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Gakutya royal 〜本編〜
1
:
彪ちゃん
:2013/09/22(日) 01:08:22 ID:n81j8.3Y
Gakutya royal 〜episode1〜『始まり』
「っしゃああああああ!ウォノー!」
「だあああーー負けたーー!」
急な上り坂をゆったりと揺れながら行き先へ向かうこのバスの中では、楽しげなムードが舞い上がっている。
行き先は沖縄。待ちに待っていた修学旅行である。
いつもクラスで、はちゃけている俺でも前日だけはどうしても眠れない。
修学旅行あるあるでよくこのような事が話題に上がるが、俺もそのあるあるの1人であって、二泊三日を楽しむ奴の1人だ。
要するに修学旅行大好きっ子である。そして今はこの二泊三日限定の暇つぶしヒーローを相手に俺たちは最高潮にテンションを上げていた。
「んじゃあ、壁たん最下位だから罰ゲームな!」
「マジかよ!罰ゲームってなに?」
俺は笑いながら周りへ問いかけた。すると周りの奴らはニヤニヤしながら俺の顔を見つめだした。
何やら決まっているとでも言うのかと言わんばかりに悪い顔をしている。嫌な予感しか感じない。
「決まってるじゃねえか!好きな人暴露しやがれ!」
「はあああああああああ!?」
全く、こいつらはこんな時でもテンションたけえな。俺も人の事はあまり口出し出来ないが。
けれども、こんな中で奴らは俺をはやしたてるように暴露コールを繰り返している。
こんなバスの中で暴露したらクラス中に一瞬にして広まってしまう。追い込まれてしまった。
あまりいい気はしないが、罰ゲームな以上引くわけにもいかないので言う事にする。さっさと終わらせて、ゲームの続きがしたいぜ。
「おいおい、もったいぶらずに早く言えってー!」
「落ち着けもちつけ。そんなせかすなって。」
「何がもちつけだよ!(笑)お前あれじゃねーの?向こうに座ってるあの女子!」
と、1人の男子が指差した方向には、背が低くて茶髪気味のポニーテールが印象的な女子が座っている。
途端に皆の視線が一斉に一点に集まった。
ちょみ。
幼稚園来からの幼馴染であり、人見知りで口数も少なく大人しい。
そんな性格だからか周りが言うには、昔から友達は少ない方らしいのだ。
「あーあいつか。でもいくら幼馴染だとはいえ釣り合わないんじゃね?」
「だよな、それこそまさにバカップルじゃねえか(笑)」
そこまで言うことはないだろ。
いくら俺がはちゃけてて、ちょみが大人しい性格でも、
俺は幼馴染として出来る限りの事は全部守っていきたい。あいつが悲観に思う必要はない。
「んなことねえよ!!!」
『!?』
────しまった。
少し衝動的になりすぎて怒声を上げてしまった。
この俺の反応に驚愕したのか、バスの中は静寂に包まれ空白の時間がその場を飲み込んだ。
ちょみも慌てふためきながら状況を把握しようと俺へと首を向けている。
くそ、これじゃあ本気でちょみが好きなのかと誤解されてしまう。なんということだ。
「え?お前まさか、本k…」
と、その時。
バスはグラッと大きくバランスを崩し始めた。
それと同時に女子達の悲鳴が響き渡り、全員その場で宙へ飛ばされる。
大きなクラクションが鳴り響き、底が見えない崖目掛けて落ちていく。
ああ、これが死ぬ寸前という恐怖の感覚なんだな。俺はこのまま死ぬのかな。
──嫌だ。こんなことで死にたくない。
「かb…べたん…壁た…壁たん!」
「はっ!…あ、あれ…?」
「良かった。気がついたのね。」
死ぬという恐怖から逃れたような違和感を感じ、目を覚ますと、ちょみの顔が瞳へ浮かび上がってきた。
頭がフラフラする。そして頭痛と目眩がじわじわ襲ってくるなか俺は痛感した。
───死んだのか…。
「周りを見て、壁たん。」
すると、他にも約30人ほどの人が意識を失っているように横たわっていた。
これは一体どういうことなんだ。全く理解出来ない。ここはどこだ?あの世?黄泉の国とかでもいうのか?
すると、突然謎の声がスピーカーから発せられた。
[貴方たち皆さんは、選ばれた人たちです。皆さん、良いひと時を…。]
2
:
彪ちゃん
:2013/12/04(水) 23:54:30 ID:FOtQe3lQ
Gakutya royal 〜episode2〜『生きるために』
[貴方たち皆さんは、選ばれた人たちです。皆さん、良い一時を…。]
スピーカーから発せられている無機質な声が波のように響き渡る。
なんだかとても不思議な気分だ。
修学旅行の行き道に事故に遭い崖から転落した矢先に、よく分からない場所で目覚め、
そして幼馴染のちょみや30人ほどの見知らぬ人たちが横たわっている。
現状が理解出来ない故に夢でも見ているのだろうかと錯覚しているが、
死後の疑似体験なんても思ってみたり。
率直に述べると死に対してまだどうとも言えないが、ただ、今の現状を知りたい。
「な、なんだここ・・・?」
一人の男が目を覚まし起き上がると、次々に他の人たちもすくっと起き上がっていった。
俺の目の前には今俺と同じように現状を理解出来ない者が戸惑っている光景が広がっている。
「ねえ壁たん。ここどこなの?なんだか薄気味悪くてこわいよお・・・」
ちょみがとても不安そうに俺の裾を掴む。
しかし俺にはどうすることもできない。まるで檻の中で拘束されているようだ。
────とりあえず。
「おい、誰だか分かんねえけど、ここからだしてくれ。
そもそも選ばれた人たちってなんだよ?詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか!」
[…殺し合いです。あなたたちはこれからたった1人残るまで殺し合いをしてもらいます。]
「…なんだって?」
何を言っているんだコイツは。頭でも狂ってるのか?
殺し合いをするという発言に全くもって理解できない。
「ふざけるのはよせ。早くここから出してくれないか。」
[ふざけてなどいない。これは公には発表されていないが、
日本で公認されている文化なのだ。実は今ラジオ放送で今の状況が放送されている。]
そんなばかな。そんなことがあるはずがない。
日本公認だと?でたらめ言いやがって…。よほど頭が逝かれてるクレイジーな奴なんだろうな。
にしても…
「わかったわかった。けど、お前は俺たちをどうする気なんだ?早くここから出してくれよ。」
俺は無機質な声を発しているスピーカーを、睨むような形で聞いた。
決して取り乱さず冷静に俺の言葉を返すところが、どこか訝しげに感じる。
奴は一体どこから俺たちを見渡しているのだろうか。気味が悪い。
少しずつ不安が渦巻いていく。
[…どうもこうも、私はただずっと監視するだけです。]
「なんだよ、ゲームでもしようかとでも言いたいのか?」
[はい。ところで皆さん。バッグの中身を見てください。]
そう言われ、俺は修学旅行のリュックの中身をゆっくりと開けた。
見覚えのない物が入ってないか探りを入れていると、
古びた封筒が5〜6枚と、淡い緑の輝きを放つ結晶玉が見つかった。
「こ、これは…?」
[皆さんへのプレゼントです。これらが私が説明する以上のものを授けます。それでは皆さんさようなら。]
と言うと、スピーカーはプツンと、雑音やノイズが消え音を発しなくなった。
「え?なんだよそら…!」
すると、結晶玉の輝きが途端に増して俺をバリアのように丸く包み込んだ。
その後の記憶ははっきりとしていないが、ただ一つの事は今も脳に焼き付いている。
なにが殺し合いだ。ちょみを連れて必ず脱出してやる。
何が何でもだ。俺の命を代償にしてでも守りぬく。
俺はそう決心した。
3
:
彪ちゃん
:2013/12/07(土) 12:01:25 ID:E1nwrRH2
http://www.youtube.com/watch?v=9VVPKQWL38k 〜序盤〜小説イメージテーマソング〜
Gakutya royal 〜episode3〜『結束』@壁たん・琉樺視点
あれから3日の月日が経った。
どうやらあの結晶玉は武器を生成するものだったのだ。
俺が今手に持っているのはハンマー。威力は相当なものだが、かなり重いので俊敏な動きには不向き。
主に重量者向けといえる。
そして、封筒に入っていた1枚の手紙を見て分かったことがある。
どうやら、武器にはそれぞれ12個もの属性に分けられてあるらしいのだ。
それらは炎、水、雷、風、氷、土、毒、光、闇、知、力、?の全種類。
『知』,それは魔術を使用するための根源となるもので、
『力』,それは個々の能力を飛躍的に上げる根源となる。これら2つは特殊な属性である。
俺のハンマーはまだどのような属性なのかはっきりしていない。
ちなみに、脱出方法は生き残る以外に道はないようだ。
スマホを使用してみたがここには一切電波が届かない。
そもそもここは、現実世界とは違う。いわば異次元空間。
飛行機やヘリなど飛んでくるはずもない。
───さあ、これはどうしたものだろう。
「ねえ…,壁たん…。」
「どうした。」
「私、どうすれば…。」
ちょみは今にも泣きそうな声で震えていた。
それもそのはず。気の弱いちょみにはこの現実は耐え切れない苦痛であるに違いない。
「大丈夫だって。な?俺がずっとお前の傍にいるからさ。」
「でも…こんなのって…うぅ…。」
あーあ。ついに泣いちゃったか。
ったく、これだからちょみは…。
だけど、気づくと俺も目がうるうるしていた。女の涙に弱いのかな。
それとも……。
こんな近くのか弱い女の子を励ますことができないなんて。
なんでだろうな。
この場には2人いても、ちょみには自分しかいない孤独を感じているのかな。
4
:
彪ちゃん
:2013/12/07(土) 12:02:42 ID:E1nwrRH2
黒雲は濃くなるばかりか、広がりつつある。
明かり一つすらないこの島はどこ行ったって暗いまま。
欠けている月でも虹でも黒雲から射してきて欲しいな。
─────雨だ。
俺は2枚目の封筒に入っていた地図を広げた。
俺が今いる現在地点は魔術神の森。ここを抜ければ守護神の山へ繋がっている。
急いでここから出なければ。
俺は出口一直線を目指して走り続ける。
しかし雨は強くなる一方だ。
そして。
「最悪。服が濡れちゃったなあ。」
俺は雨が止むまで洞窟で一息いれることにした。
ん?この洞窟、まだ奥に続いている。
────ちょっと行ってみるか。
奥からすすり泣くような声が聞こえてきた。
誰かいるのかな?
「き、君達は…!?」
「お、お前琉樺じゃないか!なんでここにいるんだよ!?」
「それはこっちの台詞だよ壁たん!それに何でちょみ泣いてるし!」
びっくりしたよ。
まさかこのゲームに壁たんとちょみも参加させられていたなんて。
そしてこの状況は一体なんだろう。まさか壁たんがちょみを泣かしたのかな…?
「そっ、それは…。」
いいや、そんなことはないよなあ。
「りゅ、りゅーかぁ…壁たぁん…助けて、怖いよぉ…寂しいよぉ…。」
「壁たん、君が支えてやらないといけないんじゃないの?それとも、君だけじゃ重荷?」
「うっ……。手伝ってくれると嬉しいぜ。」
「分かった。任せて。」
そして。
「ちょみのやつ、寝ちゃったな。」
「ははっ、きっと泣き疲れたのかもね。」
ちょみは気持ちよさそうに寝ている。
先ほどの様子とは違い落ち着いてきているのが見て分かる。
壁たんがなんだか嬉しそう。ずっと寝顔を見つめているのバレバレだよ。
「ねえ、壁たん。」
「なんだ?」
「3人でパーティ組もうぜ。」
「いいな、それ!正直、2人だけじゃ心細かったんだ。」
壁たんが安堵の表情を浮かべている。
俺なんか3日間ずっと一人だったけどな(笑)
「じゃあ、これからよろしくな!」
「ああ、よろしく。」
さあて。これからどうなることやら…。
期待してるよ、壁たん。
5
:
彪ちゃん
:2013/12/15(日) 11:30:46 ID:E1nwrRH2
http://www.youtube.com/watch?v=oUohITfimp8
↑hを半角にしてURLを打ち込むと音楽が流れます。視聴しながら読んでください。
Gakutya royal 〜episode4〜『安息の地』
暗雲から降り注ぐ無数の雨。
ポタポタ音を鳴らし木の葉へ伝って水滴が溜まり、また落ちていく。
此処のような静かで落ち着きのある場所は指で数えられるくらいだ。
あれから3日。俺にとってはとても長い期間だった。
ずっとハンモックの上で寝そべっていたからだろうか。体感時間も遅くなった。
ここが一番だ。離れたくはない。
しかし、この場所とも別れを告げなければならない。
争いは絶え間なく悲鳴と金属音を叫び続けている。
鬱陶しい。鬱陶しいくらい苦痛の声が聞こえる。
─────此処までよく聞こえる。ということは…。
ついに戦争範囲が此処に及んだのだろうな。
もうゆっくりしてはいられない。今すぐ此処から離れよう。
「おい、いくぞおまえら。」
俺はハンモックから降り、身支度を始める。
「はぁ!?てめぇ此処が一番落ち着くってほざいてたくせに!もう離れるのかよっ!?」
「嫌だよふーたん!ほらっ、赤司様だって嫌だって泣いてるよ!」
めるとシェイクは怒声を上げて反発している。
よほど気に入ってたのか、俺の意見が気に入らないだけか。
だけど、生きる上で別れは必然なことだ。それが今きてるんだよ。
「うるさい。俺はお前たちを心配してるんだよ。
お前たちが痛い痛いと泣きじゃくって死んでいく姿なんて見たくないんだ。」
「う…」
二人は顔を合わせて地面に視線を落とし、俯いた。
その目には涙が溜まっている。
「分かってんだよ…んなことはよぉ…!でも死にたくねえのはてめぇも一緒だろうが!!
…リーダー、たまには俺たちの事も頼ってくれよっ…」
そして涙がこぼれ落ちた。
雫が2人の頬を伝って流れ落ちていく。
すまないな、める、シェイク。
「なんだよ。お前には水臭くて、しょうに合わないぞ。
ほら、ハンカチ。涙拭けよおまえら。」
俺はポケットからすっとハンカチを差し出した。
「ば、バカにすんじゃねぇよクズ!きもちわりぃこと言いやがって!」
だが、その表情は少しはにかんでいた。
シェイクも少し嬉しそうである。
「さ、行くぞお前ら。」
じゃあな。3日間世話になった。
どんなに戦争が続いて、ここが無くなっても、
俺たちの故郷は永遠にここだからな。
─────さらば、ふるさと。
「新しい土地、探しに行くぞ。」
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