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仮投下スレ

32 ◆i7XcZU0oTM:2012/10/28(日) 01:01:07 ID:oC4wYm7A0

(え? まさか、こんな状況なのに、料理をしてる人がいるの?)

 まさか、そんな訳がない。
 だって、今はいつ襲われるか分からない殺し合いの場なのに。
 匂いは今も、僕をしきりに、一軒のレストランに誘っている。
 一体、誰がこんなことを?どうしても、気になる。
 ……それに、何だかお腹が空いて仕方がない。この美味しそうな匂いのせいだろうか?

(とにかく行ってみよう。行ってみなきゃ、始まらない)

 小走りでレストランまで向かい、扉を開く。
 カラン……と扉に取り付けられていた鈴が、小さな音を立てる。
 そして、またまた僕の鼻は匂いに包まれ、少しの幸福感を僕に与えてくれる。
 ……一瞬、ここが殺し合いの場であることを忘れる程、心地いい。
 本当、これが殺し合いじゃなかったら……。
 普通に、食事して行きたいのに。

「誰かいらっしゃるんですか……?」

 少し控え目に、小声で呼びかける
 ……返事はない。

「誰か、いらっしゃるんですかー?」





「いらっしゃいませ。気付けなくてすいません。何しろ僕しかいないので。お席へどうぞ」

 今度は、僕の声が聞こえたようだ。
 厨房があるであろう場所から出て来たのは、白い服を着た、一目でシェフと分かるような人だった。
 ……本当にシェフなのかは分からないけど。

「えっ、あ、いや、そうじゃなくて」
「あら、食べに来たんじゃなかったんですか?」
「いや、そうじゃなくて……その気持ちも、無かった訳じゃないけど……って、それより。
 何で、こんな時に料理をしてるんです? 危ない人に見つかりでもしたら……」
「大丈夫です。そんな人達にも、僕の料理を振舞うつもりなので!」

 …………。
 何て言えばいいんだろう。
 今の状況を理解してないのか、それとも、理解した上で言っているのか。

「本気で言ってるんですか? それ……」
「こんな状況で、ふざける訳ないでしょう! 僕は、至って真面目ですよ」

 少なくとも、本人は至って真面目に考えているようだ。


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