レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
陽春副管理人(=鄭徒均(チョンドギュン)) 統合スレッドpart32
-
第1 設問1(以下、設問1について、刑法は法名略。)
1 XYZが、共謀の上、Aに対して虚偽の事実を告げ、よって100万円を交付させた行為について、詐欺罪の共同正犯(246条1項)が成立する。
(1) XYZには、共同正犯の客観的構成要件充足性が認められる。
ア 共犯の処罰根拠は、正犯者を介して法益侵害を惹起した点にあり、一部実行全部責任の根拠は、各犯罪者が役割分担を通じて、犯罪達成のために重要な寄与ないし本質的な役割を果たした点にある。そこで、①共犯者間の共謀及び②共謀に基づく実行行為が認められれば、共同正犯の客観的構成要件を充足すると考える。
イ 本件では、X及びYは、Aにそれぞれ県庁及び保健所の職員を名乗って高齢のAに電話をかけ、100万円をだまし取る旨の意思連絡をしている。また、それぞれが架空の職員を演じており、重要な役割及び正犯意思も認められる。
次に、X及びZは、受け子のバイトであることを伝え、A拓で封筒を受け取り、Xに運んでもらいたいことについての意思連絡をしている。また、Zは受け子の役割を引き受けているところ、重要な役割を演じている。さらに、Zは、バイト代として1万円と安くない金銭的利益を享受する旨合意しているところ、正犯意思もある。以上にかんがみれば、XY、XZと順次共謀が認められる(①充足)。そして、後述のとおり、本件では、共謀に基づいて、実行行為が行われている(②充足)。
ウ したがって、XYZは、共同正犯の客観的構成要件を充足する。
(2) XYの上記虚偽告知行為は、Aはかかる事項が嘘だと知っていれば、100万円を用意することもなかったであろうことから、財産交付の基礎となる重要な事項を偽る行為といえ「人を偽」る行為にあたる。また、それによってAは錯誤に陥り、100万円をZに「交付」している。XYZには、詐欺罪の故意(38条1項)が認められる。
(3) よって、XYZの上記行為には、詐欺罪の共同正犯が成立する。
2 Zが、Xに対して、虚偽の事実を一方的に告げ、帰宅しようとした行為について、詐欺未遂罪(246条2項、)等は成立せず、犯罪は成立しない。
(1) Zの上記行為が向けられた客体は民法上無効な代金返還請求権であるところ、かかる利益は、刑法上保護に値しない。
ア 民法上無効な請求権については、法的手段に訴えることを要求する必要はない。そこで、民法上無効な請求権は、強盗罪の保護に対する「利益」にあたらない[1]。
イ 本件のXYのZに対する100万円の返還請求権は、詐欺を原因とするものであるため、公序良俗に反し無効である(民法90条)。
ウ したがって、かかる請求権は「利益」にあたらない。
(2) よって、Zの上記行為は、犯罪が成立しない。
3 Yが、Zに対して、顔面を殴って気絶させ、現金100万円の入った封筒を奪った行為について、強盗罪の単独正犯(236条1項)が成立する。
(1) まず、XとYとの間には、Zに対して暴行を加える旨の意思連絡が認められないため、XYの共同正犯は成立しない。
(2) 現金100万円は詐欺罪により取得した物であるものの、物自体に不法性が認められるわけではないこと及び事実的財産秩序の観点から、「財産」に該当する。
(3) よって、Yが上記行為たる相手方の反抗を抑圧する程度の有形力行使たる「暴行」によってZを気絶させ、よって100万円を奪取した行為に、強盗罪が成立する。
4 以上より、X、Y及びXは、以下のとおり罪責を負う。
(1) Xは、上記一連の行為のうち詐欺罪の共同正犯が成立し、かかる罪責を負う。
(2) Yは、上記一連の行為のうち①詐欺罪の共同正犯及び②強盗罪が成立し、①②は行為態様及び法益侵害が異なるため、併合罪(45条前段)となり、かかる罪責を負う。
(3) Zは、上記一連の行為のうち詐欺罪の共同正犯が成立し、かかる罪責を負う
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板