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仮投下スレ

22 ◆m8iVFhkTec:2012/10/26(金) 08:18:44 ID:3CceV7DI0
寝起きでぼんやりとしたやきう兄の頭は一瞬で覚醒せざるを得なかった
そう、ぼーっとしている間に、背後から軍人か誰かに押さえられて銃を向けられているのだ
自分の命が相手に握られている…その状況は『殺し合い』の場であることを痛感するのに充分だった

「乗るつもりかと聞いている!? さっさと答えろ!!」
「ま、待て! 殺さんといてくれ! ワイは乗るつもりないで!」
「この状態なら誰でも同じことを言う、信用出来ん!」
「ホンマ、ホンマや!ワイはただのしがないニートやからホンマ!助けてくれ!」

やきう兄は必死に命乞いをする
相手に有害だと判断されればそこでジ・エンド、絶体絶命の危機なのだ
自分は無害で、ついでに無学で…といったいらないことまで言う
やがて、やきう兄の必死の思いが通じたのだろう
チャキッと音がして銃が下ろされ、拘束も解かれた

「いいだろう、信用しよう」

恐怖で激しくなった動悸を押さえながら、自分を拘束した相手の姿を見る
そこにいたのは軍人ではなく、ごく普通の初老の男性だった

「いやぁ、驚かせてすみません。でも貴方が殺し合いに乗っているか確かめたかったものでね」

先ほどの威圧感を微塵も感じさせない、人の良さそうな声
おそらくさっきのは声色を作っていたのだろう

「なんや…ひどいやっちゃなぁ…」
「ははは、こう見えても私はミリタリー系には詳しいものでね、稚拙ながら軍人の真似事をさせていただきました
 普段は軍事系漫画を書いてるんですよ。私のことは、一等自営業と呼んでください
貴方は妙な容姿ですが、話を聞く限り信用出来そうでなによりですよ」

そう言って手際よく拳銃の安全装置を付け、ズボンのポケットに納める
慣れた手つきだ。おそらく、普段からモデルガンなどで練習していたに違いない
それにしてもこの男、どうしてそんな拳銃を持っているのだろうか?

「なぁ一等自営業さん、あんたのその拳銃はモデルガンちゃうよな?どこで手にしたんや?」
「おや、貴方にも鞄が支給されてるはずですよ。ほら、そこにあるじゃないですか」

一等自営業が指差す方を見ると、確かにそこには鞄が転がっていた
よく見たら、さっき自分が枕にして寝ていたものだった
これは灯台もと暗しってやつだろうな、うん。いや、断じて自分が抜けているわけではない

やきう兄はデイバックを拾い上げるとそのままひっくり返し、中身をドサドサと全て取り出した
携帯食糧や地図、PDAなどの他に、きのこの山、たけのこの山、PSPが入っていた

「えっ…、ワイのには武器入っとらんぞ…」
「んー…? 説明書にはこのゲーム機が武器だって書かれてますね」
『PSP:私はこのPSPのおかげで、女の子を襲う三人のチンピラを撃退しました
四つの血だるまを見て思う、持っててよかったPSP』

「なんやこの説明! 人をバカにしてるやろ!」
「どうやらハズレ引いちゃったようですね
まぁ、私が拳銃持ってますし、これから協力して生きて帰りましょうよ」

気さくに慰める一等自営業だが、やきう兄は内心穏やかではなかった
(なんでこんなおっちゃんが立派な拳銃を手に入れて、ワイがおもちゃなんや…
欲しいわぁ拳銃…自分の身を自分で守れんのがこんなに不安だとはな…)
この殺し合いに呼ばれた者はみんな凶器を持っているに違いない
そんな中で、自分が丸腰なのは耐えられない
拳銃が欲しい…、こいつが持つ拳銃がどうしても欲しい…
やきう兄は羨ましそうに、一等自営業の拳銃を見ていた




「なぁ一等自営業さん、せっかくやし、ワイにその拳銃の使い方とか伝授してくれへんか?」


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