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(-@∀@)銀河連合兵器開発局戦闘航空機開発課のようです

1同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:06:38 ID:qZixVOz20
シベリアでのんびり投下しようかと思ったら忍法帖がリセットされてたのでこっちに

2同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:08:01 ID:qZixVOz20
(,,゚Д゚)「で、件の新型艦載機はどうなっている?」

宇宙防衛省長官のギコは、早速本題を切り出す。彼は細々したことが嫌いなのだ。

(-@∀@)「MFF-26は問題ないですね。単独大気圏突入テストも上場の出来でした。自動切替も問題なく働きましたし、燃費もこれまでのMFFシリーズから180%も上がっています。素晴らしいですよ!」

それに応えるのは銀河連邦兵器開発局戦闘航空機開発課主任のアサピーだ

(,,-Д-)「資料を見たところ、積載量がちょっと気になるんだが…」

(-@∀@)「要求された『単発エンジン』ではそれが限界なんですよ…。双発にしてくれればそれ以上積めますが…」

(,,゚Д゚)「しかし双発機ではバレンシア級空母に載せられん…帝国との遠距離戦が続く現状では、足の速いバレンシアに載せられなくては無意味だ」

(-@∀@)「そもそも、『大気圏内での長時間行動』は何のための機能なんです?帝国との戦闘区域は恒星間空間でしょう?」

(,,゚Д゚)「それに関しては言えん」

(-@∀@)「…では、仕様は現状のままで。試作品に関してはどうです?」

アサピーは窓の外を見る。そこには、試作型のMFF-26全領域戦闘攻撃機がハンガーに鎮座している。
さらにその奥には母星たる惑星ビップ。

(,,゚Д゚)「悪くはなさそうだな。先程のデモンストレーションでは素晴らしい機動力を見せてくれた。そこには感激だよ」

(-@∀@)「ありがとうございます。まあベースが制空戦闘機ですからね、あのくらいは当然です。
      帝国の新型主力戦闘機たるDGF-44と同等かそれ以上の格闘能力ですよ」

(,,゚Д゚)「それでもようやく帝国と同レベルか…」

(;@∀@)「あ、いえ、そのようなつもりでは…」

(,,-Д-)「いいんだ。帝国の軍事力が我々以上なのは知れたこと。特に宙域航空機戦では、パイロットの熟練度でも我々は大きく遅れをとっている」

(,,゚Д゚)「だからこそ、君らには大きく頼ることになる。この戦争で勝つためにもな」

(-@∀@)「…はい!」

(,,-Д-)「これから無理難題を押し付けることもあると思う…特に現状のMFF-26は積載量が問題だ。S4対艦ミサイルを少なくとも2発は搭載したい」

(-@∀@)「S4を2発、ですか…現状では1発だけでギリギリですが…」

3同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:09:41 ID:qZixVOz20
(,,゚Д゚)「まあそこに関しては追って連絡しよう…おそらくだが、巡航攻撃機Js-2の改修案が出てくると思う」

(;@∀@)「じ、Js-2?一世紀近く前の攻撃機じゃないですか!そんなもんを今更どうしろと…」

(,,゚Д゚)「まだ未定だ、そうがっつくな」

(;@〜@)「うう〜む…博物館級の改修案とは」

(;゚Д゚)「まだ未定だと言ってるだろうが…頭のお堅い連中がそれを通すとも思えん」

(-@∀@)「!」

(;゚Д゚)(あ、嫌な予感)

(-@∀@)「長官殿!私にJ-12を一機貸していただけないでしょうか!?」

(;゚Д゚)「J-12だぁ?数年前全機退役した旧式の攻撃機か?」

(-@∀@)「あれも単発です!それでいてS4対艦ミサイルを4発も積んでいる!あれとコイツを合わせれば、S4を2発搭載したMFF-26が出来ると思います!」

(;゚Д゚)「待て待て、J-12は元々が攻撃機だ。機動力を限界まで削いで対艦能力を特化させた機体だぞ」

(-@∀@)「だからこそです!制空戦闘機ベースのMFFシリーズと、攻撃機であるJシリーズ!これらのイイトコ取りをした機体にすればいいんです!」

(,,゚Д゚)「…出力方式の自動切替は?そこだけは譲れんぞ」

(;@∀@)「あー…ま、まあ頑張ります!ともかく、J-12のデータでもなんでもお貸し願えないでしょうか?実物があればなおいいんですが!」

(,,゚Д゚)「…ま、データならいいだろう。実物はさすがに渡せんが。」

(-@∀@)「ありがとうございます!」

(,,゚Д゚)「ただし!納期は延期せんぞ!」

(-@∀@)「はい!精一杯やらせていただきます!」

4同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:12:05 ID:qZixVOz20
ギコが去り、アサピーは一人PCに面と向かって何事かを懸命に弄り倒している。

(;@∀@)「…と言ったものの、ううーむ、単発で、S4を2発積めて、更に出力切替を維持するのは厳しいか…」

モニターに映るのは、今もハンガーにその身を収める試作機の図面だ。
MFF…『マルチ・フィールド・ファイター』全領域戦闘機たるこの戦闘機は、これまでも単独での大気圏突入は可能だった。
しかし、既存のMFFシリーズが用いる出力方式では、大気圏内専用の戦闘機に比べて非常に効率が悪いのが問題になっていたのだ。
そこで今回要求されたのは『全領域戦闘機でありながら、大気圏内での行動可能時間を圏内戦闘機クラスにする事』

(-@∀@)「ロケット出力とジェット出力を切り替えるってのはいい案だと思ったんだけどなあ…」

(-@∀@)「J-12に何かヒントが無いかねえ…?単発でS4を4発も積んでるんだ…何か秘密があるはず…」

アサピーは図面を切り替える。現れたのは大型の単発戦闘機の図面だ。隅にはJ-12と書かれている。
先ほど防衛省から送られてきた緻密な設計データだ。

(-@∀@)「設計者は…ふーん、ロンシェル社か。確か、今は宇宙船産業から手を引いてたよな…」

いくつかの写真を、アサピーは顎に手を当てながら見つめる。翼に巨大なミサイルが4発。あろうことか翼の上と下に2本づつ、分けてセットされている。

(-@∀@)「翼上ミサイルは美しくないね。でもまあ…いざという時にはこれにも手を出さないとか…」

(・∀ ・)「アサピーぶちょー。ちょっといいかー」

(-@∀@)「む、またんきか。どうかしたか?」

(・∀ ・)「エンジンがちょっと不調なんだな。どうも出力切り替えによるダメージは想像以上みたいだ」

(;@∀@)「なんと…ぐぬぬ…」

5同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:14:28 ID:qZixVOz20
(・∀ ・)「やっぱり単発のエンジンでロケット/ジェット切り替えは無理がありすぎるんじゃないかー?」

試作機のエンジン部分にやってきたまたんきとアサピー。アサピーがエンジン部分を見ている後ろで、またんきが呟くように言う。

(;@∀@)「いい案だと思ったんだけどなあ…あらら、タービンが…」

(=゚ω゚)ノ「タービンフィンの素材をグラビティウム鋼に変えれば長時間耐えられるとおもうけどよぅ…」

もうひとりの助手であるいよぅが提案を上げるが

(;@∀@)「ただでさえこの新機構で金がかかるんだぞ?そんなこと出来るか」

(=゚ω゚)「だよね…」

(・∀ ・)「しかもさっきの聞いてたぜぶちょー。S4二発積みたいんだって?」

(-@∀@)「うむ…ギコ長官が視察に来てね…って見てたんかい!」

(;゚ω゚)「S4って…対艦ミサイルの?無茶すぎるよう!1発でも要求ギリギリの格闘能力をやっと手に入れたってのに…」

(;@∀@)「これ以上機動力は落とせない…切り替え装置も不備が起きる…なのに要求はこれ以上の積載…ぐぬぬ…」

(-@∀@)「よし…思い切ってこれ外そう」

(;゚ω゚)(;・∀ ・)「!?」

アサピーがタービンフィンをがっし、と掴んだ。

(;・∀ ・)「ぶ、ぶちょー!無理だっテ!重さ何百キロあると思ってんの!」

(;゚ω゚)ノ「取り外すって…それはエンジンの主力部分だよぅ!外したら動けんよぅ!」

6同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:16:57 ID:qZixVOz20
(-@∀@)「…そうだ、抜本的に見直そう…出力切替は不備が起きる…別の、別の方法で大気圏内での行動時間を増やせばいい…」

(;・∀ ・)「ンな事言っても、一から作り直す時間なんてもう無いよ…」

(-@∀@)「私一人でやる。皆は今のMFF-26の整備と、出力切り替え装置の安定化を図って欲しい」

(=゚ω゚)ノ「部長は最近無理しすぎだよぅ…体を労われよぅ…」

(-@∀@)「問題ない、学生の頃は今以上に体を酷使していた」

(・∀ ・)(=゚ω゚)(学生時代って10年以上も前じゃん…)

アサピーは考え事をしながら部屋に戻る。PCの画面には相変わらずJ-12の画像が映し出されている。

(-@∀@)「ああ…そういやJ-12について考えてたんだったな」

画面にこうこうと照らし出されるJ-12。その後ろ姿は、青白い粒子が舞っていた。

(-@∀@)「イオンブラスト式スラスター…そういやJシリーズは宙用戦闘機だったか…」

(-@∀@)「イオン方式は大気圏内じゃ使えないよな…酸素と反応して爆発してしまう。だからこそMFFは昔から化学燃料方式を採用してた」

アサピーはぶつぶつと呟きながら椅子に座る。

(-@∀@)「しかし化学燃料は重い…MFFが重いと言われるのはそれが理由だ。だったらイオンスラスターを使えば軽くなるんじゃないか…?」

(-@∀@)「…イオンが大気圏内で使えない理由は何だ?大気と反応するからだ…大気を無くす?ハハ、無茶な考えが出るもんだ」

アサピーはカタカタ、とキーボードを叩く。

(-@∀@)「イオンと反応しない気体は…二酸化炭素か。スラスト部分にこれを噴射すれば、行けるんじゃないか…?」

アサピーはキーボードを叩き続ける。シュミレーターを起動。イオンエンジンを、大気圏内で、噴射口に二酸化炭素を噴霧しながら。
結果は…爆発。

(-@∀@)「ダメか…」

7同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:18:51 ID:qZixVOz20
アサピーは考え続けた。二酸化炭素の噴霧方向・量を調整したり、また他の案も多く考えた。
気がつくと、日にちが変わり、翌日になっていた。

(-@∀@)「…いい加減眠いな。こう眠くてはいい案も浮かぶまい…寝よう」

アサピーはふらふらとおぼつかない足取りでベッドに向かい、メガネも外さずに倒れこむ。

(-@∀@)「イオン…二酸化炭素…噴霧…ふうにゅう……封入?」

何となく呟いた言葉に、アサピーは突っかかる。

(-@∀@)「イオンが大気と反応するのはスラストする時、励起する瞬間だけだ…じゃあ励起する部分だけを封入すれば…?」

アサピーはガバリと跳ね起きる。

(-@∀@)「励起する瞬間を過ぎても、イオン粒子の勢いは止まらん。当たり前だ。励起の終わったイオン粒子を噴射しても、ジェット出力になる!」

(*@∀@)「来たぞ!来た!イオン励起をエンジン内部で行えばいい!そして励起の終わったイオン粒子の奔流を噴射してエネルギーとする!」

(*@∀@)「エンジンの内壁はイオンビームを反射する光学コーティングを施せばいい!兵器ほどの出力はないんだ、薄くても充分働くはずだ!」

アサピーは落としたばかりのPCの電源を再び入れる。
うっすらと夜が明け始めていた。

8同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:20:15 ID:qZixVOz20
(,,゚Д゚)「…内燃イオンブラスト式スラスター、ねえ」

納期前日。ギコは新たに手渡された資料をめくる。

(*@∀@)「調べてみれば、過去にもこの方式を用いた圏内航空機があったとか!その時はイオン反射材の摩耗が激しく長持ちしないエンジンとして駄作扱いされていましたが、現代では優秀なイオン反射コーティングがあります!」

(,,゚Д゚)「それを用いたとして、概ねどれぐらい保つ?」

(*@∀@)「まだシミュレーションの段階ですが、現行の戦艦等に使われる光学コーティング剤で約1ヶ月ほど保ちます!光学コーティング剤は原価も安めですし、充分安価かと!」

(,,゚Д゚)「…の割にはちょっと高いな」

(-@∀@)「それはまあ…エンジンのせいですね。仕方ありませんよ、新開発のエンジンですから」

(,,-Д-)「ふーむ…」

(,,゚Д゚)「まあ…この新開発エンジン案と、出力切り替えの改良案。どちらも一応の要求は満たしているから、考えさせてもらおうかね」

(*@∀@)「ありがとうございます!是非とも快い返事を!」

(,,゚Д゚)「ああ…」

ギコは曖昧な呟きを残して立ち去る。

(=゚ω゚)「僕らもなんとか頑張ったよう…」

(・∀ ・)「結局エンジンの不安定さは完全には改善しなかったけどなー…ま、頻繁なメンテナンスが必要なのはどっちの案も一緒だけどさ」

(=゚ω゚)「整備費が嵩みそうだよう…」

(・∀ ・)「俺らには関係のないことだろ、俺らは新兵器を作るだけだ」

9同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:22:29 ID:qZixVOz20
(,,゚Д゚)「…一ヶ月ごとに本格的な整備が必要な艦載機か」

(,,-Д-)「正直言って、全然現実的じゃないな…今の戦況では…」

ギコはくしゃ、とアサピーから渡された資料を乱暴に折る。

(,,゚Д゚)「しかし、アサピーもよくやっていたようだ。元気はよくとも、目の下のクマは隠せんからな…
    こんな短期間で新たな仕組みのエンジンを二つも生み出すあの頭脳。大切に使って欲しいものだ」

(,,-Д-)「まあ…今回はこちらの要求も無理が過ぎたというものか。仕方ない…」

ギコは呟き、踵を返して別の場所へと歩き出す。
歩みをすすめるその先は、『銀河連合兵器開発局 宙用艦船開発課』

( ^ω^)「おや、ギコ長官。何か用ですかお?と言っても、理由は明白ですおね」

(,,゚Д゚)「ああ、件の中型巡航空母はどうなっている?」

( ^ω^)「ご志望のとおり、双発機を載せられて、なおかつバレンシア級に追従できる速力も確保してますお」

(,,゚Д゚)「そうか、そのままよろしく頼む」

10同志名無しさん:2013/08/29(木) 22:23:39 ID:qZixVOz20
(-@∀@)銀河連合兵器開発局:戦闘航空機開発課のようです
                                   つづく?

11同志名無しさん:2013/08/30(金) 12:29:39 ID:.PfZNrLE0

これは続きが気になる

12同志名無しさん:2013/09/01(日) 03:47:01 ID:.4FjpRf.0


13同志名無しさん:2024/06/29(土) 20:55:34 ID:Jfy28Vu60

アサピー主人公格好良い
こういうの全然詳しくないのになんだかとてもワクワクする乙

14同志名無しさん:2024/06/29(土) 20:56:00 ID:Jfy28Vu60
age忘れてしまった乙


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