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【そんなもの効かぬ!】模擬戦施設@民間開放【これならばどうだ!】
156
:
彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式
:2012/12/06(木) 01:11:25 ID:rB9sjoGU
>>155
(……乱射……ッ!)
右手でカードを引き抜く、そしてその効果を使うまでに、既に銃弾は発射されていた。
無論それは少女の脇腹を裂き、左腕に追撃をかけ、左足から血を迸らせる。
しかし、乱射と気付いた時点で少女が行使するカードは決まっていた。……ここで防御に徹しなければ、負ける。
防御に関しての秘密兵器。それは確かに少女の手の内に有り、棒が4本立てられているカードだった。
(棒の4、その意味は「安全地帯」)
「……W F、 I M I S P ……!!」
4発目の弾丸がさらに左足に襲い掛かり、赤色が足を染める。だが、5発目以降の弾丸が少女に届くことはなかった。
何か不思議なオーラのような、そんな物が少女の周りを包む。そしてそのまま、10発の弾丸から少女を守りきり、溶けるように消え去った。
時間制限有りの防壁、乱射してくれたのは、助かったと言える。
しかし、受けた弾は4発。体のそこらじゅうで痛みが走り、少女の意識を圧迫させていく。もう足を使うことすらままならない。
だが、全力を出すと誓った少女は決して意識を途切れさせることなく、次のカードを取り出した。
彼女も相当なダメージを食らっている……次で決めるらしい。
(悪魔のカード、その意味は「破壊」)
「 T D 、 I M I D 」
先ほどと同じ意味をとる悪魔のカードは、大きな火の玉だ。動きは先ほどの風の刃ほどか。
当たれば大きな火傷を負うだろう。……しかし、そのカードを使うときこそが、少女の最大の隙なのだ。
157
:
サクヤ
:2012/12/06(木) 01:29:46 ID:Iu/A6zvY
>>156
サクヤは、動かない。否、動けなかった。
銃のフルオートの反動。それは火傷した体には堪え、右腕はもうまともに動かない。
今まで観察しておいて、気づいたことがある。
きっと彼方は、カードの効果を両立することはできない。
――――これで、最後だ。
こっそりピンを抜いた破片手榴弾が、最後の力を振り絞って左手から彼方の背後に放たれる。
正確に投げた爆弾、爆発すれば大きな爆風と破片が彼方を襲うだろう。
そしてサクヤの体に火の玉が包み込まれ、火達磨になる。
絶叫するとその口の中にまで火が入っていき――
サクヤは呟く。
「楽しかったよ」
自分の捨て台詞としては、最低の部類に入るだろうなと考えながら、意識を失った。
自分らしくない言葉だが、それが心地よかった。
158
:
彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式
:2012/12/06(木) 01:40:25 ID:rB9sjoGU
>>157
「……しまっ……!」
た。まだもう一つ武器を隠し持っているとは、あの乱射から予想もしなかった。
背後に放たれた破片手榴弾を避けることは到底間に合わない。というより、先ほどの銃弾で歩くことすら危うい。
……そう、安全地帯を使うのが早かった。
しかしあれがなければ、14発の弾丸で蜂の巣にされていただろう。
初戦など勝ちより、引き分けとか負けの方がいい。
「―――――私も」
彼女の言葉に答えたのか、短く呟いた少女。
きっと少女は、それが彼女にとって最低な言葉であることなど思いもしていなかっただろう。
そして、無数の破片と爆風に貫かれた少女は夥しい失血をしながら倒れ伏した。
引き分け。判断するならば、そうなるのだろう。
159
:
サクヤ
:2012/12/06(木) 01:53:25 ID:Iu/A6zvY
>>158
友人との戦闘、意識を失う時の言葉。それはらしくなくともサクヤにとっての本音の一部だったのだろう。
死ぬ前は罵倒すると決めていたのだが、今回は当てはまらなかったらしい。
それほどまでに彼方が大事だった。
―――お疲れ様。本気で戦えて良かったよ。
模擬戦場から出た時にサクヤは彼方にこう言うのだが、それは大分後のことになりそうだった。
/お疲れ様でした。
160
:
彼方(キャスケット帽の少女) -Tarot Master- E:タロットカード一式
:2012/12/06(木) 02:00:35 ID:rB9sjoGU
>>159
/お疲れ様でしたー!
161
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:投擲用ナイフ×3
:2012/12/22(土) 20:09:16 ID:IClMGqVA
「……ふふっ」
模擬戦会場に入ったクリオネは笑っていた。こんな面白い施設があるなんて知らなかったと。
今日の模擬戦は対人戦である。対人戦をまともにやるのは久々である為、クリオネは高揚している。
「さて、模擬戦ってことは相手を殺しても良いんだよね」
相手を待つ間、相手をどうやって殺してあげようかを考えている。
以前の小競り合いや霧の調査、雪合戦で自分の能力がまだ完璧ではないと考えていたクリオネはこの模擬戦で何か今後のヒントを得たいとも思っていた。
クリオネは待つ。戦うべき相手が来るその瞬間を。
162
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 20:22:09 ID:T8QAEjlQ
>>161
(――……、私。弱くなっちゃった。
これじゃ、私は。……私は、私を、取り戻せない。
強く、ならないと。前みたいに、躊躇わないで人を殺せる――、私に)
自己の思考に埋没しながら、目元にくまを作った少女が歩いて行く。
コートの裾が翻り、軍靴の音が地面を叩く。灰色のロングヘアも、灰色の瞳も、不安定に揺れる光を宿す。
彼女の名は、ジャンク。姓は無く、唯一持つ名前すらも彼女が本来持っていたはずのものではない。
人形として目的のために動く機械であった少女は、芽生え始めた自我に翻弄され、実力の全てを発揮できない状態にあった。
ここに来たのは、弱くなってしまった自分をもう一度機械のようだった己にする、という目的。
背負う斧を左手で握り、ベルトポーチに手を突っ込み、6発の銃弾が付けられたムーンクリップを引きぬいた。
黒と灰色で構成された彩度の低い少女は、模擬戦場へと足を進め、クリオネの前に現れた。
ジャンクの事をしる者ならば、このジャンクの姿はあり得ないものとしか映らないだろう。
迷いを宿し、不安に震える表情は、平時の無表情や、機械の様な判断力を欠片も感じさせていなかったのだから。
それでも、ジャンクは顔を上げて、斧を肩に担いで銃弾を指で弾き飛ばした。
浮遊する6発の弾丸。肩に背負うのは長尺の斧が一振り。
「……始めよう、か。クリオネ。
私は、全力で行くから。クリオネも、全力で」
ぽつりと呟いた言葉は、努めて冷たい色を含ませているような、無理を感じさせる声色。
瞳も、感情を押し込めたような、灰色の揺らめく瞳であった。
それでも、不安定な感情を必死に押さえつけて、戦意を表に解き放っていた。
163
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 20:34:31 ID:IClMGqVA
>>162
(以前会った時の無機質さが随分弱まってる……これは)
ジャンクが現れ、その姿を見た時の印象がこれだ。初めて会ったときの印象ではなく、むしろ別れ際に感じた印象が強い。
まだ立ち直ってないということか。
「そうだねー初めよっか。……って言ってもさ」
コートのポケットから投擲用のナイフを出す。
「ジャンク、キミ私に勝てると思う? キミの能力は完全に防御向きで攻撃はその銃弾によるところが殆ど。
私の無尽蔵に出せる兵隊の前に通じるとは思ってないよねー? 火力不足なんだよ」
戦うために来た人物の台詞とは思えないが、クリオネの戦いはすでに始まっている。
相手の弱点と思われるものと自分の能力との相性を指摘し、相手の頭に一瞬でももしかしたら勝てないかもしれないと言う負けのビジョンをチラつかせるのが目的。
実際には無尽蔵にドールを作るなんてことは出来ない。
「だから……キミは私の実験台になるか今すぐ帰るかした方が良いよっ!」
手に持つナイフをジャンクに向かって投げる。モーションは決して早くない上、ナイフ自体の速度も並以下。
ナイフを当てることが目的ではなく、武器の投擲と言う選択肢があるということを相手に知らせる為だ。
クリオネが生成した武器は投擲できない。この事を隠すためだが、その内バレる。早ければ一瞬でバレる。
164
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 20:44:42 ID:T8QAEjlQ
>>163
「――人を一人、殺すのに。
軍隊は、要らない。大魔法も、必要ない。
一発の銃弾か。一振りの刃物を、通すことが出来れば。
それで人は死ぬ。私も――貴方も」
相手の問いに、ジャンクは努めて平静を保つようにして、返答を返す。
この言葉は、ジャンクの経験則。人は頭を潰せば死ぬし、心臓を突き刺しても死ぬし、体を真っ二つにされても死ぬ。
銃弾一発で、人間は死に至る。ならば、大切なのは高い攻撃力などではない。必要なのは、防御力。
自分を守って守って、確実な一撃を当てて相手を仕留めれば、それで十分なのだから。
(……それを。知ってしまったから、私は。
殺すのも。死ぬのも。怖く……な、っちゃった、けど。
でも、乗り越えなきゃ、いけない。簡単に。人を殺せる、元の私に)
生きているものは死ぬ。
思っているよりもいとも簡単に、生き物は死んでしまう。
そして、自分がその死を恐怖していることを感情で理解した時、その恐怖を他者に振りかぶる事を考えた。
……そう思うと、引き金が引けず、斧が振り下ろせなくなった。
いつも通りに銃弾で相手の攻撃を潰し尽くし、いつも通りに壁を粉砕して敵陣に踊り込んでも、誰一人殺すこと無く任務を失敗させてしまう。
弱くなった、心の底からジャンクはそう思う。それでも、強くならなければならない。
やらねけねばならない任務の数は、残り837回。弱いままの己では、それを成すことなど、出来ないのだから。
飛翔するナイフ。
それを視界に収めた瞬間に、それを危機とジャンクは認識。
弾丸が一発ナイフを迎撃するように激発し、飛翔。ナイフの軌道を逸らして、吹き飛ばした。
同時に、ジャンクの一歩目もまた激発。
鍛えぬかれた四肢を駆動させ、斧を担いだ少女は、一直線にクリオネへと距離を詰めていく。
間合いを詰め切ることが出来れば、ジャンクは斧を左腕で全力で横薙ぎに振りぬくことだろう。
しかし、軌道に迷いが有り、かつ動作も不安の裏返しなのか大ぶり。隙とも言える状態だろう。
165
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 21:13:40 ID:IClMGqVA
>>164
「そうさ、死ぬんだよ。でもね、キミの攻撃は私に届かないし私のドールを防ぎきることはキミにできないよ」
流石にいろんな場面を潜り抜けてきたジャンク。そうそうこっちの口車なんかには乗らない。
しかし、それで私のスタイルが変わるわけではない。何時だってそうしてきた。
直進してきたジャンクに対し、クリオネは前方へ踏み出した。
(ジャンクのスピードが速い……間にドールを作るのはかなりギリギリになる。それなら)
クリオネはスクトゥムの盾を生成し、左手に持つ。そうして前方ややジャンクの左腕の方へ向けて構えたまま盾を相手にぶつけようとする。
まともに防御すれば盾を持っていても衝撃が通るが、斧を振り切る前に腕の動きを止めれば問題は無いと判断したのだ。
そして相手は大振り、クリオネの中では成功率が高いと思っている。
相手がバランスを崩せば即座にバックステップで距離を取り、正面に西洋甲冑に身を包み、中型の盾と剣を持ったナイトのドールを生成する算段だ。
166
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 21:21:19 ID:T8QAEjlQ
>>165
「――、こ、こ、で、前にッ。
進めなきゃ、私は――――ッ!!」
横薙ぎに斧を振り抜き、しかし、盾によって防がれるジャンク
全身に力を込め、灰色の瞳に時折赤い色をチラつかせながら、叫ぶ。
斧を受け止められた瞬間に、腕を引き戻して斧を手元で回す。
(……迷いを、捨てろ。私。
人も、殺せなくて。自分を危険に晒して。
それで、何も、何も為せず、何も出来ない私なんて――只の、こわれもの(ジャンク)でしかない!
私は、私は――――!)
「――――ジャンクに、成り下がるつもりなんて無いッ!」
真紅に染まりつつ有る瞳で、ジャンクは相手の盾を全力で蹴り飛ばそうとする。
そのまま、距離を相手が離せば、前へと一歩を踏み出し、両手で斧を握りしめて振り下ろすはずだ。
動作の大ぶりはあいも変わらずだが、速度と力だけは十二分。
ある意味では、銃弾に自己を守られているからこそ可能となる、戦闘スタイルだろう。
167
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 21:32:36 ID:IClMGqVA
>>166
「っ!!」
さらに攻めてくる姿勢を増すジャンクに防戦を強いられるクリオネ。
(あれは……なるほどね)
接近したことで分かったジャンクの眼。あれはあの時のジャンクになろうとしているのか。
「ははっ。でもね、キミはジャンクになるんだよ。今から私の手でね」
元よりナイトを生成する予定だった為、場所は違えどすぐに生成することが可能。
「ほらっ! ドール・ナイトっ」
ジャンクの左手側にナイトを生成する。そのまま右手でジャンクの斧、左手でジャンクの首を掴もうとする。緊急的に生成したため武器を作れなかった。
生成はジャンクの蹴りの直前。そして掴みかかるのはジャンクの蹴りとほぼ同時である。
「まだ効かないよ、それ」
ジャンクの蹴りは直撃したが、数歩後退するだけでバランスは維持できた。
168
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 21:42:20 ID:T8QAEjlQ
>>167
「――いや、だ。
ジャンクに、ジャンクになってたまるか。
私は! 〝私〟を取り戻すまで――負けられないんだァ!!」
斧を握る両腕に力を込めて、赤い瞳の少女は叫びをあげる。
時折体から黒い霞が漏れだし、そして霧散しているが、その反動で体の随所から血が滲み始めていた。
強い情動をトリガーとして発動する異能のようだが、目覚めたばかりの自我を操縦する術をジャンクは持たない。
それ故に、不安定に揺れ動く心に、精神も異能も翻弄されているのだ。
左側に展開された、ドール。
それがジャンクの首と腕に延びる前に、ジャンクの異能が発言する。
「砕け落ちろ、アーチ・エネミー!!」
真紅の瞳を襲い来る人形に向け、銃弾を激発する。
その際に、銃弾に黒い霞が纏わりつき、その威力を上昇させた。
黒い軌跡を残して駆ける二発の弾丸は、ナイトの人形の両腕を根本から引きちぎろうとするだろう。
ネメシスとアーチ・エネミーの境目にある不安定な状態が、攻撃的な防御を生み出した。
ジャンクの背後には、半透明の黒い翼の女神が真紅の髪を振り乱し、前髪の隙間から紅玉の瞳を向けて顕現。
赤い瞳を無慈悲にクリオネに向けながら、背後からジャンクを抱きしめている。
ネメシスとは、義憤の女神。現代においては復讐と同義に扱われているが、ジャンクの能力は、己を傷つける者への復讐によるものなのだろうか。
169
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:3体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 22:00:14 ID:IClMGqVA
>>168
「これはっ……!」
ジャンクのアーチ・エネミーが放った2発の弾丸はナイトの両腕の付け根に直撃。その両腕は吹き飛んだ。
ちょうど脆い関節部に当たったとはいえ、一発で腕を飛ばすとは。
(覚醒しつつある……まさかこれほどとはね。でも……)
両腕を失ったナイトは残しておく必要は無いので、消す。
だが、一瞬でもジャンクの意識と攻撃がナイトに向かったことでジャンクとの距離を取ることが出来た。
「あっはははは! ジャンク! 今の攻撃を私に向けなかった事がキミの敗因だよ」
そう、あの至近距離であの威力の弾丸をこちらに向けられていたらあそこで終わっていた。
「ほら行って! ドール・アサルト、ナイト!」
生成したのは3体のドール。2体は重い甲冑を着けずに巫女服を着せた機動力と攻撃力に富むメイデン。もう一体は先ほどのナイトに盾プラスショートソードを持たせたもの。
ナイトはクリオネの正面で盾を展開。
メイデン2体は生成と同時にジャンクの右手側と左手側から同時に薙刀を横なぎに振ろうとする。右手側の狙いは首、左手側の狙いは太ももだ。
「キミの目的は果たされないんだよ。ここでジャンクになって朽ちればいいよっ」
覚醒しきる前に決めなければならない。クリオネの中でそんな考えがよぎる。
170
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 22:11:52 ID:T8QAEjlQ
>>169
ナイトの両腕を吹き飛ばし、クリオネに向き直るジャンク。
だがしかし、既にクリオネは次の策を発動し、ジャンクを追い詰めつつあった。
展開された二体の巫女服と、一体の重騎士。両脇の二体が一気にジャンクに攻撃を叩き込む。
「――――ッ、間に合わな、ぎ……ィ」
残る銃弾は三発、それらを即座に激発させるも、防御が間に合わない。
首への攻撃はギリギリ逸らしたものの、太ももへの攻撃が逸らし切れず、左足から鮮血を吹き出して、ジャンクた倒れこむ。
地面に倒れ、痛みに顔を歪ませて息を荒くする、ジャンク。
心のなかでは陰鬱とした感情が膨らみ、その負の感情によってジャンクの中の獣が唸りを上げ始めた。
ジャンクの背後に浮かぶ女神が体を両腕で掻き抱き、涙を流しながら嘆き苦しみ始める。
「……ッ、く、そ――――。
ジャンクに、なって。朽ち果てる、なんて――――ッ!」
これまで、痛みに悶えることなどそう無かった。
感情を認識してから、良いことなど一つもない。
なぜ、こうなってしまったのか。痛みで朦朧とする頭で、思考を巡らせていた。
(……なんで……ッ、なんで、私は。
人を、殺さなきゃ。人を、斃さなきゃ。いけないの。
なんで――私は、何も、何もないの。
なんで、私は、私は――――ッ、こんなに、寂しくて、空っぽで、弱くて、小さくて……ッ!
憎い……ッ、私を。私を、こうした、全てが、全てが――ァ!!)
ネメシスが司るのは、義憤。決して復讐心ではない。
だが、今のジャンクの心を満たしているのは、復讐心に他ならず。
燃え上がる復讐の炎は、ジャンク自身を焼きつくしながら、燃え上がっていくしかない。
飛び散る血が、黒い炎のように黒い霞へと代わり、ジャンクの体にまとわりついていく。
赤い髪は、最初の発動とは似ても似つかない、赤錆びた血の様なドス黒い赤へと変化していき。
霞はジャンクの体にまとわりつく中で、ジャンクの肉を引き裂き、鮮血を周囲に吹き散らしていった。
171
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:3体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 22:29:07 ID:IClMGqVA
>>170
「流石に仕留められないか」
足をやっただけ上等だろう。これでこの先の行動は鈍るはず、先ほどの様な近接戦には付き合いたくない。
「キミはここで終わりだよ。 この模擬戦で死んでも体は死なないけど、キミの心はどうかな」
地面に倒れるジャンクにとどめを刺そうと一体のメイデンをジャンクに近づけ、薙刀を振り上げる。
「じゃあね。キミのことは嫌いじゃないけど勝つのはわた……っ!!!」
その瞬間、ジャンクの異変に気付く。
(なっ! あそこまでのモノを体に飼ってたって言うのかい)
全身から汗が噴き出す。これはマズイとクリオネの脳内で信号が発せられる。
ジャンクにとどめを刺そうとしていたメイデンをつい一歩下がらせてしまう。
「くっ! 何の能力かは知らないけど、終わりだよ」
思い出したかのように一歩下がらせていたメイデンを再び動かし、ジャンクに切りかかる。
同時にもう一体のメイデンをナイトの少し前において薙刀で防御の姿勢を取る。
攻撃のために生成したメイデンの一体を防御に回すというのはこれまでで初めてだった。それだけ今のジャンクとは距離を離したかった。壁を一枚でも多く配置したかったのだ。
172
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 22:43:20 ID:T8QAEjlQ
>>171
己の前に振り下ろされんとする、切っ先。
それを前にして、ジャンクの心の獣が次第に鎖を引きちぎり、雄叫びを上げ始めた。
憎め、殺せ、滅ぼせ。憎しみこそが力を呼ぶ。憎しみの赴くままに、全てを滅ぼせと、心に染み入るような言葉で、獣の本性が鎌首をもたげ始める。
だが、獣と同居する、心のなかの女神が居た。背後から、ジャンクを抱きしめる力を感じる。
(――正しき怒りを掲げて進め、愛し子よ。
貴方は、ジャンクなんかになり得ない。
何も持たず、何も必要とされないもので有りたくないのならば。
怒るのではなく、正しき怒りを抱えなさい。それが、貴方の――――――)
ジャンクの盾になるように、ジャンクを抱きしめながらジャンクに覆いかぶさる、女神。
そして、女神はジャンク以外には聞こえぬ声を発して、次第にその姿を薄め始める。
女神に切っ先が突き立ち、次第にジャンクの体に穂先が突き刺さり始めた。
だが――その最中、薙刀を腕で払いながら、立ち上がる者が居た。――ジャンクだ。
「――――ッ、嫌だ。
私は、こんな私が。
弱い私を、進めない私を、くよくよする私が――嫌い。
何が、人を殺せないだ。何が、ジャンクに成り下がりたくない、だ。
壊れた心よりも孤独な心が良い、そんな事――認めてたまるか。
私は、私の憎しみを、私に――求める。
私は、変わりたい。苦しみながらでも、泣きながらでも!
私の心を抱えて、私の喜びで、怒りで、哀しみで、楽しさで! 前にすすめる――〝人間〟になりたい!」
人形だった少女は、人間のような叫びを上げて、人間になりたいと泣き叫んだ。
赤い涙を流す少女の姿は、いつしか消えた黒い女神と同じ装束を纏っている。
足元の影や全身の傷から黒い霞を流し、吹き始めた風に色素を失った純白の髪を散らし、赤い瞳を輝かせる。
「私は――空っぽだろうが、迷おうが、弱かろうが!
もう、助けを待つ灰かぶり(サンドリヨン)じゃない!
私は、私の意志でクリオネ――、君を倒す!」
斧を振り上げ、目の前のメイデンに向けて全力で振り下ろすジャンク。
黒い霞は、これまでの発動の中で最も制御された状態となり、異様な攻撃力は発揮しないものの、攻撃範囲を拡張し一撃に重みを与えていた。
限界状況での抑圧、絶望を前に、未発達な自我が一つのルートを歩み始めたのである。
173
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:2体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 23:02:50 ID:IClMGqVA
>>172
薙刀を払われた上、防御の事をほぼ考えていないメイデンではジャンクの斧を防げずに大破する。
「なっ!」
決まったと思った。薙刀を振り下ろすまで相手のアクションが無かった為に、もう反撃の気力は無く、仮にあったとしても間に合わないと思っていた。
だが、現実はジャンクを仕留められずにこのざまだ。
「人間になりたいだって? そんな希望を抱く時点で終わってるんだよ!
自分は自分の為だけに生きればいい! 誰の許可も必要ない。 初めから自分は自分だと思ってればいいのさ!」
初めて本当の意味で目の前の少女と対面した気がした。
「だったらジャンク! キミはキミにふさわしい相手と戦えばいいよ。 ドール!!」
全てのメイデンを消し、新しいドールを一体生成する。
そのドールはジャンクと全く同じ容姿でウォーキングアックスを持つ。
「そら、自分自身の手でジャンクに戻されるといいよ!」
ジャンクのドールはジャンクに向かい走り出す。
『私はジャンクだよ? どうしてそれ以上を望むの?』
ジャンクの声でジャンクに話しかけながら、その斧を振り下ろそうと、斧を持ち上げる。
174
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 23:14:39 ID:T8QAEjlQ
>>173
「ああそうだ――、私はジャンクだ。
記憶を取り戻せば、今の私は消えてなくなって、汚点として忘れ去られる存在かもしれない。
だけど――、私が私を助けるために頑張ったって証拠は、無くならない。
いつか無くなる私なら、せめて。私が居た証を残して生きていきたい。
捨てられて、忘れられて消えちゃうジャンクでなんか、居ていいはずは無いんだ」
目の前のドールを見て、ジャンクは静かな笑みを浮かべて、斧を振りかぶる。
ドールの斧を振り上げる動作と同じ軌道――しかし、わずかに早い――を描きながら、構えて振りぬく。
自己の意志を知り、人間らしい感情を得た今のジャンクは、人形ではなかった。
だから――、人形の様に何を言われても揺さぶられないことはない。
だが、揺さぶられたとしても、心の強さで立ち向かうことが出来る。
拮抗する、斧と斧。黒い少女同士が向かい合い、押し合った。
「…………ッ」
深く、深く息を吐き、全身に力を入れて口を開く。
感情の爆発の矛先を、叫びと攻撃に叩きこむために。
「ッ、オオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ァ――――――――ッ!!」
背から吹き上がる、黒い力の発露。
それは、一対の翼を思わせるように顕現し、ジャンクに加速を与える。
斧はその刃の部分を厚く、広く進化させていき、ドールの斧を押し返しながら、相手を両断するように力を掛けていく。
175
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 23:35:55 ID:IClMGqVA
>>174
「はっ! この世に生きた証の無い人間がどれだけ居ると思ってんの? 存在すら知られずに消えていく奴らを腐るほど見てきた!
綺麗言なんだよそんなの!」
証を立てる為に生き抜く。まさに今のクリオネの生きる理由だ。
だがあえてその言葉を他人から聞くとたまらなくイラつく。
「はぁああああ!」
斧の拮抗。思わず右手を前に出し、力を込める。
……が
「くうぅ」
斧が砕ける。さらにドールも砕ける。
ジャンクが接近してくるのを感じる。最早ナイト一体では防ぎきれない。
(……こんな。こんな事で負ける訳にはいかない。撤退はあっても敗北は無い! 負ければ死ぬ!
死んだら……死んだらお姉様の願いが……!)
「ドール……アテナ!!」
クリオネの奥の手。2mの巨大な人形。縦にも然ることながら、全身の西洋甲冑のせいか横にも少し大きい。
さらに身の丈ほどもあるショテルと言う刀剣を2本、片手に1本ずつ持っている。
そしてアテナの背面が観音開きになり、そこからクリオネが中に入る。
「『私は負けない。相手にどんな事情があろうとも、私は私の道を行く』」
五感すべて、痛覚までもリンクさせたアテナでジャンクに接近し、右手のショテルで切りかかろうとする。
アテナの能力は今までのドールと比べ全ての性能が上。ただしこれを出すまでに消耗しすぎた。
早々に決着をつけなくては。
176
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/22(土) 23:45:53 ID:T8QAEjlQ
>>175
「私は、私の正しさを抱いて前へ行く。
理不尽に憤り、大敵の大敵であるのが――私の力……大敵(アーチ・エネミー)だ!」
目の前に展開された、巨大、強大な人形――アテナ。
小柄なジャンクとは比べ物にならない程巨大で、強大な存在だ。
だが、逃げることはないし、怯えることもない。勇気を抱いて、歩みを進めていく。
斬りかかるショテルを斧で受け止めるも、その勢いでジャンクは吹き飛んだ。
空中で翼状のエネルギーを噴射させて体勢を整えて、着地するジャンク。
制御されたことにより安定しているとはいえど、ネメシスの力は未発達なジャンクの体には大きな負担となる。
皮膚の所々に内出血による青あざが浮かび始め、口の中では血の味を感じる。
クリオネに後がないように、ジャンクにも後が無い。
そろそろ、決着をつけよう。
意志を通し、前へと進むために。
「……、勝ちに行くよ、クリオネ」
一言そう呟いて。
ジャンクは両手で斧を握り、腰を落として構えを作った。
吹き上がる黒い霞を斧と背部に圧縮するように纏っていき、小さな黒い翼と小さな穂先の斧を作り出す。
生まれたのは、静寂。痛いほどの沈黙が、模擬戦場の中に広がっていた。
177
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/22(土) 23:58:37 ID:IClMGqVA
>>176
(パワーでは負けてない。このまま……)
こちらは傷を負ってはいないが、魔力が尽きれば動けなくなって負けは確定。
決して優勢ではない。
もともとクリオネの能力は燃費が非常に悪い。戦闘を行う場合、ドールの生成・保持・運用の三か所プラス武具の生成・保持がある為、長期戦が出来ないのだ。
「『誰に言ってんの、ジャンク』」
いつもの煽り文句を出している余裕はない。
…………
「『はぁああああ!!』」
先に動いたのはクリオネ。保持だけでも魔力を喰う以上、いつまでもにらみ合いは出来ない。
ショテルを正面でクロスさせながらジャンクに一直線に接近する。
接近が完了すれば、両手のショテルを同時に大きく振り上げ、ジャンクの頭上から振り下ろす渾身の一撃を与える算段。
全力で動けるのはこれが最後か……
178
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/23(日) 00:07:08 ID:T8QAEjlQ
>>177
「う、お…………ッ、だぁあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
眼の前に来る、危機。
それは、間違い用もなく、自分にとっての大敵にほかならない。
大敵を前に、ジャンクがスべきことは一つ。大敵に対する大敵として、己の力の総てを賭けて迎撃することだ。
ふた振りのショーテルが振り下ろされる瞬間に、ジャンクは地面を蹴り、跳躍した。
背中の小さな翼がその箍を外したように吹き上がり、ジャンクを高速で舞い上がらせる。
腰溜めに構えた斧を全力で振り抜き、ジャンクは己の力の名を叫ぶ。
「――――ネメシス・アドラステイア!」
逃れることの出来ない裁きの影。
それがジャンクのネメシスの司る意味。
その意に恥じない力を示すように、斧が意識の枷を外されて変化していく。
有機的な意匠を感じさせる、大斧へと形を変えた斧は、真正面からショテルにぶつかり合う。
轟音を響かせながら、拮抗し、そして拮抗する二つの力。
数瞬の後に、ジャンクはその拮抗の点から姿を消し、次の瞬間には壁に半ばまでめり込んで絶命していた。
だがしかし、壁にめり込むジャンクは笑みを浮かべているのであった。
179
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×2
:2012/12/23(日) 00:20:58 ID:IClMGqVA
>>178
「『っ!!!!!』」
その一瞬だった。大斧がショテルを砕くのにはその一瞬でよかったのだ。
「『こん……な……』」
ジャンクは拮抗から姿を消した事をクリオネは気づいていない。
ジャンクの技はショテルを砕いただけでなく、アテナ本体にまでその力の余波を飛ばしたのだ。
一か所に入ったひびは全身に広がっていく。
「『私が…………・お姉様……』」
崩れていくアテナ。クリオネとアテナは完全に一体化している為、実際にクリオネの体に傷はついていなくとも、アテナが砕かれればクリオネは全身を砕かれたかのような激痛に襲われる。
アテナがその形を維持できなくなり、その姿を消す。
放り出されるクリオネの意識はすでに無く、ジャンクの様子も見ることも無く地面伏したのであった。
//とってもありがとうございました!!
//まさかここまでになるとは。色々と勉強になりました。
180
:
ジャンク E:ウィルディ・ピストル 、『アドラステイア』 、銃弾数種
:2012/12/23(日) 00:21:44 ID:T8QAEjlQ
>>179
/乙でしたのよーう!
181
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 20:08:24 ID:T8QAEjlQ
(――偶には、こうした場で相手を待つのも悪くはない。
鬼が出るか蛇が出るか。望むらくは、私の血を滾らせる強者が現れん事を)
模擬戦場。
ローマの闘技場を思わせるような、朽ち果てた作りのその場に佇む、一人が居た。
風が吹き、細身のシルエットは風を喰って膨らんだ。
乱れる裾、袖の中でもそのシルエットの核は動かない、只々佇むのみ。
それは黒い衣服の上に、白いフード付きマントと腰巻を巻いた、時代錯誤な魔術師か。
フードから覗く顔の作りは極めて怜悧で、かつ研ぎ澄まされた刃の様な緊張感を他者に否応なく感じさせる、そんな女だった。
「――た、s」「黙れ敗北者」
足元で蠢く男の頭を足で踏み砕き、蹴り飛ばす。
見てみれば、周囲には既に死屍累々の山が築かれている。
死したとしても生き返る場とは言えど、この状況は正直異質と言えただろう。
飛び散った無数の血で大地が満たされているというのに、女の衣服には一片の染みすら見当たらなかったのだから。
女は、敗北者には目もくれず。
次なる敵の到来を、只々待っているのであった。
182
:
しんら
:2012/12/30(日) 20:31:41 ID:79d52clw
「ふはは! 懐かしきかな...遥か故郷のコロッセオ」
「普段ならば余が舞台(ステージ)に立つことなぞ無いが......」
「だがまぁ、愚民どもに余の美貌を魅せ憑ける善き機会よな」
其の者は天より堕ちてきた
遥か天空より優雅に舞い降り
敗者と勝者 双方の頭上四尺程に浮遊し
未だ立ち続ける 勝者を見下す
「天より地上を見下ろせば 何やら蛆虫と蛆虫が争っていたが」
「貴様が 未だに地を這う虫けらか」
其の姿はさながら堕落した使徒である
黒衣より白の聖域を肌蹴させ
大小二対の黒翼は、はたはたと 揺らめきながら 黒い羽毛を散らしていた
その背後には 身の丈程の刃
彼の能力なのだろう
雑作もなく 宙に浮いていた
「我こそは死の偶像(アイドル)」
「蠅にも成れん蛆虫よ」
「その力、余にみせるがよい」
183
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 20:39:30 ID:T8QAEjlQ
>>182
『――いい度胸。
お前も円環に立つものの様だし――少々もんでやろうか』
舞い降りた堕天使に、念話が叩きこまれた。
表情を何一つ変えず、悠々と佇むだけのローブの女は、円環の楽園の構成員であった。
構成員の間でも、偶に話題に上がるもの同士だったろうが、直接の面識はない。
その為、新入りか何かだと思い、少々殺してやろうと思考がたどり着いた。
「ジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウ。
今からお前の最後に刻まれる名だ。覚えておけ」
ローブ姿の女は、名を名乗ると半身の体勢となる。
そして、その直後。大地が割砕し、女の姿が消えた。
現れたのは真正面、既にマントを翻して女は右拳を振りかぶって――そのまま顔面へと振りぬいていく。
特別なことはしていない。
ただ単純に、凄まじく速い速度で、凄まじい威力の打撃を叩きこむだけの動作。
だが、その動作の一つ一つから無駄をそぎ落とし、かつ全てを洗練していったのならば。
変哲も無い右拳こそが勝負を終わらせる必殺の一撃にすらなり得るのだ。
技に名など無い、いうなれば打撃、それのみ。必殺技など彼女には存在しない。
なぜなら、何をしようと殺すことが出来るのだから、必ず殺す技などジェーン・ヴェロニカ・ファニーホウには必要ないのだ。
184
:
クラウン 物質浮遊&変幻自在武装
:2012/12/30(日) 21:10:38 ID:79d52clw
>>183
「......余を有象無象の輩と括るとはな」
「余程死に急いでるのか、良い 多少は慈悲をくれてやろうかと思ったが」
ーーーーーー女が消えた
彼には紛れも無く『消えて』見えたのだ
余りにも速すぎる一撃は 常人の肉体を持つ彼には視認すら出来なかった
しかし
「ほう..... 貴様、蛆虫では無く飛蝗であったのか」
「だが、所詮は虫けら」
「王(われ)に届くと思うなよ」
しかしだ
仮にも円環の楽園 第九の柱
相手が出現した瞬間
自らも背後の武装を変換させ対応した
『鎖鎌』刃渡り8尺 の鎖鎌だ
その側面にて相手の一撃
を防ぎ
「貴様には 地を這う姿がよく似合う」
そのまま 地面へと叩きつけようとする
無論 女の肉体が其れを許すとは思えないが
185
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 21:20:48 ID:T8QAEjlQ
>>184
「――無為だな、その防御」
ジェーンの打撃は、確かに鎖鎌の側面にて防がれた。
そう――防げはした、間違い様もなく、防ぐことは。
しかしながら、そこで終わるはずがない、そこで叩き落される筈が無い。
相手が女を地面に叩きつけようとした瞬間に、ジェーンがそれに同調する様にしゃがみ込む動作を取る。
勢いを殺し、前傾を取った相手の体勢が崩れた瞬間に、魔力を足先から噴射し、空中で錐揉み回転。
遠心力を加えた膝蹴りを相手の顎に叩きこみ、逆に地面に叩きつけようとするだろう。
それらの動作も、やはり早くそして体に一挙一動を染め抜いたかのように流麗で鮮やかに再生される。
この女の強い点は、素早い点か、一撃の重さか、判断力か、動作のムダの無さか。
彼女の強さの根源は――――
(いい判断力、並の戦士ではないのは理解できた――が、まだ私に剣を抜かせてはくれんのか。
早く抜かせなければ――、白刃を見る間もなく終幕だが。はてさて、どうなるか)
――――素早くて一撃が重くて判断力が高く動作に無駄が無いから強いというだけ。
空間を引き裂くわけでもない、固有結界や強力な魔術を使えるわけでもない。
ただ、非常識なまでに常識的な強さを極めた果ての無骨な強さが、この女の力の形だった。
186
:
アイーシャ
◆lQlUj8Oqx2
:2012/12/30(日) 21:43:24 ID:f/ie./X2
顎(チン)への一撃とはこれまたエグいよねぇ。
脳震盪を食らったらすぐ終わりだよ。ラッシュ! 後は西部劇みたいに……西部劇みたいにさ。アハハハハッ
まぁそうはならないよねー。
だってこいつらあたしと同じ位強くって、神サマに愛されてるんでしょ?
187
:
アイーシャ
◆lQlUj8Oqx2
:2012/12/30(日) 21:43:57 ID:f/ie./X2
/ヒイッ誤爆!見なかった事にしてくだしあ!
188
:
クラウン 物質浮遊&変幻自在武装
:2012/12/30(日) 21:44:45 ID:79d52clw
>>185
何をされた......?
理解が追い付かない
ただ ただ 自らが地に叩き付けられた
王が、人々に崇拝されるべき『あいどる』が
その紅顔に傷を付けられ
地に這わされた...... その事実が 結果のみが
ただ、ただ無情に彼の脳内を支配する
「貴様ァ...!
よもや此処から... 生きて帰ろうとは想うなよ......!」
ゆらり ふわり と 彼は 地に沈んだ其の肉体を今一度宙に浮遊させ 体制を立て直す
彼の力が有れば 其の命が果てるまで
立ち上がり 虫けらどもを踏み潰す
その行為に 支障は無い
「蹂躙せよ...<千の魔を刈る魔剣>」
彼と共に堕ちた刃
其の真名を<千の魔を刈る魔剣>と云う
ーーーーーー其の力 単純至極
ーーーーーー其の力 変幻自在
剣と呼ぶには 余りに巨大(はかく)過ぎる規模
天を突く刃 聳え立つ摩天楼
斯くして刃は降り下ろされた
圧倒的質量により軌道上に暴風を撒き散らしながら
彼女を呑み込まんと、迫り逝く......
189
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 21:58:57 ID:T8QAEjlQ
>>188
膝から感じる衝撃は、彼女の脳髄に完備な感覚をもたらした。
確実な手応え、何時だって相手を倒すときに感じてきた感覚が、彼女の膝から体に広がっていく。
地面に叩き落された相手を無感動に目で追いながら、ジェーンは地面に着地。
この程度ならば、どこにでも居る。確かに強いが――、彼女の血を滾らせはしない。
「――強者だと、思ったんだがな」
嘆息しつつ、倒れた相手に目線をやり――、犬歯をむき出しにして笑む。
そうだ、そうだ。これを待っていた。
何時だって私が求めるのは、泥に塗れようとも、傷だらけになろうとも私に立ち向かってくる強者だ。
立ち上がった相手を前に、恋焦がれる乙女の様に高揚した心境で、恥じらう乙女の様に緊張した面持ちで、一歩を踏み込んだ。
「待っていた。
そうだ、それでいい。誇りを捨てろ、驕りを置いていけ。
誇っている限り、驕っている限り。お前の全ては私に届かん。
飾らず、虚飾らず――ありのまま、持てる全てで向かって来い。今のお前相手ならば――」
眼前に迫る異様なサイズの刃、振り下ろされるそれは武威のみで並の人間ならばショック死してもおかしくはない。
刀身が迫る。人類一人を殺すには明らかに過ぎた力が、彼女の前に。
しかし、ジェーンは笑っている。心の底から楽しそうな、童女の笑顔で、歓喜の表情で。
「――剣を抜いても良さそうだ」
ごうん。
衝撃音が響いた。そして――異様なサイズの剣は、あろうことか一人の人間の手によって止められている。
右手に有ったのは、軍刀の様にも見える西洋剣の拵えの片刃の刃。刀身は、日本刀のそれであったが。
脇差程度のそれは、相手の刃に比べれば小枝にも劣る存在感だったろう。
だが、折れず、曲がらず、砕けず、切れず。眼前に現前と小枝はビルを止めてそこにある。
「なあ骨喰[ホネバミ]。少し遊んでやるか」
彼女の持つ魔剣の内の――〝ひとつ〟。魔剣骨喰。
短尺の片刃剣であり、脇差程度の長さであるがその堅牢さは異様といえるもの。
ごう、と衝撃を放てば、一瞬拮抗が崩れ骨喰と千の魔を刈る魔剣の間に隙間を作り、動く余地を作り出す。
右足を斜め前に降り出し、魔力を叩きこみ、加速。
地面が爆発したかのような衝撃の後には無音を続け、異様な速度の前傾姿勢の摺り足で、相手の左脇腹を魔剣で引き裂こうとする。
190
:
クラウン 物質浮遊&変幻自在武装
:2012/12/30(日) 22:22:51 ID:79d52clw
>>189
「く.....くくく......」
「虫けら虫けらと呼んでいたが」
「悔しいな。 存外強者で在ったか」
己の必殺の一撃
其れを かくも容易く防がれるとは
しかし
王が ただ無下に敗れる訳にはいかない
風穴の空いた脇腹より溢れた 生暖かい何かが
彼に語りかけるのだ
気高き王族の血が 誇り高き覇王の闇が
まだ、殺れる
と、語りかけるのだ
「貴様は速い 貴様は強い」
「故に 傲ることを辞そう」
「千の魔を刈る魔剣......」
「【邪悪之樹】<クリフォト>」
彼女の背後で 巨大な剣が変貌を遂げる
剣は 無数の枝分かれを行い
文字どおり 千の刃と成って 王もろとも貫かんと迫るのだ
その姿はさながら大樹
生命を司る大樹の鏡像
邪悪なるモノ<クリフォト>である
/千の刃は無論比喩ッ
避けることもでけますよっ
191
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 22:40:56 ID:T8QAEjlQ
>>190
「お前も。剣を抜かずに遊んで悪かったな。
殺すに値する価値を見出した。だから私はお前を殺すよ、今からな」
淡々とした口調だが、言葉尻が時折跳ねる。
この女、ギリギリの生死の境、一撃当たれば死にかねないこの状況を楽しんでいた。
死は怖くない、負ける事も怖くない。ただ、刺激を失うのが怖い、高みを目指せないのが怖い。
困難は乗り越えるために存在しており、どんな困難でもそれに挑戦する事が許されるならば、ジェーンに取ってそれはアトラクションに過ぎない。
円環の楽園に所属する者の例に違わず、この女も普通の悪とは異なるベクトルで壊れきっている人間だ。
相手の本気を、感じる。
血霧を引きずりながら相手の脇腹を引き裂き駆け抜けるジェーン。
己の一撃を受けて尚立ち、さらにここから先を見せる相手に素直に感銘を覚えた。
強者を求め、高みを目指してやまない獣の狂奔が目覚め始める、らんらんと輝く瞳に、弧を描く口元。
死の予感すら今の彼女は歓喜のスパイスの一つとしてしか捉えられなかった。
「こ、はァ――――」
息を吐き出し、身に魔力を一瞬で巡らせる。
全身がうっすらと金色の光を帯びて、右手の剣がカチカチと震え始める。
相手のように変形するでもなし、巨大でもなし。出来ることといえば、距離を離すこと位が関の山の魔剣骨喰。
だがしかし、その強度だけは異様といえるほどに高く、また剣を通して魔力を流すことで所持者自体も堅牢な肉体と成る。
「奥義は要らん、必殺も要らん、秘伝も要らん。
私は、私に出来ることでお前を倒すだけだ」
包み隠す事など相手を嘲るのと同じだ、どっちにしろ殺すか死ぬのだから必殺など要らぬ、自力で掴みとったものを誰に秘め、誰に伝えるのか。
故に、名も肩書きも彼女の振るう力にはない。言うなれば、カラミティ・ジェーン。それが彼女の技。
全身全霊を尽くした剣戟に、歩法に、打撃に優劣は無く、全てに名をつければ一生が終わってしまう。
故に、全て平等に必殺で奥義で秘伝。無名の兵法が開帳される。
「――――シャァラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
千に相対するのは――〝ふたつ〟。
右手の小太刀サイズの軍刀に、左手の大太刀サイズの軍刀の二刀流。
迫る無数の刃を前にジェーンが選択したのは――己に迫る全てを叩き落としながら前進し、相手を殺害すること。
黄金の軌跡を残してジェーンの姿が消え、千を超える刃の群れに輝く数百の火花が生まれていく。
一秒立つごとに切っ先が幾つか吹き飛び、折れ、へしまがる。それらは全てジェーンがなしていること。
異様な速度で二つの刃を正確に振り抜き、己に迫る剣閃の一つ一つを剣閃で殺していく。
砕き切れぬ攻撃が次第にジェーンの体を貫き傷を作っていくが、笑みは崩さず、遅くなるどころか剣閃を加速させて相手に徐々に迫っていく女が居た。
――相手がこちらを殺すのが先か、こちらが相手を殺すのが先か。勝負の決着は、誓い。
192
:
クラウン 物質浮遊&変幻自在武装
:2012/12/30(日) 22:57:14 ID:EDDtKqRM
>>191
「貴様が相手なら此処でのも本望か」
砕かれる 捻曲がる
己の必殺の千撃が、儚く 消えて行く
まるで己そのモノでは無いか
砕かようと ねじまがろうと 未だにその刃を煌めかせる心意気や好し
折れど砕けど 散れ舞えど
眼前の敵を滅ぼさんとする臣下が居るのならば
王は思いに答えよう
「共に 共に死に逝こうぞ! 我が盟友よ!」
「たとえ我等が一撃届かずとも」
「奴にほふられるのなら本望であろう! 」
塵となった刃を 其の右の手にかき集め
女に向けて 跳躍......
背後から其の身を 打ち砕こうと 降りおろす
ーーーーーピシャリ
「カハッ...... と、どかぬか......」
「だが... 不思議と、悔いは 無いものよな......」
然れど届かず...
女が弾いた刃が彼の身を改めて貫き
天を支配する王が、力無く 地に堕ちる
今を以て彼は...真(まこと)の堕天使になったのであろうか......
193
:
カラミティ・ジェーン
:2012/12/30(日) 23:06:18 ID:T8QAEjlQ
>>192
倒れ伏す相手の前に、血だらけの女剣士が立つ。
右目を潰され、足や脇腹、前進に幾つもの大穴を開けた女は、間一髪で死を越えた。
「――――いや、届いたさ。
……本気を出して、死んだならば本望だ」
――夢幻泡影。
それがジェーンの持つ固有の能力。
自己と自己の領域内のすべてのものの防護や強度をゼロにするというピーキーな異能だ。
それによって、容易く相手の剣を砕き折っていたのだが、当然としてジェーンの防護もまた最弱となる。
振り向き、一振と骨喰を鞘に収め、ため息を吐いた瞬間。
ジェーンの体が縦に分かれ、そのまま地面に臓物をまき散らして死亡した。
あっけない、あまりにもあっけない終わり。
だが、剣閃の世界とは斯様なもの。何時死んでも、何時終わってもおかしくない。
引き裂かれた顔は、つなげてみればきっととてもいい笑顔を浮かべていたのだろう――。
/おつでしたー!
194
:
クラウン 物質浮遊&変幻自在武装
:2012/12/30(日) 23:12:25 ID:EDDtKqRM
>>193
ありがとうございました!
楽しかったッス!
195
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 17:29:29 ID:ypjcAgT2
模擬戦会場
古代の戦士たちが武を競ったコロッセオ
それを思わせるような建造物は暴嵐に埋もれていた
壁は削れ落ちるように崩れ粉塵と化し、柱は軋みを上げ大きく揺れる
その暴風に乗った砂と砂利は、砂嵐のように視界を奪い、気を抜けば肌を切り裂く
もう既に、此処は個人の武を競う戦場ではない
化物に立ち向かう、勇者の戦場へと姿を変えていた
災害という名の化物へ、立ち向かわなければならない
「―――ク、クカカ、カカ、カハ、ッハッハッハ!」
笑い声が、響いいている
この嵐を巻き起こす、その存在が笑っている
崩れる世界が美しいと、砕けける世界が甘美だと
「此処で死んでも、生き返れる?
下らねぇ、下らねぇ、下らねぇ下らねぇじゃないか!
嗚呼、なんて下らない物なんだ……そうだ、壊そうじゃないか!」
逆立つ金髪の男は、叫ぶ
――――そうだ、それが良い、と
身に纏うのは、ただスーツを一着のみ
武器も見当たらず、防具も見当たらない
人の戦いを愚弄するかのように、人の武を汚すかのように
只々、その場には男の笑い声が響いていた
196
:
千早 氷華 E:ナイフ、拳銃
:2013/01/04(金) 17:41:36 ID:IClMGqVA
>>195
「なるほどここが模擬戦が出来ると言う場所ですね」
今後の為になるかと思い、最近知った模擬戦をしてみようかと足を運んだ千早。
研究所で戦闘訓練も受けているので心得は十分にある。
「これは……酷く荒れていますね」
中に入ると、まるで砂漠の中にある遺跡にでも来たかのような有様。
これは個人で成せることなのだろうか。
「あなたが私(わたくし)の相手をして下さる方ですか?」
嵐の中に立つ一つの影。今日の相手だとしたら強大な相手だ。
197
:
三門陽
:2013/01/04(金) 17:47:56 ID:T8QAEjlQ
>>195
「おいおいおいおいおい……、ちょいと以上に異常にやばいんじゃねェのこれ!」
そんな馬鹿っぽい怒声が、レオンハルトに投げかけられる。
そこに立っていたのは、金髪オールバックに、着崩した学ランといういかにもなヤンキーだ。
風に煽られ腰ほどまで有る長髪はばさばさと踊り、邪魔そうに三門は取り出した髪ゴムで一本結びに括りつけた。
「俺、ちょくちょくここで喧嘩やってっから、ここ壊されると困るんだけどよォ!
やめてくれね!? やめてくれねーとぶん殴るけど!」
案外理性的なのかなんなのか、止めなきゃ殴ると口にする。
だが、なんとなく青年は相手は言葉ひとつで止まらない気を感じた
だからこそ、ポケットに手を入れ、愛用のメリケンサックを引きぬき、腰を落として構えを取った。
>>196
「なんか、このおっさんここぶっ壊そうとしているっぽいからよ。
ちょいと以上に強そうだし、なんなら協力でもしねーかい?」
いつも通りの人懐っこさで、千早に話しかける三門。
いい笑顔でメリケンを構えている姿は、プロの軍人や何かではなく、文字通りどこにでも居る只のヤンキーにしか見えなかったろう。
198
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 17:48:29 ID:2KsqbFWw
女――美崎千代乃は模擬戦場に立っていた。
古代ローマのコロッセオにも似た形状のそこには、今嵐が吹き荒れていた。
「なに―――、何なの」
その異様なまでの暴風に千代乃は思わず目を眇め掌を双眸の上に翳す。
この嵐の中心にいるのは男、確かに男であった。
吹き荒れる暴風に飛ばされた砂煙で見えにくいが、スーツを着た男が確かにこの戦場に存在するのだ。
耳をつんざくような風の音の中から響いてくる笑い声。
哄笑にも似たそれに一瞬背筋が寒くなる。
これは――――、なんだ。
今までに戦った事のない相手の出現に千代乃は唇を噛み締めながら考える。
勝機はどこにあるか、――――と。
「みーくん、わたし…負けないからね」
ぐっと拳を握るとそう呟く。
199
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 17:57:59 ID:ypjcAgT2
>>196
「相手をしてくれる…?
思い上がりも、此処までくりゃあ立派なもんだなァ!」
戦場へと足を踏み入れた千早に振りかかる怒声
嵐の中心にいる男から発せられているのだろう、その声は嵐の中で反響するように響きわたっている
「テメェさんは、巻き込まれるだけさ
――――この<暴嵐>に」
男が、大きく左手を振り上げた
その動きに合わせるかのように、地面の砂が大きく舞い上がった
いや、違う
その砂は『副作用』に過ぎない
地を這うように疾走する、疾風
風の塊、風の銃弾の如く、拳大のソレは千早に向かい疾走した
>>197
「喧嘩?
それは残念だな、だけどよ」
――もっと、面白いモン教えてやるよ
男は振り上げた右手を力強く握りしめる
空を掴む、まさにそんな様子だった
「殺し合い、っつうんだけどな!」
その拳を胸元まで引き寄せれば、陽の背後から何かが軋む音が聞こえ始める
背後を確認すれば、石作の柱は根本でひび割れ今にも倒れそうではないか
その柱は、風に揺れ、徐々に徐々にとそのひび割れを増していく
柱の直撃を受ければ、人など一溜まりもないだろう
>>198
「ハハハ、クカ、カカカッ!」
狂ったような笑い声が、その場に響きわたっていた
とてもではないが、正気とは思えない
そんな声とともに、千代乃へと向かったのは瓦礫
壁より崩れ落ちたのだろう、石の塊は千代乃の拳よりも一回りも大きい
それが風の勢いに押され、隕石のように降り注ぐ
その数は5
広範囲に散らばったそれは、全て千代乃へ向かっている訳ではないが
避けようと動けば、他の物へ
動かなければ迫るソレにぶつかりそうだ
何か、手を打たなければ直撃は避けられない
200
:
千早 氷華 E:ナイフ、拳銃
:2013/01/04(金) 18:09:24 ID:IClMGqVA
>>197
「そうですね。ルール上問題ないでしたら共闘致しましょう」
あの相手はとても一人で勝てるとは思えない。
「私は、Xシリーズ、タイプ005、コードネームchihayaと申します。千早で結構です」
共闘する以上名前くらいは知っておいていいただろうと思い簡単に自己紹介
>>199
挨拶もする間もなく千早に放たれる風の弾丸。
千早はその場から動こうともせず、見ている。
「巻き込まれるだけでは訓練になりません……氷壁」
突如分厚く、千早の身長よりも高い氷の壁が千早の前に出現した。
如何に協力とて、風の弾丸の貫通力ではこの厚い氷の壁を抜くことは出来ない。
「挨拶位はしたかったのですが、仕方ありません。……受けていただきます、氷柱舞」
ゆらりと右手を前に出したかと思えば、レオンハルトの立つ地面の周りが4か所凍りつく。
レオンハルトを中心に四方に出現した氷の地面からは、次の瞬間に氷柱がレオンハルトの胸辺りを狙って飛び出すだろう。
201
:
三門陽
:2013/01/04(金) 18:10:42 ID:T8QAEjlQ
>>199
「あぶねーな、この……ッ、柱落ちると係の人が困るだろうがァ!」
そう叫ぶと、三門は両手を高い音を立てて打ち鳴らした。
そして、手を離せば、手の間に色とりどりに光り輝く星が煌めき始める。
だが、それは本物の星ではなく、ラメ加工された大小様々な星型のシールだ。
「あと――、喧嘩はばっちカモンだけど、殺し合いは嫌だっての!
この俺、三門陽は宇宙飛行士志望ッ! 断じて軍人とかそういうんじゃねーからよォ!」
ぐらりと傾ぎ、三門へと倒れこんでいく柱。
だがしかし、轟音を起こして落下した柱の場所には、既に三門は居ない。
空中、7m程の高さに三門は飛び、そして重力を無視したようなふわりとした動きで着地する。
バアルの動体視力如何では、体に貼り付けた星のシールから力を噴射させて、三門が跳躍し回避したことが分かるだろうか。
三門の周囲にはまだ十数枚のシールが舞っており、どうやらシールは三門の支配下にあるようだ。
「あと、戦えそうにねェ女の子に暴力振るってんじゃねーよ」
そう言うと、シールを千代乃の方へ飛ばし、シールを飛んでくる石の固まりに貼り付ける。
風の操作に拮抗する様に、シールに秘められたエネルギーを噴射させて、千代乃へ迫る岩塊の軌道を逸らそうとする。
シンプルだが、それゆえに無限の可能性を持つ三門の異能、フリークキッチンが暴風渦巻き、隕石降る場に星明を生み出していた。
>>200
「俺は三門、三門陽だ――!
ってか、千早の姉ちゃんかなーっり強いのな、俺の3倍はつえー!
撹乱はまかせときなァ!」
かっけー、と氷を作り出す千早をキラキラした目で見つつ、自己紹介をした。
202
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 18:15:07 ID:2KsqbFWw
>>199
何が楽しいのだろう――――、哄笑を響かせる男に千代乃は眉を寄せる。
恐らく、彼にとってはこの戦場が楽しくて仕方だ無いのであろう。
暴風の範囲は彼の間合いだ。しかし千代乃は遠距離攻撃に長けてはいない。
どうするか――――、そう考えていたとき、何かが迫る気配にハッと息を飲む。
吹き飛んでくる瓦礫を視界にいれ、しかし千代乃は落ち着いていた。
右手に爆弾を生成し、迫りくる瓦礫に投げつける。
ぶつかった時点で爆破するようになっていた爆弾が炸裂し、瓦礫は礫と砂となって千代乃を襲う。
両手を顔の前で交差させ顔への被害を納めた千代乃は、瓦礫が自身の背後へと飛んでったのを確認して嵐の中心に向かって駆け出していく。
ついでに、男に向かって生成した爆弾を投擲する。
203
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 18:20:59 ID:2KsqbFWw
/
>>202
後半にこれを付け加えます、すみません!
>>201
ふわり、と瓦礫の軌道が変わる。
自分が爆弾を投擲したのは変わらないが、何者かの意思が働いたのが見て取れる。
とすると、柱を躱した彼だろうか、何やら自分の事について言っていたようだし……
「ありがとうございます、わたしは美崎と申します。」
そっと三門に近寄るとそう礼を言う。
「わたしは戦えます、大丈夫」
そう言うとキッと嵐の中の男を睨み付けると、爆弾を生成し嵐の中の男に向かって投げつける。
204
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 18:32:18 ID:ypjcAgT2
>>200
「クカッ、カカカ、良いねェ良いねェ!
そうやって、命狙って来てくれよ!」
迫る氷柱は、先端より等間隔に輪切りへと変わり砕かれる
荒ぶる暴風は風の刃へと変化し、氷柱を巻き込みながら、厚い氷の壁を削り始める
「さあ、『抉れ』
風は、ただ吹くだけじゃねぇぜ」
風の刃は、組み合わさる様に一つの球体へと姿を変える
小規模の嵐の様に乱回転の風の刃は、円状にその壁を刳り、削り
勢いを劣ろえさせながらも、真っ直ぐ千早へと向かっていく
>>201
「望む望まざるじゃねぇんだよ
理不尽ってやつは、よォ!」
陽の動きを目で追いながら、男は嬉しそうに目を細めた
この惨状の中、誰かを救おうと前に踏み出す
嗚呼、英雄の素質がある、その男には
「そして、理不尽に立ち向かえる者こそ……」
だが、空中へと飛翔したのは悪手だ
遮蔽物のない空中は、嵐の独壇場だろう
「俺様の、求める、存在!」
大きく両手を広げ、天を仰ぐように身を逸らす
生み出されるは、激しい上昇気流
陽の足元で発生した局部的は気流は、陽の体制を崩し
そして、先程倒れた柱の破片を巻き上げる
迫る、破片、破片、破片
周囲を囲むように飛翔したその破片たちに阻まれ、逃げ場は上のみだろう
>>202-203
陽の能力の発動により、瓦礫の一部は千代乃より消え
爆弾の爆破により、その瓦礫も粉砕される
数が減ったせいだろうか、砂と礫の数も少ない
行動を妨害するほどの量は、降り注がない
「向かってくるか、お前も!」
男へと向かう爆弾は、何かに阻まれたかの様に空中で爆発
その爆風は、男へとは届かない
「面白ェ、面白ェじゃねぇか!
ハハハハ、何が目的だよお前ら
こんな場所、守る必要もねぇだろ!」
嵐の中心へと向かう千代乃
一歩、一歩進む毎に、風の重圧は益して行く
其処に壁があるかのように、体全体へ重圧がかかっていく
いや、風だけではない
千代乃はその躰が少しづつ濡れていくのに気付くかもしれない
砂と礫の嵐が、少しづつ姿を変化させていく
205
:
千早 氷華 E:ナイフ、拳銃
:2013/01/04(金) 18:43:15 ID:IClMGqVA
>>204
「氷壁を削るのも良いですが、いつまでも私がこの場に留まっている訳もありません」
千早は横へ移動し、氷壁を貫通したとしても当たらない位置へ行く。
氷壁から身を出すと同時に、ほかの2人に当たらないように攻撃を仕掛ける。
「氷塊弾、これは如何ですか」
こぶし大の4つの氷塊がレオンハルトへ向かい放たれる。
同時に先ほど氷柱舞を出したときに凍らせた地面がその氷結範囲を広げていく。その場に立ち続ければ、やがて地面に付いている足まで凍らせて行く。
先ほどの氷柱舞の様にその場に立ったまま対処をされてはかなわない。
206
:
三門陽
:2013/01/04(金) 18:46:11 ID:T8QAEjlQ
>>203
「おう、よろしくなァ美崎ちゃん。
――戦えるならそれでいい、但し無茶はすんなよ。
無茶は俺の特技だから、俺に任せとけ」
いい笑顔でサムズ・アップしつつ、爆弾を投げる美崎から視線を外す。
相対しているのは楽園の最強格、そうとは知らなくとも別格である事だけはよく分かった。
>>204
「ちょーっと、厄介すぎんぞオイ」
引きつった顔で、目の前に舞い上がる無数の破片達を見て、笑う。
上昇気流に異能で抗うも、この数秒後にはガス欠が襲いかかるのは間違いない。
ならば、どうする? 決まっている――先に進むのだ。
(――殴りとばして意識落とせば俺の勝ち、だよなあ。
破片は、確かに早いし多いが――俺よか遅いし、俺よか弱い。だからどーでもいい)
頭は悪いのに回転速度だけは早い頭脳がクロックを上げる。
生命の危機を感じて、アドレナリンが過剰分泌され、五感が研ぎ澄まされ、高い集中状態に陥った。
どちらかと言うと動物的な本能を持っている類の三門、本能で動くのが本領だ。
「いいぜ。殺し合いはお断りだが、てめェみたいに気合入ったヤツは嫌いじゃねェ。
〝かかって来な、相手をしてやるよ〟」
不良の面子を掛けて、三門は遥か上位に堂々とメンチを切った。
相手をしてやる、かかって来い。どう考えても、相手をしてもらうのがこちらで、掛かっていくのが此方だというのに。
それでも三門は、喧嘩として、不良としての流儀を捨てず、相手に相対しぶつかり合う気でいた。
空中で手をぱん、と叩く。体に張り付いたシールのエネルギー残量は後1秒と少し、それだけあれば十分だ。
「男は度胸だろうが、ここでビビってどーすんだっての――!」
直後、流星が空に輝き、破片の壁が粉砕した。
逃げ場が無いなら、挑めば良い。三門が居るのはいつでも逃げ場ではなく挑む場だ。
壁を文字通りに打ち破り、流星の尾のようなエネルギーの線をひきながら加速する三門は、右拳を振り抜き、バアルに迫りゆく。
右腕の肘にはシールが張られ、近づけば速攻で加速をし、相手の土手っ腹に勢いづいたままで拳を叩きこむつもりだ。
技量は無い、相手のように万能の異能も無い、体はがれきの破片で傷だらけだ。だが、三門には度胸と勇気だけが有って、それだけで三門は十分だったのだ。
207
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 19:03:14 ID:ypjcAgT2
>>205
軽く、左手を振るえばそれに合わせるように風の刃が発生
氷塊はその刃に砕かれ、男の後方へと消えて行く
だが、その間も迫る地面の氷結は、その男の靴も、スーツの裾までも凍らせ
その場へと、その両足を拘束していた
「……嗚呼、素ン、晴らしい
ちっと、周りが見えちゃいなかった」
乱気流の球体は、先程千早の居た場所
つまり、現在の千早の横まで到達していた
このまま直進すれば、どう足掻こうと当たるはずが無い
「でも、甘ェな
周りが見えちゃいないのは、俺だけじゃないってなァ!」
その乱気流は、風の刃の集合体
風の刃が、複合し、生み出された球体だ
だから、パチン、と軽い音が響いた
嵐の中心にいる男が、指を鳴らしたのだろう
瞬間、球体は刃へと変わる、いや、戻った
砕けたガラスのように、爆弾の爆発のように
無造作に、無差別に、散り散りに破裂した風の刃は、当然その横にいる千早にも迫っていく
>>206
その男は、恋をする少女のように
頬を赤らめ、微笑んでいた
この嵐に、立ち向かうか
嗚呼、素晴らしい
誰かが、蛮勇などと貶そうとも、この男だけはその行為を賞賛する
周囲の風が、喝采を浴びせるように唸っていた
「嗚呼、かかって来いよ相手してやる!」
いつしか、その風も止んでいた
いや、止んでいたのではない、その男の右手に握られる黒の刃
日本刀の柄も鍔もなくしたかのような、唯、刃だけの存在
『ヤグルシ』
嵐を集結させ、稲妻を集め、その磁力によって周囲から砂鉄を調達した
その砂鉄の集合体、嵐を掌握した刃
それを握り、構える
流星のような陽の一閃
それを受け止めるように、刃とメリケンサックはぶつかり合い
キィーン、と高音の金属音と激しい火花を響かせた
それが、唯の刃ならばへし折れていただろう
だが、それは粒子の集合体
折れれば、磁力を持ってそれを繋げる
「嗚呼、御馳走だ
上手に貪りな『ヤグルシ』」
そして、蠢く黒は、その振動によってメリケンサックを削り落としていく
208
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 19:04:58 ID:2KsqbFWw
>>204
「ありがとう、一緒に頑張りましょう!」
そう三門に言い返してはニコリと笑む。
相手が円環の楽園、その一員とは此方も知らなくても、
この場所を無為に破壊されるのだけは千代乃も避けたかった。
「わたしは……愛の無い悪を滅ぼすだけ……」
ぎっと歯を食いしばって千代乃は前へ前へと進んでいく。
身体ごと押し返されるような重圧にじりじりと後ろに踏ん張る足がずれていく。
砂と礫に肌を切り裂かれながらも進んでいく。
進まなければ活路は見いだせない。
だから進む、それだけだった。
気が付けば服が、髪が、肌が濡れていた。
「雨――?」
双眸を見開いては、自身の様子を確認する。
ピタリと張り付く服に髪、うっとうしそうに額に張り付く髪を払えば爆弾を生成、自身の足裏に設置すると爆発の推進力で一気に男、バアルに接近しようとする
209
:
千早 氷華 E:ナイフ、拳銃
:2013/01/04(金) 19:15:57 ID:IClMGqVA
>>207
「……!?」
突如風の球体が爆ぜ、周りに刃をまき散らす。
それを確認すると、千早は地面へ伏せた。同時に氷壁を作る。
しかし、この一瞬で作れるのは壁と言うよりも小さな山。細長い山を作り、それに隠れるように地面に伏せたのだ。
「その足で回避が出来ますか? 氷龍」
伏せたまま手をかざし、作り上げるのは氷でできた龍。それは千早の手元から延びるようにして長さを伸ばし、レオンハルトへ襲いかかる。
この氷龍の氷の牙を防げるか。
210
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 19:18:14 ID:ypjcAgT2
>>208
「ふは、はは、アッ、ハッハッハッハ!
あ、愛……だってよォ!
愛がない、愛にあふれた俺様にそれを言っちまうのか!?」
その躰を、髪を、服を濡らす雨と風は突如、なんの予兆もなく消え去るように止む
それが爆発による推進を更に加速させる結果になった
其処には、陽の拳と男の刃が火花を散らし、刃鳴りを響かせている光景がある
男の足は氷結し拘束を受けているように見える、千早の氷だと言うことが前頭に参加している千代乃には理解できるはずだ
「俺は愛しているのさ、全てを
これは、世界に対する俺のアプローチなんだからなァ!」
211
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 19:26:57 ID:ypjcAgT2
>>209
「やるねェ、足止めして大技
セオリー通りの教科書通りっつうのかァ?
お利行ちゃんじゃ、足りねぇんだよォッ!」
剣を構える右手から、左手は離さえれる
そして、先程と同じく集結する黒
それは刃ではない、例えるなら杭
槍というには無骨過ぎるそれは
バチリ、バチリと紫電を蓄え、放たれる
それは磁力による加速
反発する磁力が投擲のモーションもなく弾丸のようにその螺旋を加えながら杭を押し出す
氷で出来た龍の牙を砕き、串刺しにするかのように喉を貫き、地面へと拘束した
「俺が求めてんのは、無茶苦茶の中で輝く小さな光なんだ
消えちまいそうなそれが、堪らなく愛おしいのさ」
212
:
三門陽
:2013/01/04(金) 19:33:07 ID:T8QAEjlQ
>>207
寒気がした。
目の前の相手の強さに、などではない。相手の存在そのものに、薄ら寒さを感じた。
甲高い音を立てて、相手の手に握られる方なとぶつかり合う、メリケンサック。
だがしかし、悲しいかな。
「て、め――俺の、相方をォ!!」
三門の武器は、通販で2つセット5000円のメリケンサックでしかない。
相手の強力な武器とは比べ物にならないほどに、粗悪な安物だ。
それでも、こっそり自分の枕を刻み、クッションを付けて扱いやすくしたり、日々磨いて手入れをしてきたそれは、三門にとっての相棒。
一瞬で両断されたメリケンごと、三門の拳も削り落とされて、鮮血と白骨と赤肉を飛び散らせた。
痛みに顔を一瞬歪め、落下していく三門だが、その瞬間三門の表情が変わる。
その表情は、強いていうならば怒り。
餌などにするか、この俺を。俺は喧嘩をしに来たのであって、お前に貪られる為に来たわけではない。
握ることもかなわぬほど崩れた右拳を無理やりに動かして、三門は絶叫しながら両手を叩く。
「フリークキッチンッ!! ジャンク・トゥ――――――ッスゥゥゥゥウゥゥゥゥウゥ!!」
重力に従って落下していく最中、三門の周囲で星が舞う。
星が舞い、相手の周囲で渦巻く風すらも喰らい尽くし、三門は――飛んだ。
「潰す――ッ、てめェのそのなめくさった態度が気に入らねぇ、だから殴る潰す張ッ倒す!!
殺しゃあしねェ、ただきっちりテメェとそのヤグルシとやらには、俺の相方の落とし前を、けじめを付けてもらおうかァ!!」
四肢に星の意匠が所々にあしらわれた具足と篭手が装着され、顔にはトンボを思わせる大きなサングラスが装着されている。
フリーク・キッチンの本来の力を引き出した、〝第一形態〟。ジャンク・トゥースが三門の怒りに答えて具現した。
空中で力を放出しながら、三門は血肉を滴らせる右手にあえて左手のメリケンを装着し、握りしめさせた。
服を引き裂き、右手に布を巻きつけ無理矢理に拳を作り、右腕を引く。
「喰らえやァ! ジ・モンスター・ヒットォ!」
背後に火炎を従えるような、異様な加速。
虹色にトンボの意匠を感じさせるサングラスが煌めき、右腕に加速に使うエネルギーが収束していく。
狙いは、顔面。殺意は無く、ただぶちのめす意志だけを携えて拳を振りかぶった。
技量は無い、拳を振るう動作は大ぶりでどう見ても素人で、ぽっと出の異能は三門には制御しきれていない。
理由は浅い、大事にしていたメリケンを壊され、面子を潰されただけで傷ついたのは自分だけだ。
だから、命をかける価値は無い。それは普通の人間の発想だ。
それでも、命をかける価値が有る。それが、三門陽、ヤンキーの生き様だ。
意地の拳は流星の尾を引き――――駆ける。
213
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 19:38:50 ID:2KsqbFWw
>>210
ふっと、唐突に嵐が止んだ。
砂埃が、瓦礫が、礫が飛翔をやめ、地に落ちる。
その中で変わらないもの、それが男の哄笑だった。
爆発によって得た推進力、それは止まることは無くそのまま男へと突っ込んでいく。
その勢いを利用して空中でコートの下から取り出した短刀を男の腹に向けて投擲する。
バアルと相対する三門、散る火花は何によるものだろう、直ぐにはわからずに千代乃は目を眇める。
「では、あなたの愛と私の信じる愛は違うということです、残念ながら、分かり合えませんね」
もう一本、コートの下から短刀を取り出すと千早の氷によって身動きが取れないバアルの
武器を握るその腕に向かって踏込と同時に突き出した。
「悪はすべて、滅びるべきです」
214
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 19:50:12 ID:ypjcAgT2
>>213
迫り来る短剣
だが、それは投擲をを終えた左手が掴み取るようにそれを弾いた
手の平が切り裂かれ、血が溢れるが、腹部へのダメージを考えれば軽症だろう
「分かり合えない?
それこそ、愛がないじゃぁないか!」
そしてその隙をつき陽と男の鍔競り合いに割って入る少女の刃は
正確にバアルの右の手首を切り裂き、黒の刃をその手から溢れさせる
「その通り、悪は滅びるべきだ
だったら、滅ぼしてみな、英雄になってでも」
その瞬間、刃は砂鉄へと戻り、地面へと撒き散らされた
>>212
貪る、と表現されたその攻撃は削り落とすようにメリケンサックも、手の肉も削いでいた
だが止まらぬか、この猛攻は
「―――――アハハハ、そうか、それは素敵じゃないか」
耳を駆け抜ける怒りが心地良い
身を震わせる熱気が、愛らしい
「唯只管の怒りが、美しい
やってみろ、それで俺を貫いてくれ」
狂気に、笑みに歪んだ男の頬に、陽の拳が突き刺さる
そして、氷の拘束をも打ち砕き
その針金細工のような肢体は、吹き飛び、コロッセオの壁へと叩きつけられるように吹き飛んだ
(//行動を続けますので、もう1レスお待ちください)
215
:
レオンハルト 【円環の楽園】 <バアル>
:2013/01/04(金) 19:56:02 ID:ypjcAgT2
崩れ落ちる石壁に埋もれた様に見えたその男だったが
風が一吹きしたかと思えば、その瓦礫も一瞬にして吹き飛び、その姿は健在
ただ、その表情は狂気に狂った笑みではなく
のっぺりと張り付いたような薄ら笑い
「素晴らしい、素晴らしいですよ皆さん
そうですか、この場所ではこのような英雄が生まれるのですね!」
口調も、先程のそれではない
まるで、?人なのではないか、と思うほどには
「壊すなんて、とんでもない
ああ、私は私の愚行が許せない」
ちらり、と3人を見渡すように視線を向け、恭しく一礼
「自己紹介が遅れました、私はレオンハルト
【円環の楽園】 序列第一位、バアルの名を関する者」
そして、彼の周囲に風が集結する
彼を掻き消す、砂嵐を生み出すように
「……また、会える日をお持ちしています、英雄殿」
そして、その砂嵐が止む頃には男の姿も消え去っていた
//コレにて終了です
//時間長引いてしまってすみません
216
:
三門陽
:2013/01/04(金) 20:01:28 ID:T8QAEjlQ
>>214
>215
「――ち、ィ。
次はぶっ倒す、張り倒すぞこの野郎が……!」
地面に着地すると、片膝を付いて肩で息をして。
消えていく男に、中指を立てて見送るのであった。
217
:
千早 氷華 E:ナイフ、拳銃
:2013/01/04(金) 20:03:09 ID:IClMGqVA
>>215
「随分雰囲気が変わりましたね」
立ち上がり、埃を払う千早。目の前にいるのは本当に先ほどまで戦っていた相手なのか。
「円環の楽園……昨日の円環様が言っていたものですね、有名なのでしょうか」
今世間をにぎわせている円環の楽園を知らない人間は千早以外に居るのだろうか。
「ともあれ良い訓練になりました。帰るとしましょうか」
この戦いで強者との戦い方を一つ学んだ千早は模擬戦場を去っていく。
//お疲れ様でした。
218
:
美崎千代乃/茶髪赤眼鏡女子 感情爆撃 E:短刀2本
:2013/01/04(金) 20:22:59 ID:2KsqbFWw
>>215
「英雄―――そうなればあなたを倒せるの?それとも、あなたを倒せば英雄に?」
吹き飛んだバアルを見ながらそう一人ごちる千代乃。
聞けば相手は円環の楽園の第一位だという。
そんな強者を相手取っていたことに千代乃は知らず口の端をつり上げる。
「円環の楽園、バアル、忘れない……私の倒すべき、悪――――」
砂嵐が収まれば男の姿はそこにはない。
彼の手を傷つけた短刀から血がこぼれる。
それをうっとりとなぞれば血の付いた指先を舐める、その顔はとても、嬉しそうだった。
/遅れてしまいましたが、お疲れ様でした!
219
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/04(金) 23:25:02 ID:rB9sjoGU
「―――はぁー、つまんなーい……」
模擬戦場。その中に居たのは1人の少女だけ。
何かを積み重ねた山の上に居たその少女は、本当につまらなそうにため息をつくと、黒いローブと灰色の長い髪をたなびかせて下に飛び降りた。
手に持っていたのは50cmほどの棒。それをクルクルと回しながら、少女を入り口を見据える。
来るものは、積まれた物が全て人間"だったもの〟なのが分かるだろうか。
赤に塗れ、最早何処が頭で何処が体だったのか分からないが、分かる部分は有るだろう。
そんな山もすぐに除去され、次の相手がやってくる。
「ふふ……誰が来るのかなー♪」
相手が生き返る以上、結晶集めは出来ない。
棒で背中を叩きつつ、次はあの山のように詰まれた挑戦者のような、弱い相手が来ないことを祈る。
出来れば、自分の血液が沸騰するような、燃える相手……。自分が殺人鬼とか、そんなことはどうでもよく。
少女はただ、血に飢えていた。
220
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:0体 E:投擲用ナイフ×3
:2013/01/05(土) 00:17:11 ID:IClMGqVA
>>219
「さて今日は誰が相手なのかな」
最近戦闘を行うことが多くなった気がする。円環の楽園と言う組織に属した以上、これは必然なのだが、今後に備えて模擬戦で訓練するのも悪くない。
両手をコートのポケットに突っ込んだまま歩いて模擬戦場に入る。
すると、多くの肉塊と幼い少女が一人。
(あの棒……いや、あの棒だけでやったとは考えにくいね)
入った直後から相手の武器がなんなのか観察する。
戦いにおいて情報は多いに越したことはない。
「キミが私の相手? ちっちゃい女の子相手にするなんて気が引けるなー」
実際少女が相手だから気が引けるなんて性格をしていたらクリオネは今まで生き残って居ないだろう。
221
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 00:31:44 ID:rB9sjoGU
>>220
相手が……彼女が入ってきた瞬間、少女は口を歪ませてアハハッと軽快に笑う。
その笑みは、ただ戦闘が出来る事への喜びだけではない。彼女を瞬間的に強い者と見た事で、自然と笑みが零れだしたのだ。
「うん、私が相手だよ。……フフッ、分かるよお姉ちゃん。お姉ちゃんはそんな人じゃないって……」
血がベタ塗りされたローブから、倒した人数が分かるだろう。そしてそれに躊躇もないも無い事を。
実際、多くの相手を瞬殺している少女。あの山が築かれるまで、そう時間は掛からなかった。
彼女の口から出る嘘を、笑う。少女には分かる、悪人ゆえの言葉遣いというものが。自分もそうだから。
そして、背中を叩いていた棒を持つ手を一旦休めると、
「―――Boule Rouge」
それだけで、棒の先端から白い光が浮かび上がる。数秒後には、高さ3m、横幅1m、厚さ50cmほどの黒い塊が棒の先端に付く。
……非常識なほど巨大なその黒い塊を、少女は一寸の苦しさを見せず、担いでいたのだった。
「潰されないようにしてね、お姉ちゃん♪」
222
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×3
:2013/01/05(土) 00:47:43 ID:IClMGqVA
>>221
「あははっ、何それ? もう私の事分かったつもり?」
意外にもクリオネと少女の笑い方は良く似ていた。割と近い性格をしているのかもしれない。
しかしその残虐性はクリオネ以上かもしれないこの少女。どう戦うか……
(やっぱりただの棒じゃ無かった訳ね。てか、あれ大きすぎでしょ……私のインペリアル位あるよ)
出現した巨大な武器。その大きさを見るやクリオネは内心驚いている。
クリオネの奥の手は、巨大なドールと武器で相手を圧倒するスタイルだが、この相手は素の状態でそれをやると言う事。
自分が奥の手として使っている手だ。その強力さは誰よりも知っている。
「確かにそんなので叩かれちゃったら潰れちゃうよねー」
未だポケットから手を出してもいないクリオネは動かずに笑っている。
一拍置いて再びクリオネがしゃべり始める。
ところでさー、と
「私と話すのも良いけど、いつまでもこっち見てて良いの?」
ニヤッとクリオネの口元が歪んだ途端、フレデリークの背後に一体のドールが出現する。ドールとフレデリークの距離は3歩ほどと言ったところ。
フレデリークと全く同じ容姿をしたドールで、手に持つのは今フレデリークが持っている武器の二回り位小さくなったものだ。
そうして背後からフレデリーク目がけて武器を振り下ろす。
223
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 01:05:42 ID:rB9sjoGU
>>222
「そうじゃないの? そうだと思ったけどなぁ・・・」
一転、キョトンとした表情で彼女を見つめる。その瞳は、普通の少女のよう。
純粋さ故の残虐性。よく言われる言葉だが、少女をそれを真の意味で備えていた。
え? と、彼女の言葉と自分に落ちる影で、後ろにある何かの存在に気づく。
少女は反射的に、自分が持つ元々の異能の名を叫んぶ。
「Renforcer le corps! ―――Lion!」
人形が少女の頭目掛け武器を振り下ろす前に、少女には獅子の様な素早さが与えられていた。
塊を担いだまま少女は身体を右へと振り、その瞬間、ドールの武器が先ほどまで少女が居た所を通過する。
そしてドールに振り向きざま、担いでいた塊を振り下ろす。
少女の腕力といえ、500gの棒を前に振るのは容易だ。少女相当の加速度で、塊は少女そっくりのものを襲うだろう。
塊の重量は300kg。だが振り下ろされたそれの衝撃は、それ以上の破壊力を誇る。
ドールが避けるか、それ相応の防御力をもって居ない限り、破壊されるのは火を見るのより明らかだろう。
224
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:2体 E:投擲用ナイフ×2
:2013/01/05(土) 01:24:34 ID:IClMGqVA
>>223
(あの武器での攻撃……防ぐ手段は無い。だから全力かつ速攻で終わらせてあげる)
あそこまでの質量を持つ武器をガードした所で吹き飛ばされた上、ガードの上からでも破壊されるのは目に見えている。
だから避けないし防御もしない。相手に攻撃が当たったと思わせ、とりあえずは一時的にでもそこに意識を向けさせればそれでいい。
そうして最初に作ったドールはあっけなく粉砕される。
「アサルトっ! 行って」
クリオネの前に2体の巫女装束のドール、メイデンを生成。2体はそれぞれ日本刀を1本ずつ持ち、左右に膨らみながらフレデリークへ向かって走り出す。
さらにクリオネは投擲用のナイフをポケットから出し、フレデリークの足に向かってそれを投げる。
2体のメイデンがフレデリークに到着する直前にナイフが当たるくらいの速度だ。
フレデリークから見て右側のメイデンが狙うのは右足の太もも辺り。そして左側のメイデンは左腕を狙う。
(あれだけの物を軽々と扱うと言うのは、筋力を強化しているからなのかそれとも……いずれにしても足をやればそのデカい得物は振るえないよね)
あんなものに近づきたくないと言わんばかりにクリオネは最初の位置から動いていない。
フレデリークがあそこまで巨大な武器を持ちながらドールを掻い潜って高速で接近してくるとは考えにくいと判断したのだ。故に最初からこれだけのドールを攻撃に割いている。
225
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 01:47:09 ID:rB9sjoGU
>>224
人形の生成、操作を扱う能力。
1体目の人形を潰し終えた後瞬時にそう判断した少女は、少女とは思えないほど気味悪く、にたりと笑う。
沢山潰せる。少女の頭の中はその思考が殆どだ。
そう考えているうちに、新たな人形が現れる。2体。どちらも、来る速度は同じ。
少女に複雑な戦術は存在しない。2体とも同じ動きを持って自分を攻撃して来るなら、まずはどちらか仕留めるのが常識だ。
「―――……ッ!」
しかし少女にも弱点はある。単純な思考ゆえ、複雑な処理が出来ない。
2体の人形に気をとられ、脚に向かって飛来するナイフに気付かなかったのだ。そのナイフは脚を掠め、一筋、右足に赤い線が出来た。
一瞬顔が歪むも、異能で得た俊敏さで右側のドールに近づくとすかさず塊を斜めに振り落とす。塊の先端部分がドールに当たるだろう。
リーチの差は言うまでもない。
そしてそのドールを潰すことができれば、そんな巨大なものを振ったとは思えないような軽快な動作で振り返り、
振り下ろしている塊を左側のメイデンに向かって、振り上げる。丁度、ドールの右腕の辺りを塊の先端部分が通過するだろう。
226
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×2
:2013/01/05(土) 02:06:15 ID:IClMGqVA
>>225
少女が笑った気がした。はっきりとは見えなかったが、その笑みに狂気を知るクリオネ。
普通、この幼さで内包する狂気ではない。
(ナイフ外れちゃった……ナイフ投げの練習でもしようかな)
右側のドールが粉砕されるのを見ながらそんなことを考えていた。実際ドールが粉砕されようがクリオネに痛みは無い。
視覚は常にリンクさせているが、痛覚までリンクさせておく必要はない。
さらにフレデリークの攻撃は、左側のドールの右腕に直撃し、持っていた日本刀諸共消滅し、その場に倒れる。が、まだその一体は残しておく。
「あっははは、凄いねキミ。よくそんな重そうなの振り回せるね」
一旦攻撃の手を緩めるクリオネ。
戦闘中でも相手と話したがるのだ。
「でも全然こっちまで攻撃届かないよ。いつまでもそんな戦い方してると…………死ぬよ?」
右腕を失い倒れていたドールが、這いつくばりながら左手でフレデリークの足首を掴もうとする。
同時にクリオネが取り出すのは一本の槍。そしてその場で大きく突く動作をする。
当然、初めの位置から動いていないクリオネの槍は届くわけがない。が、その槍は伸びる。武具生成の能力で、槍の持ち手の部分を生成し続ければ、伸びる武器を再現することが出来る。狙うは腹部。
当然伸縮する能力は無い為、伸ばしたら伸ばしたままで当たっても当らなくても直ぐに破棄するしかないのだが……
227
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 02:25:06 ID:rB9sjoGU
>>226
「"重くない〟よ、こんなの!」
右腕を吹っ飛ばされ、倒れるドールに満足しながらも、彼女の言葉に堂々胸を張る少女。
普通ならば、そんな動作はしないだろう。戦闘中に胸を張るのは完全に無駄な行為でしかないのだから。
だがそれでも少女がそういったことをするのは、ただ単に、褒められたのが嬉しかっただけのことだった。
単純で、純粋で、それだからやる事なす事は残虐で……。それが少女の、全て。
足首を倒したと思っていたドールに掴まれ、一度は驚いて振り返るも、ただの悪あがきだと思うと、
「―――Renforcer le corps、singe……死ぬのは……」
担いでいた塊を翻し、少女の掴まれた足元付近へと塊を振り落とす。狙いはドールの右腕。粉砕できれば、身体は自由なのだから。
枷が外れれば、後は簡単。俊敏さと引き換えに得た身軽さ、跳躍力で持って一気に前方へ飛び上がる。
「……お姉ちゃん、だよ?」
槍を避けると同時に、彼女へと近づいた。着地する前に、少女は振り上げた塊を彼女目掛けて力いっぱい振り下ろそうとする。
少女といえど、その振り下ろしは黒い塊には残像さえ見える。
身体はまだ、彼女に届かない。だが、その塊の先端を彼女の身体へと当てることが出来るのには、距離は十分。
しかし手元が狂ったのか、真正面から当てることが出来ない。彼女が動かなければ、その塊は彼女の右腕を文字通り潰すことになる。
228
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 02:44:02 ID:IClMGqVA
>>227
「へぇ……”重く”ないんだ」
ここで一つの仮説が生じる。彼女の能力は筋力の強化ではなく、武器そのものに何か特殊な仕組みを付与すること。
その特殊な仕組みと言うのが、例えば重さを加減することが出来ると言うもの。振り上げるタイミングでは軽く、振り下ろすときには重くすれば運用に必要な力は少ない。
この仮説が当たっていなくとも、あの武器の重さをそのまま彼女が受けていると言うのはこれまでの言動から考えづらくなった。
(ま、分かったからと言って対処できるような能力でもない。単純かつ強力な能力だね……っ!)
槍を即座に破棄し、フレデリークの攻撃がやや右寄りなのを見て左側に飛ぶ。
飛びながら左手でナイフを一本、フレデリークの右足に投げる。とっさに投げたもので、相手の意識を少しでも自分から逸らすことが目的な為、狙いは悪く、仮に当たっても刃の部分が相手に向いているかもわからないお粗末な投擲。
2,3回転がりながら体制を整え、何とか立て膝の体制まで。いつの間にかクリオネの右手にはサーベル、左手にはラウンドシールドを持っている。
このサーベルは強度と切れ味を最高に保ちつつ、羽のような軽さを備えたクリオネの作る武器で最高傑作の一つ。クリオネが近接戦闘を余儀なくされた場合の主力武器だ。ただし羽の様に軽い為、かち合いにはめっぽう弱いのだが……
しかし、本来この距離はクリオネの距離ではない為、新たなドールを生成する準備をしておく。
「残念だけど、私死にたくないから。そんなので叩かれたら痛そうだし」
229
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 03:03:27 ID:rB9sjoGU
>>228
「うん、全然。だって私、これの重さ感じないもん」
これが普通。そんな雰囲気を少女は持っていた。嘘をついている様子は見られない。
実際、少女は嘘をついていなかった。これの重さ300kgは相手だけが感じる。少女には、棒の重さ500gしか感じることが出来ない。
こうやって簡単に能力のことを教えてしまうのも、単純だから、なのだろう。
そう。少女は能力を教えたくらいで負けるとは毛頭思っていないのだ。
左側へと跳躍した彼女を、感じるがままに塊を振り下ろし、追撃しようと試みた。
しかし視界端にナイフを捉え、考えるべき第1目標はナイフへと変更される。……その結果ナイフが右足をまたもや掠り、切り傷が一つ増えた。
そして彼女の方を向くと、いつの間にか剣と、盾を装備している。―――だが。
「……でもさ、お姉ちゃん」
思考をそのまま口に出す。その内容は、自分がまだまだ相手を殺す手段がありうるということの意思表示。
少し脚を曲げ、跳躍で一気に彼女へと近づく。剣も、盾も、そして彼女がまたドールを出すという可能性をも無視し、
「―――――――私は叩くよ? お姉ちゃんが生きている限り、何度でも!」
そんな言葉を発しながら、着地の前に、勢い良く、左上から右下へと振り落とす。
今回は狙いが完璧だった。動かなければそれは彼女の首を千切りながら進むだろう。だが、如何せんモーションは大きい。
230
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:4体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 03:20:52 ID:IClMGqVA
>>229
「よくもまぁ自分の能力を喋るね。どうでも良いけど……」
そのトリックを攻撃に用いているわけではない以上、それが分かった所で何もプラスにならない。
結局はその大きな塊を何とかしなければならないのだ。
「そうやって、脳筋な戦い方は迂闊だよっ!……ロンド!」
フレデリークが直進してくる事は想像に難くない。この相手、結局のところクリオネと同じで武器による近接攻撃しかまともな攻撃手段が無い。
そう考えたクリオネが次の一手を読むことは不思議なことではない。
4体のショートソードを持ったドールがフレデリークを囲うように四方に現れる。そうしてフレデリークが攻撃してくることはお構いなしに同時に4体が切りかかる。
ロンドで出したドールの性能は最低クラスで、攻撃する位置もまともに定まらずに脚や腕、胴などそれぞれバラバラに仕掛けている。今回の場合、相手が同時に複数の敵を攻撃する手段が少ない相手だとかえっていい結果を生むかもしれないが。
当のクリオネは立て膝の状態からさらに左へ飛ぶ。大きく左上から振り下ろすなら、結果的に自分の真左が攻撃範囲から外れるはずだからだ。
「ははっ、貰ったよ」
直ぐに体制を立て直し、ドールの攻撃にワンテンポ遅れてサーベルで攻撃を仕掛ける。薙ぎ払いも考慮に含め、体制を低くしたまま左下から右上へ切り上げる。
231
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 03:47:22 ID:rB9sjoGU
>>230
「――――私だって、考えるときぐらいある!」
四方を囲まれ、更に前からはサーベルを持った彼女。
端的に言えば、読まれていた。……そんな単純な攻撃、当たり前だが。
しかし、最後まで振り下ろした塊は振り上げない。なぜか。それは少女が考えたこの窮地を抜け出す作戦。
少女は跳んだ。塊を支点に、あたかも棒高跳びのように。
最高到達点は塊の高さ3m。今の跳躍力ならば、ショートソードを持ったドールを飛び越えるのも、難はなかった。
同じ武器による近接攻撃しか出来ない2人。違うのはその武器の大きさだ。
ドール達を飛び越え、丁度彼女の左後ろに着地すればすぐさま振り向き、塊を振り上げて振り落とす。豪、と風が声を上げる。尤も、少女にその影響は無い。
有るのは、今まさに塊が襲いそうな彼女にだけ。真正面から、黒い壁のような剛体が迫る―――。
232
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 04:06:49 ID:IClMGqVA
>>231
「なっ……そんなの有り!?」
全ての攻撃を飛ぶことで躱したフレデリーク。流石にあんなデカい得物を持っている奴が上に逃げるのは想定していなかった。
真正面からの振り下ろし。これを食らう訳にはいかないが、完全な回避行動をする余裕はない。
「なら……行って!」
四体のドールの装備をショートソードからスクトゥムの盾に変更する。
そして全員クリオネの前で盾を展開する。構えは右に坂道を作る様にし、攻撃が当たったらその攻撃が右に流れるようにしてある。
その内にクリオネは左へ退避し、バックステップ。
「あーあ、壊れちゃった」
もとより耐久力も最も低いドールだ。攻撃を逸らして逃げる時間を作っただけで十分だろう。
しかしこのまま消耗戦を続けていれば、燃費の問題からクリオネが不利だろう。仕掛けるしかない。
「あんまり使いたくないんだけどね……アテナ」
言葉と共に現れたのは2mの甲冑を付けたドール。手には身の丈ほどもある2本のショテル。
ドールの背面から中に入り、直接操作する。
「キミみたいなのと正面からやり合いたくないけど、仕方ないよねっ」
一気に加速するドール。そのスピードもパワーもこれまでのドールは比較にならず、一撃受けただけで粉砕などと言うことにもならない。
「はあぁぁっ!!」
高速の接近から両手のショテルを正面でクロスさせるようにして切りつける。
233
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 04:27:02 ID:rB9sjoGU
>>232
「避けられた―――」
ドールを盾にして回避。人形使いならではの回避方法だと少女は感じる。
それなら、と新たな攻撃を加えるべく左を向けば、その目には、大きな甲冑が映る。
あれも人形なのかと思うが早いか、その彼女が乗ったドールが自分目掛けて走ってくる。
なるほど、アレが奥の手……ならば、自分も奥の手を出さざるをえない。少女は塊を構え直す。
「Renforcer le corps! ―――Lion!」
切り込んできたドールに対して塊を前に出し、盾とする。鋼鉄級の硬さを誇る塊に傷こそ付くものの、壊れることは無い。
アテナと呼ばれたそのドールのスピード、そして押すパワーに驚きながらも、300kgのその塊は負けてはいない。
詠唱で俊敏さを得た少女は、ショテルが戻りきらないうちに一気に背中へと駆ける。
「――――はぁぁぁっ!」
背中へと回っても、回りきれなくても――――――少女はその塊を、力の限り右から左へと振りぬくだろう。
234
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 04:45:31 ID:IClMGqVA
>>233
「そう簡単には……って訳ね」
この一撃を持ってもやはり砕けない相手の武器。この質量武器自体を崩すのは今は無理だ。
やはりどうしてもその使い手を撃つ必要がある。
「……っ! やっぱ早いねっ」
片足を軸にして体を回転させ、フレデリークを常に正面にとらえる。だが、その攻撃動作事態を未然に防ぐことは出来なかった。
強力な武器と速く、小回りの利く体。非常に厄介だ。
ここで取る行動、それは前進だった。こちらは巨体である以上、スピードが速くともこの至近距離で避けるのは難しい。
ならば、その攻撃が最も速度が乗るタイミングよりも早く受けてしまえばいい。左腕を前に出し、そのまま相手の攻撃に前進しながらぶつける。
強化されたボティにさらに甲冑を付けたこのドールをもってしても耐えきることが出来ない攻撃。左腕の甲冑が砕け、左腕の素体にもひびが入る。アテナは動かす際に痛覚までもリンクするデメリットがある。
つまり操作しているクリオネの左腕も同時に砕けたと言っていい。
「ぐうぅぅぅっ!……まだっ!」
この密着状態でショテルは振れない。ならばと、ショテルを持ったまま右手でフレデリークの腹部目がけてアッパー気味にボディーブローを放つ。
巨体故に大振り感はあるが、今はそれが精いっぱいだ。
235
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 05:06:26 ID:rB9sjoGU
>>234
「っがぁ……っ!」
速度が乗る前に止められる。いくら500gしか感じないといっても、その拳より早く塊を動かすことは不能だった。
振りぬかれる右手。しかし、そのまま喰らうわけには行かない。あんなもの喰らえば、吹っ飛ばされる。
だから全力で身体を右に動かす少女。回避というわけではないが、ダメージを軽減することが出来た。
勿論その衝撃も少女を伝わり、左に避けたことで身体は吹っ飛ばされようとしている。
しかし、内蔵をやられたらしく口から血を吐き出す少女はまだ諦めていない。
「……喰ら、えッ!!」
吹っ飛ばされるエネルギーを使ってくるりと1回転すると、そのまま同じ様に塊を薙いだ。ドールの右から左に薙ぐことになるだろう。
しかし今回の狙いはドールの首。ドールの首を折れば、機動の低下は間違いないと。
まだ痛覚のリンクについては知らない少女だが、こんなときだけ勘は働く。
ドールの首から上を刎ね飛ばそうと塊を持ち上げ、フルスイングした。
236
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 05:30:56 ID:IClMGqVA
>>235
「っ! いい加減にっ!!」
しつこくも攻撃を貰いながらこちらの首を狙てくるフレデリークを見て、一歩踏み出す。
同じ攻撃パターンならさっきと同じ方法で防御が出来る。どうせもう左腕は使い物にならないのだから、さらにへし折れようとも問題ない。
そうして踏み出した後に左腕を上げて防御しようとした
「っ……。そう…………」
あっけなく吹き飛ぶ首から上。左腕は上がっていない。痛みや損傷で上がらなかったのではない。
どれだけ痛かろうとも筋肉で動いているわけではない以上、動力さえあれば動くのだ。
なぜ左腕が上がらないか。その動力が無いからだ。
首から上を吹き飛ばされた勢いで後方へやや飛ばされながら仰向けに倒れるアテナ。
中からクリオネが這いながら出てくる。アテナは光の粒子となりながら徐々にその姿を消そうとしている。
幸いなことは、魔力が切れたことによりアテナとのリンクも切れて頭が飛ばされた痛みを感じなかった事か。
とは言え、巨大かつ重いドールの中に居て、そのドールが倒れたのだ。リンクなど無くともそれだけで相当な衝撃がある。
(ぐっ……シートベルトでも付けとけば良かったよ……)
何とか這い出たクリオネは立て膝の体制でフレデリークを見る。
「残念だけど時間切れ……負けたよ」
左腕の痛みと全身の打撲。何よりドールを保つことすらできない魔力残量。
思えば、あれだけの数のドールを出しておいて決定打を与えられなかった時点でこの結果は決まっていたのかもしれない。
「殺す? まぁ模擬戦だしそれも良いよね。模擬戦場の外じゃ絶対にしない選択だし、経験ってことで」
ははっ、っと言葉にするが、その力は弱弱しい。追撃をかければ抵抗どころか回避も不可能だ。
237
:
フレデリーク=ルヴィエ(灰髪黒ローブの少女)
:2013/01/05(土) 05:53:34 ID:rB9sjoGU
>>236
「……ッ!」
やった、と思った。頭を刎ね飛ばし、更にそのドールすらも消えたのだから。
ドールを維持できなくなったのか、彼女はドールから抜け出してきた。……立て膝で言を発する彼女を、じっと見る。
こうすると、まるで自分が何時もやっていることみたいだ……そう思うが早いか、少女は口から多量の血を吐いた。
ぼんやりとした意識。しかし少女は倒れることなく、彼女を見据え続ける。
そして、彼女の顔面を弾こうと塊を振り上げ―――、少女の動きが止まった。
「……やーめた……お姉ちゃん結晶持ってないし……じゃーね」
それは、ただ単に少女の目が彼女に反応しなかったからなのかもしれないし、そうではないかもしれない。
しかし別に彼女に対して特別な感情が芽生えたわけでもない。
だが少女は振り上げた体勢からその塊を消すと、残った棒をローブの中に仕舞い、その身を翻す。
少女は模擬戦場から出て、何時もの町へと戻っていく。――――――殺人鬼は気まぐれだった。
/ね、眠いのでここらで〆させてくださいませ・・・お疲れ様でした、そしてありがとうございました!
238
:
クリオネ 人形使い 生成中の人形:1体 E:投擲用ナイフ×1
:2013/01/05(土) 06:00:58 ID:IClMGqVA
>>237
「……変な奴」
おかしなことを言うだけ言って去っていた。
倒した相手を殺さず、結晶とか言う意味の分からない事を言いだして……
「あーあ。これだから真っ向勝負は嫌」
クリオネは大の字に寝転がり、暫しの時を過ごした。
今日の反省と、今後の事を考えながら。
//こちらこそありがとうございました。私も眠いです
239
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 21:19:00 ID:z9gD.lO.
今回のテストの内容はこうだ。
追加武装無しでどこまで動けるか。
このテストの結果如何によっては星の君は公式ヒーローを外される。
認められた武装は希ガスレーザーカッターとヒートウィンド。
「模擬戦場をテストの場にするとはな…。
予算の削減でも食らったか?」
まあ、いい。相手を待って、来れば倒す。それだけの話だ。
240
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 21:25:48 ID:z9gD.lO.
「追加武装はあとから投下する。
とりあえず、仕事が出来るところを見せて欲しいというのがマネージャーの意向だ。」
そんな通信を鼻で笑う。
「つまり星の君を潰せる兵器をそこかしこのカメラで撮影したいだけか。
僕をピンチにして、新兵器投下の後に相手をぶっ潰す。
おもしろいコマーシャルだね。」
241
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 21:28:41 ID:u5M7Lrbk
>>239
「……いっやあ〜、お互い苦労してるようで」
「あ、どもども、ICODの矢嶋でっす」「今後ともよろしくねぇーって」
戦闘の場においても、矢嶋はいつもの、雰囲気にそぐわない軽薄な笑みを湛えていた。
表情に見え隠れする、自嘲の色。
矢嶋もまた、その任務遂行力を疑問視され、上から試されている──という訳だった。
「…言ったって、これから殺し合う身なんだし」「模擬戦だけどさ」
「模擬だのチビッ子だのって言っても、僕も首がかかってるもんで、全力でやらせて貰うよ?」
くい、と眼鏡を押し上げて、口角を釣り上げてみせる。
軽薄さは依然としてそのままに、腰に差していたテイザー銃と警棒を、それぞれ左右の手に握るのだった。
242
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 21:34:20 ID:z9gD.lO.
>>241
しばらく考え事をしてから矢嶋に質問を投げかける。
「なぜICODの尉官がこんな場所に召喚されている?」
質問をしながら腰の装置のスイッチを入れる。
電磁シールド。だたしこれは念のためのものでしかない。
星の君にはどうしようもない弱点があるが、それが強みでもある。
「矢嶋 浩…25歳…本籍日本国…ICOD少尉…
このテストは何だ?」
243
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 21:47:33 ID:u5M7Lrbk
>>242
「……いっやあ、それがさ?」
「…ん?ちょ、ちょっと待ってくれるぅ?なんでキミ、ボクの名前も階級も知ってんのぉ!?」
戦闘の兆候は、未だに無かった。
それどころか、矢嶋は芝居がかったよう仕草で後頭部を掻き、剽軽に慌ててみせる始末。
「…そっちの詳しい事情は知らないけど」
「ボクの場合はお前ホントに強いの?ってお上に思われてる訳」「盆栽のさ、枝の選別と一緒だよねぇ」
けほんと咳払いをして、それから右手に構えていた警棒を収め直す。
背広のポケットから取り出したコピー紙を広げて真っ直ぐに突き付け、それを嫌気に満ちた表情で示した。
そこには噛み砕いて言うと、模擬戦をして自分の価値を証明しろ、といった旨の文書が書かれているようだった。
およそ戦闘とは無縁の愚痴を零す中、両者の丁度中間辺りの地面が波打ったのに星の君は気付けるだろうか。
流体さながらの波紋を刻む、さざ波だった。それはゆっくりと、だが確実に、彼女の方へと近づきつつある────
244
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 21:57:31 ID:z9gD.lO.
>>243
「素直に言えば私はそんなに強くないぞ。」
揺さぶりでもなんでもない。平然と言ってのけた。
「AMSスタッフの中でもPASF、とくにICODのメンバーは
情報の秘匿が殆どなされて…はいるが、できていない。
矢嶋浩…このポジションでこれほどしか情報がないのが奇跡だ。
例えばだ、お前の同僚に小寺京太郎がいるだろう。
そいつは能力の全てまでもが全ての組織に筒抜けだ。
前線に出る部隊隊員達の宿命だな。」
「なるほど…Z.O.はスタッフの能力の秘匿、隠匿には長けている。
わたしの力が見たいのか?なら…見せようか。」
ギャリリリリリ!と耳障りな音が両者の間に鳴り響く。
ここで星の君は悟る。何かがこちらに向かっていたのだと。
245
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 22:11:15 ID:u5M7Lrbk
>>244
「え?小宮さんってあれでしょ?特攻野郎だとか、呼ばれてたりするっていう」
「そっりゃあ、アレと比べちゃ目立つもクソも無いって」「…ヤバ、これ、ひょっとして失言?」
けろけろと笑いながら、右手で器用に、用紙を折りたたんでいく。
それを仕舞おうと背広の──〝内ポケット〟に手を入れた、その瞬間だった。
一瞬、これまでの億劫そうな態度を覆す不敵な笑みを零すや否や、
矢嶋は手際良く背広から〝拳銃を握った手〟を引き抜き、星の君の脚部へ向けて実弾を一発、発砲する──
隙は少なかったが、この状況下だ。ポケットに手を入れた時点で警戒できるだろう、精度も低く、回避は容易い。
246
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 22:12:57 ID:u5M7Lrbk
/
すいません、描写忘れです
件の波は星の君さんへの接近を続けている状態です、遅いので、気付いていれば引き離せます
247
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 22:17:33 ID:z9gD.lO.
>>245
そんな回避の容易い攻撃に星の君は光る粒子を飛ばしてきた。
「?!ふぅ。。。そういえば試合は始まって…」
信じられない加速度に乗った速さで目の前に星の君が現れる。
その星の君はアルゴンガスレーザーナイフの一閃を試していた。
「そういえば試合は始まっていたな。」
対象温度を7万度に上昇させるレーザーナイフが矢嶋を薙ごうとする。
248
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 22:18:54 ID:z9gD.lO.
>>246
// ではそこに速く突っ込んでみるとしますw
249
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 22:34:08 ID:u5M7Lrbk
>>247
>>248
「そそ、本当はもうちょっとスマートに行きたかったんだけどねぇ」
星の君が見せた目を見張る加速に内心驚愕しつつも、依然として表情は崩さず。
矢嶋という男は過剰な程の自信家であり、勝算のあるうちは断じて、自らの勝ちを疑わない性格をしていた。
「───〝エージェント・クライシス〟」
「かくしてキミは、僕に指一本触れられずに敗北を喫する訳だ」
なんつって、とほくそ笑みながら、彼の言に反応するかのようにしてさざ波が〝盛り上がる〟。
砂粒を流体のように撒き散らす様は、さながら水中から浮上してきたような光景だったろうか。
地面から露出したのは透明感のある青色をした、丸みを帯びた腕だった。
赤く輝く単眼を備えた頭、そして両肩に次いで胴体、足──急速にその全容を見せる矢嶋の半身、青い人型。
星の君の行く手を遮るようにして出現したそれは、浮上の勢いをそのままに、彼女の顎に拳での一撃を繰り出す。
250
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 22:46:48 ID:z9gD.lO.
>>249
「わたしの能力と似ている、粒子か何かの使い手?」
腕か、腕で抑えるのも良いが…
「いや、似ていない。」人型になったそれを知覚して認識する。
アッパーカットは彼女の力のビジョン、新物質で緩衝する。
宙高く放り上げられるが、地面に粒子の輪をぶつけて反作用で着地。
「色々試してみるしかないか。」
星の君は粒子を固めて棘を数十作ると矢嶋に射出した。
そしてこの時にこっそりヒートウィンドを起動していた。
たった300℃の熱風もマッハ6の高速で射出されれば、
その摩擦効果によって標的を最大2800℃まで加熱する。
まずは異能の棘を使って矢嶋を狙う。
251
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 23:02:13 ID:u5M7Lrbk
>>250
「棘…か、そんなもんじゃ僕の〝これ〟は破れないよぉっと?」
形成されるその隙に、矢嶋は自らの半身に駆け寄り、その巨体を以て射出された針をやり過ごす。
弾力のある青いボディは、衝撃ごと急襲するようにしてそれらの尽くを防ぐ──のだけれど。
それと同時に矢嶋自身が胸部、ワイシャツに赤いシミを作っていた事に、星の君は気付けるだろうか。
「うぅん、中々潰しの効きそうな能力だこと……ぶっちゃけ弱い僕じゃ、太刀打ちできないかもねぇ」
なんて、心にも無い事を呟きつつも、矢嶋は手にした拳銃を構えて──
──それと同時、傍らに居た彼の半身が一瞬、熔解じみた崩壊を見せてから〝姿を消した〟。
それから間髪入れずに発砲して放たれた銃弾は〝狙い通り、正確〟に彼女の真横の地面を抉ろうとしていた。
252
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 23:12:52 ID:z9gD.lO.
.
>>251
「その棘は陽動だ。避けた所を狙うのが本来の狙い。
まっすぐ向かってくるとはな。」
星の君の頭の上に天使の輪、天輪のような物が現れ、
それが地面に叩きつけられると星の君は反作用で跳躍する。
「認めよう。お前は強い。だから…対峙はしない。蒸発しろ」
半身を消した矢嶋をみてまゆをしかめる。
今までいた所の地面の抉れも気にはなるが…。
「ヒートウィンド、射出…」
一瞬の風射出が矢嶋(?)を襲う。
矢嶋の星の君に見える部分が2800度まで加熱される。
253
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 23:27:48 ID:u5M7Lrbk
>>252
「飛ばせないよ───〝エージェント・クライシス〟」
星の君が輪を形成した瞬間に、矢嶋は再び、自らの半身を呼んだ。
エージェント・クライシス第一の能力──〝物体への潜航〟。半身は今、矢嶋が撃った銃弾の中に潜伏していた。
即ち彼女の足元で奇襲の時を伺っていたのだが──跳躍を目前にして、咄嗟に計画を変更して。
先程と同じ要領で地面から半身は、状態だけを露出して彼女の足を掴もうと迫る。
掴んだならば、その巨体と筋力を持って力任せに星の君を地面にたたきつけようとするが───?
子細を知る由は無かったが、明らかに〝マズい〟ものが起動している事には感づいていた。
これが失敗したならば、矢嶋はヒートウィンドの直撃を受ける事に相成るだろう。
254
:
星の君(小柄な英雄 変声機使用)新物質生成
:2013/01/05(土) 23:39:15 ID:z9gD.lO.
アクティブ・ディナイアル・システム 。
ミリ波の電磁波を対象物に向けて照射するとで誘電加熱により、表面温度を上昇させる装置。
火傷を負ったように錯覚させる装置がある。ヒートウィンドと称して放ったのはこれだが、
彼は立ち上がってくるだろうか。これで死ぬ生き物はまず居ないわけだが。
電磁バリアと彼女の異能の粒子の作用で叩きつけられることは回避される。
首の横に希ガスレーザーナイフを向ける。
「まだやるかい?」
255
:
矢嶋 浩/スーツにメガネの青年 【ICOD】
:2013/01/05(土) 23:57:52 ID:u5M7Lrbk
>>254
「────うぐぅっ!?」
突如として、全身を襲う熱──一応の軍務を経ていた経験から、その正体を察していた。
よもや、法の番人がこれをその身に受けるとは。皮肉めいた思考をしながら、矢嶋は地面に崩れ落ちる。
立ち上がる事は無かった───が。
「まだまだ、勝負はこれからさ───って、言いたい所だけど」
矢嶋のエージェント・クライシスは本体の健康状態にその性能を左右されない、言わば独立した異能だ。
即ち、星の君の傍らにはまだ五体満足で戦闘を行える─尤も、矢嶋自身に戦闘能力は殆ど無い─戦力が居た。
「喉元にそんなもの突きつけられちゃあ、まあ無理だよねぇ」
「完敗だ、僕の負けでいいよ」「…はぁ、減給かはたまた降格か…どちらにせよ、お陰様で忙しない年始になりそうだよ」
行使者である自分が言わば人質に取られているこの状況下において、矢嶋は、半身に攻撃の号令を下す事が出来なかった。
それは、自ら命を絶つようなもので──死の恐怖は矢嶋にとって、どうやら出世欲を凌いでいるようだった。
引き攣った笑顔で力無く皮肉を述べてから、手にしていた拳銃を取り落す。それと同時に、半身もその姿を消すのだった。
/
お疲れ様でしたー!
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