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( ・∀・)親指夢のようです
221
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:21:23 ID:nroRDU460
( ^ω^)「その前に服を着替えさせて下さい」
从 ゚∀从「なんでお前下半身裸なの。つーかザーメンくさッ。お前死ねよマジで」
( ^ω^)「よく言われます」
引き取った中学生の息子がムーニーパンツを脱ぎ捨てているところを目撃したハインリッヒの胸中は察するにあまりある。
朝食には無論ありつけず、線香をあげる暇もなく、制服さえまともに着れないままに内藤は家を追い出される。
内藤は団地住みで、部屋は東の五号棟の八階にあった。ハインリッヒが割と本気でそこから内藤を蹴落とそうとする。内藤は鞄を持って階段を駆け下りていく。
( ^ω^)「(夢魔の阿部デレ。いったい何者なのでしょうか……)」
このときの内藤はまだ知らない。知る由もない。
川 / -゚)「……見つけた」
祥雪中学を舞台にして。また新たな親指夢が始まろうとしていることなど。
内藤はまだ知る由もないのだ。
222
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:38:18 ID:nroRDU460
先に書くことを失念していましたが閲覧注意ですすいません
大した話でもないので以降もsage進行でいきます
223
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 11:52:58 ID:Oi.Hgfz.0
おつ
楽しい
224
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 22:16:49 ID:gH/Ema9M0
乙!
225
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:34:52 ID:3vnbLd1U0
< ('A`) 宇都宮ゆうすけ 独白 >
人間は誰しも眠る。こんなのは抗いようのないデオキシリボ核酸の手続き記憶だ。
睡眠は、細胞の創立記念日だ。勤労感謝の日だ。海の日だ。
細胞に元気がなくなれば、肉体もまた活力を失う。ここは細胞に休暇を与えてあげるべき。
が、かなしいかな。もっともそれは、一面の真理に過ぎないとばかりに。急速に工業化し、物質的に豊かなこの時代において、睡眠のタイプは変わった。
シ ョ ー ト ス リ ー パ ー
睡魔を殺し、自己の強靭な意志で人生を開拓する 短期睡眠の人間 が求められるライフスタイルの導入。
しかし考えてみてくれ。小学生の計算をしてくれ。
野球部の輩が、グラウンド上で過ごす時間は人生の内の3パーセント未満だ。プロ野球選手とてこの数字とあまり大差ない。
それをふまえて俺はこう言いたいだけだ。人間が布団の上で過ごす時間は、プロアマ問わず人生の内の1/3を占めているってことを。
かの英雄ナポレオンは、しかし、1日に8時間も眠るなど人生の1/3は死んでいるようなものだとのたまった。
朝4時に起きれば作業効率があがる。なんてねつ造して、早起きを推奨する社畜養成ビジネス書だって売られている時代だもんな。
無理もない。現代において1日8時間睡眠は望めない。
無理もないが、まことに致し方ないが。それでも眠らない人間なんてこの世にはいないだろ。
226
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:40:16 ID:3vnbLd1U0
そう。だからここはいっそのこと眠るべき。
流行には従え。自分を隠す仮面になるから。でも風潮には抗おう。それは自己を守るスクトゥムとなる。
ロ ン グ ス リ ー パ ー
長時間睡眠の人間になろう。それはもう深刻な睡眠障害。ナルコレプシーと見紛うほどに。
創造性に長けた偉人の多くはこういった生活指向だったと言うしな。だから俺は眠ることにした。
言い訳するつもりじゃあないが。決して俺は怠惰なわけじゃあない。
授業中の居眠りは欠かさないんだ。朝のSHRからフケこんで。目を覚ませば夜更けの教室にひとりぼっちってこともあったなあ。
そのうえ俺は、月が夜空の中天にかかる前に寝床に就く。おかげで戦闘民族の俺は満月を見て大猿化する心配もない。
もはや昏倒と言っても差支えないよな。こんなのを誰が怠惰と言えるだろうか。だから長時間睡眠は、才能の世界なんだ。
そして。スリーピングビューティ。ゆうすけこと俺は、小学四年生(ショーヨン)のときあの夢を見たんだ。
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227
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:42:23 ID:3vnbLd1U0
あれはこんな悪夢だった。
ツヤツヤの金髪をなびかせて。安全ピンで両耳にピアスを開け放題の微笑みデブがさ。
BMWバイクに跨って。俺を轢断するとばかりにアクセルを踏み込むんだ。俺は胸が張りついたようで動けない。轢き殺される。
こんな夢を何度も何度も見る。何度も何度も何度も何度も見た。繰り返された。
『螺旋桃尻町』って名作があるよな。あんな風だな。俺はてっきり。タイトルからしてポルノ作品かと思っていたのに。笑えない話だ。
あのときは死ぬことしか考えられなかった。だって。俺は眠ることが生きがいなんだからな。
あ、これ。長時間睡眠の人間の辛いところね。
でも。生きてる。
こうしてお前らに届くかどうかも分からない言葉をつなげている。ここまで言えば。分かってくれるよな。
分かっているのなら。俺から言うことはただひとつだけだ。
ス ト ー ム
俺に授けられた能力。『 栖 鐙 夢 』は俺の生きる希望ってわけ。
228
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:44:35 ID:3vnbLd1U0
< ( ^ω^) 内藤ホライゾン 登校 >
内藤は駅の改札を抜けて行く。
構内に人影はほとんどない。ラッシュアワーを過ぎて、空は春の陽射しが穏やかである。
待合室の椅子に腰を落ち着かせる。黄色く映えるイヤホンで音楽を聴きながら、内藤は先日読み終えたばかりの文庫本を再度開いた。
恋愛小説なんて読むものじゃないと内藤は思う。
噂どおりに風変りな筋書きだった。ただし結末は、ただの古典的な王道展開の焼き直しだった。
些細な事ですれ違っていたふたりが、運命の悪戯によって互いの気持ちを認識し合った。ふたりは恋人になった。
幸せは長くは続かなかったが、ふたりで困難を乗り越えた。取り巻く苦境は打破した。最後はハッピーエンドで幕を下ろした。
( ^ω^)「(けれども。暇潰しにはちょうど良いです)」
読後は、こんな諦観めいた感想を抱くよりほかはなかった。内藤は、しかし書店に立ち寄ると、恋愛小説を好んで手にとるのだ。
内藤は夢のなかの少女、ツンに恋をする自分自身が投影されたような物語に、一度でも共感してみたかったから。
229
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:48:23 ID:3vnbLd1U0
内藤は左手首の腕時計を見る。あとほんのわずかの時間で列車は来る。
祥雪中学は、内藤の町から二駅先の都心にあった。
( ^ω^)「(人身事故が起これば。学校に行かずに、済むかも知れません)」
ふと内藤はそんなことを考えてしまう。心の弱い甘いところに、内藤は巣食われてしまう。
内藤が県内有数の名門校、祥雪中学校への受験を決意したのは、ひとえに死没した父親 ( ФωФ) を弔うためだったろう。
生前、高校教師を勤めていた父親は、内藤に家庭内で厳しい教育をほどこしていた。進取の精神。努力崇拝を内藤の肝に銘じさせる。
昨年の春にそんな父親が息を引き取った。内藤は父親の遺志を継ぐ。継がなくては。難関校の祥雪中学に受かって、学び続けなくては。
入試は内藤にとって容易いものだった。ハインリッヒの手荒い祝福を受けたとき、内藤は、しかしあの父親の笑顔が見たいと思った。
ハインリッヒには、こんなのは嬉し泣きだと嘘を吐いた。内藤は泣いていた。内藤のほんとうの目的は、父親の遺志を継ぐことなどではない。
内藤はただあの父親の喜ぶ笑顔が見たかっただけ。大義名分を立てて、実行することで、今まで父親の死から目をそらしてきた。
( ^ω^)「(あの学校に行く意味を見いだせません)」
見かけはともかくとして。目的が果たされた刹那に、心は弛んでしまうものだから。
もっとも内藤が学校に行くことを嫌がる理由は、他にもあった。今朝だって内藤は、わざと寝過ごしたものだから。
230
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:50:48 ID:3vnbLd1U0
( ^ω^)「(それにしても気にかかるのは阿部デレです。ハイン姐もそんな名前は知らないと言うし)」
文庫本を引っくり返し読み直しているうちに、集中力は途絶えた。すると途端に周囲のことが気になり始めた。
まばらだった構内の人影も、多少は騒がしくなってきている。
とは言っても内藤のほかに、制服を着た学生の姿は当然になかった。
そんなときに。内藤はひとりの少女を見つける。
川 / - )
向かいのホームに少女は立っていた。顔面には包帯を巻いているようだ。油気のない黒髪をしていた。
自動販売機の前で立ち尽くしていて、内藤からは彼女の後姿しか見えない。
花冷えの春もようやく暖かくなってきたというのに。彼女は厚着をしている。まるで肌を隠すように。
彼女の片脚は義足だった。だから。内藤の目を引いた。
湾曲した、しなやかな、あるいは歪な脚が、純白のロングスカートから覗いていた。
231
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:52:41 ID:3vnbLd1U0
( ^ω^)「……お?」
内藤ホライゾンは。少女に見憶えがあるような気がしている。
列車が到着する。向かいのホームはもう見えない。
川 / - )
川 / -゚)「……」
( ^ω^)
( ^ω^)「(変な子……)」
内藤は少女のことなど忘却の彼方に。お手元の携帯を開いた。
内藤は振り返るべきだった。列車に乗り込んだ後も、窓越しに少女を一瞥すべきだった。
少女は白濁した瞳で、吊り革につかまった内藤の背中を、絶えずじっと凝視していたというのに。
けれど内藤は。
あろうことか。ディスプレイに表示されたメールの文面を読んで、体をかたくこわばらせている。
232
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:56:26 ID:3vnbLd1U0
内藤は手慣れた様子で校門の守衛室に学生証を提示する。遅刻の回数はこれで二十二を数える。
つまり入学式当日をのぞいては、内藤は毎朝欠かさずすっぽんかましているということだ。
欠席・遅刻者数の連絡は、諜報機関CIAのごとく用務員から迅速に教師まで伝わる手筈となっている。
三度目の遅刻ではお灸をすえられた。以降は「勉強をするのは教師ではない。生徒だ。損をしているのは君のほうだ」と正論かまされた。
それでも。内藤は懲りない。なぜなら事情があったから。
( ^ω^)
( ^ω^)「はっ」
エクトプラズムを体外へ放出するように。瞬間的な溜息を吐く内藤。
パルテノン神殿と見紛うばかりの東棟の校舎を抜けて、ゆっくりとした足取りで、下駄箱の前まで辿りつく。
( ^ω^)「……いたっ」
下駄箱を開いた。上履きを取り出そうとして。内藤の指先は異物に触れた。手紙ではない。もしも。内藤に愛文を送る女の子がいたら顔が見たい。
それは画鋲だった。あるいは瞬間接着糊だった。泥だった汚物だった。内藤の指先は得体のしれぬ色に染まり、針に刺されて浮かんだ血の色があざやかだ。
内藤ホライゾンは。メールの文面を思い返した。『遅刻おつかれさま。今日も楽しんであげるから』。
内藤ホライゾンは。イジメに遭っている。逃れることは出来ない。
233
:
同志名無しさん
:2013/09/02(月) 23:59:43 ID:3vnbLd1U0
< ('A`) 宇都宮ゆうすけ 覚醒 >
ロ ン グ ス リ ー パ ー
自他ともに認める 長時間睡眠の人間 の俺は、しかし、寝坊で遅刻という愚昧で愚鈍な愚の骨頂の愚を犯す、なんてことをしない。
むしろその逆。ここは早起きするべき。
惰眠をむさぼるとはよく言うが、そんなのはいつまでも大人になりきれない人間のすることで、恥ずかしいことだ。
いつだって睡眠は本気だ。
かのテニスプレイヤー松岡修造氏は、就寝時でさえ熱い男だ。彼は布団のなかで「眠るぞ!」と全身を緊張させていないと眠りには就けないと言う。
各界に師事する人を従えた中村天風氏もこう言っている。「寝るなら寝なさいよ。寝床に何しに行くんだ。考えに行くんじゃなかろうが」と。
俺は確乎とした意志をもって眠る。神様の懐に抱かれるように眠る。そして善良な社会規範にもとづいて、午前6時には起き出している。
ただし退屈な授業中に。もしも睡魔が忍び寄って来たら。俺は容赦なく居眠りかます。今だって俺は、教卓前の席で居眠りを敢行している。
世界三大欲求に数えられる睡眠欲は、いわば神様のお導きなのだ。これは甘受するべき。人間は眠るべき。
川 / -゚)「話はもう良いのか?」
('A`)
ストーム
でもなあ。最近はこんな女が毎回、俺の『栖鐙夢』に出て来るんだよなあ。
234
:
同志名無しさん
:2013/09/03(火) 00:02:09 ID:sz.2r3wU0
('A`)「何の用よ。傷女?」
川 / -゚)「報告がある」
グ ー ル
便宜上。俺は彼女のことを 傷 女 と呼んでいる。
傷女は顔の半分を、包帯で覆い隠していた。片目は白濁して虚ろで、肌は黒ずんで爛れている。火傷か何か。よほどの重傷を負ったと見える。
片脚は義足で。両腕には羊革の手袋を嵌めていた。恐らく傷は全身に及んでいる。こんなホラー人間を夢に見るなんて、これは悪夢とも言えなくはない。
けれど俺は。なぜだか。――傷女を嫌いにはなれなかった。
川 / -゚)「お前が捜している男。ようやく見つかった」
('A`)
('A`)「ほーう」
川 / -゚)「名札を確認した。名前は内藤ホライゾン。お前と同じ祥雪中学校の生徒だ」
('A`)
('A`)「……嘘だろ?」
川 / -゚)「いいや確かだ。なにしろ制服が一緒だったからな」
235
:
同志名無しさん
:2013/09/03(火) 00:03:31 ID:sz.2r3wU0
('A`)「それは信用に足る情報か?」
川 / -゚)「疑うのも無理はない。お前にとって内藤ホライゾンは、夢のなかの架空の人物に過ぎなかったのだから」
川 / -゚)「しかし驚いているのは。むしろ私の方だな。今回は改竄された痕跡が多数見られる。きっと何かが、ある」
('A`)「ぶつぶつ呟かれても、何のこっちゃ分かんねえよ」
川 / -゚)「すまない」
('A`)
川 / -゚)
('A`)「傷女。そいつは……今、何処にいる?」
川 / -゚)「学校に向かったのではないか? 校内をくまなく探索してみれば、あるいは――」
236
:
同志名無しさん
:2013/09/03(火) 00:04:52 ID:sz.2r3wU0
そこで俺は目を醒ます。目の前で教師が、東大寺金剛力士像のように立ちはだかり、表情は怒りのいろで染まっている。
俺は大きく伸びをしてあくび。をひとつ噛み殺すと無言で教室を出て行った。
傷女の言葉は、途中で尻切れとんぼになってしまった。しかし、最後まで聞かずとも俺には内容が知れた。
('A`)「(内藤ホライゾン、とか言ったっけか)」
『栖鐙夢』で傷女と初めて出会った日。「こんな男に心当たりはないか?」と一枚の写真を手渡された。
知っている、と俺は答える。それは過去に夢のなかで、俺のことをバイクで何度も轢き殺した不良の顔写真だったから。
川 / -゚)『もしも、この男が現実にいたら。お前はどうする?』
('A`)『ハァ? ……いるのか、コイツが?』
川 / -゚)『例えばの話なんだが』
傷女はあくまでそう言っていた。
('A`)『そんなもん。――……』
川 / -゚)『……』
俺の返答に傷女は、しかし、そのボロボロの顔を歪めることはなかった。
237
:
同志名無しさん
:2013/09/03(火) 00:08:35 ID:sz.2r3wU0
日付変わったのでひとまず区切りです
こんなところまで乙投げてくれてありがとう励みです
238
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:47:39 ID:WRwPhOW20
< ( ^ω^) 内藤ホライゾン 体育館裏 >
鈍色の空から白いものが落ちてくる。
真っ白な雪片。ではない。桜だ。まるで小さな天使が、内藤のもとに舞い降りて来るように。
桜の花びらだ。風ひとつ立たない、静かで陰湿めいたその世界に、天使がひとり、またひとりと降りて来る。
( ω )
内藤は体育館裏の。ぬかるんだ地面のうえに倒れ伏していた。
呼吸はある。眼は虚ろだ。真っ黒な闇が大地の隅々から忍び上がって、内藤の眼球を惰気と眠気で覆うのだ。
立ち上がろうと内藤は思う。しかし。顎を地面から離すと、内藤は頭をつよくつよく踏みつけられる。
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
頭上から降って来るのは侮蔑が入り混じった同級生たちの声だ。
内藤は地面の冷たさに我に返る。うがいのような呻き声が出た。
どうあがいたって内藤は立てなかった。
239
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:48:47 ID:WRwPhOW20
名門校ともなれば。両親や教師や校風その他もろもろりの重圧に応えきれないことによるストレスの蓄積があった。
内藤も入学当初から、そんな空気を薄々と感じてはいた。新歓では、上級生のピリピリとした空気を肌で感じた。
名門校ともなれば。そんな精神ストレスを緩和するためにも、スケープゴートはおのずと選出されるものなのか。
いいや違った。少なくとも内藤のクラスはそうではなかった。
内藤のイジメは、羊が羊を草原から追い出すような性質を帯びていない。
内藤は水槽のなかのメジナだ。小さな世界で起こる小さな話をしよう。
( ^ω^)「初めまして。VIP小学校からきますた私の名前は内藤ホライゾン。
趣味は読書と夢判断で愛読書はヴァーツヤーヤナのカーマスートラです」
クラスにひとりはいる。
下世話な話。尾籠(びろう)な話。猥談。ダーティトーク。ペイチャンネル。艦これ。を好む男子生徒。
内藤はクラスのなかで割に良いポジションを確立しつつあった。いわゆるお調子者でムードメーカーなテンプレエロ猿キャラだ。
もっともそんなカテゴライズの有無は寡聞にして知れないけれども。こんなのは内藤お得意の渡世術だった。
240
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:52:20 ID:WRwPhOW20
内藤は仮面を被った。父親 ( ФωФ) の死は心の奥底に秘め隠した。
そうして明るく笑う内藤がいるだけで教室は賑やかだ! 内藤の遅刻癖は、ご愛嬌として済まされたのに。
内藤は失態を犯すのだった。
( ω )
端的に言ってしまおう。
内
藤 は 授 業
中 に 夢 精 を し た。
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
先刻から内藤が。同級生に浴びせかけられているこの言葉の意味は?
これは、運悪く授業中に夢精をした内藤への追い打ちの言葉だ。
運悪く夢精をした直後に、教師に名指しされた内藤は、既に精力が果てていて、後にほとほとに困じ果てた。
怒髪天を衝く勢いでエレクチオンする人間爆弾は、保健室に直行するしかあるまい。
そんな火急の用を同級生たちに看破された。
241
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:54:28 ID:WRwPhOW20
内藤のイジメはいわば余興だった。
子供の獅子は互いにじゃれ合って、時には死力を尽くすかのような闘争をすることがある。
こんなのは立派な大人の獅子になるための学習と言うが、悪鬼羅刹のサバンナのことだから、我々には余興にしか見えない。
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
「お前それサバンナでも同じこと言えんの?」「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」「内藤なにしてる? はやくきりーつ!」
ハポン国社会でもそんなパラドクスは生まれる。傍から見ればこんなのは深刻なイジメであるが。
当事者たちにとっては、ただの子供の遊びだ。子ライオン同士のじゃれ合いなのだ。
まったく「学習」と「遊び」の区別とは曖昧なものである。
「箒とちり取りと雑巾を持って来ました」
「掃いてけ」「掃いてけ」ちくわ大明神「拭いてけ」「拭いてけ」
「内 藤 拭 い て け」「内 藤 拭 い て け」「内 藤 拭 い て け」
( ω )「……」
覆う合唱洗脳。汚水を吸収したボロ雑巾を。
手渡された内藤は、うつ伏せのまま下腹部を拭く真似をした。
242
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:55:47 ID:WRwPhOW20
響く嘲笑躍動。内藤は、しかし涼しい顔でこれに応えた。
内藤は諦めたのかも知れない。仮面ごときで隠すことは出来ない。暗い本性はあらわになっていく。
ところで、倒れていたからかも知れない。他の同級生たちの死角にたたずむ、一匹の猫を内藤は見つけた。
( ω^)
(*゚∀゚)
( ω^)
(゚∀゚*) 彡
赤毛の猫は去った。
クズな男だと見限られたのかも知れない。
243
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:56:48 ID:WRwPhOW20
< ('A`) 宇都宮ゆうすけ おひるね >
('A`)
川 / -゚)「おーい」
川 / -゚)
川 / -゚)「お前は夢のなかでも」
川 / -゚)「目を開けたまま眠るのか」
('A`)
川 / -゚)
川 / -゚)「怖い」
|::━◎┥「ですよね」
川 / -゚)「うん? お前はたしか」
|::━◎┥「覚えてますか?」
川 / -゚)「ああうん。忘れないさ」
グ レ ム リ ン
川 / -゚)「たしか『目覚まし時計』の一員。だっただろう?」
|::━◎┥「さすがです素直クール様」
244
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 00:58:25 ID:WRwPhOW20
川 / -゚)「そうか」
ストーム
川 / -゚)「そう言えばここは君の『栖鐙夢』だったな」
|::━◎┥
川 / -゚)「主人を起こさないのか?」
('A`)「oi」
|::━◎┥「マスターを勝手に起こすと荒らされますので」
川 / -゚)「ふむ?」
|::━◎┥「マスターは予想に反して『栖鐙夢』に適正がおありのようで」
('A`)「misu」
川 / -゚)「そうは見えんがな」
('A`)「おい」
('A`)「紀伊店のか」
川 / -゚)
|::━◎┥
245
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:00:08 ID:WRwPhOW20
|::━◎┥「ようやくお目覚めですか、マスター」
('A`)「ねねね寝てねえわダボ」
|::━◎┥「馬小屋の藁の上で寝てもMPしか回復しませんよ」
('A`)「寝てねえわダボ」
川 / -゚)「起きてたのか?」
('A`)「寝てねえわダボ」
川 / -゚)「そうか」
('A`)「それよかマンデイホリデイのことだけどよ」
川 / -゚)「内藤ホライゾンがどうかしたのか?」
('A`)「午前中は丸々探し回ったけどよ。見つからねえよそんなヤツ」
川 / -゚)「あいかわらず探し物が下手だなドクオは。会おうと思えば会えるんだ」
('A`)「そんな運命的な出会い方はしたくないよね。つーかドクオって何よ」
川 / -゚)「それで? 疲労しきって昼寝というわけか。授業もフケてクズだなお前は!」
('A`)「夢のなかで女の子に罵倒されてる件」
246
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:01:16 ID:WRwPhOW20
[; Д`]「マスター!」ガララッ
川 / -゚)「……?」
|::━◎┥「おや」
('A`)「あ? そんなに慌ててどしたよエンジン王」
川 / -゚)
川 / -゚)「無駄口を叩くなドクオ。構えろ」
('A`)
|::━◎┥「マスター。応戦の準備を」
('A`)
[; Д`]「南の500m先! 第二体育館の方角から……!」
('A`)「え?」
ζ( ー *ζ
サキュバス
[; Д`]「 『 夢 魔 』 が 襲 来 し て き ま す ! 」
247
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:03:25 ID:WRwPhOW20
('A`)「ハァ? 発音が違うだろそれ。正確にはサッキュヴァースだろエンジン王」
[; Д`]「こまけえことはいいんだよマスター!」
川 / -゚)「だが惜しかった。一足遅いぞエンジン王」
|::;━◎┥「――……ッ!?」
|::;━◎┥「エンジン王! 背後!」
[ Д`]「ふぇ?」
ζ( ー *ζ「……」
[ Д`]「な、なにやつ……」
fr邱Д゚]ロ「あガッ!?」
(;'A`)「え、エンジン王――――!?」
248
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:05:28 ID:WRwPhOW20
ζ( ー *ζ「あーらら。素手で倒せちゃった。脆いんだあ……」
|::;━◎┥
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
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''''';;;;;;;,,,,,,, ''' ム三弐_ノ=三≧=' ''' ,,,,
'''''''''''';;;;;;;,,,,,,, }从/Mヘ,`¨´ ,,,,,;;;;''''''
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,,,;;;;''' ''';;;'' 〈三{三三三 三ニ} ' '''';;;;;'
,,,,;;;;;;''''''' ;' j三个=--- ' ニ彡, ,,,,;;;'''' '';;;
〈ニ三|三三三=〉ニ= '';;' ;;;;;''
,;,, ,,,,,,,;;;;;;;''''''';;;, ; /二ニミ!-‐…‐-ミニニ〉 '';,,,;';,,;''
,,,,;;;;'''''';;;;;,,,,;;;;'''''',,,,;;''' ` ┤.:::/-‐‐…‐-ミニ{
;;;;;'' ''';;;;;''';,,,,;;;''';.. | ::/ニニニ三ニニ=┤ ';, ,;
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
川 / -゚)「……」
川 / -゚)「『夢魔』とは貴様のことか?」
ζ(゚ー *ζ
ζ( ー *ζ「……困った機械だよね。いったいどうやって嗅ぎ付けたのかな」
249
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:06:39 ID:WRwPhOW20
川 / -゚)「(困った機械)」
川 / -゚)「それは私のことを言っているのかな? 阿部デレ」
ζ( ー *ζ「――……?」
ζ(゚、゚*ζ「は? あなた誰? 私のこと知ってるの?」
川 / -゚)
川 / -゚)「(記憶までは継いでいないのか)」
川 / -゚)「(性格も大きく違うようだ……)」
川 / -゚)「悪いが。答える義理はないからな」
ζ(゚ー゚*ζ「……? は? 誰?」
|::;━◎┥「失礼。貴女ほどの『夢魔』が、この『栖鐙夢』に何の用でしょうか?」
ζ(^ー^*ζ「えへ。後ろめたいところがあるくせに。やけに強気なんだあ」
|::;━◎┥「……」
(;'A`)「お願い、死なないでエンジン王!あんたが今ここで倒れたら(中略)だから!」
fr邱Д゚]「次回『エンジン王死す』。デュエルスタンバイ!」
250
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:08:45 ID:WRwPhOW20
ζ(゚ー゚*ζ「まー、うん。そうだね歯車王さん」
|::;━◎┥
ζ(^ー^*ζ「『そういうこと』込みで。私のお願いを聞いてくれないかな」
川 / -゚)「……」
|::;━◎┥「聞きましょう」
川 / -゚)「歯車王」
|::;━◎┥
ζ(゚ー゚*ζ「結構だよ。あとそこの包帯女さんは、ちょっと邪魔だから……」
川 / -゚)「……!」
川 / -゚::. 「……仕方ないな。これは」
「健闘を祈る。ドクオ」
(;'A`)「ハッ!? ハアッ!?」
251
:
同志名無しさん
:2013/09/18(水) 01:10:00 ID:WRwPhOW20
ζ(゚ー゚*ζ「邪魔者は消えたよ。さーて。ネゴシエーターの腕の見せ所だ」
(;'A`)「お、お前なー! いくらエロいからって夢のなかであんまり無茶苦茶やられるとなー!」
|::;━◎┥「落ち着いてくださいマスター」
ζ(-、-*ζ「ま、お願いしたいのは実に簡単なこと……」
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、宇都宮ゆうすけくん!」
(;'A`)「あァ〜!? 軽々しく俺の名前を呼ぶんじゃねえ!!」
|::;━◎┥「この人には気にせず続けて」
ζ(゚ー゚*ζ「……えーっと」
ζ(゚ー゚*ζ「宇都宮ゆうすけくん」
(;'A`)
ζ( ー *ζ「これから内藤ホライゾンくんと、夢で、戦ってくれないものかな」
252
:
同志名無しさん
:2013/10/12(土) 18:02:08 ID:hWbkC3Qs0
支援
253
:
同志名無しさん
:2013/10/13(日) 11:15:39 ID:ZS.oKzcg0
支援
254
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 20:57:52 ID:RwIIH02I0
━━━┳━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┫ 聖マリントン教会 ┣━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┻━━━━━━━━━━┻━━━━━━━ ━ ━ ・・・
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:::::::::::::::::::::::::::::... ::.... . .. .. | fーr‐‐ョ ir`‐‐‐ 、 . ... ...:: ..:::: ::::...::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::... ::.... . .. .. r-'='-!.i.| 甫  ̄ i´ ト、 .. .. ... ..:: ..:::::::::: ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::... ::.... . .. . . ______,|_,r'';';∩、,.,,r'゙';;. ii ! ii | .| ,..,, .. .. . ....:: ...::::::::::::::::::::::::::::
:::::::... ::.... . . ,.;;'';;., } ,;';;';, ii !,,..!∩.;'゙"'';;;..,,.!__ | .|;:';"':;,/壁{ . .. . ....: :::..:::::::::::::::::::::::::::::
:::... ::.... . . ;゙::,:';;::;ニ,.,__,.,___,.__.,,,.___};{_,.___,..,...,____`.,.._ヽ ノ壁ミトュ_ . .. ... ...::..:: ::: ::::::::::::::::
壁壁};';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,':.:.`ー-、ー}}ミ .. .... ...:: :: ...::::::::::: ..::::
'"`' 、,,..,., ,.. ''"゙ ̄`''‐― - - - ''"""゙"゙" . .. .... ..:: :...::::::: :::::
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━━━┳━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┫ 想咲帝国歴56年 《暗黒期》 ┣━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
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午前二時の教会に、まだ灯りがあった。
さだかならぬ虚空に、炎の影があかあかと映っている。
教会はふしぎな、瞑想的な匂いにつつまれていた。
それは賭博者たちの、汗ばんだ肌の匂いなのだった。
決して歌隊修女の朝課の黙とう、お告げの祈りの静寂な空気などではない。
聖マリントン教会は、賭場の隠れ蓑として知られて久しい。
夜のしじまの中で、梟が鳴き、プレイヤーたちは息を殺して卓上を見つめていた。
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255
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:02:44 ID:C/ZTIIfI0
__r==ミ、
___ ___ ____ ___ ___ __ ,イ \,}} /ヽ
l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l / ノ / i<_/ }
l| ツン=デレミーアス $39,500 |l ,、―ミ// / ハ iレ'≦
l|.___ ___ ___ ._________.|l / `'< / ,仆≧ム}斗≦ i リニニ/}
.. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `>‐,二」Ⅵ |rf炒 炒アrー'´_丿
ハr'´ 厶イ込.」 ' フイ.ノ⌒ヽ
__ \辷ーァ':::/:小 ^ ィ夭:{:::r\}}
/ ー≪ ___ ィ: : ::/:/ j} ><{,ノ::ノ:}::ハ:V:ハ
/ ∠. -‐: : :ィ≦ ̄:::ムァ7} fV::://,xヘく. }
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
i::::::::::::::::::;;;;|
_,,.-ー=ーー-ー-i.、,,_
'‐-;ミミ -= ,-、--‐') __ __ __ __ ___ __ _
.ゞ ト 、_「`i" 丿 l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
ヾ!, -=━・'゛ l| 渋澤さん $16,000 |l
,ィ !\.`'' /. l|..__ __ ___ ___ ___ .|l
_.,,.-‐'.::;;`ー-,,`ァ〔:- 、_ .,_ ..  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
:::::::;;;;/::i\〈';'〉v::\::::;;;,/ `"''' ''' '/
::::::;;;;>::.l /';'l |。<::;;./ /
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、 ∧_ヾxj{;.;.;.`;.;.>)_;j;.;.;_;l`゙LヾV/ .. .. .... .:..:::: :::::::::::::::::
___ ___ ____ __ __ ;.、;.;.;.ゞ爻刈V/'j,)l/´ ゙_}〉:::i .. .. .... .:..:::: ::::::::::::::::::::
l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l ー㍉ー;.;.;.;、;.;YV{了|リ ...::::::;ァ、:::ハ .. .. .... .:..:::: :::::::::::::::::::::
l| 杉浦ロマネスク $21,500 |l _,.,.从斗┴zj_ハ`,:: )::::l{_,从':l .. .. .... .:..:::: ::::::::::::::::::
l|..__ ___ ___ ___ ___ .|l 辷辷}ノ仆゙ヾ、`ヾ、::::::ト、:::::}{ト::::::} .. .. .... .:..:::: ::::::::::::::::::::::
..  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄, ゝ>≦=ーミ辷xーニ´ ム:::メ:::::__! .. .. .... .:..:::: :::::::::::::::::::::::::
/ /)/>'´≠´ : : : : : :::::`ヾミヌヘ}z_rく .. .. .... .:..:::: ::::::::::::::::::::::::::
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256
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:04:58 ID:C/ZTIIfI0
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
世は想咲帝国暗黒期。
蛮族の侵攻が「ブーン系の平和」になじんでいた想咲民を
恐怖のどん底につき落とした時代である。
なかでも渋澤たちの率いる《美津府族》は
その常識の範囲外から来る狂暴さで、他のどの蛮族よりも恐れられていた。
先日、帝国の北西に位置する、榊原地方の住民は
彼らの司教座教会である聖マリントン教会が
この恐ろしい《美津府族》の襲撃に遭ったと聞くと我を失くした。
――逃げ場所がどこにもない!
榊原地方は、大陸をつなぐ地峡にあった。
国境線を防衛する要塞は、既に陥落したと見て間違いない。
港を出航すれば、海賊の餌食になることは、火を見るよりも明らかだった。
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257
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:05:51 ID:C/ZTIIfI0
┏━━━━━━━━━┓
┃ 大 陸 地 図 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┗━┳━━━━━━━┛ ヽ {`ヽ、r'f^ ┃
┃ ∧,, ∧ _、_ ,' } ┃
┃ 美津府族 首長 ( ФωФ) ( ,_ノ` ) fチ' "ー、 _, ┃
┃ rヘ _ノ ,-‐" ┃
┃ ___ _,..rー' `‐=,- ┃
┃ / { Ⅱ板 連邦 ┃
┃ ,'⌒`、 / _rっ o ,' ┃
┃ ,√ ̄}/ \. 〈 榊原地方 r‐-‐'´ .〈 ,-‐'~~`i ___ _..-‐'( ┃
┃J´ j く_,、. ヽ ↓__ ./ `´ ∧∧ `ヽ,. ┃
┃ ヽ、 `ヽ-‐´,.※.`', ノ 想咲帝国 皇帝 (゚Д゚,,) ι‐-、_ ┃
┃ ____  ̄`ヽ_i´ .ヽ ∨ ,ゝ ┃
┃ r '´ ``'-、 冫 【 凸 】 ←首都 想郷 r' ┃
┃ / `、__ __ _/ 」 ┃
┃rヘn___,,' `~´ ヽ,. ┃
┃ ノ ┃
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
《美津府族》は帝国の首都 想郷 を目指しているのである。
その進路の前を前をと逃げることもまた困難だろう。
十四歳のツン=デレミーアスは、孤児たちから指示を仰がれた。
想咲帝国で、子供の死は日常茶飯であり、かわりの子供もすぐに生まれた。
庶民階級では、子供が言葉を話せる歳になっても、その生存環境は過酷なままである。
多くの慣習では、貧しい親は子供たちを死に任せるよりも
子供たちを打ち捨ててしまうように仕向けていた。
結果として、帝国中に、なかでも重税の榊原地方に、孤児は増加したのだった。
ツン=デレミーアスもまた孤児の一員で、最年長のうちのひとりだった。
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
258
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:09:37 ID:C/ZTIIfI0
暗黒期の子供たちは、さながら完全な権利を有する大人のミニチュアのようだ。
帝国初期では、子供は宝物のように扱われたが、今となっては厄介者として邪険にされる。
ツン=デレミーアスは神に祈るというよりも、
どうしようもない絶望感を訴えでもするかのように、天に向かって両手を広げた。
と、その時、天から声が聞こえてきた――……
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./ | 」」 l ノ⌒ヽ、_.....
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/ ヽ (  ̄ " ... ヽ:::::::::::::::::
/ ∧,,∧ .ヽ ヽ、 ..........:::::::::::::::::::::::::::::::::
Eニ-、 .ミ, ゚Д゚ ,彡 , -ニヲ> ...........:::::::/⌒
⊂_二二二二二 ̄:::::::::::::: ̄二二二二二_⊃( .:::::::::::::::::( ...::::
ヽ ::::::::::: / / ̄ ̄ ̄ ̄\
⊂⊃ | .| :::::::: | i / ̄ ̄/ \
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/⌒ヽ( ・−・ )/⌒ヽ | :::::: | ┌ 、 \____/
(/(/ し J \)\) / ::::::::: ヽ ヽ┌─
∪ ∪ ヽ /.:::/ \:::.\ /...| \
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_/.:_/.,, ,,.. .\_::.ヽ \_| \
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./ \
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259
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:11:29 ID:C/ZTIIfI0
ξ;゚⊿゚)ξ「うわああああ」
ミ,,゚Д゚彡「にゃーにゃー」
ξ;゚⊿゚)ξ「親方! 猫が空から降って来た」
ミ,,゚Д゚彡「犬だから」
( ・−・ )「突然ごめんなさい。想咲帝国元宰相のシーンです。
今はもう、死んじゃっているけどね。こちらは先代皇帝のギコ=フッサールだよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「は?」
ミ,,゚Д゚彡「ツンさん」
ξ;゚⊿゚)ξ「!? !?」
ミ,,゚Д゚彡「フサは生前、皇帝であり、なおかつ匿名のプロギャンブラーであったから。
想咲帝国で何も咲かない寒い日は、根を下へ下へと伸ばすことをせずに
フサはただただギャンブルに明け暮れたから」
ミ,,゚Д゚彡「戦いなさい。お前たちならこの52枚の札で蛮族を打ち破れるから」
ξ;゚⊿゚)ξ「きみは何を言っているの?」
( ・−・ )「おこるなよ」
260
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:12:31 ID:C/ZTIIfI0
┌─―――――─┐ ┌─―――――─┐
|K 。 。 .。 。 :::├――─―――┐ /| ├――──――┐
| |∨∨∨| ::::| ...::::::::::::::::::::│ [l ̄\....| | | |
| |゚゚__゚゚| ::::| ......:::∧ ∧:::::::| [≡≡l :| | ..| ヘ へ|
| く( ´∀`/しァ:::| :::::::( ・∀・ )::::| /^(゚∀゚*[_lつ:::| ∧∧ | / |
| `7x=y'::::く_| :::::::「ゝYr.'⌒7 | | {とii[二]〈::::::::|(*゚ー゚),..,.. ;'、.,:/|
| _/::_У::::::::::::::| _ノ|.ン介 イ |:::| ヽ_/ヽllとノ ::::::|;'∪∪、:、.: : ..;:''|
| `)-(_\;:;:;∠)┘ |  ̄)====:.Lノ:::| ::::::::::::ヽ,):::::::::|'、;: ...: ,:. :.、.::::'' |
| . : : : : : . K| ::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::: 2 | `"∪∪''''゙".. .|
└─―――――─┘ :::::::::::::::::::: A |.──────┘ 4 |
└───―――─┘ └────――─┘
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
――……英霊たちの啓示があったのだ!
ツン=デレミーアスが先代皇帝と元宰相から賜ったものは、52枚のトランプ札だった。
想咲の貧民であるツン=デレミーアスが
これを見て思い当たる賭博の演目は、ひとつしかなかった。
暗黒期では子供、大人、さらには蛮族のための遊戯として
賭博は生活の重要な一部分をなしていたのだ。
賭博は当時の社会を映す鏡の役割をになった。
つまり、その構造や、そこでの暴力や謀略、肉体の鍛錬のそのものの否定のなかに
その社会の姿が浮かび上がるものだからだ。
射的試合や騎馬競技が貴族階級だけのものだったのに対して
あらゆる社会階層で人気が高かったものが賭博……つまりポーカーである。
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261
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:13:54 ID:C/ZTIIfI0
┏━━┓ ┏━━━━┓
┃回想┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 五年前 ┃
┗┳━┛ ┌──┐# .:;,'' ┗━━┳━┛
┃ │ ┌┴┐ .:.;, || ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄|| ┃
┃ └─┤ │ , || 0||0 || ┃
┃ [三] └─┘ ..;:' ||____||____|| ┃
┃ <`/>'^ヾヘ/> γィソノハ ∧,,∧ (^ω^┃
┃ ノノ/ Lハ) ヾ 川リ*゚ -) (´・ω・`) ( つ ┃
┃ |l |i|*゚ , ゚ノi| 〈ュ[]] とヽ (つ夢と) ('A`) ┃
┃ ゝつ[]]く_ ノ/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ノ | ┃
┃ γ⌒⌒ / 「」 」 」 」 」┏━━━━━━━━━━━━┻┓
┗━━━━━━━━━━━━━━━┓ 相咲帝国 精肉市場の賭場 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━┛
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
想咲帝国のポーカールールはもっぱらテキサスホールデムであり
民衆のあいだはもとより、国王の傍らに仕える者たちのあいだでも、非常な人気を博していた。
思い返されるのはツン=デレミーアスの人生最初のホールカード『7h Qh』だ。
精肉市場の裏手の豚小屋で、幼馴染の孤児たち 3人 と
ツン=デレミーアスはその日の食事と着る服を賭け合ったものだった。
思い出のなかにあって、ツン=デレミーアスは微笑を禁じえなかった。
蛮族をテキサスホールデムで打ち負かす……。
それは素晴らしい、説明しがたいほどの大きなよろこびを味わわせることだろうと
ツン=デレミーアスは予感した。
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262
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:15:05 ID:C/ZTIIfI0
\ __|_ /
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蛮族の首長たちは、賭博の勝ち負けで、今後の侵攻の如何を取り決めるという
ツン=デレミーアスのまこと面妖な提案を快諾してみせた。
これには《美津府族》の、常軌を逸してもはやダボな民族性がうまく作用して
ツン=デレミーアスと波長が合ったものかもしれない。
あるいは、想咲帝国の首都 想郷 を陥すために
ここは迷信の教えを信じて、豪運を身に付けておくという目論見があったものかもしれない。
もしくは、ツン=デレミーアスのような孤児どもは、いつでも殺せると高を括っているのか。
いずれにせよ、《美津府族》はツン=デレミーアスの誘いに、
ベット(仕掛けた勝負)にコールした(受けて立った)のである。
微笑はよろこびで満ちた。ほとんど気狂いと見紛うばかりに。
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263
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:16:07 ID:C/ZTIIfI0
r==ミ、 ┏━━━━━━━━━━━━━
, - ―´- 、} ┃:Female
__ / ヽ. ィ=ァ ┃:Hands Played 65535
>'ゝ `ヾ,′ / / ハ. ', ∨ イ `ヾ ┃:Hands Won 65535
j\ゝ \―, .,' { .{ i. ', } } / ,イ,.イヾ ┃:Biggest Pot Won 65535M
r' 八 ゛\. ゝ{ .i i .l .l.ハ j.、 .j }イ /イ/ j ┃:Best Hands 10d Jd Qd Kd Ad
.八 ヽー≧.八 .{ノ八≧.i i斗≦‐}.ノ .j彡'__.,イ ,イ. ┃:Location Sakakibara City
/ {ゝ、 \ ハ.{, 弋リ ヒリノ/j ,.イ ,.イ.ノ ̄}...┏━━┻━━━━━━━━━━━━━
八 八ー<__} 〉ハヾ ¨ ¨ イ/´ r' ,.イ_/ .,. ┃: Tsundere is a term used to describe girls.
\ \ { i ハ ,イ〃 ゞイ ´ / .,イ ┃: That are cold and strict at first or in public.
`ミ=- ,彡' ゙ 、. ´` ,イ ヾ、 .,.イノ/ ┃: But becomes lovey-dovey when they are alone together.
ー=ニ¨ヾ::; 个.、:/¨ニ=- 彡'. ┃: 〈 ttp://en.wikipedia.org/wiki/Tsundere 〉
____________________________________________
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
子供の勝負師は珍しくない。金のない子供は多いからだ。
殊にツン=デレミーアスのように貧民街の孤児を牽引する頭領ならば
彼らにバター付きパンを分け与えるために、死線のひとつふたつは掻い潜っている。
「――……負ける訳がないわ」
ツン=デレミーアスには揺るぎない自信があった。
エジプトのカイロを根城にしていた屍霊術師と、孤児の魂を賭けて戦ったこともあった。
どのようなハンドでもルーズにプレイ。屑手でオープニングベット。
敵には一息吐く暇さえ与えず、攻撃を仕掛け、2のワンペアでAKからバリューを搾り取った。
「蛮族に負ける要素がひとつもないわ!」
かくして、両者の進退を賭けた博打がはじまったわけだ。
____________________________________________
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
264
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:19:30 ID:C/ZTIIfI0
━━━┳━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┫ 聖マリントン教会 ┣━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┻━━━━━━━━━━┻━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
- ..;;_:::::::::::::::::::,.: '´ | | | |
::::.::: :.:.:.:.`:.`゙ーi´===ー_ー- 」 L.. __ | |
:.::::::.:.:.:... |  ̄i i¬=ーt |
::.:.. | | | | | __
:. , -rt-- ...」_, | | | | x≦爪川
! | | F==ミ. |==‐_ー-''└ー .._| | | }八L}ハ|
i | | |////,| |  ̄| | ̄ ̄`'i | |('、`*川
| | | |////,| | | | | | | xz公こ|
| | | |////,| | | | | | |从行辷|
| | | |////,| | | | | | └-----'
| | | |////,| | | | {爻爻〆 {沁爻爻}
| | | |」」」」」 |=====ミ. | | YY广 r─--- .....L乂_ノ__
| | |-‐Vヘ¬||| || || ||l | | ノ八 | ̄ 「三二,.x≦}┬r==
j | | Vハ |j」L.<⌒ ̄ ̄ ̄ (___) ⌒>「三ニ/: : :/ | |
j | | Vハ | ̄ ≧‐┬------┬‐≦ 「三 ,': : / | |
. ! :| | |/ハ!____,>|:. . . .:|>ト、_ 「三:i: : :i | |
. ! :| | K______ノi |:. . . .:|:,. '´ ̄``Y|: : ,l.. _| |
-ー[〉| |-‐¬| r──ー、 | | |:. . . .:|「 ,ニ¬=─'_!x1.| :|_|  ̄
!」 | | | | | | |:. . . .:|| | | | ̄ | | | |
| |_| | |_| (乂:.. .:乂| |: . Ll | | | |
|_| .::L!. .: .:.:.: ̄ ̄^:..|_l:::.:.:... | | Ll
265
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:20:04 ID:C/ZTIIfI0
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
__/ヽ_∠L_. ⊂ニニ⊃)
/::::::: ''''\. `二⊃ノ __ __ ___ __ ___ __ __
. |::::::::: (●), |. ((  ̄, l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
|:::::::: ,,イ_,`). ;; l|. さすらいのディーラー |l
. |::::::::: ノ.-=ラ. [l、 l| ダディ・クール .|l
\::::::: `フ. /,ィつ l|__ __ __ __ __ __ __ __ |l
,,..イ.ヽヽ:: 、 -─'. ,∠∠Z'_つ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,.r'´ ヽヽ、| / .r─-'-っ
',:.:ヽ. / ):::厂 ´
/i:.:.∧. / ̄`Y´
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
|(●), 、(●)、|「BTNが渋澤様に移動します。
SB($250)はショボーン様。BB($500)は杉浦様です。
ツン様よりアクションをお願いします」
ξ-⊿゚)ξ「……フォールド」
└【 $39,500 ホールカード『Jc 5h』 】
川 ゚ -゚)「フォールド」
└【 $17,500 ホールカード『2d 4c』 】
( ^ω^)「……」
└【 $24,000 ホールカード『Js Kd』 】
( ^ω^)「(さっきからずっと考えていたけど……)」
( ^ω^)「(ポーカーってどうやるんだっけ……)」
266
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:21:03 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「(おーん。ブーンはトランプに触るのも五年振りなんだお)」
( ^ω^)「(ポーカーは5枚のカードを揃えて遊ぶんじゃないのかお?)」
( ^ω^)「(何でブーンたちは2枚しかカードを配られていないんだお)」
( ^ω^)「(これってポーカーとして間違ってませんかお?)」
|(●), 、(●)、|「白豚様……?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……?」
( ^ω^)「……おk! ベット $1,000 だお!(でも、2枚とも絵札だからきっと強いお!)」
└【 $23,000 ホールカード『Js Kd』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……コール(とうとうこの白豚も勝負に出たか)」
└【 $15,000 ホールカード『10c Kc』 】
(´ ω `)「……ククク」
(´・ω・`)「レイズ $5,000 ……!」
└【 $8,000 ホールカード『Ks Kh』 】
267
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:22:07 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……」
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「レイズ $10,000 である!」
└【 $11,000 ホールカード『Qc Qh』 】
( ^ω^)「おっおっ?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
川 ゚ -゚)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(これは勝てないな)」
( ^ω^)「……コールだお!(いったい何が始まるんです?)」
└【 $13,000 ホールカード『Js Kd』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……フォールドだ(仲良くやっててくれ)」
└【 $15,000 ホールカード『10c Kc』 】
268
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:23:46 ID:C/ZTIIfI0
(´・ω・`)「……」
└【 $8,000 ホールカード『Ks Kh』 】
(´・ω・`)「(食らえ……!)」
└【 $0 ホールカード『Ks Kh』 】
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
∧__∧
/:::::。` 丶
(ノ、_) i \∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧/
ゝ ィj ≫ ≪
tュ-</`-、_. ≫ I'm All in !!!! ≪
{〉::ト,./に)-、:. :.\. ≫ ≪
ノ){:::こニ´ ノ ノく- : i /∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
}j{}:i::::,'.`ゝ_Y__ク.:. :.i
ハゝ:,'. :. :.ゝ=彳:. :.ノ
V\i:. :. :. :. ト-ーr´
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
( ФωФ)「……」
└【 $11,000 ホールカード『Qc Qh』 】
( ФωФ)「コールである」
└【 $3,000 ホールカード『Qc Qh』 】
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「(わけわかんねw)」
|(●), 、(●)、|「ポットは現在 $43,750 です。白豚様どうぞ」
( ^ω^)「おっ? おー……?」
└【 $13,000 ホールカード『Js Kd』 】
269
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:25:59 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「(……ブーンも降参したいけど。気付いたらブーンは $11,000 もベットしちゃっているお)」
( ^ω^)「(退くに退けなくなっちゃったお……)」
( ^ω^)「(杉浦の残りチップは $3,000 かお)」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「(……押したら退いてくれるかも知らんお!)」
( ^ω^ )9m「オールイン!」
└【 $0 ホールカード『Js Kd』 】
( ФωФ )「我輩もオールイン」
└【 $0 ホールカード『Qc Qh』 】
( ^ω^)「ですよね」
270
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:28:11 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「さてメインポットは $51,750 サブポットが $8,000 です。
それでは三者はカードオープン。
その後にフロップ ターン リバーに移ります」
(´・ω・`)つ[ Ks Kh ] ( ФωФ )つ[ Qc Qh ] ( ^ω^ )つ[ Js Kd ]
( ;ФωФ)「む……Kポケットであるか」
(´・ω・`)「(やっぱりブーンにKを一枚ドミられてたか)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(俺と白豚がKを持っているから、ショボーンはもうKを引けねえか)」
( ^ω^)「(あちゃー……負けちゃったかお)」
271
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:29:17 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「それではフロップを開示します」
[ Jd ] [ 5s ] [ Jh ]
|(●), 、(●)、|「白豚様が JJJ でスリーオブアカインド(スリーカード)となります。
杉浦様がQQJJのツーペア。ショボーン様がKKJJのツーペア……」
(;´・ω・`)「ぐぎぃっ……(キング! キング降りろ!)」
( ;ФωФ)「………………」
( ^ω^)「!?」
( ^ω^)「(フロップ! なにそれ!?)」
ξ;゚⊿゚)ξ「(ゲエーッ! 勝負してたら私フルハウスだったのに)」
└【 $39,500 ホールカード『Jc 5h』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(そのキングがもう無いんだよなあ……)」
└【 $15,000 ホールカード『10c Kc』 】
川 ゚ -゚)「(……さっさと次のハンド行けよお)」
└【 $17,500 ホールカード『2d 4c』 】
272
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:30:12 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「続いてターン!」
[ Jd ] [ 5s ] [ Jh ] [Qd]
|(●), 、(●)、|「杉浦様が QQQJJ のフルハウス!!!!」
( *ФωФ)「るううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!」
(;´・ω・`)「ッッッ!!!」
( ^ω^)「ターン?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(やるじゃん)」
ξ゚⊿゚)ξ「(っべー杉浦と戦ってたらあたし飛んでたわー)」
川 ゚ -゚)「(どーせリバーでK出るよ)」
273
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:31:17 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「そしてリバー!」
[ Jd ] [ 5s ] [ Jh ] [Qd] [Qs]
|(●), 、(●)、|「Qのフォーオブアカインド(フォーカード)で杉浦様の勝利です。
それではメインポットが $54,750 となって杉浦様へ。
サブポットの $5,000 は白豚様へ。ショボーン様は退場です」
( *ФωФ)「WRYYYYYYYYYYYYYY!!!!」
( *ФωФ)「クオッズ! クオッズ! クオッズ!」
::(´゚ω゚`)::
::(´゚ω゚`)::
( ^ω^)
( ^ω^)「(わけわからんうちにとんでもない金額で負けた件)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(白豚は次あたりで破滅するな)」
ξ゚⊿゚)ξ「(何というダメ押し)」
川 ゚ -゚)「(かわいそ)」
274
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:32:17 ID:C/ZTIIfI0
.〉'::::::|::|:::::::|l::::::|:::::|::::`ヽ: :\,. __ __ ___ __ ___ __ __
{:::::::┼|:::::::|l::::┼:::|::::::}:::::\:ノ. l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
L::::::_|::|::::::」L::::|::::」::::::|:::::::::ハ. l| 素直クール $17,500 .|l
}:ハ ̄「ii|  ̄「ii|l::::|:::::::::::ハ. l|___ ___ ___ .______|l
|::::: じ じ ;::::! )::::::::::}  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|::::{ u /::/'::::::::::::::
l:::个:。 __-- _/::/斗匕ヽ:ノ
人::::::{: : : : ̄: /::/: : : : : ノ
`¨ゝ: : : : : {:::{/ー=彡:、
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
_,─´/
__ ___ ___ __ ___ ____ i 、 ノ i // ̄ そんなっ…!
l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l l \ ___/ l ,/ / バカなっ…! バカなっ…!
l| ショボーン $ 0 .|l ∨ _ノ \_ ∨/ / なんで クオッズっ…!
l|___ ___ ___ _____.|l \ / ○:::::::::○ ハ / なんでこんな…!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ァ \ u. (_人_) U./ / あってはならないことがっ…!
\:..\ | | / /'
\ \. ̄ /,イ こんな理不尽なことが
ノ ヘ`く // | 僕の身ばかりにっ…!
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
⊂⊃ ⊂⊃ __ __ ___ __ ___ __ __
∧∧ ⊂⊃ ∧∧ l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
/⌒(*‘ー‘) /⌒ヽ (ー‘* )/⌒ヽ l| 内藤ホライゾン $5,000 .|l
(/(/(/(しと/ ( ^ω^) と ヽヽ)ヽ) .l|___ ___ ___ .______|l
) / |.| | | | > _ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_ノ ( | |ノ| | {/
ノ>U U
し'レ
-─━━─- ※イメージです。
275
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:36:06 ID:C/ZTIIfI0
(´゚ω゚`)
|(●), 、(●)、|「さてショボーン様をまたいでBTNは杉浦様に移動します。
SB($250)はクール様。BB($500)はツン様です……」
|(●), 、(●)、|「ところで杉浦様。お時間の方はよろしいので?」
( ФωФ)「ふむ? ……ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「何かあるの?」
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「りゃ、掠奪……」
メ几
ξ゚⊿゚)ξ「木又すぞ・・」
( ;ФωФ)「ジョークである!」
( ФωФ)「……て、敵地の榊原に逗留するのは予定外のことであった。
我輩たちは、出来ることなら、誰も傷付けずに想咲を変革したいと考えている。
それゆえ、警備隊の統率と見回りを怠ってはならないのである」
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「じゃあ。残り数ハンドで今夜は解散とするか」
( ФωФ)「う、うむ」
川 ゚ -゚)「ショボーン。ショボーン」
(((( ´ °ω。 ` )))
( ^ω^)「(……おーん。このままだと負けちゃうお)」
( ^ω^)「(この分だと明日まで生き残れるか分からんお)」
( ^ω^)「(いったいどうすれば……)」
( ・−・ )「(やあ)」
ミ,,゚Д゚彡「(にゃーにゃー)」
276
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:38:54 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「(お? 猫ちゃんだお!)」
ミ,,゚Д゚彡「(猫ー!?)」
( ・−・ )「(初めまして。僕は帝国元宰相のシーン。こちらは先代皇帝のギコ=フッサールだよ。
ところで白豚くん。見たところ、随分と追い詰められているようだね)」
( ^ω^)「(おーん。そうなんですお。もうルールがずぇんッぜぇん分からないんですお)」
ミ,,゚Д゚彡「(若き時は、血気内に余り、心物に動きて、情欲多し)」
( ・−・ )「(訊こう。君が知っている一番強いハンドは?)」
( ^ω^)「(ラブリーストレートフラッシュですかお)」
└ ttp://www.youtube.com/watch?v=KvlKNLmhIWU
ミ,,゚Д゚彡「(え?)」
( ・−・ )「(フサ。君はいま革命的使命感をひしひしと感じているんだよ。
これは僕たちが懇切丁寧に説明するしかないんだよ)」
ミ,,゚Д゚彡「(知らないということは実に恐ろしいことだから)」
( ^ω^)「(助かりますお!)」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ξ゚⊿゚)ξ「(白豚の周りになんかいるし……)」
277
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:41:56 ID:C/ZTIIfI0
│
┌───────┬────────┐ │ まずは手役の説明をしようか、フサ。
│ 手役の名称 │ 手役の例 │ * | これは弱い順番に並んでいて、下に行くほど強いんだ。
├───────┼────────┤ * ○ +| ポーカーは5枚のカードで手役を作り、優劣を競うよ。
| 《ハイカード》 ..| 10c 8d 6d 4d 2s | || /V\ /────────────────────────
├───────┼────────┤ ('(・−・ ) 、
│ 《ワンペア》 | 5s 5c 9d 10s Ah | <::::l::::::::7つ リ, ∧,,∧
├───────┼────────┤ >::l::::::/ ー=彡' ミ゚Д゚ ,,彡
│ 《ツーペア》 | 5s 5c 9d 9s Qh | し^ヽ_ | γ r^ } ミ
├───────┼────────┤ /_l l, ノ
│ 《スリーカード》 | Ks Kd Kc 7h Qd | ┌───────────────く__ 、_ミ{ ─────────
├───────┼────────┤ │ 数字の横に付いている小文字の
│ 《ストレート》 | 10c Jd Qs Kh Ac .| │ s は スペード(spads) の略称だから。
├───────┼────────┤ | h は ハート(hearts) d は ダイヤ(dias)
│ 《フラッシュ》 .....| 2d 4d 7d Jd 8d │ │ c は クラブ(clubs)で、これらのマークのことを【スーツ】と呼ぶから。
├───────┼────────┤ └─────────────────────────────
│ 《フルハウス》 | 8d 8s 8h Qs Qd .|
├───────┼────────┤ /∨\ + ┌────────────────────
│ 《フォーカード》 | 6d 6s 6c 6h Qs | (・−・* ) × | 相手と同じ手役だった時の勝敗について。
├───────┼────────┤ < : > │ まず《ワンペア》ならペア部分の強い方が勝ち。
| 《ストレート .| │ ○=(/ ゝ=l * | 強さの順序は、……ええと。
| フラッシュ》 .| Ad 2d 3d 4d 5d .| (_/し' └────────┐───────────
! ! ! │
: ┌───────────────└───────────
i i i | 【A−K−Q−J−10−9−8−7−6−5−4−3−2】だよ。
| | | .└───────────────────────────
| 《ロイヤル .| | |┃ ≡ ∧,,∧
| ストレート | 10d Jd Qd Kd Ad . | ____.|ミ\___ミ゚Д゚,,彡 /
| フラッシュ》 .| │ |┃=___ \ < また女装か
└───────┴────────┘ |┃ ≡ ) 人 \ \
278
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:43:02 ID:C/ZTIIfI0
┌──────────┐ /∨\ │
| 、人/ ≫. な| (・−・* ) | 《ツーペア》では強いペア同士を比べるよ。
| ∧__∧ ≫ 奇 ん| と : と[/ | それでも互角なら今度は弱いペア同士を比較しよう。
| ('(´∀`; ) ≫. 遇 と| /^/^ ゝ | 《フルハウス》ではスリーカード部分の優劣を競うよ。
| く l: ⊃ ≫ な ....|. └└' ̄ └───────────────────────
└──────────┘
∩ ∧,,∧ オラッシャアアア \∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧/
ヽミ,, ゚Д゚彡 < >
\⊂ ミ < これでも勝敗が決定しない場合は【キッカー】!! >
O-、 ミ. < >
∪ /∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
┌────────────────────┐
│ 【キッカー】とは自分が使う手札5枚のうち、
│ 手役に関係しないカードのこと!
└──────┐ └─────────────────────
│ 例えば5と9の《ツーペア》で『5s 5c 9d 9s 2h』のとき、【キッカー】は2h!
│ フサギコが意訳するに【キッカー】とはつまり除け者のことだから。
└──y────────────────────────────────
| だけどこの【キッカー】の優劣で勝敗が決することもある。
∧,,∧ /V\ | 2 は【キッカー】として最低のカードだね。
ミ,,゚Д゚彡 ( ・−・ ) /────────────────────────
┌─∪─∪──────∪─∪──────────────┐
│ ,,,... ↓ 《ツーペア》 ちょっ ギョウザ待てよ− │
│ ヽ,"'' 、 ヽ,"'' 、 。 │
│ヒタ l ::} l ::} ('A` ) ゚ ←【キッカー】 .|
│ ヒタ ノ ,,ノ ノ ,,ノ ー( ) │
│ "「└ ))) "「└ ))) |└ 三 │
└───────────────────────────┘
※【キッカー】の強さも同じ場合は引き分けとなります。
279
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:43:44 ID:C/ZTIIfI0
┌───────────┐
│ おまえの次のセリフは
└───┐ └─────────────────
│ 《ストレート》や《フラッシュ》はどうするの? ……という!
└─────────v ───────────────
∧,,∧ ニャーニャー
ミ,,゚Д゚;ミ て
とミ Om (
ミ ,,ミ
'とノ'
_人__人__人__人___人__人__人_
< フサギコは犬だから! >
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
( ・−・ )「大型AA説明もそろそろ意味が無くなってきたし、この辺りで打ち止めにするね。
《ストレート》も《フラッシュ》も基本は同じで、より強いカードで手役を作った方の勝ちだよ。
例えば『2d 4d 7d Jd 8d』 VS 『2s 4s 7s Qs 8s』ならQを持っている方が勝つ」
ミ,,゚Д゚彡「留意点としては【スーツ】による優劣は無いということ!」
ミ,,゚Д゚彡「あと《ストレート》のつながり方は【 A−K−Q−J−10−9−8−7−6−5−4−3−2−A 】!
もしも世界が明日終わろうと 【 Q−K−A−2−3 】 では《ストレート》になり得ないから」
( ・−・ )「説明することはたくさんあるけど、ひとまず手役の強さと、勝敗の決め方だけ伝えておくね。
それでは本編に戻ろう。ブーンとプレイしながら、その都度に覚えていこうね」
( ^ω^)「ちょちょ、ちょーっと待ってくださいお!」
280
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:45:08 ID:C/ZTIIfI0
( ・−・ )「どうしたのかな? 豚」
( ^ω^)「ナチュラルに辛辣ゥ!」
( ^ω^)「おーん! そもそもなんでブーンたちには2枚しかカードが配られないんですお?
あとフロップとかターンとか言って、机の上にカードが5枚開かれたけどありゃなんですお?」
ミ,,゚Д゚彡「逆に訊こう! 君が知っているポーカールールとは!?」
( ^ω^)「ブーンが知っているポーカーは、配られた五枚から好きな枚数捨てて、
その枚数分だけカードを引き直すってヤツですお。ブーンも PokerFaceUp に出演したかったお!」
〈 ttp://www.geocities.jp/dx_brade/namaenai/swf/pokerfup :名前ないっす(-∀-)様 〉
( ・−・ )「これ僕出てるよ。時代を感じるよね」
ミ,,゚Д゚彡「ダイレクトマーケティングすぎるから」
( ・−・ )「手短に言えば、彼が言っているのはドローポーカーの類だね。
多くの読者はこのポーカールールの方が馴染みがあるかも知れない。
ただしここでやっているものはテキサスホールデム、フロップポーカーの類なんだ」
( ^ω^)「フロップポーカー?」
( ・−・ )「まずディーラーから配られる2枚のカードを【ホールカード】と呼ぶんだよ。
これは伏せてあるから相手には見えない」
ミ,,゚Д゚彡「そしてボードに並ぶ5枚のカードを【コミュニティカード】と呼ぶから」
( ・−・ )「テキサスホールデムではこの7枚のカードから取捨選択して5枚の手役をつくるよ」
( ^ω^)「……ふむ?」
( ・−・ )「おっと。そろそろ次のハンドが始まるみたいだよ」
|(●), 、(●)、|「さてショボーン様をまたいでBTNは杉浦様に移動します。
SB($250)は素直様。BB($500)はツン様です……」
( ^ω^)「(BTN? SB? BB?)」
( ・−・ )「(杉浦ロマネスクの手前に、時計回りで小さなボタンみたいなものが移動してきたよね?
BTNとはディーラーボタン(Button)の略で、これを持っている人は最後にアクションすることになるよ。
皆のアクションを見てからプレイ出来る立ち位置なので有利だとされているね)」
ミ,,゚Д゚彡「(そしてBTNの左側に座る人たちには、規定の額のチップを支払う義務が生じるから(ブラインド)。
SB(スモールブラインド)はBTNの左隣の人。BB(ビッグブラインド)はSBの左隣の人)」
281
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:49:15 ID:C/ZTIIfI0
( ・−・ )「(さてホールカードの確認は済んだかい?)」
( ^ω^)「(おっ! この2枚のことですおね。さっそく見てみますお)」
( ^ω^)「(どれどれ……)」
└【 $5,000 ホールカード『9s 10s』 】
( ^ω^)「(おーん? 2枚ともスペードで、9と10かお)」
ミ,,゚Д゚彡「(なかなか面白いハンドだから!)」
( ^ω^)「(どういうことですかお?)」
( ・−・ )「(まずその2枚は連続したランクだから《ストレート》が視野にはいるよ。
さらに2枚とも【スーツ】が同じなので《フラッシュ》も狙えるね。
こんなホールカードのことを【スーテッドコネクター】と呼ぶよ)」
. ∧__,∧
( ^ω^ )「(じゃあもう負けないんですかお!?)」
n. ∧__,∧n
ゝ( ^ω^ )ノ「(やったー!)」
282
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:53:51 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「それでは白豚様から」
( ^ω^)「ベット $1,000 だお!」
└【 $4,000 ホールカード『9s 10s』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「コールだ」
└【 $14,000 ホールカード『 ? ? 』 】(演出のため開示しません)
ミ,,゚Д゚彡「(ベット(賭ける)やコール(同じ額賭ける)したり
レイズ(賭け金をさらに上乗せする)フォールド(降りる)したりする場面を【ベッティングラウンド】と呼ぶから)」
( ・−・ )「(この最初のベッティングラウンドを【プリフロップ】と呼ぶんだ。
ドローポーカーをやっていた人には、まだ2枚しか配られていないのに……と違和感があるかも知れないね。
プリフロップに限ってはBBの左隣の人(つまり白豚くん)からアクションが始まるよ)」
( ФωФ)「フォールドである」
└【 $54,750 BTN ホールカード『 ? ? 』 】
ξ-⊿-)ξ「……フォールド(そろそろカードが来てほしいわね)」
└【 $39,250 SB ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ -゚)「コールしようかな」
└【 $16,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
ミ,,゚Д゚彡「(ヘイヘイ! ツンちゃんビビってる!)」
( ・−・ )「(これは余談だけど、BTNが最後にプレイ出来る最高の立ち位置なら
SBのツンちゃんは最初にアクションしなくてはならない最悪の立ち位置だね。
このポジションは皆に銃口を向けられているという意味でUTG(Under the gun)とも言うよ)」
|(●), 、(●)、|「それでは素直様と白豚様と渋澤様の対決になります」
283
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 21:55:31 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「フロップ」
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ]
( ・−・ )「(フロップで【コミュニティカード】が3枚。ターンで1枚。リバーで最後の1枚が並ぶよ)」
ミ,,゚Д゚彡「(これらそれぞれに【ベッティングラウンド】が設けられているから)」
( ・−・ )「(プリフロップと合わせると【ベッティングラウンド】は4回もあるということだね。それでは本編に戻ろうか)」
( ^ω^)「(えーっと)」
( ^ω^)「(……ブーンの【ホールカード】と、この【コミュニティカード】を組み合わせて出来る手役は……)」
└【 $4,000 ホールカード『9s 10s』 】
∠( ^ω^)/「(ノーペア)」
ミ,,゚Д゚彡「(よく見てほしいから!)」
( ・−・ )「(良いかい? ホールデムは【ホールカード】と【コミュニティカード】を自由に組み合わせるんだ。
これは《フラッシュ》の線が追えなくなったけれど《ストレート》での勝機があるよ)」
( ^ω^)「(おっ!? でもブーンは《ストレート》なんて完成してないですお?)」
ミ,,゚Д゚彡「(今のところ白豚くんは『 × − 8d − 9s − 10s − Jd − × 』だから!)」
( ^ω^)「(おっ!?)」
( ・−・ )「(もしもターンかリバーで 7 か Q が降りてきたら……?)」
. ∧__,∧ ス ト レ ー ト
( ^ω^ )「(それはもう 《約束された勝利の手役》 じゃないですかお!?)」
n. ∧__,∧n
ゝ( ^ω^ )ノ「(やったー!)」
284
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:00:15 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「素直様から」
川 ゚ -゚)「ああ。……チェック」
└【 $16,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
( ・−・ )「(チェック(様子見)とは誰もベットをしていないときにしか出来ないアクションで
何も賭けずにアクションの権限を次のプレイヤーに譲ることだよ)」
ミ,,゚Д゚彡「(言わばパスのようなものだから)」
( ^ω^)「(チェックでブーンにアクションが回ってきたお……)」
└【 $4,000 ホールカード『9s 10s』 】
( ^ω^)「(ブーンにとって $4,000 は最後の砦だお。
きちんと《ストレート》が完成したのを見届けてからベットしたいお。だからここは)」
( ^ω^)「チェキ」
|(●), 、(●)、|「は?」
ミ,,゚Д゚彡「(別スレ……)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……」
└【 $14,000 ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ベット$2,000といこう」
└【 $12,000 ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ -゚)「コールだ」
└【 $14,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……(やけに反応が早いな)」
( ^ω^)「おーん……」
( ^ω^)「($2,000かお……でも)」
( ^ω^)「……ブーンもコールするお」
└【 $2,000 ホールカード『9s 10s』 】
( ^ω^)「(7 か Q が降りてくれれば……だお!)」
285
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:06:12 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「ターン」
|
_ 人 _
`Y´
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ] | [ 7c ] |
_ 人 _
人 `Y´
`Y´ |
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)「(マジか……)」
ミ,,゚Д゚彡「( Congratulation! Congratulation! )」パチパチ
( ・−・ )「( おめでとう……! おめでとう……! )」パチパチ
( ^ω^)「(だ…駄目だ……まだ笑うな…こらえるんだ…し…しかし……)」
|(●), 、(●)、|「素直様から」
川 ゚ -゚)「……チェック」
└【 $14,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
( ^ω^)「!(決めるお!)」
286
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:14:00 ID:C/ZTIIfI0
・ ━ ━━ ━━━ ━━━∧,,∧━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
m⊂((((´ ゚ω。`))) ※イメージです。
⊂c ノ__,,,....,,∪ __ __ ___ __ ___ __ __
/⌒ヽ | .| | .| l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
( ^ω^) i i二 .ノ l| 内藤ホライゾン $2,000 .|l
(´ 二二二 ノ .l|___ ___ ___ .______|l
ヽ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
i==ロ=〈 \─────────────────
ノ:::::::::::::::::ヽ │
/:::::::::::へ:::::::::ヽ │ ア゙ ァ゙ ァ゙ ァ゙ イ゙ ム゙ … … ! ! !
/::::::_/ \:::::::) │
/::_ '´ |::::| └─────────────────
レ しつ
/⌒ヽ ※イメージです。
_( ^ω^) il| __ __ ___ __ ___ __ __
(´ \ \|il |il il|i l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
/ \. \ノ\. \il| |il|i. .l| 内藤ホライゾン $0 .|l
i===ロ== ヘ. \. i|!l !l\il| l|___ ___ ___ .______|l
ノ:::::::::::::::::ヽ \ ヽη /')/'),  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/:::::::::::へ:::::::::ヽ ヽ_,,..) / \∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
/::::::_/ \:::::::) ) ( / / ≫
/::_ '´ |::::| ⊂(v )⊃ ≫ オ ー ル イ ン ! ! !
レ しつ`) \ ''∨ (´ ̄ ≫
・ ━ ━━ ━━━ ━/⌒Y⌒ヽ⌒\━━/∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨ ━ ・
川 ゚ -゚)「フフ……」
└【 $14,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「うむ……」
└【 $12,000 ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(ここでのブラフは有り得ない。白豚には何らかの手役が出来ている)」
( ・−・ )「(ブラフ(嘘)とは現状強くないハンドで、強気のアクションをして相手を降ろさせることだよ。
でもこの2名がいる卓で、2人が2人とも降りる可能性は低いので、渋澤さんはブラフは無いと踏んだよ)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(……まさか白豚はJハイの《ストレート》を決めた……? いや。そんなことはあるまい)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……コールだ」
└【 $10,000 ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ -゚)「レイズ$6,000」
└【 $8,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「え?」
287
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:15:10 ID:C/ZTIIfI0
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ] [ 7c ]
|(●), 、(●)、|「メインポットが$15,750 サブポットが$4,000 となります」
川 ゚ -゚)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(彼女のチェックはただの様子見じゃない。
なぜかというにフロップで俺のベットに即座にコール……そしてここでのレイズ……)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「嬢ちゃん」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「嬢ちゃんのお目当てはダイヤか、クラブの《フラッシュ》かな?」
( ^ω^)「(ちょちょーっと! ありゃ反則じゃないんですかお!?)」
ミ,,゚Д゚彡「(相手の手役を予想して口にすることは、ルール上禁止されていないから)」
( ・−・ )「(ただし、少しずつチップを出して相手の顔色を伺いながらベットする
いわゆる【ストリングベット】はご法度なんだよ)」
( ^ω^)「(ふーん? でも、このハンドはブーンの勝ちですからあまり関係ないですおね)」
( ・−・ )「(はい?)」
川 ゚ -゚)「お前がそう思うのならそうなのだろう」
川 ゚ -゚)「お前の中ではな」
_、_
(;,_ノ` )y━・~「ウザッ!(そして表情がまったく読めねえ)」
288
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:16:10 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(今までの彼女のプレイスタイルは……杉浦のベットに強気で付いて行って
いざ蓋を開けてみれば彼女は10のワンペア……煮え湯を飲まされて以来これといった動きはない)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(それゆえに読めない。リバーで進展させ、逆転の目があるハンドなのか。
それとももう既に手役は出来上がっている、のか)」
└【 $10,000 ホールカード『 ? ? 』 】
|(●), 、(●)、|「渋澤様」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……コール」
└【 $6,000 ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ー゚)「へえ?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(あらやだこわい)」
(∩^ω^)∩「(おっおっお! ひれ伏せ雑魚ども……!)」
ミ,,゚Д゚彡「(白豚くん……! 《フラッシュ》と《ストレート》のどちらが強いとお思いかね……!?)」
( ^ω^)「(おっ? そんなの知らんですお)」
( ・−・ )「(僕たちが説明したよ。聞いていなかったかな? 分からない人は >> を読み直してみよう)」
( ^ω^)「(……)」
.∧_,,_∧
( ゙'ω゙` )「(《ストレート》の方が弱いじゃないすか!)」
n.∧_,,_∧n
ヽ( ;ω; )ソ「(やだー!)」
( ・−・ )「(大丈夫! 《フラッシュ》があるとしても、現段階ではまだ完成していないよ!)」
( ・−・ )「( た ・ だ ・ し ィ 〜 ? ? ? 仮にリバーで、ダイヤかクラブのどちらかが降りてきたらァ〜???)」
ミ,,゚Д゚彡「(どちらにせよ約18%だ! とても引けはしまい!)」
289
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:17:00 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(今までの彼女のプレイスタイルは……杉浦のベットに強気で付いて行って
いざ蓋を開けてみれば彼女は10のワンペア……煮え湯を飲まされて以来これといった動きはない)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(それゆえに読めない。リバーで進展させ、逆転の目があるハンドなのか。
それとももう既に手役は出来上がっている、のか)」
└【 $10,000 ホールカード『 ? ? 』 】
|(●), 、(●)、|「渋澤様」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……コール」
└【 $6,000 ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ー゚)「へえ?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(あらやだこわい)」
(∩^ω^)∩「(おっおっお! ひれ伏せ雑魚ども……!)」
ミ,,゚Д゚彡「(白豚くん……! 《フラッシュ》と《ストレート》のどちらが強いとお思いかね……!?)」
( ^ω^)「(おっ? そんなの知らんですお)」
( ・−・ )「(僕たちが説明したよ。聞いていなかったかな? 分からない人は
>>277
を読み直してみよう)」
( ^ω^)「(……)」
.∧_,,_∧
( ゙'ω゙` )「(《ストレート》の方が弱いじゃないすか!)」
n.∧_,,_∧n
ヽ( ;ω; )ソ「(やだー!)」
( ・−・ )「(大丈夫! 《フラッシュ》があるとしても、現段階ではまだ完成していないよ!)」
( ・−・ )「( た ・ だ ・ し ィ 〜 ? ? ? 仮にリバーで、ダイヤかクラブのどちらかが降りてきたらァ〜???)」
ミ,,゚Д゚彡「(どちらにせよ約18%だ! とても引けはしまい!)」
290
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:18:37 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「……リバー!」
(; -ω-)人「(か、神様……どうかダイヤとクラブだけは!)」
(; -ω-)人「(どうかダイヤとクラブだけはやめてくださいお!)」
川 ゚ -゚)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……」
(; -ω-)人「――…………」
(; -ω゚)人「(……やったか?)」チラッ
|
_ 人 _
`Y´
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ] [ 7c ] | [ 7d ] |
_ 人 _
人 `Y´
`Y´ |
( ^ω^)「オゥ!」
( ^ω^)「ダイヤだァァァァァァ──────────ッッッ!!!!」
291
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:19:17 ID:C/ZTIIfI0
´ °ω。 `
´ °ω。 ` ぶ; ー ─ n
( ^ω^)「(ショボーン!? その声はショボーンなのかお!?)」
∩´ °ω。 ` В О О Ν
( ;^ω^)「(ひ、ブーンの腕をひっぱるなお! ブーンはまだ負けたわけじゃ――)」
川 ゚ -゚)「ベット$5,000」
└【 $3,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「オールイン」
└【 $0 ホールカード『 ? ? 』 】
川 ゚ -゚)「コール」
└【 $2,500 BB ホールカード『 ? ? 』 】
( ^ω^)「なんと」
292
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:20:08 ID:C/ZTIIfI0
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ] [ 7c ] [ 7d ]
|(●), 、(●)、|「メインポットが$15,750 サブポットが$20,000 です」
|(●), 、(●)、|「それではショーダウン」
( ・−・ )「(ショーダウンとは、リバーのアクション終了後に、手役の強さを比較し合うことだよ。
果たして勝利は白豚くんの手中におさまっただろうか?)」
ミ,,゚Д゚彡「(未来は僕等の手の中――)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「素直クールちゃん?」
川 ゚ -゚)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「俺と杉浦は、君たちがこの賭博を持ちかけてきてくれて、真実、感謝している。
大金が泡のように弾け飛ぶだけ。ほんとうの血が流れることがないものな」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「俺らは蛮族の《美津府族》だけどよ。想咲帝国は癌だと考えている奴が中にはいるけどよ。
想咲民を害虫と決めつけ剣をとった奴は俺が知るかぎりひとりもいない。
なぜかというに心を思い描いている。人間同士の殺し合いをしている。それは賭博でも同じことよ」
( ФωФ)「渋澤」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「《フラッシュ》完成おめでとう。俺のハンドは」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「《フルハウス》」
└【 $0 ホールカード『8s 8h』 手役『8d 8s 8h 7c 7d』】
293
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:20:58 ID:C/ZTIIfI0
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「……渋澤」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「なんだ?」
川 ゚ -゚)「たしかに《フラッシュ》は完成した」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
川 ゚ -゚)「だけど そ れ だ け じ ゃ な い 」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「(……? 《フラッシュ》だけではない……?)」
└【 $0 ホールカード『8s 8h』 手役『8d 8s 8h 7c 7d』】
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……まさかお前……」
ξ゚ー゚)ξ「……」
川 ゚ -゚)「私のハンドは」
[ 8d ] [ 3c ] [ Jd ] [ 7c ] [ 7d ]
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
. ∨ ∧ 从 :i //| :i:| :∧
∠77\ ∧ \\ ::L ///| :i:|/
///,才´¨¨¨`ヾヘ `\ , -- 、 /'イ/i 从
/// \ヽ `¨¨´ // :′
// `ヽ> . . <///| /
. // ヽ `¨´ |// :| :/
. 〈/ { { /`ヽ. \ |/ |/
/ / ,、 ∧'ハ: :\ ー 、 |!\ ′
. / { ヘ :i i///ハ : : ` ー‐く ヽ: :\-.、__
/ ノ} ハ :| |////∧: : :.{{ヽ \ `ヽ: : :.\`ヽ、、
/ / / / /ヘ--、| |/////∧ : :}}: :\ー- _j-ーヘ、: : \\
. /ノ / / /}/| i ¨\i |//////ハ: : {{.: : : :. `ヽ.........\: : :.\\
`¨´ / / l/,| |:::::::: | | く'/////|: : }}: : : : :.__ _ヘ: : : : ヽ
/ / |/,| |:::::::: | リ\\'//八: :{{. : : : : :.__`¨¨´ _ヘ、: : : . .
. {...ノ ハV| |:::::::::::ー ′ ::\\// \\: : : : :. `¨¨´ \: : : . .
. /// | |:::::::::: //∧ :::::: i :|'////\\\{ ヽ: : . .
//// | |:::::::::////∧::::: | :| //////\\\
. ///// | |::::::::{///// }::::::| :|/////////丶\\
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
川 ゚ -゚)「 《 ス ト レ ー ト フ ラ ッ シ ュ 》 」
└【 $2,500 BB ホールカード『9d 10d』 手役『7d 8d 9d 10d Jd』】
294
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:21:50 ID:C/ZTIIfI0
( ;ФωФ)「なぬゥ!? 《ストレートフラッシュ》であるか!?」
|(●), 、(●)、|「今回のハンドは素直様の勝利です!
$35,750は素直様のもとへ。渋澤様はここで退場です」
、_
( ,_ノ )y━・~「く……!」
川 ゚ -゚)「……」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「くははは! 面白い女だ!」
川 ゚ -゚)「フン」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ターンの時、お前にはもう既に《ストレート》が出来上がっていたわけだな?
俺の読み違えだったか……勝てるわけねえやな」
川 ゚ -゚)「いつもの渋澤ならば、あの場面での私のレイズには降りたはずなんだがな。
恐らくあなたは、私が杉浦に酷く負けたことを思い返していたのでは?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「フハハ。当たりだ」
川 ゚ -゚)「私の【アドバタイズ】が功を奏したということだろうか」
( ・−・ )「(【アドバタイズ】とは、相手にイメージを植え付けるプレイのことだよ。
例えば弱い手役で勝負しておくことで、後々ほんとうに強いハンドが来た時、
相手はそのプレイヤーのことを侮ってかかるかも知れない)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ああ……それもあった」
_、_ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
( ,_ノ` )y━・~「だけど そ れ だ け じ ゃ な い 」
川 ゚ー゚)「……聞かせてほしい」
295
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:22:54 ID:C/ZTIIfI0
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……大した話じゃねえよ?」
( ФωФ)「渋澤。いったい何を?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「黙ってろ杉浦。まあつまり、お前がどれほどのものか見きわめたかった」
川 ゚ -゚)「ほう」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「素直クール……気に入ったよ良い女だ!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「嫁に来い」
川 ゚ー゚)「うん。喜んで」
( ФωФ)ξ゚⊿゚)ξ
( ;ФωФ)ξ;゚⊿゚)ξ
( ;ФωФ)ξ;゚⊿゚)ξ「えっ!?」
|(ー), 、(●)、|「おや。思わぬところで《ワンペア》成立しましたね」
( ;ФωФ)ノシ ξ;゚д゚)ξノシ 「だれうま」
296
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:23:51 ID:C/ZTIIfI0
( ;ФωФ)「し、渋澤! 我輩は断固反対である!! いい加減美津府の女を娶れバカ!!!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「でも美津府にもこんな良い女ってそうそういないからね」
( ;ФωФ)「良い女っつっても見た目この子10代である! アンタもう四十路!! 犯罪!!!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「素直ってほんとうのところ何歳なんだ」
川 ゚ -゚)「12歳だが」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「素晴らしいとは思わんかね」
(#ФωФ)「このバカ! エロ!! ヨーソロー!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとクー!? あんたはそれで良いの!?」
川 ゚ -゚)「仮にもあの土壇場で《フルハウス》を決めた男だぞ? 不足は無いさ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたの評価基準がそれで良いのかって訊いてんだこっちは」
川 ゚ -゚)「それにあの人はこんな大金で負け越しても全く動転していないから」
川 ゚ -゚)「幸せにしてくれるのだろ」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「これから……入り用だから。贅沢はさせてやれねえが」
川 ゚ -゚)「贅沢は言わんさ。ただな、一部族の首長ともなれば、側室はさぞ多いのだろう」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「うん? 略奪ついでに拾った女が四、五人ほどいるが」
川 ゚ -゚)「贅沢は言わんがな。正室は私だからな」
(#ФωФ)「ちょおまっ……どの口が言うかァ!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「フハハ! ますます気に入ったよ!」
( ФωФ)「もうきみたちのすきなようにして」
297
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:24:34 ID:C/ZTIIfI0
_、_
( ,_ノ` )y━・~「お言葉に甘えて。俺たちは席を外そうかな」
川 ゚ -゚)「そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「(あれ? え? これから私ひとりで戦わなきゃいけないの? 何これ?)」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「ところで杉浦よ」
( ФωФ)「む?」
_、_
( ,_ノ` )y━・~「……お前も人のこと言えねえんじゃねえの?」
( ;ФωФ)「ちょ……ッ! 貴様ッ!」
_、_
( く_,` )「フハハ。ほら行くぞ素直」
川 ゚ -゚)「思いのほか笑顔がキモイな渋澤(うんわかった)」
ダダダ......
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)「おっおっおー! ブーンは《ストレート》だおーん!!」
└【 $0 ホールカード『9s 10s』 手役『7c 8d 9s 10s Jd』 】
|(●), 、(●)、|「まだいたんですか?」
298
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:25:17 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)
( ^ω^)「うわあダディさんのそのセリフごっつ僕の胸に突き刺さるわー」
( ^ω^)「僕もう」
...........⌒ヽ
.......... ( ´ω`)二⊃ あ、あれ?体が…
..........⌒ヽ
..........´ω`) み、みんな…みんなありがとう…
..........⌒ヽ
..........´ω`) ぶ・・
( ^ω^)「てなるわー」
|(●), 、(●)、|「次回のハンドからはツン様と杉浦様のヘッズアップ(一対一)です。
BTNはツン様に移動して、SB($250)もツン様。BB($500)は杉浦様……」
(#^ω^)「待たんかいコルァ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとうるさいんだけど……」
( ;ФωФ)「つまみ出してもよろしいか?」
(#`ω´)「そもそもォ? ストレートフラッシュが決まるってどないなっとんねんこのテーブルゥ!
チートやチート! ここがアインクラッドやったらビーターじゃダボォ!! ワイはキバオウっちゅうもんや!
なんでや! なんでやァ!? なんでイカサマなんや!! どう考えてもイカサマや知らんけどォ!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「エセ関西弁でムリすんな……」
|(ー), 、(ー)、|「……たしかに私は賽と札で命をつなぐやくざ者ですがねえ」
|(●), 、(●)、|「ですが不正は見逃しません。そんなことは有り得ないのです白豚様」
(#`ω´)「うるさいだまれー! あと君たち僕のことずっとずーっと白豚呼ばわりっていったいどういうつもりなん!?」
( ФωФ)「む?」
|(●), 、(●)、|「はい?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え……?」
( ^ω^)「えっなに」
299
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:26:38 ID:C/ZTIIfI0
ξ゚⊿゚)ξ「だってアンタ」
ξ゚⊿゚)ξ「豚じゃん」
( ^ω^)「え……」
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
※マジです。
ε ⌒ヘ⌒ヽフ __ __ ___ __ ___ __ __
( ( ; ^ω^) l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
しー し─J l| 内藤ホライゾン $0 .|l
: : : : : : : : : : : : : .l|___ ___ ___ .______|l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
( ;^ω^)「マジで!?」
( ・−・ )「(いまにして思えば
>>261
は伏線だったことが分かるね)」
( ;^ω^)「(だとしても回収する必要性が皆無ですお! てかしれっと解説してんじゃねーですお!)」
|(●), 、(●)、|「ところで。杉浦様の都合上これが今夜最後のハンドとなりますが」
|(●), 、(●)、|「どうでしょうか御二方? 少々小腹が空いてきた頃ではないでしょうか」
( ФωФ)「うーむ。たしかにその通りである」
ξ゚⊿゚)ξ「私はこんな時に物を食べる気分にはなれないけど」
( ФωФ)「そうであるか? 我輩は、脂の乗った豚の丸焼きでもいただきたいところである」
( ^ω^)「にげろ!」
( ФωФ)「あっにげた!」
|(●), 、(●)、|「にがしません!」
( ^ω^)「あちゃー! つかまっちゃったお!」
( ФωФ)「焼くか」
|(●), 、(●)、|「はい」
( ;^ω^)「おーん」
300
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:28:37 ID:C/ZTIIfI0
ξ-⊿-)ξ「……杉浦あのね? その子はポーカーが出来る豚ってことで、今夜のゲームに招待したけど。
でもね。想咲帝国ではハイカード(ノーペア)のことを【ブタ】とも呼んでいるの」
( ФωФ)「ふ、ふむ」
ミ,,゚Д゚彡「(ニポン国でもハイカードのことを【ブタ】と呼ぶから!)」
ξ゚⊿゚)ξ「だから。そんな縁起が悪いもの食べちゃダメ」
( ФωФ)「む、うん。す、すまんである」
( ^ω^)「あなたが神か……」
ξ゚ー゚)ξ「ただし」
( ^ω^)「あ?」
ξ゚ー゚)ξ「トンカツにすれば、【ブタ】に勝つということで、縁起が良いんじゃないかしら」
|(●), 、(●)、|「それは名案です!」
( *ФωФ)「……! う、うむ! ちょっと拷問用の油を取って来るのである!」
( ^ω^)「くるっとる」
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
∫∫∫∫∫ ※マジです。
_,,、、,,,. + __ __ ___ __ ___ __ __
+ ε';;'::゛'::::;'ヘ⌒ヽフ l| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l
,-'ミミ'; ;: .:;:: ( ; ^ω^)ー、 l| 内藤ホライゾン $0 .|l
( ム〃ミミ'';●●つ、つ _,) .l|___ ___ ___ .______|l
`ー、______,,-'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
301
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:29:45 ID:C/ZTIIfI0
|(●), 、(●)、|「美味しそうに揚がりました!」
( ФωФ)「いただきますである!」
( ^ω^)「チクショー! 呪ってやるからな! お前らのこと呪ってやるからな!
具体的に言うと来世では人間になって夢の中でお前とイチャラブしまくってやるからな!」
ξ;゚⊿゚)ξ「やだこの豚メタい……」
( ФωФ)「つ、ンは食べないである? か?」
ξ゚⊿゚)ξ「それより杉浦。さっき言ってたことだけど……」
( ФωФ)「む。さっきとは?」
ξ゚⊿゚)ξ「出来るかぎり誰も傷付けずに想咲を変えるという話。あれは本気なの?」
( ФωФ)「……無論」
ξ゚⊿゚)ξ「……到底信じられないけど。その方がかえって都合が良い。それなら私と賭けをしない?」
( ФωФ)「賭け、であるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。杉浦たちがほんとうにその夢を叶えることが出来るかどうか。という賭け。
帝国の実情を知っている身としてはとうぜん、その夢は叶わない方に私は賭ける」
( ФωФ)「……ツンがどちらに賭けるかは結構であるが。いったい、貴様は何を賭けると言うのか」
ξ゚⊿゚)ξ「賭けるもの? ……そうね、チップでは面白みがない」
ξ゚ー゚)ξ「じゃあクーみたいに……とは言わないけど。私自身を賭けようかしらね?」
( ФωФ)
( *ФωФ)「……その勝負、コール(受けて立つ)である!」
ξ゚⊿゚)ξ「どうも。ただし私がこの賭けに勝ったらアンタの財産根こそぎいただくから」
( ;ФωФ)「ちょ……ええっ!?」
|(ー), 、(●)、|「(……これはまた歪な《ワンペア》……)」
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
――……しかし。この勝負が実現に至ることは無かったのである。
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302
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:31:23 ID:C/ZTIIfI0
,,,,,,,
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───── (*゚ー゚)'/ ───── ,,,, ,,,,
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______} /}l}〈______ く_` ∩ <_` )
| \三《C》三/ | <V/ | V「  ̄}
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後日のことだ。
想咲帝国歴56年に、シィエラ=クレメンタイン皇女によって賭博が全面的に禁止されたのである。
賭博が人々を怠惰と放縦の生活に酔わせて
労働から引き離し、貴族の私腹を肥やす方へと向かわせたためだった。
諜報機関の報告はこう述べた。
つまり榊原地方の近辺になればなるほど、孤児の率が異様に高まるのは
榊原地方が賭博の温床であり、子供そのものを賭けに利用するからなのだと。
シィエラ=クレメンタインは理性の制御をより進展させるために
肉体の鍛錬と、善良な道徳観を身に付けることに心を砕くように説いた。
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303
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:32:11 ID:C/ZTIIfI0
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 埴 谷 孤 児 院 に て ┗━━━━━━━━━━━━┓
┗┳━━━━━━━━━━━━━┛ ┃
┃ ,,,,,,, ┃
┃ [,,[,★] λ_λ )) λ_λ ∧_∧ .┃
┃ ∧∧ (,,゚Д゚) γつー´) (ノAヽ∩ (‘∀‘∩) ..┃
┃. (( ヘ(゚ω゚=)ノ と と( .| l⌒lつ と、 ノ ⊂l⌒l 丿 ....┃
┃ (へx ) | ,つ ゝ (__) ⊂ ノ〜 (__)ノ ┃
┃ ノ し´ (__) `J し' .┃
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
翌年には、榊原地方の捨て子を保護する目的で埴谷孤児院が設立された。
これは、十四歳の少女ツン=デレミーアスが営んでいたような民間の孤児院とは違って
想咲帝国民にボランティアを募って発足した支援団を母体としていた。
見かけはともかくとして、増え続ける孤児を見捨てなかったツン=デレミーアスは
皇帝から一級の善行金賞が授与されたと伝えられている。
シィエラ=クレメンタインは同年に、《美津府族》と不戦同盟を交わした。
善政を敷き、民衆の支持を勝ち得た皇女は、将来を期待されながらこの世を去った。
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∩ ∩
_ _∩ (⌒ ) ( ⌒) ∩_ _
(ヨ,,. i | | / .ノ i .,,E)
. \ \. | | / /,,,,,,, / / パシャッ!
_n \ \ ∧,,, /| | / ∧,,[★] / ノ ,,,,,,,,,
( l _、 _ \ \(ФωФ/ // / ´∀`)/ / [,,,, [,★]
\ \ ( <_,` ) \ ノ( /___( ・∀・) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ | / ヽ | __ \ l .,E)
/ / / / \ ヽ / /\ ヽ_/ /
想咲帝国歴57年 最後に、最高の友と共に
304
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:33:06 ID:C/ZTIIfI0
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
崩御の報せは瞬く間に帝国中を駆け巡った。
想咲民は光も届かないほどの悲嘆に暮れた。
まぜこぜの時もそうであったように、こんな悲劇を忘れるためには、故人を褒めるに限る。
想咲民の最後の人力の奉仕が、無事完遂された時、しかし、
今度はそのあまりに完成された像を破壊しようとする人間もあらわれるものだった。
なかでもある想咲民の噂は興味深い。
曰くシィエラ=クレメンタインは、Ⅱ板連邦の地下工作員に暗殺されたというのだ。
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ニ|二ll
ニ|二ll \
\ や
や ( . .:.::;;;._,,' / ワー
| , -.―――--.、 ).:.:;;.;;;.:.) /
| ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ ノ. ..:;;.;.ノ ┼ /:::::::::::::::::,.;ゝ.
┼ i;}' "ミ;;;;:::} ( ,.‐''~ 9. /:::::::_,.-‐''~ ,、
9 |} ,,..、_、 , _,,,..、 |;;;:| )ノ_ /:,.;‐''~ ,.ィ‐'~
|} ,_tュ,〈 ヒ''tュ_ i;;;;| / \~~~``ー--ゥ'~ ,. ;;-‐''~~ |, :-|
(..::::;ノ | ー' | ` - ト'{ ミ彡 / ::::::::`> ,.-''~.‐'~~-‐''~~.| .|
工___)ノ. 「| イ_i _ >、 }〉}ミミ|彡ム-''~~ーv'~ ~:::::;;;:: i-‐i |~~|
===| キャー ,{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、 .!-'ミ-‐''~:::::_,.ィ''~~|~ ~~`|~ |T | |~I.|
==|======i_| ='" |>,-|~~`i'~I | | | | | |_,.+‐ !┴
.....=|======|==|┴‐┐┐从 ,-、v-'~ 十''' |-‐'''~~~|| ,.. -‐''~~ ̄ ,,.;'~`i~
||`i'~~`'~~'~~ミ―┼(`)‐i ̄~i→;;;;;/ ノヽ|~l ミ|'~::::::::::::__.|l'~ ;'`'`゜ ;;;
305
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:33:54 ID:C/ZTIIfI0
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......::::::::::::::::::::::::.........ζ(゚ー゚* ...........................
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...... ....................::::....... ...... ゚∀从 .................::::::::::: 〔★〕
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
外国の無邪気な観光客たち。
都会の町並みをスケッチする老画家たち。
仕立て屋の試着室に入っていく若い女たち。
酒場の百姓たちと杯を酌み交わす肉屋の男主人たち。
彼らはいずれもⅡ板連邦の密偵に他ならない。
観光客たちは洩れなく密偵である。
老画家たちは地図を製作している密偵である。
若い女たちは連絡を取り合う密偵である。
男主人の売る肉は連邦で粛清された人間の肉である。
かの皇女もⅡ板連邦の 傀 儡 に過ぎなかった。
____________________________________________
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
306
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:34:36 ID:C/ZTIIfI0
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
――……作者はここで筆を止める。
君主をうしなった想咲帝国は、《美津府族》とⅡ板連邦と
今後はどのようなかかわりをもっていくか書く心算はあった。
しかしそれはやはり歴史家の仕事であって、一部族の酋長に過ぎない作者が
これを記すには負担がおおきすぎるような気がするのであった。
「さあ、あなた。早く勝負しましょう?」
「ま、まだ書き終えていないのである……!」
「仕方ないわねえ。良いわよ。慈悲深い私は、じっくり待ってあげるから」
「ぐぬぬ……(この前の我輩の勝ち分をそっくり奪ったから得意なのであるな。今に見てろである)」
それだけはひとまず記しておいて作者は……我輩は、筆を止めることにするのである。
____________________________________________
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□
┌┐
└┘
┌─┐
│ │
└─┘
┌──────┐
│ │
307
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:35:09 ID:C/ZTIIfI0
━━━┳━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┫ 祥 雪 中 学 校 ┣━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┻━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||
__________|| i´T`i ||__________
三三三三三三三三三三|| |__|__l ||三三三三三三三三三三
__ __,; __ __;; ||; || __,, __;;; ___ __
_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| ; ||; ___ . || ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_
_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| ;|| ;;||_|_|| || ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_
 ̄'' ;:; ̄ '' ̄ ||;; ||_|_|| ||
三三三三三三三三三三|| ,, ||_|_|| ||三三三三三三三三三三
__ __ __ __ [二二二二二二] __ __ __ __
_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| | | __ | | ||_|_|| ||_|_|| ||_|_|| ||_
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__________,|_| |:::゚|゚:::| |_|___________
;;;";;;:::::;; ゙"'':::::;;;;;;;" ""゙ / ̄ ̄ ̄ ̄\ ゙" ;:;;:;:;:''";:;:;:゙" ゙" ;:;:;:"";;:;:
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━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┳━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┫ 西暦20XX年 初春 ┣━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
━━━┻━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━ ━ ━ ・・・
ストーム
< ('A`) 宇都宮ゆうすけ 栖鐙夢 >
('A`)「俺の春眠が暁を覚えない(新刊ラノベタイトル)」
|::━◎┥「いい加減起きましょうマスター。今日は新入生の入学式というじゃありませんか」
('A`)「こないだまで微笑みデブがバイクで俺を轢く悪夢で寝られなかったため寝させろ」
|::━◎┥「説明乙」
308
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:36:18 ID:C/ZTIIfI0
[* Д`]「マスター! この勝負は《ツーペア》で私の勝ちなんですよ!」
('A`)「あっそ」
[ Д`]
[ Д`]「え?ほめてくれないのぉ〜?(;¬_¬)そんなのいやいや〜〜」
[ Д`]「ほめてくれなかったら、( `_)乂(_´ ) 勝負!」
[ Д`]「☆○(゜ο゜)o ぱ〜んち、☆(゜o(○=(゜ο゜)o バコ〜ン!!」
(#)(#)「前が見えねェ」
|::━◎┥「ポーカーにもそろそろ飽きてきましたねっと。《ワンペア》です」
('A`)「他に面白い遊び知らねえの? エンジン王」
[ Д`]「んー。一口にポーカーと言ってもいろいろな遊び方があるそうです!
私はこの修学旅行ポーカーしか知りませんけど!!」
('A`)「ポーカー以外の遊びは?」
ミ,,゚Д゚彡「……」
|::━◎┥「で……いったいなんですかこの猫は?」
('A`)「エンジン王ちゃんここペット禁止だよ……?」
[; Д`]「私の飼い猫じゃありませんけど……?」
ミ,,゚Д゚彡「猫ー!?」
( ・−・ )「やあ初めまして。僕は想咲帝国元宰相のシーン。こちらは先代皇帝のギコ=フッサールだよ」
|::━◎┥「……見ない顔ですが? いったいどちらから?」
( ・−・ )「君たちがポーカーの話をしているのを、ちょっと小耳にはさんでやって来ただけさ。
僕たちはただのポーカー狂だからね」
[* Д`]「えっ? ポーカー知ってるんですか!? 良ければ懇切丁寧に教えてくだひゃい!」
('A`)「どんだけポーカー好きだよ」
( ・−・ )「もちろん。そうだね、まずは手役の強さから教えようかな」
ミ,,゚Д゚彡「よし! それでは豚でもわかったテキサスホールデム講義をはじめるから」
('A`)「はあ。豚……?」
309
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:37:15 ID:C/ZTIIfI0
< ( ^ω^) 内藤ホライゾン 入学式 >
ヤダーナニアレーキンモー
( ^ω^)「……」
('A`)
( ^ω^)「(あそこって朝礼台ですよね)」
('A`)
( ^ω^)
('A`)「ふグッ」
( ^ω^)「(目を開けたまま寝ていらっしゃる……!)」
( ^ω^)「(同級生でしょうか……? 間もなくクラスで自己紹介があるのですが……)」
('A`)
( ^ω)「(……関わらんとこ……)」 《親指夢第二話外伝・終》
310
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:37:47 ID:C/ZTIIfI0
∧__∧
/:::::。` 丶
(ノ、_) i \∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧/
ゝ ィj ≫ ≪
tュ-</`-、_. ≫ 本編に続く ≪
{〉::ト,./に)-、:. :.\. ≫ ≪
ノ){:::こニ´ ノ ノく- : i /∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
}j{}:i::::,'.`ゝ_Y__ク.:. :.i
ハゝ:,'. :. :.ゝ=彳:. :.ノ
V\i:. :. :. :. ト-ーr´
311
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:38:26 ID:C/ZTIIfI0
< ( ^ω^) 内藤ホライゾン おめさめ >
内藤目を開け、目を閉じた。黒煙のごとく立ち昇る、嗅覚乱れる饐えた臭い。
ここは校内南東の、体育館の裏通り。春の陽光こまやかで、陽だまりに咲く、鈴蘭の花。
アクセイクンコウブッシツ
悪 性 薫 香 物 質 と、呼ぶに適した饐えた臭い。なんだかかっこよさげだが、内藤いたって大真面目。
臭いの根源どこにある? 突き止めるのは、朝飯前。早手廻しに言ってしまおう、それは乾いた血潮なり。
青い春草、赤黒い。いったいこれは誰の血だ?
雑草、緑、緑色。雑草、赤黒、赤黒い。雑草、ファッキン☆赤黒い。
草の折れ伏したるところ、斑に見えるは血の泪(なみだ)。内藤あとを辿っていき、内藤目を開け、目を閉じた
指の本数しめて五本。これは人の足跡だ。爪先浅く食い込んで、少し小さい女の足だ……。
内藤目を開け、あらふしぎ。足跡消える、煙のように。内藤瞼を閉じていて、景色が見えるたあ、ふしぎなこった。
目を開け続ける内藤は、通学帽のゴム紐の、のどもと締める苦しさを、歯軋りするほど感じてた。
――僕は実際、眠いのか? いいや分からぬ、皆目知れぬ。
内藤ふたたび目を閉じる。『義を見てせざるは勇なきなり』。古人の言は、胸を打つ。
されど内藤12歳、義士名乗るにはまだ若い。
そもそも内藤こんな事態、対処のしようがなかったし、したところで、後先の考えもなし。
ζ(゚ー゚*ζ「あらあらうふふ。初経なう」
デレの両足伝って流れ、落ちる血あざやか月いろの泪(なみだ)。
312
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:39:00 ID:C/ZTIIfI0
親 指 夢 の よ う で す 第 二 話
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
Y⌒ : : : : : : : :` 、 ヽi:i│夢指夢親指夢親指夢親指夢親指親
. >.: : : : : : : : : :< ..:i:i:│親指夢親指夢親指夢親指夢親指親
く.:/ ̄ ̄ `ヽ: :`寸. i:i:│夢指親親指夢親指夢親指夢親指親
/ .................! 、\: :∨. ノi:i:│親指夢親指夢親指_广´ `寸夢親指
/ !:::::::::::::|!ノ _`イ}: : } /i:i:i:i└n─n─n─n─n─┐ ┌n─n──
_/ |l|::ハi|::::.{ィ≦. |:.〉:∧..  ̄ 、:i:i:i:i:i:i:∪i:i∪i:i∪i:i∪:i:∪:i:i: ! !:∪i:i∪:i:i:i:i:
l{'|/:i::::」ljノ |:.|/ 人. j . ......{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.i.i i :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
ノ ii/:. . .∧:.:.:.:.:.\i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:l|i:<ヽi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i i :i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
\ .l7:.:.:.::/i^:\|\:ノi:i:i: |i:i:_乂_ノ └f冖、┌l_} {_l┐Г匚f丈,__
ヽ _,,イ:.:.:. r':从、:::(___|l」l栖栖鐙夢栖鐙夢込、 _,失栖鐙夢-≦ ̄
`≦>''|.:| ̄イ\{ ̄  ̄  ̄乙r攵栖 《 宇 都 宮 ゆ う す け 》 斗f乃
/ ̄ 7´.. |/..:::>'′\ _ __)栖栖鐙夢栖鐙夢栖鐙夢栖鐙夢栖鐙く__
`~ :::ヽ `¨ '' ‐=ニ ̄二ニラ´/ ヽ ̄ ̄ ̄}鐙栖鐙栖鐙 《 栖 鐙 夢 》 夢栖栖栖fチ ̄
{:::::::::::ハ \..__ / {:. 八斗f匕⌒Vr─‐┬┐ ,' ̄\_r‐┐|/斗f匕⌒Vr'´
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━ r' ━━━ j/ ━ ━━ ━ ・
※ この作品は性的な表現を含みます ※
※ 含みます ※
313
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:39:33 ID:C/ZTIIfI0
何を言っているのか分からねーとは思うが、それは内藤にとっても同じく謎なのである。
目を開ければうれしそうに舞っていたあの桜の花びらも、目を閉じて見れば生理用ナプキンに形を変えたのだ。
きらきらした妖精じみた感じの、デレは、しかし事務的に、きびきびと手当てを始める。
公々然と初潮を宣言しておきながら、手慣れたデレの手付きには、明らかな矛盾が生じているにせよ、なにゆえか
内藤には快いものに思えた。祝い事をする必要はあるだろうか? 赤飯を炊くならわしを内藤は知らなかったのだ。
体育館裏には排水溝がひとすじに伸びていて、それがハンノキの林と校内を隔てる境界の役割をになった。
自然の側に立つデレは、ナラの大木の根本に、腰を下ろした。
内藤は始終を見守っていたが、デレは豊かな胸元をしきりに気にして、襟元を隠すふうだった。
( ^ω^)「何を?」
ζ(゚ー゚*ζ「ここで夢精されると、元も子もないから」
( ^ω^)「さすがにお下品ですよ」
こんな言葉で内藤は、ああやはりここは私の夢だなと、今さらのように感じたのである。
ζ(゚ー゚*ζ「夢魔の阿部デレが凛として命じます。私の血の痕を辿って来なさい」
( ^ω^)「いったい何が起こっているのですか?」
ζ(゚、゚*ζ「お黙りなさい? これは儀式なのですから」
スネちゃまザァマス口調も辞さない独特の甲高い声で、デレは内藤に指示を下す。
内藤は出来ることなら血を見たくはなかったので、かわりに 遠くの林 を見透かすようにした。
林は、葉の覆いかぶさった枝々が交差して、奥まったところにある神秘の一カ所は、緑の一色で溶け合っていた。
内藤が視野に宿したのは木々の光りであった。血はちらちらと見つつ歩いた。
やがて内藤は排水溝をまたいで、デレの前に立った。デレは上目づかいで、こう言った。
ζ(゚ー゚*ζ「おめでとう。あなたは我々『性的夢』の宿主(しゅくしゅ)に選ばれました」
314
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:40:10 ID:C/ZTIIfI0
驚いた素振りをしてみせて、内藤はさっさとこの悪夢から覚めてはくれないものかと難儀していた。
はてな性的夢の宿主とは何ぞや? そんな疑問に取り合うのは、夢の出来事に意識をさらに向けることで
現実逃避の一環でしかないことだ。
ζ(゚ー゚*ζ「儀式というものは、滑稽に見えるかも知れませんが、人間を強靭にしてくれるものです」
( ^ω^)「そうなのですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「そして宿主であるところの内藤くんには、私たち夢魔を守る義務が生じます」
( ^ω^)「義務なのですか?」
内藤は急に心細くなった。
デレには、内藤の心の中へ、無遠慮に踏み込んで来る力がありすぎる。デレは、一度決めたことは翻さないだろう。
まるで心はクッションのように、デレを遠く空へ押し退けるような言葉、内藤は言い返すべき言葉を探した。
それはすぐに見つかった。――私はまだ、デレに訊いていないことがたくさんある。さて深入りすべきかどうか?
内藤は目醒めの気配が無いことを瞬間的に悟って。現実から離れて、放縦の夢の世界へとヒァウィゴ。
それゆえ内藤はひとまず尋ねてみたのだ。夢魔とは何ぞや?
ζ(゚、゚*ζ「種類が多様だから一言ではとても言い尽くせないけれど」
とデレはここで防戦口調になって、
ζ(゚ー゚*ζ「私の場合は、聖人を好んで堕落させる阿部一族のひとり」
( ^ω^)「聖人に夢なしという言葉を知っていますか」
ζ(^ー^*ζ「あれは嘘ね。あの人たち淫らな妄想しまくりセクロスシマクリスマスイブ。あなただってそうでしょうが」
こんなデレの言いぐさでは、内藤は、自分が徳の高い人物だと認められたことに容易には気付けなかった。
そんなことよりも内藤は、未解決のままに済まされてきた問題を暴くために、矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
( ^ω^)「阿部一族とはまったく鴎外気取りも大概にしてください」
ζ(゚ー゚;ζ「私たちは立派な血統なの! 名門なの! 最強!」
とデレは言うと、一呼吸置いて、
ζ(゚ー゚;ζ「先ほども言ったとおりに夢魔というものは、種類が多様なのです。統率するリーダーが必要です。
阿部一族はお兄ちゃん……長男のアベル=ウホールサイドを頭領とした、王族のようなものかしら」
これでオーケー? とデレは問うた。
アベル=ウホールサイド、と内藤は反芻して応えた。暗い威厳の響きがあった。
まるでオレンジが圧搾機のなかで搾られていくように、腰のあたりがぎゅっとちぢこまった内藤である。
315
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:40:49 ID:C/ZTIIfI0
・ ━ ━━ ━━━ ━━━ , '´  ̄ ̄ ` 、 ━━━ ━━━ ━━ ━ ・
i r-ー-┬-‐、i
| |,,_ _,{| やらないの?>ζ(ー *ζ
□■□■□■
ト.i ,__''_ ! やらないよ
/i/ l\ ー .イ|、
,.、-  ̄/ | l  ̄ / | |` ┬-、
/ ヽ. / ト-` 、ノ- | l l ヽ.
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/ |`二^> l. | | <__,| |
. | |.|-< \ i / ,イ____!/ \
. ┌─────────────────────────┐
・ ━ | ※プライバシー保護のため モザイク処理を施している | ━ ・
. └─────────────────────────┘
聞けば聞くほど、叩けば叩くほど、埃が出て来るのが阿部デレという女性だった。
彼女は阿部一族の末っ子と言うが――真実のところは分からない、夢魔は産めよ殖えよ地に充ちなさいの
体現者であるらしい――もしかすれば、私が長女かも知れないなどととんちきなことを言う。
しかしデレと喋っていると、内藤の肉体が空気のようになる、魂だけになる、とても安らいだ気持ちになった。
内藤が質問を続けたのは、もう夢から醒めたくないというこころのあらわれだったろうか?
( ^ω^)「なぜ王族の家系のデレが、私の夢に現れるのでしょうか」
ζ(^ー^*ζ「それはあなたが選ばれたから」
( ^ω^)「それは先ほどの儀式? のことですか?」
ζ(^ー^*ζ「ちがう」
デレのこの柔らかな笑顔には、内藤の荒んだ心をあたためてくれる熱があった。
この女性は、世間でいちばん偽善的だと思われている慈愛、を持ち合わせている人だと内藤は思う。
局外者にも。生贄の羊にも。世間でいちばん蔑まれている人たちに身を捧げることができる人だ。
だが、デレの断言には、それ以上の追究を許さないところがあって、内藤は口をつぐんだ。
夢の体育館裏は――漁船の甲板に打ち上げられた生魚のように、地に落ち砂を噛んだナプキンの群れを
無視すれば――現実で見るのと大差ない光景が再現されている。人の気配はほとんどない。
たまに白い運動靴を穿いた男女が、千鳥足で、体育館から校舎の方へ歩いて行くのを見かけるばかりだ。
それはあまりにも危うげな足取りだったから、内藤に向かって跳びはねて来るようにも見える。
ζ(゚ー゚*ζ「あれは授業中に居眠りしている生徒たち? これだけ数が少ないとはなかなか感心な子たちだね。
何らかの夢の宿主でない彼らには、ここでは自我を保てないものだからね」
( ^ω^)「それはつまり……」
と、内藤は当初の疑問に立ち返ろうとして、
・ ・ ・ ・ ・
ζ(゚ー゚*ζ「この世界にはたくさんの『夢』があって、そこにはやっぱり『夢魔』がいて、それぞれが 寄生先 を求めている。
固定の観客をもたない巡業サーカス団はきっと寂しい。それは夢でも同じこと。
私たち夢魔は言わば夢の演者。あなたは宿主。世界の何処で公演しても、特等席に腰を下ろしてくれる上客」
316
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:41:21 ID:C/ZTIIfI0
寄生と宿主。相関し合うこのふたつの言葉に、夢とを付け足すことなど内藤には出来ない。
内藤は名をハリガネムシという寄生虫のことを思った。水棲の寄生虫で川魚やカマキリなどの体内で生活している。
この悪しき生き物に寄生されると、宿主は生殖機能を失うものだと聞く。
さしもの内藤もED(Erectile Dysfunctionの略です)に陥ることだけは拒む。
ζ(゚ー゚*ζ「不利益? それは些細なことで……事の次第によっては重大にもなりえる……でも、
メリットの方がおおきいように私には思える。言い方が悪かったのかしら。
共生とか、協力関係とかに言い換えた方がしっくりくる?」
( ^ω^)「理解できません」
あくまで突っぱねる内藤に、
ζ(゚ー゚*ζ「ね。こんなだから言葉とはなんて無力だろうと私は思うんだ。
これから襲来するストームのおそろしさを説明するために、言葉はあるんじゃない。
あのストームはこんなにおおきな爪痕を残した、ということを胸に刻み付けるために言葉は生まれたんだよ。
経験を客観視して、そこにほんのちょっぴりの感動を添えた言葉でなければ、誰の耳にも届いてくれやしない。
誰の胸も打ち震えさせることなく、誰の心も縛り付けず、誰の興味も惹かずに言葉は朽ちていくだけ。
ということを理解させたくて。本日はスペシャルゲストを用意しました」
317
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:41:54 ID:C/ZTIIfI0
デレが微笑む。
ζ(^ー^*ζ「ようこそ! 栖鐙夢!」
( ^ω^)「すとー……む?」
内藤はそこで出会ったのである。
グ レ ム リ ン
|::━◎┥「はいどうもー! いやー私たち栖鐙夢で『目覚まし時計』をやらせていただいている者なんですけれども」
fr邱Д`]「今日の観客さんはみーんな! 別嬪さん別嬪さんドドリアさんッ!!(激似)」
('A゚)「探したぜ……内藤ホライゾン!!!」
痩せぎすかと思えば皮膚に浮き上がる骨格は存外武骨で、背丈は豆のそれだが態度は獅子のように尊大で、
軟派なようだが黒い瞳には純朴の影がさしていて、旧制の制服を着て右派を気取るが心根は革命家気質で、
睫毛の先に目やにが粉砂糖のようにふりかかった男と、得体の知れない機械たちの二機と。
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
_j´
く ,。≦ニニ≧。 ヽ
Y゚-ニニニニ-゚Y ‘,
_ -‐……‐- Vムr-〒.: ̄`、≦
. / 、:i_ /: ∧.:./|:.:∧:.:.:.ヽi寸 i ., -‐‐. -、________
/ 〉、__ __)i]_. ∧.:(__∨ |:」i:iィ≦:i|マム ,ノ /, :.:.:.:.:.:.:.、\_ {_ _ _
′/ __〕|. / 弌 苡)i{i:i:r岩:i:j:.:マム. _ / _j{_/ :i:.:i:.:i:.:i:.:刈{__)匚
i / /_〕| ′ { `¨〈 ',≧彡仏リノヾ.:.:.:./ /::::/i:.:i:.:i:.:i:.:i:.:i::筏㌃^ ̄ ̄
|i ___,,, イ_j-‐ぉii| 人 i:}Ⅵ八}:.:| |∨./ /i∧|:{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|i】【圦___ _ _ ,
||_,,,,ii斗∩i爪「三三[[| ゝ ´` j/ 从 乂_У |ir┼》:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i《╋》才⌒ ̄ ̄ ,/ ̄ ̄ ′
{i三三|:∪ノiミi{_{i:i‰/|__ ,,,,.-――-‐ ̄`j/i=彡ィ |ト∨∧i:i:i:i:i:i:i:i∧∨小ァ==---_ノし/
||三二─く丕^´.//Vツ[ri ヽ -‐……‐-ミ ヽ ハ∨i:iハi:i:i:i:i:i/i:i∨ 八___} て__ ,
|辷¬{i/ /]. , 厶 _У_, - ' ´ ヽ \_ \rヘ |:i:i:i:i:|rヘj|/ ̄ ̄ ̄ /√ ̄ ̄
圦[ // 厶_/ / \,,,.ゝ 二ニ=-ミ  ̄} --===レ'仏r-弐jrヘ{____/〈_
__| ノ〈 ___,,,/ ¨¨`ー…''´ ヽ } ビヘト、 ,イハ rf⌒´ ̄ ̄ ̄)/ ̄
<⌒L工ノ( )T^て ,..-‐  ̄ ̄`ヽ_ __ リ 入 人 /
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━ | | | | ━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
| ̄| | ̄| | | | | ___ / ̄ / | ̄|
| | | |  ̄  ̄ \__ |  ̄ ̄ / /
/ | | \ ∧ |/ <二二二二> / ̄ ̄ /
 ̄ ̄  ̄ ̄ |/  ̄ ̄ ̄
318
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:42:25 ID:C/ZTIIfI0
('A゚)「内藤ホライゾン。テメエだけは……(……あれ?)」
( ^ω^)「おや。なぜ私の名前を……(……あれ?)」
ζ(゚ー゚*ζ「さっきぶりね! ポンコツロボット」
fr邱Д`]「ちょっとンーァタ! ゆっていいことと悪いことがあるでしょーが!!」
[ Д`]「アンタのせいで私は漏電漏水ゆーちゃんへの恋心ぜーんぶダダ漏れだってのにってあれAA直った!!」
|::━◎┥「恋心!? エンジン王はまさかマスターに恋心を抱いていたのですか!? これはひどい裏切りです!!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
( ^ω^)「(なんだ……? 私は ずっと以前 から、この人と面識があったような? これはいったい……)」
('A゚)「(なんだ……? 面影こそあるが、夢で見ていたよりもずっと幼いぞ? これはいったい……)」
――……一寸の間沈黙があって、再開された夢魔たちの怒鳴り合う声だけが、ふたりの少年にはきこえていた。
夢魔たちは頭の壊れたニュースキャスターのようになって、罵声を無鉄砲に飛び交わしているのである。
それゆえにふたりの少年は、胸の奥底に芽生えた微妙な違和感の正体には気付けなかった。
また……夢の光景が水中から見上げる空のようにおおきくゆがんだことも……一瞬間におこなわれたことだった。
内藤は目を丸くした。そこはもう体育館の裏通りではなかったのだから。
うらびれた競技場内の中央に彼は立っていて、筒抜けの円蓋からは雨が降り出していた……。
319
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:42:58 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「ここは?」
コ ロ シ ア ム
('A゚)「なんだテメエ。まさか『円形闘技夢』は初めてか?」
今度は旧制服の少年が目を丸くする番だった。少年は名を宇都宮ゆうすけと名乗った。
コ ロ シ ア ム
円形闘技夢。
そこは夢の宿主同士が死力を尽くして戦う神秘の夢なのだと言う。
('A゚)「お前は何の夢の宿主だ? ……いやさ、わざわざ問うまでもねえ。
そのあばずれ夢魔を見れば知れること。お前は『性的夢』に寄生された宿主だな?」
( ^ω^)「……どうやらそのようです」
肯定。すると、宇都宮の背後にぼやけて見えていた雨霧が、棒状のゲージを形成していく。
('A゚)「これはSP(Sleep Point)だ! このゲージが0を示した時、円形闘技夢から起床する!!」
|::━◎┥「起床はすなわち円形闘技夢での敗北を意味します。まこと簡潔なルールです」
銀の光沢まぶしい歯車王と名乗る夢魔は、宇都宮のゲージを確認して、内藤に軽い解説を加えた。
彼の数値は常人の限界値である100SPを超えて、 325SP を示している。
これは昏倒と言って差し支えない数値であるとともに、まだ上昇する余地があるとも語った。
320
:
同志名無しさん
:2013/10/21(月) 22:43:28 ID:C/ZTIIfI0
( ^ω^)「325SP……(大丈夫ですかこの人)」
(#'A゚)「さあお前のSPはどれほどのものかッ! 応えろ内藤ッ!?
俺の夢は『栖鐙夢』だァァ――――ッ!!!」
宇都宮のたかい絶叫が、重く垂れ込めた雨雲をつんざくかと思われた。
自身のおかれた状況に、理解は追い付かないまま、
内藤は露に濡れている観客席の方を振り返った。SPの確認を試みたのである。
しかし内藤が視界に捉えたのは、鯖の背中のように青い鋼の光沢を放っている何かだ。
磨き立てられたそれは、鉄のかがやきに相違なく……内藤の両腕を潜って脇腹に食い込む。
痛烈な一打。
[# Д`]「エンジン全開!」
( ^ω^)「……!?」
電流を迸らせて、エンジン王の右腕がギ、ギ! と雄叫びをあげる。 ・ ・ ・
内藤は目をしばたたかせて、地に片膝をついた。それは突然殴られた驚きのためであり、 痛み のせいではなかった。
呼吸は明らかな乱れを生じている。額から頬を伝って雨滴交りの汗が垂れるのが分かる。しかし、痛みは無いのだ。
ζ(゚ー゚;ζ「内藤くん!」
( ^ω^)「これはいったい……?」
殴られた箇所を見てみると、肌が葡萄色のおおきな痣になっていることにも内藤はびっくりした。
このとき、内藤は自身のSPがたった12しか残されていないことを確認していれば、
宇都宮との格差に気が動転して、ほんとうに起床してしまったかも知れなかった。
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