を密着させる。
控えめな胸と、女の子特有の柔らかい身体の感触が全体に伝わった。


17 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:22:29 zDLStY3g
「咲、お前…どうしちゃったんだよ」
「?何のこと?そんな顔しないでよ、自信なくなるから…」
京太郎の顔を見上げて、一生懸命さが伝わるような手の動きで、肉棒を扱く。
「咲…」
精一杯胸を押し付けながら、肉棒を奉仕する咲の姿を見て
引いている態度とは裏腹に京太郎の肉棒は更に膨張し、興奮していた。

しばらく、そんな奇妙な状況が続き、じわじわと、確実に快楽が高まりつつあった。
「京ちゃん、気持ちいい…?」
咲も興奮してきたのか、目の光を鈍らせている。
「そ、それは…」
肯定と意味するように視線を逸らし、快感よりも咲が自分を奉仕している事実に
肉棒がピクピクと震えた。身体は口ほどに物を言う。それを即座に咲は察した。
「嬉しい、嬉しいよ…京ちゃん。もっと、してあげるからね」
手持ち無沙汰であった左手の指で雁首や鈴口をなぞる。

「…!咲、そこは」
瞬間的に訪れた快感に足元が覚束なくなり、ガクガクと振るわせた。

「ふふっ、そんなにいいんだ…」

「身体を支えるのは大変だよね、あっちに行こっか」
咲の視線は部室に備え付けてあるベッドの方を向いていた。


18 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:23:52 zDLStY3g
咲は京太郎と身体を密着させながら隣同士で座り、淫靡に誘う表情で上目遣いをする。
「ねえ、京ちゃん…続きしてほしい?」
「つ、続きって…」

「例えば、さっきみたいに手で扱いたり、お口で咥えたり」
そう言いながら咲は下腹部に京太郎の手を持っていく。
「ここに、入れて、好き放題できるんだよ?」

魅力的な言葉に理性を磨り減らされる。
最早、幼馴染だからという抵抗も嫌悪も興奮の前には意味がない。
「……、咲、お前は本当に咲なのか…?」
だが、それでも、人格そのものが変わったような咲のその行為のせいで
浮かぶ疑問のおかげか、理性が首の皮一枚で繋がっていた。

「もぉ、しつこいなぁ!私は私だよ、…れろれろっ」
少し不機嫌になりながら肉棒とにらめっこできる位置まで屈んだ。
抗議するように右手で裏筋をツツーっとなぞり、根元をおさえ、鈴口を中心に亀頭を舐め回す。
舌先でチロチロと嘗め回される感覚に得もいえぬ快感とむずむずした感情に下半身が勝手に動きそうになる。

「…!咲、それは…っ!」

「…?んふふっ、ちゅっ、ちゅるるっ、れろれろぉ、…じゅるっ!」
明らかに感じている京太郎の表情を満足気に見ると、亀頭にキスをしてから一気に咥えこんだ。
咲の口腔が肉棒全体を温かく包み込み、舌先で雁首、鈴口、亀頭をねっとりと舐めあげる。
「……!ぐっ、咲…一体こんなの、…どこで」
咲のフェラチオに圧倒的な快感を与えられ、すぐに肉棒全体が限界まで膨張する。
もう既に射精感が高まり、それを必死に抑えるために只管快感を耐える。

「むー!…んっ、じゅる!じゅぶっ!ちゅぶぶ、…ちゅるるるっ!じゅううう!」
自分の奉仕に抵抗していることに勘付いた咲は、口で抽送運動をしながら亀頭をいじめるペースを速めた。
「あ…っ!やばい…、もう…っ!」
我慢の限界が近づき、無意識に声が出た。


19 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:26:42 zDLStY3g

「ちゅぱっ…、京ちゃん…もう出そうなんだね…」
頬張っていた肉棒を口から放り出して、再び手で握ると悪戯っぽく微笑む。
「ほら、何もしてないのに先っぽからお汁が垂れてくる」
潤滑液に塗れた手を、絶頂しない程度にゆっくりと上下させる。
その絶妙な感覚に、焦らされ、段々と本能的な思考が剥き出しになっていく。

「私のお口の中にいっぱい、どぴゅどぴゅーって、精子出したいんでしょ?」
「…そ、それは………」
「だったら、言う事があるよね…?」
「…………………………」
咲を受け入れたその先は――。
あれはただの夢だというのに、どうしても決断が鈍る。これに答えてはいけないと歯止めがかかる。
そんな苦悩もいざ知らず、咲は淫猥な水音を立てながら、肉棒をにちゅ、にちゅっと扱き続ける。

「…もう、しょうがないなぁ。京ちゃんが可哀想だから、特別だよ…んっ」
眉を八の字にして拗ねた顔をしてから、ねっとりと舌を絡ませながら肉棒を咥えた。

「ちゅる!れろれろっ…、んっ、むちゅぶぶっ、じゅる!じゅううううう!!」
もう既に限界に近い肉棒を口腔で扱きながら、亀頭を縦横無尽に舐めまわしながら、吸い上げる。
見下ろすと、一生懸命自分の肉棒にむしゃぶりつき、顔を上下させている咲にこれ以上ない気昂ぶりを感じた。

あれは夢だ。もうそう思い込むことにした。瞬間、舐められ扱かれる感触が波のように押し寄せて、
身体の熱が全て下半身の一点に集中する。根元に装填された下劣な願望がこみ上げてくる。
「咲、もう…で、出る……ッッ!」
理性が崩壊した。無意識に咲の後頭部を掴み、喉元までパンパンに膨れ上がった肉棒を咥え込ませ、
絶頂を迎えるため、まるでオナニーの道具のように、我侭に動かした。
「―んぶっ!んんっ!?んむううう!!」
驚愕に喉が蠢いた。それが切欠となった。

ドビュルルルルッ!ビュウウウウウウ!ビュッ!ビュッ!

勢い良く白い欲望が穢れを知らなかった口腔を、喉を染め上げる。
「んむうううう!!んっ、んっ…んぐっ、んくっ、ごくん…」
予想外の状況から放たれた精液を、全て受け入れて飲み込んだ。


20 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:31:22 zDLStY3g
「はぁぁぁ……」
快感の余韻に浸るように肺の中にある空気を全て押し出す。
「…んっ、じゅるっ…ちゅぱっ…、何してるのさ、京ちゃん」

「えっ、あっ……あああ、ああ……」
やってしまった。途轍もない後悔が今になって降りかかる。
結局自分は咲の誘惑に乗り、思うが侭に咲に口内射精をしてしまった。

「これは、もう…セキニンとってもらうしか、無いよね?」
どうやら計画通りにコトを進められてしまったようだ。

「えっと…こ、これはだな、咲…」
それほどまでに自分を好感を抱かれ、篭絡してくるのは男性に嬉しくないわけがない。
だが、普段は大人しい咲が、どうしてこうも積極的になっているのか、解せないものがあった。

「そしたら、毎日、京ちゃんがしたいこと、してあげる」
「朝起こしてあげて、お料理だって、お洗濯だって、…さっきみたいなえっちなことだって
 京ちゃんの望むこと全部ぜーんぶ、したげる」

「だから、私とお付き合いしよう、ね?京ちゃん…」

そうしてやっと確信した。今自分の日常は、夢の出来事に沿って進んでいるのだと。
もう最初から時計の歯車は回り始めていたんだと。

京太郎の中にある糸がプツンと切れた気がした。絶望より諦めに近い感覚。
咲を手放したら最後、あの夢の最期が訪れてしまう。呆気ない自由な高校生活の終わりに
京太郎は一時の快楽の代償として、一方的な愛による束縛と、自分の命を捧げてしまったんだと心中で自嘲した。




ここで打ち止めです。早ければ今日の日付が変わる前までに再開します。


21 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:34:57 7glA4YHE
こんな夜中に股間に悪い内容見せてくれてどうしてくれんのこれ?(ボロン


22 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 00:39:35 ncQzMT.w
Nた官湧


23 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 02:15:17 wqn7P6mE
いいゾ〜

すごくいいですねコレ(語録無視)


24 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/09(月) 11:23:57 Cu0Xovzk
股間に悪いけどシチュエーションがひねられてるおかげで純粋に結末が気になるんだよなぁ…


25 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/10(火) 02:49:54 yXx5sDJI
エロに凝りすぎてたらこんな時間になってしまいました。

2つ目の区切りまであと少しなので、明日中にはあげます。
遅れて申し訳ナス!


26 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/10(火) 04:26:25 OXEaZez6
ゆっくりでええんやで
ひっそり待っとる


27 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:40:20 RA6Hw1TE
その日も京太郎は目覚ましによって起こされた。
最初の数日は、変容した咲のことを、今後どうすればいいのかを考え、寝不足の日々が続いていた。
そんな日々が続いたからか、最近は眠る時間がいつもよりも長くなった気がする。
カーテンを勢い良く開き、窓を開ける。陽光に目を眩ませながら、穏やかな風が頬を優しく撫でた。
初夏の朝を感じていた。次第に、薄ぼんやりとしていた意識が覚醒してくる。

「…学校に行かないとな」
京太郎は、あの日以来、咲といる時間が格段に増えた気がする。
休み時間や、昼休み、放課後の部活にいたっても距離を近づけていた。
そして、毎日のように咲の手や口や顔に思うが侭に欲望をぶつける日々が続いていた。

至高の悦楽を度重ねるごとに更なる欲求が自分の中で増長していくのが分かった。
危機感以前に、咲と肌を重ねてみたい。その華奢な身体を思う存分味わいたい、
男として当然の情欲がムラムラと身体の底から湧き出してくる。
それを留めているのはあの夢の出来事。未だ明確に残っている感覚。
腹を包丁で裂かれ、痛みと出血で意識が薄れていく最期。

―だが、欲求の前にそれが瓦解するのも時間の問題であった。

それ以前に、京太郎は咲に惹かれつつあった。
あれからずっと咲は京太郎と一緒に過ごしていた。弁当を作ってくる日もあったし、
部活で落ち込んで、労いの言葉がほしいときには必ずかけてくれた。
目線を合わせば、こちらを微笑んでくれた。
そんな咲のことを、いつの間にか無意識に目で追いかけていた。
夢のことを忘れて、本気で咲に惚れている自分がいることに気付いた。

今日も咲に会える。不安よりも強く大きな感情によって京太郎は今日も朝を迎えた。


28 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:40:40 RA6Hw1TE
通い始めてから既に1ヶ月以上も経った、通学路を歩いていた。
足の裏の感覚も、見周る景色ももう新鮮さは立ち消えた
たった1ヶ月では代わり映えもしない道を、心躍らせながら歩く。

「おはよ、京ちゃん」
「おう、おはよう」
いつも通り合流し、以前より縮まった肩と肩の距離感を感じながら歩く。

「ねえ、京ちゃん」
「ん?何だ―」
返事を言い終える前に咲は両手に持っていた鞄を片手に持ち替え
空いた手を腕に絡めて、咲の女性的な柔らかい身体を密着させる。

「あ、あの…咲さん。当たってるんですが…」
「んふふっ、気持ちいい?」
積極的な可愛らしい攻撃に京太郎の男は言うまでもなく興奮させられ
「…?京ちゃん、どうして前かがみで歩くの?不良みたいだけど」
半分ほど怒張したそれをなんとか隠し通すように姿勢を整える。
「男にゃあ、こうしなきゃいけないときがあるんだよ…」

「ふふっ、素直じゃないんだ…」
嬉しそうに笑顔を浮かべながら、京太郎の表情を見つめる。
どうやら咲は全て分かっていて身体を密着させているらしい。

「ねえ、京ちゃん、そろそろ…もっとすごいこと、しよっか?」
耳元に口を寄せてボソっと妖艶な雰囲気の声で呟く。
「…!?」
脳がその甘美な声さえも悦楽と判断され、背中にこそばゆい何かが突き抜けた。

「咲ぃ…お前覚えとけよ」
「あはは、ごめん。京ちゃん。やりすぎちゃったね」
硬直して動けなくなった京太郎を見て冗談っぽく笑う。

その後、咲の協力も得て、なんとか学校まで辿り着く事ができた。


29 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:40:58 RA6Hw1TE
HR十数分前の昇降口は大勢の生徒の喧騒に包まれていた。
人が引っ切り無しに出入りするこの時間帯に咲と京太郎は距離を詰めて靴箱へ向かっていた。

やっと靴を履き替え、別々の教室に向かうため、二人は暫し別れることになった。
「じゃあ、また後でね」
「おう」
廊下を行く咲の姿を見つめる。いつの間にか京太郎の顔は惚けていた。

「えいっ!」
後頭部を軽く殴られた。
「邪魔だ、きょーたろー!時間ギリギリなのにアホ面晒して立ち往生なんて随分余裕があるな!」
後ろを振り返り、見下ろすと顔も声も見、聞き覚えた優希の姿があった。

「ってぇなぁ。バカになったらどうすんだよ」
「大丈夫、それ以上バカにはなんないじぇ」
「お前なぁ…」
久しぶりに優希の顔を見た気がした。毎日見ている顔だが、咲とああいう関係にある以上
これほど気安く、話しかける事が容易な女子もいない。京太郎は心が落ち着いたのが分かった。

「なんか、お前の顔見てるとほっとするよ」
「えっ…そんな急に告白なんて、浮気とか、きょーたろーは悪い男だじぇ…」
咲と京太郎の恋仲の噂はじわじわと広がり、もうまさに周知の事実となっていた。
ただそれを受け入れられている者がいるかどうかは別として。

「はいはい、それじゃ教室に行こうなー、優希」
「あ、コラッ!無視するなー!」
ともかく、今日も新しい一日が始まった。


30 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:41:20 RA6Hw1TE
といったものの、日常はあまり変わらなかった。
授業時間を有意義に眠ることに費やし、休み時間は咲、
それとたまに誠と他愛の無い会話をしながら過ごし、あっという間に放課後は訪れた。

あれ以来、京太郎は咲を迎えに行ってから、部室へ向かうのが習慣になっていた。
「咲、そろそろ旧校舎に向かわないと」
「あ、もうそんな時間なんだ。じゃあ京ちゃん。手、繋いでいこ?」
積極的に指と指を絡ませ、恋人繋ぎをして、旧校舎へ向かった。
うるさい誠や、クラスメイトに野次を飛ばされたが、もう慣れないといけないと諦め、無視を決め込んだ。

旧校舎へ向かい、人気の無い古くなった廊下の床に二人分の足音が響いた。そうして部室前まで辿り着く。
「なあ、咲。そろそろ手を離してくれよ」
「いいけど…もうそろそろ隠し通すのは難しいと思うけどな」
名残惜しそうに手を離すとノブを捻り、扉を開けた。

開けた視界の目の前には仁王立ちした和の姿があった。
「須賀くん。…説明してください」
「…え?何の事だよ」
「とぼけないでください!ここ最近ずっと咲さんと仲良さそうにしてるじゃありませんか!」
「…えーと、それは…」
咲は、ほらね。とでも言いたげな表情を京太郎へ投げかけた。
確かにもうしようがない。幸い、部室には和以外誰もいなかった。
覚悟を決めて説明することにした。もちろん、一部の事は除いて。

「……解せません。そんな、咲さんが須賀くんのことを好きだなんて」
心底不思議そうな顔をしながら頭を抱え込む。
「こほん、まあいいでしょう。部内の風紀を悪くしなければそれで…」
精一杯強がって、平静を装い、悔しくなさそうな顔をする。

「咲さん、これは優希も知っている事なのですか?」
「多分、和ちゃん以外は大体知ってる事だと思うけど」
「そうなんですか…!」
驚いたモーションを取って、後ろに転げそうになる。

「もう、なんと言って良いやら…」
「須賀くん…っ!今日の練習、覚えておいてくださいねっ」
怒りの炎が和の瞳にメラメラと燃えていた。


31 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:42:22 RA6Hw1TE
結果はいわずもがな。京太郎は、和に、それに便乗した優希、部長にカモにされ、散々たる結果とあいなった。
部員皆が退室した後も、雀卓で一人、燃え尽きていた。

「京ちゃん!ほら、もうそんな顔しないで帰ろう?」
「ああ……」
「皆帰っちゃったし、そろそろ暗くなってくるよ」
「ああ……」
目の前で屈んで目線を合わせて話しかけてくる。

「明日は、学校お休みだし、京ちゃんの家お泊りしていい?」
「ああ……」
「えっ、いいの?ホントに?」
「ああ……ああ?」
「じゃあ早く帰ろうよ、ね?」
「え、ちょっと待て。今のはちゃんと返事をしてなくて」
「……駄目なの?」
上目遣いで甘えるように見つめた。
「うぐっ…やめろ、そんな顔しても…俺の家には両親が…」

陥落した。どうしても、最近咲には逆らえなくなっている気がする。
何かにつけてあの手この手で咲に押し負けてしまう。

だが、咲を家に泊めることの意味を考えると、どうしても性的なものを意識してしまう。
それさえも咲に見透かされているのだろうと考えると、忘れていた不安が想起された。


32 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:42:43 RA6Hw1TE
勝手知ったる他人の家といった感じか。咲は仲良さ気に京太郎の両親と会話し、
須賀家の団欒の中に混じりながら、楽しそうにしていた。

そんな咲を見ていて、久しぶりに本物の咲と会えたような気がして嬉しくなった。
不純など無しに、咲を家に招いてよかったと心から思った。

三人が盛り上がっている間に、京太郎は黙って一足早く風呂へ向かった。
「ふぅ…、変な事も考えちまってたけど、こりゃ咲を呼んで正解だったかもなぁ…」
湯船に浸かりながら、天井を見上げ、今日一日の疲れをゆったりと癒している。
―最中、ガラガラと音を立てて風呂場の扉が開いた。

「えっ…?京、ちゃん…?」
未だ生え揃っていない綺麗な秘所。控えめに膨らんだ双丘。お世辞にも豊満とは言い難い裸体。
この事態を予想していなかったであろう素っ頓狂な表情で理解不能に陥りながら、京太郎を見つめる。

「さ、咲…」
目の前の光景にすぐさま自分の愚息が反応する。
「きょ、京ちゃん…!何で、お風呂にいるの…!ばかぁ…!」
薬缶のように顔を上気させ、真っ赤にすると、慌てて扉を閉めて、壁越しに抗議する。
「えっ、あ、あの…悪い。そんなつもりじゃ…」
「…もう、心の準備くらいはさせてよ」
「ほんとごめん!やましいつもりなんてこれっぽっちも…」

それにしても、久々だった。気弱な咲が今目の前にいた。
魅惑をもって接してくるわけではない、今は懐かしい咲の姿。
だというのに、どうしても愚息はどうしようもなく怒張していた。
もう京太郎の精神は色仕掛け云々ではなく、咲自体に興奮するように作り変えられていた。


33 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:43:08 RA6Hw1TE
悶々としながら、まったく進まない学校の課題を済ませようとしていた。
難しい数式を思い浮かべようとしても、出てくるのは先程みた彼女の裸体。
いくら素数を数えようとも、偉人の顔を浮かべようとも、無駄だった。

コンコン、と控えめなノックが部屋に響いた。
「は、はい…」

「京ちゃん、入るよ」
恐る恐る部屋を見回し、京太郎の姿を確認すると寝巻き姿の咲が肩を抱きながら入ってくる。
「と、とりあえず座れよ」
「…うん」

二人はちゃぶ台を挟んで向かい合い、少しの沈黙の後、咲は深呼吸をしてから質問をした。
「……見たでしょ?」
「…ハイ」

「どう、だった?」
「え?」
「……興奮、した?」
「ああ、まあそりゃあ…もう」
「…変態っ」
「…うう、何も言えねえ…」

「ねえ、京ちゃん。…もっと、見たい?」
一番上のボタンを外して、胸元の肌を露出させる。
「…………!」
気が昂ぶりすぎて言葉が出なかった。
何とか、首を上下に振って、肯定の意思表示をする。
「そっか…ふふっ、見たいんだ」

「ねえ、じゃあもっとすごいこと、今しよっか…」


34 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:43:37 RA6Hw1TE
お互いベッドの上に座り、向かい合って俯いている。
「こういうとき、どうすればいいんだっけ…、流石に勉強不足だなぁ、私…」
紅潮させながら恥かしそうに口を開いた。

「…大丈夫、俺がリードする」
何故かはっきりと覚えている夢の中で、咲の身体を何度も抱いた。
身体はそれをすべて覚えていた。気持は確かに緊張していたが、
それでも身体は手馴れた動きで迷いなく、優しく咲の背中に手を回し、顔を近づけ、優しく唇を奪う。
「んっ、ちゅっ、んむっ…んむうう!?」
舌先を使い、咲の口を開き、口内の感触を味わう。
舌と舌を絡めあい、唾液を交換したり、舌先に吸い付く度に、咲が身体をヒクつかせる。
そのままゆっくりとベッドに押し倒し、濃厚なキスを続行する。
「ぷはぁっ…きょ、京ちゃん…。こんな大人のキス、どこで覚えたの…?」
耐え切れなくなって口を離し、真っ赤になった顔でそのまま京太郎の顔を見上げる。
「やりたいようにやってるだけだよ」

「…ねえ、キスだけで満足…?」
「そうわけじゃないけど…咲、本当にいいのか?
「…うん、いいよ」
「本当に…いいんだな?」
「うん。初めては京ちゃんに、…って決めてたから」
恥かしそうに目を逸らしつつ、消え入りそうないじらしい声を出す。


35 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:43:53 RA6Hw1TE
「わかった…いくぞ…」
再び口付けを交わしながら、寝巻き越しに、掌に収まる程度に柔らかく温かい膨らみを手に感じた。
右手を使い、円を描くように右の乳房を撫で回し、手持ち無沙汰な左手で、左の乳頭を指でなぞる。
じわじわとこそばゆい快感を咲に与える。
「んっ、京ちゃんの手…私のおっぱいに触ってる…」

しばらく、そのマッサージを続けていると、咲の顔は少しずつ上気してきた。
緊張が、少しずつ興奮に変わってきているのが手にとるように分かった。

「咲、服…脱がしてもいい?」
「うん…」
少し我慢が出来なくなった京太郎は、少し息を乱しながら、咲の寝巻きのボタンを上から順に外し
胸を肌蹴させた。準備万端であった咲はブラをつけておらず、すぐに桃色の乳頭と小さな乳房と対面できた。
「京、ちゃん…」

直に胸を撫で回すと、早い心臓の脈動と、少し高めの体温、肌に張り付く乳房と掌で転がる乳首の感触を直に感じた。
左腕で少し咲を抱き起こすと、左の乳房に口付けをし、乳頭を舌先でチロチロと味わう。
「んっ…くすぐったいよ。そんな、舐められたら…私…っ」

「ちゅっ、ちゅるっ、ちゅううっ」
その言葉に逆らうように乳頭を口に含み、乳首の少し硬くなった感触と汗の味を舐め取る。
塩っ気の中に感じた仄かに甘い味を舌で味わいながら、優しく吸い上げる。
「ひゃっ、きょ、京ちゃん…な、んんっ、何でおっぱい吸うの…?あ…っ」

「んむっ、もしかして、気持ちいいのか?咲」

「そ、そんなわけ…んぁぅぅぅ…、ひゃぁっ!ないもん」
感じやすいと認めたくないのか、精一杯抵抗しようとしている。
上目遣いで咲を一瞥してみると、指を咥えさせながら、必死に喘ぎ声を抑えようとして
切なそうな表情をしながら、身体を震わせていた。


36 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:44:25 RA6Hw1TE

「だったら、気持ちよくなるまで、頑張るからな…んむっ、ぢゅううっ、ちゅるるっ!」
吸い上げるタイミングと揉みしだく感覚が重なり合う度に、小さく、喘ぎ声を上げる。
「ひゃああっ!ミルクなんて、…んぁ、出ないのに…赤ちゃんみたいに吸わないでよぉ…」

唇と歯で乳首を挟み、伸びる限界まで引っ張り、口から抜けると、ぷるぷると小さな乳房が揺れた。

「ちゅぱっ…咲、お前…」
―もしかすると。京太郎は唾液でヌラヌラと光る咲の乳首を咥えなおすと、
舌先を押し付けながら上下左右に捏ね、右の乳首を親指と人差し指でコリコリと擦る。
「んっ、あっ…ひゃぁ…や、やめっ…ち、くび…コリコリされたらぁ…」

そんなお願いも聞く耳持たず、更に咲の乳首を気持ちよくさせようと
母乳を吸いだすように遠慮なく乳首を吸い上げる。
「れろっ!じゅるる!ずぞぞぞ!じゅうううう!!」

「んふうううんんっ!!?んうううううっ!!」
ビク、ビクと身体を跳ねさせて、絶頂を迎える。
京太郎は名残惜しそうに乳首をちゅぽんっと口から開放し、顔を離した。

「ふっ…ふ、ぅぅぅ…、はぁ…はぁ、ぁっ、んんっ、ふぅぅ…はぁぁぁ…」
上気した身体はほんのりと赤みがかっていた。
絶頂で緊張した身体を脱力させて、深く吐息を漏らした。


37 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:45:36 RA6Hw1TE
再び乳首を口に含みながら、咲の下腹部に右手を下ろし、臀部を人差し指で優しく擦る。
胸を責められて、感じていたのか、若干の湿り気を感じ、下着の中に手を入れる。
「…!?きょ、京ちゃん、そこっ…」
「大丈夫、力を抜いて。痛くはしないから」

直に咲の秘所を指で擦る。やはり、もう濡れ始めていた。
人差し指を膣口に進入させる。ヌルッと熱い膣内に指は感単に滑り込んだ。
「ひぅ…指、入ってくるよぉ…」
侵入した指をきゅっと締め付け、押し戻そうと肉が蠢く。
膣内に自分の指以外は入る異物感に恐怖し、足を閉じた。
…なんとかしてあげたい。優しく頭を撫でて、優しく口付けをする。
「んっ…んん…」
少し安心して、惚けた顔で、股の力を緩め、指は再び奥へ、奥へと侵入した。

指をそのまま進めると、つぶつぶの何かが指に当たった。
「(…確か、これだったよな)」
指で強く刺激しないように擦ると、咲の身体がピクンと跳ねた。
「んむぅ、んっ…!」

指をピストンのように出し入れしながら、つぶつぶを擦り続けると、
咲は目を潤ませ、何か言いたそうにしていた。唇を離した。
「そこっ…変、なの…。触られるたびに、ビリビリって…んぁっ!」
「気持ちよすぎて…ん、だ…駄目だよ、これっ…ひゃぁぁっ」

2回目の絶頂が迫っていた。指を動きを加速させて、与える快感を増大させていく。
抑えようとする喘ぎ声が我慢できなくなり、漏れ出してしまう。
「い、イっちゃう…いぃ…んんっ……!?」
ビク、ビクと身体を小さく跳ねさせて絶頂を迎えた。
「は、…ぁあ…んんぅ、もう…いじわるぅ…」
快感から溢れた涙を流しながら、こちらを蕩けた目で睨もうとしていた。


38 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:46:00 RA6Hw1TE
「じゃあ…今度は、私がしてあげるね」
今度は京太郎がベッドに寝かされていた。
もうすでに愛液と唾液で汚れてしまった服を脱ぎ捨て、裸になっていた。
京太郎の前に寝転がり、ずずいと股間の目の前に顔を近づける。
寝巻きのズボンを脱がすと、もうすっかり立派になった肉棒が暴れ出てきた。
「ひゃうっ!…うう、いつもより大きい気がするよ…」

「可愛いなぁ…咲は」
怖気づいて背中を逸らし、肉棒から逃げる咲を愛らしく想い、頭を撫でる。

「むー!生意気…、んむっ、ぢゅるる、じゅううっ!じゅっ、じゅるるる!」
余裕綽々とした京太郎の声に少し腹を立てた咲は、有無を言わさず、肉棒を咥えた。
流石に毎日のように肉棒をしゃぶられ続けていた京太郎は、若干の快感耐性が出来ていた。
「うおっ、…咲、お前えげつないな」
「んふふっ、じゅぶ、ちゅぱっ、れろれろぉ…、ちゅるる、じゅぼぼっ、じゅうううう!!」
だとしても、その温かな口の具合の良さに変わりはなく、快感はいとも容易く跳ね上がっていく。
屋の外に漏れ出そうなほどに水音としゃぶりつく音が響かせながら、
口を、顔全体を使い、上下に動かし、亀頭から根元まで吸い付いた。鈴口や雁首、裏筋を舐め回し、早くも射精感がこみ上げてくる。
「やばっ…も、出る…さ、咲…」

咲を見下ろすとこちらを見上げながら優しく目で笑っていた。
「じゅる!じゅぶぶっ!ちゅるっ!れろぉ、…ちゅぶぶ、ちゅるる!じゅううううううううう!!」
「―――――――――!」
声にならない声を押さえ込み、力を込めていた堪えていた下半身の力を解いた。

ビュルルルルルルルッ!ドビュルッ!ビュルッ!ビューーーーッ!!

精液が鈴口を押し広げ、勢い良く咲の口内に流れ込む。
「んむっ、んんっ、んむううううっ!!?ぷはぁっ!!」
予想外の射精圧に驚き、口を離してしまった。
射精が噴水のようになり、咲の顔に降り注いだ。
「ふっ、う…っ!…ぐ、はぁぁぁ…」
射精の快感に口から息が漏れた。
「ひゃ…っ、…うふふ。京ちゃんのせーし、一杯かかっちゃった」
顔にかかった精液を指で掬い取り、口に含む。
魔性であった。今の咲は本や映像で見た何者よりも、卑猥で、美しく見えた。


39 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:46:24 RA6Hw1TE
「まさか、これで終わった気になってないよね…?」
咲は快感の余韻に浸っている京太郎に精液と唾液が混ざり合った天然の潤滑油を使い、
高速で手を上下させはじめた。

にちゅっ、にちっ、にちっ、しゅにっ、しこしこっ、しこしこしこしこっ

「うっ…さ、咲…。まだ、出たばっかりだぞ」

「ほーら、京ちゃんのおちんちんも、まだまだ気持ちよくなりたいって言ってるよぉ…?」
頭を垂れていた愚息はすぐに元気を取り戻し、再び肉棒に変貌した。
射精の後に繰り返される悦楽が腰が勝手に動き、気が狂いそうになる。

「ぐっ…、咲…それ、マジでやばい…っ!やめてくれぇ…」

「いやっ、…んむっ、じゅるうううううう!ぢゅぶぶぶぶぶぶっ、ちゅるっ!ちゅるっ!じゅううう!!」」
手コキで竿を滅茶苦茶に水音を立てて奉仕をしながら、亀頭におもむろにむしゃぶりつく。
弾力のある唇を押し付け、締め上げて亀頭や雁首を刺激しつつ、鈴口を舌先で開き、
漏れ出すカウパーを全て尿道で舐めとり、まだ根元に残っている精液を全て搾りつくそうと吸い上げる。

今まで知っていた快感よりも遥かに甘美な感触に、脳がスパークしそうになる。
未知の感覚。手扱きと亀頭フェラが合さり、最早これは手と口を使ったセックスに相違なかった。

「うぐっ、ぐぐ…あ、ああああっ…あああああああ…っっ!!」
もう悲鳴に近い声を上げながら、無理やり射精へ導かれる強制快楽に翻弄される。
腰がガクガクと震えだし、早くも射精がもうすぐそこまで来ていた。


40 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:46:54 RA6Hw1TE
「んー?んっ、んっ…ふぅぅ、んんんっ、じゅぶぢゅうう!!じゅるるるっ!じゅぶぶじゅるっ!!」
肉棒から手を離し、さっきよりも深く咥え込み、亀頭を喉奥に当てながら吸い上げる。
そのまま口から肉棒を引き抜き、咥えなおして、上下に動かし、ディープスロートを開始する。
「じゅるうううっ!じゅぶぶ、じゅる!ちゅぱっ!れろれろんっ、ちゅぶ、ちゅる、ちゅうううう!!」

快感が高まり、でも出せない状態にあった。このまま気が狂うまでずっと咲は快感を与え続けるつもりなのか。
流石に怖くなった京太郎は、たまらず声を上げた。
「咲、イかせてくれ…頼む…」
「ちゅぽんっ、京ちゃん。我侭じゃないかな、そーゆーの」
「…ふふっ、でもいいよ。よく言えました。えらいよ」

そのまま咥えると、直線的に頭を縦に振り、熱っぽくなった唇で亀頭を揉み扱いた。

「ふぅぅぅぅンンン。ちゅぶぶ、じゅるるる、じゅううううううううう!!」
生暖かい鼻息を漏らしながら、肉棒を吸い上げる。
「ぐぁっ、ああっ…もう、で、出る…っ!」
口内射精を望んだ咲は、不覚まで咥え込んだ。
ぷるぷるとした唇と、ねっとりと蕩けるように絡みつく舌にもう我慢の限界が来ていた。

ビュルッ!ビュルッ!ビュウウウウウウウウウウウウ!!ドビュルルルッ!ビュッ!ビュッ!

「…!んんんンンンンンンン!んぶっ、んんっ、んむっ、んぐっ、…んっ、んくっ、んっ、んっ、ごっくん」

快楽と共に、精気ごと、精液が咲に注ぎ込まれていく。喉に直接注ぎ込まれる精液に咽ることなく
嬉しそうに肉棒を咥えながら、出された精液を飲み干していく。

「んっ、ちゅるるるるっ!じゅるっ、じゅぶぶぶ!ちゅううううううう!!」
精液の出が少なくなると、再び顔を振りながら、ストローのように尿道を吸い上げる。
そうしてピク、ピクと跳ねる肉棒から吸い上げた精液を喉を鳴らして飲み込む。

「う、うぁ…あ、ぁああぁあ……」
腰が抜けて力が入らない京太郎の肉棒を良いように弄び、最後の最後まで精液を搾りつくした。


41 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:47:13 RA6Hw1TE
「ふう、一通りやっちまったな…」
「…うん」
二度の射精に未だ気分は高揚したままであった。
気分が二人とも裸にになり、ベッドの上で抱き合っていた。

「ねえ、京ちゃん。続きは…しないの?」
「…あんまり急いで、咲を傷つけたくないんだ」
「私なら、大丈夫だよ…だから、ね?京ちゃん…」

「セックス…しよ?」

咲が勇気を振り絞り、言葉を絞り出した。
極限に達した羞恥心に言葉が詰まり、顔が林檎のように赤くなっている。
自分のために、ここまでしてくれていたのか、と胸が温かくなると同時に苦しくなった。
最初奉仕されたときから、ずっと受身でいる自分が情けなくなった。

据え膳食わねば何とやらとも言うが、
それよりもここまでしてくれた咲の想いに答えなければいけないと使命感を帯びていた。
もうすでに、夢の果ての惨劇ことなど頭の中から消え去っていた。

「わかった…」


42 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:57:16 RA6Hw1TE
濡れそぼった割れ目から愛液の垂れた跡がはっきりと分かる。
昔から今まで近くにいたはずなのに、ずっと見たことの無かった幼馴染の肢体。
目の前で露になっているそれに、2度の射精を経た肉棒は今まで以上に勃起をしていた。

「……っ!」
興奮と緊張で身体と小陰唇は小さくヒクつき、今から始まる性交渉への不安があることを示している。
十分な前戯と、興奮と、羞恥と、その不安が顔を上気させ、身体を硬く強張らせていた。

「咲、…怖いか?」
優しく頭を撫でて、優しい声色で声をかけ、不安を和らげようとする。
「うん…、けど、平気だよ。だから、ね…?」
今更止めて、残念な思いをさせたくない。咲の精一杯に気遣う気持ちが胸にダイレクトに響いた。
誘うように大陰唇を人差し指で開き、目を潤ませながら甘えるように上目遣いをしている。
鮮やかなピンクの膣内に、誰のモノを受け入れたことのない入り口の狭い膣口が顔を覗かせていた。

「……ああ、そうだった」
京太郎はすっかり失念していた。使うはずのなかった、好奇心で買っていたコンドームを取り出した。
いくら好き合っていても、咲の麻雀部の3年間を台無しにしたくはなくて、それを装着させようとする。

「……ダメだよ、京ちゃん」
袋を破ろうとする手を咲が強い力で止める。
咲が、いつも通りに、人が変わったような雰囲気がした。

「えっ…?」
何をしても動かせないほどに強い咲の手の力に狼狽する。
「初めては…、それつけないで、やろうよ」
「でも、咲。お前を妊娠させたら、俺は…」

「……駄目?」
妖艶な表情でおねだりをしてきた。直前まであった確固たる意思が熱された蝋のように溶けおちていく。
京太郎は、二つ返事で誘惑に流され、禁忌の快楽を愉しむことを受け入れた。


43 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:57:39 RA6Hw1TE
生まれたままの姿で咲はベッドで仰向けになり、胸に手を置いて、開いていた肢体を閉じていた。
「咲、…もういい?」
「…うん」
返事を貰った。太腿に手を触れ、軽く解すように揉んだ。
温かくて、柔らかくて、華奢な女の子なんだ、と再確認した。
そのまま、両手で膝を押し広げて、開脚させると、咲の割れ目が目に入った。

人差し指で割れ目を優しく撫でて、数回往復させてから、指を膣内に進入させる。
「んっ…」
咲は艶っぽい声を漏らし、膣内は無意識に侵入した指を締め付け、
押し出そうと蠢き、温かく絡みついてくる。しっかりと、具合が出来上がっていた。

「京ちゃん、大丈夫、…だから、挿れていいよ」
一生懸命こちらに伝えようとする姿がとても愛しくて、淫らで、
そんないじらしい咲の表情に京太郎の肉棒はどうしようもなく昂ぶっていた。
今すぐ柔肌を、乳房を、秘所を、全てを穢したい性衝動を抑えつつ、膣口にぴったりと亀頭をあてがう。
「んっ、…そこ…」
亀頭の先に熱いほどの体温を感じた。すぐさま奥まで突き入れたいというもどかしさが、
今すぐ目の前の生娘を滅茶苦茶に犯せと命令してくる。もう、抑えられそうもない。

「咲、いくぞ……っ!」
亀頭を割れ目の中に埋没させていく。小さな膣口の見た目に反し、初めてとは言えないほどスムーズに肉棒が進入した。
「んっ、…京ちゃんのおちんちん。奥に入ってこようとしてる…」
肉棒を通じて、咲の膣内が興奮し、適度にきつく締め付け、
外へ押し出そうと熱いほどに熱を持った膣肉が肉棒全体に絡み付いてくる。

痛みを与えないようにと突き進める度に、膣肉をぐにゅぐにゅと押し広げ、肉ヒダが
まだ半分も挿入していないというのに、強い快感を絶え間なく与えてくる。
あれほど射精したというのに、抑えながら、我慢しながら進まないと、
果てるのは必至の具合に、挿入は予想外の展開で難航していた。


44 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:58:10 RA6Hw1TE
「…?どう、したの?痛くないから、続けて良いよ…?」
咲は痛みを感じていなかった。京太郎を受け入れて、異物感こそあるが、
話で聞いていたような過度な痛みすら無いらしく、嬉しそうに結合部を見ている。

初体験の緊張に汗を垂らす咲は不思議そうな顔をして京太郎の顔を覗き込む。
「咲の中…もう気持ちよくて、出そうになって、進めないんだ…」
「そ、そうなの…?」

「じゃあ、ちょっと休憩しようよ…んっ」
京太郎の背中に手を回し、咲の身体と密着させながら、唇を重ね、唾液を交換する。
舌と舌を絡み合わせて、淫らな甘さに蕩けて、夢中になる。
咲がキスで感じる度に肉棒は膣内で押し揉まれ、休む暇は無かった。

お互いの鼓動がどくん、どくんと響く。今、お互いに愛し合っていることを感じ、
京太郎は、更に奥深くまで咲の無償の愛に溺れていっている気がした。

「んむうっ、んンンぅ…、んふうう…」
鼻から漏れる熱い吐息が身体を撫で、こそばゆくさせる。
「んちゅうっ、ぷはぁっ…キスって…、すごいね…」
うっとりした顔で見つめながら、腰をふりふりと動かす。
そろそろ我慢の限界なのだろうか、挿入の再開を促していた。

興奮さえ醒めてはいなかったが、止まっていたおかげで少しは楽になっていた。
とはいえ、しっかりと解れていない膣内を進む度、収まっていた射精感はすぐに高まってきた。
早くこの気持ちのいい膣内で果てたい。衝動が、理性の壁に皹を入れる。
狭く締め付ける穴を自分の肉棒と同じ太さにするように一気に突き入れ、遠慮なしに、肉棒を根元まで挿入させた。
「……!!んふうううううううううっ!?」
部屋の外に響かないように両手で口を押さえる。が、淫猥な悲鳴は部屋中にこもって響いた。
ビクン、ビクンと身体を震わせて、肉棒と割れ目の間から愛液がじわじわと染み出してきた。
絶頂だった。激しく一突きしただけで、咲はイってしまった。
キスで昂ぶった気持ちと前戯の感覚が想起され、咲は京太郎の肉棒に敏感になっていた。
「ご、ごめん。咲…」
「…いじわる。これでバレたらどうするの…!」
抗議するように頬を膨らませる。
今は何をしても可愛らしく思えてしまう咲の仕草に心が和んだ。


45 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:58:29 RA6Hw1TE
じっくりと時間をかけて、そして最後は勢い良く膣壁を押し広げながら、亀頭が子宮口まで届いた。
身体もピッタリと密着させた状態で、咲の処女を散らしたことに征服欲が満たされ、満足感で一杯だった。
「……やっと、一つになれたね。京ちゃん」
背中に回されている腕が強く京太郎を抱きしめる。

「私を気遣って、我慢してゆっくり…挿したんだよね…。んんっ、…痛くないから、動いて…いいよ」
「分かった…」
緩慢な動きで肉棒を引き抜き、挿入をする。引き抜く膣壁に雁首が引っかかって擦れ、
挿入するたびに亀頭が膣肉を押し上げ、肉ヒダを刺激して、その度にきゅっと緩く締め付けてくる。
「ひゃっ…、それっ、それ…変な感じ…んやぁぁっ…」
咲は、初めてだというのに甘い声を漏らし、喘いでいた。

ゆるい抽送を繰り返す。膣口の直前まで腰を上げ、最奥まで腰を下ろし、乱れない程に出し入れさせる。
そうやって何度も何度も咲の膣内の感触を味わい、子宮口と思しきしこりを微細な腰の動きで抉ってみる。
「んやぁあっ!…ぅんん…、それ、ダメぇ…っ!」
咲が少し強まった快感に身をよじらせて離れようとする。
腰の動きに雁首が膣の肉ヒダに引っ掻いて、膣内が強く締めつけてくる。
「うぐっ…く、うぅん…ひゃぁっ、硬いのが…擦れる、んん…っ!?」

ちょっとした悪戯心が湧いてくる。このまま咲を突いたらどれほど乱れるのだろう。
そろそろ緩慢な動きでは快感が足りなくなった京太郎は、少し勢いを付けて、奥へ突いた。
「ふやあぁっ、あっ…いやぁっ、ダメぇっ、私、またイっちゃ…」
自分の肉棒によがる咲に歓喜と好奇心が芽生え、加虐的な一面に火がつきはじめていた。
咲を絶頂させるために、そのままの勢いで抽送を続けた。
突き入れる度にぶじゅっ、ぴちゃっと、水音を立てて、愛液が外に漏れ出し、さらに膣内の滑りがよくなる。

「はううっ…んんっ、やっ、くぅん…、もっと、…あっ、ゆっくりぃ…」
喘ぎ声に陰部と臀部の肉がぶつかる音が小さく鳴り、興奮が更に高まり、肉棒は硬く大きく怒張する。
咲が感じやすい肉襞や、子宮口を責め上げてながら、抽送を繰り返す。
「咲、イっていいよ…」
耳元で優しく囁くと、ひゃんっ、と可愛い悲鳴を上げて、耳を赤くしてぷるぷる震えだした。
「あっ、んん…っ!まだ、いやっ…イきたくないもん…ひゃあぁんっ!あ…、だ、だめ…また、来ちゃう…っ!」
咲の言葉をお構いなしに抽送を繰り返す。際限なく愛液が溢れ、滑りがよくなって行く膣内を掻き乱す。
射精しない程度の膣内の気持ちよさを感じながら、とどめとばかりに乳首をコリコリと口に含んで味わい始めた。
「やぁっ…乳首、気持ちいいよぉ…んふううっ!イく…イっちゃうぅぅ!…んんんっ!!」
ビクンビクンと背中を反らしながら咲の華奢な身体は跳ねた。
「ぐ…こいつは、…ふ…っ!きつい…」
膣内が緊張し、締め上げながら蠢き、肉棒を揉み扱く。生理的に射精を促されるが、必死に堪えた。
やがて膣内は収縮をやめ、ねっとりと絡み付いて奉仕をしてくる。咲の膣内はイくたびに具合がよくなってきていた。


46 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:58:53 RA6Hw1TE
「私は…京ちゃんに気持ちよくなって欲しいのに…こんなんじゃ嫌だよぉ…」
眉を八の字にして、悲しそうに涙を溜め込んでいる。
やってしまった。つい咲の反応が嬉しくて、一方的に咲をいじめていた自分に気付く。
泣きそうになっている咲の顔に胸が締め付けられた。

「ごめんな、咲。お前が可愛すぎて、ちょっと意地悪してた」
「京ちゃぁん。…ぐすっ。だったら、今度は、京ちゃんが気持ちよくなって…?」
じっとこちらを見つめながら懇願される。これ以上ないくらい嬉しいお誘いであった。
喘ぐ声に、仕草に、うねる膣内の感覚に、抑えられていた衝動を前に、理性は崩壊寸前であった。

勢い良く腰を引くと、腰を下ろしながら滑らせるようにヌルッと最奥まで肉棒を到達させる。
膣内を繰り返し押し上げ、擦るように引く。段々とそのペースを速めていく。
「あっ…んっ、いいよ。もっと早くして…っ、私が、イっても…止めないで、っ…!」

咲の小さな背中をぎゅっと壊れないように抱きしめて、
腰を執拗に咲の下半身に打ち付けて、射精するために快感を貪る。
より多くの悦楽を求めるために息を吸う。
部屋に充満した咲のフェロモンが、性臭が、肺一杯に広がって、
頭が惚け、もう腰を動かすことしか考えられないような気がしてきた。
「ひぎぅ…ぁんっ…、ふわっ…、んふっ…んんんっ…!?」
水音が激しくなり、ぱんっ、ぱんっと肉のぶつかる音が響き、
咲を身体ごと突き上げるたびに、ぎしっ、ぎしっとベッドが悲鳴をあげた。

「んっ、ふうっ…。好き、…好きだよ。京ちゃん…」
とろん、と蕩けた目でこちらを見つめてくる。
性の快感と、相手の雰囲気に飲まれて、お互いに思考が薄れていく。
「全部、中にぃ…、んっ、出していいから、ね…」
肉欲を求め合い、乱れて、快楽に身を任せて、子種を欲していた。
子宮を突かれ、身体ごと突き上げられるたびに、控えめな胸がぷるん、と揺れる。
京太郎はそれをとても魅力的に感じた。咲に甘えながら果てたい、乳房に自然と口を伸ばした。


47 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:59:09 RA6Hw1TE
「んっ、ちゅるるっ、ちゅううっ」
出もしない母乳を求めるように、乳輪ごと乳首を吸い上げる。
汗の味と、乳頭の感触を唇と舌を使って、思うが侭に味わった。
舌で転がすように舐めたり、吸い上げる毎に、膣内はきゅっと締まる。
縦横無尽に膣内を描き回す肉棒を押し潰すくらいに痛い程圧迫し、
痺れるような甘美な感覚が広がり、身体全体の熱が下腹部に集まってくる。

「んっ…、ふふっ、よしよーし…、頑張って、出そうねぇ、京ちゃん…」
母性がくすぐられた咲は慈愛を持った笑顔で頭を撫でながら背中を優しく抱きしめた。
母乳を与える母親のように京太郎をあやしながら、早まる腰の動きを受け入れた。

心休まる程に優しい声が麻酔のように広がり、心行くまで甘えたいと思った。
理性は崩壊した。全てを受け入れてくれる咲の膣内をテクニックも何もなく
絶頂を迎えるため、無造作に、乱暴に、壊れるほど激しく腰を打ちつけた。
咲の膣内のいたるところに京太郎の肉棒のカウパーやにおいが擦りつけられ、
それに応えるようにぐねぐねと絡みつき、射精をねだってくる。

「んんっ!京ちゃん…ひゃあっ!あともう少しだよ、頑張れっ、頑張れっ…ひぐぅ…っ!」
遠慮なしに喘ぎ声を響かせながら、頭を撫でて、背中をトントンと叩いて甘やかしている。
「ちゅるっ、ちゅううう!ちゅぶぶ、ちゅぱっ、じゅうううう!」
咲の小さな母性を感じながら、一心不乱に腰を打ちつけた。
ベッドが大きく軋み、喘ぎ声を響かせ、結合部から淫らな音を立てる。


48 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:59:29 RA6Hw1TE
「ちゅぽんっ、…ぐっ、咲、もう、そろそろ…」
快楽を解放しようと、スパートをかける。
膣内の奥に肉棒を沈め、絡みつく膣肉で扱くように腰を振る。
もう射精が近いと気付いた咲は、肉棒を引き抜けないように足をクロスさせ、
膣内射精以外の選択肢を排除させた。
「お、おいっ、咲!これじゃ、やばいって…!」
「んふふっ、…ナマで、しておいて、今更だよ…」

「京ちゃん。おちんちん頑張って、一緒にイこう?どぴゅどぴゅって出そう?」
止まらない腰の動きが、刻一刻と咲に種付けさせようと本能的に膣内を蹂躙する。
「ぐっ…出る、もう…だ、ダメだ…っ、このままじゃ…」

「んはああああん!ああっ、あっあっ…んんうっ!?ひゃあぁぁぁああっ!」
咲の身体が激しく痙攣して絶頂を迎えると、激しく抽送する肉棒は締まる膣肉を擦り上げ――。

ビュウウウウウウウ!!ビュルルルルルルッ!!ドビュルルッ!ドビュルルッ!ビュウウウウウウウウウウ!!

根元まで咲の膣内に挿入したまま、思い切り精液を子宮内に吐き出した。
「ひゃっ、ああんっ、くぅぅぅ…、京ちゃ…の、中にぃ…んんっ、たくさん…注がれちゃってるよぉ…」
甘い吐息を吐きながら、搾り取るように腰を動かし、子宮口がちゅうちゅうと精液を吸い上げる。
長く射精しながら、京太郎の腰は動き続け、無意識に咲を妊娠させようと、精液を子宮へ押し込む。
「んっ、まだ…出てるぅ。…動きながら、ひぅっ…、精液流し込まれて…妊娠させられちゃうぅぅ…!」
歓喜と快楽の絶頂にびくびくと未だに腰を痙攣させる。

「はぁぁぁ…んぐっ、ふ、うぅぅぅぅ…、はぁぁぁ…すっげえ、気持ちよかったぁぁぁ…」
ねっとりと、しつこく子宮や膣肉に精液を練りこみながら、子種を吐き出し終わり、
身体全体から力が抜けた咲から、ようやっと肉棒を引き抜いた。

見たこともないほどに真っ白くどろどろとした濃い精液が咲の割れ目から垂れる。
「うわぁ…、すごい…、濃くて、…んっ、たくさん…」
垂れてきた精液を掬い取って人差し指と親指で伸ばす。
「こんなに、中に出しちゃうくらい、すっっっごい、気持ちよかったんだね」
ニッコリとしながら、割れ目をくぱぁっと広げて、京太郎に見せ付ける。
「あ、あああ…っ、あああああ…、やって、しまった…」


49 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 00:59:49 RA6Hw1TE
息を切らし、汗だくになりながら、淫靡な雰囲気を醸し出しながらぐったりとしている咲を見て、
枯れる程に出したはずの肉棒が痛い程に膨張していた。醒めない興奮と性欲に、ヤり足りなさを身体が見せつけていた。

「まだ、えっち…する?」
一度中出しをしたことで、もう京太郎は全て吹っ切れてしまった。

しかし、部屋を汚して親に気付かれることをどうしても避けたいという理性だけ戻っていた京太郎は、
咲を横抱き―通称、お姫様抱っこである―をして、身を隠しながら風呂場へ向かった。

それからはもう、思春期の覚えたての性欲が燃え盛り、
全てを受け入れてくれる咲に松葉崩し、抱き地蔵、乱れ牡丹、思いつく体位を試しながら膣内射精を繰り返した。

…………
………
……


風呂場が、精液と愛液と、二人と体臭と性臭によって充満され、あちこちに淫らな液が飛び散っていた。
二人とも色々な液を被り、ぐちゃぐちゃになりながら、まぐわっていた。
「んっ…京ちゃん、…出るの…?」
咲はぐったりとして、抱きかかえられたまま声をかけるだけになっていた。
「ああ、また出る…また中に出すからな…」
「んっ、…来て…」

咲の小ぶりで柔らかい尻を持ち上げて、降ろして、性玩具のように扱いながら射精感を高める。
もう何時間も連続して続けているセックスに、咲の膣内は肉棒の形を覚え、
具合はトロトロになっていて、京太郎専用の名器へと変貌していた。

自分に都合がいい膣を使い、自分勝手に自慰をするように尻を揉みしだきながら射精をした。
何度も膣内射精を繰り返したおかげで、入りきらなくなった精液がどろどろと溢れ出し、子宮内の精液が循環される。
そのまま、肉棒を引き抜いて、目の前に座らせると、咲は精液塗れの肉棒を献身的に舐めながら、尿道精液を吸出した。

「流石に、もう出ないわ…」
「私も、もう…無理かも…」
胸板に倒れこんでくる咲をシャワーで綺麗に洗い流し、汚れたタイルの床や壁を温水で除去すると
動けなくなった咲を介抱しながら、服を着せて、部屋に辿り着いたのは夜中の2時であった。

心身ともに疲れきった二人は一緒の布団で抱き合いながら眠りについた。


50 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 01:00:21 RA6Hw1TE
目覚まし時計のならない週末の朝、京太郎が目を覚ますと、
いつの間にか微笑みながら膝枕をしている咲と一番最初に目が合った。

「おはよ。京ちゃん」
「…おう」
昨日の今日で、あれだけ乱れたことを思い出し、少し恥かしくなった。

「朝ごはん、食べる?」
「…うん」

「じゃ、一緒にリビングにいこっか」
言われるままにリビングについていくと、置手紙がテーブルに置いてあることに気付いた。

『京太郎へ
 
 そういう時期だし、咲ちゃんとイチャイチャしたい気持ちは分かりますが、節度は守ってください。
 とても騒がしくて、母さんちょっと寝不足でした。アト、避妊は絶対にしなさいね。 母より』

身体が数秒硬直し、その場にしゃがみこんだ。
「あああ…何もかんも駄目じゃねえか…。うわぁ…、死にてぇ…」
「よかったね、京ちゃん。親公認だよ!」

「はぁ……お前は気楽だなぁ、大体咲、お前のせいで――」
「私は本気だもん。本気で京ちゃんが好き。愛してる。赤ちゃんだって欲しいもん」
気圧された。また、この感覚だ。一体、咲の中に何が巣食っているのだろう。
そう勘繰らせるような咲の人の変わりように、たじろいだ。

「京ちゃんだけは…、私の前から、勝手にいなくならないでね…」
「…ん?…う、うん。分かった。傍にいてやるよ」
「ずっと、…ずっとだからね」
咲の可憐さに、謎の色香に、無償の愛に、献身的な態度にすっかり忘れていた。
自分は、おかしくなった彼女が、何を仕出かすか分からない狂気的な恐怖を。
だが、今更京太郎は咲から離れる事も出来なかった。
もうそれほど、咲の魅力にとりつかれ、切っても切り離せぬほどに精神も肉体も依存しきっていた。


51 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 01:08:25 RA6Hw1TE
書き溜め投下完了です…。
とりあえず、今回趣味が炸裂したので
次から話の展開を少しだけ早くします。


52 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 01:14:14 XeJuLnO.
ヌッ


53 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 01:42:40 em3VamBc
ヌッ! ヌッ! ヌッ!


54 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 14:18:37 5Qv0JYC2
NaNじぇい官能文学部かよ(驚愕)
これは>>1兄貴の好みの小説や作家が知りたいですね…


55 : ケツマンコトレイン :2015/11/11(水) 15:23:09 ???
イキソイクッ!


56 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 15:36:50 Pv/HgkNI
ヌッヌッヌッヌッ!
仕事の昼休みに読むんじゃなかった


57 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 15:37:38 S2sz8t8Y
悲しいことに貧乳ちんちくりんではぴくりとも来ない


58 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/11(水) 16:28:36 RA6Hw1TE
早くて明日の日付が変わる前には再開します。
遅漏だけど許してくれよなー、頼むよー

>>54
エロ系のラノベなら好きなレーベルは二次元ドリームですね。

エロゲにも関わってる作家さんで好きな方は沢山いて、選べないですが、
強いて言うなら、渡辺僚一先生、鏡裕之先生、桜井光先生です。
最近出てきた人だと永遠月心悟先生や丸山剛先生がいいなあと思います。

ライトじゃない小説は読む機会がないのであまり分かりませんが
横山秀夫先生が書くミステリー系の作品が好きです。

>>57
(今回は巨乳じゃなくて)すまんな


59 : 曇りのち晴れ :2015/11/11(水) 18:00:23 ???
これはいい京咲


60 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/12(木) 22:16:16 zU4irmkY
これは名文ですわ


61 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 00:11:43 Q76CvgL.
すみません。プロットは出来ているのですが
どう話を繋げばいいか解らず思ったより難航しています

続きは明日中に上げます。待たせてすみません。


62 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 01:09:51 SSmEteHM
>>61
謝る必要ないし無理しないでもっと気楽にやってどうぞ。いくらでも待ってるから


63 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 02:19:31 Pu/eSF/Y
ええんやで


64 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:11:50 Q76CvgL.
間をあけるのもアレなので途中までですが投下します


咲を初めて抱いてから、もう十日が経っていた。
夢の終わりであったはずの五月の終わりは疾うに過ぎ去り、京太郎は胸を撫で下ろしていた。

性の味を覚えたての十代半ばの絶え間なく湧き出るリビドーは、その全てが性的欲求に変換され、
週末が訪れる度に「勉強会」と称して、夜遅くまで咲との情交に明け暮れていた。

しかし、不安が無くなったわけではなかった。不可解な拍子に現れる、咲の異変。
それが現れる頻度は、以前よりも明らかに増えていた。
だが、距離を取ろうとすれば、それは強まっている気がして、いよいよ咲から離れなくなっていた。

いつもと変わらない放課後、少し早めにHRが終わった京太郎は、足早に旧校舎へ向かった。
もう既にそこには咲が待っている気がした。
「……おつかれーっす」
中の様子を窺うように扉を開ける。果してそれは正解だった。
椅子に凭れながら、堅苦しい装丁のハードカバーの本―近代作家の全集だろうか―
を読み進めている咲は、まったくこちらに気付く気配がなかった。

世間様からは地味と評される容姿だが、陽光に当てられて、緩やかな風に髪を靡かせ、
穏やかだが真剣な表情で読書をする様は、贔屓目に見なくても眉目秀麗であると思わされる。
ここ最近の不安定な咲とはまた違う雰囲気の近寄り難さにどう声を発していいか困惑した。

清純さが強調された咲をまじまじと見つめた。決してふくよかではない、凹凸の少ない体躯をしている。
よく見慣れた身体のラインに、情を交わしているときの咲の裸体が瞼の裏にチラついた。


65 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:12:49 Q76CvgL.

「よ、よぉ…、咲!」
卑しい妄想を掻き消すように大きく声をかける。

不意の大声に身体を硬直させ、京太郎の貌を目にいれると

「京ちゃん、早かったんだね」
微笑みながら小さく手を振った。
純粋そうな表情が眩しくなり、目を逸らす。
「どうしたの?」
「ああ、いや…ちょっと咲に見惚れてただけで」
「うふふ、京ちゃん。そんな事言っても何も出ないよ?それに」
すっと席を立ち、此方まで歩み寄ってきて
「ここ、大きくしてたら、下心丸見えだよ」
与り知らぬうちにふっくらとしていた京太郎の陰部を手で優しく撫でた。

「まだ金曜じゃないのに、我慢出来なくなっちゃったんだね」
布越しに、陰茎をしゅっしゅっと手馴れた動作で擦り上げて刺激をする。
「いいよ…、皆が来る前に1回出しちゃおっか」

「う、嘘だろ…?まだ、真昼間だぜ?もうすぐ優希も来るって」
「…じゃあ、金曜までお預けにしとく?」
「そ、それは………でもなぁ、お前、学校でこんなことしたら――」


66 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:14:26 Q76CvgL.
結局のところ、自分は誘惑に弱く、流されやすい人間なのかもしれない、と京太郎は思っていた。
そうでないとしたら、余程この宮永咲という女性が男の本能を擽ることに長けているに違いなかった。

言われるがまま、ベッドに仰向けにさせられた京太郎の目の前に、制服を身に纏った咲がちょこんと座る。
「制服姿でえっちなことするのって、初めてだね」
「ああ…、何か変な気分だよ」
さっきまで清純を気取っていた咲が、得意気にファスナーを下ろし、勃起した男根を取り出した。
「私の何を想像して、こんなにパンパンに大きくしてくれたのかなぁ」
緩りと、繊細に扱うように上下に手を動かして、男根の太さ、長さを手に馴染ませる。
「んっ、れろぉぉぉぉ……」
そのまま穏和な手つきで男根の奉仕を続けながら
温柔な舌全体で裏筋を舐め上げてから、亀頭にぐるぐると這わせた。
纏わり付くようにねっとりとした手淫に、こそばゆい程の心地よさと、興奮を感じた。

次第に、血管が太く浮き出て、尿道が肥大化してくると、
切っ先からは尿道球腺液、所謂カウパー液があふれ出してきた。
「れろれろんっ…ちゅっ、ちゅるっ、…ふふっ、もう調子がいいみたい」
天然の潤滑油に滑りをよくした手を少し強く握り、次第に早めていく。
水音を立てながら、しこしこしこしこっ、と刺激を強める。
「咲っ…、咲の手と舌が気持ち良いよ…」

「うん、我慢しないで、好きなだけ気持ちよくなってね…、れろぉっ」
裏筋を往復して嘗め回しながら、しっとりとした手つきで亀頭をぐにゅぐにゅと揉まれる。
「もっと、強くしてくれないか。早く出したいんだ…」
「…出したいの?」
「当たり前だろ!皆来ちまうだろうが…」
「分かったよ。けどね、京ちゃんが出す精子は、全部私の膣内に、…ね?」
淫らに微笑んで、背徳的な誘惑を投げかけてきた。


67 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:15:34 Q76CvgL.
聖なる学び舎。健全な精神と肉体と、学力が培われる青春の在り処。
本来そうあるべき場所で、相応しくない行為が、密かに始まっていた。

「今日は私が動くから、京ちゃんは何もしないで力を抜いててね」
咲は、京太郎の陰茎の真上に立って、スカートの中に手を入れると、
歳相応に可愛らしい下着をゆっくりと降ろした。そうして、脱ぎ終わった温もりのあるそれを手渡す。
「京ちゃん、想像してみて…。私は、学校で今…ぱんつを履いていません。もちろん、このスカートの中は…」
「…………!」
ごくり、と喉を鳴らし、咲の陰部を想像しながら、スカートを見つめる。

「だから、こうするとね…」
陰茎を天井に向け、手で固定しながらゆっくりと腰を降ろす。
その様子は布の向こうに隠れて見えず、ただ根元を握られている感触だけが分かった。
ピトっと、大陰唇と陰茎がスカートの中で邂逅を果たした。
「ほら、…んっ、どんどん入っていくよ」
ヌルヌルと温かく包まれる感触が、焦らすほどゆっくりと滑りながら亀頭の先から埋め尽くされていく。
不可視の先で、濡れた女陰に進入していく。掻き立てられる妄想で、陰茎は更に興奮させ、最高に膨張していた。
「はぁぁ…、ふ、ぅぅ…、んっ…」
初夜が嘘のように、いとも簡単に咲の膣内は勃起をすべて飲み込んだ。
根元まで肉棒をくわえると、京太郎の陰部の上に咲の臀部が重なり、
心地よい咲の重さが、腹部に圧し掛かった弾力のある柔らかい太腿と小ぶりな尻を通じて伝わった。

京太郎以外を知らない女陰は、ピッタリと陰茎全体に張り付いて、再会の喜びにうねっていた。
「うぉぉっ、マジか…!」
もう十分に手扱きで快感を与えられていた京太郎は、すぐにでも射精しそうな快感を感じる。
「えっ、もう出そうなの?…いいよ、たくさんちょうだい…」
京太郎の胸板に体重を預けながら、上下左右に腰をくねらせる。
生温かい膣肉が陰茎を揉み解しながら、亀頭が膣壁を擦らせて、白濁がもうすぐそこまでこみ上げてきた。
ビュルルルッ!ビュウウウッ!ドビュッ!ドビュッ!

「ふ、…う…っ!ぐ、ふぅぅぅ…」
回数を重ねるごとに具合のよくなっていた。
もはや、名器と呼べるほどに男を悦ばせる女穴に、早くも欲望を放出した。
流動性の低い、ドロドロとした精液が、子宮内に粘りつくように緩やかに流れ込む。
咲の膣内に精を放出するたびに生じる強烈な快感に、思わず声が漏れた。
「あンっ、ふ、ぅぅ…、…京ちゃんのから、熱いの、たくさん流れてくるよ……。んっ、…私のナカ、そんなに気持ちよかった?」
確実に孕ませようとしてくる京太郎の肉棒に子宮を満たされる感触を感じながら、恍惚の表情を浮かべながる。

いまだ純潔を守っていそうな雰囲気を纏う、制服姿の咲の口から隠語が放たれる。
そのアンマッチに、普段と段違いの卑猥な雰囲気が射精に萎えていた陰茎をすぐに大きくさせた。
「ねえ、京ちゃん。おちんちん、まだ私のおまんこと離れたくないって、言ってるよ?」


68 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:15:58 Q76CvgL.
カツン、カツン…。人気のない旧校舎に響くリノリュームの床を踏む足音が人が近づいていることを知らせる。
「や、やばい…っ、お、おい…咲」
まこ、優希、久、和。誰だろうと、この足音の主にこの状況を見られるというのは好ましくなかった。
咲の腹部を掴み、一気に持ち上げようとする。
「ワタシから離れたいんだ、京ちゃん。」
引き抜かれた直後に、声のトーンが変わった。平坦で、表情のない声。
聞くたびにリフレインされる、腹部を切り裂かれる記憶。戦慄した京太郎は、その場から動けなくなった。
「…冗談だよ、何でそんな怖い顔してるの?」
いつもの声色に戻り、顔を覗き込んでくる。
発作のように現れるそれに慣れたはずでいて、結局何一つ行動できない自分を自嘲した。

それから汚れた陰部を互いに拭き合い、篭った二人の性臭を換気させた。
「ふぅ…なんとか間に合ったみたいだな」
「そうだね、ちょっと…ふざけすぎちゃった。ごめんね京ちゃん」
その場凌ぎ程度ではあったが、なんとか片付けも終え、訪問者の入室を待った。
しかし、作業に必死になっていた所為か、いつの間にか足音は消え、誰の気配もなかった。

「…?おかしいな、誰も来ないのか」
京太郎が声を上げたと同時に、1階から複数の足音がした。

「忘れ物してたのかな…」
咲は首を傾げる。
「まあ、いいや。咲、俺たちだけでも部活の準備を始めておくか」

時計は放課後が始まってから十数分が経っていた。
奇妙に集まりの悪い部活は、ようやく始まろうとしていた。


69 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:24:25 Q76CvgL.
「おつかれっしたー、お先失礼しまーす」
山の稜線に太陽も沈みかける頃、咲と京太郎は部室を後にした。

お互いに、何も言うことなく、それでも意識しながら夕暮れを歩いた。
確かに咲への恐怖を抱くこともある。けれども、それ以上に二人でこうしている時間が楽しかった。
夢の中の自分が何故に咲から離れようとしていたのか。考えるのも馬鹿馬鹿しくなった。

「それじゃあ、咲。また明日」
「うん、じゃあね。また明後日までお預けだよ?京ちゃん」
「う…、わ、分かってらい!…そんじゃな!」
家路の途中で咲と別れる。
咲と一時でも離れる寂しさと、やっと一人になれた、という安堵感が同時に押し寄せる
複雑な心境に、歩む自然と早くさせた。辺りはもう薄暗くなっていた。

「ただいまー」
明かり一つついていない真っ暗な家の中に一寸辟易する。
「あれ、…どうしたんだろう。ま、まさか…」
最悪の事態が浮かび、動悸が激しくなる。
真実を確かめるため、出来るだけ多くの明かりをつけて居間へ向かい
「父さん!母さん!」
勢いよく音を大きく立てながらドアを開け放つ。

「なんだこれ」
居間に入ると、食卓のテーブルには一枚の書置きがあった。
『チケットが当たったので母さんとお父さんは旅行に行ってきます。
 作り置きが冷蔵庫にあるので、それを食べてください。
 追伸、咲ちゃんを家に呼んでもいいですが、ハメを外し過ぎないように』

「はぁ…?いくら何でも唐突すぎるだろ。何だよまったく」
呆れたように書置きから目を外し、クシャクシャに丸めてごみ箱へ投げる。
綺麗な放物線を描き、ゴミ箱に音も立てずに入った。
「まだまだ訛っちゃいねーか。………ん?」
ふと、備え付けてある電話に留守電が数件入っているのが目に止まった。

「父さんと母さん、あれで俺のこと心配してんのかな」
満更でもなさそうにしながらメッセージを再生させた。


70 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:24:56 Q76CvgL.
ブツッ…ブツ、ブツザーー、とノイズ混じりに一定に強く風の吹く音が聞こえてきた。
山か、丘か。兎に角、高いところから電話をかけていることは明白だった。
『今すぐ宮永咲から離れろ』
電子的に変換された男とも女ともつかない無機質な声。
『でないと、お前を殺さないといけない。須賀京太郎』

「!?な、何で。お、俺は」
唐突に物騒な言葉が聞こえ、うろたえた。だが、思考をさせる暇なく、まだ言葉は続く。
『私は君をみている。いつでもお前を処理することは出来る。
 しかし、私は手を直接下したくはない。だから、宮永咲とは金輪際関わるのをやめろ』

「おいおい…、冗談はやめてくれよ」
薄気味悪い警告に恐怖で半笑いになりながら後退り、見慣れた部屋を見渡す。
壁に不自然な凸みがあった。触れてみると、壁紙が捲れるようになっている。
恐る恐るそれを剥がすと、鉛筆サイズ程に小型のカメラがが露出した。
「えっ……、これって、嘘だろ?」
背中から嫌に冷たい汗が滴った。もしかして、本当に自分は命を狙われているのか…。
まずは何も考えないで、そのカメラのコードを力任せに千切った。

『今後、君の態度に変化がないと看做されたとき、その時は――』
ブツ、っと無理矢理に通話を切ったような音が聞こえ、メッセージが終了した。

「どうすりゃいいんだよ…、俺は」
今迄訪れたことの無いような危機的状況に京太郎は頭を抱えた。

離れれば―今更離れる気はないが―咲に殺されるかもしれない。近づけば、得体の知れない誰かに命を狙われる。
心の中にあった不安材料にマッチ一本分の小さく燃え盛る火種がくべられた。
誰かが自分を見ている。一体、誰が?部長、和、優希、まこ、思いつく周りの人物を浮かべた。
誰もが有り得なかった。だが、誰もが怪しく思えた。ぐるぐると、巡る思考に思考を重ね、
じわりじわりと追い詰める悪感情に、漠然と広がる恐怖に疑心暗鬼は強まった。

他に隠しカメラが無いか、家中のあらゆる場所を探した。トイレ、風呂場、脱衣所、洗面台、寝室、玄関、私室、父の書斎。
あらゆるところに数箇所配置してあるのを見つけた。そうして、全ての部屋にあるカメラを見つけ、気付くともう朝も過ぎていた。
もう大丈夫だろうか。一握ほど残る不安と、安堵感、押し寄せる疲労が睡魔を呼起こし、学生服のまま、京太郎はベッドに倒れこみ、泥のように眠った。


71 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/14(土) 22:27:32 Q76CvgL.
とりあえずここまでです、次もなるはやで仕上げます。
待っててくださってありがとナス!


72 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/15(日) 23:01:12 mzbpP3HI
TLLLL....TLLL....
耳元で着信を報せる携帯の音に目を覚ます。もう夕暮れ時だった。
遮光カーテンの隙間から漏れ出す赤い光が、あの日見た夢と同じ色彩に部屋を彩っていた。
ハッとして鳴り続ける携帯を見る。非通知でかかってきていることが分かる。
耳に残っている正体不明の人物が思い浮かぶ。カメラについて抗議するつもりなのだろうか。
兎に角、出なければ事態は悪化すると考え、尻込みせずに、直ぐ様携帯を手に取った。

『電話に出るのが遅かったね』
予想通りだった。昨日留守電で聞いた無機質な電子ノイズ混じりの声が聞こえた。
「何のつもりだ…」
『何のつもり?それはこっちの台詞。君、勝手にカメラを壊したね?』
「…ああ」
『困るんだよなぁ…、そういうことされるとさぁ』
「…………」
『まあ、そんなことされても見えてるんだけどさ』
「ど、どうせハッタリだろ」
『どうかな。例えば君は今自分の部屋にいるよね。それでベッドの上に座ってる。
 そして入り口のドアをじっと見つめてるはずだ。僕が来るのを警戒してるのかな』
「…!!ど、どうして」
『だから言ってるじゃないか。僕は見えてるんだよ。四六時中ずっと、君が何をしているのか』
「何でこんなことを…。ここまでする必要はあるのか?」
『ああ』
「何の為だっ!」
『君と宮永咲の必要以上の接触を避けるためさ』
「何で俺が咲と一緒にいちゃならないんだよ」
『ふふふ、教えられないね。君には関係のない話だ。これは、僕と宮永咲と…、コホン。彼女と僕との問題だ』
「俺が咲に対して何にも意味を持たないような言い方じゃないか」
『その通り。君は端から蚊帳の外だったってワケだ、そろそろ良いかい?僕も忙しいんだ』
「……っ!!…一つ、教えてくれ。お前は一体誰なんだ?」
『………僕は――――』
言いかけると、電話が不自然にブツっと音を立てて切られる。それと同時に玄関が開いた音がした。
「(まさか…)」
昨日の今日で両親が帰ってくるわけでもない。家の鍵を持っている者はそれ以外にはいないはず。
順当に考えるのであれば、侵入者は電話を掛けてきた正体不明の人物に違いなかった。
京太郎は、部屋にある出来るだけ長い獲物を探し出す。
そうしてクローゼットに立て掛けてあった金属バットを持ち出し、その場で構えて待機した。


73 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/15(日) 23:01:29 mzbpP3HI
足音は廊下を進み階段を上ってきている。どうやら一直線にこの部屋へ向かってきているらしい。
「(俺の居場所さえも見えているのか…)」
恐怖と焦りと不安とが、力みすぎる程にバットを強く握った。
2階の廊下を踏みしめ軋むような音が聞こえ、部屋の前で足音は止まった。
――――来るッ!
ドアノブがくるくると回り、ギィィ…と音を立ててドアが開いた。
先制を仕掛けるためにバットを大きく振り上げて入り口に飛び込んだ。
「えっ、きょ、京ちゃん!?」
「な、…咲!避けてくれっ!!」
予想外だった。足音の主は咲だった。声で理解した後、ようやく目に写った情報が処理され、彼女の姿を視認した。
「きゃああっ!」
咲の悲鳴が響く。行動を停止させようと思ったがもう遅かった。咲の顔前に迫っていた。
力いっぱいに下方へ力を入れ、バットは咲の脳天目掛けて振り下ろされ
「うおォッ!さ、咲ィッ!?」
力一杯、無理やり横に力を加えて何とかバットの軌道を無理やりにずらした。
咲に強力な一撃は当たらず、ビュンと音を立てて空を切り、手からすっぽ抜けたバットは激音を放ち、床を大きく凹ませた。
考え無しにドアへ走った慣性に身体が止まらず、咲に激突し、廊下に飛び出す。
「きゃっ!?え、何、何なの!?」
驚き怯えながらまったく意図しなかった事態に状況が飲み込めず、そのまま突き飛ばされる。

このままでは咲が後頭部を殴打させてしまう。咄嗟に咲を抱きしめ、自分が下になりながら、
勢い良く倒れ始め、床に叩きつけられた強い衝撃と倒れこんでくる咲の全体重のサンドウィッチが京太郎を襲う。
「ぐふっ…、う、うぅ…。ゲホッ!ゲホッ!いったた、こりゃきっつい…ん?」
胸板の方を見ると、カンカンに怒った咲が頬を膨らませてこちらをジトーっと見ていた。
「京ちゃん…?どうして?何でこんなことしたの!」
「ちょっと色々あってな…。お前こそどうして俺の家に?鍵がかけてあっただろ」
「私は、昨日家に帰ったら、お父さんが京ちゃん家の鍵持ってて、おばさんに『京ちゃんをよろしく』って渡されたって」
「はぁ…?マジかよ…、俺どんだけ両親から信用無いんだよ…」

「それよりっ」
京太郎の制服を両手でぎゅっと握り締めて、顔を近づけてくる。
「京ちゃんはどうしてあんなことしたの?説明してっ」
「それは、…あのぉ」
咲に全てを打ち明けるか否か、逡巡する。どちらに転んでも危険な気がした。


74 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/15(日) 23:01:54 mzbpP3HI
悩んだ末にここで咲に秘密を作るのが一番リスクが高いと判断した京太郎は
包み隠さず昨日から今まであったことを伝え、隠しカメラと留守電を咲に提示した。
「――――っていうワケなんだ。咲は何か心当りが無いか?」

「うーん、何も無い、と思うけど。…私をからかうための冗談じゃないよね?」
怪訝そうな面持ちで京太郎を見つめた。見る限り半信半疑になっている。
まだ秘密を隠しているのではないか、そう言いたげな表情をしていた。

「冗談じゃない、本当のことなんだ、信じてくれよ、咲!」
それでも、信じてもらうしかなかった。咲の両肩を掴みまっすぐ瞳を見つめて訴える。

「い、痛い、痛いよ。京ちゃんっ」
「う、あ…わ、悪い。少し取り乱しすぎた…」
ここ最近、情緒不安定になっている自分を戒めながら、苦い顔をする。

「はぁぁ…、本気で言ってるんだね…」
「京ちゃんが無断欠席したって聞いたから心配になって部活休んで来たけど、正解だったみたいだよ」
「そ、そこまでして来てくれたのか」
「当たり前だよ。だって、京ちゃんは私の大事な人だから…」
「咲……」
自分を理解してくれる咲の存在のおかげか、少し心に余裕が出てきた気がした。
咲が自分に危害を加える存在などと疑ったことに罪悪感を覚えた。

「でも、それなら尚更心配になるなぁ。自作自演じゃないなら、悪戯にしても度が過ぎてるよ」
「だよなぁ…、カメラは全部取ったつもりが、今も見られてるらしくてな。身の危険を感じるよ、全く…」

「…それじゃあ、さ。私の家で寝泊りすればいいよ、そうだ!そうしよう、京ちゃん!」
「いいのか?親父さん、怒るだろ、そんなことしたら…」
「いいんだよ。お父さんは許してくれるよ。それに、私たち以外に大人がいた方が安心できるよ、ね?」
「ああ、そりゃあ、まあ」

「それに、その誰かが表に出てこないで遠まわしに悪戯する人で、私に執着してるんだったら
 態々目の前に出てきて私の目の前で危害は加えないはず、京ちゃんのためにも、私のためにも一緒にいるのが安全だって」
「ははは、分かった、分かったよ。じゃあ、咲の家にしばらく泊まらせて貰います。よろしくお願いします」
「や、やっt―もとい、うん、いいよ。じゃ、すぐに荷物まとめて、私の家に行こう?」

一緒に居たいがために必死に理由を考えて引切り無しに言葉を連ねる咲を見ていると自然と笑みが零れた。
それが可笑しいわけではなかった。それ程自分が好かれ、必要とされ、守ろうとしてくれる咲の姿が嬉しかった。
明確な「味方」の存在に緊張が解れ、心から嬉しくなって笑った。咲と付き合い始めて、久しく忘れていた感情だった。

そうと決まれば話は早い。必要最低限の物を鞄とザックに詰め込んで、二人は足早に須賀家から退散した。


75 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/16(月) 12:05:55 c.OVfFks
なんだこのSSの皮かぶったサスペンス小説!?


76 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/16(月) 14:40:58 jiULrtD.
咲さんの自演だと思うんですけど(凡推理)


77 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 02:51:10 cTCpfwkM
今晩には投稿します。日にち開いてすみません


78 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:32:11 cTCpfwkM
区切りが分からないので、適当なところまで進めますね。遅くなってすみません


79 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:32:42 cTCpfwkM

「咲の家に来るのは久しぶりだなぁ」
毎日のように目に入る風景だというのに懐かしさを感じていた。
「京ちゃんが最後にうちに来たのって、中学生の2年の夏辺りだっけ?」
「あれっ、そんな前でもないのな。すっげえ懐かしいつもりでいたけど」
「そんな前に感じるくらい中学の頃の京ちゃんは部活頑張ってたんだね」
言われてみれば。中学時代の記憶を引っ張り出す。
咲は、試合がある度に応援に来てくれていた気がする。今とは違い、麻雀から離れ、本にしか興味が無かった頃だ。
だのに、彼女は練習試合であったとしても、応援席から手を振ってくれた。
咲はずっと昔から自分を見てくれていた。その想いに自分はずっと気付いていなかった。

「なんか、今までありがとうな」
「…?ふふっ、どういたしまして。お父さんと話してくるから、京ちゃんはちょっと玄関で待っててね」
玄関に入り、咲は急いで靴を脱ぎ終え、几帳面にそれを揃えると、書斎へ駆けていく。

一気に手持ち無沙汰になった。玄関から見える景観を見渡した。
何の変哲もなく伸びる廊下、2階へ続く階段。二人家族にしては多すぎる部屋の数。
そして、物々しい引き戸が階段の横の薄暗い隙間にあった。
「(よく覚えてないけど、なんか気になる家だ)」
特に気になるのは物々しい引き戸であった。そちらをじっと京太郎は見つめていた。
「やあ、いらっしゃい」
「!あ、ど、どうもっ!」
油断していた。階段の方ばかり見ていて、全くその人の姿が目に入っていなかった。
宮永界、咲の父親。顎に無精髭を蓄えていて、老いをあまり感じさせない顔立ちをしていた。
表情は無気力だが人の良さそうな顔で微笑みつつ京太郎を出迎えた。

「京太郎くん、久しぶりだね。咲と仲良くやってくれてるんだって?」
「いえ、こちらこそほんっとうにお世話になりっぱなしで」
「ははは、咲がか!そりゃいい。やっぱそういうものかね、人が変わるってのは」
「あ、ああ…はぁ…」
「お父さん、京ちゃん、ご飯作るまでリビングでゆっくりしてて、すぐに用意するから」
廊下の奥から咲の声が響いてきた。

「だ、そうだ。丁度よかった。君には、咲がいないうちに聞きたいことがあったんだ」
「?」


80 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:33:54 cTCpfwkM
「なあ、京太郎くん。最近、君の身の回りで変わったことは起きてないかい?」
「!!何か、知ってるんですか?」
「やはり、何か起きていたのか…。まあいい、家に来たのなら安全なはずだ」
「それって、どういう事ですか?」
「君に教えるほどのことじゃないさ」
「あなたも、教えてくれないんですね…」
「仲間外れにするつもりじゃないんだ。ただ、巻き込むべきじゃないと思って」
「………、もう十分に巻き込まれてますよ。ここ1ヶ月くらい、ずっと」
「そうか、そんなに前から…」
「それでも、教えてくれませんか?何が起きているのか」
「…すまないね」
咲の異変や、悪戯のことについて、何か手がかりが得られると思った。
結果は糠喜びに終わってしまったが。ともかくこの宮永界が、重要な情報を握っていることは確かだった。
なんとかして聞き出すことはできないものか、考えているうちに、気まずい沈黙が続いた。
そして、そのまま咲が来るまで二人は黙ったまま、向かい合っていた。

その後、何事も無かったように少し早い夕食に三人で団欒して、二人暮らしにしては広すぎる湯船を満喫し、
風呂上りに少し心に残る不安を抱きながら、保障された安全な空間で寛いでいた。
今までずっと気を張っていたおかげで安堵に緊張が緩み、どっと疲れが押し寄せていた。

界に、実家だと思って好きにしていいと言われたが、結局何をするわけでもなく
一番落ち着くであろうと考え、咲の私室で男女二人きりになっていた。

部屋は本棚ばかりでまったく女性らしさを感じさせなかった。
強いて女子らしいものといえば洋服箪笥と衣装染みたロリータ系の服くらいだろうか。

昔はよく来ていた部屋だった。だからこれがベストな選択だと思っていた。
だが、誤算だった。恋人の匂いが充満する部屋で、気持ちは落ち着いても
本能的な昂ぶりを抑えるのが難しく、ついつい挙動不審になりがちであった。


81 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:34:22 cTCpfwkM
咲も特にこちらの視線を気にするわけでもなく、だからこそ、穏やかに流れる時間を壊さないようにした。
必死に取り繕う表情が気になるらしく、微細に身体を動かすたびに咲がこちらをチラチラと見上げた。
「緊張してるの?違う部屋用意してもらう?」
「そういうわけじゃあ、ないけど」

「…この部屋、咲の匂いしかしないな」
「そう?まあ、私の部屋だからそうなのかな」
互いに
どちらが誘うわけでもなく、寝巻き姿のラフな格好で体をくっつけて体温を感じながら隣同士で座っていた。
携帯を弄っていた京太郎だったが、咲が何をしているのか気になり、鼻先を向け見下ろすように眺める。
集中して本を読んでいた。風呂上りの咲の芳香が鼻腔をくすぐられ、内に秘めた劣情が湧き出していた。
「…………」
生唾を飲んだ。安堵したら直ぐこれだ。愚直に反応し、一物を大きくさせてしまう己に呆れてしまう。

ふと、胸元が目に止まる。控えめに膨らんだ乳房と桃色をした乳頭がライトブルーのパジャマから見え隠れする。
その無防備な胸元から見える未成熟な果実を今すぐ自分のものにしたいと無意識、本能的に心が動いたに違いない。
意識したときにはもう身体は動いていた。柔らかく、華奢でたおやかとも言える身体を逃げられないように抱きしめて、胸に優しく触れる。
驚いたようにピクンと身体全体を攣縮させると、紅潮させた不安そうな顔で此方を向いた。

「ふぇっ、きょ、京ちゃ…っ、んっ、むぅっ…」
我慢ができずに、当惑する咲の唇を啄ばみ、考える暇を与えぬようにパジャマに手を入れて胸をまさぐる。
人差し指と親指で乳輪をなぞる様にして、乳頭を摘み、揉むように刺激する。
「んっ、んんぅっ、んむっ、ふむぅ、ふううぅぅうんっ…」
咲の舌に吸い付きながらリズミカルに揉みしだきながら乳頭をいじめると、すぐに硬くなりはじめた。
揉む度にあげる声はすぐに色を帯び始め、ピクンと身体をヒクつかせて、軽い絶頂が訪れたことを報せた。
もう、軽く弄ったくらいで絶頂を迎えるほど、咲の乳首は開発が進んでいた。

今まで淫猥な雰囲気で情交を求めた咲とは思えぬ生娘のような反応の新鮮さに、陰茎は更に苛立ちを覚えた。
今すぐにでも姦したいといきり立つ怒張を信用ならない理性で抑え、唇を離すと、咲の顔を見つめなおした。

「京ちゃんっ、いきなりなんて、…ひどいよ」
涙ぐむ咲を見て、ハッとした。嫌がる咲を無理やり穢そうとしてしまった。望まぬままに絶頂させてしまった。
これは最早、陵辱と言っても過言ではない。悟った京太郎は、抑制できなかった衝動に後悔した。

「ご、ごめんっ!今までにないくらいムラムラしちまって。やめたほうがいいよな」
極度の疲労と、心に刻まれた不安をかきけしたい、解離させたいという心的作用が咲に対する情欲を沸き騰がらせ、
手篭めしてしまう程に滾っていた。だが、咲への想いに進入させていた手を引き抜き、申し訳なさそうにした。

「咲なら何でもしてもいいって甘えすぎてたわ…。ほんとごめん、気をつける」
自分への嫌悪と咲への気不味さに肩を落としながら足早に扉を開けて部屋の境界を跨ぐ。
「あ、待ってっ、そういうことじゃなくて」
咲が自分を庇おうと何とか言葉を捻り出そうとしているように見えて、情けなくなり、聞く耳を持たず部屋を離れた。


82 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:35:03 cTCpfwkM
「はぁぁぁ、今日は厄日なのかもな。…いや、運勢のせいにするな。俺のせいだ……」
居間で頭を抱え込んで己が行いを猛省していた。運が悪いわけでもなく
これは紛れも無く何をしてもいいという背徳が招いた不貞だと戒めるしかなかった。

留守電の人物が咲から離れろと言った理由が少し分かった気がした。
節操のない自分を戒めるのは、距離を置くことか、死か。
1ヶ月近く続いていた変容した咲との交際と、連日の事件による極限状態が、
馬鹿らしいほどの自戒を促し、完璧なネガティブへと心を落ち込ませていた。
顔も分からない犯人が今の自分の姿にほくそ笑んでいるに違いない、そう思った。

「どうやら、かなり参ってるみたいだね」
気を利かしたのか、奥の書斎に潜んでいた界が湯気が立つほどに香気なコーヒーを二人分淹れ、運んできた。
貴方の娘にひどいことをしようとしました。言えるわけも無く、ばつが悪そうにカップを受け取った。
「そんなこと、ないです」
ここで肯定してしまえば、咲との日々が悪いものだったと諦めてしまうと思い、言い切ることができなかった。
そして何より、顔も知らない彼に屈服してしまう気がした。沈黙して黒い液体に映る自分の落ち込んだ顔と睨めっこをするしか出来なかった。

何かを抱えていて、且つそれを話さないことが分かった界は、独り言のように喋り始めた。
「こういう温かいコーヒーはね、人をリラックスさせるらしいんだ。だから、僕はいつもイライラしたときや
 気持ちを落ち着かせたいときは、コーヒーを飲むことにしてる。それにね、人に優しくなれる効果もあるらしいよ」

「………僕も、早くに人を気遣って、その人を支えることが出来る役割にいたんだって気付けば良かったんだろうけどね」
含みのあるような言い方で昔の記憶を回想させながら、付け加えるように言った。

「はぁ…、それって――」
「さて、飲み終わったらここで寝てもいいし、部屋に戻ってもいいよ。僕はお暇させてもらうね」
またも言葉を遮り、誤魔化すように席を立つと部屋を出て行く。足音からすると、2階の寝室へ向かったのだろう。

「俺も、もう一回咲に話してみるか。あれで終わりじゃ、ちょっと冷たすぎるよな」
熱いコーヒーを喉に流し込むと重い腰を上げて、咲の部屋へ向かった。


83 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:41:21 cTCpfwkM
コンコンと木製のドアをノックする。
「京ちゃん?」
「ああ」
「入って」
返事が貰えたので、ドアを開けた。部屋に入ると、咲は何も言わずに抱きついてきた。
「咲、どうしたんだよ?」
「ごめん、ごめんね…、京ちゃん」
「お前が謝る必要なんて、…!」
着ていたパジャマの胸の辺りが暖かく湿っているのが分かった。咲は泣いていた。
「京ちゃんは今辛いのに、私が拒絶しちゃって、こんなんじゃ…だめだよね」

「そんな…、いきなり襲われるようなことされたら――」
「でも、今京ちゃんは疲れてるのに私が受け入れてあげないと…っ」
「あのさ、咲。俺はそんな嫌々受け入れられたって、全然嬉しくないんだよ。…今の俺が言える立場じゃねえけどさ」

「嫌じゃ、無いよ…?」
目と鼻頭を赤くして、儚げな表情で上目遣いで見つめてくる。
「ただ、ちょっと、いきなりで、びっくりしただけだよ。…私だって、心の準備くらい必要だもん」

「そう、だったのか…」
「うん、だから…嫌じゃないの…」
――何だ、そういうことだったのか。
京太郎は、すべてに納得し、腑に落ちた。
まさしく不安定な情緒に一喜一憂する自分に振り回され、目の前の彼女が見えていなかったことが愚かしく思えた。
咲はずっと待っていたんだと。一人で暴走しながらも、ただその言葉が聞きたくて空回りを続けていたんだと。
もう何を言いたいのかが理解できた。ただ、それを言わせては咲にとって恥であると思ったし、
自分自身、言わなければ男として台無しであり、最低最悪だと思った。だから、その言葉を口にした。
「驚かせてごめんな。ちゃんと言うべきだったのに言わなかった俺が悪かったよ」

「咲、お前のことが好きだ」
順序がまったく逆だった。
何回、何十回と肌を重ね、何回も恋人らしく振舞いながら、咲はずっと告白を待っていた。
咲は、言われた瞬間にみるみるうちに顔を紅潮させ、嬉しそうに涙を浮かべてコクリと頷いた。
「うん…、うんっ」


84 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:42:36 cTCpfwkM
そのまま、なし崩しに腕を組みながらベッドへ向かい、なるべくお互いを見ないように脱衣を始めた。
布摺れの音が聞こえた。今、咲は下を脱いでいるのだろうか。そんな風に妄想をしながら気持ちを昂ぶらせた。

「京ちゃん…いいよ」
振り返ると、咲はベッドに横たわり、小ぶりな乳房を、恥部を惜しげもなくさらけ出している。
もうずっと顔を紅潮させていた。恥を承知で、けれど京太郎に尽くしたい一心での行為が体位に表れていた。
今までで一番、咲が可憐で、美しく、そして愛しいと思った。高揚した雰囲気に水を差す理性など必要なかった。

咲の恥部に遠慮なしに手を伸ばし、人差し指と中指を進入させた。胸を弄ったときの軽い絶頂に先ほどまで濡れていたのだろう。
二本の指はクチュっと音を立てて簡単にしっとりとした膣内を押し広げていった。
「んっ…」
若干の刺激に、小さく声を上げた。そういえば、ここを口で犯したことは無かった、と思いついた京太郎は、
咲の、恥部に顔を潜り込ませた。咲の雌の匂いが広がり、高まる欲求に激しい動悸を感じた。
「やっ、ダメだよ…。京ちゃん、そこ、汚い…っ」
「咲に汚いところなんて一つもないさ」
気障に言い切ると、大陰唇を沿うように、焦らすようにゆっくりと舌全体を使って舐めまわす。
事実、無毛でありほんのりと桜色になった肌に浮かぶ直線的な女陰はまさに神聖であり、
思春期相応に小さく盛り上がっている恥丘は、文字通り、ビーナスの丘と言っても過言ではなかった。

淫核に触れず、下から上へなぞり上げ、咲の滑らかでぷにぷにと弾力のある陰部を味わった。
「ふわぁっ、…ふぅ、んんっ…なんで、そこばっかりぃ…」
咲は舌で触れられる度に身体を小刻みにを腰をふるふるとさせ、指を唇に挟ませて羞恥を顔に浮かべていた。
焦らされて興奮状態がずっと続いている所為で愛液が染み出て、一筋の路を作っていた。
気持ちいい、触れてほしいところに触れそうになり、離れる度に恨めしそうに催促するようにこちらへ目配せする。
それがどうしようもなく可愛く見えて、殊更にねちっこく舌を上下に這わせた。二人の愛欲を増長していく一方だった。
「京ちゃん…。もっと、気持ちよくしてよ…こんなんじゃ、足りないよぉ…」
言い留まると尚恥ずかしいと割り切った咲は、言われる前にしてほしいことを伝えた。
その言葉が私を好きなようにして、と吐露したように思えて、心の中に飼う獣がむくむくと大きくなっていくのが分かった。

顔をあげて咲を見つめると、笑顔を返してきた。無性に咲を抱きしめたくなった。
小柄な身体を抱きしめるとその微笑に吸い寄せられるように唇が重なった。
吐息を漏らしながら、しばらく互いの唇を貪ることに夢中になった。

―そろそろだ。唐突に淫核を指で摘む。爪で掻くようにコリコリと弄ると咲から甘い息が漏れ出した。明らかに感じていた。
そのまま勃起した淫核を指で摘むと、指の腹で擦りながら、揉み続けると塞がれた口から切なそうな喘ぎ声が漏れだした。
感じまくっている咲をひと思いにイかせようと、声に逆らうようにクリトリスを弄り続けた。
「んふううんんんっ…んむううん、んンんんんんっ!」
絶頂を一心に受け止めるために咲は背中をぎゅっと抱きしめてきた。繋がった上半身から断続的な痙攣を感じられた。
割れ目からはトロトロと愛液が零れてきていた。唇を離すと、汗に濡れた貌が妖艶な吐息を漏らしていた。


85 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:44:57 cTCpfwkM
もう挿入をすべきか。そう考えていた最中、二つの未熟な青い果実が京太郎の目に映った。いてもたってもいられなかった。
咲の腰を抱きよせて、一直線に乳首を口に含んだ。舌先で好き放題に乳頭を転がし、貪るように吸い付いた。
咲を抱く度に吸い付いていたピンク色のそれは存外感度が上がっていたらしく、
陰部を弄っていないにも関わらず、ビクンビクンと身体を反応させていた。
「んっ、ひゃっ、あんっ!…もぉ、京ちゃんほんとに好きだよね。和ちゃんと違って…私のおっぱいそんなに大きくないのに…」
確かに京太郎は俗に言うおっぱい星人であった。だが、心の底から愛しいと思える咲の
『そんなに大きくない』乳房は、和の巨乳より格別であった。もうそれが目に入れば、止まらなくなるように心理的強化がなされていた。
「ちゅっ、ちゅぞぞぞ、ちゅううう」
絶対に出ないと理解していても心の底から咲の母乳を欲しがった。
限界まで唇で乳首を引っ張り、戻ろうとする力を利用して、乳首を扱き、咲に快楽を与えた。
「ンンっ…そ、そんなっ…ああっ…」
ほどよく硬くなった乳頭の甘さを味わう。だが、人間不信になりかけた渇いた心はより多くの愛情を欲した。
吸い付いて、引っ張って、唇から零れて―。そうする度に艶声を聞き、男心を擽らせ、
よりじっくりと激しく音を立てて、淫らになった膨らみを愉しんだ。

手持ち無沙汰そうなもう片方の乳房を手の先で弾く度、ぷるんと小さく揺れた。
肌理細やかで、手に収まるソフトな乳房を持ち上げるように揉みながら指の第二関節でコリコリと苛めた。
「ふ、んんっ、んンんん…、んふふっ…、よしよし。一人でよく頑張ったね、京ちゃん…」
咲は、必死に自分の乳房に吸い付く京太郎の気持ちが手に取るように分かった。
恐怖と孤独で消耗していた心を癒すために一心不乱に母性を求めているんだと理解した。
心を落ち着かせる穏やかな声を喘ぎ声混じりに囁きながら、頭を優しく撫でた。
自分が京太郎の役に立っているという嬉しさに胸をきゅんきゅんさせた。
自分が快楽を求めていることを横に置いて、京太郎を受け入れることだけを考えていた。

当の京太郎はほんの数時間前に抱いていた背中を掴まれるような不安感を消し去るように、思うままに堪能していた。
「あ、んっ…いいよ、上手…っ、気持ちいいよ…ひぃ、ん……っ!」
そうして繰り返し、繰り返し、母性に甘えているうちに咲は身体を小刻みに痙攣させ、3度目の絶頂に至った。
小休止を入れるために唇を離すと必然的に咲の股ぐらが見えた。濡れたベッドのシーツが染みになりかけていた。

「わ、悪ぃ…、咲に甘えてた。ほんと、自分勝手で申し訳ない…」
赤ん坊のように夢中になって乳房を啄ばんでいた自分が恥ずかしり、顔が熱くなった。
「いいんだよ。私も、京ちゃんにおっぱい吸われるの、好きだよ。心が温かくて、気持ちよくて」

「それに私、京ちゃんを怖がらせてたみたいだし、…昨日も一晩中一人で辛かったもんね」
咲が大きく見えた。自分を包んで無償で愛して、絶対に味方でいてくれる気がした。
それとともに自分がダメになっていく気がして、それと反比例するように咲に心を奪われた。
「だから、何にも悪いことじゃないの。私に好きなだけ甘えていいんだよ、…分かった?」
「うん、分かったよ。咲」


86 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:45:31 cTCpfwkM
「あっ、もうすごい大きくなってる…」
咲の目に止まった陰茎は如何ともし難いほど勃起し、自己主張をしていた。
「すまん。咲の胸に興奮しすぎたみたいだ」
口淫をしたお陰もあってか咲の割れ目も十分なほどに濡れていた。

「咲…、いいか?」
「うん、…きて。今度は京ちゃんが気持ちよくなって」

咲を優しく押し倒すと大腿部を押し上げながら股を開かせ、圧し掛かった。
所謂、揚羽本手の体位をとると、肉棒の切っ先でびしょびしょになった
大陰唇を水音を立てさせながら、擦りつけた。
挿入しそうになりながら、中々突き入れてこない京太郎の態度に咲は焦らされた。
「んん〜っ、早く入れて…、京ちゃんの……お、おちんぽ欲しくて、切ないよ…」
「…!咲っ!」
いじらしい咲の催促に段階を忘れさせられた京太郎は、焦らすことをやめると
すぐに肉棒を咲の膣内に突き入れて、発情期の犬のように激しく腰を振り、快感を求めだした。
先ほどの母性同様、全てを受け入れる咲の膣穴は、どれだけ強く突いても柔らかく受け止めてくれる。
「はぁ、ぁんっ!やっんっあっんっふっ、ひぅっ!あんっ!いきなり…激し、ぃ…」
快感になれないうちに激しい抽送を繰り返すと、突然の快感に口を抑える暇もなく喘ぎ声が溢れる。
強い緊張で締まり突き入れるのが難しくなるが、
十分に濡れているために辛うじて何度も何度も腰を落とし、最奥まで挿入することが出来た。
しかし、無理やり膣肉を押し広げて亀頭に肉ヒダが擦り付けられるたび、
ピリピリと快感が広がり、こちらの射精感を否応なく高めてくることも事実だった。
「あっ、はぁん…!くぅ、ううっ、ん!あん、…あんっ!ふっふっ、んぁっ、ひゃぁん!」
陰茎を出し入れするたびに、リンクするように喘ぎ声があがる。体位も相俟って、
自分が咲を気持ちよくさせているという事実に、自分の証を刻み込み、所有物のように扱う性交に
征服欲を掻きたてられ、意識しても腰は止まらないくらいに快楽が跳ね上がっていた。

「きょ、…ちゃん。私、へんだよ…っ!感じすぎ、ちゃって、もう…イっちゃう…」
「ふ、ぐぐ…、ふんっ、ふんっ!俺も…、俺も咲の中に出していい…?いいよな?」
「うん…、だ、出してぇ!中に、私のおまんこ中に、…っ!いっぱいだして、…ひぐううっ!!」

――ぱんぱんっ、ぐちゅっ、ぱちゅっ、ぱんっ、ぱちゅっ、ぱんぱんぱんぱんっ

京太郎は咲を妊娠させることしか頭の中に残っていなかった。その身体を、心を、責任も、全て自分のものにしようとしていた。
決まってしまえばもう心持は楽であった。ただひたすらこのいやらしくに濡れる女体に腰を押し付けては引っ込めてを繰り返した。


87 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:46:08 cTCpfwkM
京太郎は、今まで膣内を突くたびに感じやすい、咲の弱点を見つけていた。
深く挿入して下腹部の辺りを突くと、咲は決まって嬉しそうに喘いでいた。
それをすればきゅっきゅっと膣を締め上げてしまう。京太郎にとっては諸刃の剣であった。
今までは遠慮がちであったが、もう心の底から遠慮がいらないと分かるや否やそこを攻めることにした。

――ぐちっ、ぐちゅっぐちゅっ、じゅぱんっ、じゅぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんぱんぱんっ!

「ひっ……んひゃっ、ああぁぁっ!んんっ…!?そ、そこ…はぁっ、はぁんっ、す、すごい!やぁん!」
Gスポットを突くと、一気に膣内は締め付け、更に絡みつくようになる。うねうねと纏わり付きながら、射精を促す。
名器だ。まさに名器であった。1ヶ月強続いている爛れた関係に、咲の女性器はいつの間にか名器へと変貌を遂げたのだ。
突き入れる肉棒をしゃぶりつくし、空になるまで搾り取ることに掛けては有能な膣内に京太郎は夢中になってしまう。

縦に円を描くように膣内をかき回すと、咲も悦んで足先を丸めながら背中を仰け反らせていた。
京太郎の我武者羅に高速を保ちながら腰振りに体中が汗でしっとりとしながら熱が篭っている。
次第にその熱は頭にまで上り詰めて、快感に思考が出来なくなるくらいセックスの深みにはまっていく。

「うぐっ…咲の中、絡み付いて、締まる…っ、すっげえ気持ちいい…」
根元に白濁とした欲望が蓄積されてきているのが分かった。すぐにでもそれを注ぎ込みたくて
陰茎を包み込んで揉み解す気持ちいい穴の深い部分を素早くストロークさせて、受精させる準備を始めた。
そうして、肉欲を満たすことに只管集中すると、眼前の愛しい彼女が妖艶に甘い呻き声を上げる。
ヌメり絡みつく肉を怒張全体で堪能しながら、快感が余韻にならない内に膣肉を擦れさせながら引き抜き
腹底へと押し戻し、女陰を貫く。陰部の周りはもう愛液塗れになり、ヌラヌラと淫らな光沢を放っていた。

一寸前までは知らなかった咲の一面。聞いたことの無かった甘い喘ぎ声、普段物静かで柔和な笑顔を浮かべている彼女が
自分の前だけでは、肉棒を受け入れて、毎夜のように子作りするための交尾をして淫靡に鳴いている。
不規則に舌を蠢かせ、普段は服の下に隠れている控えめな、けれど少女らしく膨らんだ乳房を揺らしていた。

今までの清楚さとのギャップに抽送を絶え間なく続けさせる。ふと、目が合った。喘いでいても
それでも優しく柔和に微笑んだ。いじらしさに咲の唇が欲しくなる。断ることなく唇を奪い、ねっとりと舌同士を絡めあう。
同じように二人の接合部は性臭と熱気と湿りで蒸れて、淫猥な水音を立てる。


88 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:47:14 cTCpfwkM
「咲…もう、そろそろ…マジで…っ!」
「うん、ちょうだい!膣内に、びゅるびゅるたくさん出して、射精してぇ…」
快感に腰の動きが緩みそうになり、歯を食いしばってなんとか持ちこたえる。

――ぱんぱんっ!じゅっ、ぱんっ!ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅぱんっ!じゅぱんじゅぱんっ!

限界までパンパンに膨れ上がった陰茎を必死に膣肉に擦り付けて、肉欲を満たそうとする。
もうすぐそこまで来ている射精を吐き出すために思い切り腰を打ち付けて膣穴を突き下ろした。
「ぐっ、あああああああっ!!」
「はぁん!あんっ、ひゃああぁぁぁああ!ひぐぅうううううう!!」

――どびゅるるるる!びゅっ、びゅっ!どぴゅっ!どくっ、どくんっ!びゅるる、びゅううううううう!!

「あんっ…うぎゅっ…、はあああぁぁぁああんっ!」
激しい絶頂に、咲の喘ぎ声が長く響いた。その絶頂に射精感を高めていた肉棒をトドメとばかりに痛いほど締め付け、
ガクガクと全身を痙攣させながら細い腕でぎゅっとと背中を抱きしめてくる。

最高潮を迎えた快感が体全体を突き抜け、爆発したかのように精液が尿道から咲の膣内に噴出した。
今までに無い快感に腰が砕けそうになりながら、華奢な女体を壊れるほど抱きしめ必死に亀頭を膣内に擦りつけ、精液を子宮へと押し上げた。

「ひんっ、きゅふぅ…、ぁう…、んううう……」

そして射精を完全に終えると力んだ抱擁から柔肌を解き放ち、猥りがわしく蒸れてぬらぬらとした咲の乳房に吸い付いた。
「あン…もう、そんなにしたらほんとに出ちゃうよぉ?」

だがそれでも気持ちよかった、と余韻を愉しむほどにはまだ全然射精し足りなかった。
今だ怒張している肉棒を膣内に感じた咲は、中々動きを再開しない京太郎の遠慮を肌で感じて
仕方ないなぁ、と満更でもなく呟き、頭を撫でて囁いた。
「まだまだ気持ちよくなりたいよね?まだまだ精子どぴゅどぴゅしたいよねぇ…」

「学校の事なんか考えないで今日は朝までえっちしようよっ、だから…ほらっ」

耳元に唇を近づけて淫らで魅力的な言葉をこそばゆく囁く。
それは京太郎を暴走させるための呪文であった。
「京ちゃんのちんぽ…、私のおまんこにちょうだい?」

「う、うおおおっ!…咲っ、咲ぃぃっ!!」
歯止めの利かなくなった肉欲がそのままの体位で腰だけを動かし、潤滑性の増した膣内を亀頭で擦りつけながら
ハイペースかつダイナミックに根元までのストロークを繰り返し、陰部を陰部に打ちつけてぱちゅ、ぱちゅと音を立てる。
奥に男根を押し込む度に膣内の精液がブビュビュっと溢れ出した。まさに種付けプレスだった。


89 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:47:54 cTCpfwkM
「あんっ…いいよ、おいで…、…んんっ、もっと私で気持ちよくなって」
肉棒で掻き回される感覚に身体をビクビクと震わせながら背中を優しく撫でて、呻きながらがっつく京太郎を甘やかした。

咲のうなじに鼻を当てて、息を吸い込んだ。胸いっぱいに馥郁とした初夏に実をつけたばかりの青い果実ような匂いが広がった。
依然として止まらない媚肉を抉るピストン運動に絶頂を迎えたばかりの咲は子宮口に亀頭が当たるたびに甘美な悲鳴を上げた。
もう遅いと知りつつも、咲の唇を塞ぎ、全身で溶けるように絡み合う。あまりの激しさに、ベッドが軋み、ギシギシと悲鳴を上げていた。
止まらない快感の波に咲はベッドのシーツをぎゅっと握り締めて、肉棒による蹂躙を必死に耐えていた。

――ぱんぱんぱんぱんっ!ぱんぱんぱんぱんっ!じゅぶっ、じゅぶっ、ずぱんっ、ずぱんっ!

「んふうぅぅううぅぅぅ…、ちゅる、ちゅっ…んっ、んっ、んんんんっ…、んむぅぅ、れろぉっ…ちゅうっ」
甘いような気がする唾液が交換されて、鼻息が色を帯びて抜けていく。頭が真っ白になり、
もう咲のことも考えられなくなり、自分が気持ちよくなることしか頭になかった。
突き動かすのは雌を孕ませようとする本能と、無意識に腰が動く悦楽のみだった。
「ぷはぁっ、咲っ…咲っ…ふぅ、ふんっ…、うっ、ぐぅ…」
快感になれてきた蜜壷はきつく締まることは無くなったが、それでも進入するたびに
バキバキに硬くなった肉棒をほどよく刺激し、トロトロと絡みながらながら吸い付いてくる。

お返しとばかりに咲の耳裏を、首筋を、乳房を、舐め回しながら、咲の肌理細かい吸い付く肌と汗の塩っぽさを存分に味わった。
「んっ、ひゅぐ…、ふふっ、甘えんぼさん」
目線があった。蕩けた顔に浮かぶ母性にじっと囚われて、見つめあいながら激しくなる水音を聞いた。
首に手を回して、抽送運動に終止符を打ってほしいかのように射精を促すような視線を送った。
もう何度も軽い絶頂を男性器全体で感じていた。全神経を快感を得るためだけに集中させる。
京太郎も射精したばかりで再始動したセックスに得もいえぬ快感が頭を支配し、オーバーフローしかけていた。
再びその女陰を白く染め上げようと劣情は高まり、我侭な欲望に喰らいつく。

子宮が近づいてきていた。咲ももう完全に子作りの準備が出来ていた。
グチュグチュと結合部から音を立てさせて、子宮口に亀頭を擦るように押し付ける。
妖しく喘ぎ、しかしそこかしこに清楚な少女を残した表情を浮かべていた。
最高潮だと思っていた興奮は更に高まった。幼馴染として親しげに話す彼女を。
控えめな表情であまり自己主張をしない彼女を。ずっと子どもだと思っていた彼女を。
夢幻に思えた肉と肉のまぐわいが現実と繋がり、今自分は『あの』咲を思う存分に犯していると実感させる。
非日常的な現実に幸福感、充足感が満たされ、目がチカチカし始め2回目の射精を予告した。

――じゅぶっぱんっ、じゅぶっぱんっ、じゅぶっぱんっ、ずぱんっずぱんっずぱんっずぱんっ

「咲…っ、出すぞっ、孕めっ!俺の子どもを産んでくれ…!!」
全身の熱が股間に集まってきた。全神経を陰茎にのみ集中させ、スパートをかける。
射精するためだけに必死に腰を動かし、ギシッギシッギシッと壊れるほどにベッドを揺らし、突き下ろす。
「うん…京ちゃんの赤ちゃん、欲しい…っ、頂戴、全部膣内に射精してっ」
膣内射精以外を許さないように脚で腰をホールドして体をビクビクと痙攣させる。
もう何度目か分からない絶頂に胸の奥と膣内をきゅんきゅんさせて、男心を悦ばせた。


90 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:48:19 cTCpfwkM
「ぐっ…また、出る……ッッ!!」
射精の瞬間を認知した京太郎は、奥のほうで小刻みに肉棒を擦り付けて、子宮との接吻を交わした。
「ひゃあぁん!連続で、イく…イっちゃうよぉ…、…!」
絶頂している膣内に肉棒を突き動かすと、強い力で肉棒全体を扱かれた。それがトリガーとなり―

――どびゅっ、びゅぶぶ!ぶびゅるるるるっ!ばびゅううううう!びゅっ、びゅるるっ!

込上げた欲望は再び鈴口を掻き分けて咲の子宮内へ濁流のように流れ込んだ。
大量に出した後であった。だのに、どこに溜め込んでいたのか分からない流動性の低い精液が
熱さで刺激しながら尿道を放出していくのが分かった。咲に身体の水分や生気ごと吸い取られている気がした。
それでも、搾りかすになると分かっていても、腰の動きは止まらず、射精しながら膣肉を掻いた。

「ひゃあっ、んっ…!熱のが…ビュグビュグ、って…。あはぁぁあ…、今動いたら、おかしくなっちゃう…、ぅんんんっ!!」
咲はぎゅっと目を瞑り、腰をホールドしたままもうずっと身体をビクビクと跳ね上げていた。
連動するように射精を悦ぶ膣内が脈動するように蠢き、溜め込んだ精を全て搾り取ろうとしてくる。
無限に止まらない射精が次第に緩慢になり、腰の動きはとまり、肉棒は膣内に落ち着いた。
「はぁっ、はぁぁ…っ、ふぅぅぅ…」
糸が切れたように咲の上に倒れこんで、乱れる息を耳に感じながら余韻に浸った。

「京ちゃんの大きすぎだよ、何回もイかされて死んじゃうかと思った。…京ちゃんは気持ちよかった?」
「うん、そりゃあ、まあ。大変、気持ちよかったです」
「…だけど、咲がこんなにエロくなってるとは思わなかったよ」
「………っ!?京ちゃんがこんな風にしたくせに…、いじわるー!」
「あはは、ごめんな」
非力な腕でポコポコと胸板を叩く。一瞬違和感を感じたが、恐らく気のせいであろう。
ともかく、京太郎はその愛くるしい行動に無意識に笑みを浮かべていた。
「む…、何で笑うの?」
「ごめん、ごめんって」

「そろそろ、いいかな…」
鼓動が一定に感じた。咲の身を案じつつ、身体を起こすと陰茎をゆっくりと引き抜いた。
割れ目から陰茎が離れると精液が糸を引くように零れ、女陰は完全に形を覚えてしまいぱっくりと穴を開けていた。
穏やかに艶のある息をしながら、咲の陰部からゼリーのようなドロドロとした精液が固まりながら流出して臀部へと垂れていた。
「んっ…、あっ、……こんなに、出たんだ」
指で掬い上げた精液に顔を赤くさせ、明らかな羞恥を感じていた。

咲の一連の動作が、その顔の仕草が、汗だくになりながら吐息を漏らす女体の
どこかに『いつもの咲』がいる気がして、何故だか背徳的な興奮に怒張を回復させた。

「なあ、咲。朝までやっていいんだよな?」
「ふぇっ!?京ちゃん、まだやるの?」
ああ咲だ。本能が、心が喜んでいた。漸く咲と愛し合うことが出来ると奮えていた。
「ああ、したい。収まらないんだよ。もう止められないんだ」
「…………うん、わかった。いいよ」
暫らく困ったような顔をすると、決心したように頷き一つ返事で受け入れた。
夜はまだ長かった。今までとは打って変わって控えめな嬌声とベッドの軋む音が一晩中響いた。


91 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:48:37 cTCpfwkM
時刻で言うと、もう午前4時を回ろうとしていた。灯りを消した部屋では未だ水音を立てていた。
いつまで経っても性欲が収まる気配が無かった。一旦萎えてしまうこともあったが、
しおらしくなった咲の口や無い胸を使った奉仕にすぐに元気を取り戻し、飽きることなく女体を貪った。
体力の無くなった咲は、途中でぐったりとして、声と、生理的な反応と視線でしか反応を示さなくなった。
それでも満更では無さそうな表情に安堵して、途中、小休止を数回挟みながら、奇妙なほど消えない愛欲に二人は溺れていた。

結局、咲は人が変わったようになってから恥かしそうに声を抑え、
こちらを甘やかす余裕もなく顔を真っ赤にさせて、与えられる快感に喘いでいるだけだった。

咲の尻を突き上げさせて、緩慢な動きで腰を押し付けていた。
結合部の下にある二人の体液が混ざった水溜りに汗が零れ落ちた。
張りのある柔らかな咲の尻肉を両手で揉み解しながら、
もう二桁になってからは数えていない精の放出の予兆を感じた。
「咲…、また……」
腰をガクガクと震わせながら、執拗に感じやすいところを擦りつけた。
都合よく締まる膣穴をあたかも手淫をするかのように扱った。
今ここで彼女の父親に見つかったならば、レイプ犯として通報されるだろう。
傍から見ると、そういう風に見える程度にはひどく堕ちた光景だった。

「んっ、…うっ、ふぅん……」
疲れきった覇気の無い声で、媚肉を解されるたびにくぐもった嬌声を上げた。
「で、出る…ッ!」

――びゅぶぶっ!びゅるっ!びゅうううっ!

瞬時に引き抜いて、少し薄くなり、出が悪くなった精液を咲の背中にぶっかけた。
既に何層も白濁にコーティングされていた身体に更に白濁の色を足していく。

「んっ…京ちゃん。…まだぁ」
尻をフリフリとさせてもう出なくなってきている精液を更に求めてきた。
こうなればもう気力の問題だった。覚悟を決めて突き入れると、再び緩やかにストロークを始めた。
その後、2回射精を繰り返すとようやく力尽き、そのまま液塗れのベッドに二人とも倒れこんだ。


92 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:49:44 cTCpfwkM
――光が射した。意識が徐々に覚醒していく。やがて瞼を上げることができるようになる。
まずは周りと見渡して見た。時計は13時を指していた。完全に遅刻だった。
そしてあんなに汚れていたはずのベッドは始まる前の状態に思えるほど綺麗に整っていた。

そして、生まれたままの姿でいる咲が自分の腕の中で幸せそうに額を擦り付けて眠りについていた。
「(咲が全部片付けてくれたんだろうか)」
寝起きだからという理由もあるかもしれないが、昨日十分に出しつくしたおかげで、裸体を見てもあまり気分は高揚しなかった。
それよりも、目の前の咲を抱きしめたいという衝動に駆られ、背中を抱きながら、サラサラの髪を梳くように頭を撫でた。
「んっ…、…、…?んんぅ?ひゃっ、きょ、京ちゃん」
その刺激を受けて目を覚ましたようで、寝ボケて状況が理解できずに頭を爆発させた。
今こいつの上に薬缶を置いたら間もなく沸騰するんだろうか、などとくだらないことを考えた。
「ごめん、起こしちゃったな」
「う、ううんっ、……あっ、そうだったね」
脳を次第に稼動させてから数十秒。昨日の出来事を思い出した咲は上目遣いに見上げてくる。
寝起きのときとはまた違う恥かしさを帯びた表情で、可憐な笑顔を浮かべた。

「京ちゃん、おはよ。…もう遅いけど、学校いこっか?」
「あ、ああ…そうだな」
今から咲と登校したらどのように揶揄され、事実無根を嘯かれるだろうか。

それよりも、家から一歩外に出たら例の人物に狙われるのではないか。
咲は大丈夫と言っていたがもしものときは自分が彼女を守らなければならない。
そのとき、自分はちゃんと咲を守りきることが出来るだろうか。
否、出来るだろうかではなく、出来なければならないのだ。

これから起こるであろう出来事を想像し、当惑しながら学生服に着替えて玄関口へ向かうと二人一緒に外へ出た。

クラスルームでは予想した通りの洗礼を受け、羨望と妬みで男子生徒からは多少の可愛がりを受け、
女子生徒はドン引きするか、興味津々に質問攻めをしていた。宛ら顔立ちの良い噂の転校生だった。

放課後になると二人で手を繋ぎながら嵐のような喧騒を抜けて、部室へ辿り着くと、
殺意を感じるほど恨みがましく見つめる和と冷や汗をかかせながらそれを何とか宥めて抑えようとする優希と
それを肩を竦めて笑うまこ。興味津々に根掘り葉掘り聞こうとしてくる久をかわすことで精一杯になった。
だが、幸いとして一日二日あればからかう人はいたが、大騒ぎになることは少なくなっていった。


93 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/18(水) 23:59:22 cTCpfwkM
ここまでです。話進んでないので、次で急に進むかもしれません。

あんまりこういうの書いたことないので、拙い文章だと思いますが、
それでも待っててくれる方がいるらしいので完結まで頑張ります。


94 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/19(木) 00:27:18 eQUT.i32
>>93
そんなに卑下しなくてもええんやで
あとゆっくりでいいしいつまでかかってもいいからちゃんと完結までは、はいヨロシクぅ!


95 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/20(金) 14:28:26 txjrTzrA
>>92
疑惑のある生徒が大名出勤ならぬ大名登校してきた時って
ああこんな感じだったよなって思える表現すき


96 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/21(土) 20:35:30 o.3dW89c
今日、明日忙しいので次あげるの遅くなるかもしれません
ごめんね


97 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/24(火) 23:36:58 N74JSOjM
時期はもう梅雨。6月も数週間過ぎていた。須賀夫妻はあれ以来海外にいるらしい、ということは分かっているものの
それ以外の情報が伝達されていないという軽い音信不通状態にあり、京太郎はいまだに宮永家にお世話になっていた
―尤も、両親が帰ってきていたとしても、あのままの状態の家に居座る事は危険極まりないのだが―。

衣替えが過ぎ、県予選が終わる頃には宮永家で生活することもすっかり慣れ、
京太郎の異常性欲はあれ以来現れることは無かった。とは言ったものの10代のリビドーが
その多くが性的な指向を持ってしまうのは必然であった。そのたびに情欲を咲に感知され、
学校で盛ることもあった。結局として、節操のない関係であることに変わりはなかった。

京太郎は宮永家、とりわけ咲に依存の比重が傾きつつあり、咲はそれを受容し、
甘えさせることにカタルシスを得ていた。傍から見ていれば仲の良い恋人だが、
その関係が合致するほど、精神的危険性が高まっていることに誰も気づかない。

閑話休題、現在、学校では傘を差して登下校する機会が増え、陰鬱とした天気はほぼ毎日続いている。
休み時間の度に足繁く京太郎のいる教室を訪れる咲はもう周りからは公認の『嫁さん』になっていた。
咲本人は「嫁さん違います」とお決まりのように言っているが、前のような強調はなく、
満更でもなさそうにしている顔はいくら表情を取り繕おうとしても隠し切れていなかった。

宮永家で生活していても『悪戯電話』は京太郎の携帯に毎日のようにかかってきていた。
界や、咲が近くにいるときでも関わらず、掛かってくる電話は最早日常の背景になりつつあった。

ついに意を決して、咲が電話を代わろうとしたとしても、その瞬間に切られてしまう始末。
しかし、前のような攻撃性はなく『咲と距離をおけ』『大変な目に遭うぞ』という警告を謎の人物は
単調に語りかけてきて、それが京太郎の心に妙に引っかかっていた。

ともかくとして、『悪戯電話』さえ除けば平穏に、咲との蜜月を過ごしていた。
二人の関係の嫉妬の他にも、全国へ向けて特訓のストレスも相俟って、コキ使われるなど
他部員からの攻撃性が増した気がしたが、それを流せるほどに心の余裕もある。
お陰で程々に充実した日々を送り、全国大会に挑むための特訓をしている彼女たちを傍からサポートする日々が続いていた。
出来ればこれ以上大きな問題が起こることなく、夏の終わりまで時間が過ぎて欲しい。
彼女たちの麻雀に専心努力する姿にそう願いながら雑用に勤しんでいた。

そういうものほど長く続くことは有り得ない。ささやかな望みはさも当然であるかのように打ち砕かれる。

その日はいつものように授業を終え、学食でタコスを買ってから急いで部室へ向かい、
久に当然のように使い走りさせられ、部活動に参加する暇も無いほど、体を動かされた。


98 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/24(火) 23:37:16 N74JSOjM
「やっと今日も一仕事終えたな!」
額を拭い、背筋を伸ばすと、疲労した体を己自身で褒め称える。
時刻はもう6時を過ぎ、ずっと降り続いている外の景色は厚い雲の向こうにある夕陽の赤を色濃く残して暗くなり始めていた。
「京ちゃん、終わった?」
ずっと様子を窺っていたのか、本を読み終わったフリをして咲が近寄ってきた。
「ああ、待たせてごめんな。それじゃ、帰ろうぜ」
「私も読みたかった本を最後まで読めたから、おあいこだよ」
「そっか、ありがとな」
「うん」

暗い廊下を歩いていると、咲は終始身体を引っ付けて挙動不審になっていた。
ところどころの仕草が少女っぽく、そういう光景に京太郎の心は和まされていた。

外へ出ると、雨音は一層強くなって、地面に叩きつけられる雨粒が四方八方に跳ねていた。
「うわ、こりゃあひでえな。傘差しても意味無いかも」
「ほんとだ、どうしよ……。バスが来るまで待っとく?」
「この時間だと歩いて帰ったほうが大分早いけど…、どうする?」
「うーん……、そうしようかな。早く帰ってお風呂に入れば問題ないよね」
「よし、じゃあこのまま帰るか」
大きめの蝙蝠傘を差すと当たり前のように咲が隣に入り込んでくる。
仕方なしに受け入れると、なるべく彼女を濡らさないように傘を傾けて
薄暗く、大雨の振る視界の悪い家路を急ぎ足で辿った。

〜〜〜〜〜

家に着く頃には予見していた通りズブ濡れになっていて、言い表せない気持ち悪さと
雨に濡れた服が重くて、早く解放されたいというもどかしさで二人ともいつの間にか無口になっていた。
軒下に着くと学生鞄を置き、制服を絞ると蛇口を捻ったようにコンクリートの床に雨水が滴り落ちる。
ある程度水気が無くなったのを確認すると、水温に冷えた身体を温めるように身体をタオルケットで拭う。

咲は大丈夫だろうか。彼女の方に目を呉れると、困った表情でスカートを握って水を追い出していた。
その様子を見守っていると、魔法のように、無意識に視線が咲のセーラー服へ移動してしまう。

緩やかに凸んでいる繊麗な身体に純白のブラと肌の色を浮かべて濡れ透けている。
服に隠されているそれらを見慣れているはずなのに、妙に頬が熱くなってしまっていた。

「京ちゃん、どうしたの?身体拭かなくていいの?」
視線に気付いた咲がこちらを向いて不思議そうにしていた。
「ああ、いや。……そうだな、拭かないとな」
慌てて視線を戻して、誤魔化すように同じ場所を擦るように拭った。
勘付かれてはいないと言い聞かせて心に無理やりに安堵させようとした。

「……ふふふっ」


99 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/24(火) 23:39:17 N74JSOjM
後の展開に無理があったのと、ダークというか純愛の方向性から外れそうになってたので
この先のプロットを練り直してました。遅くなってしまってセンセンシャル!


100 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 01:40:08 mNKaGUtI
何事も無かったような素振りで水が滴らない程度に身体全体を拭き終えると、家へと上がった。

「すぐにお風呂沸かそっか」
「ああ、すまん。頼むわ」
普段の鈍臭い態度とは別人のように甲斐甲斐しく動く咲のおかげで、ややあって風呂にありつけることができた。

湯船に腰を落ち着けて肩まで湯に浸かると、適当な熱さの湯が冷えた身体を表面から芯までじわじわと温まる感覚が広がり、
冷えて固まっていた身体が解れ、全身を伸ばすと同時に吐く一息がすーっと抜けていく。

「ふぅぅ……、やっぱ風呂に季節外れなんてありゃしねえな」
などと風呂場に声を響かせながら風呂の温かさを堪能していた。
「あっ、そうだった。咲はまだ入ってないんだったな」
ふと、咲のことを考え、いそいそと風呂場から退散した。

「あれっ、もう出てきたんだ。一緒に入ろうと思ったのにっ」
風呂場の前で脱衣を今まさに始めようとしている咲と出くわした。

「うぉっ……、ま、まあいいだろ。風呂でくらいゆっくりさせてくれ……」
「あっ、そうだったね。お疲れさま。じゃ、私着替えるから」
咲はお構いなしにセーラー服をたくし上げて腹部が露出させた。

「……っ!」
いまだ慣れない生着替えから逃れ、急いで洗面所の外へ出ると、リビングへ向かった。
咲は狼狽した京太郎の態度に、してやったり、というような笑みを浮かべていた気がした。

いざドアを開けて、部屋に入ると、静まりかえって人の気配がしなかった。
界は帰宅していないのだろうか。周りを見回しても何かが見当たるはずもなく。

「(どうしたんだろう、いつもなら家にいる時間帯なのに)」
時計はそろそろ19時を差そうとしていた。

TLLLL....TLLLL....

「ん?」
携帯を一瞥する。反応はない。
どうやら宮永家の電話が鳴っているようだ。他に出る者がいないなら仕方がない。
腰を上げて、急ぎ足でそちらへ歩み寄り、受話器を取った。


101 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 01:41:04 mNKaGUtI
『もしもし、宮永さんのお宅でしょうか?』
明らかな大阪訛りの口調が受話器から聞こえてくる。
「……ええ、はい。そうですが」
『えーっと、宮永咲さんのご家族で間違いないです……?』
「まあ、……はい」
ご家族、という言葉に少々歯切れが悪くなった。

『はぁー、良かった。ようやっと出はりましたわ。昼間から電話してたんですけど、よう繋がらんくて』
「あっ、そうなんですか。すみません」
『いえいえ、……それで、ですが……やっぱり言うべきですよね』
「……?」
一体咲について何の話をするつもりなのだろう。
急に神妙になった声に少なくとも朗報は無しだろうと、心を構えた。

『宮永咲さんが亡くなりました』
「―――えっ?」

その後のことはあまり耳に入らなかった。どこかの病院で入院してたとか。
数年間ずっと眠ったままだったとか、そういうことを言っていたのは覚えていたが、
衝撃的な言葉にそれらは聴覚した瞬間、ぼやけてしまっていた。

咲が死んだ。そんなはずはない。咲は現に自分の傍にずっといてくれて、日常を送っていた。
それを彼女の父である界も認識していたことは確かであったし、学校の皆にそれを伝えても「咲はここに存在している」と言うだろう。

「(だったら、……だとしたら)」
扉を幾つか隔てた向こうでは洗面器からお湯が落ちる音がしていた。

得体の知れない彼女に、恐怖と不安がこんこんと湧き出した。
背中を突き抜ける嫌な寒さに温まったばかりの身体を冷えさせた。

――俺が今まで一緒にいた『咲』は一体誰なんだ……?


102 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 12:15:32 eKtHJivg
はえ~すっごい大作…
エロ抜きで面白くなってきてる


103 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 13:09:45 30MRB5PY
最初から咲さんは咲さんじゃ無いってことならなんの問題も無くない?


104 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 21:21:02 rNG9mXzc
亡くなったのが咲さんじゃない可能性は?


105 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 22:57:01 mNKaGUtI
この後エロを挟むか、カットするか悩んでますけど
どっちがいいですかね?


106 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/26(木) 23:45:15 rNG9mXzc
流れを止めずにサスペンスを追求してほしいです


107 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/11/28(土) 00:10:56 eJJ1tNxg
ああ^〜先が気になる^〜


108 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/02(水) 21:49:41 tvSlp7Gs
続きは遅くとも金曜日までに上げます
待たせてもうしわけありません


109 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/03(木) 08:48:06 vGXKV5Jk
>>108
続き書いていてくれたんか


110 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/03(木) 08:50:10 vGXKV5Jk
>>108
待ちますよ〜待つ待つ

誤タップ送信ホントひで


111 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/06(日) 03:15:19 ggnBhgoQ
金曜日(4日とは言ってない)


112 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:14:12 EyBT4fTI
遅れました!センセンシャル!


113 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:14:48 EyBT4fTI
脱衣所の戸が開き、足音が此方に近づいてきている。動悸が激しくなり、
心臓の鼓動が強く耳に響く。京太郎はその小さな足音に不安と恐怖を覚えていた。

ドアがゆっくりと開かれた。目の前にはやはりいつもどおりの『咲』の姿があった。
だが、安心は出来なかった。―彼女は、咲の名を偽った誰かなのだろうか―。いつも通りの表情が還って、疑心を更に深くさせた。

「……?京ちゃん、どうかしたの?」
「え、あ……。い、いやあ……親父さん帰りが遅いなあ、って」
「お父さん?そういえば、そうだね」
会話が止んだ。次何を喋って誤魔化そう、気が急くほどに沈黙が長引く。胃がキリキリと痛んだ。
このまま黙っていれば良からぬ事が起きるようで……。どうしようもなく、気持ちばかりが先を行ってしまう。

「ねえ、京ちゃん。さっきの電話、誰からだったの?」
「な、何でもないただのセールスだった、と思うけど」
真実を知りたいという好奇心よりも、知ってしまって後悔する未来と
彼女の得体の知れない本性に危害を加えられてしまうのではないか、
という恐怖に不自然な表情で誤魔化してしまう。

「………ふーん」
それさえも悟っているのではないか、とさえ思わせる視線が痛いほど突き刺さる。

「まあいいや。お夕飯、先に食べちゃおっか。たぶん、この調子だとお父さん帰って来ないよ」
「そ、そうか?…そうだな。じゃあ、ちゃっちゃと準備するか。俺も手伝うよ」
「ありがと、それじゃあ早くしよ。私もうお腹空いちゃって」

可愛らしくはにかむ彼女がどうも、咲以外の何者にも思えない。
あの電話は聞き違いなのではないかと思わせるような変わらない笑顔に安堵する自分の心に少し抵抗を感じる。


いつから咲は、自分の知らない咲にすり替わっていたんだ。
穏やかで幸福だった日々がずっと嘘だったのか。再び疑心が募っていた。
だとしても、彼女が自分に寄せる思いの全てが嘘であると否定したくはなかった。
それさえも真実だと認めてしまえば、自分の心が壊れてしまう気がした。

――グゥゥゥゥ……
身体だけは愚直だった。酷使され続けた身体がもう空腹であると限界を主張している。
だが、そのおかげで少し雰囲気が柔らかくなり、緊張が直ぐに緩慢になった。

「京ちゃん、怖い顔しながらお腹鳴らしてどうしたの?何か、気に入らなかった?」
心から心配したような表情で声をかけてくる。

「ああ。いや、ちょっと部活での考え事をな。ほら、最近、俺麻雀出来てねえしさ」
想いに真偽があったとしても、今の咲が自身を好いてくれている。
その事実だけを見て今のこの状況を何とか凌ごうとした。

ともかく、身体を動かさなければ彼女に疑われてしまうし、食事にもありつけない。
空腹と精神を維持させるために深く考えることは止めて、なるたけ自然に身体を動かし、食卓に作りおきの料理を並べると
空腹を満たすために会話の一切もなく食事をした。咲が気にするような素振りで何度か此方を見ていた気もしたが、
それも気にしないよう一気に飯を掻きこんだ。この場を無難にやり過ごすような術を持たない京太郎は、自分の愚かさに苛立ちを覚えた。


114 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:15:07 EyBT4fTI
結局あれから界は帰宅することなく、居間の時計の短針はそろそろ10時を差そうとしていた。
もう時間も遅いということもあり、咲の提案により彼女の部屋で寛ぐことにした。
尤も、この状況で精神的に寛ぐことは不可能であるだろうが。

そもそも、別の部屋で睡眠を取りたいと思っていた京太郎であったが
ここで急に「別の部屋で寝るわ」と言い出しても怪しまれるのは明白であったため、
仕方なしに咲の部屋へ向かった。

就寝の準備を済ませると、二人一緒のベッドでいざ寝ようとする。
「ねえ、京ちゃん。今日はどうするの?」
今日はどうも咲と向かい合って寝れる心持ではなかった。だというのに、咲はそれを許してくれない。
背を向けていざ寝ようとしていると背後からぴったりと身体をくっ付けて咲が抱きしめてきた。

「咲……、明日も早いだろ。もう寝ろ」
「夕方、私の濡れた服をジロジロ見てたよね。鼻の下伸ばしてさ」
「そ、それは。しょうがないだろ、見えちまったんだから」
「ムラムラした気持ちを残したままじゃ寝れないし、寝れてもきっと寝心地悪いよ」

そう言うと、萎れていた下腹部のそれを焦らすように撫で始めた。

「今はそういう気分じゃないんだ。やめてくれ」
「ほんとにいいの?」
「………ああ、そもそもお前は今やウチのエースなんだ。身体を酷使してほしくない」

「何で急に部活の話になるの?……何か京ちゃんおかしいよ?まるで私と」
「そんなつもりじゃ――」
「いつもなら迷わず抱いてくれるのに……」
寂しいのか、切ないのか。それとは別の思いもよらぬ感情か。
どこにそんな力があったのかと思うほど強い力で強身体を痛いほどに抱きしめてくる。

「ねえ、何でなの?何か隠し事でもあるの?あるんだよね?」
「……………………」

「私がお風呂入ってるときの、あの電話なのかな」
「!?」

狼狽えて、無意識に体が跳ねた。ピッタリと身体をくっつけている咲もそれを察したのか
耳元に得意げに笑う小さな吐息が滓かに聞こえた。

「ねえ、誰と何を話してたの?ワタシに話しちゃマズい話なの?」
密着した二人の身体の熱は汗が出るくらい暑くなっていた。
咲の落ち着いた心音が違和感を感じるほど一定に聞こえる。
冷たい無表情な声と身体を締め付けられる暑さとは別の冷たい嫌な汗に背中をゾクゾクとさせた。

「それ、は………」
会話が止まる。静けさから外で降る大雨が大きくなった気がした。
何か弁解をしなければ、と考えるほどに一層無言が長引いた。


115 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:15:28 EyBT4fTI
疑心暗鬼のせいもあってか、咲の近くにいてはいけないと本能が囁く。嫌悪が背中に圧力をかける。
だが、京太郎は身体が拘束され、咲がいつでも行動できる態勢のおかげで、一ミリたりとも動ける気がしなかった。
確実に命の危険が迫っていると確信する。動いたら殺される。もう忘れかけていたあの夢がフラッシュバックした。

「言えないんだ。だったら」
京太郎の下腹部に咲の手が伸びた。下着の中にひんやりとした感触を覚える。
萎えきっている陰茎の先、亀頭を人差し指で円を描くように擦りながら、肉幹を扱き始めた。
その動きも手馴れていて、すぐにそれを大きくさせる。どうすれば気持ちよくなるか咲は研究し尽くしていた。

「やめろ。咲、俺はそんなこと望んでない」
「こんなに大きくしちゃってたら説得力無いよ?京ちゃん」
甘い声で耳を擽る。ふっと力が抜ける。咲に身を任せそうになる。
意識を強く保ち、ぐっと耐えると咲が面白くなさそうにしているのが分かった。

「いいよ。京ちゃんはワタシに逆らえないってこと、分からせてあげる」
今までの胸への執着が不都合にもここで実を結んでいた。
以前よりも微妙に膨らんで、ほどよく心地いい柔らかさを背中に感じさせながら、
咲は手の動きを急加速した。鈴口を引っ掻くように擦りながら、力強く肉幹を扱き、大胆かつ的確な刺激で圧倒させる。

「……!!ぐ、…ぅ、やめてくれ、……正気に戻ってくれ、咲……!」
「ふふっ、京ちゃんはワタシとのえっちにすぐ屈服しちゃうんだよ。いつも、いつもっ」
単調に直線的にただ強く握って上下させる飾り気のない手淫。今すぐに逃げ出したいと願う心とは裏腹に
勃起はさらに大きくなり、熱は篭り、快感水準が上がっていく。布の向こう側でクチュクチュと水音を立てているのが分かった。

「それ以上は、やめてくれ…っ、こんな、こと……!」
「気持ちよくなっていいんだよ。そうしていつもみたいに暴走して、壊れそうになるまでたくさん私を犯して、ね?」
カウパーがあふれ出ていた。天然のローションに潤滑性は増していき、手を滑らせる感触がなめらかになる。
まるで、一つの穴に包まれているような感覚。手で形成された仮想の女陰がとめどない我慢汁に下着を汚していた。
必死に快感を抑制していたが、それももう限界が近づいていた。

「ただし、秘密を教えてくれたらだけど」
もう、ダメだ。敏感になった感覚が頂点を迎えようとした瞬間、攻撃は収まった。
そこまでこみ上げてきた欲望をぎりぎりで止められる。安堵するはずなのにもどかしさを感じさせられた。

手の動きが極端に緩み、射精の瀬戸際でじわじわと肉棒を嬲りつづける。
ゆったりとしたストロークから与えられる優しい快感がかえって、本能的な思考を強化させる。

「イきたいよねぇ、びゅるびゅる出したいよね」
「…………俺は、言わないぞ」
言ったら、もうニ度と目の前の彼女を触れられなくなるような、愛せなくなるような気がした。
意識が清明になり、この淫猥な拷問の中で理性をはっきりと保っていた。
「はぁ……、強情だなぁ。だったら、今はもういい。一緒に気持ちよくなろうよ」
「………この流れで、出来るわけ、ないだろ」

目の前にいる咲のフリをした彼女を前に心が揺らぐ。確かに名を偽っていた彼女を愛していた。
だけどそれは、彼女が名を偽るような人間だと思っていなかったであり、
素性が知れない者と分かった今、じゃあ抱こうと簡単に割りきることは出来なかった。

既にあの女の味を身体が覚えていた。この昂ぶったモノで彼女を犯せばどれだけ気持ちのいいことだろう。
黒い欲望が無駄な思考を掻き消そうとする。だが、踏みとどまるほどの理性がまだ残っていた。


116 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:15:49 EyBT4fTI
「ねえ、しようよ。もう、ワタシ、火照っちゃって止められないんだよ」

きつい拘束を解かれた。京太郎が乱れた服を元に戻し、いつでも動けるように体勢を整える。
咲は目の前で無防備な状態になり、襟元を広げて、おねだりするようにアプローチを始めた。

それでも、手を出してこない京太郎に彼女は痺れを切らして
「んっ……」
服の上から自分の乳首をなぞり、下着の中に手を潜らせて、割れ目を撫ぜる。

唐突なその行為で京太郎に拍子抜けする暇すらも与えられず、咲は自分を慰め始めた。
目に映るのは、胸を弄り、下腹部で上下に手を蠢かせるはしたない咲の姿。
初めて肉眼で見る女性の自慰に釘付けになっていて、視線を逸らすことも目を瞑ることもできなくなっていた。

「ふふっ…ぁっ、…んんっ、ふぅぅ」
わざとらしく息を漏らしながら、乳首をきゅっきゅっと摘み、湿りつつある割れ目を擦った。

「汚れちゃうから…、脱いじゃおうかなぁ」
京太郎を一瞥すると、まず上着に手をかけた。ボタンを上から一つ一つゆっくりと外す。
中途半端に肌蹴させられた肌の領域が広がっていく。やがて、最後のボタンを外し終わると、へそがチラリと見えた。
扇情的に服をめくる。弄びすぎて少し膨らんだ乳房と、桃色の乳首が姿を現し、
上着の全てを脱ぎ終わると上半身を全て露出させた所謂、トップレスの状態になった。

「京ちゃん、ほら…京ちゃんの好きなおっぱいだよ」
「…!ば、馬鹿野郎。何のつもり――」
「何って、一人えっちだよ?」
「…………」

「んっ、しょ……、っと」
腰を浮かせてズボンを下着ごと脱がす。次第に一糸纏わぬ姿になっていく。
脱衣は見慣れているはずなのに、やはり体は正直で、放って置かれた愚息が再び充血していくのがはっきりと分かった。

陰部には何も着ていないことを強調するかのように右足に下着を引っ掛けてから、再び乳房と割れ目に手を持っていった。


117 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:16:10 EyBT4fTI
「んっ…、ふぁっ、ぁん……」
切なそうな表情をしながら指の腹で乳首を押し潰しながらこねくり回す。
愛液を分泌させ始めた秘裂に指を3本ほど挿入させながら、陰核を親指でクリクリと押し上げる。

咲は、自慰を見られて分かりやすく興奮を示していた。見られる羞恥に快感を更に強くするほどに顔を赤くさせて、
乳首をピンと立たせ、クリトリスが勃起している様をはっきりと見せつけ、あからさまに情欲を煽っていた。

「咲……」
そういうアプローチしか出来ない咲が可哀想に思えてきた。どうであれ、自分を求めている。
離れて欲しくない、包み隠さず心を見せてほしい、その想いでオナニーを見せ付けている。

淫乱の性を背負っているのか、その状況さえも大義名分にして、一人で愉しんでいるように見える彼女がひどく孤独に見えた。

「ワタシの、唇も、胸も、ココも……京ちゃん専用なんだよ。好きなように使って、好きなだけ気持ちよくなってくれればいいの」
ヌチャッと音を立てて、使い込まれた桃色の肉穴を両手で広げる。発情した女性の匂いが鼻腔を刺激し、本能を刺激させる。
自分だけが好きに出来る女体、甘美な言葉に雄的欲求を満たされ、咲を滅茶苦茶に犯したいという異常な欲望を溢れさせる。

――だが、これさえも演技なんだろう?
再燃したばかりの疑念が手伝って、据えられた膳を喰らわず、京太郎の理性はなんとか保たれていた。
身体の相性が良い咲との情交の魅力的であった。至上の快楽の味が全神経に染み付いていた。
一度それに意識を集中させてしまえば、我を忘れて堕ちていく自分がいることを知っていた。
だからこそ、このままその深みに嵌ってしまえばもう絶対に戻れなくなる虞があった。

「お願い、ここに挿れて。切なくて、ドキドキして、止められないの」

けれども、もうずっと前から疲れている自分がいることも知っていた。
夢の幻影に追われ、常に誰かに監視される恐怖から抜け出し、偽りの安息を過ごしていた。
少しくらい、楽な方に転がってもいいんじゃないか。今だけは何も知らないフリをして
目の前の彼女と自分を騙して、心を休めてもいいんじゃないかと思った。
言い訳を必死に並べ、自己を正当化して、もう何もかも投げ捨てたい。
つまるところ、諦めだった。


118 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:16:58 EyBT4fTI
「だから、京ちゃんのおちんぽで……滅茶苦茶にして」
ああ、そうだ。ずっと前から性に溺れていたんだ。だから、何度繰り返しても…

「咲っ!」
もう何も考えないことにした。
いきなり彼女を押し倒し、両腕を抑え、動けないようにすると、咲は動揺した表情を見せた。
「ひゃあぁぁっ、、……あ、えっ?」
箍が外れた京太郎は、早く欲望を放出したくて、声をかけや、許可を得ないまま
腰の動きだけで肉棒を動かし、蜜の溢れる恥丘に音を立てて亀頭を擦りつける。
そしてそのまま手の誘導もないまま、ヌルヌルとした蜜壷に陰茎を滑らせて、乱暴に突き降ろした。
「――――――――――――!?!?!?」
ぱんッ!ぱんッ!と弾ける様な音を立てて、全力で腰を打ち付ける。
咲をまったく考慮しない抽送から、草臥れた心を放り捨てる為の儀式が始まった。

―――――――
―――


ペースをまったく落とさないまま、不安を、恐怖を、全ての悪感情を消し去るように情交が続いた。
ぷっくりとした紅い唇を、ほどよく実りつつある二つの乳房を、丸みを帯びた薄桃色の臀部を、
年若い処女を思わせるような肌理細かい陰部を膣内を、咲のあらゆる場所を口で弄び、味わい、
身体のあらゆる場所を生臭い白濁で汚し、快感を味わった。だけど、まだ止まらない。

幾度と無く咲を絶頂へと導いたが、それでもずっと深淵にある闇を秘めているような瞳で見つめられ、
何故か既視感のある恐怖を覚えながら、身動きの取れない咲を只管肉棒で蹂躙した。

何時間経っただろう。結局、いつものように暴走して、咲に一方的に欲望をぶつけた。
ただ、今回の様相はまさに陵辱であった。愛など一切ない、気持ちよくなるためだけのまぐわい。
だというのに、彼女はとても嬉しそうに注がれる精液を全て受け入れていた。

「はぁっ、はぁっ、……グ、ぅううっ、うぉあぁぁっ!!」
咲を抱き上げて、鏡に写る結合部を見せるように突き上げた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と水音を立てながら、繊細なショートヘアを揺らし、
清純そうであった縦筋が重力によって降りてくる腰によって肉棒を口いっぱいに頬張っている。


119 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:17:14 EyBT4fTI
多少男性に負担があるにせよ、女性が感じるためにも、妊娠させるためにも合理的な体位だった。
突き上げて子宮口をコツンコツンとノックする度にぐったりとした咲のくぐもった喘ぎが聞こえた。

見えていたほうが興奮するようで、表情が蕩けている咲の膣内がいつもより搾り取るように絡みつき、
ピストンを繰り返す毎に、ボタボタと結合部から溢れ出る精液を落としながら、肉棒全体を強く締め付けていた。

「やぁぁああぁっ!くる、きちゃうぅぅっ、またぁっ!またイっくううう!イっちゃあああああああ!!」
数十回目の絶頂が訪れる。段違いにきつくなる膣壁を押し広げて、射精するために
上半身と腕を使いながら、絶頂に緊張している咲の身体をオナホールのように使う。
「ぐぉぉぁああっ!で、出る、……ッッッ!」

――ぶびゅぶるどびゅぶぶ!!びゅるっ!びゅばっ!びゅうううううう!!

「ぃやぁぁああっ、京ちゃんのっ、熱いの、たくさん中に出されてるよぉおっ!」

射精しながらも強烈に尻肉に陰部を叩きつけるように抽送を続ける。
膣内に入る余地すらない精液が、湧き出る温泉のように溢れ出る。

その射精圧に耐え切れないほどの快感を覚え、幾度と無く咲は絶頂を繰り返し、
「ひゃぁ、んんぅうっ、で、出ちゃう…、お、おしっこ、出ちゃうよぉ……」
――シャアアァァァァァァ……
足元に出来た精液溜まりを黄色く染め上げた。


120 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:17:41 EyBT4fTI
「(また……やってしまった)」
発生源の分からない迸るどす黒い欲望に抗えなかった自分を只管悔いる。
汚れた身体を拭き終えると、力尽きるように二人してベッドへ倒れこんだ。

「ありがと、京ちゃん。そのね、……気持ちよかったよ」
引っ込まない汗を気にせず、抱きつきながら恥ずかしそうに囁く。
「あ、ああ………あのさ、咲。電話のこと……」

「うん、知ってるから、いいの」
今まで性快感で恍惚を浮かべていた表情が一変した。
事後で囁きあう場には不釣合い平坦な声と無表情な貌が強烈な違和感を醸し出す。

「『宮永咲』はもう死んだんだよ。もうどこにもいないよ」

「………!?」
「でも、京ちゃんは話してくれなかったね」
「これってさ、ワタシの気持ちに対する裏切りだよね?」
背中を抱きしめる腕の力が、およそ咲の腕では出せるはずのない力を以って京太郎の胴を潰すほどに締め付ける。
脳が引っ切り無しに警鐘を鳴らす。命の危険を感じた。だというのに、腰の疲れで身体はうまく動かせない。

「ぐ、ぅ…、お、お前は……」

なぜ知っているんだ。何で、そんな言葉を口にしながらそんなに満面の笑みでいられるんだ。
掻き消したはずの恐怖が溢れ出て、まるで身体が石化したかのように動けなくなる。

あの目の既視感にようやく確信に至った。
夢の体験したことのある恐怖、自分を殺した咲から発せられていた恐怖。
まさにそれと同じものだった。

「そうか、あの時も、お前が俺を刺したんだな……」
「……?何のこと?私は京ちゃんにそんなひどいことはしないよ」

「でも、目が届かない場所にいっちゃうのは心配だなぁ、だからさぁ、こうしよっか」


121 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:19:19 EyBT4fTI
―――あれから数ヶ月が過ぎていた。
咲が死んだ報告を聞いた日から、界はずっと家に戻っていなかった。何故かは知らなかったが、大体見当はついていた。
ただ、想像すると嫌な気分になるので深く考えないことにしていた。それに、逆らわなければ、存外悪い暮らしでは無かった。

あれ以来、彼女との愛し合いを強制されながら一度も外へ出られない生活が続いていた。
咲の名を騙っていた彼女の髪は金髪になっていた。栗毛色の髪は染めたもので、話を聞く限りこの金髪が彼女の元々の地毛らしい。
口調も彼女の素のものなのだろうか、親しげで、少し生意気さを感じさせるように話しかけるようになっていた。

まだ太陽が上りきらない時間帯。薄明るい光がカーテン越しに部屋を明るくしていた。
室内には水音が響いていた。椅子に座り、男根だけを露出させられている京太郎の上に
少女が跨り、長髪を振り乱しながら一人よがりに喘ぎ、人並みに膨らんだ胸を押し付けながら、腰を振っていた。

「んっ、ぁあん、京ちゃん…、一緒にイこっ?」
完全に射精も制御されていた。彼女が絶頂に締め上げると、都合よく自分も射精させられる。
じわじわと精液が彼女の中を満たしていく感覚に、充足感が満たされていく。

それと同時に彼女は背中を反らして数回身体をヒクつかせてから、深い口付けを求めてきた。

不自由な生活ではあったが、1ヶ月も経った頃には、美少女である彼女に世話をされながら
毎日彼女と肌を重ね合わせる日々が最上の幸福なのではないかと考えるほど感覚が麻痺していた。

「はぁぁ…、んっ、気持ちよかった?」
「うん」
「んふふ、そうでしょー!」
気遣うように微笑する彼女が可愛いと思った。
そこまで自分がこの天国のような軟禁生活に思考が毒されていることにすら、もう疑問を抱くこともない。

手持ち無沙汰な監禁生活で見るものはTVと彼女の顔しかなかった。
彼女と会話をしたり、家事をする姿を眺めるか、深く考えることしかすることが無かった。

必然的に彼女のことが少し分かった。彼女をよく観察してみると、『咲』が柔和で、物静かな性格に対し、
彼女は積極的で、我を押してくる、本来の彼女とは真逆の性格である、ということ。

どうも自分が絡むことは文字通り「どんな手を使ってでも」解決しようとする節があること。
そして、その攻撃的な性格が顕在しはじめたのは、咲が不自然に告白をしてきた日からであること。
つまりあの日、咲に何かがあっていなくなり、彼女が皆の知らないうちに咲に成り済ましたという推論を導き出した。

今まで起きたことが全て彼女の仕業だとすれば、あの電話も監視カメラの件も、合点が行く。

ただ、一つ。彼女が咲ではないと知っていて、咲の父親である界が何故宮永家に住まわせているのか、という疑問が残っている。
「(界さん、あなたは何を知っていたんだ)」
何にせよ、もう彼女から逃げられない不自由な生活で気づいたところでもう遅かった。

「ねーえ、京ちゃんが胸ばっかり弄るから、少し大きくなったよ、ほら」
手に収まるほどの大きさになった胸を押し付けてくる。
「んっ、ふぐぅ!…んんぅ、ちゅ、ちゅうっ」
視界が遮られる。唐突に押し付けられたそれに困惑しながら、吸い上げると、口の中に甘い味覚が流れ込んできた。
母乳だった。おっぱい星人という性分であった京太郎は、堪らずそれに歓喜し、むしゃぶりついた。
「ひゃぅ、もぉ、乳首そんなに舐めないで…また感じちゃう」

「んんっ、片方だけだからねっ」
母乳と乳首の快感に蠢く膣内が再び肉棒を元気にさせた。
分かりやすい反応に いたずらな眼差しを向けながら、腰を上下に動かして
二人の混ざった体液で滑った蜜壷をストロークさせながら愚息を強烈に扱き始めて、
昂ぶりが収まる頃にはもう正午が過ぎていた。


122 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:20:04 EyBT4fTI
朝から続けていた情交に、気怠さを感じながらベッドに横になり、抱き合いながら眠りについていた。

TLLL...TLLL... 毎日この時間には携帯のコールが鳴っている。そして決まって
『もしもし、もしもし?須賀くん、咲、麻雀部のことは気にしないでいいから学校に出てこれないかしら。
 確かに和は転校しちゃったし、私も来年は……、だけど、また新しく始めればきっと――』

「うるさいなぁ……!!」
目を覚まして、不快そうに顔をゆがめながら彼女が音を消した。

「もう遅いんだよ。京ちゃんとの赤ちゃんは……、ここにいるから」
慈母の顔で腹部を優しくなでる。
「え……!?」

「だから、もういいよね」

声とともに首筋に激痛が走る。我慢できない痛みに顔を離すと、彼女は様子を注射のようなものを握っていた。
それも、瞳孔を限りなく小さくして、口角を有り得ないほど上げていて……。
この世の物とは思えないほど不気味な笑顔を浮かべていた。
「ぐ、ぁああっ!!な、何を…、す……!?」
髪を掴み、頭を持ち上げられる。目の前に、狂気に染まった彼女の瞳が迫る。
得体の知れない薬品を動脈に流し込まれながら、その表情に底なしの寒気を感じた。

そのまま、注射針を引き抜かれると、徐々に痛み、触覚さえもが鈍ってきているのが分かった。
視界が揺らぎ、酩酊するようにフラつくような感覚。ふわふわとした感覚が現実感を薄れさせる。

「ふ、ふふふ……、誰があんたなんかと望んで肌を重ねるもんか。今まで苦痛だったよ」
「あ、ああ……」
声を出そうと思っても、気の抜けるような声が肺に残された空気を吐き出しながら、発せられる。
もうあまり、意識を保っていることが出来ないと身体が認識した。

「散々邪魔も入ったけど、……やっと、やっと全部終わることができたよ」
「な、にを…言って、るんだ」

「今から死んじゃう京太郎君には関係ない話だよ」
頭を乱雑に放り投げられると、物音を立ててベッドから床に転げ落ちた。


123 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:20:39 EyBT4fTI
「うフフふふフふふ……、はははっ、あはははは」
視界にぼやけて写るのは、顔を押えて抑えられない笑いを漏らす。

「何で……、笑い声上げてるのに」
「命乞い?もう、遅いよ?欲に弱かったり、急に弱気になったり、情けないよねえ、ほんと」

「――何で……、嬉しそうな声、上げてるのに、泣いて、るんだよ。あの時みたいに……」
「だからあの時って何な……あ、…え?な、何で?お、おかしいな」
瞼には大粒の涙が、留まる事を知らない。狂気に染まっているその顔に涙が止め処なく流れる。

「無理して……笑うんじゃ、ねえよ」
もうあまり残っていない力を振り絞って、涙を拭おうと手を伸ばす。
癪に障ったのか、手を振り払い、横っ腹に蹴りを入れる。
「が、ぁああ…っ!!さ、咲ぃ……」
転げ落ちた際に額を切ったせいか、垂れる血のせいで前がよく見えない。
けれど、顔がそこにあるのは分かった。必死に手を伸ばす。

酷いことをされた恨みもあった。恐怖と懐疑で最後まで信じきることが出来なかった。
事実その通りだったが、それでも、今の彼女には慰めと安堵と抱擁が必要だと自分の知らない自分が彼女を助けようとしていた。

「私は!サキなんかじゃ!ないっ!!」
再度強く、何度も蹴りを入れると、意思を失った手が地に落ち、身体が丸太のように転がった。
京太郎の意識は失われていた。もうこのまま放っておけば命を失うのも時間の問題だろう。

少女の心には悲願の達成によるカタルシス、飛び上がるほどの歓喜と満足感。
そして、心の底から湧き出る、理由の分からない罪悪感と哀しさが同時に押し寄せた。

「う、うぅ……、ぐ、ぅううう!!」
跪いて訳の分からない悪感情を胸を強く握り締めながら、抑える。
「……ふ、ふふふ……あっ、はは!ははははっ!!やった!やったよ!サキ!」
「だけど、今度は寂しくないよ!ずっとずうっとサキは私が護るからね」
「ふふふ、ふ、ふふ………」
笑いながら不自然に昏倒した。


124 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:21:36 EyBT4fTI
あれからどれだけの時間が経ったのだろう。部屋はカーテン越しに入る紅い鮮やかな光で赤一色になっていた。
鉄の錆びたような匂いと、いやに鼻腔を刺激するような薬品の匂いが混ざり合い、部屋の中に充満していた。

彼女の瞼を上がる。先ほどの狂気とは極端に様変わりした柔和な瞳が露になった。
散らかった自分の部屋を見回すと、何故かそこで横になっている京太郎の存在が目に止まった。

「……ここ、あれ?何で、えっ、京ちゃん……?な、何で」

「ねえ、京ちゃん、どうして私の部屋で、……!!」
身体を揺すり、反応を見てみると、脈は無く、息をしていないことが分かる。

自分の手の近くには未知の薬品が入っていたであろうケースと注射器が無造作に投げ捨てられている。
うつ伏せになっている京太郎を仰向けにすると、額から流血していて、横腹も少し赤く滲んでいた。
そして、彼女のつま先はそれと同じように赤く滲んでいて――

「わ、私が……?やったの……?おかしいよ、こんなの……」
「京ちゃん、驚かそうとしてるんでしょ、やめてよこういうの」
「ねえ、起きてよ、ねえ…、京ちゃん、ねえったら!」

「嘘、うそだよこんなの……いや、いやっ、なんでぇっ!!」
「――――――――――!!!!」
声にならない声で絶叫した。まるで予知も理解もできない現状にパニックになり、ただ叫ぶしかなかった。


125 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:23:15 EyBT4fTI
「うぇぇ……ゲホッ、ゴホッ……、そ、そうだ。警察に……、あ、れ?」
廊下に出ようとして立ち上がり、足を進めると、鏡台に写った自分の姿に違和感を覚える。
「なにこれ……髪の毛……、それに、胸がなんで……、おかしい、おかしいよ…」
理解の範疇を超えた異常の連続に頭を押えて、廊下を出て、階段を急ぎ足で下りる。

1階に降りたとき、部屋にいたときとは段違いの血の匂いがした。
「うっ……、これって」
恐慌する。早くここから逃げないといけないという恐怖があった。
だが精神的な混乱が足をそちらへ向かわせた。

血の匂いが濃くなってくる。気づけば、父が捨てることと提案してきたあの雀卓を仕舞ってある倉庫の前に立っていた。
「………?」
部屋の物々しい引き戸が半開きになっていて、一切光を通さない部屋の向こう側に光が若干進入していた。
恐る恐る戸を引くと、誰かの存在を感じた。電灯のスイッチを入れる。

「………お姉、ちゃん?」
「咲……いや■■■。あなたの……せいで」
目を疑う。ここにいるはずのない人物が目の前にいた。
宮永照、全国高校麻雀におけるインハイチャンピオン。
そして、今は訳あって疎遠中である宮永咲の実の姉である。

「え、だって……お姉ちゃんは、……ッ!?」
思い出そうとすると、強烈な頭痛に襲われる。
微かにあの光景が浮かんでいるのに、くっきり見ようとすると砂嵐に掻き消される。
「ぁ……っ」
無意識がそれを言葉にしようとしても喉につっかえて出てこない。

「あなたのせいで………」
手元を見てみると、ポタポタと床に滴り落ちるほど血に塗れた刃の長い包丁が握られていた。
ところどころ、小さな肉片がついていて、何を切り取ったのかはそれだけで理解してしまう。

「お姉ちゃん、な、何で………」
腰が抜けてしまう。必然的に視線は低くなってしまうわけで。
目の前に人であったはずの肉塊が小分けされて、辺りに血を飛沫させて、散乱していた。
照に捉われていた視線を外し、周りをよく見てみると、辺りは赤一色になっている。
もちろん、この部屋が元から赤というわけではなく――。

そして、生前のその人物のものであろう眼鏡がその横に添えられていた。


126 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:25:03 EyBT4fTI

「お、お父さん……。う、うぇぇ……お、ほ、ごほっ!おぇぇぇ!!」
変わり果てた父の姿に胃から全てが逆流するように込み上げ、吐瀉してしまう。

「う、えぇ……、お姉ちゃん。何で、こんな、ことぉ……!」

「何で?全部、全部あなたのせいじゃない……。咲があんな風になったのも」
「お父さんとお母さんが仲違いしてバラバラになったのも……」

「ゲホッ、ゲホッ、訳分からないこと言わないで、私は咲だよ!お姉ちゃんの妹の!」
金髪になっていた自分に少し自信が持てなくなっていた。だけど、記憶があった。
遠い昔、姉妹として仲良く過ごしていた記憶が。

記憶が……、掠れて、自分と姉の間に一つの黒い影がじわりと浮かんでくる。
そこはお前の場所じゃないと睨んで隣にいる自分の首を締め付けてきた。
「う、ぁ、ぁああぁぁ……あれ?私は……咲だよ、ね?」

「その口で……」
赤く染まった包丁を右手に、咲を自称する彼女ににじり寄る。

「お、お姉ちゃん……まさか、そんなことしないよね?」

「その口で咲の名前を口にしないでっ!!」
力一杯、思い切り長刃の包丁が振り下ろされ―――


127 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:25:48 EyBT4fTI
「やめろおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
脳天にそれが直撃する寸でのところで京太郎は目を覚ました。

「はぁ……っ、はぁ……っ。こ、ここは……?」
何故か、自分が死んだあとの光景までずっと、テレビの映像を見る感覚のように視覚していた気がする。
四方八方がコンクリートのような謎の素材で出来た壁によって隔たれている小部屋にいた。

「うっさいなぁ……。起きたってことは、須賀くん、また死によったな。ええ加減情けないで?」
何だか見覚えのある関西弁訛りのセーラー服――のような、まあ学生服であることには変わりないだろうが――を着た
色白でセミショートの黒髪の少女が近寄ってきた。

「えっ、あれっ?照さんと咲は!?それに、あ、あんたは一体」

「まま、ええからはよ起きて、お話があるから」
気づくと、自分が病院のベッドのような寝台の上に横になっているのが気づいた。

言われるがまま、向かい合って、円卓に座らされると、お茶を用意してくれた。
「ま、色々大変やったやろ?お茶でも飲んで落ち着き。お茶菓子もあるで」
「あ、これはどうもご丁寧に」
「ふふふっ、どうや?結構なお手前で、ってやつか?」
「それって、こちら側が言うもんなんじゃないっすか?」

「じゃなくて!何で俺が死んだことを知ってるんだよな、というか俺死んだのか!?」
「お、おお?須賀くん情緒不安定やん」
「そりゃこうなるわ!あんなこと人生で一度も経験することないだろ普通」
「今日日昼ドラ系のやつでもよう見ることもないしな。現実で起きたらたまらんな」


128 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:27:20 EyBT4fTI
「まあ、間違いなく、注射器プスー刺されて、何かよう分からん劇薬注入されてたし」
「やっぱり夢じゃないのか?」
「うん」

「……!ってことは、咲に刺されて死んだのも」
「ああ、そういえばそんなこと言ってたな。すごいやん、進歩したなぁ」
怪訝そうな顔をして京太郎の瞳を見つめる。

「……何か、年上っぽい振舞い方っすね」
「おう。私はキミより2学年上やで。自己紹介まだだったな。私は園城寺怜。」
「えぇっ、先輩だったんですね、失礼しました!俺は――」
「ええよええよ。分かっとる。清澄高校一年麻雀部唯一の男子部員、須賀京太郎くんやんな?」

「……何でもお見通しなのか。すげぇなぁ」
「そりゃだって、私キミの今までのループの一部始終全部見とんねんで?」
「え゛っ、ちょっと待ってください」

「もちろんご想像の通りや。嫌でも見ないとあかんこっちの身にもなってや?」
「うわっ、うわぁっ、マジかよ!ほんっとすいませんでした……」
どう見間違えても美少女である怜に一部始終を見せ付けていた事実に赤面してしまう。

「まあ、ええけど。ほんで、そろそろお話進めてええかな?」
「あ、俺も聞きたいことあるんですけど」
「うん。まずは今から話すことで大体説明するから安心して、質問はあとで受け付ける」


129 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 00:30:22 EyBT4fTI
とりあえずここまでです。遅れましたすいませんでした。
新しいネタ思いついてそっちも書きたいので出来るだけ早く終わりまで持っていきます。


130 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 13:22:11 hxZkLcp2
みなもちゃんかな?
んにゃぴ、よく分かんなかったです
おっちゃん解説頼むよ〜


131 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/07(月) 20:25:15 NOrQK4Nc
はえーすっごい大作
続き期待してるで


132 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/11(金) 00:30:13 ue9imUag
PC が爆発四散したので、再開に時間がかかりそうです。すみません。


133 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/11(金) 14:52:30 bvqmK.qU
ええ…(困惑)
お待ちしてナス!


134 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/11(金) 14:55:01 vSN3yQTs
y2kかな?


135 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/19(土) 00:21:33 9ZAAJYd6
生存報告をば。
PC直したのでやっと書けるようになりました。


136 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/19(土) 00:22:23 9ZAAJYd6
下げるの忘れてました。ゆるして


137 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/12/19(土) 02:19:32 KXI2RXwg
ご無沙汰じゃないすか!


138 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/10(日) 10:54:09 tTWedSME
新しい書き方確立したのでそちらで進めて行きたいと思います。
修正しながら進めるのでペース遅めになると思いますが、ゆるして


139 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/12(火) 23:01:01 qq15HViU
やったぜ。


140 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/14(木) 16:06:34 xh.P7D5c
やったぜ‼︎


141 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/21(木) 19:39:47 h1U6gJoc
エロ目的で見始めたのに読み物としても良くてびっくりした。


142 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/24(日) 14:52:14 LE6h3BfA
>>141
同じく……


143 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/01/28(木) 10:00:21 o2eP7YDw
のんびり待ってる
続いてくれたら嬉しいけど途切れたら途切れたで


144 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/02/25(木) 02:46:57 edEB491k
今別の方進行してて放置気味になってますすみません


145 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/03/26(土) 00:32:21 oacKVDoU
大丈夫ですよー
続きがクッソ気になるけど気長に待ってますよー


146 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/03/29(火) 22:38:23 dATwqQxs
完結してくれたら嬉しいけどな〜俺もな〜


147 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/23(月) 01:33:56 83WWlKj2
いつまでも待つわ


148 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/28(土) 01:51:01 JKvk1xho
そろそろ再開します


149 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:55:03 d9S1hQ9w
「君はできる!その力を持っている、さあベッドに寝るないしは扉を見つけて元の世界に戻り、ループを抜け出す方法を究明するんや!」
「……はぁ?」
「分からん?」
「だいぶ、分かりませんが」
「物分りの悪い子やね、君は。しゃあない、気持ちの整理がてら、何でも言って、何でも聞き」
「分かりました」

――――――――――――
―――――――――
―――
怜から説明されたことを大雑把に纏めると以下のようになる。
1.ここは現実(先程いた世界)の時間の影響を受けない不可侵の領域である。
2.怜や京太郎は現時点で死んでもいないが、生きてもいない状態らしい。
3.京太郎は高校1年の春から死ぬ、若しくはある期間が終わるまでをループしている。
4.このループはある条件を達成するまで終わらない。
5.ループするごとに記憶はほぼ引き継げず、デジャヴを感じたり、フラッシュバックとして回想していた
6.怜はその補佐的な立ち位置で、京太郎を助けるまで現実世界に戻れない。
7.デジャヴ的フラッシュバックや、死後の第三者視点的映像は今まで辿ってきた世界の残滓によって見せられている。
8.ループ脱出に挑む回数に制限は今のところはないが、何かしらあってもおかしくない。

「まとめると以上のようになるんですか?」
「せやね、……っていっても確信的な情報は1〜3のようなもんやけどな」
「あとの4〜8は何なんです?」
「予想、空想、考察の類や。大体こんなんじゃないかなぁ、なんて」

「「……………」」

「信用には値せんか?」
「分からないんです」
「うん?」

「よく分からないことがあっちでも起きてて、人が何人も死んで……、それに園城寺先輩が俺の事を事前に知っていた」
「ん、いやいや。君とはずっと前から知り合ってたって」
「まあ、そうであったとしてその記憶もない。そういう、おかしなことが続いていてるんです」

「信じる信じないは別として今更どんな荒唐無稽な事を言われても違和感ないですよ」
「そっか」

一口もつけていない紅茶が湯気を失うほど冷めていた。一体、どれだけ二人で話をまとめていたのだろう。
心を落ち着けて、これまで数週間、数ヶ月の情報を気持ちするにはまだ足りないくらいだ。
だが、京太郎はそれだけの気持ちを、主観的には会ったばかりの先輩、園城寺怜に話すのは気が引けた。

「冷めとるな。ちょっと淹れなおすわ。待ってて」


150 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:55:24 d9S1hQ9w
怜は二人分のお茶をお盆に乗っけてとてとて歩きで円卓へと戻り、
お待たせ、と言うとそれぞれの目の前のソーサーの上にお茶のカップを置いた。

「続いて質問すること何かある?」
「あの、さっき死人がどうこう、って言ってて思いついたんですが」
「うん」
「園城寺先輩が言うにはこちらの世界を覗けてたわけですよね」
「まあ、大体はな」
「真犯人がどう、とか死人がどれくらい出たとか分かります?」
「ほっほう、なるほどここで推理しとくってわけか」
「ええ」

「残念ながら、君の目と同じもんしか見れへんから分からんよ」
「さいですか……」

「少なくとも前のループの最後では、君、咲ちゃん、恐らくその父、宮永界さん計3人が亡くなっとるな」
「ええ」

「それで、チャンプの…宮永照の言うところでは、咲ちゃんがおとんを殺した、と」
「はい」

「君も咲ちゃんにボコボコにされてるわけやし、もうこれは決まりなんやないか?」
「そうなんですけど、そうじゃないんです」
「ん?」

怜はティースプーンをカップの中でくるくると混ぜるようにして
訝しげな顔で京太郎を見つめて、意見の続きを催促した。


151 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:56:23 d9S1hQ9w

「最後に我に返った咲。あの咲が何かを起こしたように思えません」
「ふむ、二重人格みたいなアレか?かいりせーなんちゃらとか」
「そんなところです」

「君はあくまで彼女の凶暴な人格によって殺された、と」
「……人格というより、何かが憑いていた、と言いますか?」

「はぁ?ファンタジー?」
「いやいや、この現状がもはやファンタジーでしょ。俺だって死人のはずですよ?」
「やー、でもあっちはアレやで?現実世界やんか」
「うーん」

「あと、話変わるけどあの電話。宮永咲さんがお亡くなりになりましたーって」
「ええ、それと、地毛が金髪の咲。……昔から見てましたけど咲が金髪だった試しはないですよ?」
「うーん、そうなると、憑き物というより、入れ替わりが濃厚やないの?」

「ただ、それでも違和感は残るんです。俺を殺した後、フッと糸が切れたように倒れ、目覚めた時のあれ。
 あれは完全に俺が今まで見知っていた、久しぶりの咲の姿だったように見えるんです」
「けども、情報から見るにあれは咲ちゃんやないで?確実に」

分からない。どうしようもない。
どこかの病院に入院していたと思われる本物の咲の死。 
得体が知れない『彼女』―――便宜上、以後は咲と呼ぶ―――の素性と目的、知らずのうちに亡くなっていた人。
咲が殺したと言い張り、恐らく咲を殺したであろう宮永照。
自分の知らないところで何かが動き、暗躍し、終結し、大量の死と血と怨恨と悲しみと
兎に角、色々なものを以って、そこで起こっていた何かが分からない。

それと、焦燥だ。ここでは何も心配するはずはないのに。早く何かしないといけないような。
恐らく自分の記憶から欠落している何かが警告しているのだ。何か分からないが手遅れになる前に。
生き残ればいいのか、死ねばいいのか。誰を助け誰を疑い誰を信じればいいのか。


152 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:57:05 d9S1hQ9w
そして、悲観。確かに心で通じ合い、依存しがちに毎日好き合っていた咲。
その目的が京太郎殺すため。またはそれに順ずる何かで確かに殺された事実。
確かに、不安定にさせていた原因ではあったが、咲を愛していたのもまた事実であった。
どうして、咲はあそこまで急変したのか。

否、その様子は決して急変ではなかった。何かの度にひしひしと感じていた殺意。
最初からずっと潜んでいたそれが、京太郎を殺した。それだとしても疑問があった。
近づこうと、想いを拒絶しようとしたときにそれを感じていた。
しかし、結末はどうだ。手を差し伸べようとしたその時にトドメとばかりに攻撃を繰り返された。
何故、どうして。それさえも謎のままだ。

思い返せば謎ばかり。流されたまま、快楽に堕ちるまま。何も知らないで、咲に溺れていたから。

何故照が、いつからいたのか。何故咲は金髪なのか。入れ替わった説が正しいとしてどのタイミングで…。
界は何を知っていて、何をしようとしていつ殺されたのか。
瑣末なことも、重要なことも、全て、総て、すべて、見落としていた。
情けなさから来る怒りが燻る焦燥に火をつける。

「………あっ、ああ…!―――――!!―――――!!!」

黒い、じめじめとした観測不能の何かが身体のあちらこちらを這いずり回っているような
気味悪さにいても立ってもいられず、ついに呻くようにして、頭を抱える。

「な、なんやどうした。ぼ、暴走か!か弱き乙女にあんなそんな乱暴したら警察や竜華が黙っとらんよ!」
「わっからねえっ!!!」
「うるさいっ!アホっ、こらっ!落ち着かんかい!」

「あ、痛っ。いたい、いたっ、や、やめてぇっ!いやぁっ!!」

げしげしと脛を苛める連続キックが怜の白肌のおみ足から繰り出される。
我に返るほどの痛みが蓄積して普段出さない黄色い悲鳴を上げてしまい、結果として落ち着いた。

「ああ、いやすみません。いくら可愛かろうが、襲おうなんて野蛮なことはしませんよ」
「そ、そっか。本気でビビったわ、堪忍して……私も自己防衛のためには足が出てまうから」


153 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:57:32 d9S1hQ9w

「園城寺先輩。俺も考えて分かった事があります」
「なんや?」
「分からないってことです」
「………もうそれ何遍も聞いたで?」

「その疑問をまとめて、あっちで色々情報収集すればいいんじゃないかと」
「うん、それが妥当やと思う。なるたけ、咲ちゃんに見つからんようにってのが前提なんは厄介だけどな」

「それと、厄介さんはもう一つ。今まであっちに行ったらなんもかんも忘れとったけど、どうすんの君」
「あっ…………」

早速、作戦が崩れる。堂々と提案したせいか。
申し分けなさそうな恥ずかしそうな表情で京太郎は苦笑いを浮かべる。

「しゃーない。本当は疲れるからやりたくなかったけども、須賀くんのためや。しゃーない」

着ている服に手をかけてもぞもぞをし始める。
京太郎は妄想を浮かべた。なるほど、こういうのはよく漫画や何かでよく見るぞ。
大体が粘液の交換なり、性交なりをすれば云々というアレであるが………。

「って、ちょっと、ちょっとまってくださいよ!こ、心の準備が!俺、そんな…園城寺先輩と寝るだなんて……!」

「はぁ?」
「……えっ」

お話によると、①怜の身に着けている何らかのアイテムを京太郎が所持
②怜がベッド寝ていれば(正確には深い眠りにつける環境ならどこでも)京太郎のいる現実へ行く事が可能。
③但し、精神力を消費したりなんなりで割りと疲れるので多用はNGらしい。

「ほんと早とちりすみません」
「盛りすぎやでー。いくら私が可愛いからって」
「……否定はしませんが」
「っ!と、とにかく、ヨコシマな考えは持たんといて、いややわほんま」
「すみません」


154 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:58:00 d9S1hQ9w
「さて須賀くん、私もおねむの準備をします」
「はい」
「その前に君にこれを渡しとく」

手のひらを重ねたかと思うと、ポンとお守りを手渡す。
大きく、息災と書いていて、どこの神社かもあやふやの
効力があるかどうかも危うい、胡散臭いお守りだ。

「あの……」
「なぁに、効果は人それぞれ、信じる信じないの問題や」

「私はこれに、無事であるように、と想いを込めて君に贈ろう」
「ありがとうございます」
「それに、こういうちっちゃくて持ちやすいものの方がええやろ?」
「確かに」

そういえば、まだ一つ疑問に残っている事があった。
なぜ、彼女はここにいて、自分を助けてくれようとしているのだろう。
今更という気持ちがその言葉を喉に突っ返させているが。

「なに?最後にいっときたいことあんなら今んうちに言いや」

 ―――いとも容易くその気持ちさえも汲み取られてしまうんだ。

「……何で、俺の事をここまで助けようと」
「貶めようとしてるかもしれへんで?」
「そうなんですか?」
「違うけど」

「あの」
「ごめんごめん。閑話休題閑話休題」
「どうして俺によくしてくれるんですか?」
「どうやらな、私はこの空間、そしてこのループに囚われてしまってるみたいでな」
「俺と同じってことですか?」
「んー、まあそうなんかも分からんけど、その為には君が必要やって思って」

「君があっちで動いて、何かアクションをすれば状況や様相が変わって」
「何しろ、清澄で起きた出来事が中心に、このループ世界が回っているのは確実で」
「そのループを共有できるのは私と君だけやし」

「つまり?」
「協力関係や。…まあ、あれだけ見させられ話されでもしたら情が沸かんわけでもないけど」
「なるほど、そういうことだったんですね」
「うん」

「尚更、頑張らないといけない気がしました」
「その心は?」
「救うお姫様がいたら、やる気あがるじゃないっすか」
「ばーーーーか!」


155 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:58:33 d9S1hQ9w
冗談のあと、ひとしきり笑い終えると、お互い頷きあった。

「待ってると扉みたいなんが出てくると思う。そこを潜ると、ループの始まりや」
「分かりました」
「といっても、前回と同じスタートポイントとは異なると思うから気をつけて
 今までもそうだったから、確かなはず」
「了解です」

そう言うとベッドに横たわる怜はかけ布団を胸元まで持ってくると
静かに目を閉じて、眠りに入った。

時計もない、静かな部屋。外界が存在するとも分からない小さな個室。
風の音も、外の道沿いで駆動する車の音も、人の話し声も
日常的な効果音や生活音が全くしない無機質な部屋でお茶を啜りながら、その時を待った。

とくん、とくん、と。怜の小さな寝息を遮る、緊張から響く心音が響いた。
もうすぐ、もうすぐまた始まってしまう。今度は流されるわけではなく、真実を照らすために。
自分が死んだり、妹が父を、姉が妹を危めてしまうような、そんなことのない大団円を探すために。
そして何より、もう二度とあんな凄惨な光景や、咲の悲鳴を京太郎は聞きたくなかった。
生き残るのを大前提としても、自分を殺したはずの咲にもう二度と嫌な思いをさせたくなかった。

そのために京太郎は、帰る事を、決意した、その時。
光源からピカっと光が照らされて、物体がそれを遮ると生じる影のように
何者かが線をなぞるようにそれは無機質なグレイの壁にだんだんと形作られて
凹凸を生み、じわりじわりと、霞から晴れた夜空のようにくっきりと姿を現した。

それは、明かな人工物にように見える、ドアノブのついた、大人一人が裕に通れるほどの扉であった。

「扉か」

京太郎はゆっくりと立ち上がる。そうして寝ている彼女を気遣うようなるたけ音を立てないように扉に近づく。
ステンレス製のようなドアノブに触れてみる。ひんやりとして、熱を与えれば応えるようにすぐ温まる性質のそれ、まさに金属。

しり込みをするようにくるくると、捻る。なんの変哲もない有り触れた扉のようだ。
―――ここを開ければ。
生唾を飲むと、再度ドアノブを捻り、扉を開く。

目の前はただただ闇。光一つ通さない何かでびっしりと敷き詰められたような闇。
手を扉の向うに伸ばしてみる。

扉と外への境界を越えると向うへ手が溶け込み、視界を遮る黒で見えなくなる。
引っ込めると、確かに手はある、無くなってはいない。大丈夫だ。

しかしそこは、まさに、一寸先はなんとやら。一歩踏み出せば未踏の地。

現実に辿り着くまでは予想の範疇から外れた領域。
でも、行くしかない。進まないと、終わりも始まりもない。

京太郎は、意を決すると、そのまま足を進め、闇の中へと溶け込んだ。


156 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 03:59:27 d9S1hQ9w
とりあえず第二部のプロローグをば。
数ヶ月お待たせしてすみません、他と平行して続き書いていきます。


157 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/05/29(日) 05:41:15 fjQPhoNE
楽しみにしてたかいがあった
続きすげー気になる


158 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:56:01 IM5uq5cU
黒に限りなく近く冷房でも効いているのか、やけにひんやりとした薄暗い霧が立ち込める空間を歩いていた。
洞窟、或いは構造物の中なのか、カツンカツンと足音が反響する得体の知れない場所。
文字通り五里霧中。だけれども、今歩いている方角が正しいとなんとなく理解ができていた。

(園城寺先輩は確信的な情報を予めなんとなく知っていたって言ってたような)

まさしく今がその状況だった。動物の帰巣本能、もしくは超常的な何かに誘導され
足を進めるうちに目の前が次第に明るくなっていく。出口が近い。

『また性懲りもなくこっちに来るんだね』

どこからともなく、というより頭に直接響く聞き覚えのある声がした。
ノイズがかった機械染みた正体不明の声だ。
だがどうして、ここにまで響いてくるのだろう。電話すらかかってないというのに。

『そんな怖い顔をしなくても僕自身は君に危害を加えようなんてことはしないよ』

「どうだかな」

不審に思い、周りを見てみる。若干薄明るくなっているこの場所なら人影があれば
すぐに見えるはずだが、やはりそのようなものはどこにも見当たらず。

『怪訝そうに周りを見回してもなにもないよ』
「……お前はどこにいるだ」
『さあね』
「お前は、……咲なのか?」
『どうだろう?』


159 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:57:28 IM5uq5cU
「何の為に俺に声をかけてきたんだ」
『諦めた方がいいよって言いにきたんだ』
「諦める?」
『うん。そろそろ本当に危ないよ』
「危ないことはもう十分堪能してるよ…」
『そういうことじゃないんだよなぁ』
「どういうことだよ」
『…………』

禅問答のような受け答えに困惑する。
こちらは難解なクイズをしているつもりはないというのに。
不満と同時に不思議と落ち着いている自分がいることに気づいた。

「俺はどうすればいいか分からないんだ」
「ループってやつから抜け出す方法が分からない」
「このまま何もしないんじゃどうしようもないんだよ」

ここまで追いかけてくるようなやつだ。どうせ通じるだろう。
ループのことを告白してみる。

『本当に?そう思ってるの?』
「ああ。このまま諦めるのはつまり俺に死ねって言ってるようなもんじゃないか」
『出たいなら出ればいいじゃない』
「はぁ?」

だというのに、それがさも簡単であるように答える。
遊ばれているようで段々腹が立ち、恐怖心や違和感が消えていった。


160 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:57:52 IM5uq5cU
『出ていきなよ。辛い思いしたくないだろ?』
「随分優しいこと言うじゃねえか」
『当然。前にもこうやって助言してあげたでしょ?』
「あれは脅しみたいなもんだろ。カメラを家中に仕掛けて監視しやがって……」
『…………知らないよ?』
「とぼけやがって」

今までの対応とは打って変わって友好的。
ふわふわとして掴みどころのないスタンス。
だが一貫として、この件には関わらないように推してくることは変わらない。
威圧的なのでは変わらないと踏んだのか、それとも、本音なのだろうか。

「何が目的だ?誰なんだ?それだけでいい、教えてくれ」
『僕は咲から君を遠ざける。僕は誰でもないよ。以上』
「ういい、話をするつもりはないんだな?俺は行くぞ」
『待って!』
「今度は何だよ」
『死なないでね』
「はい?」
『あと、早く行ったほうがいいよ』

「――――えっ」

どうして話していて今まで気づかなかったんだろう。
背後によく分からない表現しようのない大きな『それ』が
ズルズルとその巨体を引き摺って近づいてきている。

饐えた匂いのする液体に塗れて地面に身体を擦らせる音が気味悪く。
音のボリュームが大きくなるにつれ、恐怖心が募る。

逃げないといけない。何かまずいことになる。
よくわからないけど大変なことになる。
威圧感に狼狽する。腰が抜けたわけでもないのに足が動かない。


161 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:58:12 IM5uq5cU
あと数メートルの真後ろまでそれが迫っているのだろうか。
ズルズル、ズルズルと耳を嫌な音が支配する。
息をしているのか、ひんやりとした空気を掻き混ぜるように
生ぬるい、異臭のする湿った空気の流れが首元をするりと撫でる。
気持ち悪い、逃げたい。だというのに、足だけが動かない。

『それ』が近づいているだけなのに、身体がぎゅうっと締め付けられ、
上に何かが乗っかり押しつぶされるように骨がミシミシと音を立てて歪む。
否、一切そんなことは起こっていないが痛みがはっきりと感じている。

『タイミングを言うから、その時に逃げるんだ』
「―!?ど、どうして」
『いいから。…いいよね?』
「お、おう!」

ナメクジのように地を這い、ぬめった粘液で地をなぞりながらそれが近づく。
『それ』との距離が知りたい。どうすれば対策可能かも分からない。
未明の時間帯ほどに薄暗くてもそれくらいは察知できるだろう。
だとしても、見てしまったら、もう全てが終わりなんだと直感が
さあ後ろを振り向こうという気にはなれずにいた。

一層に感覚的な重圧がぎゅうぎゅうと押し込めるように痛覚を刺激する。
息苦しくて今にも何かが潰れたり折れそうで、意識さえもが圧迫されていく。

【マ――っ――須――ん】
【い――き―!――ま――ぇ】

誰か、聞き覚えのある声。それに呼ばれた気がした。
ふと、振り向きそうになる。振り向かないといけない気がした。
お前は、お前は…お前たちは、だって、何でここに……。

(ヤバい!)

精神の反応に呼応するように無理やりに首が後ろへと動かされていく。
自分の意図、意識を無視してぐぐぐ…と無理やり曲げるような謎の力で後ろを『視』ようとして。


162 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:58:31 IM5uq5cU
早くしてくれ。もう、ダメだ。
首が痛むほど後ろへ回り、やがて――。

『今だ。逃げて』

クリアな声が響いた。緊張が解れる。
張り詰めたワイヤーがプツンと切れるように
首が、足が、自由を取り戻した。

【し――――ま――ろう――そ――き】
【―賀君―――達――く――。――――さい】

『それ』が何かを言っていた。語りかけるというより
何か、自分で会話をして落ち着かせているように聞こえた。

しかし、窮地にいることは変わりない。

ぬかるみから足が抜けたように軽くなった足の状態を確認する。
万全だ。

地を蹴り足を振り上げて振り返らずに全速力でそこから離れていく。
感覚的重圧が和らぎ段々と明るい出口が目前になっていく。

『何をしてでもこれ以上やり直すのはやめた方がいい』
「お前、どうして」
『もう時間がないみたいだね、それじゃあ健闘を祈るよ』
「お前はもしかしてやっぱり」

声を出そうとした瞬間、視界は眩しい白一色に包まれて
自分の身体も見えないくらいの光に溶け込んでいった。


163 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:58:46 IM5uq5cU
――カァ、カァ、カァ。
まばらにカラスの鳴き声が聞こえた。早く起きろとのお達しだろう。
だが生憎として居心地の良いベッドから抜け出す事は不可能。
狭い行動範囲をゴロゴロと寝返りをうちまどろみ続けるのがやっとだった。

(いや待てそうじゃないだろう!)

グッと重い瞼を上げる。目線の先にはカーテンがあった。
隙間からはオレンジ色の陽光が漏れて部屋の中に差込み
部屋はまるで模様の一切を塗り替えたように明るい色になっていた。
BGMは相変わらずまばらに聞こえるカラスの声。もしかしなくても夕方だろう。

「そして、ここは俺の部屋というわけだ」

日常に戻ってこれた安堵。今後どうすればいいのだろうという不安。
二つの性質を併せ持った溜息が抜ける。

とりあえず、無難に過ごせば久々に羽根を伸ばせる。
確実に手に入れられた安全に落ち着くように手足を伸ばした。

ゴロンと寝返りを打つと見知った天井が目に入った。
自分の部屋のベッドの感触を背に身体を起こすと、周りを見回した。
久しぶりの自分の部屋。インテリアの位置、壁の模様。微かに残る咲の残り香。
そして、違和感として判然とそこにある小型監視カメラの残骸の山。

「夢じゃないよな」

頬を引っ張ってみる。

「ってぇ…」


164 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:59:08 IM5uq5cU
痛い。ここは夢じゃない。意識はしっかり覚醒している。
あれもこれも夢ではないのだろうか。怜のことや、自分が一度死んだ事も。

記憶を引き継いでいる。確かに咲と数ヶ月間、堕ちに堕ちながら愛し合い、殺された。
その後、怜と話し合い、決断し、よくわからない化け物に追われ、逃げ切り、そして。
だがそれも全て今まで見ていた夢なのかもしれない。証明のしようが―――。

「そうだ、確か……」

記憶を引き継ぐアイテムとしてお守りのようなものを渡されていたのを京太郎は思い出した。
どこにあるのか、がさごそと自分の服のポケットを手当たり次第にまさぐる。
如何せん適当に作ったように見えた薄っぺらいお守りだ。
服の上からペタペタと触れて違和感を探る方法で見つけられない程度には困難である。

「――あった」

いつの間にそこに仕舞ったかは別として
懐の中の内ポケットにそれはあった。

いよいよ夢でないことが真実になっていく。
短い夢は終わった。ガラガラと完璧に安全であった壁が壊されていく。

「あったんだ……」

少し落ち込んだ後、それでも今はゆっくり過ごせる事実に揺らぎはないため
すぐに立ち直った。要するに、咲に必要以上深く関わらなければいいだけなのだから。


165 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:59:24 IM5uq5cU
「ところで今は一体いつなんだ?」

いつもであれば……。そう思い手を伸ばすと枕元より少し上の辺りに携帯を見つけた。
日付を見ると、自分が咲に殺められた日より遥かに遡っていた。

「この日は何か重要なことがあったような……」

長考していると、夕方であるのに静かであることに気づいた。
そこでようやく、両親が旅行からずっと帰ってきていないことを思い出した。
何故ずっと帰ってきていないんだろう、おかしい。

「いや、それもなんだが」

などと自問自答しながら曖昧に思い出した情報から
推理(またの名を無意味な長考)をしていると
無人であるはずの家のどこかで 足音がした。

その足音は迷いなくこの部屋を目指して近づいてきている。
とん、とん、とん。
小さな足音が少しずつ大きくなっていく。

(そうか、この日は咲の家に越した日だった。ということは)

足音の正体は咲だ。あろうことか咲だ。
接触を一番避けたいあの咲だ。

どうすればいい、どうすれば。とにかく、隠れれば。
隠れるとしたらどこに?

咲はまだ自分が信用しているという前提で来ているはず。
よってあからさまな場所に隠れてもバレるわけがない。
仮説は立てた。お次は場所の指定だ。

ベッドの下か?
          いいや、単純すぎる。
扉の裏か?
          時間の問題だろう。


一番人が入らなさそうな場所は……。
足りない頭をフル回転させた。


166 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 04:59:54 IM5uq5cU
結果、忍び足で絶賛封印中の押入れの中に入ると音を立てないようにゆっくりとドアを閉めた。
そして、身体を支えようとどこか物に掴まろうとして手を伸ばした。

むにゅっ。

「ひゃうっ」

そして、何か柔らかいものを掴んだようで、それが返答をするように可愛い声をあげた。
それはスカートを履いている様で柔らかい感触をした程よい肉付きをしている。
辺りには、パンの袋、ペットボトル、その他ゴミなど生活観が見て取れる。

つまり、誰かがこの狭い空間に潜んでいたようなのだ。誰かが。
ずっと。
ここに。
潜んでいたのだということが。
なんとなく、理解できた。

「――!?!?」

血の気がサーーーッと引いていく。
もしや前のループで自身を脅かしていた何かが
すぐ間近にずっと潜んでいたんだという察しが動機を激しくさせた。

(やばい、間違えたぞ!隠れる場所完全に間違えた!!)

今すぐ暴れて逃げ出したい衝動が口から溢れ出そうになり
叫ぼうとすると、察したそれは、京太郎の口を両手でパッと塞いだ。
暴れられないようにぎゅっと身体全体で抱きついて身体を拘束してきた。
華奢な身体が押し付けられて否応なく大人しくなってしまった。

「しーっ。ダメだよ、今は隠れて静かにしてないと」


167 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 05:10:36 IM5uq5cU
「不可抗力で触った事はとやかく言わない。だから黙って」

それは、咲に似ていて、でも少し大人びた凛とした声。
鼻腔を心地よくくすぐり落ち着かせる彼女特有なのであろう匂い。

「咲に見つかりたくないんでしょ?『京ちゃん』?」

しかし、以前見た時とは別人のように全く殺気の感じられず。
寧ろ、友好的に諭すような穏やかな目線。

「み、宮永、照?」
「フルネームで呼び捨ては気に入らない」

赤い髪に、一見無表情な顔。凹凸が少なくスラリとした身体
―――の割りに感触がやけに柔らかかった―――と
白いワンピースのような某名門校の学生服。
怜が言っていた、有名人であり咲の姉の宮永照。
前ループで恐らく咲とその父を惨殺したであろう張本人。
のはずが、京太郎に対しては一切の敵愾心がない。
無関係?保護?まあ兎に角、悪い扱いではないことは確定的に明らか。

どうやら命の危機は無さそうだ。
が、それとは別の問題が身体の別の場所で起こり始めていた。

「大丈夫です。騒ぎませんからはなしてください。その……気まずいっす……」
「あ、そうだった。ごめん」

言葉をかけると無表情に少し顔を赤らめてゆっくりと出来るだけ
狭い空間の中で距離を取って照はコクリ、と頷きながらもじもじしていた。

「……ごめんね?」

恐らく無意識の素朴な行動。
天然のあざとさに心を奪われていた。
先程、最初は死ぬほど恐怖していた相手に。

(なんだこの可愛い生き物)

殺伐とした流れから一転、少し心が和ませていると
とうとうそこまで近づいた足音の主がガチャリとドアノブを捻り
遠慮なしに部屋の中へ入ってきた。


168 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 05:14:40 IM5uq5cU
とりあえずここまで。少しずつペース戻して再開していきます。

おホラー書くのむつかしいですね。
普通の文章書いてても毎回どこか抜けるというのに。

手探りでいろいろ書き方変えたりして
実験的に進めてますが、どこか抜けてるところとか
気になるところがあったらよろしくどうぞ。


169 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 15:43:26 n3MUQjN6
あくしろよ


170 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/05(日) 18:33:43 jnY6lHgg
半年待った甲斐があった……(感動)
もうこんだけ待ったら余裕で待てますよ〜待ちます待ちます


171 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/17(金) 19:39:13 gNdWWV9k
続き書こうにももうオリ系のお話になっててこれもうわかんねぇな
割りと悩んでるんですがこれって続き書いても大丈夫ですかね?


172 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/17(金) 20:33:05 A9vokmQQ
うーん…


173 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/17(金) 20:40:51 A9vokmQQ
どんな反応があるにせよ書きたいなら書けばいいし
ここまで書いて止まるのもどうかと思う
書く気がまだあるならだけど


174 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 13:10:30 te5JN8bA
やっぱり書きます
ここでやめても気持ち悪いので


175 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:13:35 te5JN8bA
『京ちゃーん?』

 やはり、咲だった。いや、正体を言えば咲ではないのだが。

 穏やかな声がドア越しに聞こえる。とん、とんと軽やかに
 足を運ばせる音と屈んだりしてどこかを眺めているのか、
 服の布が擦れる音がする。

『それにしても、何、このカメラ……』

 演技ではないありのままの声。冷たい、暖かいという彩度がなく、
 暗い明るいという明度もなく、最早色相すら感じられない、機械的な声。

「(もしかして……)」

 脳裏を過ったのは正体不明のあの声の主だった。
 もしかすると、あれは咲と自称する目の前の彼女なのではないか。
 だとしたら、どうして自分をあの時助ける必
 要があったのか。行動的矛盾が多すぎる。咲と断定するには……。

「大丈夫……?」

 押入れの外に漏れない程度の声で照が手を握りながら、声をかけてきた。 

 顔と顔が触れ合いそうなほど近い距離なのに
 照の表情はあまり変わらないので今一何を思っているのか判りづらい。
 だが、仕草からして心を落ち着かせようと努めてくれているのだろう。

「はい。大丈夫っす」

 停滞するような緊張する空気を前に押し殺した声を漏らすように伝える。

 以前の自分だったら密室での異性との会話はもっと緊張して滞っていただろう。
 もうそういう慣れが出来ているんだ、という無意識での本能的な認識。
 咲との度重なる逢瀬で異性に触れられても
 動揺することがあまりない自分がいることを初めて自覚した。
 もっとも、この緊迫した状況が理性をより働かせているのだろうが。


176 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:14:03 te5JN8bA
『おかしいな。京ちゃん、今日は学校お休みしてたよね』
『カメラを使って……ううん、だってこれコードが千切ってあるもん』

『もしかして、そこに隠れてないよね?京ちゃん……』

 声が
 こちらに
 向いた。


 視線をこちらに合わせたようにまっすぐに聞こえた声。
 と同時に、軽やかな足取りはこちらに近づいて
 取っ手にかけられた手に力が入ると、ドアがミシっと悲鳴を上げる。

「(や、やばい。照さんでもいいから隠してやらないと)」
 
 もう逃げれない。だけど、だからせめて照は見つからないように。
 今度はまきこまれないようにしないといけない。

 照と目をあわせると、顔を左右に振って諦めの表情をしていた。
 見つかってもなんとかなるという楽観視なのか。

 恐らく、まだ彼女の狂気の全貌を知らないこの無垢な彼女は
 見つかるという事実を軽く見ているのだろう。
 そして放置した結果があの凄惨な最期。

 彼女に人を殺めるような心を持ってほしくない。
 このループでは巻き込みたくない、と心から思った。

 だが、金縛りにあったように体が動かない。
 恐怖だった。彼女に殺されたことや度々向けられた殺意を纏った狂気。
 得体の知れない、正体不明の咲を自称する誰か。

 どうにかしないと、どうにかしないと、どうにかしないと。

 されど、体は動かず。

『せーのっ』

 掛け声とともに、ドアが――――


177 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:14:45 te5JN8bA

 その瞬間、玄関のドアが乱暴に開閉される音が響き
 ドン、ドンと乱暴に床を蹴りつけて居間のドアが開かれる音がした。

 二人同時にビクッと身体を跳ねさせて目を合わせる。
 

『……?京ちゃん?』

 咲は足早にドアから離れ部屋を飛び出した。
 その足音の主が京太郎であるはずがないのに。
 何を勘違いしたのか、幸運にも気配は遠ざかっていく。

 足音が階段から下へ向かい、居間の扉を開ける音が聞こえ。
 その直後に、それは始まった。

『京ちゃ―――』

 ドンッ ドンッ ドチッ ドチュッ 

『――!!!!―――――!?』


 唐突に建物ごとふるえさせ、二階まではっきりと聞こえてくる破壊音。
 何か、水気のあるものが壁に押し付けられながら金属製の棒のようなもので突かれ続けている。

 悲鳴だろうか、怒号だろうか。ものをぶつけるそれのせいで
 何を言っているのか分からない。それが断末魔のように聞こえてならない。

 耳を塞いでも響いてくる逃げ場所のない、おぞましい、不快な気持ちにさせる音。
 本当は下で何が起きているのか、分かっているのに分かりたくない、分からない。

 ただ、これよりもひどい血塗れの光景を見ている京太郎は
 恐怖心や死へ対する危機感はあるものの、過剰に取り乱すほどではなかった。


178 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:15:05 te5JN8bA
 ドグチャッ グチャッ グチャッ 

『―――!―――!!―――!!』

 照を見てみると目を瞑って俯き、耳を塞いでいた。
 恐怖により追い詰められた華奢な身体は小さく震えていた。
 こうなることを全く予測できていない振る舞いだった。

 いよいよ照が白か黒かよく分からなくなってきた。などと冷静に分析している暇もない。

 背を捕まれ、どこへ逃げても追いかけてくるような恐怖を押さえ込む。
 自分より怖い思いをしている人が目の前にいるんだ、と言い聞かせながら。

 彼女に触れて安心させる余裕もなく、触れてしまってはいけないという理性も働いた。
 京太郎はどうすることもできずに真似するように耳を塞いで照を見守り、音が止むのを待った。

 そんな人の気も知らずに音とともに響くよく聞き取れない声は相変わらず続く。
 ……聞き取れないからこそ不快であり恐怖であり、正気を保たたせていた。

 ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

『………………………………………』

 裂けた部分を更に突き続けて飛沫が飛び、ついに貫通した壁を突き続ける音がして、
 しばらくしてから音が止んだ。声ももう響かなくなっていた。

 もしかしたら……もう……。

 照はいまだに震えていた。
 無表情ではなく、明らかに不安そうな顔をしていて、ようやく目をあけられる状態。
 塞いだ手を恐る恐るどけてこちらの顔を確認すると、少し安堵したように肩の力を抜かしていた。

 何かを引きずる音とまたあのドン、ドンという足音の後
 玄関のドアがゆっくりと開かれ、閉まる音がした。
 何者かが外へ出て行った。それが分かってから、ようやく口が開けた。

「大丈夫ですか」
「うん、なんとか……落ち着いてるんだね」
「まあ、多少は」


179 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:15:26 te5JN8bA
「な、何が起こったんだ」
「わからない」
「震え、収まりました?」
「うん…あ、いやまって、まだちょっと」

 ぎゅっと腕を捕まれて上目遣いをされる。

「うっ」

 今の状況を思い出した。密室に美少女と二人きりであった。
 そうだ、これはおよそ青少年が耐えられる雰囲気の場所ではない。

 なにより、狭い空間の中で、距離が、匂いが、感触が。
 慣れたものだったとしても、純粋に反応してしまうところがある。
 いくら異常に戦慄しようが、身体は現金だった。
 いや、追い込まれた状況だからこそ……なのだろう。

「狭いから、出ようか。くっつくのも、ね?」
「そ、そうっすね。出ましょう」

 照の提案を食い気味に受け取ると、ゆっくりドアを少し開ける。
 視界が明るくなる。明順応する前の視界はまぶしく、押入れ内に視線を戻した。

 そして、今になってようやく彼女がどういう服を着ていたのか
 自分がここに入ってきたとき、彼女のどこに触れていたのか気づいた。


180 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:15:47 te5JN8bA
「あっあの……」
「なに?」
「さ、さっき思い切り触っちゃって、すみません」
「……今言う?」

 無表情が少し崩れて恨めしそうな表情な顔の後
 手をシッシと振られ、ここから出るように促された。
 
 気まずさから目を逸らすように外へ向き、何もおかしいところがないか目配せをする。
 状況が安全であると確認してからドアをゆっくりと開き、外へ出た。

 甘ったるく温い空気とオサラバして部屋へ戻ると
 やけに部屋の温度がひんやりした感じで、空気もおいしい気がした。

 続けるように照が押入れから出ててくると、
 ワンピースのベルトのついた白い制服のスカート部分を払ってから近寄ってきた。

「それで、京ちゃんは――」
「あの、その呼び方やめてもらえません?」
「私の胸を鷲づかみしたお返し」

 鷲づかみするほどなかった気がするけど、と言う言葉をギリギリのところで喉につっかえさせる。
 言ってしまえば、死ぬことはないがそれなりに酷い目にあう気がした。

 ともあれ冗談をしかめっ面で言えるほど心は平常に戻っているようだ。
 ほっと胸を撫で下ろしつつ、下の状況を考えると気が滅入った。


181 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:16:08 te5JN8bA
「それで京ちゃんは何で咲を避けたの?」
「えっ?」
「今まではこの部屋で咲と散々いやらしいこと……」
「あっ、あああああっ、あっ、そ、そ、そうっすね」

「いやー……何ででしょう」

 自分を含む複数人を殺害した凄惨な事件が前ループで発生して
 その犯人が恐らく咲だって知ってる上にその原因の一端が
 自分が接触しすぎて暴走したためだと推理してるから避けるために逃げ込んだ。

 と荒唐無稽な説明をするわけにもいかずたじろいでしまう。

 照は言いよどむ京太郎を見て首を傾げて不思議そうにしていた。

「まあ、色々あって、咲を避けないといけない状況にありまして」
「………何があったの?」


182 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/18(土) 16:16:26 te5JN8bA
 これ以上追及されても何も言えない。
 それに、この宮永照がここにいるということ自体が不可解であり
 それを知らない上では、敵対していないにせよ易々と情報を簡単に話すわけにはいかない。

 東京にいるはずの彼女が何故長野の、それも須賀家に潜んでいたのか。
 よくよく考えてみれば、一連の事件の原因として彼女が関わっているのも否定はできない。
 それほどまでに彼女の行動は不自然極まりない。

 もしや、監視カメラを仕掛けたのは、ずっと電話をかけ続けてきたのは……。

 彼女も秘密を抱えているのだ。
 少々狡いがこちらがそれを突いてしまえばいい。

「いや、その前に……こっちが一番聞きたいことがあるんですが」
「……うん」

 覚悟をした顔になった。が、抵抗も何もする様子はない。
 何ら後悔した顔もなく、聞けば答えてくれる雰囲気だ。

 どういうことなのだろう。隠れて何かをしていたのに話しても問題ない事情とは…。

 ともあれ、京太郎個人に対して敵意はないことは一連の事で確かではあった。

「あ、その前に」
「何です?」

「さっきの音、確認しにいかなくていいの?」
「ああ……そうでしたね」

 それより今はいち早くするべきことがあった。
 階下で聞こえた身の毛もよだつ音を確認しにいかねばなるまい。
 この状況で、いくら怖がりといえど仲間がいるのは心強かった。


183 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2016/06/19(日) 17:13:02 H7HMZP5Y
照ってこんなに可愛いかったっけ(今更)


184 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/01/01(日) 00:48:26 LunsxRaY
他とリンクさせながらすすめるつもりなので停滞してます今年中に完結させますよろしくお願いします


185 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/01/01(日) 01:02:53 nnP7EGA6
>>184
あと365日あるやん!


186 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/01/03(火) 12:07:48 RZLKBuWQ
こんにちは
予約します
当日商品を出しました
4-7日到着します。
よろしくお願いします
www.bags-new.com
www.bag49.com


187 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/01/03(火) 14:56:38 Ws0g8CcM
引き込まれる文章やりますねぇ!
クビを長くして待ってるゾ


188 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/01/03(火) 15:38:30 XFfgzG62
照の性格が結果的に本編に近い感じになってるというね
後363日首を長くして待ってるゾ〜


189 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/02/11(土) 23:35:03 gOcTXIlo
あくしろよ


190 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/02/12(日) 00:19:03 yGeJKYaI
チョトマテネ
練り練りしてる最中です


191 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/06/18(日) 10:02:17 LRaSOrmU
あくしろよ


192 : 生徒会役淫夢共 :2017/07/23(日) 12:17:20 ???
あくしろよ


193 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/07/23(日) 20:46:19 tyNEG1VA
あくしろよ


194 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/12/05(火) 15:47:17 rSPkil9c
あと、一ヶ月か…


195 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/12/05(火) 16:18:36 JoHZ6eac
もうあと1カ月になったのか…
気長に待ってるゾ


196 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2017/12/16(土) 23:48:23 .fvzzPHY
おう御前崎続編まだかよ〜

教官に言うぞ〜


197 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2018/05/05(土) 23:39:46 NyyqTO6k
あく


198 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/03/15(金) 19:12:33 VuaLt3Zc
あくしろよ


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