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ママデュラハン「アナタ!この子首が据わってるわ!」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/29(木) 10:45:22 ID:SzbjR9rw
パパデュラハン『病院だよゥッッ!』
ママデュラハン『もう産まれて一年近く経つのに一向に首が取れる気配がないんです!!』
医者『お母さん、よく聞いてください。この子は先天性頸椎癒合症です』
ママデュラハン『ああ、なんてことなの…』
医者『とはいえ、首が繋がっているだけで命に別状はありません』
パパデュラハン『デュラハンなのに首が取れないなんて…』パコッ(首を取る音)
医者『息子さんは、人間界で人間に近い暮らしをさせた方がいいかもしれませんね』
ママデュラハン『人間界で…』
……
寺山「そうして産まれたのが僕」
俺「いくらハロウィン近いからって嘘が雑すぎない?」
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:09:11 ID:bQCeixtg
エル「…いま準備してるみたい」
月舘「わー久しぶり〜!」
妹「その…カッツェさん? は一緒に来なかったんですね」
エル「彼女は寒いのもそうだけど人混みが苦手だからねぇ…先月にはもうコタツ出してくるまってたし」
妹(早くね?)
俺(早くね?)
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:10:35 ID:bQCeixtg
エル「繋がったよー」
カッツェ『こんばんは』
月舘「カッツェ〜久しぶり!!」
妹「猫さんのコスプレしてる!!」
寺山「ケットシーかな?」
俺「家に引き篭もっててもコスプレはするのか…それにしてもすっごい美人」
妹「月舘さんちの血筋はイケメンばっかですね! 羨ましい! お菓子もイタズラ要求もしちゃうぞ!!」
カッツェ『新しいお友達かしら? フフ、そっちも元気そうね…』
61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:11:20 ID:bQCeixtg
月舘「カッツェこそ一年に一回なんだからたまには会いに来てよ〜」
カッツェ『嫌よ寒いもの…エルと違って私は家にいるのが好きなの』
妹「え〜、せっかく可愛い仮装してるのにもったいなーい!」
寺山「…ん?」
俺「どうかしたのかデュラ山田氏」
寺山「エルさんとカッツェさんのアレ…ひょっとしたらあれ、コスプレじゃないかも」
俺「マジで? まあ吸血鬼の親戚っつったら驚きはないけど」
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:12:30 ID:bQCeixtg
…
妹「あー今日は色んなコスプレも見れたしお菓子も貰えたし楽しかった〜!!」
俺「まるでお盆祭りみたいな雰囲気だったな」
月舘「意外と合ってる表現よそれ。ハロウィンって言うのは、もともとはケルト民族に伝わる死者の霊が現世に帰ってくる日のことだから」
俺「なるほど、西洋のお盆ってわけね」
月舘「そんなとこかな?」
寺山「そういえば、もう亡くなってる人もちらほらいたね〜」
俺「急に怖いこと言うな」
妹「寺山さんそういうの視える人なんですか!?」
寺山「はは、冗談だよ冗談〜。ハロウィンジョーク!」
妹「寺山さんトリック上手!」
俺「お前が言うとガチにしか聞こえないわ…」
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:13:35 ID:bQCeixtg
月舘「じゃあエル、向こうの皆にもよろしくね」
エル「うん、分かった。そっちも身体には気をつけるんだよ。あまり無茶はしないようにね」
妹「エルさんお菓子ありがとうございます!!お手!!」
エル「ワン!」ポフ
俺「こらやめなさい」
月舘「フフ、エルも妹さんと遊ぶのが楽しかったみたい」
俺「ならいいけど…」
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:14:10 ID:bQCeixtg
月舘「…実はエルとカッツェはね、むかし私のおばあちゃんの家で飼っていた犬と猫なの」
俺「あっそういう…」
寺山「やっぱりね〜」
月舘「私が子供の頃に2人とも死んじゃったんだけど…さっきも言ったように、ハロウィンの日はこっち(現世)に戻ってこれるのよ」
俺「なるほど…」
月舘「一年に一回しか会えないからね。色々話たかったんだけど、今年は妹さんにエルを取られちゃったわね」
俺「なんかすみません…」
月舘「フフ、いいのよ。エルも楽しそうにしてたし」
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:17:34 ID:bQCeixtg
寺山「他の人も皆帰り始めたね」
俺「まるで盆と正月がいっぺんに来たような騒ぎだったな…」
月舘「それじゃあ、私たちもそろそろ家に帰りましょうか」
寺山「そうだね〜」
俺「ほら、帰るぞー」
妹「今日はめちゃくちゃ楽しかったー!! また来年も来ようねお兄ちゃん!」
俺「ああ、そうだな」
66
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/06(金) 09:18:07 ID:bQCeixtg
つづく
67
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:15:03 ID:iRUay4xc
第四話 よぶこえ
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:16:17 ID:iRUay4xc
『お母さん! お母さん!! 起きてよぉ!! 目を開けてよ!!!』
『…』
『お母さあ゛ぁ゛あ゛ん!』
俺「!!っ…またこの夢か」
俺「母さん…」
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:17:00 ID:iRUay4xc
…
寺山「おはよーう」
俺「ああ、おはよ…」
寺山「なんか顔色悪いよ。寝不足?」
俺「ま、そんなとこ…」
寺山「無理せず保健室で休んでたら?」
俺「大丈夫、そこまでじゃない…授業中の居眠りでリカバリーする」
寺山「それはそれで失うものが多いでしょ」
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:17:39 ID:iRUay4xc
授業中
先生「というわけで、この公式を使って…」
俺「…」
俺「…母さん!!」ガタッ
クラス一同「!?」
俺「あっ」
先生「お前寝てたな? 授業中居眠りはダメだしあと先生はお前のお母さんじゃないぞ?」
クラス一同「プークスクス」
俺「す、すみません!!」
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:18:36 ID:iRUay4xc
…
寺山「悪夢?」
俺「あー…ここんとこずっとね…」
寺山「ひょっとして、それで寝不足が続いてるの?」
俺「かもな…ていうかさっきの寝言でクラス中にマザコン疑惑たったの悲しい」
寺山「そういえば俺くんのお母さんって会ったことないなー」
俺「もういないよ。俺が中学の頃事故で死んだから」
寺山「あっ…ゴメン…」
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:19:37 ID:iRUay4xc
俺「別にいいさ。…で、今は親父とあの馬鹿(妹)の3人暮らし。といっても親父も出張続きでなかなか家に帰ってこないけど。かえって気が楽だよ」
寺山「ひょっとして悪夢って…お母さんが事故で亡くなった時のこと?」
俺「ああ…」
寺山「そっか…そういうことなら月舘さんに相談してみたらどうだろう」
俺「月舘さんに?」
寺山「まあ原因はともかくとして、もしかすると彼女ならなんとか出来るかもしれないよ」
俺「確かに悪霊退治する不思議な力はあったもんな…でも、いきなりこんな話して引かれないかな?」
寺山「大丈夫だよ〜」
73
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:20:22 ID:iRUay4xc
月舘「…なるほど。ここのところずっとその夢が続いているとなると、それは夢魔か何かの仕業かもしれないわね」
俺「夢魔?」
月舘「サキュバスとかナイトメアって聞いたことない?」
俺「あるけど…」
月舘「そういう悪魔はよく人に悪夢を見せてくることがあるから」
俺「やっぱりそういうやつらも実在するんだ…」
月舘「残念ながらね」
74
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:21:01 ID:iRUay4xc
寺山「月舘さん、なんとかならないかな?」
月舘「まかせて!こうみえてその道のプロフェッショナルだから」
俺「頼りになるなあ」
月舘「その為には寝てる人の近くにいるとやりやすいんだけど…俺くんの家って、泊まりに行けたりする?」
俺「ええっ!?」
寺山「逆お泊まりデートのお誘いだね〜」
月舘「茶化さないの。真面目な話なんだから」
75
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:22:54 ID:iRUay4xc
俺「まあ、家には普段俺と妹の2人だけだし…アイツが良いって言うんなら」
寺山「妹さんの部屋で月舘さんが寝る分にはいいんじゃない?」
月舘「ちなみに、妹さんも同じような夢を見てたりするのかしら?」
俺「さあ、どうだろう…アイツそういうの隠すから」
月舘「良かったら私からそれとなく聞いてみるけど」
俺「うん…とりあえず今日帰ったら妹に聞いてみるよ」
月舘「お願いね」
76
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:23:49 ID:iRUay4xc
…
妹「えっ、パジャマパーティ!?」
俺「おう。月舘さんがハロウィンの時の流れでお前と色々話したいんだってさ」
妹「マジで!?うわーどうしよう、新しくパジャマ買わなきゃ!!」
俺「別にいつものスエットでいいじゃん」
妹「女の子同士なんだから可愛い服着たいの!!」
俺「お前の寝相みたら可愛いもクソもないって」
妹「うるさい!とにかく準備しなくちゃ!!」
77
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:24:47 ID:iRUay4xc
…
俺「というわけで、割とアイツも乗り気なようです」
月舘「良かった!じゃあ今夜お伺いするわね」
寺山「僕はお菓子持っていくね〜」
俺「なんか普通にお泊まり会みたいになってきたなあ」
月舘「いいじゃない。それで俺くんの悪夢の原因も分かるかもしれないし」
俺「まあ、そうだね」
78
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:25:33 ID:iRUay4xc
…
<ピンポーン
妹「あっ!月舘さん達きたよお兄ちゃん!!」
俺「いらっしゃーい。上がって上がって」
寺山「お邪魔しまーす」
妹「月舘さんいらっしゃい!!」ギューッ
月舘「ふふ、こんばんわ」
俺「こらこら、急に抱きつくんじゃない。人との距離感バグってるぞ」
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:26:11 ID:iRUay4xc
妹「ええー、いいじゃーん。私にとってはお姉ちゃんが出来たみたいで嬉しいの!!」
月舘「あらあら。こんな可愛い妹なら持ち帰っちゃおうかしら」ナデナデ
妹「あぁ^〜」タマラネェゼ
寺山「微笑ましいねえ」
俺「…まあ実際普段は俺と2人きりだから寂しい思いしてたのかもな」
80
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:26:43 ID:iRUay4xc
…
寺山「ふぁ〜あ…ボチボチ眠くなってきたよ…」
俺「お楽しみはこれからだぞ…」
寺山「ていうかさっきから僕らでウイイレばっかやりすぎだよ。月舘さんと妹さん、部屋行っちゃったじゃないか」
俺「今夜は朝まで寝かせねえぞ〜!」
寺山「当初の目的忘れてない?寝なきゃダメでしょ」
81
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:27:50 ID:iRUay4xc
…
月舘「ところで妹ちゃん、最近怖い夢とかみてない?」
妹「えっ!? どうしてです?」
月舘「ううん、聞いてみただけ」
妹「そうだなあ、夢じゃないんですけど…最近寝付く直前に頭の中で大きな音とか光…?がなって目が覚めることがありますねえ」
月舘「なるほど、それは典型的なEHSの症状ね」
妹「いーえいちえす?」
月舘「頭内爆発音症候群っていって、ストレスが溜まってる時とかによく起こりがちな現象のひとつね」
妹「月舘さん物知り!!」
月舘「ずっとそれが続いてて寝付けないなんてことは?」
82
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:28:34 ID:iRUay4xc
妹「うーん、寝付けないということはないけど、それが起きた瞬間はすごく不安になります…」
月舘「ストレスが原因で誰にでも起きうる症状だからね…普段は寝る前にリラックスして、抱き枕とか安心できるような寝具を置いておくと良いわね」
妹「抱き枕かぁ…」
月舘「私も使ってるけど、結構良いわよ。冬は暖かいし」
妹「月舘さんが使ってるのってなんか女の子っぽくてかわいい! オススメとかあったら教えてください!!」
月舘「ふふ、いいわよ」
83
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:29:11 ID:iRUay4xc
<キャッキャッ
寺山「向こうはガールズトークに花を咲かせてるねえ」
妹「アイツ、月舘さんに迷惑かけてなきゃいいけど…」
寺山「妹さんなら大丈夫だよ〜。ほら、僕たちも歯を磨いてボチボチ寝ようよ」
俺「まって、あと3試合…」
寺山「夜更かししすぎるとまた寝不足になっちゃうよ?」
84
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:30:10 ID:iRUay4xc
…
月舘「…良かったの?私がベッド使っちゃって」
妹「もちろん!!」
月舘「かわいいベッドね。妹ってこんな感じなのかしら」
妹「私もお姉ちゃんがいたらこんな感じなのかなーって思ってました!!」
月舘「妹ちゃんには俺くんっていういいお兄さんがいるじゃない」
妹「でもお兄ちゃんもやっぱり男だし…言えないこととかもあるから」
月舘「…ほら、妹ちゃんおいで。良かったら一緒に寝ようよ」
妹「…うん」
85
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:31:13 ID:iRUay4xc
…
妹「Zzz…」スピー
月舘(ふふ、妹ちゃんはちゃんと眠れてるみたい…)ナデナデ
月舘(今のところ問題はなさそうね…後は俺くんのことだけど…)
<コンコンコン
寺山「月舘さん!俺くんの様子が…」
月舘「…今いくわ」
86
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:31:51 ID:iRUay4xc
俺「うぅ…うーん…」
寺山「寝ついたと思ったら急にうなされ始めて…」
月舘「おかしいわね…部屋には悪霊の雰囲気は感じないけど」
寺山「じゃあ悪霊の仕業じゃないってこと?」
月舘「ひょっとしたら、俺くんの『中』に何かあるのかも…」
寺山「そ、それじゃあ手出しはできないんじゃ…」
月舘「安心して。とっておきの方法があるから」
87
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:32:29 ID:iRUay4xc
『○○くん、電話が入っておりますので職員室へ来てください』
『お母さんが…車に巻き込まれて…』
『お母さん!お母さん!!』
俺(母さん…どうして…)
『おいで…こっちにおいで…』
俺(母さん…)
俺が母さんの呼ぶ声誘われ歩を進めたその時、かすかに歌の様なものが聴こえてきた。
88
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:33:27 ID:iRUay4xc
俺(この歌は…?)
『まだ来ちゃダメ』
俺(母さん…でも…俺は…)
『おいで…おいで…』
『お兄ちゃん!』
『俺くん!行っちゃダメだよ!!』
俺「…みんな!!」
汗にまみれて起き上がった俺の目には涙が溜まっていた。ぼやけた視界の先には心配そうに見つめる寺山君と、険しい表情の月舘さんがいた。
89
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:34:21 ID:iRUay4xc
俺「寺山…月舘さん…」
寺山「大丈夫? かなりうなされてたよ?」
俺「俺、またあの夢を…なんだ? 今度は身体の震えが止まらない…」ガクガク
特段寒いわけではないのに身体の震えが止まらない。
俺「う、ぐううう…」ブルブル
月舘「ーー終わりよ。さあ、彼の身体から出てきなさい」
月舘さんがそう呟いた途端、俺の身体から黒い霧の様なものが吐き出された。
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:35:14 ID:iRUay4xc
『…おのれぇええ!!』
寺山「つ、月舘さんこれって!?」
月舘「これが俺くんの悪夢の正体、ナイトメアよ」
『代わりに貴様らの身体に取り憑いてやる!!』
寺山「う、うわああっ!!!」
俺「寺山!!」
月舘「彼なら大丈夫よ。安心して」
寺山「あわわわわ…いま僕の身体になにか憑いたよ!!」
91
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:35:44 ID:iRUay4xc
月舘「寺山くん、ちょっとゴメン」パカッ
寺山の首「首が!!」
俺「夜やると怖ぇ!!」
寺山の胴『く、クソッ…!人間ではなかったのか!!』
月舘「やれやれ。そんなことすら見抜けないようじゃ話にならないわね」
そう言って月舘さんは呪符のようなものを手にかざした。
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:36:38 ID:iRUay4xc
寺山の胴『グワアアアァァァ…』
月舘「悪しき霊よ、去りなさい…今回は相手が悪かったわね」
俺「月舘さんかっけぇ…!」
寺山の首「本当、ヴァンパイアってすごいね!!」
月舘「俺くんを出て取り憑いた先が寺山君だったのでやり易かったわ。胴体さえ抑えればこちらのものだったもの。これで俺くんが悪夢を見ることも無くなると思うわ…」
俺「…ありがとう月舘さん」
93
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:37:11 ID:iRUay4xc
月舘「いいのよ。…ただ悪夢っていうのは、必ずしも夢魔のせいだけで起きるわけではないから。日常のストレスや、過去のトラウマなんかで起きることだっていっぱいある」
俺「…」
月舘「妹さんから色々聞いたわ。俺くんも余り溜め込みすぎないで。何かあったら私たちに相談してね」
俺「うん…」
寺山の首「そうだよ。友達じゃないか」
俺「2人とも…ありがとう」
寺山の胴「…」グルグルモゾモゾ
俺「…なんかデュラ山の胴体が初心者の操作するGTAみたいになってる」
寺山の首「早く胴体つけてよぉ…」
94
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:38:01 ID:iRUay4xc
数日後。
寺山「おはよー」
俺「おう、おはよ」
寺山「その後どう?もう悪夢は見なくなった?」
俺「ああ! すこぶる快調な日々を送ってるぜ!!」
寺山「よかった〜!!」
俺「昨日なんか18時間寝た!!」
寺山「それは寝過ぎだよ」
95
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:38:48 ID:iRUay4xc
俺「…実はナイトメアがみせてきた悪夢の中で、俺はずっと母さんに呼ばれてたんだ」
寺山「それ、誘われるがまま行っちゃってたら危なかったんじゃ…」
俺「かもな…お前らが来てくれたあの夜、不思議な歌が聴こえてきて、その声が止んだんだ…その時母さんは、俺に『来るな』って言ってた気がする」
寺山「きっとそれが本当のお母さんの声だったんだよ」
俺「どうだろう…ただその時、同時にお前や妹が俺のことを引き止めてくれていたような…」
96
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:39:26 ID:iRUay4xc
寺山「そうだったんだ…そういえばあの時ちょっと泣いてたね?」
俺「泣いてないって。ただのあくびだよあくび」
寺山「ふふ…まあとにかく、無事でよかったよ!!」
俺「うん。お前も色々と相談に乗ってくれてありがとうな」
寺山「トモダチナラアタリマエ〜」
俺「何だっけそれ。なんか昔のCM?」 ※わからない人はオッサンに聞いてみよう
97
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:40:17 ID:iRUay4xc
月舘「2人ともおはよう」
寺山「あ、月舘さんおはよう!」
月舘「俺くんどう? その後の調子は」
俺「うん、大分落ち着いてるよ」
月舘「良かった〜!」
俺「ただ何か…妹が俺のポイント勝手に使って抱き枕買ってたけど…」
月舘「あ、それ私のせいかも…」
俺「せめて自分の金で買えよ!PS5買う時に使おうと思ってたのに!」
寺山「あはは。まあ予約殺到で全然買えないからね〜」
98
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:40:50 ID:iRUay4xc
俺「…ところで月舘さん、あの晩妹に色々聞いたって言ってたけど、どんな話してたの?」
月舘「ふふ、秘密よ」
俺「アイツ余計なこと喋ってないだろうなあ…」
月舘「大丈夫よ。むしろ妹さんは俺くんのこと心配してたわよ」
俺「アイツが? 俺のことを?」
月舘「ちゃんといいお兄さんしてるみたいじゃない。話を聞いてて、ちょっと羨ましかったな…」
俺「マジかよ…なんか恥ずかしいな。アイツがそんなこと思ってたなんて…雨でも降らなきゃいいが」
99
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:41:40 ID:iRUay4xc
月舘「兄妹だもの。私も弟がいるからよく分かるわ。面と向かって言えないこと、いっぱいあるもの」
俺「…」
寺山「なんかいいなあ。僕は一人っ子だからそういうのちょっと憧れるよ」
月舘「お母さんも安心してたみたいよ」
俺「母さんが!?」
月舘「ええ。ナイトメアに魘される俺くんを見てかなり心配してたみたい」
俺「そっか…月舘さんはひょっとして、そういう死んだ人とも話ができるの? ハロウィンの時みたいに」
100
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:42:13 ID:iRUay4xc
月舘「まあ降霊術専門って訳じゃないけどね。思念自体は、伝わってくるかな?」
俺「そっか…」
寺山「…やっぱりお母さんに会いたい?」
俺「…うん、話したかったことはたくさんあるけど…でもまだ死に急ぐつもりはない」
寺山「なんなら月舘さんにお願いしてみたら?」
俺「いいよ…それじゃ俺が同級生にバブみを感じてる変態みたいじゃん」
月舘「心配しなくても、お母さんはずっと貴方達兄妹のことを見守ってくれてるわ」
俺「…それはそれでプライバシーなさげな感じでちょっと嫌だなぁ」
101
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/11(水) 12:42:50 ID:iRUay4xc
つづく
102
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/16(月) 15:17:01 ID:cwa7EpUg
乙!
月舘さんつえぇ
103
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/17(火) 03:51:53 ID:4Z/ay37.
オチ担当寺山くん好き
104
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:01:04 ID:5aiLZlPo
第5話 豊穣の神
105
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:02:08 ID:5aiLZlPo
<ピンポーン
俺「はーい」
女「あのぉ…」
俺(あれ、確かこの人、お隣に住んでる留学生のお姉さんだな…)
女「じゃがいも作りすぎちゃったんですけど…良かったら食べますぅ?」
俺「あ、わざわざどうもー…ってじゃがいも!?肉じゃがとかじゃなくて素材そのものですか!?」
106
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:02:56 ID:5aiLZlPo
女「大学の実習で作りすぎちゃってぇ…」
俺「な、なるほど…」
女「あ、初めまして私アナと言います」
俺「アナさんですか。留学生…ですよね?」
アナ「ハイ。近くの農業大学に通ってますぅ」
俺「どうも…隣に住んでるのに挨拶が遅れてすみません」ペコ
アナ「あっ、いえいえこちらこそぉ」ペコリ
俺(おっとりしてるけど礼儀正しそうな人だな…)
107
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:03:45 ID:5aiLZlPo
アナ「じゃあちょっと台車持ってきますねぇ」
俺「へ?そんなにあるんですか?」
積み上げられたジャガイモの箱<ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
俺「多すぎィ!!これもう農協とかに出荷する量じゃないですか!!!」
アナ「良かったら皆で食べてくださいねぇ」
俺「お裾分けのノリで一般家庭が一年で消費する量を上回るレベルのジャガイモをもらってしまった…」
108
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:04:31 ID:5aiLZlPo
…
俺「ということで、寺山家にもお裾分けー」
寺山「わぁありがとう!立派なじゃがいもだねぇ」
俺「量がね…」
寺山「うちはお父さんがジャガイモ好きだから喜ぶよ」
俺「まだ3箱くらいあるんだよ…俺と妹じゃカレーとポテトサラダ作ってもまだ余りそう…」
寺山「じゃあ月舘さんちにもお裾分けしにいく?」
俺「そうだね」
109
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:05:54 ID:5aiLZlPo
<ピンポーン
月舘「…ぁい」
俺「あ、月舘さんこんにちは…って、体調悪い?」
月舘「ちょっと貧血気味で…」
寺山「あらら…」
俺「ヴァンパイアにとってそれって死活問題なのでは?」
月舘「大丈夫よ…ところで今日はどうしたの?」
俺「いやーそれがお隣さんから大量のジャガイモ貰っちゃって…良かったら月舘さんにもお裾分けしようかと」
月舘「あら、ありがとう…じゃあそこに置いておいてくれるかしら…」
110
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:06:38 ID:5aiLZlPo
寺山「よっこいしょ…置いといたよー」
俺「本当に具合悪そうだね…大丈夫?」
月舘「うん…レバー食べるか、最悪ちょっと血を入れれば治るから…」
俺「怖」
寺山「じゃあ月舘さん、お大事にね」
月舘「ええ…ありがとう2人とも…」
俺「じゃあねー」
111
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:09:13 ID:5aiLZlPo
寺山「…ところでお隣さん、留学生なんだって?」
俺「うん。金髪碧眼の美人なお姉さんで、農大に通ってるらしい」
寺山「いいなぁ〜。ひょっとして新たな出会いが始まっちゃうんじゃない?」
俺「大学生なら彼氏くらいいるだろー」
寺山「分かんないよ〜?異国の地でひとり寂しく夜を過ごしてるかも!」
俺「そんな青年誌みたいな展開だったとしても、外人のお姉さまは俺にはハードルが高すぎる…そもそも家の前とかエントランスとかでも会ったことなかったし、あんまり家にはいないんじゃないのかな?」
寺山「そうなんだ…大学生は大変だね〜」
俺「俺らもじきに大学生だけどな〜」
112
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:10:36 ID:5aiLZlPo
俺「ただいまー」
妹「おかえりー」モグモグ
俺「何食ってんの?」
妹「粉吹き芋」
俺「え、もう夕飯?」
妹「おやつ」
俺「おやつにしては重いな!」
113
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:11:15 ID:FZ6bYu/U
妹「だってお隣さんかもらったジャガイモ減らないんだもん!お兄ちゃんも食べてよ!!」モグモグ
俺「来る日も来る日も芋ばかりだぁ…」モグモグ
妹「ちなみに夕飯はポテトサラダと肉じゃがです」モグモグ
俺「芋に次ぐ芋の猛攻で心折れそう…」モグモグ
妹「やべ」ブッ
俺「妹氏サイテ〜」バブッ
妹「お兄さんも漏れてまんがな」
俺「流石に芋ばっかでだんだん腹が張ってきたな…」ゲップ
114
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:11:58 ID:FZ6bYu/U
翌日
寺山「おはよー」
俺「おはよう。芋減った?」
寺山「減ってるよー」
俺「マジかー。うち俺と妹だけだから全然減らなくて…毎日屁ばっかこいてるよ」
寺山「うちはお父さんがいま醸してるよ!」
俺「は?醸すってどういうこと?」
寺山「芋焼酎にするんだって」
俺「…それって酒税法違反なのでは?」
寺山「大丈夫だよ〜体内で醸すから!絶対バレないよ!」
俺「なんともデュラハンの特性を生かした密造酒だなあ…というかそこまでする?大丈夫なのかそれで…」
115
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:12:57 ID:FZ6bYu/U
寺山「あ、そうそう…話は変わるけど、今朝駅前でほうれん草の種配ってたよ〜」
俺「中国の種配りおじさん?」
寺山「近くの農大で学園祭があるんだって〜」
俺「へえ」
寺山「行ってみようよ!」
俺「いいよ」
寺山「キャンパス内で取れた野菜とかも格安で売ってるらしいよ!」
俺「芋消費しきるまではいいかな…」
116
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:16:03 ID:FZ6bYu/U
数日後
俺「へえー、大学の学園祭って初めてきたけど生徒が露店とか開いてるんだあ」
寺山「さすが農大、自家製の野菜とかチーズも売ってるよ〜」
俺「もつ煮も売ってる…解体したのかな…」
アナ「らっしゃいらっしゃい!」
俺「あっ」
寺山「どうしたの?」
俺「あの人だよ、芋くれたお隣さん」
117
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:16:06 ID:5aiLZlPo
数日後
俺「へえー、大学の学園祭って初めてきたけど生徒が露店とか開いてるんだあ」
寺山「さすが農大、自家製の野菜とかチーズも売ってるよ〜」
俺「もつ煮も売ってる…解体したのかな…」
アナ「ラッシャイラッシャイ!」
俺「あっ」
寺山「どうしたの?」
俺「あの人だよ、芋くれたお隣さん」
118
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:17:40 ID:FZ6bYu/U
寺山「へぇ〜、綺麗な人だね!」
俺「やっぱこの大学通ってたのかぁ」
アナ「あっ、お隣くん!らっしゃいらっしゃいみてってみてって!」
俺「こんにちは〜」
寺山「何売ってるんですか〜?」
アナ「じゃがバターダヨ〜!」
俺(また芋か…)
寺山(また芋か…)
119
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:18:55 ID:FZ6bYu/U
アナ「ただのじゃがバターじゃないからね!食べてみて食べてみて〜!」ドウゾ
俺「あっ、どうも…って何だこれめちゃくちゃ甘い」モグモグ
寺山「さつま芋みたい!」フカフカ
俺「栗ですらある」ホクホク
アナ「私が作った品種ダヨ〜!」
寺山「へぇ〜作った…えっ品種から!?!?」
俺「お芋ブレンダーじゃん…」
アナ「良かったら向こうで箱売りしてるから買ってネ!」
俺「あ、いや美味しかったけど芋はもうしばらく大丈夫です…」
120
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:20:24 ID:FZ6bYu/U
…
寺山「本当だ…大学のパンフレット見たらあのお姉さんが既存のジャガイモ掛け合わせる研究で出来た品種って書いてある」
俺「やっぱガチの農大生はすごいな…」
寺山「しかも彼女の他の研究で収穫量が数倍に上がる農法も研究が進んでるみたいだよ」
俺「すっげ」
寺山「やっぱ留学してきてるだけあって天才なんだねえ」
俺「ここまで来るともはや豊穣の神だなあ」
寺山「あはは、確かに」
アナ「へっくしょーい!!」
121
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/11/21(土) 21:21:46 ID:FZ6bYu/U
つづく
122
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/22(金) 15:48:35 ID:PnVkdUz.
いつも面白い
待ってるやで
123
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/02/17(水) 11:19:45 ID:By1zPAdU
つづいて
124
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/06/16(水) 23:56:33 ID:G8Wo9Nao
深夜がこのまま終わってしまったら、このスレが
>>1
の最後の作品になるのかのう…
別の所でも良いからまた書いてほC
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