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律「あたし、部長だし!」
81
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:40:11 ID:gWk2Qrgs
夢
澪「おい、何が断罪だよ」
唯「りっちゃんって、本っ当に自分のことしか考えられないよね〜」
紬「自分が気持ち良くなるためだけに、手首を切ってるんでしょう?」
梓「あーあ。そんなんじゃドラムもできなくなるのに」
澪「お前は本当に駄目な奴だよ」
梓「能無しにも程がありますね」
律「あ………」ビクビク…
唯「も〜、やめてあげなよ二人とも。いくらりっちゃんだって、それぐらいは自覚してると思うよ?」
澪「そうだよな。じゃあこれからは、身の程を弁えて雑用係になってくれないか?」
82
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:44:50 ID:gWk2Qrgs
紬「いいわね、雑用係!私、人に雑用を押し付けるのが夢だったの〜♪」
梓「確かに律先輩は部長らしいこと今まで何もしてこなかったので、私も賛成です」
唯「よ〜し!それじゃあ早速雑用係の任命式を始めま〜す!」
澪・紬・梓「…」パチパチパチ…
律「やだっ…や……めてく」プルプル……
唯「まずは私だよっ!えーいっ!!」
ベシッ!!
律(!?)
ガッシャーン!!!
唯「あ〜あ。それ、ムギちゃんのお皿なんだよ?」
紬「りっちゃんなんかがいくらで弁償できるの?」
澪「そうだぞ、律。いい加減にしろよ。次は私な」
ガッ!!!
83
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:46:34 ID:gWk2Qrgs
ガバッ!
律「あ………っ!!」
律「……何だ、夢か」
律(さっさと起きてご飯食べよ)
律(…ん?まだ5時?)
律(早く起きちゃったんだ………)
律(今までこんなこと、なかったはず…なのに)
84
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:50:59 ID:gWk2Qrgs
澪「よ、律」
律「…」スタスタ
澪「律…?」
律「…」スタスタ…
澪「…」スタスタ…
教室
ガララッ…
律「…」スタスタ…
「律、おはよー!」
律「っはよー!」
律「…」スタスタ…
唯「りっちゃん隊員、おはようございます!…にしても、今日は一段とお早い時間に……」
律「…」ガタッ
唯「ど……うしたの、りっちゃん………」
85
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:52:44 ID:gWk2Qrgs
唯「あ、澪ちゃんおはよ〜!」
澪「ああ、唯か。おはよう」
唯「もうっ!他に誰がいるというのさ!」プンプンッ
澪「ムギ?」
唯「あ…それもそうでしたん…」エヘヘ…
唯「澪ちゃん、実は昨日は仮病でした。心配をおかけしたこと、申し訳ございませんっ!!」ペコッ
澪(デジャヴ…)
澪「私もたまに仮病使いたくなるし、気にしなくていいよ。それより、律と仲直りできたみたいで良かったな」
タタッ
唯「澪ちゃん澪ちゃん」ボソッ
86
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 13:57:19 ID:gWk2Qrgs
澪「何?」ボソッ
唯「そのことで話があるんだけど、支度終わったらすぐ、空き教室に来てくれない?」ボソボソ…
澪「あ、ああ…わかった」ボソッ
澪(もしかして唯も…)
紬「皆、おはよ〜」
唯「ムギちゃんおはよ〜っ!」
澪「おはよ、ムギ」
紬「そうそう、唯ちゃん、体調は良くなった?」
唯「あのぉ…そのことなんだけど…」
唯「実は仮病でした!心配をおかけしたこと、誠に申し訳ございませんっ!!」ペコッ
澪(ムギが本物のお嬢様だからか、私に対してよりも丁寧な敬語使ってる…)
87
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:07:10 ID:gWk2Qrgs
紬「…そうだったの。別に1日ぐらいなら謝らなくても大丈夫よ」
紬「3日以上なら怒るけどね」
澪「仏の顔も三度まで、ってことだな」
唯(ムギちゃん、笑顔なんだけど、底知れぬ圧力を感じる…)
唯「わわわわかった…3日以上はやらないようにするよ…」
唯「…澪ちゃんもムギちゃんも……本当にありがどお…」ウルウル
澪「これこれ、泣くな泣くな…」ポンポン
88
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:09:52 ID:gWk2Qrgs
紬「んふふ…♪そういえば今日は、唯ちゃんに澪ちゃんって組み合わせね。意外とありそうで少ない…斬新…♪」
唯「そうかな?」キョトン
澪「た、多分ムギの世界観での話だ…。気にするな」
唯「あはは…ムギちゃんったら…」
紬「……あら、私ったら…。また自分の世界に入ってたみたいでごめんなさい…」
澪「だ、大丈夫…」
澪(あと、もう慣れたし…)
唯「うんうん!」
紬「それなら良かった…」
唯「えへ…」
紬「あら?りっちゃんが……」スタスタ…
唯・澪(あ…!)
唯(ムギちゃんがりっちゃんに…)アワワ…
89
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:11:08 ID:gWk2Qrgs
紬「おはよ〜、りっちゃん」
律「…」
紬(聞こえなかったのよね…?)
紬「りっちゃん!お、おはよう…!」
律「…」
紬(…ぼーっとしてるだけ、よね??)
紬「りっちゃ〜ん…」オテテフリフリ
律「…」
紬(ええ…?私、りっちゃんに無視されちゃったの…?)ガーン…
紬(何か気に障るようなこと言っちゃったかしら…)
紬(…あれ?澪ちゃんと唯ちゃんは…?)キョロキョロ…
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:17:40 ID:gWk2Qrgs
空き教室
唯「実は朝、りっちゃんに挨拶したんだけど無視されちゃって…」
澪「こんなときに使いたくないが…奇遇だな。私もだ」
唯「澪ちゃんもか〜。じゃあムギちゃんも今、無視されちゃってるのかな…」
澪「そうかもな…」
唯「ムギちゃんに何も言わずに来ちゃったけど、いいのかな…?」
澪(私も断りを入れるの忘れてた…)
91
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:18:19 ID:gWk2Qrgs
澪「ま、まぁ、ムギなら大丈夫だろう…、多分…」
唯「ムギちゃんなら何とかしてくれそうだよね…、多分…」
唯「……りっちゃん、もしかして本当は、昨日のこと怒ってるのかな…?」
澪「いや、律に限ってそんなことは…」
唯「そ、そうだよ、ね……」
唯「澪ちゃんは何か思い当たることない?」
澪「いや……私もないな」
唯「どうしたんだろうね、りっちゃん…」
澪「…」
92
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:19:43 ID:gWk2Qrgs
律「…」
ガチャッ
律「…」
澪「律…」
澪「どうしたんだよ」
律「…」ストンッ
澪「…」
律「……ぁ」
澪「!」ビクッ
律「…」
澪「…」
澪「り、律……」
澪「私たち、何かした…?」
律「…」
律「覚えてないのか」ボソッ
93
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:21:11 ID:gWk2Qrgs
澪「え…?」
律「…」イライラ
澪(何のことだか教えてくれたっていいだろ…馬鹿律)イライラ
澪(こういうとき、どうしたらいいの!?助けて唯!ムギ!梓あぁ……)
律「…」
澪「な、あ…」
律「…」ギロッ
澪「ヒッ!?な、何でもないっっ!!!」ビクビク…
律「…」イライラ
澪「わ、私はこれで帰るから…」
澪「またな、律………」
バタンッ
律「…」
94
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:22:51 ID:gWk2Qrgs
澪「はあっ、はーっ…!」
唯「あ!澪ちゃん」
紬「そんなに急いでどうしたの…?」
澪「さささささささっき…」
95
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:55:55 ID:gWk2Qrgs
紬「そう…そんなことが…」
唯「りっちゃん…」
澪「縁切られちゃうかな………」ウルウル…
紬「でも、りっちゃんに何かした訳じゃないでしょ?」
澪「それは…そうだけど…」
紬「なら大丈夫よ。今までも私たちはすぐに仲直りしてきたじゃない…」
澪「ムギぃ…」ウルウル…
紬「よーしよーし…」ナデナデ
96
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 14:57:59 ID:gWk2Qrgs
紬「今朝のりっちゃん、心なしか目が濁ってたように感じたの」
唯「言われてみれば確かにそうかも…」
紬「…やっぱり、そう感じたのは私だけじゃなかったみたいね」
紬「今のりっちゃんは…まるで一匹狼のよう」
紬「あえて周りを突き放しているのかもしれないわね」
澪「でも…何で……」
紬「…ここからはあくまでも私の予想に過ぎないんだけど…」
紬「りっちゃんね、多分、悪夢を見たんだと思うの。しかも、私たちに虐げられるような」
97
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:01:34 ID:gWk2Qrgs
澪「あの律が…!?」
紬「そう。もしかしたら、の話だけどね」
唯「りっちゃんが心にダメージを受けるような夢って、どれだけ酷い夢なのかな…?」ゾクッ
紬「いいところに気づいたわね、唯ちゃん…。そんな計り知れない程の残虐な夢を、りっちゃんは現実と思い込んでいるのかもしれない…」
唯「そんな……」
澪「解決策はあるのか?」
紬「それはまだわからないわ…。でも、澪ちゃんや唯ちゃんが気に病むことはないから、安心して?」
澪「…っ、でも……!」
紬「暫くはそっとしておきましょう……。様子を見に行こうと家に行ったりすると、下手な刺激になりかねないわ」
98
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:09:32 ID:gWk2Qrgs
澪「刺激…」
紬「りっちゃんがパニック状態に陥ることよ。人間はパニック状態になると、自殺してしまうこともあるのよ」
澪「そんな……」
唯(ムギちゃん、詳しいなぁ…)
唯「じゃあ、部活は…」
紬「勿論、停止よ」
澪「律が復活するまで?」
紬「ええ。私達で先生にも許可を貰いに行きましょう」
唯「………もしりっちゃんが学祭までに出なかったら、私達どうすればいいんだろう………」
紬「唯ちゃん……そんな先のことは後で考えましょ?まず、りっちゃんのことを一番優先しなきゃいけないわ」
唯「うん…」
99
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:12:33 ID:gWk2Qrgs
澪(あれから、律は私達のことを認識していないかのように振る舞っていた)
澪(クラスメートは一瞬戸惑ってたけど、律のことだから、すぐ別のグループに溶け込めたみたい)
澪(私含めたこの3人でも十分楽しいけど、あと一人、お気楽思考だけど、周囲に気を配れるようなヤツがいれば……もっと楽しいんだろうな)
唯「澪ちゃん、どうかした?」
澪「んええ!?」ビクッ!
紬「さっきからずっと上の空だったけど…」
澪「そ、そっか……。別に、何でもないよ…」
唯(…澪ちゃん、本当はりっちゃんがいなくて寂しいんだよね……?)
紬(澪ちゃん…)
100
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:13:33 ID:gWk2Qrgs
澪(何週間か前、梓に部活停止の理由を説明したら、凄く驚いてた。そりゃあそうだよな…)
澪(『律先輩…どうしちゃったんですか?このまま私達のこと、嫌いになっちゃうんですか!?』)
澪(梓の声は、今にも泣き出しそうな声だった。唯は震える梓を黙って抱きしめ、慰めていた)
澪(私たちは…何だかんだ言っても、律がいないと活動できないんだ)
澪(それを身を持って教えてくれて、ありがとう)
澪(…でも、もういいだろ。早く帰ってこいよ…!)
澪(馬鹿律…!)グスッ
101
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:15:05 ID:gWk2Qrgs
誤字脱字が多かったと思います。読みにくい文ですみません。
102
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:16:22 ID:gWk2Qrgs
モブ「律〜、また明日ね〜!」
律「おう!じゃーなっ!!」
スタスタ…
律(はは…)
律(何故かコーヒー飲みたい気分になってきた…)
ピロリロリロ♪
紬「いらっしゃいませ〜♪」
紬(あ…れは)
律「…」
律(今のって、ムギの声だよな…?)
律(…でも、もういいんだ)スッ…
律「…」
紬「こちらへどうぞー」
律「…お願いします」ゴトッ
103
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:18:23 ID:gWk2Qrgs
紬「…」ピッ
紬「お会計、172円です」
律「…」ジャラ…
紬「えーと…、172円丁度お預かりします」
チャラーン
紬「レシートはお付けしますか?」
律「いえ、大丈夫です…」
紬「畏まりました。レジ袋はお付けしますか?」
律「いえ、大丈夫です」ゴッ
紬「ありがとうございました〜♪」
ピロリロリロ♪
104
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:19:38 ID:gWk2Qrgs
店員「紬ちゃん、お疲れ〜」
紬「ありがとうございます、店員さんもお疲れ様です〜」
店員「ありがとう紬ちゃん。じゃ、また来週宜しくね〜」
紬「了解です、ではまた…」
店員「はーい。紬ちゃんかわいいから、夜道には気をつけるんだよ〜」
紬「いえいえそんな…毎日迎え来てるので大丈夫ですよ。店員さんこそ気をつけて帰ってくださいねっ」
105
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:22:01 ID:gWk2Qrgs
紬(りっちゃん…!)タッタッタッタッ…
紬(迎えは今日は来ないように言った。今すぐりっちゃんに会わなきゃいけない気がして…)ハアッ、ハアッ…
紬(それにしても、あのコンビニにいるとは思わなかったわ……)ハア…!ハアッ…!
紬(きっと、家族か友達と遊んでいたに違いないわね…)ハアッ…ハアッ
紬(……ところで、ここら辺に公園なんてあったかしら……?)ゼーッ、ゼーッ…
律「プハーッ!!!やっぱブラックは最高だわ!って、にっが!!!」ブーッ!
紬(あ…あんなとこに…)サッ…
律「もう何も怖くない!」
紬(!?)
106
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:23:25 ID:gWk2Qrgs
律「全ては自分の保身の為!!そんなあたしが手にしたのは…」
律「あ…あれ………大切な…思い出と…………それとあと……」
律「もうわかんないや!だからわかんない!!とにかく明日死んでもいい!アハーッ!!?」
紬(…りっちゃん、こんな性格だったっけ……?)
ガサッ!!
紬「…こんな遅くに空き地で大声出してたら、近所迷惑よ?りっちゃん」
律(………ムギ……何で………)ビクビク…
107
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:25:13 ID:gWk2Qrgs
律「…………んんんんんん〜〜〜〜!!!!????びゃあああああはっはっはっ!!!!!!カフェインどぶどぶリスカだのじいぃ〜〜〜〜〜〜!!!!う゛ぷっ!ぎもつぃいいぃぃッッッ!!!!!!」ハアッ…!ハアッ…!
紬「やめて!!!血がいっぱい出てるわ……!とにかく、今手首を切るのはやめて!!!!!」ガシッ!!!
律「むごの俺をッッ!!?止められるヤヅァ!!どこぬぃもいなぁいッッッッ!!!!!!熱く燃え上がるッ!!!?血いいいいいいいいいいい!!!!!!!????ンゲエエエェエボッ!!!!エボッ!!!!!!!!」バタバタ!!
ピピピ…ピッ
紬「…もしもし、警察ですか?」
108
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:29:22 ID:gWk2Qrgs
病院
パチッ…
さわ子「……りっちゃん、気がついた?」
律「…」
さわ子「ここは…精神病院よ」
律「あ………、たしが………!!?何で……!」ビクビク…
さわ子「そりゃあ私もびっくりしたわよ。まさかりっちゃんが精神病院になんて……」
109
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:31:34 ID:gWk2Qrgs
さわ子「確か……、ムギちゃんによると、一昨日の21時頃だったかしら?貴方が空き地でリストカットをしながら騒いでいるのを見たから、ムギちゃんが貴方を取り押さえながら警察に通報したらしくて、その後警察から精神病院に身柄が引き渡されたのよ…」
さわ子「何があったのか詳しくは知らないけど、ここのところ様子がおかしかったのもあって、りっちゃんはここで3ヶ月入院することになったわ」
律(そんな淡々と告げられても、とても信じられないな…)
律「まさか、あたしが外でリストカットするような人間だったなんてな……」アハハ…
律(しかも大騒ぎしてたなんて…)
110
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:34:14 ID:gWk2Qrgs
さわ子「………やっぱり、あの夜の記憶はないのね」
律「…はい」
さわ子「病院生活は不自由な面も多いし、それで逆に精神状態が悪化することも少なくはないわ」
さわ子「でもね、私含めて軽音部の皆は……りっちゃんがこの試練を乗り越えられると信じてるから、頑張ってね!りっちゃん!」グッ!
律「…ありがと、さわちゃん!それに皆…!」
律「あたし、これもあって、皆に迷惑かけまくっちゃったから…今まで通りに戻って、皆に恩返ししなきゃ。だから頑張るよ」グッ
さわ子「そうそう、その意気よ!りっちゃん!…けど、焦りは禁物よ?本当に無理しないでね?」
律「はーい、気をつけますっ!またね、さわ…」
律「…あ!さわちゃん!そういやあたし、学校は…」
111
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:35:08 ID:gWk2Qrgs
さわ子「…」
さわ子「そのことは、明日伝えるわ。あまり心配しないでね」
律「は…はい……」
律(も、もしやこれは、聞いちゃマズかった系…?)
律「じゃ、さわちゃんも元気でな」
さわ子「わ、私はりっちゃんに負けないぐらいピッチピチだから大丈夫よ!…じゃあ、お大事にね」
律「ありがとーう!」
バタン
112
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:39:50 ID:gWk2Qrgs
律「おいおい、マジかよ…」
律(家でひっそりとやってただけ…な、はずなのに……。いつの間にか警察とか精神病院だとか…)
律(それまで澪達のこといないように接してたから仕方ないけどね…)
律(あの日からあたしは、必ずといって良い程、軽音部の皆から嫌われる悪夢を見ていた)
律(最初はショックで、皆があたしのことをこんな風に思ってるんじゃないかと不安を重ねた結果、無視する形になってしまった……)
律(あと、現実と夢の狭間で混乱していたのもあって、やっとの思いで出た部活で、澪に何か酷いことを言ってしまったのを覚えている)
113
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:41:39 ID:gWk2Qrgs
律(澪達はそれから何かを察したように、あたしから離れていった。澪があのとき嘘をついているように見えたあたしは、相当捻れてるんだろうな……)
律(部活すらも、最初は行ってみたものの、夢か現実かどうかわからない、あたしのことを嫌いで虐げる澪達が怖くて行けなくなっていった………)
律(途中からは、皆と距離を置けばこの悪夢が無くなるんじゃないかと勝手に期待して、認識しないようにしてた)
律(あの日から、軽音部の皆からのメールも内容を見ることはおろか、返信すらもしてない)
律(でも、悪夢を見続ける度に、皆とどれだけ距離を置こうが、だんだん皆が怖くなってきたんだ。たとえ現実であろうと)
律(あたしの中では、どれもリアルで、どれが夢なのかは判別しにくい)
律(どうせ皆を絶望させるぐらいなら、カフェイン中毒で死んだ方がマシだったな…)
114
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:45:49 ID:gWk2Qrgs
律(あたしは物心ついたときから、どこでもキャラを作っていた。多分、家族と澪ぐらいしか本当のあたしを知らなかったと思う)
律(幼い頃から、弟の聡にいいところを見せたかったのもあって、聡にすら虚勢を張っていた)
律(自己中で、神経質で、粘着質で、豆腐の角にぶつかっただけで死ぬようなメンタルで、空気が読めないのをごまかす為に明るく振る舞っているあたしを、本当は誰かに見つけてもらいたかった)
115
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:47:36 ID:gWk2Qrgs
律(あたし、心は全然元気じゃないんだよ…)
律(誰にもそんなこと言えなかったけど、澪は年を重ねるにつれてわかってきたようだった)
律(澪はたまに察しが良い。中学の頃、澪にすら悩み事を相談したことがなかったあたしに、澪は、『律は一人で抱え込みすぎなんだよ』と言った)
律(ただ本当に明るくて悩みがない人だっているのに、澪だけは、それを見抜いてくれた)
律(…でも今は、そんな親友も失っている。他に失うものなど何もない)
116
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:50:28 ID:gWk2Qrgs
律(…なーんてのは言い訳で、本当は…)
律(あたしが皆と離れたかったから、自分勝手に無視してただけ)
律(軽音部の初めは、本当に楽しかったんだ。澪も今ほど悩んでなかったし、ムギにもまだそれほど紅茶とかお菓子とかケーキとか…負担させてなかったし)
律(そこに、ふわふわでぽけーっとした、つかみ所のない性格の唯が入ってきてから、更に賑やかになった)
律(けど、人数が増えれば、意見だって衝突する。それぐらい、馬鹿なあたしでもわかってた)
律(元々澪とは、似たような性格でも、行動は真反対。昔っからちょっとした衝突はしてた。仲直りも早かったけど。ただ、高校生にもなって、唯やムギの前でもそれが顕著になると、当然今まで以上に空気を気にしなきゃならなくなる)
117
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:52:35 ID:gWk2Qrgs
律(後輩の梓まで入って、梓が溶け込めるような空気にするのも大変だった。それに関して一番悩んでたのは唯だったと思うけどさ)
律(最初の梓は、頑固で、しかもあたしらなんかよりも断然演奏技術があって、扱いが大変だった。多分、皆がいなかったら、梓はこんなに丸くなってなかったと思う)
律(でも、卒業が近づく度に、皆で負担してたストレスが、部長であるあたしに重くのしかかってきた気がした)
律(逆に今までが脳天気過ぎたんだと思ってる)
律(要するに、あたしはストレスフリーになりたかったんだ)
律(元々ストレスに弱いタチだったけど、負荷がかかる度に、極限までストレスを無くしたかったんだ)
律(理由はわからない。例え些細なことだったとしても、とにかく、あのままじゃいられなかったんだ)
118
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:54:24 ID:gWk2Qrgs
律(だからってこれは、許されることじゃない)
律(死ぬまであたしが責任を持って、罪を償ってかなきゃならない)
律(今まで自己利益優先で生きてたから、罰が当たったんだ)
律(それにあたしのこと、皆嫌いになっちゃったに違いないよ)
律(カフェインを摂ろうとしたのまでしか覚えてないけど…)
律(…皆が今あたしのとこにいないのは、どう考えても、あたしが要らない人間だからだよな…)
律(さっさとあの手すりに手をかけて…ははは…)
グワングワングワングワン…
律(〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
律(目眩が…酷くて、動けな…い)
コンコンコン…
119
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:57:13 ID:gWk2Qrgs
律(…聡かな?)
律「はーい」
ガラッ…
憂「律さん、おじゃましまーす…」
和「私も失礼するわね」
律「え!?あ、ああ…。いらっしゃい、どうぞごゆっくり〜♪」
和「『え!?』って、何よ。私達が来ないとでも?」
律「は、はは……。まー正直心外だったわ…」
和「…律らしくて安心したわ」クスッ…
和「唯なら明日、軽音部の人達と来るわ。山中先生が来た後にだけどね」
律「そ、そうなんだ…、わかった」グワングワン…
律(もう来ないのかと思ってた…でも…)
憂「…律さん、顔色悪いですけど、体調大丈夫ですか?」
120
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 15:58:57 ID:gWk2Qrgs
律「…あ、あ〜。とは言っても目眩と軽い頭痛ぐらいだから安心してっ」
和「『ぐらい』じゃないわよ。それって結構悪い状態じゃない!」
律「え…?そうなの?」キョトン
和「え、知らなかったの…?入院後すぐに来ちゃってなんだけど、私達が来たからって無理矢理身体を起こさない方がいいわ。いくら精神病院とはいえ、貴方は患者なんだから、とにかく安静にしてなさい」
律「の、和しゃん…ありがとう…」バタッ
憂「面談の日が限られてるとはいえ、私たちも早く来すぎちゃってごめんなさい…」
律「ま、まあ、私も少し寂しかったから、来てくれて嬉しいよ!ありがとう憂ちゃん」
憂「そうですか?えへへ…、此方こそありがとうございます」
憂「あの、律さん、粗品ですが…」
律「ん?」
121
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 16:01:06 ID:gWk2Qrgs
律「…………す、すごっ…!凄いね!!高校生でこんなの買えるなんて……!!!」
憂「お姉ちゃんのギターに比べたら全然なんですけどね…。和さんと選んだものでもあるので、気持ちだけでも受け取ってくれると嬉しいです」
律「わかった、大切にするよ。ありがとう、憂ちゃん!和!」
和・憂「…」ニコッ
和・憂「どういたしまして」
122
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 16:44:36 ID:CjhosteQ
律(二人から貰ったのは、新しいスティックと高級菓子諸々。総額1万円弱といったところだろうか)
律(特に、スティックはかなり消耗していたせいで先が割れていたから丁度良かった。流石気が利く二人だ。唯達に訊いてなくてここまでくると、気が利くどころかエスパー並みの能力を持っているレベルだが…)
律(………ところで、あの二人は、あたしがどのような騒動を起こしたか、紬やさわちゃん達から訊いていないんじゃないかという気がしてきた)
律(言われても、『りっちゃんが精神的な疲れから倒れた』ぐらいなんだろうな…。実際倒れたかはわからないけどさ)
律(軽音部なりの配慮なんだろうけど、あたしの行ったコンビニ周辺には、桜ヶ丘の連中をちらほら見かけるから、いずれ知れ渡ること。意味はあまりない)
律(あの二人が何も疑わないのはおかしい。あえて訊かないように、もしくは言わないようにしているとしか思えない)
律「…皆、こんなに優しいのにな……」
律(あたしは皆の好意を踏みにじって、何て最低な人間なんだろう)
123
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 16:50:55 ID:CjhosteQ
律(空が綺麗だ、なんて思える気力はない)
律(点滴で繋がれた手首からは、一本だけ、紫色の線が見える)
律(人にバレたくないあまり、一本だけに集中して切っていたからだ)
律(でも…多分和や憂ちゃん、さわちゃんには丸見えだったと思う。点滴につながれた姿を見られた時点で、あたしがリストカットしてるの、バレてたんだ)
124
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 16:57:44 ID:CjhosteQ
律(やめたい。やめたい。やめたい。やめたい。やめたい)
律(でも、辛いことも忘れたい…)
律(‥…学祭…出たかったなぁ)
律(あたしが『1・2・3・4!』の合図で、皆を引っ張っていきたかった)
律(弱気なあたしが、ドラムに触れているときだけは、本当に強気になれた)
律(だから、現実でも強くなれた気がした)
律(でも、ダメでした)
125
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 17:09:56 ID:CjhosteQ
律(こんなに綺麗なスティックを渡されても、ただ見つめることしかできない)
律(学祭どころか、学校にすら行けない。受験もできない。そんな状態なんだから)
律(あとは死を待つのみだ)
律(澪…ごめんな。二人でバンドやろうって夢、あたしが先に壊しちゃって。もうあたしがいなくても、澪はやってけるよ)
律(紬…純粋で優しくて、いつも傍にはムギがいるんじゃないかって気がしてたよ。皆を見守ってくれて、本当にありがとう)
126
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 17:21:51 ID:CjhosteQ
律(梓…初対面でとっつきにくい奴なんて思っててごめんな。お前はいい後輩だよ。これからも唯のこと、宜しくな)
律(唯……、唯がいなければ軽音部は成り立たなかったから、軽音部の恩人だと思ってる。無理矢理入部させちゃったようなもんだけど、入部してくれて本当にありがとう。)
律(最初お前を見たときは、トロくて使えないドジっ子だと思ってたけど、それだけじゃないってことがわかったよ)
律(普段何考えてるのかわからないようなぽわぽわした性格だけど、それなりに空気読めるし、次第に読もうと頑張ってるとこも見えてきた)
律(ノリも意外といいし、唯といるとき、すっごく楽しかった。それに、やればそれなりに物事をこなせるとこ、少し……じゃないけど憧れてたよ。かなり)
127
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 17:25:36 ID:CjhosteQ
律(軽音部は、私の中では不滅。あの世で待ってるぜ…。地獄で、だけどな!)
律(…)
律(ここ、1階じゃね?)
128
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 17:32:52 ID:CjhosteQ
よくじつ!
律「ふぁぁ…!」
律(慣れない場所だから、あんま寝れなかったなぁ‥…)
律(…もう9時か)
律(早く起きて…どうすんだっけ?)
律(説明された気がしなくもないけど……とりあえずナースコール押してみるか…)
〜♪
律(飯……)グウウゥ…
律(ごはんはおかず…)
律(なんて歌詞を唯が書いてたような…あれ?澪だったっけ?)
律(忘れっぽいのは相変わらずだな、あたし)
129
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 23:04:12 ID:6zO5P.Y6
『雑談』(22:34〜配信開始)
://youtu.be/oolMhp6HEuw
130
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 23:39:53 ID:Za9YRdC6
ここでたんぺん!
唯「いや私全然天然じゃないから!寧ろ養殖!」
梓「そうなんですね、初耳です」
唯「そうなんだよあずにゃん」
梓「じゃあ腹の中真っ黒なんですね」
唯「何で?」
梓「…天然じゃないですか」
131
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 23:47:06 ID:Za9YRdC6
律「あずにゃん!あずにゃん〜!」
梓「唯先輩!?」
律「残念!律先輩でした!」
梓「声似すぎです!」
律「へへーん!」
梓「う゛…」
律「唯じゃなくて悔しい?ん?悔しい??」
梓「く、悔しくなんて…」
律『愛しの唯先輩にぎゅーされたかったな♪唯先輩、早く来てください♡』
梓「そんなこと思ってません!」
律「律先輩にはぎゅーされたくないって顔してたけど?」
梓「…」
梓「色々と悔しいので、ぎゅーぐらいやってやるです!!」
律「あはーっ♪」
132
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/14(木) 23:49:55 ID:Za9YRdC6
律「みーお♪」
澪「りーつ♪」
律「みーお♪」
澪「りーつ♪」
律「バカバカバカ!好き!!!」
澪「完全に中の人化しやがって!私も好きだ!!!」
133
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 00:00:17 ID:C9on7SbQ
唯「私達が全員正反対の性格だったら、絶対軽音部廃部のままだったよね」
律「唯に急にネガティブなこと言われると反応に困る」
唯「じゃあ澪ちゃんだったら?」
律「ん〜、唯のとき程は驚かないし反応に困らないかな」
唯「それって差別だよ!酷いよりっちゃん…!!」グスンッ
律「んな大袈裟な…」
唯「りっちゃんに虐められた!」
律「何で今日そんな後ろ向きなんだ?」
唯「…寿命だから」
律「そっかぁ…」
唯「もっと悲しんでよ!」
律「いや、唯ならあり得るかもって思って」
唯「あり得ないよ!死ぬときまで私は前向きだよ!」
134
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 00:08:29 ID:C9on7SbQ
澪「ふわふわ時間歌ってると、他の人にお気に入りのうさちゃん抱いてるって思われないかな」
律「今更かよ…」
澪「ええ!?じゃあもうとっくに思われてるってこと!!?」
律「そゆこと〜」
澪「何でそんな重要なことを教えてくれなかったんだ〜!!!」
律「い、いや、教えるも何も…先に歌詞書いたの澪だし…」
澪「ああもうお嫁に行けない…!」プルプル…
律「まー、澪の見た目とのギャップがあっていいんじゃない?ギャップ萌えってゆーしさっ」
澪「本当に…?」ウルウル
律「うん、鏡見て」
135
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 00:16:26 ID:C9on7SbQ
梓「田井中ァ!」
律「な、中野先輩っ…!」
梓「チンタラ食ってんじゃねーぞオラ!はよ練習しろや!!」
律「うう…練習します…」
梓「意外と先輩役って難しいですね…」
律「そ、そうだな…。けどそれって不良の先輩だよな?」
梓「私、律先輩をしごくのが夢だったんです♪」
律「ムギの真似しても許さないからな中野ォ!!」
136
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 00:21:58 ID:C9on7SbQ
律「梓のツインテールって取れるの?」
梓「あ、はい。今外してみましょうか?」
律「今日は私が外したいんだ」
梓「わかりました」
スポッ!スポッ!
律「へー、意外と重いんだな。このツインテール」
梓「律先輩のドラムスティックとどっちが重いんでしょうか?」
律「よーし、これでドラムを叩いてみよーっ!」
ドコドコドコ…
梓「どうでした?」
律「ドラムスティックの方が軽かったよ…」
137
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 00:25:06 ID:C9on7SbQ
どうも1です。個人的には律梓が好きです。このSSが終わったら律梓SSを書きたいなと思ってます。ではまた投下するので長らくお待ちください。
138
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 10:01:57 ID:p4gGCFGo
律(やっぱり、あたしが説明を忘れているようだった。看護士さん達は、あたしにご飯だけでなく、新しい衣服も何着か持ってきてくれた)
律(母に病院食は不味いと聞いたが、これが意外と美味しい)
律(たまたまそういう病院に来ただけかもしれないけど…)
律(家族はまだ来ない。早く会いたいな…)
139
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 10:12:13 ID:p4gGCFGo
コンコンコン…
さわ子「おはよう、りっちゃん」
律「おはようさわちゃん!」
さわ子「ここに座っていいかしら?」
律「どうぞ」
さわ子「ありがとう。じゃあ、これから辛い話するけど、りっちゃんなら受け止めてくれるって信じて話すからね」
律(さわちゃんの言った通り、あまり考えないようにしてたけど…遂に、この時が来た)
律「わかった。もう逃げないよ」
140
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 10:29:59 ID:p4gGCFGo
さわ子「まず学校は…2月まで出席停止になったわ。あと、りっちゃんの目指してるN女子大やその他の大学の受験は………2月からの復帰だと、偏差値的に難しいわ。諦めるのが無難よ」
律「そんな……」
さわ子「出席停止は覚悟してたわよね?あと、何も皆と同じ大学に行かなくったって、また会えばいいじゃない。一つの大学に拘りすぎると良くないわ」
律「うん…でも何で…」
さわ子「周りから置いてけぼりにされるからよ」
律「もう既に置いてけぼりじゃん……」
さわ子「だから、もっと周りと差ができてしまうってことよ」
律「…」
さわ子「まぁ、受験に関することは、これからも私やりっちゃんの両親から連絡がくると思っといてね」
さわ子「とりあえず、進路についてはゆっくり考えなさい。まだ実感沸かないだろうけど、貴方は一浪の身になったんだからね」
律「………はい」
141
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 10:46:25 ID:p4gGCFGo
さわ子「あと、学祭についてなんだけど…代わりにドラムをやってくれる子が見つかったの。勿論、皆は反対してた。特にムギちゃんや梓ちゃんなんて、『じゃあドラム抜きでやればいいじゃないですか』って…。でも、それじゃバンドとして成り立たないでしょ。だから仕方ないけど、その子にやってもらうことになったわ」
律「……いいんじゃないですか、それで」
さわ子「…」
さわ子「私の目の前で領収書食べてた子はどこへやら…」
律「それとこれとは別に関係ないだろ!」
さわ子「関係あるわよ」
律「…」
さわ子「普段のりっちゃんなら、あの時の強情さを考えれば『やだ!絶対にあたしがやる!!』って言いそうだもの。今日のりっちゃんは、他の人にドラムを代わってもらうのを聴いても、それに関して全く噛みつかなかった」
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 10:55:00 ID:p4gGCFGo
律「…」
律「考えてみてくださいよ。あたしの身を」
律「あたしは皆のことが好きだから、辛いことも我慢してた。皆が盛り上がれば、自分のことなんてどうでも良かった」
律「けど、だんだん良くないってわかってきちゃったんですよねぇ。承認欲求が抑えられなくなっちゃったんで」
律「それが爆発して、このザマですよ」
律「大したことないことで、人は簡単に壊れる」
律「つまり、あのとき先生に噛みつかなかったのは、私が壊れてしまったからなんですよね」
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 12:35:21 ID:p4gGCFGo
さわ子「そうよね。りっちゃんの一人称がブレていた時点でそう判断できたわ。それに敬語とタメ語が混ざってるの、りっちゃんらしくないから…」
律「じゃあ、もういいじゃないですか?」
律「さわちゃん先生の言葉で諦めがつきました。進学も。単位も。それと同様にってことですよ」
さわ子「ごめんなさい…」
律「何で謝るんですか?あたしは別に構いませんって」
さわ子「……私のこれから言う言葉に向けての謝罪よ」
さわ子「病人を追い込むようなこと言っちゃって悪いんだけど…」
さわ子「軽音部は…どうするの?」
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 12:50:52 ID:p4gGCFGo
律「…学祭、出れないんですよね?それに、あたしは皆を失望させてしまいました。だから私は責任取って、部長も部活も辞めます。退部届ならここで書きますから、用紙」
さわ子「何言ってるの!!」
律「…」
律「まーまーそう言わずに。教え子の遺言ぐらい、一応最後まで聴いてやってくださいよ」
さわ子「無理!!貴方のそういう、意見が二転三転するところが鬱陶しいのよ!!!」
さわ子「皆の為に生きるって言ったかと思えば、責任取って部長も部活も辞めるって言い出したり、挙げ句の果てにはこれは遺言ですって言い出したり………!!」
さわ子「貴方が悟るのも理解できなくはないわ。だからといって、皆の気持ちを疎かにするなんて……、部長としては最低よ!最低最悪の部長!!」
律「だから…辞めるって……」
さわ子「貴方の戯れ言は聴いてられないわ!!」
さわ子「本当に皆の気持ちや、皆との思い出がどうでも良くなったら、退部届の用紙を持って来るわ。仲間のことを大事にしない人は部長には向いてないもの」
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 12:58:47 ID:p4gGCFGo
さわ子「貴方が繊細なところは、軽音部の皆は薄々気づいていたはずよ。だから貴方と本音で向き合うのを避けてきた」
さわ子「これはチャンスなのよ!りっちゃんが本音を言える機会が、この3ヶ月間に何度もある」
さわ子「りっちゃんの本音を、皆、りっちゃんから聞きたがってるわ」
さわ子「さっき言ってたわよね?『もう逃げません』って」
さわ子「部長なら、まずは自分の発言に責任を取りなさいよ…!!!」
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:13:38 ID:p4gGCFGo
律「…」
さわ子「…って、もう部活辞めるんだっけ?それならこの話は意味なかったかもしれないわね。話はこれだけよ。じゃあね、りっ…」
律「先生……!」
律「わたし…諦めきれてません……」
律「私の我が儘でこうなっちゃったけど、本当は、まだ皆と一緒にいたかった…!」
律「皆といるのに疲れても、楽しいことも多かった……。そして、いっぱい救われてきた…支えられてきたんだ………」
律「…続けたかったよぉ、ドラムも、部長も……」
さわ子「…」
さわ子「貴方の戯れ言は聴いてられないわ…」ハァ…
律「!」
さわ子「あの子達に聴かせてあげなさい」
律「…ありがとう………さわちゃん!」
さわ子「礼なら要らないわよ。さ、これからあの子達が来るわ。その間、りっちゃんは何をすべきか考えてなさい」
律(しっかり、聴いてくれてたじゃんか…)
さわ子「……因みに、代わりにドラムをやってくれる人がいるっていうのは嘘。皆、部活停止で満場一致したわ」
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:28:35 ID:p4gGCFGo
さわ子「そのことについてはごめんなさい」
さわ子「じゃあ、また来るわね。残りの数ヶ月、悔いの残らない選択をしてくれると信じてるわ」
律「はい……ありがとうございます」
さわ子「ふふふ、しおらしいりっちゃんも悪くないわね。それじゃ」
…バタン
律(…さわちゃんには、大切なことに気づかせてもらえた)
律(あたしが皆と本音でぶつかり合えることが、皆の幸せだってことに)
律(…だからまだ、ドラムも部長も、続けさせてもらうよ)
律(根が目立ちたがりだから?それもそうかもしれない)
律(でも、こんな我が儘が通るのは)
律(あたしが部長だから…!)
148
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:31:58 ID:p4gGCFGo
コンコンコン…
律「はーい」
唯「りっちゃん!!」ガバッ!!
律「ゆ…唯……!」
紬「あらあら♪」ウフフ…
梓「律、先輩………!」ウルウル…
149
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:49:35 ID:p4gGCFGo
唯「…ねえ!りっちゃんが喋ったよ!!」
紬「聞いたよ〜、良かったわ…」
梓「グスッ…全く、お騒がせなんですから……ぁ!」
律「あたしは一体何だと思われてんだ…?ってツッコミは置いといて……皆、本当にごめん!!!」
150
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:51:06 ID:p4gGCFGo
紬「…次回からは許さないからね?」ニコッ
律「はあい…」
唯「も〜!不安で夜も眠れなかったんだからねっ!!」プンスカ
律「確かにクマひでーなー…本当に悪かったよ」
梓「…律先輩の馬鹿っ!!」
唯「あ、あずにゃん…!」
紬「まあまあまあまあ…?」
唯(4回)
151
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 13:55:24 ID:p4gGCFGo
梓「貴方がいなきゃ、演奏だってちゃんと纏まらないし、ティータイムだって……!楽しめないんですよ…!!」
律「…梓は優しいなぁ」ナデナデ
梓「…撫でられる程優しくないです」
律「まーそう言うと思ってた!ありがとな、梓」ワシャッ
梓「…どういたしまして、です」カアアッ…
唯(あずにゃん、林檎みたい…♪)
紬(あらあらあら…♪)
梓(いいこと言ったはずなのに、先輩達私の顔ばっか見て…!)
唯「りっちゃん、憂達から体調あまり良くないって聞いたのに…急に抱きついちゃってごめんね………」
律「…本当に大丈夫!お陰様で、この通りピンピンだぜっ!!」シャキーンッ
唯「クスッ…プーッ!本当だぁ…!良かったあああ!!!!」
152
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:01:33 ID:p4gGCFGo
紬「それ何のポーズ?」
律「仮面ヌイダーのエンディングのダンスに、こういうポーズが出てくるんだよ」
唯「仮面ヌイダーのダンスにそんな変なポーズないよ!」
梓「た、確かに変かも…ププッ!」
紬「ちょっと…、梓ちゃんまで……!クスッ」
律「わー!!!ああいう細かいダンスとか苦手なんだよ!!わーらーうーなーっ!!!」
153
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:06:37 ID:p4gGCFGo
唯「とにかく、本当に元気そうで安心したよ〜」
律「えへへ〜…」
律「…あれ?澪は?」
紬「澪ちゃんのこと…言っていいのかしら?」ボソッ
唯「やめた方が…」コソッ
梓「いや、ここはちゃんと言った方が良いですよ」コソッ
紬「…そうよね。りっちゃん、鋭いとこあるし…」コソッ
紬「あのね、りっちゃん」
154
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:17:11 ID:p4gGCFGo
律「……澪まで精神的に?」
紬「そうなの…」
唯「りっちゃんが無視するのは、全部私のせいなんだ…って」
梓「あのときの澪先輩、顔だけでなく、手もやつれてた感じありましたよね……」
律「……そんなことがあったのか」
紬「ええ…。ショックだと思うけど、りっちゃんが今ちゃんと話してくれるようになったって聞いたら…すぐ元に戻るはずよ」
律「…悪いな。澪達にも重荷を課しちゃって…」
唯「何言ってるのりっちゃん?私達は仲間だよ!嬉しいことも辛いことも、皆で分け合ってこ!!」
紬「唯ちゃん…」
梓「唯先輩…」
紬「……わかったわ。りっちゃんの重荷、私達にも背負わせて?」
律「…うん」
155
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:25:19 ID:p4gGCFGo
律「…信じてもらえるかどうかは期待できないけど……」
梓「冒頭からそれですか!?…大切な仲間がこんな状態で信じない訳、ないじゃないですか」
律「ありがとう…」
律「………悪夢を見たんだ」
律「それまでも悪夢は見続けてたけど、今度は軽音部全員から虐げられる悪夢を見た」
律「本当は今まで、軽音部にいると疲れる。そう思ってたんだ…」
律「最低だよな、あたし」
156
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:33:38 ID:p4gGCFGo
律「部長なのに、そういう責任から逃れようとしてたなんてな」
唯「…少なくとも、私達からしたら、りっちゃんは最低じゃないよ…」
律「…だといいんだけどね」
律「実はあの悪夢の前から、あたしは自分だけがストレスを感じないようにする為だけにリストカットを始めてた」
唯「リストカット?」
律「手首を刃物で切ることだよ」
唯「ヒイイッ!!?」ビクッ!
律「怖いぞ〜?澪が見たら、一瞬で卒倒するだろうな?」
梓「わ、わかりましたから!続けてくださいっ!」
157
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:42:21 ID:p4gGCFGo
律「んで、リストカットを始めてから、あたしはぼーっとするようになった」
紬「βエンドルフィン等の作用によるものね」
律(経験者のあたしより詳しいな…)
律「その作用とは…?」
紬「私も詳しくは知らないんだけど、リストカットをすると、痛みが脳内で快楽物質に変化するらしいの。それが…、例えばさっき言ったβエンドルフィンとかが眠気を催すこともあるらしいわ」
唯「なるほど、わからん!」
梓「今だけは唯先輩黙っててください」
158
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:50:25 ID:p4gGCFGo
律「そうそう、多分その眠気でぼーっとしてた。記憶がよく無くなったりもした。それから例の悪夢を見るようになったんだよ」
律「最初はそれを見て、ああ、夢なのかなって認識だったんだよ」
律「でも、あたしが普段、周囲に色々悪く思ってたからか、それが自分にも現実で向けられてる気がしたんだ」
律「ただ、それだけじゃない。唯達を無視してたのは、このことに便乗して、皆から離れようとしてたからなんだ」
律「あのときのあたしは、本当に最低だと思ってる」
159
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 14:59:24 ID:p4gGCFGo
律「皆から離れれば疲れは取れるし、悪夢を見なくなる。そう思ってた」
紬(私の予想、少しは合ってたのね…)
律「でも、失うものしかなくて、メリットはなかった。それに気づいてからこないだの夜、ヤケになったことで、コーヒー飲んでリストカットすることを思いついたのまでは覚えてる。そこで実行して暴れてたらしいあたしを、ムギが取り押さえて、気がついたら点滴でつながれたってこと」
律「ムギには、本当に迷惑をかけたと思ってる。本っ当にすまない…!許さなれなくて当然だよな!!」
紬「そんな…」
律「だから、友達として…やり直してくれないか?」
律「ムギだけじゃなくて、皆も」
160
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 15:00:44 ID:p4gGCFGo
相変わらず誤字が多くてすみません。
161
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 15:06:31 ID:p4gGCFGo
律「…元に戻れるとは思ってない。だからやり直すんだ」
律「あたしがドラムで、澪がベース」
律「ムギがキーボードで、唯と梓がギター」
律「部長のあたしの掛け声で、皆の演奏を纏める」
律「そんな毎日を、また新しく作りたい。誰かからの一声で…あたしはそう思えた」
律「……自分で壊しておいて、勝手だと思うよな。だから無理にとは言わない」
律「これが、あたしの重荷、そして本音です」
162
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 15:13:26 ID:p4gGCFGo
唯「りっちゃん…」
紬「…正直、私はまだりっちゃんのしたこと、許せてないわ」
律「…だよなぁ、ハハ…謝りきれる気がしないよ」
紬「だから…ね、謝らなくていいの。私達とまた、放課後ティータイムを続けましょうよ……!!」
紬「そうじゃないと、一生許さないわよ?」
唯「…ムギちゃん…」
梓「そうです!私もムギ先輩に賛成です!」
唯「あずにゃん……」
唯「………りっちゃんと放課後ティータイムを続けたい!それが、私達の重荷で、お願いだよ!りっちゃん!!」
163
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 15:21:13 ID:p4gGCFGo
律(……でも、まだ…不安が過る)
律「…そんな、いいの……?あたしが幸せになって…」
唯「いいんだよ!りっちゃんの幸せは、私達の幸せなんだよ!!」ガシッ!
律「唯…、にムギ、梓………」
梓「まずは澪先輩の家に行きましょう。放課後ティータイムとしての活動は、それからです」
律「外出……できるかな」
紬「ご両親とお医者様からの許可が下りれば」
律「……なかなかハードル高そー……」
律「…でも、皆の為にも、できるだけ早く退院するからな!」
唯「よっ!頑張れりっちゃん!」
梓「澪先輩も私達も、ずっと、待ってますからね…!」
164
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 16:39:11 ID:NwAxDJow
律(それから1ヶ月程が経ち、あたしは医者からも両親からも退院許可が下りた)
律(この1ヶ月の間に、自分が隔離部屋にいること、週1に看護師さんと同伴でしか外に出られないこと、ケータイも使えないことを知っては、得体の知れない絶望感に打ちひしがれそうになった)
律(それでも自分を失わずにいられたのは、皆のおかげだと思う)
律(この皆というのは、軽音部や憂、和、さわちゃんだけじゃなくてね。家族も含まれてるんだ)
律(両親も2週間に1回、あたしの様子を見に来てくれた。あたしはその度に励まされてた)
律(聡は、1回だけあたしのとこにきたけど、弱ったあたしを見ているのが辛い、と言って、ろくな会話もせずに去ってしまった。それでもあたしは覚えてるよ。『元気になったら、またゲームしようぜ』って最後に言ってたこと)
165
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 16:53:00 ID:NwAxDJow
律「おまたせー!珍しく寝坊しちゃった!」テヘッ☆
唯「りっちゃん遅いよー!」
律「ごめんごめん!」
梓「唯先輩だって遅刻ギリギリじゃないですか」
律「おい!お前人のこと言えないだろ〜!」コチョコチョ
唯「あはは!だ、だってぇ、りっちゃんが遅刻なんて、本当に珍しいんだもん♪『これはいじらなきゃ!』って!」
紬「マンボウ!」ム~ッ
唯「あはははっ!む、ムギちゃ…!面白すぎだよぉ〜!!」
梓「あの〜、楽しんでる中悪いんですが、もう行った方が…」
唯・律「( ゚д゚)ハッ!」
梓「え…今気づいたんですか」
166
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:02:47 ID:NwAxDJow
律(あたしが遅れたのは、澪に渡すものがあるからだ)
律(これがどうもリュックに納まらなくてね…)
律「にしても澪のヤツ、まだ引きこもってるのかー?」
梓「1ヶ月も病院に籠ってた律先輩には言われたくないと思いますよ…」
律「アハハ、冗談だって!」
梓「まったく…。冗談でも言っていいことと悪いことがあるんですよ!」
律「いやぁ、かたじけない、かたじけない…」
紬「あれが澪ちゃんの家よね?」
律「そ!とりあえず門まで行こーぜー」
タッタッタッタ…
律「手始めにピンポン押すっと…」
〜♪
167
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:06:46 ID:NwAxDJow
律「入るぞ〜」
ガチャ
唯・紬「お邪魔しまーす」
梓(これが澪先輩の家…!)キラキラ
梓「…お、お邪魔しまーす…」
168
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:12:02 ID:NwAxDJow
律「…で、ここが澪の部屋」
唯「りっちゃん、開けないの?」
律「……だって、元はと言えばあたしのせいだし…」
紬「…」コンコン
紬「入っていい?澪ちゃん」
律「ちょ…!」
紬(『まだ、心の準備が…!』とは言わせないわよ、りっちゃん)
澪「…」
梓「…いいんですかね?」
紬「強行突破で♪」ニコニコ
169
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:16:59 ID:NwAxDJow
唯「お邪魔〜、しましま〜!」
律「何だそれ」クスッ
澪「……律?」
律「あ……澪…」
紬「邪魔しちゃ悪いから、私達は外にいましょう」
梓(さっき堂々と『お邪魔しまーす』って言ってたよね!?)
170
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:30:52 ID:NwAxDJow
律「その………、ごめん!!!」
澪「…何で律が謝るんだよ」
律「へ!?だだだだってさ!あたしが無視しちゃってたんだよ!?それに澪は悪くない!!!」
澪「でも…私といると疲れるんだと思う。唯達から聞いたよ。それが原因でこうなっちゃったってことを…」
律「澪のバカ!!」
澪「…」
律「確かにあのときまではそう思ったときも何度もある!けど、それはあたしが澪だけじゃなくて、皆を勝手に嫌ってただけなんだ!!」
律「澪が責任感じる必要なんて、これっぽっちもないんだよ…」
澪「……バカ律」ボソッ
律「ああ!そうだよ!あたしはどうしようもなくバカで、澪にゲンコツ食らわなきゃダメな人間なんだよ!!」
律「だから…あたしともう一度、やり直してくれない?友達」
律「…親友、幼馴染として」
171
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:35:36 ID:NwAxDJow
澪「……怒ってない?」
律「…それはこっちのセリフだし。で、どうなの?」
澪「せ、急かすなよぉ…」
律「悪い悪い、いくらでも待つよ。因みにムギ達にはもう言ってある」
澪「…」
澪「……私も、やり直したい」
律「澪…」
律「……ありがと、澪」
澪「律こそ…ありがとう」
律「…よし!じゃあまずはあたしを一発殴って!」
澪「…」ボコッ!!
律「…覚悟はしてだげど…、やっばりいだいな……」
172
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:39:25 ID:NwAxDJow
律「へへ…仲直り…だなんて、何か恥ずかしいな」
澪「もう…律のアホぉ……!」グスッ
律「どうせりっちゃんはアホの子でちゅよーっだ」
律「…話飛ぶけどさ」
澪「ん」
律「澪が私の家にお見舞いに来てくれたことあったじゃん?」
澪「…うん」
律「あの逆転バージョンだと思うのよ、今」
173
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:46:13 ID:NwAxDJow
澪「はああ???どう考えても状況が全然違うんですけど〜!!!??」
律「きゅ、急に元気になるな!!!いや、ね?澪だってさっき『怒ってない?』って聞いてたじゃん?だからあれ思い出して、懐かしいな〜って思って」
澪「そうだったな。あのときは律が風邪で奇行に走ってて…」
律「だああ!!!そっちに触れるな!!!!」
澪「…私が言いたかったのは、あのときも今も、律がお騒がせなヤツだってことだ」
律「まあね?」
澪「…」
澪「これからは、仮面を外してくれても…」
律「ああ、外すよ。澪とも約束する」
174
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:49:31 ID:NwAxDJow
律「今、外してないように見える?」
澪「…外してる」
律「せーかいっ!さっすが澪さ〜ん!!!」ダキッ
澪「うわあああああ!!?急に抱きつくな〜!!」
澪(…嬉しい)
175
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 17:56:20 ID:NwAxDJow
公園
紬「…」ジー
唯「ムギちゃん、何見てるの?」
紬「いや…想定通り何も見えなかったけど、何か見えた気がしたわ!」キラキラ
唯「?ふーん」
梓「見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込むやつみたいですね」
紬「いや、ニュアンスが若干違うけど…」
梓(まさかの本人から言われるとショック10倍!!)
176
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 18:06:13 ID:NwAxDJow
律「よ!澪をこっちの世界へ連れ戻してきたぜ〜!」
唯「でかしたりっちゃん!!」
澪「こっちじゃない世界って逆になんなんだよ…」
律「ムギは…うん、何かいいもの見えたんだな。うん」
梓「現に両手で望遠鏡しっかり握ってますしね…」
律「おっしゃー!今日は久々にタコパするか!!」
唯・紬・梓「おー!」
澪「わ、私運動してないから太っちゃう…」
律「みーおーもー行ーくーよーねー?」
澪「ひっ!?い、行く行く〜!!わ〜!チョー楽しみ〜☆」
梓「今何を吹き込んだんでしょうね…」
唯「え!?もうタコパ始まってるの!!?私もフーフーしなきゃ!」
梓「そっちじゃないです!」
177
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 18:19:50 ID:NwAxDJow
梓(あれから2ヶ月。律先輩の復学をどれほど喜んだでしょうか。そして、学祭に出れるぐらい律先輩も回復しました。練習でも本番でもやっぱり走り気味だったけど、澪先輩のベースと気持ちよく混ざり合い、唯先輩、ムギ先輩、私の音に力をつけてくれました)
梓(先輩、来てますか?今日は、私達の最後の学祭ライブです)
梓(私達『わかばガールズ』は、放課後ティータイムに負けず劣らずの実力を誇ってると、私は胸を張って言えます)
直「…最後となると、やはり緊張しますね……」
梓「大丈夫。直ちゃんがここまで頑張ってきたことは、ここで失敗しても崩れないよ」
直「ありがとうございます…」
梓「どういたしまして」ギュッ
梓(『私達なら、きっと大丈夫』そう思えるのは、あの出来事があったからでしょうか)
梓(それに…)
梓(私が部長だし!)
178
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 18:23:27 ID:NwAxDJow
以上です。こんな駄文を見てくれてありがとうございました。けいおんは永久不滅だよおおおおおおおおおおおおおお
179
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 18:24:24 ID:NwAxDJow
ここから先は律梓SSを書きます
180
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/15(金) 18:26:51 ID:NwAxDJow
梓「へぇ、そうなんですね」 律「それだけ?」
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