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SSスレッ!!!!!!!!!!

208さくや:2015/05/07(木) 02:10:31 ID:???
昼休み。スゴイクライシティが誇る大食堂を有するカシコイ・オンナハイスクールの生徒は皆食堂で昼食を取る。
カナもその一人だった。この食堂のオーガニック・カレーパンはまさに絶品であり、カラサ・マウンテンのものにも引けをとらない。
しかし今日はとある人物の誘いにより、そのカレーパンを手に入れることは叶わなかった。カナは自動カレーパン販売機で購入し、待ち合わせ場所の屋上へと向かう。

「……あ」屋上につくと、既に待ち人が佇んでいた。春風に薄灰色髪をなびかせる、サキ・カミヅキだ。
「ドーモ」「ドーモ」軽い会釈を交わしてサキのもとに駆け寄り、共に近くのベンチに腰を掛けてカレーパンを頬張った。

「……ねぇ、カナ=サン」「んむ?」サキはカナの顔は見ず、空をぼんやりと眺めるようにカナへと話しかけた。
共に昼食を取ろうという他愛ない誘いがサキから届くとは思っていなかった。それを了承したのは、本日の休み時間のことだ。
サキは他の生徒からの誘いを断った上で、カナとの昼食を望んだ。それを聞いて、何人かの生徒は関係を訝しんでいることだろう。
しかしサキをよく見てみれば、昼食のたぐいを何も持っていない。ベントーボックスも見当たらない。
そんな中、サキはカナに話しかけた。カナは口いっぱいにカレーパンを頬張りながらサキへと振り返る。

しばし、静寂。一陣の風が吹き、それが屋上を駆け抜け終われば、サキは静かに問いかけた。
「昨日の、見たよね」先程までの穏やかな声とは真逆。静かなはずなのに、嘘は許さないという威圧感が言葉となって放たれた。
「……!」思わず詰まってしまいそうなカレーパンをウメミルクで流し込み、軽く息を整えながら答えを返す。

「…………うん」「そっか」カナは息を呑みつつ答えてみたが、その答えに対する反応は案外軽いものだった。
彼女の声には再び穏やかさが宿っていて、先ほどの感覚は思い過ごしだと自らに言い聞かせながら、カレーパンを食べきった。
「もう誰かに話しちゃった?」「……うん」「………そっか」その声にもやはり、恐ろしさは感じられない。
「それを聞けてよかった。アリガト、カナ=サン」サキが席を立ってカナへと向き直り、笑みを浮かべる。そして

「…………明日から、暗い夜道に気をつけてね」それは忠告か宣告か。同時に吹き荒れた風に目を瞑って、再び目を開いた時…そこに彼女の姿はなかった。
あたりを見回してみてもサキの様子はない。白昼夢?そんなまさか。サキの言葉が、カナのニューロンを巡っていく。

昼下がりの空……カシコイ・オンナハイスクールから一陣の灰色の風が吹き、空には数羽のバイオカラスが舞っていた。


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