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( ・∀・)親指夢のようです
122
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:14:10 ID:6TRr8PO.0
川; / -゚)
クーはフラフラと、危うげな足取り。
心細い顔をして、外界を極度に恐れていた。
目前に迫った電柱に、クーは思い切り顔面をぶっつけた。
モララーは。クーが電柱に衝突するという予感こそしていたけれど。止めなかった。
(*・∀・) 川 / -×)
なぜならモララーは、クーに必要とされたい一心だったから。
モララーがいなければ、私は満足に歩くことさえ出来ないのだ…。とクーに思い知らせたいがために。
モララーは心を鬼――いつもの妄想のように――にして、あえてクーを電柱に激突させたのだった。
∩*・∀・)ノ 川 / -×)
だから。モララーが「大丈夫かい、クー!?」と声をかけたその一連の所作は。
三流役者の大根芝居にも似た、ひどく勿体ぶったものだった。
123
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:14:42 ID:6TRr8PO.0
(*゚∀゚)
あの荒んだ夕暮れのことだ。
あの殺人キャットガールは。刃渡り17.5cmのステンレス鋼の包丁を手にとって。
クーの両目の眼球に。浅く深い傷をつけたのだ。
124
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:15:15 ID:6TRr8PO.0
−昼休み
( ・∀・) よいしょっと!
川 / -゚) ここは屋上だな……?
( ・∀・) うん!たまには外で食べるのも良いかなと思ってね!
川 / -゚) 空気がおいしい
( ・∀・) 田舎だからねえ
( ・∀・) さてさて。お弁当にしよっか!
川 / -゚)
( ・∀・)
( ・∀・) 今日はエビフライをつくったんだよ!
川 / -゚) ……すごいね
125
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:16:11 ID:6TRr8PO.0
( ・∀・) ほら、クー
川 / -゚)
( ・∀・) あーん
川 / -゚) ん……
( ・∀・) おいしい?
川 / -゚) ああ
川 / -゚) おいしいよ……
( ・∀・) そっか!良かったよ
川 / -゚) 昨日もエビフライだったよね……
( ・∀・) えっ?!卵焼きじゃない?
川 / -゚) ちがったっけ……
126
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:17:34 ID:6TRr8PO.0
( ・∀・) もう!俺がつくってくる料理はちゃんと覚えててよ!
川 / -゚)
川 / -゚) ごめん
( ・∀・) 良いよ、いいよもう!
( ・∀・) …ねえ、クー
川 / -゚)
( ・∀・) 幸福度の話をしようか?
川 / -゚) ……なにそれ?
( ・∀・) (wwwwwwお前が言ったんだろ!)
( ・∀・) (……でも)
川 / -゚) ん?
( ・∀・)
(*・∀・) (イイ!)
127
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:18:04 ID:6TRr8PO.0
(*・∀・) いや、もし幸福を数値で表せるとしたらだよ
(*・∀・) クーの幸福の沸点は、どこかなと思ってね
川 / -゚) ?
川 / -゚) 幸福の沸点……??
( ・∀・) 探ってみようか? 前のクーじゃない、
( ・∀・) ”今のクーの、幸福の沸点”を
川 / -゚) 前の……なに?
( ・∀・) 気にしなくて良いよ
川 / -゚)
( ・∀・) そうだな。まずは、
川 / -゚)
( ・∀・) クーは、俺の手料理が食べられて幸せ?
川 / -゚)
128
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:18:43 ID:6TRr8PO.0
川 / -゚) そうだな……。私のお母さんが、お弁当をつくる手間が省けて
川 / -゚) 助かる、と言っていたっけ
(;・∀・)
(;・∀・) クーは放課後、俺と一緒に図書室で勉強してるよね!?
川 / -゚) ? ああ、そうだろう?
(;・∀・) ああ良かった! その時は、どう? 幸せ感じてる?
川; / -゚) ハァ? ……ああ、そうだな。ミセリはたしか、私がモララーと一緒なら
川 / -゚) 変な虫が寄り付かないから、安心だよ。と言っていたっけ
(;・∀・)
川 / -゚) モララーには、襲われる心配もないだろうから。とも言っていた
(;・∀・) (どういう意味だよあの空気女)
129
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:19:23 ID:6TRr8PO.0
(;・∀・) ッ!そういうことじゃなくてさ!
川 / -゚)
( ・∀・) ……クーがどう思っているか、ということなんだ
川 / -゚) ……ああ
川 / -゚) ごめんね
川 / -゚) 質問の意図が、よくわからなくて
( ・∀・) いいや。僕の言い方も悪かったよ
川 / -゚)
( ・∀・) ……。そろそろ昼休みも終わりだし
( ・∀・) 最後の質問をしても良いかい
川 / -゚)
川 / -゚) どうぞ
130
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:19:54 ID:6TRr8PO.0
( ・∀・) クーは、俺と一緒にいて幸せ?
川 / -゚)
川 / -゚)
川 / -゚) ……いや、まったく
( ・∀・)
131
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:20:27 ID:6TRr8PO.0
−自宅
(#・∀・) つー!!
(#・∀・) 出て来い! どこにいる!?
(#・∀・) もう一度だ! 包丁を持て!!
(#・∀・) つー! 返事をしろおおおおおお!!!!!!!
(*ぅ∀;) ウエーン
(;・∀・) っ!?
(*ぅ∀;) モモリー!!
(;・∀・) ……モララーね。どうかした?
(*;∀;)σ
( ・∀・) ?
( ・∀) あ……?
132
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:21:00 ID:6TRr8PO.0
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈::::/\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/V::::::::`::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::::::::::‐―:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
それは、それはそれは壁。モララーの自宅の灰色の壁。
かつてのモララーは、壁に走る亀裂から亡霊が出て来る悪夢を見た。
つーが涙ぐんで指差すのは、そんな無数に刻まれた亀裂。
そこには
('A`) よう
( ・∀・) ……?
('A`)
( ・∀・) 誰だ?お前
133
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:21:53 ID:6TRr8PO.0
('A`) 俺
('A`) ドクオ
( ・∀・)
( ・∀・) あァ〜……?
( ・∀・) あれえ? でも、たしかきみ…
( ・∀・) なんだっけ?
(*ぅ∀゚)
('A`) 交通事故に遭った?
( ・∀・) そ、そう。それだよ
( ・∀・) な、なんで、ここにいるの?
('A`)
134
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:22:26 ID:6TRr8PO.0
('A`) 俺にもよく分からんが
('A`) 多分、これは
('A`) 魂、みたいなものじゃないかと
( ・∀・)
(*゚∀゚)
( ・∀・) ……へえ? す、げえじゃん。本物の幽霊じゃん
('A`)
( ・∀・) う、ウケるw
(*゚∀゚) w
('A`) お前さ
('A`) クーに何した?
( ・∀・)
135
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:23:01 ID:6TRr8PO.0
( ・∀・) なにって……
( ・∀・) なにも?
('A`)
( ・∀・) 俺なにもしてないよ?
( ・∀・) クーに親指が無いのは
( ・∀・) ネコに噛まれたからなんだよ?
( ・∀・) そうだよな? つー
(*゚∀゚)
('A`) 嘘つくな
( ・∀・)
( ・∀・) ……ほんとだから
136
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:23:39 ID:6TRr8PO.0
('A`)
( ・∀・)
( ・∀・) お前は何しに来たんだ?
('A`)
( ・∀・) なるほど居座り続けるつもりか?
(*゚∀゚)
( ・∀・) つー、コイツ噛んで良いぞ
(*゚∀゚) ゔぇえええええ……
(*゚∀゚) だってコイツ不味いし……
( ・∀・) 我慢しろって
('A`) 呪う
( ・∀・) は?
('A`) 呪うから、お前を
( ・∀・)
137
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:24:22 ID:6TRr8PO.0
( ・∀・) お前な
( ・∀・) マジ気持ち悪いこと言ってんなよ
('A`)
( ・∀・) そんな縁起でもないことしたらさ
川 / -゚)
( ・∀・) ……わかってる?
('A`)
( ・∀・) お前は…あの世に戻ってろっ!
( ・∀・) 二度と帰って来んなっ!
('A`)
138
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:24:55 ID:6TRr8PO.0
('A`)
('A...::;
(*゚∀゚) 消えた!
( ・∀・)
(;・∀・)
(;・∀・) あー…こわ
(*゚∀゚) アヒャヒャ!
(;・∀・) なんなんだいまの……さ、つー
(;・∀・) 包丁持って
(*゚∀゚) あひゃー
139
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:37:48 ID:6TRr8PO.0
投下はここで一区切りです。感想ありがとうございますm(_ _)m
GWはさんだのに間隔あいてごめんねほんとにね(*゚∀゚)ノシ アヒャー
140
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:38:13 ID:WyDsV/O20
いいところで・・・!!
お疲れさま
141
:
同志名無しさん
:2013/05/18(土) 21:40:18 ID:c2.wjSyE0
不穏だなぁ
乙
142
:
同志名無しさん
:2013/05/30(木) 22:34:12 ID:dNvlHzsE0
面白いとこで
乙
143
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:52:39 ID:gC4uLPbs0
−図書室
( ∀・) シベリアの少数民族のあいだで、こういう話がある
川 / - )
( ∀・) 北の方角に、1本脚しかない部族がいる
( ∀・) 彼らは自分ひとりでは歩けないから
( ∀・) 男女が肩を寄せ合って歩く
川 / - )
( ∀・) 2人がしっかり愛し合えば、風より速く走れるが
( ∀・) 愛し合うことをやめると
( ∀・) もとの1本脚に戻り、2人とも歩けなくなる
川 / - )
144
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:53:11 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) 男女とはそれぞれ1本脚の存在であり
( ∀・) 2人そろって初めて2本脚になると分かる
川 / - ) ……わ、わ、わたしは、
川 / - ) わたしは、ば、かだから
( ∀・)
( ∀・) よく愛し合う男女をたとえて、二人三脚なんて言うけれど
( ∀・) 二人三脚と考えている限り……
( ∀・) 紐をほどきたくなる衝動に駆られるものさ
川 / - ) モララー
( ∀・) 僕たちは、シベリアの少数民族とは違って
( ∀・) 1人のほうが、よっぽど自由に走れるものだからね
川 / - ) わ、わからないよ
( ∀・) ただし
145
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:53:46 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) クー、きみは……
( ∀・) その右足、義足だろう
川 / - ) あ、あ、
川 / - ) 車にひ、轢かれた
( ∀・) そう。車に轢かれた
(*゚∀゚)
( ∀・) かわいそうに
146
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:54:19 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) きみは正真正銘、1本脚だ
( ∀・) 目だって、ほとんど見えない
( ∀・) きみは、両手に親指がない
川 / - )
( ∀・)
( ∀・) 僕も同じなんだよ、クー
川 / - ) ?
147
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:55:01 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) 僕も1本脚なんだよ
川 / -゚)
川 / -゚) ほ、ほ、ほんとか?
( ∀・) 物のたとえだ
川 / -゚) あ、
( ∀・)
( ∀・) きみがいないと
( ∀・) 僕は生きられないんだよ
川 / -゚)
148
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:55:38 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) クー
( ∀・) 僕たちは、寄り合って生きていくべきなんだ
( ∀・) 僕は今のきみが好きだ
( ∀・) 大好きだ
(*゚∀゚)
149
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 03:56:13 ID:gC4uLPbs0
川 / - )
( ∀・) ……よろこんでる?
川 / - ) な、なんで?
( ∀・) わかるから
( ∀・) 全部
川 / -゚)
( ∀・) ……服
川 / -゚) ?
( ∀・) 自分で脱げる?
川 / - ) ……え?
川 / -゚) え。こ、こで?
( ∀・)
川 / -゚) ……
川 / -゚) あ、あのな?
150
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:03:20 ID:gC4uLPbs0
川 / -゚) ツンがなんで退学になった知ってる?
( ∀・)
( ∀・) ツン……?
川 / -゚) 知らない?
( ∀・) ……ああ、ツン
川 / -゚) ツン
川 / -゚) 妊娠したんだ
( ∀・) ……へえ
( ∀・) 知らなかった!
川 / -゚) だ、だから
( ∀・) だからなに?
( ∀・) 俺が信用できないって
川 / -゚) そういうことじゃなくて……
( ∀・) クー
151
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:05:00 ID:gC4uLPbs0
( ∀・)
(*゚∀゚)
川 / - ) あ、
( ∀・)
(*゚∀゚)
川 / - ) も、もら
( ∀・)
(*゚∀゚) アヒャ♪
152
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:06:30 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) ……
川 / - ) ……んっぁ、ぅ……
カ ラ ダ ホ ウ マ ツ ゴト シ
そ の 肉 身 は 泡 沫 の 如 く と 知 り 。
カ ゲ ロ ウ ゴト ハカナ シ
陽 炎 の 如 く 儚 い と 知 り た れ ば 。
ア ク マ ヨ ウ イ ハナゾノ ア ソ ヤ
悪 魔 が 用 意 し た 花 園 で 遊 ぶ こ と を 止 め 。
マ オ ウ メ トド ヒガン ユ オ モ
魔 王 の 目 の 届 か な い 処 へ 往 か む と 思 う 。
153
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:07:01 ID:gC4uLPbs0
そう。
モララーは欲望に忠実な男。
制服を脱がせ、乳房をもみ、全身をもてあそび。
最後に気持ちよく咆哮して、避妊具に精液をぶちまける。
「お前は俺のものだ。いつだって俺のものだ」
「お前を八つ裂きにして」
「もう一度結合させる」
モララーは物事が難しくなる前にハッキリさせたい。
それは言葉でも良い。ただ承認されれば良いだけ。
相手に承認されたという核となる出来事(奇跡)を起こしたいだけだから。
甘い汁をすすって酔っていられるのがモララーの良いところだから。
だからモララーは目が黒か。ら血走った赤に変わるとき。尋ねた。
( ∀゚) クー。俺のこと、好きか?
154
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:08:03 ID:gC4uLPbs0
川 / -;)
( ∀・)
川 / -;)
( ∀・) ……
(*゚∀゚) アヒャ♪
川 / -;) あっあっ!
(*゚∀゚) アヒャヒャ!!
( ∀・) 俺のこと……
川 / -;) 好きだよ、モララー!!
( ∀・)
(*゚∀゚)
(* ・∀・) アハァ♪
155
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:08:35 ID:gC4uLPbs0
そこでモララーは果てた。
モララーの"幸福の沸点"は満たされた。かのように思われた。
しかし"幸福の沸点"とは、達した刹那に、悪い意味での虚無感に変わってしまうものだった。
北大路魯山人は、料理家の土産のチーズをたいそう褒めたところ、「家にまだあるから、もっと送りましょう」と返された。
魯山人はこの好意に対して、「あなたは幼稚すぎる」と返した。飽食は幸福のありがたみを殺すのだった。
クーという植民地を完全に支配した。
自信は研磨された。
ほとんど自己愛と見紛うばかりに。
だから。
クーにもう用は無かった。
156
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:09:05 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) ……
川 / -;) ぐあ、
( ∀・) 自分で服も着れないのかお前は
川 / -;) 待って
( ∀・) 人が来なくてよかった
( ∀・) でも
( ∀・) どこかで聞き耳を立てているヤツはいた
(*゚∀゚)
川 / -;) そんな
( ∀・) 冗談
川 / -;)
( ∀・) ほら、着せてやるから
( ∀・) 立って
川 / -;) ……
157
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:10:02 ID:gC4uLPbs0
−自宅
( ∀・)
(*゚∀゚)
( ^ω^) ……
( ∀・)
( ∀・) ……ドクオと言い
( ∀・) なんでこう次から次へと?
( ^ω^) 確かめたいことがあったお
( ^ω^) だから
( ^ω^) 来たお
( ∀・) 結構
( ∀・) 用件を聞こう
158
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:10:52 ID:gC4uLPbs0
( ^ω^) まず
( ^ω^) ドクオが何で病院にいるか……
( ∀・) 知らねえよ
( ^ω^) まだ僕の話の途中だお
( ∀・)
( ^ω^)
( ^ω^) ドクオは交通事故に遭って
( ^ω^) 病院にいるんだお
( ∀・) そうなんだ
( ^ω^) ドクオを跳ねたのは、この僕なんだお
( ∀・) へえ?
( ^ω^) すげえ飛んだお
( ∀・) 通報して良いか?
159
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:11:59 ID:gC4uLPbs0
( ^ω^) それは、
( ^ω^) 僕の話が終わってからにしてほしいお
( ∀・)
( ^ω^) ……ツンが退学になった理由
( ^ω^) 知ってるかお
( ∀・) ……ツン?
( ^ω^) 知らないかお
( ∀・) ああ、ツン
( ^ω^) ツンは妊娠したんだお
( ∀・) お前の?
( ^ω^) 違うお
( ^ω^) 誰の子か分からないんだお
( ∀・)
160
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:12:49 ID:gC4uLPbs0
( ^ω^) 僕は
( ^ω^) 犯人は
( ^ω^) ドクオだと思ったお
( ∀・) (……ああ)
( ^ω^) ツンはああ見えて
( ^ω^) 人見知りだから
( ∀・) (思い出してきた……)
(#`ω´) ('A`#) (・∀・ )
( ^ω^) 男友達はドクオしかいなかったから
( ^ω^) だから
( ∀・) (あの記憶のワンシーンは……)
( ω ) だから……
161
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:13:34 ID:gC4uLPbs0
( ω ) でも、そうじゃない
( ω ) ドクオをバイクで跳ね飛ばすとき、アイツ
( ω ) ぼ、俺の顔
( ω ) 睨んで
( ω ) 違うって言ったような気がし、たお
( ω ) アイツ、ずっとそうだったお
( ω ) 俺、は、気付けなかった
( ∀・) (……)
( ω ) お、お前かお?
( ω ) ツンを妊娠させたのはお前かお?
( ∀・)
162
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:14:07 ID:gC4uLPbs0
( ∀・)
( ∀・) なんでそう思う?
( ω ) 夢を……
( ∀・) ハァ?
( ω ) 毎日、夢を見るんだお
( ω ) ツンとお前が
( ω )
( ∀・) ……悪夢だな、そりゃあ
( ω ) おっお。でも
( ω ) ぼ、お、ブーンは
( ω ) もう
( ω ) 分からない
( ∀・)
( ∀・) お前はキチガイですか?
163
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:14:41 ID:gC4uLPbs0
( ω ) 違うお
( ω ) でも、もう
( ω ) ブーンはどうなっても
( ω ) いいお
(; ∀・)
(; ∀・) お前
( ω ) お前は
( ω ) お前も病院送りに
(; ∀・) やめろ
164
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:15:12 ID:gC4uLPbs0
非行青年、内藤ホライゾンが懐から取り出したのは尖鋭なナイフ。
白銀の月、内藤ホライゾンはガラスの破片に包まれているように見えた。
敏活なシナプスが知らせた。その間合いに入っては、ズタズタに引き裂かれる。
このナイフで全ての問題を片付けよう。
内藤ホライゾンの目が黒か。ら血走った赤に変わる。
ここは同じ顔を何棟も並べた集合団地。住宅団地。今夜にかぎって人影は皆無だ。
なんで誰もが俺を嫌うんだ。
団地を覆い囲むのは古ぼけて赤茶けたフェンス。
錆びた赤が傷跡のように覗いている針金。を編み合わせてつくった外界との強い境界。
モララーに逃げ場はなかった。
( ∀・)
でも。
つーがいれば。
165
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:16:28 ID:gC4uLPbs0
( ∀・)
( ω ) がッ
( ∀・)
( ω ) おーっ
( ω ) おーっ
( ∀・)
( ∀・) ……あ?
( ∀・) あ?
内藤ホライゾンは、バッテン印に線を引かれて消されてしまった。
腹を切り裂かれて。傷口を包丁でファックされて。呆気なかったけれど。
萎えていく内藤ホライゾンの息遣いに、モララーはぶるぶると震えている。
166
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:17:10 ID:gC4uLPbs0
( ∀・) つー?
モララーの手には血がベッタリ。
( ∀・) おい
( ∀・) なんで
モララーの手にはつーの包丁。
( ∀・) 俺が
( ω )
( ∀・)
167
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:17:46 ID:gC4uLPbs0
−VIP高校
ガララッ
(ii ∀・) …
(ii ∀・) モーニン
ミセ*゚ー゚)リ おっはー
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ 顔色、悪いね?
(ii ∀・)
(ii ∀・) クーは?
ミセ*゚ー゚)リ クーちゃん?
ミセ*゚ー゚)リ そこにいるけど
(ii ∀・) え
168
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:18:29 ID:gC4uLPbs0
そうだ。
モララーは目を疑った。
ほとんど自己破壊的な否定。
モララーは目の前の事実を拒否した。
クーの身体が、あまりに醜すぎるから。
顔は眼帯と包帯でなかば覆い隠されていたけれど。
腫瘍でブツブツに腫れ、爛れ、歪み、黒ずんでいる。
髪は薬物の副作用で抜け落ちていた。
表情は過度のストレスで筋肉が麻痺して変化がなかった。
クーに睨まれたモララー。怖い。目を背けた。分からない。誰がクーをあんなにした。俺だ。
俺なんだ。モララーは。
169
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:19:17 ID:gC4uLPbs0
川 / - ) モララー……?
(ii ∀・) ひっ
川 / - ) モララー、なんで今朝は
川 / - ) 迎えに来てくれなかったんだ?
川 / - ) モララー、お昼ご飯の弁当は
川 / - ) ちゃんと作って来てくれたのか?
川 / - ) 機嫌が悪いのか? モララー
川 / - ) なあ……
(ii ∀・)
170
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:21:29 ID:gC4uLPbs0
('A...::;
('A`)
('A`) よう――
(ii ∀・) 離せええええええええっ!!!!!
('A`) 川 / - )
(ii ∀・) ハーッ
(ii ∀・)
('A`)
(ii ∀・) ちがうちがうちがう!!!
(ii ∀'゚) 俺じゃない!!
(ii ∀'゚) なんなんだよお前ら!!
('A`) 川 / - )
(ii ∀'゚) 気持ち悪いんだよ!!
川 / - ) 待って、モララー
('A`) まあ落ち着けよ
('A`) このクソ野郎も今しがた、来たしな
( ^ω^)
( ^ω^) おっ
(ii ∀ )
171
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:22:54 ID:gC4uLPbs0
( ^ω^) 痛かったお
( ^ω^) 包丁
('A`) ハッ
('A`) 痛かった、バイク
( ^ω^) そうだおね
('A`) そりゃそう
( ^ω^) ('A`) あははははははははははは
(ii ∀ )
( ^ω^)
('A`)
( ^ω^)
('A`)
172
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:23:25 ID:gC4uLPbs0
(ii ∀ )
(ii ∀ ) や、やめろよ
(ii ∀ ) こっち見るなよ
(ii ∀ ) 親指夢?
(ii ∀ ) なんだそれ?
(ii ∀ ) しらないぞそんな?
(ii ∀ ) アハァ?
ミセ*゚ー゚)リ ねえモララーくん、どうしたのかな?
川 / - ) モララー……?
ガララッ
( ФωФ)
173
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:24:22 ID:gC4uLPbs0
( ФωФ)
( ・∀・) くそう! みんなが僕のことを嫌う!
( ・∀・) つーはどこ!
( ・∀・) なんでどうして!
( ・∀・) くそー!
( ФωФ)
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
174
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:25:33 ID:gC4uLPbs0
( ФωФ) 我輩が親指夢のなかでいつまでもお前に負けると
( ФωФ) ほんとうにそう思っていたか
( ФωФ) 我輩がちょっと本気を出せば、
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
( ФωФ)=⊃)゚Д)、;'.・ バキッ
(ii ∀ ) お、あ
(ii ∀ ) いたいたいいたいいたい
(* ∀ )
175
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:26:21 ID:gC4uLPbs0
(* ∀ ) よお
(* ∀ ) ちょっと言わせてもらっていいか?
(*゚∀゚) お前は一生懸命頑張ったよ
(*゚∀゚) 欲しいものは手に入ったけど
(*゚∀゚) ほんとうに欲しいものは
(*゚∀゚) 手に入らなかった
(*゚∀゚) なにをやっても裏目に出た
(*゚∀゚) 取り返しのつかないことをしてしまった
176
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:26:59 ID:gC4uLPbs0
(*゚∀゚) けれど大丈夫だ
(*゚∀゚) 夢のなかの死は儀礼的解体だ
(*゚∀゚) 死と再生のイニシエーションだ
(*゚∀゚) 今度は私がお前に
(*゚∀゚) 命の息吹きを吹き込んでやるから
(ii ∀ ) やめて!
(*゚∀゚)
(*゚∀゚) アヒャ♪
177
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:27:35 ID:gC4uLPbs0
.
178
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:28:20 ID:gC4uLPbs0
−VIP高校
( ^ω^) モーニン!
川 ゚ -゚) おはよう、ブーン
('A`) ……
(´・ω・`) ――でね、僕は……言ってやった!
ξ゚⊿゚)ξ ……
(´・ω・`) ――……このショボン様さ! ってね
('A`)
ξ゚⊿゚)ξ
(;A;) wwwwwwwwwwwwwwwwww
ξ;⊿;)ξ wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(;^ω^) え!? なになに何の話!?
(;A;) カニみそがwwwwwwwwwwww
ξ;⊿;)ξ ディザスターピースwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(:^ω^) !? !?
179
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:29:09 ID:gC4uLPbs0
(ぅA`) いやーショボンくん最高だわうんほんとほんと
(´・ω・`) そ、そうかい? でも、僕も転校して来たばかりで
(´・ω・`) 君たちみたいな気持ち良い人と出会えて、良かったよ
(;^ω^) おーん。僕にもさっきの話聞かせてほしいお
(´・ω・`) ああ、構わない……おいでよ、内藤ホライゾンくん
ワイワイ ( ^ω^) (´・ω・`) ('A`) ガヤガヤ
ξ゚⊿゚)ξ ……
川 ゚ -゚) なんか、ずっと昔からいたみたいだな
川 ゚ -゚) ショボンくん
ξ゚⊿゚)ξ 馴染んでるわよねえ……
180
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:30:39 ID:gC4uLPbs0
ξ゚⊿゚)ξ でもね、クー
川 ゚ -゚) ?
ξ゚⊿゚)ξ 前にブーンが言ってたのよ
ξ゚⊿゚)ξ 前の私たちは
ξ゚⊿゚)ξ もっとバラバラだったって
川 ゚ -゚) バラバラとは?
ξ゚⊿゚)ξ …うん
ξ゚⊿゚)ξ ブーンがピアス開けてて金髪だったり
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ バイクに乗ってドクオを跳ねたりとか
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) ねーよwww
ξ゚⊿゚)ξ だよねww
181
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:31:32 ID:gC4uLPbs0
ξ゚⊿゚)ξ ……
ξ゚⊿゚)ξ でも、私はそうだったかも知れないって
ξ゚⊿゚)ξ 最近思う
川 ゚ -゚)
ξ゚⊿゚)ξ 変かな?
川 ゚ -゚) ……私は
川 ゚ -゚) 今朝起きてみたら、
川 ゚ -゚) 朝の太陽がまぶしくって
ξ゚⊿゚)ξ ?
川 ゚ -゚) なんだか、それだけで
川 ゚ -゚) 泣けてきた
ξ゚⊿゚)ξ なにそれ?
川 ゚ -゚) …いや、自分でもよく分からないんだが
182
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:32:31 ID:gC4uLPbs0
ξ゚⊿゚)ξ ……分かる気がするな
ξ゚⊿゚)ξ ともかく、さ
ξ゚⊿゚)ξ この五人組が良いね
川 ゚ -゚) ……そうだな
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚) ところで、私の席の後ろ
ξ゚⊿゚)ξ ?
川 ゚ -゚) 空席なんだが
ξ゚⊿゚)ξ あら、ほんと?
ξ゚⊿゚)ξ でも、変ね。ここ、誰か座ってた?
川 ゚ -゚) いや……
川 ゚ -゚) ショボンくん、ではないよな
ξ゚⊿゚)ξ ……誰かな?
ガララッ
( ФωФ) はいはい席つけお前ら
183
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:33:26 ID:gC4uLPbs0
−放課後
('A`) よお
川 ゚ -゚)
('A`) ソフト部お疲れさん
川 ゚ -゚) 待ってたのか?
('A`) いんや
('A`) ……勉強してた
川 ゚ -゚) 嘘つくな
('A`) バレたか?
川 ゚ -゚) ガリ勉は好きじゃないんだよ
川 ゚ -゚) 私
('A`)
('A`) そうなんだ
184
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:34:06 ID:gC4uLPbs0
川 ゚ -゚) ブーンたちは?
('A`) とっくに帰ってる
川 ゚ -゚) ふん
('A`) 帰るか
川 ゚ -゚)
('A`)
川 ゚ -゚) なあ、ドクオ
('A`)
川 ゚ -゚) ……手、繋ぐぞ
('A`) は
('A`) はい。え?
185
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:35:21 ID:gC4uLPbs0
(;'A`) どうした?
川 ゚ -゚) ……嫌か?
('A`;) いや
('A`;)
川 ゚ -゚) ギュ
('A`;) ちょっとお?
川 ゚ -゚)
('A`;) 素直クールさ……
川 ー )
('A`)
川 ;ー;) ……
('A`) ……クー?
186
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:35:55 ID:gC4uLPbs0
川 ぅー ) いや
川 ぅー ) ちゃんと手、繋げる
('A`)
川 ー ) 良かった
('A`) …そう
川 ー ) ああ
川 ー ) 私はこういうことに幸せを感じるよ
('A`)
('A`) そう
187
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:37:06 ID:gC4uLPbs0
('A`) と言うか
川 ゚ー゚) どうした?
('A`) さっきから視線を
('A`) 感じる
川 ゚ -゚) ああ
( 'A`) ここかなーってね!
( ^ω^)ξ゚ー゚)ξ ニヤニヤニヤニヤニヤ
( 'A`) 君ら排水溝に入り込んで何してるん
ξ゚⊿゚)ξ タイムリーでしょ?
( ^ω^) かなり窮屈だけど…特等席だお〜
('A`) 完全に時事ネタじゃねえか
川 ゚ -゚) 見世物じゃないぞ私たちは
※参考
ttp://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/660455/
188
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:43:21 ID:gC4uLPbs0
この後どうするお?
カラオケ! カラオケ!
てかミスド行ってたんだお前ら
そうよ食べる? はいポンデリング
良いな、私のもくれよ
どぞどぞ 美味い
え、それ僕のだお? っていたい!?
ハイ決まってんじゃんパネエ 美味しい
ひどいお
アンタは食べすぎだから
189
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:44:44 ID:gC4uLPbs0
−放課後
(´・ω・`)
(´・ω・`) ……
(´・ω・`) 転校して来たは良いけど
(´・ω・`) ……あの内藤くんのグループ、居辛いな
(´・ω・`) はぁ
(´・ω・`) そもそも男女のカップルで固まってるし
(´・ω・`) 僕の立ち位置、ないし
(´・ω・`) ……
(´・ω・`) かと言ってひとりでいられる勇気もないし
(´・ω・`)
(´・ω・`) ……猫?
190
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:47:15 ID:gC4uLPbs0
(´・ω・`)
<ニャー
(・ω・` ) ……?
(・ω・` )
(´・ω・`) 捨て猫……?
(´・ω・`) お前、名前もないの
(´・ω・`) よーしよし
(´・ω・`) ……アパート、ペット大丈夫だったっけかな
(´・ω・`) まあ…。良いよね
191
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:48:38 ID:gC4uLPbs0
次に親指夢を見るのは?
次に親指夢を見るのは、
(´・ω・`) 拾ってあげるよ
(*゚∀゚)
(´・ω・`) おいで
(*゚∀゚)
(*゚∀゚) アヒャ♪
192
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 04:59:40 ID:gC4uLPbs0
これで第一話は完結にします。感想ありがとうございますほんと
終盤テンポ早めてしかもながらだったのは
この地の文ポエム調ラップ仕立てで会話文主体の書き方、つら
続いて第二話、予告編投下します。
193
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 05:01:34 ID:gC4uLPbs0
−あなたにとって夢精とは?
( ^ω^)
私にとって夢精とは、ただの生理現象ではなく、強いて言えば、
善良な社会規範と自我意識を目覚めさせてくれた、大切な転機だったと、今にして思い返されるのです。
こういった目覚めを「第二の誕生」と唱えたのは、哲学者のルソーです。
あの慌ただしい青春時代への入場券は、夢精であったと、私は断言出来ます。
−詳しくお聞かせ下さい。
( ^ω^)
例を示しましょう。
日本では映倫の定める「R指定」ですが、モナメリカ合衆国のそれはとても厳格なものです。
セリフに「ファック!」の一言さえあると、13歳以下は館内への入場が不適当。
「ファック!」が二回以上使用されると、13歳以下はもう館内への入場が不可、となります。
私も13歳まで、両親から過保護と見紛うばかりの教育を施されてきました。
モナメリカ合衆国の子供たちと同じように、表現の自由からはほど遠い環境にいました。
そんな繊細で、純真無垢な少年が、
いやらしく、艶めかしい、蠱惑的(こわくてき)で、エッチでポルノな夢を見たときの
亀頭を伝う精液のあたたかさ……想像に難くありますまい。
194
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 05:03:42 ID:gC4uLPbs0
−なるほど。たしかに、夢精には神の啓示にも似た大きな力がありそうです。
( ^ω^)
私は夢精を「詩人の霊感」または「花開く国への導きの星」と呼んでいます。
夢精は大人の世界への回路を開く、性的イニシエーションのひとつだと、私は言い切ることが出来ます。
−最後に。なぜ、夢精なのか。
( ^ω^)
なぜ第二話の冒頭を飾る今回、夢精を取り扱うことにしたのか。
その理由を述べる前に、まず、私の夢精の体験について、お話しなければなりません。
夢精の体験は普遍的ですが、夢精の体験の仕方は、人それぞれだからです。
私の夢精デビューは、二年前の夏、つまりは小学校六年生のときでした。
イギリスから交換留学生として、あるひとりの女の子が私の家にホームステイしに来たこと。
(大変お見苦しいので中略)……以来、私は金髪碧眼の少女を今でもズリネタとしている。
195
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 05:04:53 ID:gC4uLPbs0
−で?
( *^ω^)
失礼しました。話が少々、前後してしまった。
端的に言ってしまうと、夢精とは、私の持つ "能力" に大きくかかわることなのです。
− "能力" ?
( ^ω^)
そう。この物語では、多くの人間が、様々な "夢" を見ます。
吉夢(きちむ)凶夢(きょうむ)願望夢(がんぼうむ)。
あるいは胡蝶の夢。邯鄲一炊の夢。
そして……親指夢。
私。祥雪(しょうせつ)中学の二年生、内藤ホライゾン。
私が見る夢はエッチな夢。つまりは "性的夢(せいてきむ)" です。
ζ(゚ー゚*ζ「親指夢! 第二話はみんな大好き学園能力バトルもの!」
ζ(^ー^*ζ「次回の更新予定日? えへへ! 分かんない!!」
196
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 11:27:38 ID:FIT4kJb.0
乙
二話も待ってる
197
:
同志名無しさん
:2013/06/09(日) 20:48:34 ID:37cj80Gk0
乙!面白かった
198
:
同志名無しさん
:2013/06/13(木) 22:12:58 ID:zhT61X2c0
乙
次も楽しみ
199
:
同志名無しさん
:2013/06/28(金) 17:52:13 ID:QYmU50FEO
乙!
wktk
200
:
同志名無しさん
:2013/08/13(火) 10:55:41 ID:nMxkifZA0
来ないかなぁ
201
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:46:44 ID:nroRDU460
( ^ω^)「ただいま」
この内藤ホライゾンという名前の少年が、本作第二話の主人公だ。
県内有数の名門校、祥雪(しょうせつ)大学付属中学校に通っている。普通の中学一年生(チューイチ)だ。
冒頭で述べたとおりに、彼の「第二の誕生」は、つまりは夢精であった。
夢精は、彼に「恋」と「失恋」のふたつの味わい方を知らせた。
夢精は、彼に恋のはじめ方、おわり方を、見事に示唆したものだった。
ξ゚⊿゚)ξ「おかえり」
胸に刻まれた「恋」。 それは、夢のなかでのツンとの出逢い。
胸に刻まれた「失恋」。 それは、夢のなかでのツンとの別れ。
( ^ω^)「今日は疲れました」
彼は、夢のなかで彼女に、恋愛の手ほどきを施されたものだった。
まず彼女は歌がうまくって、体は柑橘系の甘い匂いで満ちていた。
瞳は熱のこもった宝石のように青く、太陽が彼女の唇を薔薇色に輝かせていた。
202
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:48:39 ID:nroRDU460
ξ゚⊿゚)ξ「おかえり」
( ^ω^)「……」
無論。これは夢。夢とは人間の感情を映す出す鏡であり、イリュージョン・ステージエフェクトに凝った脚本なのだ。
現実ではまったく起こりえない現象も、夢を見る人によっては作・演出されるから、ゲラゲラ笑えるのだ。
ツンは内藤が創造した少女に、間違いはない。
( ^ω^)「それじゃ」
しかしツンは、現実の少女よりも、もっとリアルな少女だと内藤は思う。
元気旺盛で貧乳、おてんばに振る舞い貧乳、時にみせるサディストな一面と貧乳。
それらは夏の空から降ってくる、ムラムラッとした夏の熱気のような現実味に溢れている。
203
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:51:19 ID:nroRDU460
夢のなかの少女。ツン。
彼らは、しかし、夢のなかでも、こうはいくまいと思えるほど、神々しいまでに、ふたりきりだった。
きらめく夜空、きしむベッド、暗闇、貧乳、夢に抱かれて、彼らは官能の深淵のきわまで愛し合った。
内藤の左手の薬指には、ツンの感触が、今も、残っている――。
( ^ω^)「行ってきます」
だからこそ夢とは儚い。
たった一夜かぎりの、恋なのだ。
ξ゚⊿゚)ξ「行ってらっしゃい」
ツンが内藤を、夢精の波打ち際まで誘ってくれた、あの思い出は今も。
内藤の心の奥底をたゆたって、時に内藤の胸をきゅぴらっぱさせることもある。
204
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:52:15 ID:nroRDU460
嗚呼。出来ることならこんな行数を稼ぐ会話を交わしたくはなかった。ほんとうに彼女に会いたかった。
束の間の恋を知り、失恋を味わわされた内藤に、しかしツンは、さらなる甘美な施しを与えてくれている。
内藤の能力"性的夢"は、きっと彼女からの餞別だ。
内藤はそう思うのだ。
−第二話
205
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:53:15 ID:nroRDU460
おはよう! 内藤ホライゾンくん!
朝のニュースが始まって、顔面脂汗まみれの司会者を見ていると、キューピーマヨネーズ(ハーフ)と言えども脂分はちょっぴり心配よね。
ガララッと窓のカーテンを開けてみて! ドンジャラと音立てて鍋底をお玉で叩くそんな朝は元気を一番搾り!
今朝の時刻は六時をちょうど回ったところで、みなさーんもう朝ですよーって放送が森から聞こえてきそうな今朝はそんな朝なのよね。
でも、そんなこと言われるとまず信じちゃうでしょう?
今朝は晴天なりや? なりた? 成田空港は聖人の集まりかって?
ククク……残念至極。ここはカーテンの「ガララッ」も鍋底の「ドンジャラ」もフェイクの曇り空が広がっているの。
もうじき雨が降るかも知れないこの降水確率はミリオンパーセンテージって天気予報士がのたまう確率を願いましてはさておいくら?
くれぐれも気を付けて。
これは関係ない話だけど。風の噂で内藤くんがあの祥雪中学校に合格したって聞きました。
俺みたいに夢精で初恋の味を知る詩人の霊感気取り野郎、他に、いますかっていねーか、ハハが口癖のあなたもこれからは立派な中学生。
正直言って。感慨深くもあるわ。だからね、これぐらいのおべんと箱に粒納豆と千切りキャベツと白米を1/3ずつちょっと詰めたダイエット週間の同級生女子が今朝のラッキーパーソンよ。
侍が頭頂部を剃りあげるのを「月代」と言うのよ。
最後に。あたしの愛のモーニングコールはこれでしめて七日目を迎えるわけだけれども。
いい加減、あたしと出会ってはくれないものなのかな。童貞に手足が生えたような内藤くんの返事を心より待っている。
206
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:55:05 ID:nroRDU460
( ぅω`)「んもおおおおおおおおおおおおおお!」
( ぅω`)「うるちゃいうるちゃい!」
ウ ル チ ャ
( ^ω^)「五 月 蠅 い !」ガバッ
翌朝、内藤は六時半を過ぎてから不機嫌に起き出した。耳もとでは女性の囁き声が続いている。
これは夢によって引き起こされている錯聴だ。まったく夢見が悪い。一週間前から、ずっとこうなのだ。
内藤はこんな謎の女性の声色、声の強弱、髪を指で梳く音、服の擦れる音もなにもかもほぼすべて『記憶』している。
真っ暗闇の閉鎖された空間で、内藤は身動きがとれない。恐らくそこはロッカーの中なのだ。熱気が篭り、鍵は外側から閉ざされていた。
まるで知恵を持った悪夢だ。
これで上機嫌にジャンピング寝起きする内藤となった暁には、この話は、そんな内藤の闘病生活を綴った感動受け合い長編小説仕立てとすることを承知されたい。
しばらくして内藤の頭は冷たく冴えわたって、女性の声は掻き消えた。
悪夢が終息したことを知ると、内藤は大きく伸びをしてあくび。をひとつ噛み殺すと机にむかった。
207
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:56:34 ID:nroRDU460
( ^ω^)「xx月xx日。今朝の夢は」
内藤は、自分の書いた文章を後から何度も復唱するタイプの人間なのだ。
小学生時分は、答案に埋めるべき単語をすべて口に出してしまった。頭のプチ弱かった内藤。ある程度は自制できるようになった。
それでも独りでいるときは微笑み顔で何やらブツブツと呟くので怖い。
さてさて。内藤が何の書き物をしているかと言うと、これはいわゆる夢日記だ。
( ^ω^)「件の女で夢精ならず」
内藤はすらすらと筆を運ぶ。夢の輪郭が頭のなかに残っているうちに。
いつのころから書き始めたのか知れなかった。物心ついたときから、ぼんやりと書き始めていたように内藤は思う。
最初は絵だった。夢で見た光景を絵にした。五歳でひらがなを覚えると、夏休みの宿題の絵日記は、しかし夢日記となった。
ホラー物語でよくあるような、夢日記を書き連ねるうちに、現実と夢の分別がつかなくなる。そんな経験はいまのところない。
内藤があの謎の女性の言動、仕草をほぼすべて『記憶』しているのは、つまりはこの夢日記の記述によるものなのだ。
208
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:57:14 ID:nroRDU460
日課を終えると内藤は寝間着を脱いで、台所にむかい、冷蔵庫の牛乳を一息に飲み干した。
眠りの苦い味と、甘ったるい牛乳の味が口内で混じり合う。気分はやはり優れなかった。
内藤の家には仏壇がある。
先祖の遺影が飾られて、正月、盆、彼岸などで、家族ともども合掌する、あの仏壇のことだ。
ここ最近の全国調査の結果によると、仏壇のある世帯は2軒のうち約1軒とのこと。
核家族化がすすんで、仏壇のない家が増えてきた、ということかと内藤は思う。
( -ω-)人
内藤の家にあっても、昨年までは、仏壇がない家だった。
209
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 04:57:56 ID:nroRDU460
桜花爛漫の頃。芽吹いた桜も散り始めた晩春のころだ。
高校の教師を勤める内藤の父親 ( ФωФ) が、昨年に死没し、居間では線香が焚かれるようになったのだ。
( -ω-)人「トーチャン……」
遺影はいつ撮影したものなのか知れない、モノクロ写真で、しかめっ面をした父親の顔が切り取られていた。
内藤はそんな父親の顔を見るたびに、胸に秘めた隠し事を、甘い弱い心を責め立てられる気分におちいった。
父親の一回忌を迎えてから、今日で一週間が経とうとしている。
どんなに華々しく生きても、最期には、桜のように呆気なく散ってしまうものだと内藤は思う。
息を引き取る前、父親は後悔しなかっただろうか?
やり遂げられなかったことが、きっとあったことだろうと内藤は見当をつける。
( ^ω^)「(ならば生きる私は、後悔しない私でいたい)」
父親の仏壇の前で拝むたびに、内藤はそう思う。
210
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:00:11 ID:nroRDU460
从 ゚ー从「ホライゾン。また、線香をあげているの?」
内藤よりやや遅くに起き出した義母が、寝室の襖から白い顔を覗かせていた。
もとより母親を亡くしていた内藤は、父親に死なれていよいよ身寄りもなくなって、遠い縁類のこの若い女性に引き取られた。
義母は夜の仕事を稼業としている。源氏名をハインリッヒと言い本名は内藤にも教えてくれない。内藤は内藤で、彼女のことをただハイン姐と呼称した。
( ^ω^)「ええ」
从 ゚∀从「そう。ありがとう」
( ^ω^)「お仕事のほうは?」
从 ゚∀从「心配しないで。けれど、ホライゾンが高校にあがったら」
( ^ω^)「バイトでも何でも、しますお」
从 ゚∀从「ごめんな」
( ^ω^)「今は、家族ふたりで頑張るときですお」
从 ゚∀从「デレちゃんも、線香。ありがとう」
ζ(^ー^*ζ「えへへ」
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ。私にもマッチちょうだい」
( ^ω^)「誰だお前」
211
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:01:07 ID:nroRDU460
( ^ω^)「どちら様でしょうか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ハァ?」
( ^ω^)「(なにコイツ)」
从 ゚∀从「どうかしたのか?」
( ^ω^)「誰ですか。この女性」
从 ゚∀从「え……」
( ^ω^)「ハイン姐の後輩か。何かですか」
从;゚∀从「ええ!? 誰って、お前マジか!?」
ζ(゚ー゚;ζ「お〜いおいおい痴呆内藤マジか!?」
( ^ω^)「(なんだコイツ)」
212
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:01:49 ID:nroRDU460
仏壇を前にして疑問符の応酬が飛び交う。
華やかな風貌の少女だった。内藤よりも少し年上。だろうか。
内藤が思うに、仏壇には、家族をひとつにまとめあげるいわば宗教的聖域の役割がある。
そんな場所に赤の他人 ζ(゚ー゚*ζ がいて、しかも線香をあげたいと言う。
思いつくかぎりあってはならないことだ。
さらに不可解なことには、義母と彼女はなぜか結託していたのだった。
ここにおいては、彼女 chu☆-ζ(゚ヮ^*ζ を知らない内藤の方が異端者なのだった。
丁寧に編んだ茶いろの髪を、胸のほうに垂らした彼女は、内藤の顔を上目づかいに見て
ζ(゚ー゚*ζ「私に見憶え、ないですか?」
と急にかしこまって尋ねる。
( ^ω^)「……」
そんな見せかけの誠意にも、ころりと騙される内藤は、頭のなかの記憶を少々掘り起こしてみる気にもなる。
213
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:03:01 ID:nroRDU460
彼女のとても白い肌の色を見つめて、やはり、内藤はまずツン ξ゚⊿゚)ξ のことを思い返してしまう。
しかし目の前の彼女 ζ(゚ー゚*ζ は、青色とは程遠い、ダークブラックに縁どられた茶色の瞳をしている。
加えて柔和な微笑みは、見つめていて安心感をおぼえる。彼女は、ツンとは違って、どこか人懐っこい感じがする。
何よりもまず彼女は、目が覚めるような、おおきなおっぱいをしていた。
ツンおっぱいが京都名物の和菓子「八ツ橋」サイズだとすれば。
彼女おっぱいは東海道・山陽新幹線を走る「のぞみ」の流線型を描いている。
( *^ω^)
不肖ながら。内藤勃起なのだ。
事もあろうに彼女は紫色のチューブトップを身に着けていて、彼女おっぱいは谷間、上乳、下乳の役満なのだ。
ギンギンにいきり立った内藤の愚息。腰に燃ゆる炎を押さえんと、前かがみになったとき、内藤はひとつの『記憶』を拾い当てた。
つまりは夢日記。第四千六百五十二頁より。
どうやら内藤の愚息は、彼女の色気にバキバキのガチガチに『させられた』らしい。と内藤は感付いたのだ。
214
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:04:37 ID:nroRDU460
( ^ω^)「夢日記を引用させていただきます」
ζ(゚ー゚*ζ「……は?」
( ^ω^)「夢日記。第四千六百五十二頁。xx月xx日に、私はこんな夢を見た!」
ここで内藤は独特の素早さで、机上から鍵付きの日記帳を取って、脳内ソナーが感知した目的の頁までめくり始める。
そんな迷いが見えない内藤の機敏な動きに、並々ならぬ予感、何かが開始される気配を彼女は察する。
( ^ω^)「その日見た夢の舞台は、街の片隅にあるレジャープール施設でありました。
人工的な波をつくり出すプール、流れるプール、ウォータースライダー……。
言うなればプールと聞いて、およそ思いつくかぎりのアミューズメント施設がほぼすべて完備されたプールです」
ζ(゚ー゚;ζ「プールの夢」
( ^ω^)「そう。これが何を意味するか、お分かりかな」
ζ(゚ー゚;ζ「なんだコイツきもすぎる(分からないよそんなの教えておしえて)」
( ^ω^)「つまり」
( ^ω^)「水辺が舞台の夢は『誕生と死』。あるいは『生命の創造』を暗示しているということ」
ζ(゚ー゚;ζ
215
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:06:30 ID:nroRDU460
グラスに注いだ冷水みたいに、内藤は真剣な様子だった。
それから内藤は微笑みをいっそう深くする。まるでこの話は信用しても良いことなんだよ、と彼女に言い聞かせるために。
ζ(゚ー゚;ζ「(これは)」
( ^ω^)「これだけではピン、と来ないかも知れません。当然のことです。
海や湖も河原も、水辺であるかぎり同じことが言えますから。問題はこのプールであるという点なのですね!」
ζ(゚ー゚;ζ「(これはまさか)」
( ^ω^)「水中で泳ぐことの楽しさ。快感に加えて、裸に近い恰好で人たちを大勢見ることが出来るプールの夢は……。
単刀直入に言いまして。ストレートに。これは『性的願望のあらわれ』であります」
( ^ω^)「夢の舞台が整うと、当然、役者である私の動作もまた私の欲求を反映していると言えます。
私はひとりでプールを泳いでいた。現実世界において泳ぐとは性的な意味を含みますが、それは夢のなかでも同じこと。
夢のなかで泳ぐことは『エクスタシーを味わいたい』『性的な欲求』あるいは『目的達成の願望』を暗示します。ここでは前者を考えたい」
( ^ω^)「なぜなら私は泳いでも先に進めなかった。これは『セックスに対する失望』を意味している」
ζ(゚ー゚;ζ「(夢判断!?)」
216
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:09:56 ID:nroRDU460
そう。夢判断。精神科医フロイト先生の著書に学び、内藤は昨年の夏、つまりは小六(ショーロク)の夏に南米チリに留学して心理学および哲学に触れていた。
まず内藤は、毎朝の日課である夢日記に何らかの付加価値をつけたいものだと常々考えていたのである。
夢日記は読み返しても荒唐無稽でいい加減なことばかり書き連ねてある。ただの駄文だ。ここに何か意味を見いだせないものなのか。
内藤は、自身が夢日記を書き始めた理由のひとつとして、私は夢の神秘性に惹かれたのではないかと、五歳にして推測を立てた。
真実、古代から夢の神秘については多くの神学者によって研究され続けている。
内藤は少女趣味的にも、夜には夢の神さまがいて、夜ごと就寝する生き物に神さまは夢を見せて楽しませたり怖がらせたりするものだと考えた。
しかし内藤は、夢の生物学的な役割に気付いた。小二(ショーニ)のことだった。
( ^ω^)『トーチャン! トーチャン!』
( ФωФ)『ホライゾン! 今夜の夕食は何が食べたい?』
( ^ω^)『この稿でフロイト先生は何だか良いことを言っているように僕には思われるんだお!
いわく夢のなかでの出来事はすべて置き換え、象徴化、圧縮された人間の無意識的願望あるいは感情のあらわれらしいんだお!』
( ФωФ)『そっか〜仏跳醤が食べたいのか父さん頑張ってつくるよ』
内藤は、以来、夢から霊的要素を取りのぞいた見地に立つことが出来るようになった。
内藤ホライゾンは夢に意味をつける。それはひとりの腕利きの夢判断士を生み出すことにつながった。
217
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:12:29 ID:nroRDU460
( ^ω^)「――以上をもちまして。結論付けさせていただきますと」
回想をはさんで、垂れた講釈はショートカットする体で。内藤は以下の言葉を並べる。
( ^ω^)「あなたは私のセックスフレンドですよね」
ζ(゚、゚*ζ「違いますけど」
( ^ω^)「ですよね」
从 -∀从「まーだやーってんのかおまえらあたしゃまだねるんだよ」
拒絶。に引き続いて呆れ返った義母の声。が内藤の鼓膜を屈辱、雪辱、恥辱の色に染めあげてぶるりと震わせた。
正直のところ内藤の手にはおえなかったのかも知れない。彼女をセフレと仮定する他に最適解は浮かんでこなかった。
内藤の夢判断の能力では、まだまだこういった一面の未熟さも、うかがえるということだ。
218
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:14:50 ID:nroRDU460
( ^ω^)「誰なんですか。あなたは」
ζ(゚ー゚*ζ「んー……良いよ。教えてあげる」
彼女は右手の親指を、肉感的な感じのする唇にあてて、思案するような顔で内藤を見る。
その憂いを含んだ表情に内藤は、これまでにない興奮の高みを感じる。
ζ(゚ー゚*ζ「ゴホン。えーっと、"あたしは"」
( ^ω^)「!」
内藤は驚愕した。内藤はただでさえ細い糸目をカッと見開いた。空咳をした後の、彼女の声に内藤は聞き覚えがあった。
聞き間違えるはずもない。彼女の声は、内藤が毎夜うなされているあの悪夢の、女性の囁き声にとてもよく似ていたのだから。
そのとき。
内藤はふと、夏草の匂いを嗅いだのだ。
目の前の彼女が、内藤の腕をつかむと、そのまま紅い唇を近づけてきた。内藤は身動きがとれない。悪夢の再来を思った。
唇が触れた。鋭く舌先が入ってくる。内藤の歯茎まで彼女はいとおしそうに舐める。ふたりはDeep☆ベロチューを交わす。
涎は糸を引いた。どちらから体が離れたのか知れない。火照った顔を冷ますみたいに彼女は、内藤にこんな言葉を紡いでいる。
サキュバス
ζ(゚ー゚*ζ「あたしは『 夢 魔 』の阿部デレっていうんだ」
219
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:17:35 ID:nroRDU460
( ぅω`)「……」
( ぅω`)「……夢?」
翌朝、内藤は午前十時半を過ぎてから夢見心地で起き出した。どうあがいたって、登校するころには正午を回っている。
内藤はしかし、学校の遅刻に焦慮する素振りさえ見せなかった。夢の出来事に喪心して、内藤は布団から起き上がれないのだ。
はっと腹部の違和感に気付いて、内藤はペニスに両手を伸ばした。
( ^ω^)「この……私が夢精した? 夢精だと? ……馬鹿な!」
内藤は、通気性に富んだエアリーメッシュ仕立ての替え用オムツを穿いて寝る慣わしがあるために、さして不快感を示すことはなかった。
しかし、だからこそ、ただ驚きのみが内藤を支配した。 サキュバス
内藤はツンとの淫らな夢のほかで夢精したためしはない。あの夢魔だか、阿部デレだか知らないが、相当のヤリ手であると内藤は思う。
( ω )「くっ……」
内藤の胸中であえいでいる。それは葛藤であり、自身に対しての憤りだ。
ツンを忘れたのか。阿部デレこそラブだと思ってしまった私があのときそこにいた。夢精という実感的な感触が、内藤に嫌と言うほどその事実を告げてきた。
220
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:18:41 ID:nroRDU460
( ω )「こんな馬鹿なことがあるかッ!」
オムツを脱ぎ捨てながら内藤は絶叫する。自分の体が、自分のものではなくなってしまったような最悪な気分だ。
( ω )「私は小学四年生(ショーヨン)のときに! 初めてツンを夢に見たあの日から!
私はツンのことを愛して止まないと言うのに! 残りレス的に嫌な予感しかしないこんな夢オチまがいのことをしやがった! ――ッ!」
从#ぅ∀从「……るせえなあ」
从#゚∀从「ホライゾンお前いわすぞコラ! うるさいだまれ!!」ガララッ
( ^ω^)「ハイン姐ェ!」
从#゚∀从=⊃)゚ω)、;'.・ ゴガツバエ!!!
(#)ω^)「目のつけどころがシャープ!」
从#゚∀从「テメェ学校はどうした!! いちびってねえでさっさと出てけ! オレを寝かせろこのスカタン!」
221
:
同志名無しさん
:2013/08/31(土) 05:21:23 ID:nroRDU460
( ^ω^)「その前に服を着替えさせて下さい」
从 ゚∀从「なんでお前下半身裸なの。つーかザーメンくさッ。お前死ねよマジで」
( ^ω^)「よく言われます」
引き取った中学生の息子がムーニーパンツを脱ぎ捨てているところを目撃したハインリッヒの胸中は察するにあまりある。
朝食には無論ありつけず、線香をあげる暇もなく、制服さえまともに着れないままに内藤は家を追い出される。
内藤は団地住みで、部屋は東の五号棟の八階にあった。ハインリッヒが割と本気でそこから内藤を蹴落とそうとする。内藤は鞄を持って階段を駆け下りていく。
( ^ω^)「(夢魔の阿部デレ。いったい何者なのでしょうか……)」
このときの内藤はまだ知らない。知る由もない。
川 / -゚)「……見つけた」
祥雪中学を舞台にして。また新たな親指夢が始まろうとしていることなど。
内藤はまだ知る由もないのだ。
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