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川 ゚ -゚)は探しているようです
1
:
◆2z7bKNbsWo
:2014/02/24(月) 23:00:34 ID:rpim4zdM0
こんばんは
長らく間をあけてしまってすまんこってすたい
完結までもっていくべくがんばるです
あと三話くらい、全27話の作品になりそうです
こっちでじっくりひっそり投下していくです
まとめてくだすっている神サイト様
boonsoldier.web.fc2.com/sagasu.htm
2
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:01:58 ID:rpim4zdM0
楽しげで旋律豊かな、デレの歌うソプラノが流れていた。
彼女は明るい森の道を、後ろに二頭の銀色の狼を従えて、
弾み歌いながら歩いていた。
子供達の群れが、その後を追いかけてくる。
その中には、もうすっかり現地の村になじんた、少年ブーンの姿があった。
川 ゚ -゚)は探しているようです 第二十五話
3
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:02:46 ID:rpim4zdM0
一.
( ^ω^)「デレねーちゃーん!」
駆け寄ってきたブーンは、二匹の銀色の狼を跳びこえて、
そのままデレの背中へと飛び乗った。
ζ(゚o゚ *ζ「きゃっ!」
突然の乱暴で歌を中断されたデレ。
ζ(゚、゚*ζ「もう!
危ないことしないの! ブーン!」
デレは言って、ブーンの手をとってやり、ゆっくりと地面に下ろしてあげた。
上を飛ばれた二匹の狼は、牙を剥いて低いうなり声を出し、
自分たちを飛び越えるというブーンの不行跡に対して、精一杯不満の意を表している。
4
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:03:29 ID:rpim4zdM0
( ^ω^)「ねーちゃん、うた、うた」
ζ(゚、゚*ζ「…?」
( ^ω^)「いまの歌、好きだお! ねーちゃんは歌がうまいお!」
ζ(゚ー゚*ζ「そう。ありがと」
( ^ω^)「それ、なんて歌だお?」
いまブーンが喋っている言葉は、デレたちと同じ、現地の部族語である。
子供の吸収力の速さゆえか。
ブーンはこの村に来て、同い年の子供達に混じって遊ぶようになると、
驚くような速さで、彼らとの会話を成り立たせるようになったのだ。
5
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:05:27 ID:rpim4zdM0
ζ(゚ー゚*ζ「ん。これはねー…。
名前は知らないけど、私達は”鳥の歌”って呼んでるかな」
( ^ω^)「とり?」
ζ(゚ー゚*ζ「そう。空を飛ぶ、あの鳥。
これはね、私達の部族に、古くから伝わる歌なの」
( ^ω^)「ふーん。
ブーンはこのうた好きだお! わくわくするんだお!
ねーちゃんも、その歌が好きなのかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「大好き。いい歌よ。
それに、鳥の歌って名前が良いじゃない。
私の守護精霊は鳥だから」
( ^ω^)「あっ、しってるお!
ねーちゃんの本当の名前は、ノ…」
6
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:06:27 ID:rpim4zdM0
ζ(゚、゚*ζ「こらブーン!」
デレはすばやく、ブーンの口をふさいで、言った。
ζ(゚ー゚*ζ「人のほんとうの名前は、気軽に口にしちゃだめって言ってるでしょ。
悪霊に聞かれたらどうするの。
本当の名前がばれちゃったら、呪いのまじないをかけられちゃうんだから!」
( ^ω^)「そうだったお! ごめんなさいだお…」
( ^ω^)「でも、ブーンもとりが好きだお!
とりは飛ぶんだお!
ブーンもあんなふうに、空を飛ぶんだお!」
ζ(゚ー゚*ζ「そう……」
7
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:07:46 ID:rpim4zdM0
ブーンの言葉に、少し表情に翳りのさしたデレ。
だが、ブーンはそんなデレの様子に気付くことなく、
変わらず子供らしい声を張り上げて、言った。
( ^ω^)「ねーちゃん!
さっきの歌、もういっかい聞きたいお!」
ζ(゚ー゚*ζ「ん、そう?
じゃあ歌ってあげる。
いい機会だし、ブーンも覚えなさいね」
本当にしたいのなら
あなたは方法を見つけるでしょう
本当にしたいのなら
あなたはその日をつかむことができる
本当にしたいのなら
空だって飛べるでしょう……
8
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:09:02 ID:rpim4zdM0
暖かい日だった。
日差しはやわらかで、風には新鮮な香りがあった。
木漏れ日に乗せてデレの歌声が運ばれていくあいだ、
ブーンはうっとりとして、デレと手をつないだまま、美しい旋律に聞きほれていた。
9
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:09:53 ID:rpim4zdM0
歌が、緩やかな導入部から起伏の鋭い遷移旋律に移るあたりで、
デレの足元でおとなしくうずくまっていた狼が、
二頭とも耳をぴんと立てて、起き上がった。
( ^ω^)「お?」
狼は森の道のほうを向き、何かに注意を向けている。
デレは自然に歌を止め、狼たちの向く方向に注意を集中した。
ζ(゚、゚*ζ ……
ζ(゚、゚*ζ(これは)
規則ただしく、土を叩く音。
馬のひづめ音だ。
風に乗って届く音はごくわずかだが、これは、早駆けの馬の足音だ。
しかも、蹄に鉄を打った馬。
森の木々に隠されてその姿こそ見えないが、こんな音を立てるのは、「白い人間」たちの馬だ。
10
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:10:27 ID:rpim4zdM0
ζ(゚、゚*ζ(部族のものではない、白い人間が近づいてくる……)
デレはブーンの手を引き寄せ、自分の後ろに隠れさせた。
ややあった。
音は着実に、デレたちのところへ近づいているようだ。
単調な早駆けの音は、いまや耳をすませなくとも、はっきりと聞こえている。
いまや早がけの足音に混じって、乗っている人間の立てる音も聞こえてきた。
金属と金属が触れ合う音――おそらく剣やピストルが、鎧や馬具に当たるときに発する、
あの神経に障る、微妙で定期的な連続音――
それらの音は、騎馬の「白い人間」が、武装していることを表している。
11
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:10:54 ID:rpim4zdM0
狼たちは、未だ姿の見えない騎馬に向かって、低い低いうなり声を上げ始めた。
さきほどのブーンにして見せた戯れまじりのものではない、
今度は、彼らの本気のうなり声だった。
12
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:12:23 ID:rpim4zdM0
突如、眼前の茂みを破って、
栗毛の大きな伝令馬が、デレたちの前に飛び出した。
緑の葉を散らし、全身に汗をかいた軍用の伝令馬にのっていたのは、
顔半分と体の多くの部分に包帯を巻いた、青い軍服姿の、
フサだった。
ミ,//Д゚彡「わっ! うおっ!」
彼は、森の中を全速で駆けていたのだが、
目の前に突如現れたデレたちの姿に驚き、
馬を棹立ちにさせ、その場に立ち止まってしまった。
ζ(゚、゚*ζ「……フサさん!」
( ^ω^)「あっ! ひげのおっちゃん!」
13
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:12:50 ID:rpim4zdM0
ミ,//Д゚彡「おっ、おう、お前らか!」
( ^ω^)「おっちゃーん!」
ブーンはうれしそうに声を上げて、フサのほうに駆け寄ろうとしたが、
すぐに、その尋常ならざる表情と、
顔に巻かれた包帯が、滲み出した血で真っ赤に染まっていることに気が付いた。
( ゚ω゚)「お、おっちゃん! その顔!」
14
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:13:56 ID:rpim4zdM0
ミ,//Д゚彡「デレ、ここにいたか、探す手間が省けたぜ!」
言いながら、フサは栗毛馬の鞍から飛び降りて、
ブーンとデレのほうへと駆け寄った。
( ゚ω゚)「おっちゃんどうしたお! 血が出てるお!」
ミ,//Д゚彡「ブーン、すまねえが後だ!
おっちゃんはデレねーちゃんにな、急ぎの用事があるんだ!」
ζ(゚、゚*ζ「私に用事…?
それよりフサ、その姿! どうしたの! 怪我が……」
言いかけたデレを遮って、フサは大きな声で、話した。
ミ,//Д゚彡「すまねえデレ。
挨拶は抜きで、質問は後だ。
急ぐんだ、片時も無駄にはできないんだ!」
15
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:14:33 ID:rpim4zdM0
ミ,//Д゚彡「ええと、まずは」
フサは斜めがけにした軍用鞄の中を探し、一通の文書を取り出した。
海軍本部の封蝋が押してある帆布の包みだったが、
ずいぶんあわてて作成されたもののようで、
蝋の端には黒いススが付着したままだったし、印は中心からずれた位置に押してあった。
ミ,//Д゚彡「あったあった。
デレ、おめえニューソク語の字は読めたっけな」
ζ(゚、゚*ζ「えっ。うん、少しは……」
ミ,//Д゚彡「ならこれ読んでくれ。
俺と違ってクーが書いたものだから、長いけど、解りやすいと思うから」
そう言って、フサは帆布の包みから、文書の束を、デレに手渡した。
16
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:16:04 ID:rpim4zdM0
デレは文書を受け取りつつも、
視線は、目の前のフサから離すことができなかった。
彼が身に着けている、青い植民地軍の軍服からは、濃い硝煙の臭いがする。
いくつかの真新しいかぎ裂きは、剣でつけられたものだろうか、
それとも唸りをあげるマスケット銃の弾丸や、熱された砲弾の破片によるものだろうか。
何より、顔を半分覆った血塗れの包帯と、胴と腕を固定した包帯は、
フサが戦いの中でさんざんに痛めつけられたことを、偽りなく物語るものだった。
心配顔のデレに、フサは身振りで再度、文書を読むように促した。
それで、デレは手の中の、薄い黄色の海軍用通信用紙に、視線を落とした。
それは、次のような戦いのあったことをデレに伝える、
長い長い、クーからの直筆の手紙だった。
17
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:19:21 ID:rpim4zdM0
ニ.
時は、いささか遡る。
( ・ω・)「手ぬるい!!」
カラマロス大佐のドラ声が、軍営の会議室に響いた。
ここでは、植民地の主だった人間が詰め、
迫り来るニューソク本国軍への対応を決める会議が行われていた。
本国軍を率いる老将軍フィレンクトとタンブルストンは、
八千の兵力をもって、ここニューソクタウン占領に向けて、すでに動いているという。
ニューソク本国はついに、武力をもって、植民地を本国に併合する動きを見せたのだ。
( ・ω・)「なにが遊撃戦か! なにが撤退か!!
相手は八千の兵とはいえ、本国からこちらに来たばかりの新兵の群れよ!
植民地戦争で鍛えられた我が精兵の敵ではないわ!!」
激昂して立ち上がる大佐の向いには、論戦の相手、ドクオ海尉が座っていた。
('A`)「大佐。その「我らが精兵」は、対ブラゲ植民地戦争のおかげで、今や定数の八割を割る兵数しかいないのです。
またニューソク本国軍に叛旗をひるがえすとなれば、現王に忠誠心を持っている兵の中からは、脱走者も出るでしょう。
これだけの兵力差があるというのに、馬鹿正直に真正面からぶつかっていくのは……」
( ・ω・)「兵力差だと!? ふん、臆病風に吹かれおったか!
敵を討たんとする攻撃精神に溢れてさえおれば、
幾万の敵をも、ものともせんわ!!」
18
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:19:45 ID:rpim4zdM0
植民地は、本国に併合されるを良しとしない。
本国軍の軍事行動に対しては、軍事行動をもって対抗する。
そこまでは植民地会議ですんなり決まったものの、
どのような軍事行動を取るかについては、カラマロス大佐とドクオ海尉の間で、意見が対立していた。
ドクオは、遊撃戦を主張した。
首都ニューソクタウンはいったん本国軍に開けわたし、植民地軍は小部隊に分かれて各地に潜む。
そのうえで、この広大なヴィップ大陸に点在する街々を説得して独立戦争に同意してもらい、
味方に引き入れて軍を整えた後に、本国軍に決戦を挑むという案だ。
一方でカラマロス大佐は、即時の会戦を主張した。
首都を明け渡すことはしない。
市内の軍営にいる手持ちの兵だけで、進撃してくる本国軍を迎え撃ち、
平原での会戦で一気に打ち破ってしまおうという案。
19
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:20:48 ID:rpim4zdM0
即時会戦は強引すぎるんじゃないか、とのドクオの抗議に対して、
カラマロス大佐は顔を真っ赤にして応じ、怒鳴り散らした。
(# ・ω・)「そんな弱腰では勝てる戦も勝てんわ!!
戦は数ではない!! 必勝不退の決意こそが、戦の要諦である!!」
それは、植民地軍の現在の実数が三千人ほどであることを考えると、
あまりに強引で、現実を無視した提言であると、ドクオには思えた。
しかし、植民地におけるカラマロス大佐の発言力は強かった。
大佐は、先の対ブラゲ戦役を指揮し、植民地軍を勝利に導いた立役者であるし、
植民地軍を構成する大半の兵士は、大佐の直接の指揮下にある陸軍兵なのだ。
主力兵を率いる大佐の意見に、表立って逆らうことは難しかった。
20
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:22:18 ID:rpim4zdM0
いっぽう、議論が戦わされている円卓の上席には。
ウェーブのかかった金髪を乱れたままにしたアーネムが、
何もいわずに瞳を伏せ、卓上のカップを眺めていた。
彼は、まだ寝巻き姿だった。
公邸で寝ていたところを、突然、義弟のタンブルストンに襲撃され、
着の身着のままでこの軍営にまで脱出してきたのだ。
彼の心はまだ、突然の出来事のショックから、立ち直ってはいなかった。
まさか。
まさか、あいつが。
21
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:25:35 ID:rpim4zdM0
公邸を襲撃した近衛兵を指揮していたのは、義弟タンブルストンだったと、伝令は報告した。
最初は、報告が間違いだと思った。
だが、時がたち。
伝令が刻々ともたらす報告は、すべて、最初の伝令の正しさを裏付けていた。
そして今、このニューソクタウンに迫り来る本国軍を率いているのも、
義弟であるタンブルストンだという。
我等が街、ニューソクタウン。
アーネムとタンブルストンの統べる街。
( ´_ゝ`)(それを私から、武力で奪い取ろうというのか? なあ弟者よ)
いや、そんな、そんなはずはあるまい。
そうだ。きっと、何かわけがあるのだ。
きっと弟者は何かの理由があって、形だけ、襲撃の先頭に立ったにすぎない……
22
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:26:19 ID:rpim4zdM0
だが、ふと、思い至る。
前夜の会食の席上、義弟は言っていた。
(´<_` )「ニューソク近衛兵に入らないかと誘われている。入隊すれば、罪は不問に…」
そのことに思い至った時、彼は、目眩のような衝撃を受けた。
あいつが、俺を裏切って、自分の安全を、保身を図ったと?
( ´_ゝ`)(そんなことは、ありえない……)
アーネムは俯き、崩れた髪に、再び両手を差し込んだ。
そして、片時でもそんなことを考えた自分を、責めた。
23
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:26:57 ID:rpim4zdM0
だが、否定しようとすればするほど、
裏切り、というビジョンが、現実味を持って彼の脳裏を駆け巡る。
それは、無理のないことだった。
アーネムは王の私生児として、裏切りと策謀、宮廷のあちこちの片隅で練られる陰謀を、
小さい頃から間近で見続けてきたのだ。
ときには彼自身が、野心家の廷臣の立てた謀議に巻き込まれたこともあった。
そんな世界で育った彼は、必然、徹底したリアリストの考えと、明け透けな性格を身に着けることになった。
裏切りには慣れている。
笑顔で近づいてくる廷臣はいつだって、アーネムを利用しようとして近づいていたのだ。
裏切りには……
24
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:28:43 ID:rpim4zdM0
ふと、アーネムは気がついた。
卓上の目が、みな、自分に注がれている。
進まない議論、果てしない意見の衝突の末に、
一座の者は、この場における最高権威であるアーネムの意見を、求めていたのだ。
( ´_ゝ`)「あ、ああ……」
彼は顔をあげ、円卓をひととおり見渡した。
そして、議論を思い返した。
カラマロス大佐の言う即時決戦か、
それともドクオ海尉の言うタウンを明け渡し、撤退か。
( ´_ゝ`)「私の意見か。
……そうだな。ニューソクタウンの明け渡しという案は、賢明ではないだろう」
言って、座の反応を確かめた。
25
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:29:39 ID:rpim4zdM0
カラマロス大佐を初めとする主戦派の面々は、意を得たりと、大きく頷いている。
対するドクオ派の議員や士官は、
アーネムの言葉には続きがあるものと思い、それを待っている。
だが中で、ドクオの問いかけるような目が、一座を見渡すアーネムの視線とぶつかった。
ドクオの存在感は、相変わらず、
アーネムのささくれだち、鋭敏になっていた神経に、苛立ちを覚えさせた。
( ´_ゝ`)「が、私の意見を述べる前に、
…ドクオ海尉。
議論の推移を見るに、君はどうやら、私と反対の意見を持つようだが。
まずは、君の考えを聞こうじゃないか」
26
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:31:53 ID:rpim4zdM0
('A`)「ええ、総督。ニューソクタウンに固執するという案には、私は賛同することができません。
一都市にこだわり人命を損耗するなど、愚かなことです。
戦になれば人が死にます。ことに、大きな戦とあっては」
(# ・ω・)「なんだと! 死を恐れておるのか! 貴官はそれでも…!」
カラマロス大佐の割って入った怒声は、
すっ、と挙げられたアーネムの片手により、遮られた。
( ´_ゝ`)「なるほど。
つまり君は、簒奪者に膝を屈せ、と言いたいのかね?」
それは、冷徹で威圧的な物言いであったが、
ドクオは怯むことなく、まっすぐにアーネムを見つめ、言った。
('A`)「いいえ。我々は目的をこそ優先すべきであり、
その達成のための犠牲は最小限で十分だ、ということです」
27
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:33:47 ID:rpim4zdM0
ややあった。
卓上は静まり返った。
やがて、アーネムが再び口を開いた。
( ´_ゝ`)「結構。ドクオ海尉の主張は分かった。
その上で、やはり言おう。ニューソクタウンの明け渡しは賢明でない」
宣言するようにここで切り、彼は自分の言葉の効果を確かめた。
( ´_ゝ`)「なぜならこのニューソクタウンは、ただの都市ではない。
植民地首都であるばかりでなく、我々が最初にこの新大陸に入植した地だ。
いわば、われら植民地の民の、象徴ともいえる地なのではないだろうか?
我々の植民地は、ここで産声をあげ、ここで育ち、ここで生きた。
我々がこの街を、そして植民地を、作ったのだ」
('A`)「タンブルストン氏と共に、ですかな」
反抗的に言葉を挟んだドクオに、
アーネムは一瞬言葉を止め、鋭い目線をドクオに送った。
だが、それに関しては何も言わず、平静を装い、先を続けた。
( ´_ゝ`)「この地を失うことは、軍事上の損失だけではない。
植民地軍の勇士たちに与える計り知れない精神面への影響をも、考慮すべきなのだ」
声が、少し、震えていた。
28
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:34:31 ID:rpim4zdM0
結局、アーネムのこの発言が、会議の趨勢を決した。
その後も会議は続けられたが、最高権威者が明確な意思を示した後では、
討論もおざなりなものにならざるを得なかった。
最後には、植民地議会の伝統であるコインによる無記名投票が行われ、
そして、植民地軍の行動は、決まった。
平原での会戦。
全軍と全軍の、正面からのぶつかり合い。
植民地首都であるニューソクタウンを、
本国軍の連中から守るための軍事行動が、可決された。
29
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:34:54 ID:rpim4zdM0
三.
タンブルストンが馬を並べているのは、
ニューソク本国軍の総司令官、白髪の老人、フィレンクト将軍だった。
野を埋め尽くす赤服の軍団が、足音高く行軍している。
フィレンクトとタンブルストンは、その軍勢の中ほどにあって、悠々と馬を進めている。
(‘_L’)「すると卿は、会戦で植民地軍を破れるというのじゃな」
(´<_` )「ええ。我らが国王陛下のニューソク軍は、総勢八千。植民地兵の倍以上の数です。
おまけに我々は、練度、装備ともに精強無比の近衛師団まで使えるのです。
兵力の差は、歴然でしょう」
(‘_L’)「ふむ。まあ、植民地軍の内情については、この中では貴卿がいちばんよく知っていような。
なにせ、つい先日までは、貴卿みずからが中核となって、植民地軍を率いておったのだから」
言って、老将軍は意味ありげにタンブルストンを一瞥した。
30
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:35:16 ID:rpim4zdM0
(´<_` )「彼ら植民地民兵たちが勇敢であることは、間違いのないところでしょう。
ただし、それはかの軍が『反乱軍』となる前の話でしょうが」
(‘_L’)「…反乱軍。反乱軍か、なるほど」
フィレンクトは言って、小さく頷いた。
(´<_` )「畏れ多くも国王陛下の軍旗に歯向かう意思を見せては、
いまや彼ら植民地軍のことは、反乱軍と呼ぶのが適切でしょう。
彼らの勇気は、背に負った陛下の名に多くを支えられていたのですから、
それを失った今、彼ら植民地軍は、おそれるべき兵ではありません」
(‘_L’)「なるほど。それは頼もしい…」
31
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:36:28 ID:rpim4zdM0
(‘_L’)「…が、実のところわしは、貴官がこのような即時攻撃を提案されたことに、少々面喰っておるのだよ。
貴官はもっと、対話と言葉を重んじる性質かと思っておったのでな」
(´<_` )「『はじめに言葉あり。言葉は神なり』」
タンブルストンは聖書の一説を引用し、ややあってから、さらに語を継いだ。
(´<_` )「…戦争を望むわけではありません。
しかし、彼らが我々に砲口を向けるなら、我々は自分の身と国王の名誉を守らねばなりません。
それも迅速、確実に、効果的に。それが、王と国家に対する忠誠ではありませんか?」
フィレンクトは高らかに笑い、答えた。
(‘_L’)「結構結構。忠誠こそニューソク人の誇り、ですからな」
32
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:37:10 ID:rpim4zdM0
王と国家に対する忠誠。
嘘はなかった。
タンブルストンは、忠誠をなによりも価値高い物として考えていた。
ただし、王が誰であるか、という点については、
タンブルストンはフィレンクト始めとする本国軍の面々とは、違った考え方を持っていたが。
現王ロマネスク二世を排し、その弟である私生児アーネムを、ニューソク国の王位につける。
彼の行動は、ひとえに、この考えを実現するために、組み立てられたものであったのだ。
33
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:37:50 ID:rpim4zdM0
説得は、考えた。
だがアーネムは、タンブルストンの想いをはるかに超えた、大それた考えを抱いていた。
とんでもない間違いだ。
「独立」などと。
兄者は、船を持ち海に出て、自由の風に当たりすぎたのだ。
独立だと?
ニューソク国を、割る?
とんでもない大逆の、神の意思に反した思想だ。
歴史を紐解けば、
かの中世百年戦争のときに、裏切り者のラウンジ王太子が言い放った言葉と同じではないか。
ラウンジ国を統一する大儀のために立ち上がった大王シャルル七世に対し
「なぜラウンジは一つでないといけないのですか?
ブルターニュやボルドーが、別の国であってはいけないのですか?」
と問うた、王太子の思想。
34
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:38:12 ID:rpim4zdM0
兄者があんなふうになってしまった原因は、わかっている。
彼のそばには、その耳に「思想」という毒を注ぎ込む連中がいるのだ。
知識には、良い物と悪いものがある。
悪い智恵の実を食べた者は、楽園を追放される。
りんごを食べるように唆している蛇は、ドクオとかいう、あの海軍士官だ。
彼は、腑抜けたラウンジのなんとかいう貴族に吹き込まれた、
唾棄すべき忌まわしい思想に触れて、それにすっかり取り込まれてしまっているようだ。
そして、ラウンジ貴族アザピーの語る思想は、
ドクオの言葉を媒介にしてじわじわと義兄アーネムを蝕み、
あの大それたおかしな考えに向わせているのだろう。
35
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:38:39 ID:rpim4zdM0
ならば。
私のやることは、一つだ。
タンブルストンは顔を上げた。
ここまでおかしな考えを持ってしまった兄者には、もはや言葉による説得は難しいだろう。
腕づくで本国に連れ戻すのだ。
そうするしか、ないのだ。
兄者をドクオから引き離し、本国へ連れ帰る。
それこそが、私の忠誠なのだ。
36
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:39:07 ID:rpim4zdM0
四.
会計官クーは書類束を抱え、軍営内を忙しく歩き回っていた。
営庭には、寝床から叩き起されたばかりの戸惑い顔の陸軍兵が、
軍曹たちの怒鳴り声と鞭に従うままに、わけもわからず列をつくりつつあった。
川 ゚ -゚)(彼らはもう、ニューソク軍ではないのだ)
ふと、そんなことを考えた。
今、営庭に集結している兵士たち。
彼らはこの後すぐに、ニューソク本国から来た本国軍の兵士たちと、銃を向け合うことになるだろう。
そうなっては、彼らをもはやニューソク軍と呼ぶことはできない。
むしろ、ニューソク軍は、敵だ。
今や彼らは植民地軍。「ヴィップ国」の軍隊だ。
37
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:39:46 ID:rpim4zdM0
クーは軍営内の支給品保管庫や武器庫をまわり、
各部隊の主計長とやりとりし、補給品の手配を次々と決めていった。
弾薬に始まり、マスケット銃の補充部品、損耗分のカットラス、衣服、装備、器具……
今もクーは、太り顔のどこかの部隊の主計長と、装備の調達について話し合っていた。
川 ゚ -゚)「よし、君の部隊のぶんなら、近接武器はこの部屋にあるもので足りるだろう。書類は……」
指差しながら、てきぱきと物資をさばくクー。
かつては、芯から潮焼けして真っ黒で、細かな傷だらけだったその顔は、
前線から外れて後方勤務が続いたおかげで、すっかり変わってしまっていた。
38
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:40:31 ID:rpim4zdM0
いまや、彼女は美しかった。
背が伸び、すらりとした足を持ち、
白く涼しげな口元には、女性らしい丸みがあった。
外観だけではなかった。
クーはもともと、頭はよく回るほうだった。
士官となり、学校でちゃんとした教育を受けてからは、
特に数学の分野で、その才を伸ばしていっていた。
今も、太っちょのの主計長が述べた難しい装備の重量計算を、
悩むそぶりもなく即座に必要数を計算し、指示書に数字を記入している。
39
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:40:59 ID:rpim4zdM0
それは、「青い布地」の必要量の計算だった。
「青い布地」が、大量に必要だったのだ。
軍営の兵士たちは、昨日まではニューソク軍だったのだから、
当然、その軍装は、ニューソクの整式色である「赤」で統一された陸軍服を着ていた。
だが、今や彼らはニューソク軍ではない。「ヴィップ軍」だ。
昨日までの赤い服そのままというのは、敵の軍服を着込んでいるわけで、いささか具合が悪い。
そこで、クーは彼らに「青い布地」を支給することにしていた。
青は、高級染料であるインディゴから作られる色だ。
そしてインディゴは、ここヴィップの地の特産品のひとつだった。
植民地には豊富にあるインディゴの染料を使った濃紺の衣服が、
新大陸植民地軍の整式色となるのだ。
とはいえ、すぐにでも始まろうという会戦の前に、衣服一式を作っている時間はない。
そこで当分は、濃紺の銃帯を各部隊に配り、それを植民地兵の目印とすることになったのだ。
40
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:41:26 ID:rpim4zdM0
補給係たちでごったがえす軍営の中、クーはふと視線を感じ、
顔を上げ、窓の外を見た。
窓の外、やや離れた通路の脇に、とある兵士が目に入った。
陸兵の着るびしっとした赤軍服ではなく、麻の上衣に藁のハットという、
自由でゆるい格好の軍人。
水兵だ。
しゃちほこばった陸兵たちの中で、彼の民間人のような格好は、ずいぶん目立っていた。
その水兵は怪我をしているのだろうか、顔を包帯で覆っており、
帽子を目深にかぶっているため、顔は良く見えない。
水兵はクーを見ると、すぐに背中を向け、その場を歩み去ってしまい、
陸兵たちの溢れる中庭へと、姿を隠してしまった。
41
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:42:13 ID:rpim4zdM0
川 ゚ -゚)(水兵、か)
クーはどこか、なつかしいような感情を覚えていた。
水兵。
私の人生を変える事になった世界。
私の、もと居た世界。
下層甲板の彼らは、粗野で遠慮が無い者揃いだが、そのぶん人懐っこくて暖かく、
癖はあるが、まあおおむね良い奴だ。
昔の仲間達が思い起こされた。
同船仲間たち。銃士隊の部下たち。士官の面々。そして、艦長ドクオ。
「火薬はどこの樽を使うのかね、海尉殿!?」
川;゚ -゚)「え、あっ」
感慨に彷徨いかけたクーの意識を、主計長の張り上げる声が、現実へと引き戻した。
クーは慌てて帳簿を持ち上げて、ペンを片手に、主計長のほうへと向き直った。
42
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:42:40 ID:rpim4zdM0
五.
そのクーが見た人物は、つい先ほどまでは、
港の端のほうにある樽修理工場の二階で、息を潜めて潜伏していた人間だ。
彼の内に暗く燃える炎は、モララーの死によっても消えることはなかった。
モララーの死によって、彼の義務は消滅した。
彼の上司はもういない。彼に任務を課すものはもういない。
彼はもう暗殺者じゃない。
……はず、だった。
ギコは、自らの顔を覆うための外出用の包帯を傍らに、
窓を閉め切った真っ暗な部屋の椅子に腰掛けていた。
43
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:43:35 ID:rpim4zdM0
樽修理工場の二階。
王兄派のスパイ、工作員たちが、集会所として用いていた場所だ。
かつて、この部屋の片隅には、モララーの姿があった。
底知れぬ威圧感を放ちながら、開くことの無い窓を背にして、闇の中に身を潜めていた。
だが、ある日を境に、彼はぱったりと姿を見せなくなった。
ギコは、他の連絡員からは、モララーは本国に帰ったのだ、と聞かされている。
だが、街のうわさには、
近衛師団の騎兵隊に新しく来た部隊長が、公邸襲撃の際、一人の聖職者を射殺した
という内容のものもある。
モララーはタンブルストンを相手にする案件に携わっていたはずだ。
そして、タンブルストンは権威や因習に気圧されるような相手ではないことは、
彼のクックル射殺によって証明されている。
「師匠、死んだな」
彼の率直な感想は、こうだった。
44
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:44:07 ID:rpim4zdM0
師匠、と呼んではいるが、ギコはモララーのことを好いてはいない。
それどころか、その厳しく冷酷で無礼な性格を、嫌ってすらいる。
ギコとモララーの出会いは、数年前のニューソク・ブラゲ海戦にまで遡る。
クーが懲罰船をブラゲ艦隊に突入させ、火薬庫に火を放った時。
あのとき、ギコは懲罰船の上で奴隷少年兵として鎖に繋がれていたが、
爆発の直前に、他船に激突した衝撃で海に投げ出されており、それで一命を取りとめた。
顔と半身の火傷は、そのときに降ってきた、焼け爛れた滑車装置の破片によって負った。
仮死状態となって波間に浮いているところを救助のボートに拾われ、
身元不明の少年水兵として海軍病院で手当てをうけた後、
行く当てのない怪我人の彼は、街の孤児院に収容された。
45
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:44:49 ID:rpim4zdM0
孤児院は、厳しかった。
貧困と偏見は、孤児たちを扱いづらく暴力的な性格へと駆り立てた。
一筋縄ではいかない連中の集まった厳しい環境の孤児院の中で、
ギコは生き残るため、自らの持てる力を最大限に振り絞った。
そしていつのまにかギコは、周りの他の孤児たちをまとめ上げ、
組織を作り、孤児院の子供たちのボスの座に着いていた。
自分でも不思議なほど、気付けば、その地位にいた。
彼は、自分に腕力が無いことを知っている。
武術を身につけたわけではない。戦いに関する特技を持っていることもない。
「蝙蝠のクー」のように、建物から建物に飛び移ってナイフを使う、なんて芸当はできない。
彼の才能は、「口」だった。
彼は天性の扇動家だった。
なんでもないような人の群れも、ひとたび彼がその気になると、
彼の工作により、陰口と密告、疑念のぶつかる、二つのグループに分断することができた。
ニューソク本国の港街でストリートギャングを率いていた時も、彼はその才能を活かして、
ギャングの身内のライバルを次々と蹴落として、ボスの地位を占めていたのだ。
46
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:45:31 ID:rpim4zdM0
そんな彼に、モララーが近づいたのは、いわば、当然の成り行きでもあったのだろう。
「工作員」として最良の才能を持っている、
しかも、クーとの因縁浅からぬ、という背景。
モララーは神の愛と教会の名のもとに、身元引受人となり、ギコを孤児院から引き取った。
孤児院は劣悪な環境だったため、
そこから脱出できたことを、ギコはまず喜んだ。
そして、帰り道に、モララーから振舞われた目もくらむようなごちそうに、心を奪われた。
彼にとって喜ばしい時間は、そこまでだった。
続く一年間は、思い返したくも無いような工作員としての教育を受けたし、
その後は、モララーから指示されるままに、
危険で報われない任務に奔走するだけの毎日だった。
47
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:45:51 ID:rpim4zdM0
ギコはモララーに恩義など感じていなかった。
彼がギコにしてくれた良いことは、孤児院から救い出してくれたこと、
そして、その帰り道に豪華な食事を振舞ってくれたこと。
その二つだけだった。
だから、疑問なのだ。
(,,゚Д゚)「俺はなぜ、未だにクーを追い続けている……?」
何度目かになる自問を、ギコは発した。
48
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:46:22 ID:rpim4zdM0
最初は、任務だった。
( ・∀・)「クーの行動をできるだけ妨害し、その名声を貶めるように」
モララーからの指示を受け、
ブラゲ戦争の時は、クーのマスケット銃士隊に潜り込んだ。
そして彼は時間をかけて、クーのマスケット銃士隊の中で、少しずつ、網をはっていった。
クーという大きな獲物を嵌めることができるようになるほどの、強く、大きな網を作ろうと、
ギコは時間をかけて慎重に、自分の仕事を進めていっていた。
49
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:47:04 ID:rpim4zdM0
だが、彼の仕事は完成をみなかった。
どういう心境の変化が、クーの中にあったのか。
彼女は、ブラゲ戦争が終わった後、自ら望んで、後方配置への転属を願い出たのだ。
栄光を掴むチャンスに溢れた前線勤務から、何の面白味もない、半給の事務方への転向。
彼女の、軍人としてのキャリアは、そこで終わったといっていい。
そうなっては、彼女の名声を落としいれる必要など、もう、なくなった。
ギコは、その高みから引き摺り下ろすべき、網にかけるべき英雄が、
望んで自ら、舞台を歩み下りていくのを、見ることになったのだ。
50
:
同志名無しさん
:2014/02/24(月) 23:47:37 ID:rpim4zdM0
(,,゚Д゚)「あのアマ……」
振り上げた拳の下ろしどころがわからない。
それは、ある。
クーに恨みがあるかといえば、それも、ある。
彼の顔を二目と見られないものにしたのは、クーの自爆がそもそもの原因だ。
だが、それらが、自分が未だにクーをつけ狙い、陥れようとしている動機なのかと考えると、
どうも、それは違う気がする。
モララーへの忠義? 任務への忠誠?
……ありえない。
モララーなど、どうでもいい。
国や任務は、なおさらだ。
どちらも、ギコにとっては、何の意味も持たない。
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