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仮投下スレ

255 ◆shCEdpbZWw:2013/05/21(火) 11:21:22 ID:eKluyms.0

「……ちょっと待って!」

二人に出会ってから、一番大きな声を張り上げて制したのはクラウドさんだった。
地に伏せる一条三位に駆け寄っていた鬼子もピタリとその足を止めて振り返った。
勿論、鬼女も同様に傍らのクラウドさんを見下ろすような格好で視線を向ける。

「待って、って一体なんのつもりよ……」
「そうですよ、早く手当をすればまだなんとかなるかも……」

鬼子が焦りの色を濃くする。
先刻、この雑居ビルに入る時にこの男は倒れていなかった。
とすれば、ここ数十分の間にこの男はここに現れてそして倒れたのだということは容易に推測できた。
つまり、今ならまだ手を尽くせば助かるかもしれない、そう鬼子は考えていた。

「よく見てよ……その人が持ってる刀」

クラウドさんが指さす先には、一条三位が杖代わりに握っていた日本刀があった。
すっかりモッピーの血は乾いており、まるで赤錆のように刀身にまとわりついている。
それを見て鬼女は思わず目を丸くし、鬼子は小さくひっ、と悲鳴を上げた。

「な、なによ……じゃあこいつも人殺しのクズってこと……?」
「分からないよ……?
 モララーって猫妖怪みたいな人と会って、交戦せざるを得なくなったけど大ダメージを追って逃げてきたのかもしれないし」
「で、ですがこのまま放っておくわけには……」

思わずオロオロとする鬼子に対し、鬼女は意を決したかのようによし、と呟く。

「それじゃあ、そいつのPDAを見させてもらいましょ。
 確か、本人の名前が出るはずよね……それでそいつの名前があの八人の中にあればクロ、ってことじゃない」
「それはそうですが……もしクロだとしたらその時はどうするんですか……?」
「決まってるじゃない、その時は……」

鬼女が口を開こうとしたその時だった。



『ひろゆき討伐PT募集Lv70以上@5まず後衛優先、とるあえず近鉄百貨店集合、詳細きぼうhさ、参加希望者はテルしてくあさい』



「「「!?」」」

突如として響き渡る男の声に、三人は思わず辺りをキョロキョロと見回す。
気絶した一条三位はそれでもなお、目を覚ます気配さえなかった。

「ちょ、ちょっと何!?」
「ぼ、ボクに聞かれても……」
「な、何か拡声器のようなものでも使っているんでしょうか?」

三人の狼狽えなど知る由もなく、声の主はさらに三度同じ言葉を発した。
合計で四度その声を聞けば、さすがに発信源はある程度特定することが出来た。
雑居ビルからほど近いところに聳え立つ近鉄百貨店……その屋上だ。

「な、何を言ってんだか半分くらいよく分からなかったけど……」

屋上の声の主の独特の言語センスに加え、やれレベルだの後衛だのという言葉を並べられては鬼女には成す術もない。
それはまた鬼子も同じ事であった。


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