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仮投下スレ

338 ◆m8iVFhkTec:2013/11/13(水) 22:43:43 ID:bf5RQd8w0
「ここで大人しくしてるんだ、いいな」
「ええ、もちろんです。6時間後、キチンとお話致しますので……」
「どうだか……アンタの言うことは信じれるようなモンじゃない。
 そう言うなら今すぐにでも情報を提供したらどうだ?
 どうせ、もうそこから動けないことが確定しているんだ。
 さっさと殺し合いを脱出出来たほうがアンタも下手に殺されるリスクが減るぞ」
「いいえ、そういうわけには参りません。情報を話せばそのまま殺されるかもしれませんから」
「俺はアンタをお情けで生かしてやってんだぞ? それに応えようと思わないのか?」
「私は慎重なものでして。本当に私の命が保証されたと確信したらすぐにでもお話します」
「面倒くさいやつだな……」

クタタンは得体の知れない愛想笑いを浮かべる。
ミルコ・クロコップはそれを憎たらしげに睨みつけた。

ここは病院1階にあるロッカールーム。
ベンチが2台ほど並べられ、壁にずらりとロッカーが固定されている。
それ以外には何もない、窓すらもない単純な構造の部屋。
クタタンはそこに両手をロープで縛られた状態で閉じ込められた。
抉られた右腕は止血され、包帯を巻いて応急処置を施されている。

「ところでこの赤と白の球、説明書はどこにやった?」
「それがですね、付属されてなかったんですよ。不備なものですよね。
 ……あぁ、それは爆弾です。かなりの威力を持ったとなっております。
 知らずにそのボタンを押したところカウントダウンが始まったので、慌てて投げ捨てたのですが、建物が一つ壊れてしまいました」
「既に一つ使ったということは、そんなシロモノがいくつも入ってたってことか?」
「二つです。それが最後の一個となっております」
「どっちにしろ、こんなものを取っておくにはリスクが大きすぎる。後で破棄するぞ」
「フン、勿体無いですね……」
「もう一つ、この白い棒が何なのか答えろ」
「それはアーチという武器です。端を引っ張ると物体を浄化させるエネルギーが放出されます。
 私を襲ってきた老婆と男性一人には、それを使って対応したんですよ」
「そうか。もうこれ以上聞くことは無い。寝てろ」

病院に到着した時に、まずその惨状に驚愕したものだ。
表側のほうはそれほど目立った状況ではないが、駐車場側が破壊され尽くしているのだ。
黒く焼け焦げた中規模のクレーターがあり、焦げている何かの残骸が散らばり、さらにはアスファルトがひっくり返された跡も見受けられる。
ここに向かう途中、大きな爆発の音を聞いていたが、ここが発信源だったのだろう。
窓ガラスは爆風や破片によってほとんどが粉々に砕かれ、壁には銃痕が残されており、さらには低階層の壁の一部が崩落している。

ここで大規模な闘争が行われていたのには違いない。
一つ不思議なことといえば、駐車場側以外が全くと言っていいほど被害を受けていないところだろうか。
とりあえずミルコは、ウラーとモナーに病院内の探索を頼んでおいた。
構造の把握が必要なことと、そして闘争の生き残りが中にいる可能性があったからだ。
その間にミルコが、一人でクタタンの見張りを行う。

「ただいまモナ」
「一通り把握してきたウラ」
「なんかところどころで戦闘の跡が残っていたモナ……」

しばらくして、モナーとウラーが戻ってくる。
話を聞く限り、誰かが隠れている様子はなかったそうだ。


「ご苦労様。しばらくはそこの病室で休息を取ってくれ」
「了解しましたモナー」

殺し合いの開始から既に7時間が経過している。
目覚めてから現在まで、3人とも一睡もしていない。
ミルコはそれでも全く問題がない、しかし一般人である猫二人はそうはいかない。
今のところ身体的な疲労は少なくとも、後々響かないように休んでもらったほうがいいだろう。

安全を考慮して、なるべく近くの部屋に指定した。
なるべく自分の目の届く範囲に集まってもらったほうが安全だからだ。




そうして、1時間程経過しただろうか。
外から奇妙な音が響いてきた。

キュラキュラキュラキュラ……

車椅子を漕ぐような車輪の音が、徐々に大きくなってくる。

キュラキュラキュラキュラ……

ロビーの窓から外を覗き込む。
そしてその音の正体には、流石に驚きを隠せなかった。


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