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仮投下スレ

312 ◆m8iVFhkTec:2013/08/05(月) 10:54:21 ID:7kSsahpA0
「……E-3エリアに市役所があります。そこで街全体に町内放送をかけるのです。
 今から2時間後、テレビを見るように、と」
「なぁ、そのまま町内放送では交渉出来ないのか?」
「あなたは得体のしれない声だけが『殺し合うな』と言われて信用出来ますか?」
「…………」
「姿を晒すことはリスクを伴います。 しかし私の姿をテレビ越しにダイレクトに見てもらうこと……。
 それは私の一挙一動、雰囲気、それら声だけではわかりえない私の情報をお届けすることが出来るのです。
 ですから、私はそこにこだわりたい。参加者にもひろゆきにも、私の全霊を"直 接"伝えることに意味があるのですから」

言わば、それは彼の誠意の現れである。
例えば拡声器を使って殺し合いの停止を呼びかけたところで、主催者は見向きもしないだろう。
なんの考えもない短絡的な、平和主義の訴え。そんなのは愚かなことに過ぎない。
テレビを使うことは違う。それも、本来であれば町内放送の機械で済むものを、あえて映像にこだわる事は、拡声器とは大きく違うのだ。
誠意を、こだわりを、意思の強さを、訴えかけなければきっと主催者は振り向かない。参加者も振り向かない。

それが、今この場で指揮を執るいわっちの持論である。
そして彼を信じるしぃも、ポルナレフも、その考えに対して反対をしない。

「し、しかしよ…おれは足が負傷しているぜ。誰が市役所へ向かうんだ?」
「そうですね……やはりここは私が走って……」
「いわっちサン、……ソノ……ワタシが行くヨ?」

少し不安げな顔を隠しきれていないが、しぃはそう言った。
思いがけぬ発言にいわっちは驚いた。

「い、いいのでしょうか? 外を単独で行動するのはかなり危険ですよ……?」
「ワタシ、いわっちサンに助けられてばかりデ、まだ何も出来てない……。
 だから、少しでも手伝いたいノ。怖いケド、なんとか上手くやるカラ……」
「しぃさん……」

常に戦いに怯えていわっちに守られていて、いわっちを慰めるくらいしか出来なかった。
そんなしぃの手伝いたいという想い、それを無下にするのは憚られた。
いわっちはしぃに片方のトランシーバーを手渡す。

「それで私といつでも通信が出来るます。いざという時はそれで私にいつでも知らせてください。
 クマーもまだ近くにいるかもしれません。なるべく隠れながら、襲われないようにしながら向かってください。いいですか?」
「ウン」
「泣かせるじゃねぇか子猫ちゃんよ……。足さえやられてなければ一緒に行ってやれたんだが……」
「イイノ。それじゃあ、行ってクル」

しぃはそう言って朝の柔らかな日差しが溢れる、戦場へと向かっていった。
先ほどのしぃよりも不安そうな顔を浮かべながら、いわっちはそれを見送る。

「私たちも行動しましょう。まずは救急箱でポルナレフさんの怪我の応急処置を、そうした報道フロアで機材の調整、放送の準備をしましょう」
「あぁ、わかった」

エレベーターに向かおうとした彼らの耳に、第三者の声が聞こえた。

「う、う〜ん……な、なんやもう……」

潰れたエルメェスの頭の中に、やきうのお兄ちゃんの頭がそっくりそのまま残っていた。
エルメェスの頭は気がつけば造形を失い、まるで¶¶¶で構成された被り物と化していた。


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