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( ・∀・)オービタル・クーリエのようです川 ゚ -゚)
1
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:22:46 ID:iijY21Mk0
静止軌道を越えた先で――
川 ゚ -゚)「あ」
キラッ
川 ゚ -゚) ジー
川 ゚ -゚)「なあ」
( ・∀・)「んー」
35
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:51:55 ID:iijY21Mk0
数分後
(;・∀・)「やっと終わった」
(;゚∋゚)「お疲れ様です」
( ・∀・)「まったく、随分な荷物だ。何に使うんですか、こんなに?」
(;゚∋゚)「え!?」
( ・∀・)ゞ「あ、すいません。別に深い意味では無いですよ。
別荘にいる間の荷物とだけ聞いていたのでね、こういう上品な家庭の方々はどういった遊びとかするのかな〜って。
失礼に聞こえてしまったならすいませんでした」
( ゚∋゚)「ああ、いえ。構いませんよ。あれは――」
ハハ ロ -ロ)ハ「すいません、次の用事がありマスから。でしょ? モララーさん」
(;・∀・)「え? あ、ああ」
36
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:53:34 ID:iijY21Mk0
( ゚∋゚)「ありがとうございました」
( ・∀・)「今後の輸送でも、『オービタル・クーリエ』をよろしくおねがいします。それではー」
バタン
ハハ ロ -ロ)ハ ムスッ
ハハ ロ -ロ)ハ「よく笑っていられマスね」
(;・∀・)「だって、仕事だもん。ハローさんもいつまでもむくれてないでさ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ワタシはタイミング合わせマシタヨ」
(;・∀・)「だからそれはもういいって! 俺も悪かったって」
37
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:56:43 ID:iijY21Mk0
スイー
( ・∀・)「荷物はあの家で全部配達したし、あとは病院行けばいいんだよね」
ハハ ロ -ロ)ハ「…………」
ハハ ロ -ロ)ハ コクリ
(;・∀・)「…………やー、こう言っちゃなんだけど、二人も欠けての仕事は大変だね」
ハハ ロ -ロ)ハ「……ほんっとデスネ」
(;・∀・)「…………」
38
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:57:26 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「…………」
ハハ ロ -ロ)ハ「なんだか、静かデスネ」
(;・∀・)「……確かに、なんか、誰か足りないような」
・
・
・
( ・∀・)「あ」
ハハ ロ -ロ)ハ「クーちゃん?」
39
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:58:12 ID:iijY21Mk0
街中
タッタッタッタ
ハアハア
(;・∀・)「いたか?」
ハハ;ロ -ロ)ハ 「見つからないデス!」
(;・∀・)「おいおい、まじかよ。こんなところで迷子かよ」
ハハ;ロ -ロ)ハ「荷台に何か痕跡は無かったんデスカ?」
(;-∀-) フルフル
40
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:58:42 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「こうなったら警察に連絡を」
ハハ ロ -ロ)ハ「いや、待ってクダサイ! そうしたらクーちゃんが」
(;・∀・)「あ!! そうだった」
ワイワイ
ガヤガヤ
ハハ ロ -ロ)ハ「? なんだか人々が騒がしいような」
( ・∀・)「ん?」
41
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 02:59:46 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「ほら、なんだかみんな上を指さして」
( ・∀・)「上って、あのショッピングモールの上かな。街頭テレビがあるようだけど――」
ザワザワザワ
――月へ向かっていたスペースジェット『VIP号』は
航宇宙中での通信機系トラブルにより地球へと引き返していましたが
現在無事地上に着陸できたとの連絡が入りました。何事もなければ一週間遅れで月へ出発するでしょう。
この機体には月面第四都市に休暇を利用して向かう予定だった各国のVIP達が乗り合わせていて――
42
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:00:26 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ
( ・∀・)
ハハ;ロ -ロ)ハ「あれ?」(・∀・;)
ガヤガヤガヤ
43
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:01:02 ID:iijY21Mk0
スイイィィィ---
( ゚∋゚) フゥ
( ゚∋゚)(やれやれ、突然宅配業者が来た時はどうなることかと思ったが)
( ゚∋゚)(無事邪魔されずに仕事を終えることが出来た。むしろ獲物が勝手に増えたようなものだったな)
( ゚∋゚)(拝借したものはあとでゆっくり開けるとしよう。VIPさんのだ、きっといいものに違いない)
( ゚∋゚) クックック
(*゚∋゚) クックルドゥドゥドゥーアーハッハッハッハ
川 ゚ -゚)「変わった笑い方だな」
(;゚∋゚) ハッ!!?
44
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:01:41 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「な、なんだこのガキ! どこから入りやがった!?」
川 ゚ -゚)ゞ「いやー、荷物ごと積まれてしまっていてね。目が覚めたらここにいたよ」
(;゚∋゚)「荷物だとお!? スパイみたいなことをしやがって。てめえ降りろこの」
川 ゚ -゚)「おい、ハンドルから手を離していいのか? 事故になるぞ」
(;゚∋゚)「うおっと!……こいつめ」
川 ゚ -゚)「ずいぶん揺れるなあ。ハローさんとは大違いだ」
スイー
45
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:02:29 ID:iijY21Mk0
宇宙船停泊ステーション
( ゚∋゚)「ほら、降りろ」
ポイ
川 + -+)「いて」
( ゚∋゚)「もう会うことも無いだろう。せいぜい元気でな」
川 ゚ -゚)「なんだ、もうどこか行ってしまうのか。せっかく会えたのに」
(;゚∋゚)「会ったってほどでもないだろう。生かしておくだけありがたく思えよ、変なやつだな」
46
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:04:06 ID:iijY21Mk0
( ゚∋゚)「じゃあな」
スイー
川 ゚ -゚)「むう、行ってしまった」
川 ゚ -゚)「私も帰るか……」
テクテク
ん?
川 ゚ -゚)「あ、通信機」
川 ゚ -゚)「忘れていたわ」
47
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:04:52 ID:iijY21Mk0
・
・
・
月面より、100km上空――
宇宙船『フライ・ド・チキン号』――
(;゚∋゚)(……なんだか疲れてしまった)
( ゚∋゚)(軌道にも乗ったし、動力をオートに切り換えるか)
( ゚∋゚)(あとはボスからの連絡を待つのみ)
48
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:05:26 ID:iijY21Mk0
ガツンッ
(;゚∋゚) !?
(;゚∋゚)(今の衝撃は……なんだ。デブリ(脚注3)か?)
(;゚∋゚)(しかしここの軌道での予測では問題なかったはずだが)
ガツンッ
ガツンッ
脚注3:宇宙のゴミのこと。当たると危ないので、宇宙船に乗る際には力学的計算で位置を予測する必要がある。
49
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:06:12 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)(続いている!?)
ガツンッ
( ゚∋゚)(だんだんと)
ガツンッ
( ゚∋゚)(コックピットに近づいているような)
ガツンッ
(|!゚∋゚)(んなまさか)
50
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:06:45 ID:iijY21Mk0
ガツンッ
川 ゚ -゚)「よっ」
Σ(;゚∋゚)「ええええええええええええ!!?」
51
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:07:34 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「な、なんでお前外にいるんだ!? 宇宙服も着てねえじゃねえか!」
川 ゚ -゚)「よくわからんが、できているんだ」
(;゚∋゚)「声、通じているのか? そこには空気がないだろう?」
川 ゚ -゚)「私に質問されても困るんだ。まだ研究中なのでね」
(;゚∋゚)「……ふざけるな」
カツカツカツ
(;゚∋゚)「俺はどんな仕事だってこなしてきたんだ! お前なんかに俺の邪魔をされてたまるか!」
グッ
52
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:08:09 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)「おい、私は忘れ物をとりにきただけで」
グラリッ
川;゚ -゚)「うおお、急に動かすなよ!」
(;゚∋゚)「知るか! 振り落とされろ!」
グググ...
川;゚ -゚)「うおお」
ガシッ
53
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:09:25 ID:iijY21Mk0
(;゚∋゚)「ぬおおおおおおおりゃああああ」
川 ゚ -゚)「おおおおお」
( ∋ )「くおお……おおおぉぉ」
川 ゚ -゚)「おー」
( ;∋;)「うええ、うぇ……うぇぇ」
川*゚ -゚)「うおーーーーーー!!!!」
54
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:10:13 ID:iijY21Mk0
数分後――
宇宙宅配業者『オービタル・クーリエ』、専属第52番宇宙船『ハロー・グッドバイ号』――
ハハ ロ -ロ)ハ「宇宙窃盗団デスカ?」
( ・∀・)「わかりやすく言えばね。人が増えれば犯罪も増える。犯罪者が増えれば犯罪組織ができあがる。
さっきニュースで見た『VIP号』の通信機器異常にも手を加えていた痕跡があったそうだよ。
富豪たちが慌てているうちに、別荘に忍び込んでいいものを分捕るっつー計画だったみたいだ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ずいぶん手がこんでいマスネ〜」
( ・∀・)「人が集まれば、それだけ悪いことするやつも出てくるってことさ。都市化の弊害だね」
55
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:10:55 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「で、あのときお家から出てきた人もその組織の人だったと……
クーちゃんもそこにいるんデスか?」
( ・∀・)「きっとね。その証拠が、このレーダー」
ピコーン
ハハ ロ -ロ)ハ「反応はありマスけど、これが何なんデスカ?」
( ・∀・)σ「もう見えているよ」
ハハ ロ -ロ)ハ「え?」
56
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:11:34 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「うちの優秀な新入りクルーは」
ヽ川 ゚ -゚)/ パタパタ
( -∀-)「通信機にご執心だったのさ」
ハハ ロ -ロ)ハ「ハハ、クーちゃん楽しそうデスネ」
57
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:12:13 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「エアロック(脚注4)の減圧が終わるまで外で待っていてクダサイネ」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「ん、どうしたクー?」
川 ゚ο゚) パクパク
( ・∀・)「?」
ハハ ロ -ロ)ハ「聞こえていないんですかね?」
( ・∀・)「……」
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ .`´ \
( ・∀・)
脚注4:圧力が低い場所や空気のない場所との通り道になるところ。国際宇宙ステーションではクエストとも呼んでいる。
58
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:12:52 ID:iijY21Mk0
スウ〜
ピタッ
( ・∀・)つ「こうだな」
ハハ ロ -ロ)ハ「んん?」
川 ゚ -゚) ?
( ・∀・) コッチコッチ
川 ゚ -゚) ??
ふら〜
ピタッ
59
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:13:39 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「よっ」
川 ゚ -゚)「おお、聞こえる! なんでだ?」
( ・∀・)「ああ、やっぱり振動か。お前はこれを感知できるから、外でも音が聞こえたんだ」
川 ゚ -゚)「“シンドウ”?」
( ・∀・)「うん。通信機にも通じる現象だよ。振動を理解できればそのうち電波も理解できるようになる」
川 ゚ -゚)「!! そうなのか! ぜひ教えてくれ」
( ・∀・)「後でな。その前に、その宇宙船の話をしてくれないか?」
川 ゚ -゚)「もちろんさ」
60
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:14:10 ID:iijY21Mk0
( +∋+) キューッ
ブブブ...
ブオン
( +∋+)「う……」
( ・∀・)『ハロー』
61
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:14:53 ID:iijY21Mk0
( +∋+)「ああ、あんたか」
( ・∀・)『うちのクルーと遊んでくれてありがとう」
( +∋+)「振り解こうとしただけなんだがな」
( ・∀・)『あのなあ、マスドライバー(脚注5)で射出される船に引っ付いていられるようなやつだぞ?
数回ロールしたくらいで離れてくれると思うか?』
( +∋+)「……その子、本当に人間か?」
( ・∀・)『知らん』
脚注5:宇宙船を含めた物資を宇宙へ送り出す大砲のようなもの。実用化に向けての一番の問題は空気抵抗なので、大気のない月面なら割と作りやすい。
62
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:15:52 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)『さてと、ここでお前を通報してもいいんだが……』
( +∋+) ゴクリ
( ・∀・)『俺はそんなことする気はない』
( +∋+) ?
( ・∀・)『言っておくけど、どうせすぐにあんたら窃盗団は全員捕まるよ。
地球に帰還したスペースジェットから証拠がボロボロ見つかってるんだ』
( ・∀・)『だから、べつに俺が訴えなくてもあんたはすぐに捕まる。
ただ、運がよかったらここで見逃されたおかげで逃げ延びられるかもなあ』
( +∋+)「結局お前は……見逃す、のか?」
63
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:16:27 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)『うん。でな、見逃しついでにひとつ約束してほしいんだ』
( +∋+) ?
( ・∀・)『この子のことを、誰にも言わないでくれ』
( +∋+)「……本気で言っているのか? お前。
俺は未知との遭遇でもしたっていうのか?」
( ・∀・)『言いたくなる気持ちもわかるけど、今はどうでもいいことだ。さあ、どうするよ』
( +∋+)「……いいだろう。誰にも言わないさ」
64
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:16:57 ID:iijY21Mk0
プツンッ
( ・∀・)「これでよしっと」
プシューッ
川 ゚ -゚)「ただいまー」
ハハ ロ -ロ)ハ「おかえりなさいデース」
( ・∀・) !
ツカツカ
川 ゚ -゚)「やあ、モララー。さっきはありがと――」
65
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:17:29 ID:iijY21Mk0
パシッ
ハハ ロ -ロ)ハ(あ……)
川∩-゚)
川∩-゚)「え?」
( ・∀・)「……もう、勝手にどこかに行くのはやめるんだ」
66
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:18:06 ID:iijY21Mk0
川∩-゚)「……」
スッ
川 ゚ -゚)「私は通信機が気になっただけだ」
( ・∀・)「それでも、俺やハローさんに連絡せずに行っちゃうのはダメだ」
川 ゚ -゚)「……どうして?」
( ・∀・)「心配だからだよ」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「…………」
67
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:18:38 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「もし、俺たちが助けに来なかったらどうするつもりだった?」
( ・∀・)「途中で宇宙船から落ちちゃったら?」
川 ゚ -゚)「それは……漂うしかないな」
( ・∀・)「あの広い宇宙を、たった一人で?」
川 ゚ -゚)「うん」
( ・∀・)「……」
『どこまでも真っ直ぐ行ってしまうから』
( -∀-) ハァ
68
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:19:08 ID:iijY21Mk0
川 ゚ -゚)
ブルッ
川 ; -;) ジワァ
川 ; -;)「あれ?」
( ・∀・)「ん?」
川∩-;)「なんだ、これ。急に……寒気が」
69
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:19:39 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「…………」
グスッ
川∩-;)「さっきまでは、怖くなんてなかったのに。
おかしいな、なんで……今になって」
( ・∀・)「……こっち来な」
川∩-;)「……うん」
テクテク
70
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:20:11 ID:iijY21Mk0
宇宙は孤独な空間だ。
そこには水も、音も、空気もない。生き物の生息できない死の世界だ。
この何もない空間に長時間滞在すれば、人間の精神は簡単に崩壊してしまう。
他人や、他の生物、物体に触れ合うことで得られる、「自分がそこにいる」という認識
それを支えにしなければ、人間は生きてはいけないからだ。
それでは、今までその認識を抱かなかった人はどうだろうか。
そんな人がいれば、宇宙の孤独にも耐え伸びて、虚空をひたすら漂流することも可能なのだろうか。
彼女は、それができる人だろうか。
...ポン
川∩-;)「ん」
71
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:20:54 ID:iijY21Mk0
指に絡まる彼女の髪の毛は、ぞっとするほど冷たかった。
とても細い氷の糸のよう。きっと握りしめたら粉々にくだけてしまうだろう。
それでも、彼女の体には、確かに温もりがあった。
どういう構造かもわからないが、彼女は確かに生きている。俺と同じだ。
彼女は人に違いない。
世界を知らない、とても小さな子どもなんだ。
だから、さっきの質問を、俺ははっきり否定してやる。
軌道に従って落ち続けて、結果回り続けるなんてのは、人工衛星の仕事だ。
科学的に可能だとしても、俺たち人間のやる仕事じゃない。
( ・∀・)「よく帰ってきたね」
川∩-;)「……ごめんなさい」
72
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:21:42 ID:iijY21Mk0
( ・∀・)「休憩室に行ってきな」
川∩-;)「うん……」
テクテク
プシュー
( ・∀・)「……」
(;・∀・)=3
ハハ ロ -ロ)ハ「お疲れ様デス」
(;・∀・)b「お、おお」
73
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:23:16 ID:iijY21Mk0
ハハ ロ -ロ)ハ「盗まれた荷物の搬入終わりましたネ?」
( ・∀・)「ああ……クーは?」
ハハ ロ -ロ)ハ「寝ちゃってましたヨ」
( ・∀・)「そっか……それじゃ月に入るのはクーが起きてからにしてくれるか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「もっちろん」
ハハ ロ -ロ)ハ「あの宇宙船はどうしマス?」
( ・∀・)「放っとけ、あんなやつ」
ハハ ロ -ロ)ハ「了解デス、方向転換だけしておきマスネ」
ハハ ロ -ロ)ハ ♪
( ・∀・) ?
74
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:24:06 ID:iijY21Mk0
ゴォー
( ・∀・)(宇宙船が、遠のいていく)
( ・∀・)(もう二度と会うことも無いだろう)
( ・∀・)(……船乗りはいつもそういうんだっけな)
ふっ
( ・∀・)「グッドバイ」
ゴォー
75
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:24:51 ID:iijY21Mk0
┌───────────────────┐
│ ――『オービタル・クーリエ』 ......│
│ ......│
│ ......│
│ 地球と月の間を駆ける宅配便。 ..│
└───────────────────┘
┌──────────────────────┐
│ 人々がようやく月に住めるようになった頃。 .│
│ │
│ │
│ これはそれぞれの軌道を渡り歩く ...│
│ │
│ │
│ 迷子たちのお話―― .│
└──────────────────────┘
76
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:27:31 ID:iijY21Mk0
1st track "Hello, Goodbye"
→→→2nd track
.
77
:
◆MgfCBKfMmo
:2014/02/11(火) 03:28:22 ID:iijY21Mk0
今日はおしまい。
全10話です。
それでは。
78
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 14:38:23 ID:4pthzQK.0
おつ
あんた絶倫過ぎるな
79
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 14:47:34 ID:NVDfzT3Y0
乙、続きも期待
80
:
同志名無しさん
:2014/02/11(火) 22:17:04 ID:cCeNDuSc0
sfキタ!!!
これを待ってたんだ
しかも面白いし読みやすい
続き!続き!
81
:
同志名無しさん
:2014/02/12(水) 11:43:17 ID:TtmzWieE0
乙
82
:
同志名無しさん
:2014/02/13(木) 01:13:06 ID:9SkAe8koO
あんただったのかよ、他のも頼むぜ
83
:
同志名無しさん
:2015/02/04(水) 04:25:41 ID:z/NV8cSE0
もうちょいで丸一年か…
84
:
同志名無しさん
:2024/07/10(水) 23:30:32 ID:s.QPTBqU0
乙
素晴らしい第一話!ちょっと息苦しさのある舞台がワクワクする
続き書いて書いて
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