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【和書】本は読んどけ!【洋書】

827名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/04/20(木) 02:24:56 ID:N6r6j1eg
アン・サリバン『ヘレン・ケラーはどう教育されたか--サリバン先生の記録--』
遠山啓 序・槇恭子 訳(1973)

ヘレンに出会ってたった3日目で格闘するくらいの大喧嘩になる。
一般的にまだ全然知識がない子供がかんしゃくもちであるように、ヘレンも同じだった。
まずはある程度、人に服従することから覚えさせる。
全く言う事を聞かなくてはどうしようもない。

幼児と同じくヘレンも何でも知りたがり、サリバン先生は興味に丁寧に答える。
ヘレンの家族は教育についてはわからないので、ヘレンへの指導の邪魔になった。
「ヘレンの興味を否定しないようにして、他の目が見え、声が聞こえる人たちと
全く同じように接するようにしてください」と言っておいた。

言語習得は、このように行われた。
ヘレンがあることを質問したら、そのことの名前の単語を指で、彼女の手につづってあげた。
ヘレンは自然と単語を繰り返し、興味が広がるとサリバン先生に聞く。
ヘレンは、最初は自作の身振り動作で知らせようとしたが、なんとか単語をつづり
サリバン先生の手に単語をつづって、聞きたいことを伝える。
サリバン先生が新しい単語をつづってあげる、というようなやり取りを繰り返す。
苦労しながらも鉛筆で字を書くようにもなる。
ヘレンにとっては点字、モールス信号は鉛筆より易しい。

音に敏感であり、今音が鳴っていることを確実に言い当て、
周りの人が何か感じた瞬間にそばによって「何を感じたの?」などと聞くようになる。
周りの人よりもはっきりと英語を発音できるようになる。

ヘレンの興味はそのままにしているので、ヘレンは新しい単語を知ることが楽しくてしょうがない。
ヘレンは新しい単語を覚えるのに困ったことがない。
ただ、何度も繰り返さないと忘れるのは今の我々と同じである。
この本の最後の方では、ヘレンも難しい言葉も理解した。
目が見え、声が聞こえるほかの人と同じく、科学知識から神のことまで疑問を持った。
死の概念も彼女なりにイメージする。

サリバン先生は書く。
単語を覚えるときは、ヘレンが「理解できるかどうかに関係なく」好きな言葉をつづってやり
目が見える人と全く同じ本を読ませた。(点字に直していると思われる)
ヘレンが疑問を持ったら、神のことですら丁寧に答えることにする。
そのため、サリバン先生は神や天国、霊を、あまり考えたことがないからと退けたりせず
可能な限り答えた。
その結果、全てのものに神がやどるようなこと(多神教的な考え)を言っていた。

教育に大事なことは上記に少し出たが、もう少し書く。
時間を決めた時だけ勉強させるようなことをしない。
いつでも質問してきたら丁寧に答えるし、新しい単語もつづってあげる。
新しい単語を知ったら、「とりとめもない話」をすればいい。
内容がないような、意味がない、ただのおしゃべりを繰り返すほうがよい。
学校のように「例文」を決めて覚えこませるようなことは全くしない。
例文を作って覚えこませ、単語を入れ替えたらどんな文章でも作れるという方法はやってはいけない。
ヘレンがどんなに間違った言葉遣いをしても、全く否定しない。

『ヘレン・ケラーはどう教育されたか』は正しい教育について考えさせられる。
この本を読んでいると、読者の方が出て来た単語を覚えてしまうのではないかと思うくらいである。
ヘレンは誰よりも文学的な思考をし、興味が広がって自分からいくらでも学ぼうとするので
科学知識も仕入れ、ヘレンほど頭が良くない健常者もいるのではないだろうか。

ヘレンは、体が不自由になったのであり、精神が異常をきたしたわけではない。
周りの我々の方が、見た目や体が不自由からくる面倒くさい感情を克服しなければいけない。
見た目が悪いくらいで文句を言わず、見た目がいい人と同じようにふるまうのが結局は
正しいやり方に近いのかもしれない。
第一印象で、どうしなければいけないか理屈を駆使して学問で小難しく考える必要など
最初からないのだろう。
これが専門用語で現実から意味をずらし、頭をがちがちに固めた学問の欠点かもしれない。


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