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仮投下スレ

270 ◆shCEdpbZWw:2013/06/17(月) 22:47:34 ID:3NVYLIzY0
ゴトン、と音がして牛乳瓶が滑り落ちてきた。
しゃがみ込んで取り出し口に手を伸ばし、慣れた手つきで蓋を取る。
そして、腰に左手を当てると、右手で瓶を握りしめて中身を一気に喉へと流し込んだ。
ごく、ごく、と数回喉が鳴る。

「……ぷはぁっ! やっぱり銭湯には牛乳に限りますねぇっ!」

朝から陽気に髪の子ファヌソが呟く。
今の今まで朝風呂を満喫していた彼が、火照った体を冷やすかのように牛乳を一気飲みする。
うっすらと白くなった口角を左手で拭うと、チラリと脱衣所にかかる大時計に目を遣った。
長針が間もなく天辺へと達し、短針は文字盤の「6」を指そうとしていた。

「ふむ……そろそろ時間のようですね。
 哀れな仔羊の命など私には興味などありませんが、情報として把握しておくに越したことはないでしょう」

万全の状態であれば、自分以外全員の命を小一時間もあれば奪うことなど容易い……それだけファヌソは自分の力に自信があった。
首に巻かれた忌々しい枷と、それが原因と見られる力の不調を除けば、自分を縛るものは何もない……ファヌソはそう考えている。
高みの見物としゃれ込み、時に場をかき回ししつつも最後はひろゆきも含めて神の力を見せつける、その方針に揺らぎはない。
それでも、本来ならば一顧だにしない他の参加者の生死の情報をファヌソが得ようとしたのには訳があった。

「十五人、ですか……決して悪くないペースでしょうかね。
 そして、殺しに乗ったのはしめて八人……この八人はまだ全員生存しているようで」

ファヌソはPDAを弄りながらしみじみと呟いた。
少なくとも、この八人ならしばらくは放っておいても場をかき乱してくれるだろう、ファヌソはそう考える。
勿論、自分に火の粉がかかるようならばその時は……とファヌソは気を緩めない。

「そして……フッ、やはりまだ生きているようですね、竹安佐和記よ」

ファヌソが最もその安否を知りたかった男、数刻前に自らの力(といっても支給品の力だが)で殺し合いの舞台に無理やり引き戻した男。
その竹安佐和記の生存を確認したところで、ファヌソはニヤリ、と口元に笑みを浮かべた。

「さすがにこれだけではあの男がどう立ち回ったのかは分かりませんが……まぁ、生さえあれば何かしらのことはするでしょう。
 命あっての物種、という言葉もあることですし……フフッ」

全てを救え、そう命じた男がとりあえずはその手を血に汚していないことが定時カキコからは読み取れた。
ここまでは全てが自分の思惑通り、この殺戮の舞台でさえ自分の手のひらの中の事であることを改めてファヌソは確信する。


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