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SSスレッ!!!!!!!!!!
90
:
さくや
:2014/09/16(火) 18:48:00 ID:???
暁の空が支配する、闇と光の間
絶え間なく抗争が繰り広げられるこの平原も、早朝には暫しの静寂が訪れる。
早朝や深夜に奇襲をかけてはいけない――などという取り決めなどは存在しないが
暗黙の了解、というモノなのだろう。日が落ちてまた昇るまでの数時間は、誰一人として戦地に赴くものはいない。
もしルールを破り、相手軍への奇襲を画策するような輩がいるとすれば――…
「敵影は無し……正面、裏口ともにガラ空きだ」
闇軍の拠点を覆う複数人の人影。彼らの肩に縫い付けられた太陽の刺繍が、“光軍”である事を示している。
頬に汗を伝わせながら草陰に隠れる光側の兵士達。その風貌は、まだ経験の浅い新兵のようで
『予定通り、マルフタマルマルに正面と裏口…及び右翼側から同時に奇襲攻撃だな』
部隊のリーダーには無断で奇襲作戦を練ったのだろう。辿々しく通信を交わしながら、各自の持ち場へと辿り着く。
闇軍の拠点付近には複数の物陰がある。それを元に彼らは作戦を練ったのだろう―――が
それこそが失策だったのだと、数分後に身を持って知ることとなる。
『こちらデルタ隊、依然敵の姿は無し。予定通りに作戦を遂行出来そうだ』
『同じくエコー隊。敵拠点に目立った動きは無い、まだこちらには気がついてな――――ッ』
言い終える間もなく響く轟音。突風にも似た轟きを響かせるのと同時に奔るは白い残光。
それは刹那の出来事。“風”が会話を遮った僅か一瞬の間に、エコー隊は一人も余すこと無く“瞬殺”された。
首を掻き切られた様に血飛沫を上げながら、四名の兵士達が皆同時に。
人の理解を超えた現象に、思わず思考がフリーズする。
何が起きた?エコー隊はどうなった?あの“風”は一体―――
再び、残光が煌めく。宵闇を切り裂くように疾走るは灰の風。
靡く柳の様に靭やかな風は次々と、且つ的確に兵士の首を切り落として行き
2秒。たった2秒という逡巡の時の中で、奇襲部隊のほぼ全てを壊滅して見せた。
夢と見まごう事象。この世の現象とは思えぬ出来事に、取り残されたアルファ隊は困惑する。
「い……急げ!直ぐにこの場から離れッ」
他部隊よりも離れた位置から指揮を執っていたが故、誰よりもこの異常事態を把握していた彼らは
我先にと拠点から逃げ出し、一刻も早く自らの拠点へと走り出す――が
一秒にも満たぬ内に、先頭を走っていたリーダーの首が跳ね飛ばされた。
「な……!」
立ち止まり狼狽えるアルファ隊。“次は自分かもしれない――”と、自らの思考が警鐘を響かせる。
となれば冷静な行動など不可能だろう。残された三人は一斉に銃を取り出して
「クソッ!!死ねッ!死ねッ!!」
風を追うように銃弾をバラ撒いて、必死の形相で――悪あがきのように――銃弾を撃ち放つ。
だが風を射抜こうなど、夜に影を探すようなもの。要領を得ぬ無駄な足掻きは、闇雲に精神を浪費するのみで
再び、一人の首が宙を舞う。
「舐めるな……舐めるなよッ!!こっちには動体追視装置が―――」
まるで愉しむように、弄ぶように奔る風。余りも不快な風に苛立つ兵士の一人が、物々しいゴーグルを取り出して
草木をかき分け闇を駆ける風へと視線を移した刹那
「視――視え、な」
最先端の技術すらも辿り着けぬ疾風が、ゴーグルもろとも兵士を切り裂き駆け抜ける。
この間、僅か6秒。これが夢であったならばと、残された一人が闇を見据え
彼が最期に見たものは―――――――不敵に嗤う、灰の外套を纏った“風”の核。
“奇襲とは、感心しませんね”
そんな少女の声を脳が認識すると同時に
宵闇の中に四度目の、真紅の飛沫が舞い散った。
―――“銀灰疾風の神月”。これは後に光に恐れられることとなる、闇の従者の活躍である。
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