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( ^ω^)優しい衛兵と冷たい王女のようですζ(゚ー゚*ζ 第三部

57 ◆MgfCBKfMmo:2016/06/11(土) 21:15:19 ID:9ibHGYpc0
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 ヘルセの町を囲む山々から緑は次第に消えていった。
 まばらな枯れ木に鴉が数羽、遠くへ向って鳴いている。空っ風を呼んでいるみたいだ。
 冬は専ら乾燥の季節。雪を降らせる雨雲も滅多に立ち止まらなかった。

 丘陵地帯の僅かな盆地に這うように伸びたこの町の、貴重な繁華街をニュッ君は歩いていた。
 雑草まみれの石畳を軽々と歩いていた。袋はたくさんあったが、まだ買い物にでたばかりであり、ほとんど空だった。

 コーヒー豆に、サンドイッチやパスタの材料、掃除用具に事務用品。
 事前に調べて置いた買うべき物をメモ帳に記載してある。すでに購入したものには大きく×印を書いた。
 デミタスから頼まれたものはほとんどコーヒー関連のものだけで、あとはニュッ君が自分で買うべきだと考えたものたちだった。

 大通りを見渡してみれば、幌を張った馬車に乗った買い物客が何人かいた。
 高い声で笑い合っているのが聞こえてくる。何の変哲もない平日なのに、家族連れの人もいた。

 ニュッ君は一旦見つめた後、周りに聞こえるくらいの大きな音で鼻を鳴らし、さっきよりも力強く地面を踏みしめ、帰路を急いだ。

 あと何キロあるのだろう、と頭に暗い疑問が過ぎったそのとき、脇を通る人が急に立ち止まった。
 気配を感じて、ニュッ君も振り向く。


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