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仮投下スレ

343 ◆m8iVFhkTec:2013/11/13(水) 22:45:21 ID:bf5RQd8w0
それは悪魔の囁きだった。
そして俺は、それに応じてしまった。
『最強の生物が俺を守ってくれる』というのに期待を抱いたのもあるかもしれない。
しかし、このままでは怪物に食われるかもしれない、という恐怖が俺の背中を押したんだ。



『ウ、ウラーが裏切ったモナ……』
『すまないウラ。でも俺はどうしても死にたくないウラ……。
 生き残らせてもらいたいウラ……本当に許して欲しいウラ……!』
『……どっちにしろ同じモナ、このまま死ぬのはきっと……』
『さぁネメアさん、アイアンヘッドです』
『オマエモナー!!』

鋭い角で突き上げられ、モナーの臓器は破壊された。

『俺は……俺は……』

モナーの言葉が耳に張りついていた。
そうだ、間違えてしまった。きっと用済みな自分は、このまま殺されるんだ。
ネメアの爪によって拘束を解いたクタタンが、笑みを浮かべながらこちらに近づく。

殺される。

『ひぃぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
『落ち着いてください、私は約束を守ります!! あなたを殺す気はない!!』

俺は悲鳴を止め、クタタンの次の言葉を待った。

『我々が生き残るために、邪魔をするであろうミルコ・クロコップも排除します。
 チャンスを見て、思い切りミルコ・クロコップに攻撃をしなさい。
 彼を倒せば、あなたの行いを攻める者は誰もいない。それに、最強の味方を得ることが出来るんです』

クタタンの言葉を断る勇気は、俺の中にはなかった。
そして、その通りに実行した。今までの仲間を死に様をただ見ていた。


 ◆


耐え難い嘔吐感。
ウラーはその場で胃の中の物を吐き出した。
目の前の惨状が、仲間を裏切った罪悪感が、俺の中で蠢いていた。

「俺は、俺は、うわああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

ボロボロと涙を流す。
この殺し合いから生きて返してくれると行ったミルコが、もう動かない。
まるで兄弟のように容姿が似ていたモナーが、もう動かない。
自分がどれほど取り返しのつかない行いをしたのか、それを痛感した。

「ウラーさん、あなたの判断は正しかった。
 あなたは生きるために何かを犠牲にする決断をしたのです。
 それを恥じる必要がどこにあるのでしょうか」

クタタンはそう言って俺の背中をさすった。
先ほど、ミルコを蹴りつけていた時とは全く違う、とても優しげな口調だった。

「アンタが……アンタさえ居なければ俺はこんな……」
「選択したのはあなたでしょう。安心してください、私の頭脳とネメアの力があれば、あなた一人くらい背負うのは容易ですよ。
 生き残りたいんでしょう? 生き残るのがあなたの願いですよね?」
「あぁ……」
「なら、死んだ彼らのことは忘れてしまいなさい。自分の命だけを考えればいいのです」
「…………」
「そうそう、あなたにご褒美を与えましょう。
 私たちが生き残るのに、最高に有利になるものです。
 ちょっとPDAを使わせていただきますよ」

クタタンは自身のPDAと、ウラーのPDAを同時にいじる。
何かしらの通信を行い、そしてウラーにPDAを操作していた。
これでOKです、と言って、その画面をこちらに見せる。

「私の殺害レベルをそちらに移し、忍法帖プログラムの"専用ブラウザ"をインストール致しました。
 周辺にどのくらいの参加者がいるのかを、完璧に把握出来る画期的なアプリです。
 これで不意打ちを受けることも無くなります、死のリスクがグッと減らすことが出来るのです」
「……俺はホントに、これで良かったウラか……。
 ホントにあんたは俺を助けてくれるんだろなウラ……?」
「もちろんです。私の下に着いたからには、相応の待遇を与えますとも。
 殺し合いを終わらせるためのあなたの手伝い、期待させていただきますよ」


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