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久世橋「え? わ、私が好き……?」
-
久世橋「な、何を言ってるんですか。もう」
久世橋「あんまり冗談を言ってると平常点に……ほ、本気なんですか?」
久世橋「あ、あのですね。その……せ、生徒に告白されるなんて思ってもみませんでしたし」
久世橋「……本気で私が好きなんですか?」
久世橋「……」
久世橋「あ、ありがとうございます」
久世橋「少し、考えさせて下さい。翌日までには返事をしたいと思います」
-
カレン「ちょろいデス」
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たまらん
-
>>2
もう許さねぇからなぁ
-
久世橋「……あっ。お、お待たせしてごめんなさい」
久世橋「一日、考えてみました。あなたが私を好きと言った理由とか、いろんな事を」
久世橋「……あなたは色々と困らせてくれましたね。主に、授業態度などの面で」
久世橋「九条さんと一緒に廊下に立ってもらったりもしましたよね。……本当なら、私のことを恨んでるはずなのでは?」
久世橋「……え?」
久世橋「それでも好きになった? ……ほ、本気ですか?」
久世橋「『九条さんが私の良さを教えてくれた』って……く、九条さんは今度会ったら指導しないといけませんね」
久世橋「と、とにかく! 私はあなたとは、その……」
久世橋「……つ、付き合うことは出来ない、です」
-
久世橋「何で、って……」
久世橋「わ、私とあなたは教師と生徒同士でしょう? そんな関係同士で付き合うのは……り、倫理上問題ですし」
久世橋「で、ですから。私はあなたとは付き合えません」
久世橋「……ごめんなさい」
久世橋「……そ、そろそろ戻りましょう」
久世橋「次の授業が始まってしまいますし」
久世橋「……え?」
久世橋「ど、どうして抱きついてるんですか!?」
久世橋「ひ、人を呼びますよ? ……え?」
久世橋「『先生が好きだから』って……あ、あなた、高校生でしょう? そんな子どもじみた理由で」
久世橋「……し、仕方ないですね。少しだけ、そうしてていいです」
久世橋「はい? 『付き合えないと、悲しすぎる?』 あ、あなたは……」
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久世橋先生は押しに弱そう
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久世橋「……分かりました」
久世橋「私としても、生徒が情緒不安定になってしまったら困ります」
久世橋「……い、一緒にいる時間を増やしてもいい、です」
久世橋「で、でも!」
久世橋「これは決して、世間一般で言うような『付き合う』という意味ではありませんからね?」
久世橋「あくまでも、困っている生徒に対する急剤措置という意味で……何で笑ってるんですか?」
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カレン「久世橋先生、おめでとうごじゃいマース!」
久世橋「く、九条さん? 何ですか?」
カレン「イヤー、久世橋先生が……付き合い始めたって聞いたノデ」
久世橋「……はい?」
カレン「ワッ!? じょ、冗談デス!」
カレン「からかってみただけデス」
久世橋「……九条さん。今後は、そういうからかいはやめるように。いいですね?」
カレン「ハ、ハイ!」
久世橋「……」
久世橋「もしかして、話してしまったんですか?」
久世橋「話してない? ……そうでしょうね。その様子からだと」
久世橋「いいですか? 私たちの関係は、そういう関係じゃないとしても口外は厳禁です」
久世橋「もし、誰かにバレてしまったら……私たちは二人とも、まずいことになってしまうんですよ?」
久世橋「……分かって頂けましたか? それでは……今日の放課後は、図書室でお待ちして頂けますか?」
久世橋「後で、迎えに行きますので。大丈夫です。司書の方とは親しいので、違和感は持たれませんし」
久世橋「……え?」
久世橋「『一人で帰るように言わないのか?』 ……せ、生徒のためには、しょうがないでしょう?」
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ええぞ!ええそ!
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男の子なのか女の子なのかおちんちんは付いているのかいないのか
そんなものはどうでもいいですね
いいものはいい
-
久世橋「お待たせしました。カレーライスです」
久世橋「美味しいですか? ふふっ、それは良かったです」
久世橋「生徒のことを想うのは教師として当然ですから……それができているのなら良かったです」
久世橋「……え?」
久世橋「ど、どうして、近づいているんですか?」
久世橋「『二人きりで我慢できない』って……わ、私たちは、教師と生徒なんですよ?」
久世橋「そ、それに、まだ……デ、デートなどといったこともしていません」
久世橋「で、ですから、そういうのはまだ……え? ただ、近づいて話したかっただけ?」
久世橋「……し、しばらく、こちらを見ないでください」
久世橋「『どうして?』って……じ、自分で考えて下さい!」
-
久世橋「ほ、ほら! そろそろ帰って下さい」
久世橋「今日は、あなたにご両親がいらっしゃらないと伺っていたから特別だったんです」
久世橋「カレーを食べ終わったのなら、そろそろ帰るべきです」
久世橋「……え?」
久世橋「ま、まだ私と一緒にいたい……?」
久世橋「あ、あなたは! ……し、仕方ないですね」
久世橋「でしたら今から丁度、新しいニュースが放送されます」
久世橋「それについての感想を、今度レポートとして私に提出することが条件です。いいですね?」
久世橋「……え? 今、ここで私に感想を伝える?」
久世橋「そ、そういう手抜きはいけません!」
-
学校では話しかけないようにするかわりに先生の家でイチャイチャするエロマンガ思い出した
-
ああ^〜
-
久世橋「これで授業は終わりです」
久世橋「そこのあなたは後で生徒指導室に来るように! 以上!」
綾「……あの男子、また怒られてるわね」
カレン「私より問題児デース!」
忍「いつも怒られてお気の毒ですね……」
久世橋「まったく、あなたは! さっきの授業で、九条さんに何を話そうとしてたんですか?」
久世橋「危ない所で私が止めに入ったから良かったものの……」
久世橋「あなたは危機感が足りなすぎです。バレたら本当に洒落にならないんですよ?」
久世橋「はい? 『私が好き過ぎるから?』……あ、あなたは」
久世橋「とりあえず……はい、お弁当です」
久世橋「お昼休みに食べてください。あと、お弁当箱は後で私の家に来た時、洗って返して下さい」
久世橋「もう分かっているでしょうが、もし九条さんとか他の誰かに指摘されても」
久世橋「『自分で作った』とか『親御さんが作ってくれた』でごまかすこと! いいですね?」
久世橋「……『私の料理の上手さを皆に自慢したいのに』?」
久世橋「そ、そういうことを言うのなら、もうこの関係は無かったことにしますよ!」
-
バレたら左遷じゃ済まないかもしれないんだよなあ……
もっとやれ
-
お弁当!
-
久世橋「……誰にも見られなかったでしょうね?」
久世橋「私の家に来る時、誰かに見られてたらそれでおしまいですからね」
久世橋「さて。それでは、そのお弁当箱を洗って、私に返して下さい」
久世橋「その間、私は洗濯物を取り込んでます。……一応、言っておきますが」
久世橋「た、畳んでる間は、こちらに来たらダメですからね?」
久世橋「『なんで?』って……わ、分かっててとぼけてるでしょう?」
久世橋「わ、私の下着とかもあるからです!」
久世橋「……そ、そのニヤけた顔、やっぱり分かってたんですね?」
-
久世橋「……さて。夕飯を作りましょうか」
久世橋「あなたもテレビばかり観てないで手伝って下さい」
久世橋「この前は包丁の持ち方からでしたが、今日は炒め物も手伝ってもらいます」
久世橋「あと、ジャガイモの皮むきもですね。……そうです、これも生徒の指導ですね」
久世橋「最近の子どもは、本当に料理離れが進んでますから」
久世橋「あなたは男子だからともかく、女子ですらそれなんですから困ってしまいますね」
久世橋「……と、いうわけで」
久世橋「あくまでも、これは指導です」
久世橋「ですから、あなたの言うような『まるで新婚生活みたい』などということでは一切ありません」
久世橋「……『顔が赤い』? そ、そんなことありません!」
-
久世橋「それでは、今日はここまでです」
久世橋「気をつけて帰って下さい」
久世橋「……ぜ、絶対に誰にもバレたらいけませんよ?」
久世橋「先ほど耳に挟んだのですが、今日は九条さんたちが寄り道をして帰るとのことでした」
久世橋「この辺りにもまだいるかもしれないので、本当に気をつけて下さいね?」
久世橋「え? 『バレるのが怖いなら泊まっていった方がいいんじゃないか?』って……」
久世橋「そ、そんなこと無理に決まってるでしょう!」
久世橋「それに、親御さんだって……『今日は二人ともいらっしゃらない』?」
久世橋「……あ、明日は土曜日ですね」
久世橋「一応、来客用のお布団はありますし……」
久世橋「で、でも! それはやっぱりダメ……だと思います」
久世橋「わ、私たちは、そういう関係ではありませんし」
久世橋「……そ、そんな顔しないでください」
久世橋「何だか私が悪者みたいじゃないですか」
久世橋「……うう」
-
いいゾ〜これ
いやほんと
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高校卒業と共に結婚不可避
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久世橋「……お、お風呂沸かしました」
久世橋「お先にどうぞ。私は、次に入りますから」
久世橋「……『私が先じゃなくていいのか?』 そ、それはですね」
久世橋「いえ、言いません。あなたのことですから、分かってて私をからかってるんでしょう?」
久世橋「そんな悪い生徒は内申を引かないといけませんね……」
久世橋「それでは、どうぞ」
久世橋「シャンプー等は自由に使って構いません。あまり使いすぎてはダメですが」
久世橋「あと、シャワーのシステムが少し分かりにくいと思いますので、事前に説明しておきましょうか」
久世橋「一緒に浴室に……え? 『一緒に入った方が早くないか?』
久世橋「じょ、冗談も程々に!」
-
久世橋「わ、私もあがりました」
久世橋「お待たせしました。……勝手に私の部屋に入ったりはしてませんよね?」
久世橋「『どうしてそんなに疑り深いのか?』って……ふ、普段の授業態度を思い返して下さい」
久世橋「……え?」
久世橋「『髪下ろすと印象変わる。そっちも可愛い』……あ、あなた」
久世橋「そんなことを言うなら、いつもみたいにまとめますよ?」
久世橋「え? 『そっちも可愛いから、どっちでもいい』?」
久世橋「……もう、やめます。あなたとやり合ってると疲れてしまいます」
-
本番よりそこに至るまでの道の方が興奮するよね
-
久世橋「……それでは、そろそろ寝る時間ですね」
久世橋「『まだ早くないか?』って……あなた、いつも夜更かししてますね?」
久世橋「そうでしょう? ですから、いつも居眠りしてるんですよね?」
久世橋「烏丸先生からもそう聞いてるんですから」
久世橋「今日は早く寝ないとダメです。私の家に泊まる以上、指示には従って下さい」
久世橋「……はい?」
久世橋「『私の部屋で寝るなら考える』って……ダ、ダメに決まってるでしょう!」
久世橋「いいですか! 今からお布団を持ってきますから、リビングに敷いて下さい!」
久世橋「そこで、明日は早起きすること! いいですね!」
-
久世橋「……」
久世橋(この音は……)
久世橋「――やっぱり」
久世橋「もう! どうしてテレビを付けてるんですか!」
久世橋「早く寝て下さい!」
久世橋「『観たい番組があるからテレビがあったらガマンできない?』……知りません!」
久世橋「……うーん」
久世橋「こう言っても、どうせあなたのことです。寝てくれませんね、きっと」
久世橋「……分かりました」
久世橋「テレビは付けてもいいです。ただ、音量を下げてください」
久世橋「もう、問題児に何を言ってもあまり聞いてくれないのは、九条さんのことで分かってますし」
-
久世橋「……朝、ですか」
久世橋(結局、あの後、あの子は寝てくれたんでしょうか……?)
久世橋「おはようござ――」
久世橋「……やっぱり寝てますね」
久世橋「それも、今さっき寝たという雰囲気が凄いですね」
久世橋「……起きて下さい! 朝ですよ!」
久世橋「『起きるの早すぎ』って……あなた、いつも何時に起きてるんですか?」
久世橋「ほら。朝ごはん作るので、手伝って下さい」
久世橋「その前に、顔を洗って歯磨きをすること! あと、手も洗って準備してください」
久世橋「今日は、サラダとトーストと目玉焼きです。食材の用意はしておくので、なるべく急いで下さいね?」
久世橋「……え? 『あまりにも眠いから朝ごはんは作れない』?」
久世橋「そうですか。それでしたら、あなたは朝ごはん抜きということで」
久世橋「『それもイヤ』? だったら、早く顔を洗ってきてください」
-
久世橋「……ごちそうさまでした」
久世橋「食べ終わりましたか? それでは後片付けは私がしておくので、帰っていいですよ」
久世橋「早く帰らないと、親御さんや学校の方々にバレる確率が上がってしまいますし……」
久世橋「そ、そんな顔してもダメです! また明後日、会えるでしょう?」
久世橋「ほら! 早く帰って下さい!」
久世橋「……うう。本当に困った人ですね」
久世橋「わ、分かりました。これ、私のメールアドレスと携帯の番号です」
久世橋「絶対に他の人にバラさないで下さいね? 特に、九条さんとかには」
久世橋「と、特別です。あなたは放っておいたら、九条さんより何をするか分かりませんし」
久世橋「……ろ、露骨に笑わないで下さい!」
久世橋「あまりしつこいようでしたら、着信拒否にしますからね?」
久世橋「いいですか? 程々にしてくださいね?」
-
久世橋先生は絶対良妻になるな
-
ああ^〜
-
久世橋「……」
烏丸「あら、久世橋先生? お疲れみたいですね」
久世橋「烏丸先生……え、ええ。ちょっと」
久世橋「長電話というのはなかなか堪えますね……」
烏丸「ふふっ、私も昔の友達と電話する時は楽しいですが、やっぱり疲れちゃいますね」
久世橋「そ、そうですよね。私もです」
久世橋(もっとも私の場合、相手が相手なんですが……)
カレン「なーんか疲れてるみたいデスね」
カレン「どうかしたデス? ……ハイ? 『電話しすぎた』デスか?」
カレン「そんなに電話好きだったデス? どんなこと話したデスか?」
カレン「……『私には関係ない』? たしかにそうデスが、ちょっと気になっちゃったノデ」
カレン「……フム。様子からすると」
カレン「何か恥ずかしい話とかだったデス? ……なーんて、冗談デスが」
カレン「……え?」
カレン「ど、どうしてそこでそんなに顔赤くしちゃうデスか……?」
-
久世橋「……うーん。どうしていつもそこで失敗してしまうんでしょうね」
久世橋「唐揚げはそこまで難しいんでしょうか?」
久世橋「『揚げ物はやっぱりキツい?』……わ、私は、そこまでそう思わないのですが」
久世橋「え? 『元々、私が料理が得意だから』? ……そ、それは」
久世橋「まあ、そうなのかもしれませんね。本当は、あなたみたいに思うのが普通なのかもしれません」
久世橋「……そうですね」
久世橋「たしかに、まだまだ料理をあまりしたことない人には難しかったのかもしれません」
久世橋「それでは、もう少しやりやすいはずのを……ど、どうしました?」
久世橋「『何だか情けない』って……そ、そんなこと思わないで下さい」
久世橋「料理慣れしてない生徒がここまで出来るようになっただけでも嬉しいんですから……」
-
くっしーがいちばんかわいい
-
カレン「久世橋先生! この前、みんなでクッキー作ったんデス!」
カレン「これ、あげマース!」
久世橋「九条さん……え、えっと」
久世橋「あ、ありがとうございます」
カレン「ハイ! それじゃ、また後でデス!」
カレン「……アッ」
カレン「す、すみませんデス。ぶつかりそうになっちゃってマシタ」
カレン「誰かに用事なんデスね。それじゃ、マタッ!」
久世橋「……え?」
久世橋「……あ、あなた」
久世橋「今、九条さんとぶつかりそうになってたでしょう? ……え? 私に用事ですか?」
久世橋「『唐揚げを自分で作ってみたから採点してほしい?』……あ、あなたは」
久世橋「わ、私がこの前、言ったことを根に持ってたんですか?」
久世橋「……え? 『私に残念に思われるようじゃ、一緒にはいられない?』」
久世橋「……いいですか?」
久世橋「私たちは、そういう関係ではありません」
久世橋「ですから、いくらあなたが美味しい唐揚げを作ったとしても……ちょ、ちょっと、どうしてそんな顔してるんですか!?」
久世橋「そ、そんな悲しそうな顔されたら、私も困ってしまいます……」
-
久世橋「……」
久世橋(結局、私は)
久世橋(あの子のことを、どう思ってるんでしょうか……?)
久世橋(何度か、家に呼んだり一緒に料理したりしましたが……)
久世橋(そ、そういう目で見てるわけじゃないと思います)
久世橋(それこそ、できの悪い生徒こそ放っておけないという感じで……そうです)
久世橋(それこそ、九条さんに向けるような気持ちのはずで――)
久世橋「……あ、あれ?」
久世橋(でも、私は……)
久世橋(九条さんを、この家に呼んだことがあったでしょうか?)
久世橋(それこそ……と、泊まっていかせたことがあったでしょうか?)
久世橋「……ど、どうして」
久世橋(そ、そんなことないはずなのに……)
-
久世橋「……きょ、今日も来てしまいましたね」
久世橋「い、いいですか? 今日は、必要以上に近づいてはダメですからね?」
久世橋「『どうして?』って……そ、それは、色々です!」
久世橋「――シチュー、おいしいですか?」
久世橋「ふふっ、良かったです。あなたも頑張ってお手伝いしてくれましたし」
久世橋「もう、料理の腕はかなり上がったと思いますよ?」
久世橋「……え? 『私と付き合ってたから』?」
久世橋「そ、そういう発言は控えて下さい!」
-
もう少し経ったら18禁的な描写入る予定ですが大丈夫なんですかね
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>>39
あ^〜いいっすね〜
-
いいよ!こいよ!
-
あ^シコ
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きんモザちゃんと見てないからくじぇはしせんせーがどの人なのかすら分からないけど
それでもなんだかキュンキュンした
-
あくして(せっかち)
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>>43
原作では行き遅れを師と仰ぐ行き遅れ予備軍だゾ
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眠いし寒いし早く書いてくださいお願いします
-
ここまではきんいろモザイク
ここからはぴんくいろモザイク
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久世橋「……『今日も泊まっていきたい』?」
久世橋「そ、それは……その」
久世橋「やっぱりダメ、だと思います」
久世橋「忘れてるかもしれませんが、私たちは『そういう関係』にはなれません」
久世橋「こ、こういう付き合い自体、本当はマズいんですから」
久世橋「……ど、どうして、そんな顔をするんですか?」
久世橋「私だって、本当は……い、いえ。今のは無しでお願いします」
久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました」
久世橋「今日で、泊まっていくのは最後です」
久世橋「それを条件としますが、いいですか?」
久世橋「……で、ですから、そんな顔は」
久世橋「わ、私だって辛い……い、今のも無しです!」
-
久世橋「……『私の部屋で寝たい』?」
久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました。今日で最後ですし」
久世橋「お布団、持ってきて下さい。そこに敷くことを許可します」
久世橋「ただし! 早く寝ないとダメですからね?」
久世橋「それでは、おやすみなさい」
久世橋「……な、何か言いたそうですね」
久世橋「『またこうして泊まって行きたい?』 今夜で最後です」
久世橋「ずっと考えてました。私たちは、本当にこのままでいいのかって」
久世橋「……結局、私はダメという答えにしか行き着きませんでした」
久世橋「そうでしょう? 私たちのこの関係は、不健全です」
久世橋「私は教師として、この関係はダメだったと……」
久世橋「……べ、別に、泣いてなんていません」
久世橋「そ、それこそ、あなただって泣いてるじゃないですか」
久世橋「……ああ、もう」
久世橋「どうして……私なんかを好きになってしまったんですか?」
-
続きの時間だ!
-
いいゾ〜これ
-
久世橋「……」
久世橋「お、お互い、泣き止みましたね」
久世橋「それでは、そろそろ寝ましょう。時間を無駄にしてしまいました」
久世橋「はい? 『胸が苦しくて眠れそうにない』?」
久世橋「……それはお互い様と言ったら、あなたはどう思いますか?」
久世橋「……それでは」
久世橋「おやすみなさい」
久世橋「……」
久世橋(――夢を見た、ような気がする)
久世橋(私と彼が、大手を振って一緒に出かけている夢を……)
久世橋(それを見て、烏丸先生や九条さんたちが笑っている……そんな、光景を)
久世橋(――もしかしたら)
久世橋(教師と生徒、という関係じゃなかったら有り得たかもしれない関係だったのかもしれない)
-
久世橋「……それでは」
久世橋「朝ごはん、作りますね。今日で最後なので、あなたは手伝ってくれなくても構いません」
久世橋「……『手伝いたい』? で、でしたら、どうぞ」
久世橋「手を洗って来てください」
久世橋「……美味しいですか?」
久世橋「そうですか。嬉しそうで良かったです」
久世橋「……随分、ゆっくりと食べるんですね」
久世橋「『早く食べ終わったら、もうここには来れないから』、ですか……」
久世橋「……そうですね」
久世橋「……ごちそうさま」
久世橋「それでは……さようなら」
久世橋「また明日、学校でお会いしましょう」
久世橋「……」
久世橋「な、泣いてなんていません」
久世橋「あなたの方こそ、そんな顔で外に出たらみっともないですよ?」
久世橋「男の子でしょう? ……もう」
久世橋「……しょ、しょうがないですね」
久世橋「今、タオルを持ってきます。それで、その顔を拭いて下さい」
久世橋「……『私も拭いた方がいいんじゃないか』? よ、余計なお世話です」
-
久世橋「――それでは、今日はここまでです」
久世橋「委員長、号令を。……それでは、さようなら」
忍「……何だか今日、久世橋先生元気ありませんでしたね」
綾「あっ、しのもそう思った? そうよね、何だか覇気が無かったというか……」
カレン「ホントデス! 張り合いがなかったデス!」
カレン「……そっちも元気なかったデスね」
カレン「何かあったデス? ……『私には関係ない』デスか」
カレン「たしかにそうデスが……ワッ!」
綾「す、凄い勢いで出て行ったわね……」
忍「久世橋先生といい、心配ですね」
カレン「……」
-
久世橋「……」
烏丸「あら? 久世橋先生?」
久世橋「か、烏丸先生!」
烏丸「……帰りがけにビールなんて、らしくないですね」
久世橋「は、恥ずかしい所を見られてしまいましたね」
久世橋「生徒の教育にも悪いですし」
烏丸「……何かあったんですか?」
久世橋「な、何もないですよ?」
烏丸「今日一日、調子が悪そうに見えましたが……」
久世橋「そ、そんなことはっ!」
烏丸「……そうですね。そこの居酒屋にでも行きましょうか?」
久世橋「か、烏丸先生?」
烏丸「何かあったんでしょう? いくらでも話して下さい」
久世橋「……」
久世橋「お、お言葉に甘えます」
-
カレン「……ワッ!」
カレン「ビックリしマシタ。『どうして?』って……私、ここの常連デス」
カレン「……隣、いいデスよ」
カレン「『さっきはごめん』って、大丈夫デス。気にしてないデス」
カレン「タイショー! 新しいお客さん来マシタ!」
カレン「……おごりマショウか?」
カレン「『何で?』って……そんなドンヨリした顔されたら、さすがに心配デス」
カレン「……」
カレン「違ったらごめんナサイ」
カレン「もしかして……久世橋先生絡みデスか?」
-
カレン「……図星、みたいデスね」
カレン「何となく、そうだと思ってマシタ。ホラ、一緒に廊下に立たされる時の様子が」
カレン「前とは違うって思ってマシタから」
カレン「……もしかして、フラれちゃいマシタ?」
カレン「何だか、そんな気がするんデスが」
カレン「『フラれたわけじゃない』デスか。……そうなのかもしれマセンね」
カレン「久世橋先生の様子といい、何だか色々とタイヘンだと思いマシタ」
カレン「……私、そういう経験とか何もないので分かりマセン」
カレン「ただ、そのままだと……そっちも久世橋先生も困るんじゃないデスか?」
カレン「だって、どう見ても未練タラタラじゃないデスカ」
カレン「久世橋先生も、そっちモ」
-
カレン「……美味しいデス!」
カレン「やっぱりタイショーのラーメンは最高デスね!」
カレン「……少しは元気出マシタか?」
カレン「何だか、さっきより元気そうデスね」
カレン「……『行ってくる』? そうデスか」
カレン「わかりマシタ。それじゃ、行ってらっしゃいデス」
カレン「ここは私が立て替え……『自分の分は自分で払う』?」
カレン「『そうしないと久世橋先生に怒られるから』って……もう。本当に好きなんデスね」
カレン「わかりマシタ。それじゃ、おごる話はナシで」
カレン「……行ってくるデス!」
カレン「……ハァ」
カレン「まったく、二人とも不器用すぎデスね」
カレン「もっとストレートに行けばいいのに……タイショーもそう思いマセン?」
-
久世橋(え? 着信?)
久世橋「……!」
烏丸「久世橋先生? どうかしました?」
久世橋「……い、いえ」
久世橋「なんでもないです。間違い電話だと思います」
烏丸「……出てあげた方がいいと思います」
久世橋「……え?」
烏丸「久世橋先生、ごめんなさい」
烏丸「私……あの子から、何度か相談を受けてたんです」
久世橋「……え?」
烏丸「あの子は一生懸命でした」
烏丸「授業態度は不真面目でも……どうしたら先生と一緒にいられるのか、ずっと考えてました」
烏丸「……私は、誰にも久世橋先生とあの子のことを口外しません。約束します」
久世橋「……烏丸先生」
久世橋「……もしもし」
久世橋「え? 今、どこにいるかって……あなたは?」
久世橋「公園にいる? わ、分かりました」
久世橋「それでは、今から向かいます」
久世橋「……烏丸先生。私、おいくらでしょうか?」
烏丸「いえいえ。私がおごりますよ」
久世橋「いえ。そういうわけにはいきません」
久世橋「……同じことをされても、彼もそうしないと思いますし」
烏丸「……久世橋先生の教育の賜物ですか?」
久世橋「そ、そういうわけでは! ……ある、のかもしれませんが」
-
久世橋「……お、お待たせしました」
久世橋「も、もう! どうして電話してしまうんですか!」
久世橋「昨日、別れる時……こういう関係はもうおしまいって言ったじゃないですか!」
久世橋「……」
久世橋「ご、ごめんなさい。私も大人気なかったですね」
久世橋「――でも」
久世橋「私は、やっぱりあなたとは一緒にいられません」
久世橋「私たちは、教師と生徒です。やはり、そういう関係だと問題がありすぎです」
久世橋「本当なら、一緒にいることなんてダメでした。……そういう意味では、最初にあなたに告白された時、断らなかった私も悪いですね」
久世橋「ダメなんです。私たちは一緒にいたら――」
久世橋「……ど、どうして抱きついてるんですか?」
久世橋「こ、この辺りだと、帰りの先生方や生徒がいるかもしれないんですよ?」
久世橋「見られたら、もう……私たちは二人とも」
久世橋「……はい?」
久世橋「『もし、そうなったら責任を取る』って……あ、あなた、まだ高校生でしょう?」
久世橋「『高校を辞めて働いて私を養う』って、い、いくら何でも無茶苦茶すぎでしょう!」
久世橋「……『それくらいに本気』、ですか」
久世橋「……いいですか?」
久世橋「まずあなたは、高校を卒業して下さい」
久世橋「それは高校教師として言わないといけないことです」
久世橋「それで……も、もし、私と一緒になりたいなら」
久世橋「その後で、にして下さい」
久世橋「今はムリです。そして、私の欲であなたを高校中退には絶対に出来ません」
久世橋「……いいですか?」
久世橋「ど、どうして泣いてるんですか?」
久世橋「『嬉しいから』って……わ、私は、一緒になるなんて一言も」
久世橋「……わ、分かりました」
久世橋「……わ、私も」
久世橋「あなたが好きです。……こ、これでいいですか?」
久世橋「だ、誰にも聞こえてませんよね? 小声でしたし」
久世橋「……」
久世橋「で、ですから泣かないで下さい!」
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ここまででほんへらしいほんへは終了
次回からピンク色モザイクになるのか考えます
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乙でした
ええ物語やこれは…
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この季節全裸は寒いのであくしろよ(切望)
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しあわせなきまちになれた
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久世橋「……結局」
久世橋「今日も来るのを許してしまいましたね」
久世橋「……『恋人なんだから大丈夫なはず』? で、ですから」
久世橋「本格的にそういう関係になるまで、後2年ほど待って下さい」
久世橋「こ、心の準備も済ませないとダメですし……ああ、両親やあなたの親御さんに何て言えばいいのか」
久世橋「……『一緒に考えていこう』ですか」
久世橋「そう、ですね。分かりました」
久世橋「それでは、手を洗ってきて下さい」
久世橋「夕飯……作りましょう」
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久世橋「……上手になりましたね」
久世橋「この分なら、次はあなただけに副菜を担当してもらってもいいかもしれません」
久世橋「『いつか私に追いつく』ですか。ふふっ、楽しみですね」
久世橋「……きょ、今日も泊まっていくつもりですか?」
久世橋「そういえば、ご両親が出張されてましたね。……分かりました」
久世橋「それでは、ここにお布団を敷いて……『また私の部屋で寝たい』?」
久世橋「そ、それはっ! あ、あれは昨日で最後にするつもりだったから特別に……」
久世橋「……うう」
久世橋「もう、いいです。どうせ、あなたはゴネるだけなんですから」
-
久世橋「それでは、おやすみなさい」
久世橋「……勝手にタンスとか開けたらダメですからね?」
久世橋「『本が多い』ですか。まあ、読書は好きですし」
久世橋「あと、料理本となると、どうしても買ってしまいますね」
久世橋「裁縫も好きですが、料理は本当に好きで……はい?」
久世橋「『凄いいい笑顔』って……あ、あなたはっ!」
久世橋「……『もう少し話してたい』?」
久世橋「は、早寝早起きしないとダメでしょう?」
久世橋「……でも、明日はお休みですし。す、少しくらいは」
久世橋「た、ただし! そ、その……エ、エッチな話とかは絶対ダメですからね?」
久世橋「『どうしてそんなこと言うのか』って……ふ、普段、あなたが他の男子と話してるからです!」
-
久世橋「……」
久世橋(さ、先に寝られてしまいました)
久世橋(もう! 飽きっぽいのは知ってましたが、もう少しくらい)
久世橋(い、いや! 早寝早起きはいいことですし……私まで不真面目になってるみたいじゃないですか)
久世橋「……」
久世橋(寝顔をちゃんと見るのは初めてかもしれませんね)
久世橋(寝顔だけは真面目っぽいですね。寝顔だけは)
久世橋(いつも居眠りしてる時とは、また違う印象です……)
久世橋「……!」
久世橋(わ、私、どうして見つめちゃってるんですか!)
久世橋(そ、そんなの教師として……うう)
久世橋(も、もう寝ましょう。このままじゃ、明日の生活に関わります)
-
久世橋「……ん」
久世橋「朝、ですか。ほら起きてくだ――」
久世橋「って、いない!?」
久世橋「……洗面所?」
久世橋「お、おはようございます。先に起きてたんですね……」
久世橋「はい? 『手と顔を洗って、少しだけ散らかってたから片付けた』?」
久世橋「『すぐに料理できるように台所も整えた』……って」
久世橋「……あ、ありがとうございます」
久世橋「はい? 『寝癖が凄いことになってる』?」
久世橋「は、早く私に場所を譲って下さい!」
-
カレン「……何か気分良さそうデスね」
カレン「いいことあったデス? あっ、言わなくてもいいデス」
カレン「何となく想像つきマスし……」
久世橋「な、なんですか?」
カレン「イエイエ、なんでもありマセンよ?」
カレン「久世橋先生も機嫌良さそうで何よりデス」
久世橋「……く、九条さん、もしかして」
カレン「何のことデス?」
久世橋「な、何でもありません!」
久世橋「そこのあなた! 生徒指導室に来なさい!」
カレン「頑張ってくるデース」
-
烏丸「……それで、その後は?」
久世橋「そ、その後と言いますと?」
烏丸「いえいえ。あの子と仲良くやれてるのかなと」
久世橋「……」
烏丸「その顔が答えみたいですね。真っ赤です」
久世橋「そ、それは……その」
烏丸「ふふっ、微笑ましいですね」
久世橋「……い、いいんですか?」
久世橋「私、教師として絶対にダメだと思うんですが」
烏丸「ええ。世間様はそう見るかもしれませんね」
烏丸「私は、そうは見ませんけど。卒業したら一緒になるんでしょう?」
久世橋「……あ、あの子が話したんですか?」
烏丸「はい。とても嬉しそうに話してました」
烏丸「……大丈夫です」
烏丸「卒業さえすれば、こっちのものですから」
久世橋「……か、烏丸先生」
烏丸「そんな感じでいいんですよ。きっと」
久世橋「……」
-
カレンハイスペックすぎィ!
-
久世橋「……『デートがしたい』?」
久世橋「そ、そんなのダメです。私の家で一緒にいることで我慢してください」
久世橋「『なんで』って……か、烏丸先生以外の先生方に見つかったら、二人ともおしまいですよ?」
久世橋「……考えてみたら、私たちはどこにも行けませんね」
久世橋「『寂しい』って、そ、それは……しょうがないですよ」
久世橋「……そ、そんな顔しないでください」
久世橋「『私も似たような顔してる』? あ、あのですね」
久世橋「私だって残念に思うのは当然でしょう?」
-
久世橋「……デートが出来るようになるまでは後2年ですね」
久世橋「そういえば、あなたは進学希望でしたっけ? ……え?」
久世橋「『そのつもりだったけど、高校卒業したら働こうかな』って……あ、あなた」
久世橋「ダメです。そういうことなら、ちゃんと大学まで行って下さい」
久世橋「私のために、あなたの進路を変えてもらっては困ります」
久世橋「……だ、大丈夫です」
久世橋「これからきちんと貯金して、一緒に暮らせるようにはする予定ですから」
久世橋「……『それじゃ悪いから、せめてバイトする』? そ、そういうことでしたら、お願いします」
-
久世橋「……『手を繋いでもいいか』?」
久世橋「そ、そういうのはまだ早いのではないでしょうか」
久世橋「はい? 『デートが出来ないならせめて』って……そ、それを言われると弱いですね」
久世橋「わ、分かりました」
久世橋「……き、緊張しますね」
久世橋「ど、どうぞ」
久世橋「……意外とゴツゴツしてるんですね。少し意外でした」
久世橋「え? 『思ったよりずっと柔らかい』? ……て、照れるので、そこまでにしてください」
久世橋「……」
久世橋「本当に、一緒になるんですね」
久世橋「何だか手を繋いで、そのことがやっと実感できた気がします」
久世橋「……はい?」
久世橋「『その先はダメ?』……あ、あなたは」
-
久世橋「……きょ、今日は手つなぎまでにして下さい」
久世橋「そ、それ以上のことは、これから少しずつしていきましょう」
久世橋「……本当なら、こういう行為も二年待たないといけないのですが」
久世橋「しょ、しょうがないですね」
久世橋「え? 『それじゃ次はどうするか』?」
久世橋「そ、それは……えっと」
久世橋「……『今度来る時は歯を磨いてくる』? や、やっぱり、そうなりますか」
久世橋「た、ただ! それはしばらく間を置いてからにしましょう」
久世橋「こうして手を繋いでるだけでも心臓がバクバク行ってるんですから……」
-
カレン「……何か顔、真っ赤デスね」
カレン「放課後、何かあるんデスか?」
カレン「『言いたくない』デスか……ふーん、そうデスか」
カレン「久世橋先生ー! この人、また授業サボろうとしてマース!」
久世橋「な、なんですって!」
カレン「……呼んであげたデスよ?」
カレン「それじゃ、ごゆっくりデス!」
久世橋「……く、九条さん」
カレン「……うーん、甘いデスねぇ」
綾「カ、カレン? あの男子のこと、からかい過ぎじゃない?」
カレン「いやー、見てて面白いノデ」
忍「もう、カレンったら……」
-
久世橋「……そ、それでは、上がってください」
久世橋「ちゃんと、歯ブラシ持ってきたんですね。そ、それでは、どうぞ」
久世橋「私も磨きますので。……て、丁寧にお願いしますね?」
久世橋「……え、えっと」
久世橋「今からすることは、教師と生徒としてどうかと責められてもおかしくない行為です」
久世橋「もし公になってしまったら、懲戒免職が確定しますし、あなたも大変な目に遭うでしょう」
久世橋「……そ、それでも、いいですか?」
久世橋「『私はどうか?』……そ、それは」
久世橋「……たくさん、悩みましたが」
久世橋「あ、あなたとならば、それでもいいと思いました」
久世橋「……ひゃっ!?」
久世橋「い、いきなり抱きつかないで下さい」
久世橋「い、いくらなんでも恥ずかしすぎます……」
久世橋「――ほら。顔、向けて下さい」
久世橋「……」
久世橋「そ、それでは。……念のために言っておきますが」
久世橋「し、舌を入れるのはまだダメですよ? そういうのは回数を重ねてから――」
久世橋「……!」
久世橋(言いかけた私の唇に、彼のそれが触れた)
久世橋(歯磨き粉のミントの香りに触れながら、私はあまりの恥ずかしさに目を閉じてしまう)
久世橋(彼の唇は思っていたよりずっと柔らかくて、それもまた恥ずかしかった――)
-
久世橋「……」
久世橋「し、してしまいましたね」
久世橋「『どうだった?』って……あ、あなたは?」
久世橋「『気持よかった』って、しょ、正直ですね……」
久世橋「……私も、ですけど」
久世橋「……え、えっと」
久世橋「ど、どうしましょう? 力が抜けて、動けそうにないのですが」
久世橋「あなたもですか? ……し、しばらく横になりましょうか」
久世橋「……熱とか出てしまいそうですね」
久世橋「……」
久世橋(――いずれ)
久世橋(い、今以上のことをするのでしょうか?)
久世橋(さ、さすがに、それは。で、でも……)
-
久世橋「――と、いうことをしてしまったのですが」
烏丸「……」
久世橋「か、烏丸先生?」
烏丸「い、いえ」
烏丸「お、思ってたより、一気に進展したなぁと……」
烏丸「あの子からも相談を受けました」
久世橋「……本当に、あの子共々ご迷惑をおかけしてます」
烏丸「いえいえ。お気になさらず」
烏丸「……そういう経験のない私で良ければ、話し相手にはなりますから」
久世橋「烏丸先生のアドバイスは、いつも励みになります」
烏丸「わ、私としては、そろそろ踏み込みにくくなってきましたけど……」
久世橋「……わ、私も、まさかファーストキスが生徒となんて」
烏丸「それはやっぱり意外でしたね」
烏丸「……それで、これからどうされるんですか?」
久世橋「……こ、これ以上はマズいと思ってはいるんですが」
烏丸「やっぱりですか。あの子も、そういったことを言ってました」
烏丸「『自分はいいけど久世橋先生にはキツいんじゃないか』って……」
烏丸「本当に授業態度に反して、先生とのお付き合いには大真面目なんですから」
久世橋「……そ、それは思いますけど」
烏丸「そんな子だから、好きになったのでは?」
久世橋「そ、それは……ある、のかもしれません」
-
烏丸「……私としては」
烏丸「次に進む……つ、つまり、そういうことをするというお話には具体的なアドバイスは出来ませんが」
烏丸「やはりそれは、久世橋先生とあの子で話し合って決めるべきだとしか……ごめんなさい」
久世橋「い、いえ。それが当然ですよ」
久世橋「た、ただ。もう、キスの時点で後戻りは出来ないのかもしれないですね」
烏丸「……ど、どんな感じでした?」
久世橋「……」
久世橋「む、胸がバクバク行って、タイヘンでした」
久世橋「あと、意外と柔らかくてドキッと……ど、どうされました?」
烏丸「い、いえ」
烏丸「お聞きしているだけで恥ずかしくなるなぁ、って思いまして……」
久世橋「か、烏丸先生……」
-
一旦ここまでかもしれません
カレンと男子は問題児仲間みたいな感じですね
烏丸先生の恋愛経験は無しという設定でオナシャス
-
ありがとう
ありがとう
-
カレン「……また廊下に立たされちゃいマシタね」
カレン「最近、久世橋先生が浮かない顔することが増えちゃった気がしマス」
カレン「何か知ってるんじゃないデスか?」
カレン「……まあ、話したくないならいいデスけど」
カレン「……結局」
カレン「久世橋先生と、どうなるんデス?」
カレン「もう、『そういうこと』になるのは決まったんデスよね?」
カレン「……『分からない』デスか。ムリもないかもデス」
カレン「私もまだ、ビックリしてるんデスから」
カレン「……ただ」
カレン「久世橋先生は、そっちからも何か言ってあげた方がいいと思いマス」
カレン「何だか最近、また元気なくしちゃってる気がしマスし……二人トモ」
カレン「……私じゃ相談相手にはなれマセンか?」
カレン「ハイ? 『さすがに話すのは難しい』デスか……」
カレン「それじゃ一言ダケ」
カレン「私は、二人が明るくなってほしいデス」
カレン「だったらやっぱり……勇気を出すのは、そっちだと思いマス」
カレン「久世橋先生をリードしてあげるのは、やっぱり男のあなただと思ってマス」
カレン「……ごめんナサイ。生意気かもしれないデスね」
カレン「ただ、私はそう思ったノデ。……え?」
カレン「『ありがとう』って……もう。私、何もしてマセンよ?」
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サンキューガッツ
サンキュー>>1
-
可愛すぎて頭おかしくなりそう
こんな高校生活送りたい
-
久世橋「……あっという間に夏が来てしまいましたね」
久世橋「あなたに、その……こ、告白されてから、3ヶ月ほど経ったわけですが」
久世橋「期末試験はどうでした? ……その顔、どうやらダメだったみたいですね」
久世橋「これは、九条さんや大宮さん共々、補習でしょうか……」
久世橋「え? 『そうしたら学校で私に会える』?」
久世橋「わ、私だって、いつもいるわけじゃ……帰省もする予定ですし」
久世橋「……『まだ実家に挨拶には行けないのか』って。そ、それは、そうでしょう」
久世橋「まだ2年あるんですから」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「今更ですが、ちゃんと2年後も一緒にいるんでしょうか」
久世橋「それが最近、少し気にな――」
久世橋「……!」
久世橋「……ふ、不意打ちは卑怯です!」
久世橋「い、いきなり、唇を塞がないで下さい!」
久世橋「『どうだった?』って……そ、それは」
久世橋「も、もう、知りません!」
-
久世橋「……」
久世橋「そ、その」
久世橋「ニュースを観るのはいいんですが、どうしてずっと手を繋いでるんですか?」
久世橋「『何か不安そうだから』って……わ、私は、離れませんから」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「ほら。あなたには、まだまだ出会いがたくさんありますよ?」
久世橋「高校生活もそうですし、進学するのなら大学でだって……」
久世橋「わ、私はもう、そういう機会も限られてますが」
久世橋「……本当に、私で良かったんですか?」
久世橋「……」
久世橋「『私以外、もう何も考えられない』、ですか」
久世橋「……わ、分かりました」
久世橋「今の言葉と、その真剣そうな顔で……」
久世橋「――私も、もうすぐ覚悟を決められそうです」
久世橋「……『何の覚悟か』って。そ、それはあなたにだって分かってるでしょう?」
久世橋「ど、どうして、そこで露骨に照れるんですか!」
-
カレン「……補習、終わりマシタね」
カレン「疲れマシタ。……何かソワソワしてマセンか?」
カレン「この後、何かあるんデス? ワッ、顔真っ赤デス」
カレン「……そうデスか」
カレン「何も言わないでおきマスね?」
カレン「ただ……一つだけいいデスか?」
カレン「――幸せに、デスよ?」
久世橋「……」
烏丸「随分、ソワソワされてますね」
久世橋「か、烏丸先生……そ、その」
烏丸「いえ。大丈夫です、分かってますから」
久世橋「……え?」
烏丸「さっきの英語の補習で」
烏丸「あの子も、先生と同じような様子でしたから」
久世橋「……」
烏丸「……行ってあげてください」
久世橋「は、はい」
-
久世橋「ど、どうぞ。上がってください」
久世橋「……そ、その」
久世橋「アレ、持ってきてくれましたか?」
久世橋「そ、そうです。それです」
久世橋「『コンビニで買ってきた』ですか。……ま、まさか、買われる日が来るなんて思ってませんでした」
久世橋「……補習、どうでした?」
久世橋「『烏丸先生がいつもより優しかった』? ……も、もう、先生ったら」
久世橋「『九条さんにからかわれた』? あ、あの子も、もう知ってるんですよね……」
久世橋「他の子にバラしたりしてないでしょうか? ……『九条さんは絶対にバラしてないと思う』ですか」
久世橋「そうですね。そういう子かもしれませんね」
久世橋「……え、えっと」
久世橋「汗、かいたでしょう? 準備も兼ねて、浴びてきていいですよ?」
久世橋「わ、私は後でいいので……」
久世橋「お、お布団とか整えて、待ってますから」
久世橋「……」
久世橋「ほ、本当に……するんですね」
久世橋「い、一応、下着とかに気を遣ってみましたが……」
久世橋「お、落ち着きません……」
-
煩悩が爆発しそう
-
パンツ、脱いで待つぜ
-
久世橋「……あ、上がりました」
久世橋「お互い、寝間着姿になってしまいましたね……」
久世橋「『終わったら疲れて寝るはず』? ……け、経験あるんですか?」
久世橋「『無いに決まってる』って。そ、そんな自信満々に言われても……」
久世橋「……え?」
久世橋「『初めてが私で本当に嬉しい』って……」
久世橋「……そ、そう言われたら、私もこう言わないとですね」
久世橋「――あなたが初めてで良かったです」
久世橋「そ、その……お互い、優しくしましょう」
久世橋「……!」
久世橋「で、ですから、不意打ちでキスはっ!」
久世橋「……お返し、してもいいですか?」
久世橋「『そんなこと言ったら不意打ちにならない』? ……わ、私は、そういうのは苦手なんです!」
-
久世橋「……え、えっと」
久世橋「あなた、こういうのに詳しいんじゃないですか?」
久世橋「い、いつも、他の男子と、その……そ、そういう本を読んでるじゃないですか」
久世橋「……『経験がないから、やっぱり難しい』?」
久世橋「そ、それじゃ、先に進めないじゃないですか」
久世橋「……『まず、上の服を脱いでほしい』?」
久世橋「……」
久世橋「わ、わかりました」
久世橋「……あ、あんまり見ないで下さい」
久世橋「恥ずかしいんですから。……この下着だって、この前買ったばかりで」
久世橋「は、はい? 『意外と大きくてビックリした』って……も、もうっ!」
久世橋「……『ズラしていいか』?」
久世橋「い、いいですよ。えっと……う、上にズラしてもらえますか?」
久世橋「……ど、どうしました?」
久世橋「『キレイ』って……も、もう、感想とか言わないでください!」
久世橋「は、恥ずかしすぎて何も出来なく……ひゃっ!?」
久世橋「い、いきなり、揉んだら……んっ……だ、ダメじゃない、ですか」
-
久世橋「そ、そこ……ひゃっ……ダ、ダメです」
久世橋「こ、転がしたりするの……んっ……無し、です」
久世橋「これじゃ……あっ」
久世橋「本番まで……んっ……いけないじゃ、ない、ですか」
久世橋「……」
久世橋「え? 『次は下、いいか』? は、はい……」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「い、今のは少し激しすぎたので……」
久世橋「次はお手柔らかに……『ここもキレイ』って」
久世橋「で、ですから、そういう感想はダメって……ひゃっ!?」
久世橋「い、いきなり……んっ……イジらないで、ください」
久世橋「ビックリ……ひゃっ……する、じゃ……ない、ですか」
久世橋「も、もう……あっ……十分、濡れて……んっ……る、でしょう?」
-
カレンに机乗っ取られてた男子生徒に置き換えて読んでるゾ
サンキュー>>1フォーエバー>>久世橋先生と男子生徒
-
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「い、今のビクって感じは……?」
久世橋「『イク』、というんですか? ……『聞いたことないのか』って」
久世橋「わ、私は、そんなことしたこともありません!」
久世橋「……な、何ですか。その信じられないって顔は」
久世橋「『男なら誰でもやってるのに』って……わ、私は、あなたたちみたいにエッチじゃありません!」
久世橋「……そ、それじゃ」
久世橋「それを付けてもらえますか?」
久世橋「い、一応、安全日とはいえ……万が一のことがあったら、それだけでおしまいですから」
久世橋「……わっ!?」
久世橋「そ、そんなに大きいんですか……?」
久世橋「『これでも男子の中じゃ普通の方』って……そ、その情報は聞きたくなかったですね」
久世橋「『友達で一番大きいのは』……そ、その先は結構です!」
久世橋「……そ、それでは」
久世橋「ど、どうぞ」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「――や、優しく、お願いしますね?」
久世橋「……ひゃっ!?」
久世橋「んっ……入って」
久世橋「い、痛っ……だ、大丈夫、です」
久世橋「ぬ、抜かないで……んっ……くだ、さい」
久世橋「痛い……あっ……です、が」
久世橋「――それ、より」
久世橋「何だか……んっ……うれ、し」
久世橋「ひゃっ!? そ、そんなに……あっ……強く、しちゃ」
久世橋「んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「……し」
久世橋「して、しまいましたね……」
-
久世橋「……わっ」
久世橋「こ、こんなに出るものなんですね……」
久世橋「もし、これが私の中に入ったと思うと……え?」
久世橋「『いつかそういう日が来るかも』……あ、あのですね」
久世橋「頼みますから、そういうことは言わないで下さい」
久世橋「て、照れてしまって、頭が回ってしまいます」
久世橋「……まだ、ズキズキしてますね」
久世橋「こ、こんなに痛いものだとは思いませんでした」
久世橋「はい? 『二回目からはそんなでもなくなるはず』……ほ、本の受け売りですか?」
久世橋「『本だけじゃなくてビデオの』……そ、その先も結構です」
久世橋「……す、少しくたびれましたね」
久世橋「たしかに、あなたの言う通り、もうこのまま寝てしまっても……」
久世橋「で、でも! このままじゃやっぱり、上手く眠れません」
久世橋「『どうして』って……じょ、女性は、清潔にしないと眠れないんですよ?」
久世橋「わ、私、またシャワーを……はい? 『それじゃ一緒に入りたい』?」
久世橋「……」
久世橋「そ、それじゃ、そうしましょうか」
久世橋「か、勘違いしないで下さいね? あなただけ残したら、私の部屋でなにするか分かったものじゃないので」
久世橋「それだけなんですから……な、何で笑うんですか!」
-
ぬわ疲
とりあえずここまで
書こうか迷ったけど書きました
これもう(これからどう繋げればいいか)わかんねえな
何かアドバイス等ありましたらオナシャス
-
我感無量也
我望久世橋与男子生徒得幸福
-
ヌッ!!(絶頂)
-
カレン「……何か嬉しそうデスね」
カレン「まあ、想像つきマスけど」
カレン「それデ? チューまでいったんデスか?」
カレン「……ハイ?」
カレン「『私には言えないような所まで』? ……え、えっと、それって何デス?」
カレン「もしかして……や、やっぱり何でもないデス!」
カレン「……も、もう、そこまで行っちゃったデスか」
烏丸「……それで、どうでした?」
久世橋「……」
久世橋「痛いし恥ずかしいし疲れるしで、散々でした」
烏丸「あらあら」
久世橋「……で、でも」
久世橋「し、幸せだった、と思います」
烏丸「ふふっ、それは良かったですね」
久世橋「……お風呂場で二回目もしたいと言われた時は、さすがに」
烏丸「く、久世橋先生……そ、それ以上は、私も照れてしまいますよ?」
-
クッシーちゃんはかわいいなあ!
-
久世橋「というわけで」
久世橋「明日から、私は帰省します」
久世橋「……そ、そんな寂しそうな顔しないでください」
久世橋「私だって、同じ気持ちなんですから」
久世橋「メールは大丈夫ですが……電話は程々にお願いしますね?」
久世橋「実家の両親に感づかれるのは避けたいですし」
久世橋「……『声が聞けないのが辛い』? そ、それは我慢してください」
久世橋「私も我慢しますから」
久世橋「――と、いうわけで」
久世橋「今日は、あなたのお好きなようにしてください」
久世橋「私も寂しいですし……さ、三回くらいならお相手できるかと」
久世橋「はい? 『私も欲求不満なのか?』って……そ、それは、その」
久世橋「……ま、まあ」
久世橋「そ、それでは」
久世橋「お手柔らかにおねが――」
久世橋「……」
久世橋「……ぷはっ!」
久世橋「で、ですから、不意打ちはダメだと!」
久世橋「そ、それに今、舌まで入れてきたじゃないですか!」
久世橋「……『意外とノリノリだった』って。そ、そんなことありません!」
-
ありがとうな、ほんまありがとうな
-
久世橋「……わ、わざわざ迎えに来てくれたんですか」
久世橋「たしかに、戻ってくる日時と場所は伝えましたが、本当に来てくれるとは思ってませんでした」
久世橋「……ま、周りに、先生方や生徒の姿はないですね?」
久世橋「うん。良かったです」
久世橋「……『こういうこと、いちいち気にしないといけないのが悲しい』?」
久世橋「あ、後2年の辛抱ですよ? 私も、その……や、やっぱり悲しいので、早く時が過ぎてほしいですね」
久世橋「……と、ところで」
久世橋「今日は、家に寄っていきますか? 久々ですし、手料理ごちそうしますよ?」
久世橋「え? 『一緒に作った方がずっと楽しい』? ……ふふっ」
久世橋「それじゃ、そうしましょうか。……え?」
久世橋「『その後は、何回する?』って……きょ、今日は疲れてるので、1回でいいですか?」
久世橋「『疲れてても1回はしてくれるのか』って。い、意地悪ですね、もう」
-
ちょっと可愛すぎんよ〜
-
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……た、たしかに」
久世橋「あまり痛くなくなってきましたね」
久世橋「それよりも気持ちよく……な、なんですか、その顔は」
久世橋「ま、また、よく出ますね……」
久世橋「『男子高校生なら当然』って、そ、そうなんですか?」
久世橋「え? 『彼女持ちの友達が言ってた』?」
久世橋「そ、そうですよね。ガールフレンドがいるなら、そういう話も出ますよね」
久世橋「……」
久世橋「あの」
久世橋「私たちの関係って、烏丸先生と九条さん以外には伝わってない、ですよね?」
久世橋「多分、そうだと思いたいのですが……」
久世橋「あなたのお友達には少なくとも伝わってない、ですか」
久世橋「……はい?」
久世橋「『実は私の人気がある?』 ……じょ、冗談はよしてください」
久世橋「私なんて、ただ厳しいだけで、怖がられてるんですよ?」
久世橋「え? 『九条さんのおかげで最近は丸くなったって』?」
久世橋「……あ、あの子ったら」
-
久世橋「で、でも」
久世橋「こんな風に、あなたが来る度に……こ、こういうことをしていて本当にいいんでしょうか」
久世橋「もう、一線を越えてしまったとはいえ、さすがにこういうことばかりでは」
久世橋「「
-
途中送信されてしまいました
久世橋「……『もうずっと一緒なんだから、別にいいんじゃないか?』」
久世橋「そ、それは、そうかもしれませんが」
久世橋「……うう」
久世橋「と、とにかく! 今日は二回目はやめましょう」
久世橋「自重する精神も、教師たる者持つべきですし、あなたも――」
久世橋「……」
久世橋「ま、また、不意打ちですか」
久世橋「そ、そうする度に、舌を入れるのも自重してください!」
久世橋「『なんで?』って……わ、私が照れるからです!」
-
カレン「あっ、奇遇デスね!」
カレン「また、ラーメンでも食べに行くつもりデス? だったら一緒に行きマセン?」
カレン「タイショーのラーメンは絶品デス!」
カレン「あっ、そうデス!」
カレン「この前、みんなで海に行ったデス!」
カレン「やっぱり海は楽しいデスね。……そっちはどこか行ったデス?」
カレン「『友達と山行ったり、お祭り行ったり』デスか。そっちも楽しんでたみたいデスね」
カレン「……それで、久世橋先生トハ?」
カレン「え? 『どこにも行けてない』? どうして……あっ、そうデスね」
カレン「何だか辛いデスね、そういうノモ……」
カレン「『2年待たないとダメ』? オアズケ食らっちゃったデスか……」
カレン「……ウーン」
カレン「あっ! 思いつきマシタ!」
-
久世橋「……『偶然を装ってデートする』?」
久世橋「そ、それはかなり、ムリがあるのでは?」
久世橋「『映画館で偶然、会ったから』とか、ですか……うーん」
久世橋「……少し、考えさせて下さい」
久世橋「帰省中、あなたに会えずにかなり寂しくなってしまったもので」
久世橋「たしかに、もっと一緒にいたいとは思うのですが……バレてしまうリスクもありますし」
久世橋「……え?」
久世橋「『それならこのまま家だけでもいい』ですか」
久世橋「『私の幸せが第一だし』って……あ、あなたは」
久世橋「わ、私だって、あなたの幸せが第一です!」
久世橋「って、な、何を言わせるんですか! もうっ」
-
とりあえず偶然を装ってデートをしてみることに
さて、どこに行こうか
↓1
-
映画
-
久世橋「……き、来てしまいましたね」
久世橋(とりあえず、一緒に来るのはマズいということで偶然を装って)
久世橋(待ち合わせ場所は、ここで……し、しかし、随分と早く着いてしまいましたね)
久世橋「……え?」
久世橋「も、もう着いてたんですか?」
久世橋「『絶対に遅れたくなかったから』って……あ、あなたは」
久世橋「い、いえ。こんな話をしてたらマズいですね」
久世橋「……えっと。あなたも観に来たんですね?」
久世橋「そうですね。偶然ですし、一緒に――」
カレン「そうデス! 偶然ですし、みんなで行きマショウ!」
久世橋「」
カレン「どうしたデス?」
久世橋「……く、九条さんも?」
カレン「久世橋先生、偶然デス!」
久世橋「そ、そうですね」
カレン「やっぱり髪を下ろすと印象変わりマスね……」
久世橋「そ、そうですか? ……え?」
久世橋「『いつものも今のも似合ってる』? あ、あのですね」
カレン「……ノロケデス?」
久世橋「ち、違います!」
久世橋「あ、あなたも嬉しそうにしないでください!」
-
カレン「まあ、アレデス」
カレン「とりあえず、私も一緒ならバレちゃう可能性も減るんじゃないと思いマシテ」
久世橋「……え?」
カレン「二人の初デートを応援しに来マシタ」
カレン「『警戒してくれる人は多い方がいい』ッテ」
カレン「彼に言われたデス。……久世橋先生がイヤなら帰りマスけど」
久世橋「……お、大宮さんたちは?」
カレン「大丈夫デス。しのやアリスたちには、何も話してマセン」
カレン「二人の関係も、私しか知らないはずデス」
久世橋「……バ、バレたら、九条さんにも迷惑が」
カレン「ハイ? 彼からチョコっと聞きマシタけど」
カレン「そ、その……そこまで進んでおいて、今更そういうのを気にされテモ」
久世橋「そ、それは」
-
カレン「それじゃ行きマショウ!」
カレン「席はもう取ってありマスし」
カレン「あっ。久世橋先生、真ん中がいいデス?」
久世橋「い、いえ。私はどこでも……」
カレン「ハイ? どこでも、だとシタラ」
カレン「この人と隣になれないかもしれマセンけど?」
久世橋「そ、それは……」
カレン「まあ、私の隣に彼が来たいのならそれデモ……冗談デスよ?」
――
カレン「……そういえば恋愛物なんデスね」
久世橋「え、ええ。私が好きなもので」
カレン「ヨーコはアクション系で、アヤヤがこういうの好きデス」
カレン「私は……何でも好きデスけど」
久世橋「九条さんらしいですね……はい?」
久世橋「『私と一緒なら何でも楽しい』? ……い、今、そういうことを言うのは」
久世橋「そ、それに」
久世橋「どうして腕を組んでるんですか!」
カレン「……周りには学校の人、誰もいマセンね」
久世橋「く、九条さん……ありがとうございます」
カレン「私も先生とイチャイチャしていいデスか?」
久世橋「な、何を……え?」
久世橋「『私がいいなら、左腕は九条さんにあげたら?』って……」
カレン「えっ、いいんデスか?」
カレン「『私には世話になってるから』デスか。まあ、たしかにそうかもデスね」
カレン「それじゃ、左腕くだサイ!」
久世橋「く、九条さん……」
久世橋「『私がモテモテ』って……も、もう、そろそろ始まりますよ!」
-
(↓小声)
久世橋「……」
カレン「ワ……」
久世橋(キ、キスシーンはやはり見入ってしまいますね)
久世橋(恥ずかしいのに、何だかキュンと来る気が……あら?)
久世橋(ど、どうしていつもより恥ずかしいんでしょうか?)
久世橋(も、もしかして、隣の彼とのことを思い出してるから?)
久世橋「……え?」
久世橋「『前のカップルがキスしてる』? ……そ、そういうことは言わなくても」
久世橋「……はい? 『私たちもしないか』?」
久世橋「そ、それは……」
カレン「……私、見てマセンよー」
久世橋「く、九条さんまで」
久世橋「……」
久世橋「い、今はすぐに離れてくださいね?」
久世橋「くっつけるだけです。いいですか?」
カレン「……いつもはどんな感じなんデス?」
久世橋「そ、それは……って、九条さん!」
久世橋「そ、それでは」
久世橋「……」
久世橋「んっ……」
久世橋「……こ、珈琲の味がしますね」
久世橋「『さっき飲んできたから』ですか。少し渋かったです」
カレン「……フムフム」
久世橋「く、九条さん?」
カレン「イエイエ。私は映画観てただけデス」
カレン「いい演技デスね……二人とも」
久世橋「……も、もう」
久世橋「ほら! あなたも映画に集中してください」
-
カレン「面白かったデース!」
久世橋「そうですね……奥深い話でした」
久世橋「え? 『キスシーンばかりで少し恥ずかしかった』? そ、それは……」
カレン「エー。むしろ多いから楽しかったんじゃないデス?」
カレン「特に、二人の場合ハ」
久世橋「く、九条さん……」
カレン「まあ、面白かったのはホントデスし、夏休みのいい思い出になりマシタ」
カレン「……それじゃ、どうしマス?」
カレン「みんなでご飯でも食べてから帰りマス」
カレン「ここなら、下の階にレストランとかありマスし」
久世橋「……み、見つからないでしょうか?」
カレン「大丈夫デス。誰もいなかったデス」
カレン「先生だって、ホントにそう思えなかったら……あんなこと、しなかったんじゃないデスか?」
久世橋「そ、それは……そうですが」
久世橋「あ、あなたは、露骨に嬉しそうにしないでください!」
カレン「……ホントに仲良しなんデスね」
-
とりあえず、初デート編でした
色々無理があるほど、イチャイチャしてばかりですね
-
いい物語してるけど何かスポーツでもやってたの?
-
久世橋「……そういえば」
久世橋「猪熊さんがお付き合いを始めたそうですね」
久世橋「何でもお相手は、同じクラスの男子とか……」
久世橋「え? 『知ってた』ですか」
久世橋「『付き合ってるのがあなたの友達』? ……そ、そうだったんですか」
久世橋「……そ、そのお友達には、私たちのことは」
久世橋「『絶対バレてないし隠し通してる』? あ、ありがたいですね」
久世橋「……羨ましいですね」
久世橋「あなたも? そうですね」
久世橋「私たちも堂々と、『付き合ってる』と言えたら、どんなに嬉しいでしょうか……」
久世橋「ねぇ、そう思――」
久世橋「……!」
久世橋「あ、あなたは、不意打ちでキスをやめてください!」
久世橋「え? 『私が寂しそうだと自分も悲しいから』? ……そ、それは」
久世橋「……分かりました」
久世橋「猪熊さんたちを応援すると共に、私たちも2年間、頑張りましょう」
久世橋「え? 『2年じゃ足りない』? ……そ、そうですね」
-
久世橋「はい? 『家に来ないか』?」
久世橋「い、いえ! それは問題でしょう?」
久世橋「『ご両親が出張中』……だ、だからって」
久世橋「ご近所の方等にバレたら、色々と問題が……」
久世橋「え? 『その時は家庭訪問ってごまかす』?」
久世橋「……うう」
久世橋「……た、たしかに」
久世橋「もう、あなたが私の家で過ごすのが当たり前になってますが」
久世橋「私は、あなたのお家に行ったことがないんですよね……」
久世橋「『二年後に挨拶することになるし』? し、下見ということですか……」
久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました」
久世橋「そうですね、明日の放課後……一緒に向かいましょうか」
久世橋「と、とにかく! 九条さんや烏丸先生以外の方にバレないことだけには注意ですよ!」
-
これはお宝本再現プレイフラグですね…間違いない
-
久世橋「……お、お邪魔します」
久世橋「き、緊張しますね」
久世橋「え? 『家庭訪問みたいなものだと思えば』ですか……なるほど、アリですね」
久世橋「ただ、親御さんがいらっしゃらないので家庭訪問というより……」
久世橋「た、ただのデートじゃないですか?」
久世橋「……『そういうことばかり考えるからいつも照れてるんじゃないか』? そ、それは」
久世橋「はい? 『部屋で待ってて』?」
久世橋「は、入っていいんですか?」
久世橋「『くつろいでて』ですか……あっ、お茶を持ってきてくれるんですね」
久世橋「分かりました。……え?」
久世橋「『自由にしてていいけど、本棚とか漁らないで』? そ、それは?」
久世橋「……『わからないのか』って。あ、あなたの顔で分かりました」
久世橋「本当なら注意する所なんですけどね? あなたまだ、18歳じゃないでしょう?」
久世橋「え? 『高校生ならしょうがない』? ……うう」
-
久世橋「……!」
久世橋「こ、これは」
久世橋「……ひゃっ!? も、持ってきてくれたんですか」
久世橋「『何で読んでるんだ』って……あ、あなた、机の上に置いていたじゃないですか!」
久世橋「ぼ、没収のための確認です!」
久世橋「はい? 『きっと出張に行く前に親御さんが置いた』? ……き、気まずいですね」
久世橋「と、とにかく! これは没収です!」
久世橋「まだ18歳じゃないでしょう? ……『他にもあるし、ビデオとかもある』?」
久世橋「『高校生なら当たり前』って……わ、私が間違えてるとでも?」
久世橋「え? 『私の頃だってそうだったに決まってる』って……そ、それは」
久世橋「わ、私、ほとんど男子との付き合いなんてありませんでしたし」
久世橋「……『女子高生でも結構多いはず』? そ、そんなことは!」
久世橋「『あなたの知り合いにもいる』……も、問題児ばかりですね。高校生は」
-
久世橋「……こうして、あなたの部屋に入ると」
久世橋「やはり、いつもとは違う感じですね」
久世橋「『何が?』ですか。たとえば、匂いとかです」
久世橋「やっぱり、男の子なんですね……」
久世橋「少し、その……へ、変な気分になってしまいそうです」
久世橋「……はい?」
久世橋「『アレは持ってるし、今からする?』……こ、ここで、ですか?」
久世橋「た、たしかに、ベッドはありますが……本当に、誰も帰ってこないんでしょうね?」
久世橋「え? 『私がしたそうにしてた』? そ、そんなことありません!」
久世橋「『その本を読んで興奮したんじゃないか』って……い、意地悪ですね」
-
久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました」
久世橋「あなたがしたいと言うのなら、今日も大丈夫な日ですし……し、しましょう」
久世橋「はい? 『自分もやりたいくせに』? な、生意気な生徒ですね……」
久世橋「……い、いつもと違って落ち着きませんね」
久世橋「だって、あなたの匂いでいっぱいじゃないですか」
久世橋「それじゃ、私も……変な気分のまま、始めちゃうことになるわけで」
久世橋「……『そっちの方が興奮する』? あ、あなたは本当に問題児ですね」
久世橋「はい? 『もう、こんな関係になった時点で私も問題』? ……そ、それを言われたら、どうしようもないですね」
久世橋「……分かりました」
久世橋「この本も没収しません。他のあれこれも見逃します」
久世橋「だって、もう……」
久世橋「お互い、問題だらけですものね」
久世橋「……ひゃっ!?」
久世橋「い、いきなりギュッてするのはダメです……」
久世橋「『可愛すぎるから』って……そ、それでもです!」
-
久世橋「……あ、あの」
久世橋「スーツが着崩れてしまうのですが……『着たままでしたい』?」
久世橋「……クリーニング代、払って頂けます?」
久世橋「……んっ!」
久世橋「で、ですから! どうしていつも、胸ばかり……あっ」
久世橋「『好きだから』って……んっ……だ、だからって」
久世橋「……ちょ、ちょっと、残念です」
久世橋「だって……ひゃっ……今日」
久世橋「あ、あまり……んっ……下着、気を遣ってなくて」
久世橋「ちょっ!? い、いきなり激しくはっ……!」
久世橋「え? 『いちいち可愛い』……あ、あなたは……!」
-
久世橋「……んっ!」
久世橋「……」
久世橋「む、胸ばかり攻めるせいで、もう……気持ちよくなってしまったじゃないですか」
久世橋「『いちいち可愛すぎるのが悪い』? せ、責任転嫁です!」
久世橋「……そ、それじゃ」
久世橋「い、入れてもいい、です」
久世橋「……え? 『体位を変えたい』?」
久世橋「『さっきの本みたいに』って……わ、私、そんなこと出来ないと思いますが」
久世橋「……そ、そんな目で見ないで下さい」
久世橋「――そ、それでは」
久世橋「わ、私が上に乗るんですね? わ、分かりました」
久世橋「……重くないですか? えっ、『軽すぎて心配』?」
久世橋「せ、生徒に心配されるなんて教師の名折れですね……」
久世橋「……えっと」
久世橋「い、入れていい、ですよ?」
久世橋「緊張しますが……ど、どうぞ」
-
久世橋「……んっ!」
久世橋「お、奥まで……あっ……つか、れて」
久世橋「お、おかしい……です。こ、こんな……ひゃっ……かん、じ」
久世橋「んっ……『凄く嬉しい』?」
久世橋「『本当に大好き』って……ひゃっ……そ、そういうのは、今、は!」
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「『いつもより早く気持ちよくなってた』? そ、それは」
久世橋「さ、さっきも言ったでしょう? あなたの部屋で、気分がヘンになってたからです!」
久世橋「もう、ここではしませんからね? ……え?」
久世橋「『そう言いながらまた来そう』って……そ、そんなことないです!」
久世橋「……」
久世橋「と、ところで。晩ごはんは、どうします?」
久世橋「え? 『最近、私の影響で自炊するようになったから食材がある』?」
久世橋「……い、一緒に作りますか?」
久世橋「『嬉しそう』って……そ、それはあなたもでしょう?」
-
久世橋「皆さん、おはようございます」
久世橋「さて、2学期初日ですが……宿題を提出してください」
久世橋「……」
カレン「ごめんなさいデス! 家に忘れちゃいマシタ!」
久世橋「新学期早々、嘘はいけませんね」
久世橋「それで、あなたは? ……『どっかに忘れた』?」
久世橋「どっかとは何ですか、どっかとは! ……え?」
久世橋「『それは今は言えない』って……あ、あなたって人は」
カレン「……もしかシテ」
カレン「え? 『分かってても言わないでほしい』デスカ。わかりマシタ」
久世橋「……!」
久世橋「え、えっと」
久世橋「分かりました。あなたも九条さんも不問とします」
カレン「ほんとデスか!?」
久世橋「え、ええ……」
久世橋「ちょ、ちょっと、あなたは来てください」
久世橋「……やはり」
久世橋「『私の家に持ってきた時に忘れてた』ですか……」
久世橋「だとしたら……悪いのは失念していた私、ということにもなりますね」
久世橋「……え?」
久世橋「『色々やってて疲れてたししょうがない』って……し、新学期早々、あなたという人は!」
忍「……久世橋先生、何だか賑やかになりましたね」
綾「本当ね……」
カレン「久世橋先生は可愛いデース!」
-
久世橋「……お、お待たせしました」
久世橋「誰も近くにいませんね?」
久世橋「え? 『さっきまで九条さんもいたけど帰った』? ……あの子、気が利くところがありますから」
久世橋「大方、あなたをここに案内してから帰っていったんでしょう? ……いいお友達ですね」
久世橋「……さてと」
久世橋「それでは、買い物しましょうか」
久世橋「ファッション系のお店は、お一人では入りにくいですものね……」
久世橋「……『生徒も先生も誰もいないことは確認済み』? ありがとうございます」
久世橋「……しかし」
久世橋「こ、こうして一緒に行動するのに迷いがなくなってきているのは危ないかもしれませんね……」
久世橋「え? 『バレたら自分のせいにして逃げていい』? ……あのですね」
久世橋「それは、こちらのセリフです。……と言ったら、どう思いますか?」
-
二学期になると文化祭とか体育祭以外に何かネタありますかね…?
-
学年や時期はバラバラだけど修学旅行をやるところもある
-
学校としてのイベントはその2つ以外に経験した事がないので全くわからないけど学校抜きで考えたらクリスマスとかギリギリ2学期なんじゃないんですかね
-
お二人ともありがとナス
>>135
きんモザだと3年に修学旅行みたいですが、こっちでは2年の2学期にしてもアリですかね
>>136
クリスマスイベントも考えてます
-
久世橋「……もう少しで文化祭ですね」
久世橋「あなたは、裏方でしたっけ」
久世橋「……『私と一緒にいるためにそう頼んだ』?」
久世橋「え、えっと……もしかして、私と回るつもりですか?」
久世橋「そ、それは、さすがに辛いと思うんですが……」
久世橋「『どうして』って……あ、あなたにだって分かるでしょう?」
久世橋「……た、ただ」
久世橋「私も、あなたと離れていたいかと言われると、なかなか……」
久世橋「そ、それでも、我慢はしないとダメなんでしょうし」
久世橋「……『偶然を装って一緒にいる』?」
久世橋「む、難しいと思いますが……『烏丸先生とか九条さんにも頼んでみる』って」
久世橋「……」
久世橋「ダ、ダメ元でお願いしてみましょうか」
久世橋「お二人には、お世話になりっぱなしですね……」
-
久世橋「……『九条さんには用事があるっぽい』?」
久世橋「『烏丸先生は大丈夫そう』ですか。九条さん、何かあったんでしょうか?」
久世橋「……何か分かってそうな顔ですね。まあ、何も聞きませんが」
久世橋「あの子にもあの子なりの事情があるんでしょうし」
久世橋「え? 『パンフレット、持ってきた』?」
久世橋「『どこを回るか考えよう』って……み、見世物をおおっぴらに回ることなんて出来ないと思いますよ?」
久世橋「さすがに、生徒ばかりの所だと紛らわすことも難しいでしょうし」
久世橋「……で、ですから」
久世橋「屋台で買ったものを、ベンチで周りの目に気をつけながら一緒に食べる」
久世橋「後は、一緒に講堂等で見世物を見る……などといったことなら、違和感はそれほどないと思います」
久世橋「それで行きませんか? ……え?」
久世橋「『文化祭が終わったら、私の家に来てもいいか?』……そ、そうですね」
久世橋「分かりました。どうぞ」
久世橋「……そこで、不満だったこと等を解消しましょう。誰の目も気にせず、一緒にいられますし」
久世橋「……『猪熊さんたちが羨ましい』?」
久世橋「『大手を振って一緒にいられる』ですか」
久世橋「あ、あの子たちは健全なお付き合いをしてるんですよ?」
久世橋「私たちは……あ、後、2年の辛抱です」
-
久世橋「さて、皆さん」
久世橋「本日から文化祭が始まります」
久世橋「祭なので楽しむことは結構ですが、あまり羽目をはずし過ぎないように」
久世橋「以上です。それでは」
忍「……遂に、劇が始まるんですね」
綾「……き、緊張してきたわね」
カレン「……」
綾「カレン?」
カレン「あっ。な、なんでもないデス」
久世橋「……あっ」
久世橋「そ、その……」
久世橋「諸事を終えてからお会いしましょう。……1時間後くらいに、校門前にいてくれますか?」
久世橋「それでしたら、お会いできると思いますので」
久世橋「……『タコ焼き買って待ってる』? わ、分かりました」
久世橋「お代は後で……『それくらい、甲斐性見させてくれ』?」
久世橋「……あ、あなたは、問題児すぎますね」
久世橋「こんなに教師を困らせて……」
-
がんばれ♡がんばれ♡
-
久世橋「……」
久世橋(さすがに人も多いですね)
久世橋(やはり、お祭りというのは楽しいものです。……あの子は、どちらにいるのでしょうか?)
久世橋(あっ、あのベンチ――)
烏丸「あっ、久世橋先生。お疲れ様です」
久世橋「……あ、あれ?」
烏丸「驚かれました?」
久世橋「え、えっと……どうして烏丸先生が一緒にいらっしゃるんでしょう?」
烏丸「ええとですね。ほら、教師と生徒が一緒にいて」
烏丸「『違和感がないかどうか』を試してほしい、と。ですので、少しこうしていたというわけです」
烏丸「結果としては、誰も違和感なんて持たなかったので……久世橋先生も大丈夫ですよ」
久世橋「……そ、そうだったんですか」
烏丸「あら? ……久世橋先生ったら」
久世橋「ど、どうかされましたか?」
烏丸「いえいえ」
烏丸「それでは私は行きますね」
烏丸「……あなたも楽しそうですね。それでは、お互い楽しみましょう!」
久世橋「……お、お待たせしました」
-
久世橋「……烏丸先生と何かお話ししてましたか?」
久世橋「『世間話くらいしか』? ……そうですか」
久世橋「な、なんですか、その顔は?」
久世橋「はい? 『ヤキモチ焼いてる』って……そ、そんなことありません」
久世橋「ただ……少し、モヤッときてしまっただけで」
久世橋「そ、それだけです! ……も、もう、ニヤけないでください!」
久世橋「……タコ焼き、食べましょうか」
久世橋「あ、あーんとかは、ここでは出来ませんよ?」
久世橋「さすがに、リスクが大きすぎ――」
久世橋「……な、何を構えているんですか?」
久世橋「わ、私は、食べませんからね? ……『誰もこっちを見てない』?」
久世橋「『他の先生方は皆、ここにはいない』……そ、それでも」
久世橋「我慢しましょう。もしものことがあったら、もうおしまいです」
久世橋「……気の緩みにだけは気をつけないとダメでしょう?」
久世橋「――納得してくれましたか?」
久世橋「『悲しそうな顔してる』? ……そ、それは、あなたもですね」
久世橋「……」
久世橋「きょ、今日、終わったら……家に来ますか?」
久世橋「屋台の料理もいいですが、それよりも美味しいものを一緒に作ろうと思うのですが……」
久世橋「……『喜んで』ですか。それでは、そうしましょうか」
-
何だこの良スレ!?
-
久世橋「……しかし」
久世橋「こ、こうして、教師と生徒という関係ですと、なかなか回りにくいですね……」
久世橋「クラスの出し物に二人で入ったら……と思うと、ですし」
久世橋「『あなたもそう思う』ですか。ですよね……」
久世橋「……となると」
久世橋「やはり講堂で、演劇やバンド演奏を鑑賞した方がいいのでしょうか」
久世橋「もう、わたあめも食べましたし、色んなあれこれは食べましたし……はい?」
久世橋「『隣り合わせで座れる場所があるなら』ですか……」
久世橋「そ、そうですね。そうじゃなかったら、どうしますか?」
久世橋「……『もう、私の家に行く』って。あ、あなた、一応裏方でしょう?」
久世橋「え? 『九条さんに言って何とかしてもらおうとしてる』?」
久世橋「た、ただ、九条さんも色々あるんでしょう?」
久世橋「でしたら、あなたもしっかりしないと……『一緒にいてくれる?』、ですか」
久世橋「……」
久世橋「た、担任教師という名目上、生徒の面倒を見ないわけには行きませんね」
久世橋「二、ニヤけないでください! 教師として当然の義務というだけです!」
-
久世橋「……あっ、あの出し物」
久世橋「なかなかよく出来てますね……感心してしまいました」
久世橋「え? 『一緒に観に行かないか?』って……で、ですから」
烏丸「あっ、久世橋先生ー!」
久世橋「か、烏丸先生?」
烏丸「よく出来た見世物ですよね……」
烏丸「せっかくですし、一緒に観ませんか?」
久世橋「……そ、それでしたら」
烏丸「あっ、そうそう。せっかく、こんな知的な出し物ですし」
烏丸「生徒にも観てもらったほうが後学のためにもなるかも……」
久世橋「……え?」
烏丸「なんて、思いません?」
久世橋「……しょ、しょうがないですね」
久世橋「あ、あなたも来なさい。教師として、学問を薦めるのは当然の――」
久世橋「わ、笑わないで下さい!」
烏丸「……はい? 『ありがとう』ですか?」
烏丸「ふふっ。なんのことでしょう?」
-
久世橋「わっ、あの演奏……凄いですね」
久世橋「この演目、凄くよく出来てます……」
久世橋「……みなさん、本当に凄かったんですね」
久世橋「……今日は楽しかったですね」
久世橋「あの子たちに、あんな才能があるなんて……どうしました?」
久世橋「『あなたもそういう風に褒められたかった?』って……もう」
久世橋「いいですか? あなたは特別なんですよ?」
久世橋「私にとって、生徒としてでもありますが……そ、それ以上にもなってしまいました」
久世橋「ですから……な、何で笑ってるんですか?」
久世橋「『嬉しかったから』って……後で私の家に来たら、お説教ですね」
-
久世橋「……文化祭、楽しかったですね」
久世橋「やはり、いくつになってもお祭りというものは楽しいものです」
久世橋「……え?」
久世橋「『これからもずっと一緒にお祭りに行こう』って……」
久世橋「……ふふっ、そうですね」
久世橋「学校のお祭りじゃなかったら、食べさせ合うことも出来るかも……で、でも、油断は禁物ですよ!」
久世橋「……あの」
久世橋「手、繋いでいいですか?」
久世橋「私の家なら、誰にも見咎められませんし……」
久世橋「今、とてもそういう気分になってしまいました」
久世橋「……」
久世橋「何だか」
久世橋「日が経つにつれて、あなたが好きで好きでたまらなくなってしまいます」
久世橋「……『あなたも同じ』? ふふっ、ありがとうございます」
久世橋「……え?」
久世橋「『前より積極的になってくれてる』? そ、そうでしょうか……」
久世橋「きょ、教師たる者、慎みも持たないといけないのに……な、何で笑うんですか!」
-
1ヶ月ほど入院するから書けそうにないです
陽子とカレンの話も
すみません
-
病気系か怪我系かは分からないですけど兎に角お大事に
-
おっ大丈夫か大丈夫か?
待ってますんでお身体大事にしてください
-
こんな所で書いてないでしっかり療養しよう!
-
なんてことだ…なんてことだ…
-
それは急な…
とにかくお大事に体を休めてください…
体が良くなってまだその時にも執筆意欲があれば続きを書いてくれればとても嬉しいです
-
えっ何それは…(心配)
ゆっくり休んで身体治して、どうぞ
-
ちょっと脳がとろけますねこれ…
それはともかくゆっくりと休んで良くなることを祈ります
-
最近上がってるの見ないなと思ってたら入院か…
ゆっくり療養して戻ってきてくれよな〜
-
久世橋「……」
久世橋「な、何ですか?」
久世橋「目の前の課題に集中してください。提出期限はとっくに過ぎてるんですよ?」
久世橋「『私の家じゃないとやる気が起きない』なんてわがままを言うから来ることを許可しましたのに」
久世橋「え? 『目の前にいるのが悪い』? ……そ、それでしたら、離れましょうか」
久世橋「……」
久世橋「『どうして立ち上がらないのか』って……い、今、移動します!」
久世橋「そうですね。あと、10分以内には」
久世橋「……え?」
久世橋「『どうせ10分後に同じことを言ってる』? ほ、本当にあなたは意地悪ですね……」
-
院内から書き込めるみたいです
少しずつ書いていきたいと思います
-
ファッ!?
-
ありがたいですが無理はなさらないで下さいね……
-
久世橋「……毎度のことながら」
久世橋「どうしてあなたたちは授業に真面目に取り組まないんですか?」
カレン「イヤー、久世橋先生が可愛くてついつい見とレテ……」
久世橋「言い訳にすらなってないですね」
カレン「ワッ! バッサリ来まシタね……」
久世橋「あなたも! 学生たるものきちんとですね」
久世橋「……え?」
久世橋「『九条さんと同じ理由だから身が入らない』? ……あ、あのですね」
久世橋「そういう発言は控えるように!」
久世橋「『顔赤い』って……そ、そんなことありません!」
カレン「……」
カレン「私と随分、反応が違うデスね」
久世橋「く、九条さんは笑わないように!」
-
院内から発信はさすがに草
ありがてぇ・・・
-
カレン「久世橋先生、終わりマシタ!」
久世橋「……なかなかの手抜きっぷりですが、まぁ良しとしましょう」
久世橋「九条さんに何を言っても糠に釘でしょうし」
カレン「私、相手待たせちゃってるデス!」
久世橋「あっ、そ、そうでしたね」
カレン「それじゃ、お先に失礼しマス!」
カレン「……これで二人きりになれマスね」
久世橋「く、九条さん!」
久世橋「あなたも『ありがとな』じゃないでしょう!」
カレン「お礼なら今度、ラーメンおごってくだサイ!」
カレン「え? 『チャーシューで勘弁してくれ』デスか……分かりマシタ。それで手打ちデス!」
カレン「それじゃさよならデス!」
久世橋「……そういえば」
久世橋「時々、九条さんと相手とあなたでラーメン屋に行っているんでしたっけ」
久世橋「……」
久世橋「え? 『またヤキモチ?』 ……うう」
-
久世橋「……ヤキモチというものとは違うと思うのですが」
久世橋「生徒同士、仲が良いのは歓迎すべきですし」
久世橋「え? 『私たちが堂々と外で一緒にいられないからかも』?」
久世橋「……あなたは学業以外には真面目ですね」
久世橋「ひゃっ!?」
久世橋「い、いきなり抱きつくのは……」
久世橋「え? 『ここなら廊下から見えないはず』? ……も、もう」
久世橋「……」
久世橋「はい? 『何かしたがってるんじゃないか』?」
久世橋「……」
久世橋「た、たしかに、この位置なら廊下からは見えませんね」
久世橋「……『私から言ってほしい』? あ、あなたという人は」
久世橋「本当に意地悪なんですから……え、えっと」
久世橋「――キス、しましょうか?」
久世橋「……」
久世橋「で、でも! 軽くですよ?」
久世橋「時間が掛かったらバレてしまうリスクが……そ、そのニヤけ顔はやめてください!」
-
久世橋「……あっ」
久世橋「図書室にいるなんて珍しいですね」
久世橋「何を読んでいるんですか? ……え?」
久世橋「参考書……? あ、あなたが、そういう物を自分から読むなんて」
久世橋「はい? 『現役合格しないと私と一緒になれないから』?」
久世橋「ちょ、ちょっと! 声、大きいですよ!」
久世橋「『私の方が大きい』って……せ、責任転嫁です!」
久世橋「……だ、誰も周りにはいませんよね?」
久世橋「……そうですか。やっと本腰を入れるようになったんですね」
久世橋「気づけばもう、高2も終盤ですものね」
久世橋「……え? 『嬉しそう』?」
久世橋「そ、それは……生徒が真面目になろうとしてくれているからであって」
久世橋「……『正直に言ってほしい』?」
久世橋「あ、あなたは本当にわがままですね」
久世橋「……上手くいけば」
久世橋「後1年と少しで、あなたと一緒に――」
久世橋「……こ、ここまでです!」
久世橋「ほら。そろそろお昼休みも終わりですし、教室に……」
久世橋「え? 『私の顔の赤みが取れてから戻る』? ……あ、赤くなってなんていませんのに」
-
修学旅行は3年次に回すことにしました
-
ええぞ!ええぞ!
でも無理はしないでくださいね
-
久世橋「……そういえば」
久世橋「もうすぐ、体育祭ですね。あなたは、確か……借り物競走でしたか」
久世橋「また、どうしてそういう競技を。『何で?』って……」
久世橋「私は学生時代、陸上部でした」
久世橋「入っていて、何度もへこたれそうになって、その度に……って! 最後まで聞いて下さい!」
久世橋「ですから、あなたも1500メートル走などに出て、根性を付けないと」
-
久世橋「……え?」
久世橋「『何か借りる時は、私に頼みたい?』……わ、私に頼むのはルール違反でしょう?」
久世橋「ほら。こちらに、『借りる際は生徒に』と明記されているじゃないですか」
久世橋「……『九条さんも忙しそうだし』ですって? あ、あなた、九条さん以外にもお友達いるでしょうに」
久世橋「……そ、そんな顔されてもダメです」
久世橋「『そのシュシュとか』って……ま、まだ借り物すら分かっていないのに、何を言ってるんですか」
久世橋「もう。……『触ってもいい?』って」
久世橋「ダ、ダメです。どうせ、勝手に外すんでしょう?」
久世橋「……あ、後で、外すことになるんでしょうし」
久世橋「い、今の言葉は忘れて下さい! ……な、何ですか、そのニヤけ顔は!」
-
なん…だと…!?
-
久世橋「……当日が来てしまいましたね」
久世橋「え? 『お昼、一緒に食べたい』って……そ、それはダメです!」
久世橋「他の先生方もいらっしゃるのに……バレるような行為だけは慎もうという約束でしょう?」
久世橋「……うう」
久世橋「わ、分かりました。帰り道、どこか美味しそうなお店に、ふ、二人で寄りましょうか」
久世橋「なるべく離れたお店に……はい?」
久世橋「『どこのお店よりも私の料理の方が』って……もう」
久世橋「わ、分かりました。帰りに立ち寄るのは、スーパーですね」
-
――借り物競走
久世橋「」
烏丸「久世橋先生? 呼ばれてますよ?」
久世橋「きょ、教師が介入するのはルール違反でしょう!」
久世橋「というより、どうしてピンポイントで『シュシュ』なんて書かれた紙が……」
カレン「久世橋先生、行ってあげたらどうデス?」
久世橋「く、九条さん……?」
カレン「ざっと見ても、シュシュ付けてる生徒はいマセンし」
カレン「ここは、担任の出番じゃないデスか?」
久世橋「……そ、そういえばあなた」
烏丸「あらあら……」
カレン「それじゃ、またデース!」
久世橋「……あの子のパートナーは、たしか」
烏丸「体育祭の実行委員でしたねぇ……」
久世橋「……」
烏丸「ほら。彼も、そろそろ悲しそうな顔になってますよ?」
久世橋「……こ、これはルール違反ではありませんよね?」
烏丸「多分、私じゃなくてもそう思われるかと」
久世橋「うう……」
-
久世橋「――もうすぐ、クリスマスですね」
久世橋「期末試験は……いや。何も言わなくて結構です」
久世橋「少なくとも九条さん共々、補習は確定のようですね。結果が出る前に分かります」
久世橋「え? 『クリスマスは、どうする?』って……そ、それは」
久世橋「『カップル多いだろうしバレない確率が高いかも』……そ、それでも」
久世橋「リスクはあるでしょう? 私と面識のある先生方が、ご家族と過ごされていたらどうするんです?」
久世橋「もしかしたら、お子さんもお連れになっているかもしれません」
久世橋「……ど、どうして、そこで顔を赤らめるんですか?」
久世橋「『子どものことを想像したら、つい』って……あ、あなたって人は」
-
久世橋「いつも通り、私の家で過ごすということでいいんじゃないですか?」
久世橋「一緒に、ケーキやサラダを作りましょう」
久世橋「さすがに七面鳥などは自作は難しいですが……何でそんなに笑ってるんですか?」
久世橋「『料理のことを話してる時、本当に可愛い』って……やっぱり、外食にしますか? おごりませんよ?」
久世橋「……」
久世橋(クリスマス、ですか……そういえば)
久世橋(私のクラスの二人も、どこかに出かけると)
久世橋(そして……そ、その後は)
久世橋「『何か考えてる?』って。べ、別に、何も考えてません!」
久世橋「決して、あなたが思い浮かべるような、そういうことなど……『そういうことって』?」
久世橋「ひ、秘密です!」
-
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「け、結局、してしまいましたね……」
久世橋「『いつもコレは持ってるから』って……あ、あなたは」
久世橋「た、ただ、今日の体勢はムリがありすぎでした」
久世橋「私も疲れるし、あなただって……はい?」
久世橋「『この後、一緒にお風呂に』って……」
久世橋「ま、まだ沸かしてませんし、一緒になんて」
久世橋「え? 『さっき沸かしてきた』って……か、勝手に何をしてるんですか!」
久世橋「……『どうせ入ることになるんだから、二人で入ったほうがガス代も浮くはず』って」
久世橋「ず、随分、所帯じみてますね」
久世橋「『私のせい』って……ち、違います!」
久世橋「……そうですね」
久世橋「もう、身体中ベタベタですし。入りましょう」
久世橋「たしかに、二人で一緒に入った方が代金も抑えられますし……はい?」
久世橋「『本当は一緒に入りたいだけじゃないか』って……あなたは本当に意地の悪い人ですね」
-
いつの間にか再開してるやん!
入院作家兄貴ほんと無理しないで
-
再開嬉しいけどお身体の方は大丈夫なんすかね
-
>>177
>>178
ありがとナス
結構キツいのでこれを書いたりしてる方が逆に気が紛れますね
久世橋「……年末年始は、帰省しますからね?」
久世橋「あなたもでしょう? その顔を見たら分かります」
久世橋「……『寂しい』って。あ、あなたは、いつも直球ですね」
久世橋「わ、私も同じなのは……認めないといけないのかもしれません」
久世橋「……『一緒に紅白観たりしたかった』?」
久世橋「そ、それが出来るようになるまでは、最短でも二年はかかってしまうでしょう」
久世橋「……私も、ちょっとそういうことを考えたりしてしまっています」
久世橋「――え? 今、何て言いました?」
久世橋「『ひめはじめ』……? な、何ですか、それは」
久世橋「調べてみると、お正月に炊くご飯、ですか?」
久世橋「……な、何ですか、その顔は」
久世橋「『いちいち説明したくない言葉』って……そんなことを言われると気になりますね」
久世橋「教えて下さい。……え? 『後悔しないで』?」
-
――
久世橋「」
久世橋「そ、そんなこと出来ません!」
久世橋「新年早々、何ですか、それは!」
久世橋「いいですか? お正月というのは、旧くからある長い歴史のお祝いの日で」
久世橋「クリスマスとは違って……『言いながらモジモジしてる』? し、してません!」
久世橋「とにかく! 3日までは帰りませんからね?」
久世橋「あなたもメール等は控えるように。いいですね?」
久世橋「……『最近は私から送ってきてる』って」
久世橋「そ、そんなことは! ……うう」
久世橋「あ、あけましておめでとう、といった類のメールのみ許可します」
久世橋「電話は絶対しないように。いいですか、絶対ですよ?」
久世橋「はい? 『何かのフリか?』って……そ、そういうのではありません!」
-
久世橋「――また、迎えに来てくれたんですね」
久世橋「『荷物、持つ』? ふふっ、ありがとうございます」
久世橋「……そ、その」
久世橋「年末年始、メールを長引かせてしまって申し訳ありませんでした」
久世橋「あなたの返信がいちいち嬉しくて……って!」
久世橋「い、いや、違います! あなたの貴重な勉強時間を……わ、笑わないで下さい!」
久世橋「ところで、そろそろ冬休みも終わりですけど」
久世橋「宿題は……分かりました」
久世橋「あなたが何故、結構な荷物を持ってきてるか」
久世橋「いいでしょう。私の家で、片付けて下さい」
久世橋「……『公私混同』のグレーゾーンでしょうけど、と、特別です」
久世橋「え? 『図書館とかよりずっとはかどる』って……あ、あなたは」
-
久世橋「気づいたらバレンタインですね……」
烏丸「そういえば、そうですねぇ……」
久世橋「そ、その……烏丸先生には特製のものを差し上げる予定ですので」
烏丸「あら。ありがとうございます」
久世橋「……烏丸先生がいらっしゃらなかったら、きっと」
烏丸「その先は、仰らなくてもいいんですよ?」
久世橋「……はい」
-
烏丸「それで。あの子とはこれからも続けられそうですか?」
久世橋「……さ、最近は、私の方が彼に頼ったりしてる、ような」
烏丸「本当に惚れ込んでしまってるんですね」
久世橋「そ、それは……うう」
烏丸「――それじゃ、不肖ながらアドバイスを一つ」
久世橋「え?」
烏丸「風の噂で、誰かさんがお好きなのはシュガーチョコよりもビターチョコだそうです」
烏丸「あまり甘すぎるものじゃなくて、苦味がある方が味わい深い……なんて、小耳に挟んでしまいました」
久世橋「……」
烏丸「ふふっ。今更、言うまでもないことでしたか?」
久世橋「い、いえ!」
久世橋「ただ、ちょっと材料を変えなきゃ、と……あ、ありがとうございますっ」
烏丸「もう、久世橋先生ったら……」
-
久世橋「……ど、どうですか?」
久世橋「一応、あなたのために作ってみたのですが」
久世橋「え? 『ラッピング、自分でやってくれたのか』って……そ、そうですけど?」
久世橋「包装紙、箱、ラッピングまで私一人で行いました」
久世橋「……『大変だったんじゃないか』って。それは、たしかに大変でした」
久世橋「そういった作業をしている間……ず、ずっとあなたのことが頭から離れなかったんですから」
久世橋「味も苦くしました。……そういえば、あなたはショートケーキよりもチョコレートケーキの方が好きでしたものね」
-
久世橋「……え?」
久世橋「『私も一緒に食べてほしい』って……あ、あなたのために作ったんですけど」
久世橋「はい? 『あーんってしたいから』? そ、それは……」
久世橋「……ごめんなさい。最初から少し期待してしまっていたみたいです」
久世橋「そういうことが起きるのを……い、いきなり抱きつかないで下さい」
久世橋「……わ、私もヘンな気持ちになってしまうじゃないですか。もう」
-
久世橋「……」
久世橋「こうして、あなたの肩に頭を載せていると、何だか安心します」
久世橋「……『自分もそうしたいけどガマンしてる』? もう。私の為だからって、気を遣いすぎですよ?」
久世橋「……」
久世橋(もう、自覚しないといけないのかもしれませんね……)
久世橋(以前より、ずっと……彼から離れたくなくなっている、ということを)
久世橋(照れくさくて出来なかったことも、全部したいと思っていることも)
久世橋「――ちょ、ちょっといいですか?」
久世橋「このまま、その……キ、キスしても、いいですか?」
久世橋「腕も絡めてギュッてしながら……『奇遇だ』?」
久世橋「『今、そう言おうと思ってた』って……ぐ、偶然ですね。ええ」
-
久世橋「――もう少しで、三年生ですね」
久世橋「もしかしたら……クラス担任ではなくなってしまうかもしれません」
久世橋「家庭科も、別の方が担当されるかも……」
久世橋「そうなったら、あなたといられる時間も少なく――」
久世橋「……え?」
久世橋「『もしそうなったら、ここで時間を埋め合わせればいい』って……その通りですね」
久世橋「全くです。……ところで」
久世橋「あなたと大宮さん、九条さんには留年という可能性があることは、ご存知ですか?」
久世橋「……今日は、この家で勉強していきましょう。私が見張っています」
-
三年生編をどうするか少し考えてみます
陽子とカレンの話の続きも書いていきたいですね
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このSS見ると幸せな気持ちがこみ上げてきてつらい
でも見ちゃう
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久世橋「……何とか留年にはならずに済みましたね」
久世橋「『私のおかげ』? もうっ」
久世橋「そもそも、あなたがもう少し真面目ならですね……」
久世橋「何にせよ」
久世橋「これで後一年ですね」
久世橋「ここからは受験勉強です! さあ、気合を――」
久世橋「……ぷはっ」
久世橋「で、ですから不意打ちはですねっ!」
久世橋「……今日は、ココアの味でしたね。甘かったです」
久世橋「って! い、今のは忘れて下さい!」
久世橋「『進級祝いに乾杯しよう』って……か、勝手に冷蔵庫開けたらダメでしょう!」
久世橋「……ビ、ビールは私だけですからね? 絶対に飲ませませんから」
久世橋「『何かのフリか』? だ、断じて違いますっ!」
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久世橋「――まさか、こんな偶然が」
久世橋「私が担任で……猪熊さんたちと九条さんたちも、全員が同じって」
久世橋「偶然とは恐ろしいものですね……」
久世橋「え? 『何か手を回したんじゃ』って……そ、そんな権利あるわけないでしょう」
久世橋「更には、大宮さんたちのグループも、皆さんが揃っています」
久世橋「……猪熊さんたちのパートナーの男子、あなたの友人なんでしょう?」
久世橋「『そんなんじゃない』? ……そういうのを、ツンデレと言うんでしたっけ?」
久世橋「な、何でニヤけるんですか! 私にツンデレなんて言わせないで下さい!」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「本当に、第一志望に受からないとダメですからね?」
久世橋「絶対に絶対ですよ? 浪人もしないように」
久世橋「そうなったら……一年以上、遅れてしまうじゃないですか」
久世橋「『何が?』って……こ、この期に及んでとぼけるのは感心しませんね」
久世橋「……はい?」
久世橋「『全員が同じになった記念に』って……あ、あなた、適当な口実作っては」
久世橋「そ、その……したいだけ、でしょう?」
久世橋「……」
久世橋「分かりました。そ、その前にシャワーを浴びましょう」
久世橋「え? 『それならいっそ二人で、そこで』って……あ、あなたって人は」
-
久世橋「――そういえば」
久世橋「その……よ、浴室でしたことってありましたっけ?」
久世橋「『何度かあったはず』って……あ、あなたもですか」
久世橋「大抵……し終えた後で、入りますものね」
久世橋「……そ、そういえば」
久世橋「こういう時は、あのヌルッとした物があった方が、と」
久世橋「『何で知ってるのか』って……こ、この前、パソコンで調べてたら見つけただけですよ」
久世橋『何で調べた?』……それ、私の口から言わせるつもりですか?」
久世橋「……」
久世橋「あ、あなたと、もっと深く繋がりたいから、じゃ……ダメ、ですか?」
久世橋「す、する前から、そんな顔しないで下さい!」
久世橋「私も真っ赤に……『もうなってる』?」
-
久世橋「……受験ムードですね」
久世橋「うちは特別、進学校というわけではないですが……やはり、普通科の三年生にとってはピリピリしがちです」
久世橋「私も気合いを入れないとですね。……え?」
久世橋「『私は頼られてるから大丈夫』って……そ、そんなことは」
カレン「久世橋先生ー! 宿題、忘れちゃいマシター!」
久世橋「……舐められてるの間違いでは?」
カレン「先生、舐めてほしいデス?」
久世橋「く、九条さん! あなた、何を……」
カレン「あっ、デモ」
カレン「……もう、あなたがそういうことはしてマスよね?」
久世橋「」
カレン「どんなことしてるデス? 参考ニ――」
久世橋「……もしそれを九条さんに言ったら、今後、あなたとは絶交しますよ?」
カレン「それは困っちゃいマスね!」
-
久世橋「――そこ!」
久世橋「スペルミスですよ? 専門外の私でもそれくらいは分かります」
久世橋「……そもそも、動詞の変化形もあやふやって。あなた、相当な努力が必要ですね」
久世橋「……しばらく」
久世橋「その……そ、そういうことをするのはお預けですね」
久世橋「『どうして?』 自分のテキストにでも聞いて下さい」
久世橋「そ、そんな目をされてもダメなものはダメです!」
久世橋「……これも正解」
久世橋「はい。これで、烏丸先生が用意して下さった小課題は全問正解ですね」
久世橋「まだまだ初歩的な所ですが……」
久世橋「――烏丸先生も『お二人でやってみて下さい』って。何か高尚なお考えがあってのことなんでしょうね、きっと」
久世橋「え? 『違うと思う』って……こ、根拠は?」
久世橋「『言いたくない』じゃ、通りませんよ?」
久世橋「……『二人きりで出来るようにしてくれた』?」
久世橋「『そっちの方が捗るだろうから』って……あ、あり得ません!」
久世橋「『どうして?』……そ、それは」
久世橋「と、とにかく! 次は数学です!」
-
久世橋「――中間試験、いかがでしたか?」
久世橋「『多分、赤点は一つもないはず』? ……そういうことでしたら、多少なりとも進歩はしているようですね」
久世橋「次は、模試です。範囲が決まっていない分、対策が難しい所ですが……」
久世橋「……何だか私、あなたの家庭教師のようになってますね」
久世橋「はい? 『家庭教師は料理とか作ってくれない』? ……も、もうっ」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「赤点ゼロのお祝いに……きょ、今日だけは許可します」
久世橋「ご両親も出張中と伺っていますし、泊まっていくことを……」
久世橋「か、勘違いしないでくださいね? これは、ご褒美を与えることで生徒のやる気を引き出すという……」
久世橋「……『本音、言って』、ですか。あ、あなたは本当に……手がかかる生徒なんですから」
-
受験勉強の記憶が曖昧になってます……
何か参考になるようなアイデア等をお持ちの方、出来ればご助言頂ければ幸いです
-
結婚式泣きそう
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受験勉強のイライラで衝突しちゃうとか
-
>>198
あぁ^〜いいっすねぇ!
久世橋「……また、居眠りして」
久世橋「起きて下さい! 課題に取り組まないとダメじゃないですか」
久世橋「私は文系はともかく……理系はからっきしなんですから」
久世橋「あなた、現時点では国立志望なんですよね? でしたら、理系にも少しは――」
久世橋「……え?」
久世橋「『専門なのに言い過ぎ』? ……そ、そうでしょうか」
久世橋「……分かりました。私の指導方針が気に入らないんですね?」
久世橋「……」
久世橋「すみません。今日は……帰って頂けますか?」
-
久世橋「……」
久世橋「はぁ」
烏丸「あら、久世橋先生? どうかされました?」
久世橋「あっ、烏丸先生……い、いえ。何もありませんよ?」
烏丸「そうですか。……どうやら、助けが必要のようですね」
烏丸「職員室では何ですし……空いているお部屋でお話ししませんか?」
――
カレン「……元気、ないデスね」
カレン「『そっちもだろ』? ……ごもっともデス」
カレン「彼、私と同じ大学目指してマス」
カレン「……私、いえアリスもデスが。イギリスに戻るか、ここの大学を受けるか迷ってマス」
カレン「デモ……彼がいる以上は、やっぱり……いえ。この話は今、するべきじゃないデスね」
カレン「――きっと、お互い」
カレン「見えないトコで、ストレス溜まっちゃってるんデショウね。彼と話してると、つくづく思いマス」
カレン「あなたも、そうじゃないデス? ……その反応、やっぱりみたいデスね」
カレン「……私も今、悩んでマス」
カレン「お互いきっと……相談しない方がいいのかもしれマセンね」
カレン「私は、シノたちとちょっと話してみマス。……ヨーコも不安定っぽいデスし」
カレン「ハイ? 『気遣い出来るんだな』って……そういうコト言う相手、間違えてマセン?」
-
久世橋「――と、いうわけなんです」
烏丸「……久世橋先生」
久世橋「は、はい」
烏丸「それは、至極当然の『壁』だと思います」
久世橋「壁、ですか」
烏丸「はい。……そういった経験のない私が言うのも恐縮ですが」
烏丸「受験シーズンは、ピリピリしがちです。それは、教師として先輩の私の実体験です」
烏丸「特に……あなたたちの関係は、やっぱり普通の『それ』とは違うわけですし」
久世橋「烏丸先生……」
烏丸「ですので……そうですね」
烏丸「彼とは、そういった受験のことは抜きにしてお互いに気持ちを伝え合う機会を設けるべきだと思います」
久世橋「……」
烏丸「そうしないと……一年で合格できなくなってしまうかもしれませんし」
烏丸「生徒のメンタルケアも立派な務めですし」
久世橋「――いつも、お世話になり、本当にありがとうございます」
烏丸「いえいえ」
-
久世橋「……今日は、勉強はお休みの日にしましょうか」
久世橋「その方が、あなたもいいでしょう? ……あっ。ご飯、一緒に作りますか?」
久世橋「最近は、あなたが勉強して、私が振る舞ってばかりでしたからね」
久世橋「……包丁の使い方、上手になりましたよね」
久世橋「火加減も丁度いいですし。味付けも文句なしです」
久世橋「天ぷら等は……やはり、もう少しかかりそうですが」
久世橋「……」
久世橋「この前は、ごめんなさい」
久世橋「私が勝手に……あなたを追い返してしまいましたね」
久世橋「教師として、あなたの不調に向き合うべきでしたのに。教師失格です……」
久世橋「……『そんなことない』?」
久世橋「『自分にも問題あった』って。そ、そんなの瑣末なことじゃないですか」
久世橋「『それを言ったら私も』? ……うう」
-
久世橋「……何にせよ」
久世橋「料理をしながらですと、話しやすいですね」
久世橋「美味しいご飯が出来るといいのですが……はい?」
久世橋「『食べ終わったら勉強する』? ム、ムリしなくていいんですよ?」
久世橋「特に、今日のような時は……え?」
久世橋「『一緒に勉強、付き合ってほしい』? ……わ、分かりました」
久世橋「ご飯を食べ終えてから……一緒に、しましょうか?」
久世橋「……ふふっ」
久世橋「やはり、あなたといると……本当に嬉しいですね」
-
久世橋「はい、どうぞ」
久世橋「『何?』って……夏期講習の冊子です」
久世橋「さあ、これからどこの予備校がいいか検討しましょう」
久世橋「って! いきなり逃げようとしないで下さい!」
久世橋「……あのですね」
久世橋「やはり、私には教えられることは限られています」
久世橋「学生時代の知識が少しあるくらいでは、限界があります」
久世橋「というわけで……ほら。ここの講習等は費用も安いですよ?」
久世橋「……さ、さすがに金銭面での援助は難しいかもしれませんが」
久世橋「え? 『バイトするから平気』って……あ、あなた、受験生でしょう!」
-
久世橋「……でも」
久世橋「考えてみたら……とっくに、教師と生徒のグレーゾーンは越えてしまってましたね」
久世橋「はあ……本当に、教師失格ですね」
久世橋「……『それだったら、自分は生徒失格』? もう、あなたが気を回すことはないんですよ?」
久世橋「……合格したら」
久世橋「その後は、どうしましょうか? そ、その……一緒に暮らす、とか?」
久世橋「で、でも! そうしたら、私の親やあなたのご両親にも、お伝えしないといけないでしょうし」
久世橋「……『なんとかなるはず』?」
久世橋「そ、そうですね。……何だかんだで、この一年ちょっと何とかなってきましたものね」
-
久世橋「あ、あの」
久世橋「少し、顔を近づけて頂けませんか?」
久世橋「……ええ。いつものあなたですね」
久世橋「……どうしてでしょうか? 最近は、こうしたことを確認するだけで気分が良くなってしまうんです」
久世橋「誰のせいでしょうね、一体――」
久世橋「……で、ですから」
久世橋「と、突然の不意打ちは卑怯でしょう!」
久世橋「キ、キスは、そんな軽々と……『可愛すぎるのが悪い』?」
久世橋「は、はい! それでは勉強、開始ですっ!」
-
もう少し入院が長引きそうなのでまず久世橋先生編を一段落させてから
陽子とカレン編に取り組もうと思います
同時進行の予定だったのですが……
-
烏丸「はい? 『夏期講習、行った方がいいのか?』ですか……」
烏丸「うーん……人によりますからねえ」
烏丸「独学の方が捗るという人もいれば、そうじゃない人もいますし」
烏丸「あなたの場合……『独学はキツい』? そうかもしれませんね」
烏丸「――そうですね」
烏丸「夏休み中、お盆休み以外は……私が個人授業する時間を作ってもいいですよ?」
烏丸「あっ。でも、そうなると……」
久世橋「ど、どうかされました?」
烏丸「いえいえ」
烏丸「そうするとなると……久世橋先生がヤキモチを焼いてしまうんじゃないか、と少し心配が」
久世橋「か、烏丸先生! 私は別に気にしてません!」
烏丸「久世橋先生、声大きいですよ?」
久世橋「うっ……」
烏丸「……それでは」
烏丸「サボりがちな生徒を見張り役、という役目の方が必要でしょうし」
烏丸「久世橋先生。彼を見守って……いえ。見張っていて下さいませんか?」
久世橋「……そ、そういうことでしたら、しょうがないですね」
久世橋「『うん、しょうがない』って……あ、あなたが言うことじゃないでしょう!」
-
入院中なのに素晴らしい物語をありがとうございます
お体に気を付けて下さい
-
>>209
ありがとナス!
烏丸「……ただ、私は英語しか教えられませんし」
久世橋「私も、基礎数学を学び直しているのですが……」
烏丸「こういう時は、協力者が少ないのがネックですね……」
久世橋「全くですね……」
久世橋「結局、特別扱いしていることに変わりないわけですし……」
烏丸「まあまあ。そこについては、私も『共犯者』ですし」
久世橋「か、烏丸先生……」
久世橋「え? 『自分も共犯者』? ……せ、生徒を罪人にするのは忍びないですが」
久世橋「『こういう時に支えにならないと』って……あ、あなたという人は」
烏丸「あら? おノロケですか?」
久世橋「ち、違いますっ!」
-
久世橋「……あ、あの」
久世橋「国立志望、と聞きましたが……何故ですか?」
久世橋「お家の経済状況が芳しくない、とか? ……い、いえ。これは失礼な問いかけですね」
久世橋「……え?」
久世橋「『学費は少ない方が、私との生活に充てられるお金が増えるから』?」
久世橋「『就職先も幅広くなるかも』って……あなた、そこまで考えて」
久世橋「――経済面については、気にしなくていいんですよ?」
久世橋「私がプライベートに割いているお金を少なめにするということも出来ますし……」
久世橋「ですから、あなたが気にする必要は……ですから」
久世橋「今からでも……私立に切り替えては?」
久世橋「『どうして?』って……カ、カバーできる科目数に限度があるからに決まっているでしょう?」
-
久世橋「……お盆休み、ですね」
久世橋「私は、実家に戻ります。……ケジメのようなものですし」
久世橋「いいですか? 勉強の手を抜いてはダメですからね?」
久世橋「はい? 『メールとか電話くれたらやる気出る』って……そ、そういうことでしたら、仕方ないですね。もう」
久世橋「『本当は自分がしたいくせに』? ……怒りませんので、もう一度言って頂けますか?」
-
久世橋「――また、迎えに来てくれたのですね」
久世橋「『連絡してたはず』? ふふっ、そうでしたね」
久世橋「……ま、周りには、誰もいらっしゃいませんよね?」
久世橋「まだまだ、油断は禁物です。烏丸先生以外の学校関係者に気づかれては……」
久世橋「え? 『偶然を装えばいい』? ……そ、それもそうですね」
久世橋「『だから、軽くキスでも』って……そ、それはダメです!」
-
久世橋「……夏休み明け、ですね」
カレン「勉強、捗りませんデシタ……」
陽子「私も……はあ。ホントに、アイツと同じとこに行けるのかな……」
カレン「ヨーコも悩んでマスね……そっちもデス?」
カレン「『悩んでない人なんていない』? ……それもそうデスね」
カレン「――デモ」
カレン「久世橋先生ー! この人、テキスト広げるフリして漫画読んでマース!」
久世橋「な、なんですって!」
カレン「……お二人は相変わらずそうで安心デスねっ!」
陽子「え? え? ど、どういうことだ?」
カレン「ヨーコは、ピュアなままでいて下さいデス!」
陽子「カ、カレン! バカにしてるだろ!」
-
次は修学旅行の話を書こうと思うんですが
京都か沖縄かどっちがいいですかね……
原作では(多分)まだ修学旅行やってないと思うので
-
沖縄の夕方の海でこっそり会うとか…
それはそうといいSSありがとナス!
本当にお身体に気を付けて…
-
>>216
ありがとナス!
久世橋「もうすぐ、修学旅行ですね」
久世橋「……この時期が来ると、やはり『卒業』というものを強く意識しますね」
久世橋「感慨深いです。……そこっ!」
久世橋「まったく……少しでも油断したら居眠りしようとするんですから」
久世橋「いいですか? 羽目を外しすぎてはダメですからね?」
久世橋「まず、平方完成を確実に解けるようにしないといけませんし……後は」
久世橋「え? 『数学教師か』? ……あ、あなたのために勉強し直し中です!」
久世橋「まったく。誰のためだと……ほ、ほら。そういう所で笑うから成績が伸びないんでしょう!」
-
陽子「……修学旅行は沖縄かぁ」
忍「イギリス、行きたかったですねぇ……」
綾「し、しの。いくら何でも遠すぎると思うわ」
アリス「沖縄……いいねっ!」
カレン「……」
陽子「……」
アリス「あれ? 二人とも、どうかした?」
陽子「い、いや! 何でも!」
カレン「そ、そうデス。……何でもないデス」
アリス「?」
カレン「――やっぱり、あなたもデスか」
カレン「悩みマスよね……久世橋先生とは、どうする予定デス?」
カレン「何とか、男女混合という形デ、班はその……わ、私たちで固められマシタけど」
カレン「シノたちも察してくれたんデショウね、きっと……」
カレン「ハイ? 『久世橋先生との関係がバレてないか心配』? ……まあ、大丈夫デショウ」
カレン「アヤヤたちには申し訳ないデスけど……これで、何とか五人で行動できそうデスね」
-
久世橋「……『修学旅行中、どうするか?』、ですか……」
久世橋「九条さんや猪熊さんはともかく……私たちは、あくまで教師と生徒ですし」
久世橋「油断、絶対にしちゃダメですからね? 烏丸先生以外の方々もいらっしゃるわけですし」
久世橋「……わ、私自身、最近は油断気味ですし。気をつけないと――」
久世橋「……で、ですからっ!」
久世橋「ふ、不意打ちのキスは……『旅行中は出来ないから』?」
久世橋「……」
久世橋「あ、あの」
久世橋「今日は、ご両親は……『出張中』?」
久世橋「……し、していきませんか? 旅行中は、絶対に出来ないでしょうし」
久世橋「はあ……本当に」
久世橋「もう、教師失格もいい所ですね……」
久世橋「え? 『そう言いながら笑ってる』? ……うーん」
-
――旅行中
久世橋「――はい! 全員、揃ってますね!」
久世橋「それでは、これより自由行動とします。……いいですか? 羽目を外しすぎてはいけませんからね?」
カレン「大丈夫デース!」
久世橋「九条さん。あなたが一番、心配です」
カレン「……ホントは、心配なのは私じゃないんじゃないデス?」
久世橋「」
カレン「冗談デース! 気をつけマス!」
久世橋「……はぁ」
烏丸「図星、でした?」
久世橋「か、烏丸先生。……自信、なくしてきてるみたいですね、私」
烏丸「まあ、さすがに修学旅行中は自重しないといけませんね」
久世橋「ですね……まったくです」
-
烏丸「――ところで、先生? こちらのしおりをご覧ください」
久世橋「はい?」
烏丸「ここ。職員会議の後で」
烏丸「ほんの少しだけ、時間がありますね」
久世橋「あっ。本当ですね」
烏丸「……私たちのホテル、いい所ですよねぇ」
烏丸「すぐ近くに海もありますし、今日は快晴です。沖縄の醍醐味の夕日と海が、じっくり味わえますね」
久世橋「か、烏丸先生……?」
烏丸「もしかしたら……勝手に抜け出して、見に行ってしまう子たちもいるかもしれませんが」
烏丸「この辺りとか、人目につかないで……夕日を堪能できそうですねぇ」
-
久世橋「……」
烏丸「あっ。これ、全部ひとりごとですからね?」
烏丸「あら? あなたも聞いてしまってました? ふふっ、油断してしまいました」
久世橋「ちょっ!? ど、どうして、ここにいるんですか!」
久世橋「『自由行動だから』って……そ、そこは、沖縄の伝統工芸品を観たり、ですね」
烏丸「さて、と。それでは私も、ちょっと観光気分にふけりましょうか」
久世橋「……か、烏丸先生」
烏丸「はい?」
久世橋「ひとりごとを勝手にお聞きしてしまい、申し訳ありませんでした」
烏丸「いえいえ」
烏丸「はい? 『ありがとう』? ……謝られたり感謝されたり、忙しいですねぇ」
-
久世橋「……どうして、ここにいるんですか?」
久世橋「『そっちも』? ……ただ、海と夕日が綺麗だったもので」
久世橋「時間に少し、空きが出来てしまってましたからね」
久世橋「え? あなたもですか? ……それは、奇遇ですね」
久世橋「『注意しなくていいのか』? ……驚きました。あなたから注意してほしいなんて言うなんて」
久世橋「……はあ」
久世橋「結局、油断してしまってますね」
久世橋「『烏丸先生のひとりごとのせい』? か、烏丸先生を冒涜することは許しませんよ?」
久世橋「……いえ。分かっています。烏丸先生には、感謝してもしきれませんね」
-
久世橋「……『手、繋いでも』? ま、周りに誰もいなければ」
久世橋「なるほど……たしかに、この場所は人目につきませんね」
久世橋「それなら『油断』には含まれないはずです。……多分。きっと」
久世橋「……言ってもいいですか?」
久世橋「『あなたも言いたいことがある』? ……そうですか」
久世橋「――私、今とても幸せです」
久世橋「……同じことを、同じタイミングで言ってしまいましたね」
久世橋「それでは、戻りましょうか――」
-
久世橋「――ぷはっ!」
久世橋「で、ですから! さすがにキスはダメ、と……」
久世橋「『油断しちゃった』って……もう。遅いですよ」
久世橋「『間違いなく誰もいないから大丈夫』? ……信じますよ、その言葉」
久世橋「それでは、戻りましょうか。……少し、後から付いてきて下さいね?」
久世橋「そうしないと、明るみになってしまうリスクが……『手、繋いだままでいたい』?」
久世橋「そ、それはダメですっ!」
-
修学旅行編でした
素晴らしいアイデアに感謝です
-
久世橋「……もうすぐ受験ですね」
久世橋「これで、高校生活も終わってしまうと思うと、なかなか感慨深いものがありますね」
久世橋「あなたは、どうでしたか? ……『楽しかった』?」
久世橋「そうですか。……私もです」
久世橋「……」
久世橋「こうして、キスをしていると」
久世橋「私もダメになってしまったと実感しますが……それ以上に、幸せだと思ってしまうのはどうなんでしょうか」
久世橋「……はい? 『絶対に現役合格する』?」
久世橋「『そうしないと一緒にいられるのが遅くなる』? ……どうやら、やっと本気になったみたいですね」
久世橋「ご飯、作っておきますね。あなたは、しっかり勉強していて下さい」
-
続き書きますがやっぱり改行した方がいいですかね?
久世橋「」
久世橋「」
みたいに
-
んにゃぴ、僕は今のままでも読みやすいですね
-
>>229
ありがとナス
それじゃ後ほど一気にいきますね
-
続きやったぜ。
-
久世橋「……もう、クリスマスですね」
久世橋「勉強は順調ですか? ……って、何読んでるんですか!」
久世橋「『一緒に外に出られないから、ららぽーとデート妄想のため』って……その雑誌、没収です」
久世橋「そういったものを読む暇があったら一つでも英単語や公式を覚えて下さい!」
久世橋「あなたは文系理系、どっちも壊滅的なんですから……」
久世橋「……」
久世橋「とはいえ、何もしないのもちょっと落ち着きませんね」
久世橋「このページまで終わったら、一緒にケーキでも作りますか?」
久世橋「あっ。後、サラダとか添え物も……はい?」
久世橋「『今までならそういうこと絶対に言わなかったのに』? そ、それは……」
-
久世橋「……もう、困ってしまいました」
久世橋「本当なら生徒の受験指導に精を出すべきなのに、これでは公私混同もいい所じゃないですか」
久世橋「え? 『今更』? ……そ、それもそうですね」
久世橋「ただ、今は私に抱きついてはいけません。勉強に集中してください」
久世橋「……終わりましたか?」
久世橋「それでは私は材料を買いに行きます。あなたは休んでいて下さい」
久世橋「……え? 『一緒に行きたい』? ダ、ダメに決まってるでしょう!」
久世橋「この時期は所帯を持たれている先生方が、ご家族で買い物にいらしたりしていてですね……」
久世橋「ど、どうして、そこで顔を赤くするんですか? ……『いずれ自分たちもそうなるから』?」
久世橋「あ、あなたって人は……!」
久世橋「……それ、変装のつもりですか?」
久世橋「バレバレですよ? サングラスにマスク、帽子にマフラー……変質者みたいです」
久世橋「とにかく! そ、卒業するまでは大人しくしてなさい!」
久世橋「教師命令ですっ! ……『ホントは私もそうしたい癖に?』」
久世橋「……ノーコメントで!」
-
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「け、結局、今年も聖夜にしてしまいましたね……」
久世橋「ああ、はしたない。……あなたは本当に嬉しそうですね」
久世橋「お風呂、沸かしておきました。先に入ってきていいですよ」
久世橋「……『一緒に入ったほうがいい』? ど、どうせガス代は口実で、そこでまた、でしょう?」
久世橋「ですから、私は一緒には……ひゃっ!?」
久世橋「だ、抱きかかえないで下さい! ……力、抜けちゃってますから逆らえないじゃないですか」
久世橋「……『二回戦、いける』? た、体力には自信がありますが……もうっ!」
-
久世橋「……年明けですね」
久世橋「それでは私は実家に帰ります」
久世橋「あなたも、お年玉もらいっぱなしじゃなくて何かお返しを……はい?」
久世橋「『もうすぐ渡す側に回るのかな』って……そ、それは、その」
久世橋「い、今、考えることじゃないでしょう!」
久世橋「ともあれ、三ヶ日中も勉強するんですよ?」
久世橋「……私の目から離れてしまうのが心配ですが」
久世橋「え? 『あなたも私に付いてくる』? ……最低でも一年は待って下さい!」
久世橋「いや、それじゃ早すぎ……そ、そんな顔しないでください!」
-
久世橋「……センター試験、どうでしたか?」
久世橋「その顔を見るに、最悪というわけでは無さそうですが……限りなくまずそうですね」
久世橋「志望校が国公立ですしね……大丈夫でしょうか?」
久世橋「私立も併願しましたよね? ……『でも、そっちには行きたくない』?」
久世橋「で、ですから、経済面は気にしなくても……『あなたが気にする』?」
久世橋「……分かりました。結果次第ではダメかもしれませんが」
久世橋「それでも、私は……あなたから決して離れませんから」
久世橋「……ご、ごめんなさい。自分で言っていて恥ずかしくなってしまいました。顔、見ないで下さい」
久世橋「え? 『見慣れてる』? ……ああ、教師失格ですね。本当に」
-
久世橋「――どうにかこうにか、国公立試験日ですね」
久世橋「センターで首の皮一枚つながりましたが……それでは、見送りはここまでです」
久世橋「え? 『センターの時にもしたことをしてほしい』? ……人、見てませんよね?」
久世橋「か、軽くですよ?」
久世橋「……んっ」
久世橋「か、軽くでも、キスはキスですね……」
久世橋「……『本気、出そう』? 頼みますよ、もう」
久世橋「それでは……行ってらっしゃい。お料理、用意して待ってます」
-
久世橋「……番号、ありましたか?」
久世橋「『あった』? ……本当、ですね」
久世橋「……べ、別に泣いてなんていません。あなたの方こそ泣きっぱなしじゃないですか」
久世橋「……これで」
久世橋「一緒に、なれる算段がつきましたね……」
久世橋「『今日、寄っても?』 ええ、もちろんです」
久世橋「一緒にお祝いのご飯、作りましょうか!」
-
――それから
久世橋「……大学生活は、どうですか?」
久世橋「サークルとかバイトとか……『バイトばっかり』? そ、それもいいですが、ちゃんと卒業するんですよ?」
久世橋「え? 『私との生活の資金貯めるから』? ……そう、ですか」
久世橋「それでは、私も気合いを入れて教師生活に励まないとですね」
――私たちは結婚の算段を立てた。
高校卒業と同時に、なんて彼は息巻いていたものの……いざ、大学に入ったら「落ち着いてからの方がいいかも」と言う。
というのも、サークルで似たようなこと(その二人は学生結婚だったらしいけれど)をした先輩が、色々苦労しているらしいと聞いたのがショックだったからだとか。
私も、それには賛成だった。
卒業直後に結婚、というのに全く惹かれなかったと言えば嘘になるけれど……
彼の生活を考えた時、本当にそれでいいのかと自問して、私から切り出そうと思っていたくらいだった。
でも、彼は私と同じ「答え」を同じようなタイミングで出したらしい。
-
彼は……教師を目指すらしい。
それを聞いても大して驚かなかった。むしろ嬉しかった。
何でも「私の指導に憧れた」とからしい。その言葉もまた嬉しかった。
そういうことなら、教師同士での結婚という珍しくない形に収まるし、それなら誰にも迷惑がかからないだろうから。
……今思っても、あの二年間をほとんど支障なく過ごせたのは幸運というより奇跡に近いと思う。
――彼は、講義が終わると大抵バイトに行き、その後で私の家にやって来る。
ご両親が出張しがちという環境も相まって、私の家に来ても咎められたりはしないらしい。
私は手料理を用意して彼に振る舞う。そして、一緒に食べる。
時折、彼が早くバイト先から出ると一緒に料理もする。そして、一緒に食べる。
こんな幸せな日々はない、とつくづく思う。
烏丸先生と九条さんには感謝の念が尽きない。いくら感謝してもし足りないくらい。
事ある毎に先生にはお礼を言わせて頂いているし、時折、九条さんが学校に訪れた時にも必ずお礼を言っている。
今日も私は手料理を用意して彼を待つ。
メールの文面を信じる限り、もうすぐ着くらしい。昨日がお魚だったから今日はお肉にした。
待っているのも幸せというのを、彼といることでとても強く実感する。
-
――え? わ、私が好き……?
初めて、彼に返した言葉が脳裏に蘇った。
全てはそこから始まって、今ドアの前で私はベルが鳴るのを待っている。
目をつぶり、私は祈った。
――どうか。
久世橋「……おかえりなさい、『あなた』。疲れたでしょう?」
――この時間がずっと続きますように、と。
喜色満面の彼を見て、私も同じように破顔するのだった。
おしまい
-
ここまでです。
久世橋先生編でした。
途中で関係がバレそうになるシリアス展開も考えましたが難しいので没になりました。
というよりもハッピーエンド一直線しか考えられませんでした。
陽子編とカレン編も同時進行の予定でしたがこれから進めて行こうと思います。
ありがとうございました。
-
乙でした!
良作でもうホンットにビックリした!もうホントにこのSSすごいって、作者様すごいってね。
またひとつ確信させていただきました。
-
乙
-
オツシャス!
やっぱ…久世橋先生を…最高やな!
-
乙です
-
オッツオッツ
面白かった
-
おつしゃす!
いいもん見れたわ
-
体調崩しつつも書き上げてくれた気概にあっぱれです…
最高ですねこれ
-
いい作品をありがとナス!
-
今全部読みました
おもしろかったです
-
3ヶ月弱乙ぅ〜
-
――春
久世橋「……今年からあなたたちの担任を務める久世橋といいます」
久世橋「以後、よろしくお願いします。それでは」
久世橋「……」
烏丸「あっ、久世橋先生。お疲れ様です」
久世橋「か、烏丸先生……ええ。そちらこそお疲れ様です」
烏丸「……あの子がいない学校は、やはり?」
久世橋「そ、それは……ま、まぁ、慣れていくと思います」
烏丸「ふふっ、そうですね」
烏丸「……今日も放課後は、あの子がお家に?」
久世橋「え、ええ。まぁ」
久世橋「久々にアルバイトが早く終わるそうなので、一緒にご飯でも、と……」
烏丸「そうなんですか。楽しそうで何よりですね」
-
烏丸「――あの子たちも大学生」
烏丸「久世橋先生。私が言うのも何ですが」
久世橋「な、なんでしょうか?」
烏丸「お気をつけて」
久世橋「……え?」
烏丸「大学というのは、はっちゃけてしまうことが多い空間です」
久世橋「……!」
烏丸「まぁ、あの子に限ってそんなことは無いと思いますが……」
久世橋「……」
烏丸「ごめんなさいね、不安にさせるようなことを言ってしまって」
久世橋「そ、それは大丈夫です」
久世橋「……」
――その夜
久世橋「……『サークルでお花見に行ってきた』?」
久世橋「そ、そうですか。楽しかったですか?」
久世橋「『楽しかった』? ……そ、それは何よりです」
久世橋「……え? 『何か聞きたそう』?」
久世橋「そ、そんなことありませんよ? ……ただ」
久世橋「……そ、そのサークル、女の子はどれくらい?」
久世橋「……な、何ですかその顔は?」
久世橋「『やっぱり可愛い』って……そ、そういうことを言わないでください!」
-
久世橋「――私にとっては切実な問題なんですよ」
久世橋「あなたに限ってそんなことは無いと思いますが……」
久世橋「え? 『あなたも私が浮気しないか心配』?」
久世橋「きょ、教師と生徒でそんなことあるわけが……って、それを言ったら今の関係もありませんものね」
久世橋「……」
久世橋「そ、その……近くに寄ってもいいですか?」
久世橋「と、特別に抱きつくことを許可します。……強めでいいですよ?」
久世橋「何だか落ち着かなくなってしまったもので……」
久世橋「……」
久世橋「――こうして、抱きしめあってるだけで」
久世橋「落ち着くようになってしまった自分が恥ずかしいです……」
久世橋「え? 『カップルなんだから当たり前』? ……そ、それは」
久世橋「と、とにかく! 私は浮気なんて決してしませんし、あなたも同じですね?」
久世橋「そうですよね? ……『当たり前すぎて何も言えない』?」
久世橋「……」
-
久世橋「……まだ、桜は見頃ですね」
久世橋「だ、だから、どうというわけでもないのですが」
久世橋「え? 『バレバレすぎ』? ……うう」
久世橋「……『一緒に花見に行こう』?」
久世橋「そ、それは……その」
久世橋「わ、分かりました。で、でも! お酒はダメですよ?」
久世橋「……まさかあなた、飲んでないでしょうね?」
久世橋「……『ノーコメントで』? もうっ! まだ未成年でしょう!」
久世橋「……と、ところで」
久世橋「今日は何時頃まで大丈夫なんですか?」
久世橋「……『いつまででも』? あ、あなたのご両親はお忙しいんですね」
久世橋「え? 『友達の家に泊めてもらうって言ってあるから』? ……そう、ですか」
久世橋「……そ、それでは」
久世橋「私の部屋、行きますか?」
久世橋「い、一緒のベッドで寝ることを許可します。特別です」
久世橋「え? 『特別ってなんだっけ』? ……そ、それは、その」
久世橋「と、とにかく! 離れたくないんです!」
久世橋「……い、今のは聞かなかったことにしてください」
久世橋「はぁ……あなた相手だと、調子が狂いっぱなしですね」
-
とりあえずここまで。
久世橋先生編は個人的に、特に思い入れが深いのでつい書いてしまいました。
特に修羅場要素もない、幸せな後日談が続く……かも。
-
なんか始まって終わってた!
-
ご無沙汰じゃないっすか!
-
結婚式すごそう
-
久世橋「……『サークルの合宿で女子力が高いと言われた』?」
久世橋「『料理作ったらウケが良かった』? ……そ、そうですか。それは良かったですね」
久世橋「しかし『女子力』という言葉をあなたが使われると何だか複雑ですね……」
久世橋「え? 『師匠の腕がいいから』?」
久世橋「ほ、褒めても何も出ませんよ? ……一枚、お肉そっちにあげるくらいです」
久世橋「いいですか? お肉1:野菜2の割合ですよ?」
久世橋「すき焼きは意外と手間がかからなくていいですね……」
久世橋「あなたと一緒ですから尚更そう思います」
久世橋「……『サークルでもすき焼きだった』?」
久世橋「……そ、そうだったんですか」
久世橋「え? 『何か言いたそう』? ……そ、そんなことは」
久世橋「……わ、分かりました」
-
久世橋「――そ」
久世橋「その時と今、どっちの方が美味しいですか?」
久世橋「い、いや! この質問はフェアじゃありませんよね!」
久世橋「今日のお肉もお野菜も特売セールのものですし! で、ですから、サークルの方が当然――」
久世橋「ど、どうしてお肉を私のお皿により分けているんですか?」
久世橋「『可愛いから涙を飲んで』? ……こ、答えになってませんよ?」
久世橋「……『私の一緒の方が美味しいに決まってる』?」
久世橋「……お、お世辞はいらないんですよ?」
久世橋「『本当なんだからしょうがない』って……あ、あなたは」
-
久世橋「……」
久世橋(しかし、女子力なるものが高いと評されるということは……彼のサークルでの評価はそれなりに高いということになりますね)
久世橋(……うーん。やっぱり、ちょっと不安です)
久世橋(彼に限って、そんなことは……あっ、スマートフォンを取り出しましたね)
久世橋(LINEでもやっているんでしょうか……はっ!)
久世橋(の、覗き見なんて! そ、そんなの彼のことを信頼していないことの表れじゃないですか!)
久世橋(ああ、はしたない……私は彼のパートナーとして彼を信頼すべきなのに!)
久世橋「――『さっきから何してるか』?」
久世橋「そ、それはですね、その……た、体操です!」
久世橋「最近、陸上部だった頃の記憶が……ちょっと」
久世橋「……え? 『私の携帯に画像を送ってた』?」
久世橋「な、なんの画像を……って!」
久世橋「い、いつ、こんな写真を撮ったんですか!」
久世橋「『さっき美味しそうにお肉を食べていたから、つい無音カメラで』? ……そ、そのアプリは問題ですね」
久世橋「こ、こんなはしたない写真を他の方に見られたら……け、消しますからね」
久世橋「……」
久世橋(良かった。浮気なんてしてませんでしたね……)
久世橋(同じサークルの女の子とLINEでもしているのかと心配してしまいました……)
久世橋(ああ、パートナー失格ですね……)
久世橋「――ところで」
久世橋「頼みますから、不意打ちで抱きつくのはやめて頂けますか? ……『可愛すぎるのが悪い』?」
久世橋「そ、そういうのを責任転嫁というんです!」
-
すき焼き編(?)でした
次は海にでも行こうと思いますが何かご希望等あればそれに沿った形でも書きたいと思います
-
だいぶ前に見て以来ご無沙汰してましたが今読みました
1レスごとにニヤついてきてね、もう、あんた最高や!
-
海に行くなら久世橋先生にオイルを塗って上げながらイチャイチャするとかベタなのがみたいですね
-
――夏
久世橋「……夏、ですね」
久世橋「ようやく学校も夏休みで一息つけそうです。……あなたも満喫しているようで何よりですね」
久世橋「え? 『リゾートバイトで稼ぎまくりたい』? で、ですから、生活資金のことは心配しなくても」
久世橋「……いえ。ここは感謝しないとダメですね」
久世橋「ありがとうございます。……ただ、きちんと勉強はしないとダメですよ?」
久世橋「……」
久世橋「べ、別にリゾートバイトだからって出会いがあって……う、浮気するとかなどと考えてはいないですよ?」
久世橋「……『そんなに自爆したいのか』? うう……」
久世橋「や、やっぱり心配なんですよ……」
久世橋「……『そんなに不安ならリゾートバイトは止める』?」
久世橋「『それで私と一緒に海に行く』? ……そ、それは」
久世橋「ま、まだ早いのでは? そ、卒業生とか、あなたのご学友に見られたら……」
久世橋「え? 『卒業したからこっちのもの』? ……か、烏丸先生の仰っていたことですか」
久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました。少し考えさせてください」
久世橋「た、ただ! 行くにしても県外にしましょう!」
久世橋「県内だとリスクが……『不安すぎ』? わ、私にとっては問題なんです!」
久世橋「――『免許取ったし車で行きたい』?」
久世橋「あなたの運転技術が気になる所ですが……それでも構いませんよ」
久世橋「……え? 『車なら止まってる隙に色んなことが出来る』?」
久世橋「て、撤回します! 電車で行きましょう、電車で!」
-
――夏
久世橋「……夏、ですね」
久世橋「ようやく学校も夏休みで一息つけそうです。……あなたも満喫しているようで何よりですね」
久世橋「え? 『リゾートバイトで稼ぎまくりたい』? で、ですから、生活資金のことは心配しなくても」
久世橋「……いえ。ここは感謝しないとダメですね」
久世橋「ありがとうございます。……ただ、きちんと勉強はしないとダメですよ?」
久世橋「……」
久世橋「べ、別にリゾートバイトだからって出会いがあって……う、浮気するとかなどと考えてはいないですよ?」
久世橋「……『そんなに自爆したいのか』? うう……」
久世橋「や、やっぱり心配なんですよ……」
久世橋「……『そんなに不安ならリゾートバイトは止める』?」
久世橋「『それで私と一緒に海に行く』? ……そ、それは」
久世橋「ま、まだ早いのでは? そ、卒業生とか、あなたのご学友に見られたら……」
久世橋「え? 『卒業したからこっちのもの』? ……か、烏丸先生の仰っていたことですか」
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久世橋「……」
久世橋「わ、分かりました。少し考えさせてください」
久世橋「た、ただ! 行くにしても県外にしましょう!」
久世橋「県内だとリスクが……『不安すぎ』? わ、私にとっては問題なんです!」
久世橋「――『免許取ったし車で行きたい』?」
久世橋「あなたの運転技術が気になる所ですが……それでも構いませんよ」
久世橋「……え? 『車なら止まってる隙に色んなことが出来る』?」
久世橋「て、撤回します! 電車で行きましょう、電車で!」
-
――ビーチ
久世橋「……お、お待たせしました」
久世橋「な、何か言いたそうですね? ……『似合いすぎててビックリした』?」
久世橋「そ、そういうことを言うからダメなんです! わきまえないとダメです!」
久世橋「……といいますか、早速パラソル準備してるんですね。用意周到なことで」
久世橋「わ、私も手伝いましょうか? ……『私に負担を掛けたくない』?」
久世橋「も、もう……それでは、お言葉に甘えさせてもらいます」
久世橋「本当に……気を遣う人なんですから」
久世橋「――え? 『サンオイル塗るか』?」
久世橋「そ、それは……えっと」
久世橋「……お願いします」
久世橋「……」
久世橋(まずいですね……普段は、もっとはしたないことをしているのに)
久世橋(こんな風に「初めて」が積み重なってしまうと……オーバーヒートしてしまいそうです)
久世橋(心なし、彼の手つきも震えてる気がしますし……ああ)
久世橋「――初めて同士って、大変ですね」
久世橋「……」
久世橋(こ、声に出てました……!)
久世橋(そ、そこで何か返してくださいってば! これでは、私だけが恥ずかしいままでしょう!)
-
今はとりあえずここまでかもしれません。
まったりと二人の日常は続いていく予定です。
次回も海回……かも
>>266
素晴らしいアイデア、ありがとナス!
-
提案したアイディアが採用されてウレシイ...ウレシイ...
次回も楽しみにしています。
-
久世橋「……おいしいですね」
久世橋「なるほど、海の家の味付けもなかなか……これは参考になりますね」
久世橋「いかにも『夏!』って感じの大胆さが……ところで、どうしてさっきからジッと見てるんですか?」
久世橋「え? 『相変わらずだから』って……わ、悪かったですね」
久世橋「これは性分なんで――むぐっ!?」
久世橋「……ぷはっ!」
久世橋「ふ、不意打ちはいけないと何度言ったら……!」
久世橋「『タコ焼きおいしいから』? ……い、いいですか?」
久世橋「じ、事前に許可を取ってからそういうことはやってください。もし、私がこぼしたら食べ物にも失礼でしょう?」
久世橋「……え? 『お手本を見せてほしい』?」
久世橋「……」
久世橋「――あ」
久世橋「あ、あーん……おいしいですか?」
久世橋「あっ、答えなくていいです。その顔だけで十分すぎます」
久世橋「……あなたも相変わらず、ですね」
-
久世橋「――『泳ぎで勝負したい』?」
久世橋「い、いいんですか? 私、負けませんよ?」
久世橋「……『勝ったら言うこと聞いてほしい』?」
久世橋「い、いいでしょう。負けるはずがありませんし」
久世橋「それでは、あちらの岩まで行って戻ってくるというルールでいいですね?」
久世橋「いきますよ――!」
久世橋「……」
久世橋「ま、負けた……そ、そんなわけ」
久世橋「え? 『経験上、食べた後は動きが鈍くなる』? あ、あなたは私の何を見てるんですか!」
久世橋「……『言うことを聞いてもらいたい』?」
久世橋「い、いいですよ? それで、なんですか?」
久世橋「……あ、あの、どうしてそんなに笑ってるんですか?」
――数分後
久世橋「……だ、誰もいませんね」
久世橋「こんなところで何を……むぐっ!?」
久世橋「だ、だから突然のキスは……え?」
久世橋「『ここは穴場だから何をしてても絶対にバレない』?」
久世橋「……ま、まさかあなた」
久世橋「……そ、その。避妊具、持ってきてないじゃないですか」
久世橋「い、いえ。今日は大丈夫な日ですが……」
久世橋「『その言葉で決めた』? ……あ、あなたという人は」
久世橋「……絶対ですか? 誰にも見えてませんか?」
久世橋「た、たしかに……あなたと海に来て、そういう気分になってしまってました。はしたないですが」
久世橋「あ、あなたのせいですよ?」
久世橋「……そんな風に笑われてしまうと、私は何も言えなくなってしまいます」
-
久世橋「――ど、どうぞ」
久世橋「十分、湿ってると思うので……すぐに入ると思います」
久世橋「……」
久世橋「本当に――」
久世橋「困った『生徒』なんですから」
久世橋「……んっ!」
久世橋「そ、そこ……あっ……あまり、動かしたら」
久世橋「感じちゃ……ひぅっ……って」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「ギュッて……んっ……して、ください」
久世橋「……んんっ!」
久世橋「ど、どうして……あっ……勢いが、強く……!」
久世橋「んっ……そんな激しく、したら」
久世橋「んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「つ、疲れました……」
久世橋「あ、あなたは……調子に乗って、どうして上まで外しちゃうんですか」
久世橋「……『私が上を舐められるのが好きだから』? べ、別にそんなことは!」
久世橋「ない、はず、です……」
久世橋「……も、もうギュッてしなくていいですよ?」
久世橋「え? 『可愛すぎるからしょうがない』? ……ま、まったくもう」
-
また始まってる!
-
――その後
久世橋「……あっという間に夕方ですね」
久世橋「そういえば昔、烏丸先生と海に行った時、温泉に入りましたっけ……」
久世橋「……な、なんですか、その顔?」
久世橋「『さすがに温泉でそういうのはちょっと』って……あ、あなたは」
久世橋「するわけないでしょう! ただの休息です!」
久世橋「……その」
久世橋「この近くに、一緒のお部屋で露天風呂が付いている場所があるそうです」
久世橋「あ、あなたに任せますが……どうしますか?」
久世橋「……『私の方こそ大概』? た、ただ、誘っただけですよ?」
久世橋「え? 『行っても、さすがにさっきみたいなことは出来ない』? あ、当たり前でしょう!」
久世橋「……け、結局、来てしまいましたね」
久世橋「費用は私持ちでいいですから。……え? 『そういうわけにはいかない』?」
久世橋「『こういうのは彼氏の出番』? ……そういえば、毎日のようにバイトに行ってましたね」
久世橋「いいでしょう。それでは……折半、ということで」
久世橋「……ご両親には?」
久世橋「『友人の家に泊まる』? ……う、嘘も方便ということですか。何度も使ってきた嘘とはいえ」
久世橋「そうですよね……まだ、気取られるわけにはいきませんものね」
久世橋「え? 『私の方が心配』?」
久世橋「『どうせ実家に帰ったら、そろそろ結婚の話とかされてるから』? ……え、エスパーか何かですか?」
久世橋「だ、大丈夫です。隠し通してますから」
久世橋「……発表は、あなたが教師になった時、ですね」
-
――部屋
久世橋「……いいお部屋ですね」
久世橋「お値段も思ったより安いですし、嬉しいです」
久世橋「……露天風呂、付いてますね」
久世橋「……『今にも入りたそうな顔してる』? そ、それはあなたも同じでしょう?」
久世橋「海とかプールの後のお風呂なんて、入りたくなるに決まってるじゃないですか」
久世橋「……じゃ、じゃんけんで勝ったほうから順番に入りましょうか?」
久世橋「え? 『そんな茶番いらない』? ……わ、分かりました。もう」
――露天風呂
久世橋「……あ、あまり見ないでください」
久世橋「『いつも見てるのに』? ……こ、こういう場所だと余計に意識してしまうんです!」
久世橋「……元とはいえ生徒と露天風呂だなんて、ああ、はしたない」
久世橋「『何を今更』って……あ、あなたはこういう時はさめてますよね」
久世橋「え? 『さめてるんじゃなくてからかってる』? ……そ、そういうことにしましょうか」
久世橋「……ええ。私もきっと嬉しいんです」
久世橋「今、あなたとこうしていられることが」
久世橋「……夜景、綺麗ですね」
久世橋「……あなたと一緒に見ることが出来て良かったです」
久世橋「本当に……奇跡がずっと続いてるような感覚ですね」
久世橋「……『同じことを思った』? やっぱり、そうですか」
久世橋「烏丸先生にもご報告をしないといけませんね」
久世橋「え? 『さっきのことは報告しなくていい』? あ、当たり前でしょう!」
久世橋「……そ、その」
久世橋「少しくらいなら、抱きついてもいいですよ?」
久世橋「羽目の外し過ぎはよくありませんが……『本当に素直じゃない』?」
久世橋「あ、あなたが素直すぎるんです!」
-
――その後・部屋
久世橋「……んんっ!」
久世橋「……」
久世橋「け、結局、またしてしまいましたね……」
久世橋「ああ、私は本当に教師なんでしょうか……?」
久世橋「え? 『私ほど立派な教師は烏丸先生くらい』? ……そ、そこまで言われるとは思いませんでした」
久世橋「たしかに烏丸先生は聖人のような方ですが」
久世橋「……それでは、そろそろ寝ましょうか」
久世橋「え? 『このまま抱きついたままでいいか』? ……ええ、いいですよ」
久世橋「と、特別です。こんな場所、何度も来られるわけではありませんし……」
久世橋「……おやすみなさい」
久世橋「……」
久世橋「な、なかなか眠れませんね……」
久世橋「もう一風呂、行きましょうか? ……『そんなに二回戦したいのか』?」
久世橋「ち、違います!」
-
夏の旅行編でした。
二人は幸せなキスの後も色々して終了。
何かアイデア等ありましたらオナシャス!
-
久しぶりの新作ああ^〜いいっスッねぇ〜
少し時期が外れますが花見なんかどうでしょう?
-
いいペースで新作が見れてウレシイ…ウレシイ…
-
――春
久世橋「……場所は取れましたか?」
久世橋「『いい場所を取れた』? それは良かったです」
久世橋「ここの桜は本当に綺麗ですからね……」
久世橋「え? 『桜と一緒だと、もっと綺麗に見える』?」
久世橋「あ、あなたは……そういうことを軽々しく言ってはいけませんよ?」
久世橋「『初めて会った時からずっと思ってた』? ……そ、そうだったんですか」
久世橋「そう改めて言われると照れてしまいますね……」
久世橋「……何ですか、その目は? 『お酒、飲まないのか』って……」
久世橋「の、飲みませんよ? こういうお花見は素面が一番楽しめるものなんですから」
久世橋「あなたのことですから、それにかこつけて飲もうと……『そういうわけじゃない』?」
久世橋「『あなたも素面で楽しみたかった』? ……そ、そうですか。それなら何も言うことはありません」
久世橋「嘘はついてなさそうですし、ね」
久世橋「……あ、あの」
久世橋「そういえば、あなたがどうして私を好きになってくれたのか……そのきっかけは、まだ話されてませんよね?」
久世橋「いきなり告白されて、いきなり抱きつかれて……思い出すだけで照れるような行動を取り続けてましたが」
久世橋「さっき、『桜と一緒に見たから』と言いましたよね? ……何か関係はあるんですか?」
久世橋「……よかったら、聞かせてくれます?」
-
――回想・高一の春
久世橋「……まったく」
久世橋(九条さんと彼は、大変な問題児ですね……)
久世橋(一体、どうしたら言うことを聞いてくれるんでしょうか……あら?)
久世橋(校庭の桜が綺麗ですね……少し見ていきましょうか)
久世橋「……桜」
久世橋(新しい門出の時をお祝いしてくれているような……そんな気分になりますね)
久世橋(あっ、風が……髪が揺れましたね)
久世橋(やはり、春はいい季節ですね。自然に微笑んでしまいます……)
久世橋「――あら?」
久世橋(今、誰かの視線を感じたような……?)
久世橋(気のせいでしょうか……?)
-
――回想終了
久世橋「……あ、あなた、高一の春から私を?」
久世橋「『その時は、ただ気になっただけだった』? ……そ、そうなんですか」
久世橋「……『そのうち、家庭科の授業が楽しみになってきた』?」
久世橋「……」
久世橋「い、いつも怒られてばかりだったじゃないですか」
久世橋「それなのに、どうして……『分からない』?」
久世橋「『告白しようなんて思わなかったのに、気づいたら……』って、何だか曖昧ですね」
久世橋「……きっかけは、やはり高二の時にあなたたちの担任になったことですか?」
久世橋「……『そうかもしれない』?」
久世橋「そ、それじゃ、そうでなければ……その」
久世橋「こ、告白もあり得なかった、と?」
久世橋「……『かもしれない』?」
久世橋「つ、つくづく偶然とは凄まじいですね……」
久世橋「――考えてみたら、私も」
久世橋「気づいたらあなたを自然に家に招いてましたからね……曖昧なんて、人のことを言えませんね」
久世橋「え? 『恋なんていつもそんな感じだと思う』?」
久世橋「……あ、あなた、いつの間に恋愛観を語れるようになったんですか?」
久世橋「『私と付き合っている間に自然と』? ……もう」
久世橋「――困った『問題児』さん、なんですから」
久世橋「……ところで、どうして抱きしめているんですか?」
久世橋「え? 『あの時、気になった光景をやっと抱きしめられるから』?」
久世橋「……」
久世橋「それじゃ私も、あの時に私を見ていた誰かさんに仕返しましょうか」
久世橋「偶然と奇跡に感謝をしながら、ですね」
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>>281
アイデア提案ありがとナス!
花を見ながら微笑んでいる久世橋先生が気になり、それから何度も怒られている内に……という話でした
次は何の話にしましょうかね……何かありましたらオナシャス!
-
アイディア採用ありがとナス!
次は外でのお話が続いたのでシンプルに久世橋先生のお部屋でのお話とかが良いですね
彼の料理の腕がどのくらい上達したかテストするみたいなのはどうでしょうか?
-
>>287
あぁ^〜いいっすねぇ!
-
久世橋「……すみませんが、もう少しそっちに寄ってもいいですか?」
久世橋「こ、これは決して、この映画が怖くなってきたからではありません」
久世橋「……『自分から答えをバラすのか』? で、ですから違うと!」
久世橋「ひゃっ!? ……ぎゅ、ギュッてしてくれますか?」
久世橋「……ふぅ」
久世橋「若干のハプニングはありましたが、面白かったですね」
久世橋「え? 『もっと抱きついてても良かったのに』? あ、あなたは……」
久世橋「ほら。そろそろ、ご飯作らないといけませんよ?」
久世橋「……って、あら? こ、腰が抜けちゃってる?」
久世橋「た、立ち上がるのが難しいですね……」
久世橋「ちょ、ちょっと。何で準備を進めてるんですか?」
久世橋「主菜は、あなたには早いと……『そんな状態でまともに作れそうにないから』?」
久世橋「……わ、分かりました。甘えさせてもらいましょう」
久世橋「た、ただ! チェックはさせてもらいますよ?」
久世橋「私が『おいしい』と認めない料理はダメですからね?」
久世橋「え? 『こんなところでも家庭科のテストか』? ……と、特別授業です」
-
――数分後
久世橋「……」
久世橋(千切り合格、炒め合格、汁きり合格……)
久世橋(テーブルから窺う限りは問題なさそうですね……あら? そこでお味噌?)
久世橋(それに胡椒って……ア、アレンジするつもりじゃ)
久世橋「ちょ、ちょっと! それはさすがに冒険しすぎでは?」
久世橋「え? 『いいからそこでテレビでも』? ……お、教え子が心配なんです」
久世橋「き、期待を裏切らないでくださいよ?」
久世橋「……『期待してくれてるのか』? あ、当たり前でしょう?」
――さらに数分後
久世橋「……出来ましたか」
久世橋(野菜炒めにサラダ、お豆腐にお味噌汁、そして炊きたてのご飯……完璧ですね)
久世橋(いつの間に、こんな……私の手伝いだけで、ここまで?)
-
久世橋「……『家で料理の練習をするようになったから』?」
久世橋「そ、そうだったんですか。……言ってくれれば良かったのに」
久世橋「……ど、どうして黙りこむんですか?」
久世橋「はい? 『結婚してからサプライズで伝えたかったから』……?」
久世橋「あ、あなたという人は……私を赤くさせて、そんなに楽しいですか?」
久世橋「……そ、それでは。頂きます」
久世橋「……!」
久世橋「こ、この味は……私には思いつきませんでした」
久世橋「なるほど……こういう冒険もアリなんですね」
久世橋「マニュアルに沿った形でしか作ったことがなかったので、新鮮です……」
久世橋「……そ、その」
久世橋「テストは合格です。満点に近いです」
久世橋「ただ、この塩加減はもう少し……いえ。細かいことを指摘してもしょうがないですよね」
久世橋「十分です。……これで、我が家の食卓も任せられますね」
久世橋「……い、今のは聞かなかったことにしてください」
久世橋「言っていて恥ずかしくなってしまいました……」
久世橋「え? 『何か忘れてないか』?」
久世橋「……」
久世橋「はい……あなた」
久世橋「あ、あーん。……どうですか、自分で作ったお料理の味は?」
-
ここまでです。
素晴らしいアイデアに感謝。
これからもアイデアを募集していきたいと思うのでオナシャス!
-
もう新しいSS始まってた!
最近外出してる時とかも話の内容を想像したりしてるんだよなぁ・・・
これからも楽しみにしています。
-
――学校
久世橋「……はぁ」
烏丸「久世橋先生? どうかされました?」
久世橋「ああ、烏丸先生。実は、問題児らしき男子と女子がいてですね」
久世橋「対応に頭を悩ませている所です……はぁ」
烏丸「……思い出すのは、やはりあの子たちですか?」
久世橋「そ、それは……!」
烏丸「近頃、久世橋先生の元気が無くなって私も辛いですね……」
烏丸「やはり、『あの子』の卒業が一番堪えているのでは?」
久世橋「……し、心配なんです」
久世橋「こうしている間にも、サークルやバイトの、その……じょ、女性と何かあるのではないかと」
烏丸「彼に限ってそれはないでしょうけど……ところで、先生? もしよろしければ、携帯をお借りしても?」
久世橋「携帯……い、いいですけど」
烏丸「あと、操作してもいいですか?」
久世橋「え、ええ、構いませんが……?」
烏丸「それでは、失礼して――」
久世橋「か、烏丸先生? どちらにお電話を……?」
烏丸「それは、まぁ……あっ、もしもし? 烏丸です」
烏丸「あなたが姿を見せないので久世橋先生のやる気が無くなってしまって困っています……ああ、どうしたものでしょう」
烏丸「え? 『お土産持参で学校に来る』? まぁまぁ、期待していたわけではないのですが……」
烏丸「そうですね。せっかくなので、久世橋先生に代わりますね」
-
烏丸「はい、久世橋先生。胸の内にあるお気持ちを、どうぞ」
久世橋「……烏丸先生」
烏丸「あの子、とても嬉しそうですよ?」
久世橋「……」
久世橋「も、もしもし? 代わりました、久世橋です」
久世橋「……あなた、きちんと講義には出ているんでしょうね? まだ、お昼時ですよ?」
久世橋「え? 『生活資金のためにバイト中』? ……そ、それなら早目に切らないとですね」
久世橋「……『休憩中だから私の声を聴いていたい』? あ、あなた……」
烏丸「まぁまぁ、お熱いことで」
久世橋「……わ、分かりました」
久世橋「た、ただ! 真面目に働くんですよ?」
久世橋「それでは……どんなお話がいいですか?」
烏丸「……」
烏丸(周辺には、どなたもいらっしゃらない)
烏丸(そんな中、久世橋先生の声だけが近くで響いて……それは幸せそうで)
烏丸(私も幸せな気分になる、午後のひと時――)
-
ここまでです。
今回は、どうにも中途半端ですね……もう少しイチャイチャ成分を増やしたい。
何かアイデア等ありましたら是非お願いしたいです。
-
いつも心癒される作品ありがとナス!
生活資金の為のバイトから少し話を広げて初めてのバイト代で彼が久世橋先生に
何かプレゼントを内緒で用意する。
とかはいかがでしょうか?
-
久世橋「……」
久世橋「え? 『何で見てるのか』?」
久世橋「べ、別に見てませんよ? あなたの自意識過剰では?」
久世橋「……」
久世橋(最近、この子の行動が挙動不審な気がします……)
久世橋(それが指すものが一体なんなのか……分からない)
久世橋(何かを隠してるような気がして、落ち着かないですね)
久世橋(――絶対にあり得ないと思いますが)
久世橋「……浮気、とか」
久世橋「!」
久世橋(こ、声に出てました……!)
久世橋「……ご、ごめんなさい。ショックでしたよね?」
久世橋「え? 『心配なのは両方だからお互い様』? ……ありがとうございます」
久世橋「……何か聞かせてもらってもいいですか?」
久世橋「もしかして――隠し事、してるのでは?」
久世橋「……『実は、そう』? やっぱり」
久世橋「毎日、生徒と接していると観察眼も磨かれますね」
久世橋「あなたは昔から隠し事が苦手でしたっけ……」
久世橋「え? 『私に言われたくない』? そ、それは……えっと」
-
久世橋「……『時が来たら話す』?」
久世橋「な、何だか重い話になりそうですが……『違う』?」
久世橋「そ、そうですか。それなら、その時を待ってます」
久世橋「……『楽しみにしてていい』?」
久世橋「き、期待値を上げてきますね……大丈夫なんですか?」
――その後
久世橋「……『時が来た』?」
久世橋「何だか仰々しいセリフですが……あら? 何か持ってますね?」
久世橋「それは一体……包装紙?」
久世橋「『開けてほしい』? わ、分かりました」
久世橋「……!」
久世橋「――ネックレス、ですか」
久世橋「『指のサイズが分からないから指輪はムリだった』? そ、そうですか……言ってくれれば測っても良かったのに」
久世橋「え? 『最初のプレゼントは内緒にしたかった』? ……あ、ありがとうございます」
久世橋「まぁ、考えてみたら指輪を付けるのは時期が早いですし、ね……これで良かったかもしれません」
-
久世橋「……ありがとうございます。本当に嬉しいです」
久世橋「大事に使わせてもらいますね」
久世橋「……お返し、何かしないと」
久世橋「そうですね。今夜は奮発して、高いお肉を振る舞ってあげます」
久世橋「滅多に食べられない料理をお見せしましょう……え?」
久世橋「『それなら一緒に作った方が何倍も美味しい』? ……もう、あなたったら」
久世橋「そういうことでしたら、お手伝い願えますか?」
久世橋「――ああ」
久世橋「本当に、夢のような時間ですね……」
久世橋「私、本当に幸せです」
久世橋「……『早く教師になって結婚したい』? そ、そうですね」
久世橋「そうしたら――その時は、指輪を期待してもいいですか?」
-
>>297
素晴らしいアイデアありがとナス!
この二人を書いてるだけで生きる喜びを感じますね……
次回からもシリアス無しの、まったりイチャイチャな話が続くかと
アイデアはいつも募集しているのでオナシャス!
-
あぁ^〜癒されるんじゃ^〜
これからも楽しみにしています。
話のアイディアも日常系や、季節物なんかも思い付いたら提供させていただきます!
何気ない日常の1シーンなんかの少し短めなお話とかも是非オナシャス!
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てs
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てs
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てs
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この頃のトゲのない柔らかなSSをまた読みたい
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久世橋先生は永遠
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