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善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/05(金) 10:40:05 ID:9xbPbDTk
ラブライブ!SS
これはホラーゲーム「影廊 -Shadow Corridor-」のパロディSSです。
ゲームは有料版と無料版があります。
リンクは貼りません。興味のある方は各自で検索してください。
ゲームに関する過度なネタバレはなるべく避けるようにします。
それでもネタバレが気になる場合はお戻りください。
また、SS内では設定の一部改変があります。
この物語はフィクションです。
315
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:34:50 ID:gdc9acus
善子(いい? 爆竹で誘導するのよ)
善子(泣き声の主は音がするほうを見にいくわ)
ルビィ(うゆ……怖いよ……)
善子(もし別の徘徊者が来た時、隠れられるようにしましょう)
善子(近くに隠れられそうなところは……あの後ろね)
ルビィ(うゆ……)
善子(火を点けて……爆竹を投げて音が鳴りはじめたら、慎重に移動して勾玉を取るわよ)
ルビィ(うん……)
316
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:35:33 ID:gdc9acus
善子(投げるわよ……)ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
グスン……グスン……
グス……グス……
善子(あっちに誘導できてるわ、今のうちに勾玉を取ってここから離れましょう)
ルビィ(うん……)
私とルビィは勾玉を取ると、この場から立ち去った……
317
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:36:12 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎぃ……怖かったよぉ……」
善子「これで勾玉1つゲットね」
ルビィ「あと4つ必要だね」
善子「ええ、この勾玉を祭壇に納めて脱出よ」
ルビィ「うゆ」
私たちは暗闇の廊下を歩いていく……
318
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:36:58 ID:gdc9acus
善子「ここの棚には……鍵が置いてあるわね」
ルビィ「善子ちゃん、こっちの扉は鍵がかかってて進めないよ」
善子「じゃあ、この鍵を使いましょう」
ガチャ
鍵は1回しか使えない……使うとボロボロになって使えなくなってしまう……
善子「1回しか使えないのが不便よね……」
善子「それより、この部屋には勾玉がある可能性があるわ」
ルビィ「善子ちゃん、あったよ」
善子「これで2個目ね。 今のところ順調よ」
319
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:37:32 ID:gdc9acus
カナカナカナカナ……
善子「……窓から夕陽が差し込んでる」
善子「ヒグラシの声も聞こえてくるわね」
ルビィ「っていうことは迷宮の隅っこに来たってことだね」
善子「ええ、そういうことになるわね」
善子「ここのろうそくにも火を点けて……あら?」
ルビィ「どうしての善子ちゃん?」
善子「……階段がある」
ルビィ「え?」
善子「上に行けるようになってるわね」
ルビィ「何だろう? 今までなかったよね?」
善子「ええ……」
ルビィ「どうするの善子ちゃん……」
善子「行ってみましょう」
ルビィ「ええっ!? もし敵しゃんがいたらどうするの!?」
320
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:38:10 ID:gdc9acus
善子「たしかに……いま襲われたら手鏡以外に頼れるものがないわ……」
善子「でも上が気になるのもたしかね……」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「行くわよ……」
ルビィ「そんな……」
私とルビィはおそるおそる上がっていく……
善子「特に広くない、何もないわね……あら?」
ルビィ「何かあったの?」
善子「あれを見て?」
ルビィ「祭壇……?」
321
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:38:54 ID:gdc9acus
ルビィ「じゃあここが出口ってこと?」
善子「いえ、何か違うわね」
善子「この前見たときと違う……何かしら……何かが置いてあるわね」
ルビィ「怖いよ善子ちゃん……壁に鬼のような顔の面が飾ってある……」
善子「ルビィ、その下を見て……何かがあるわ」
ルビィ「善子ちゃん、近づくの? 危ないよ!」
私とルビィは慎重に面が飾られている祭壇に近づく……
322
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:39:35 ID:gdc9acus
善子「これは……勾玉?」
ルビィ「え……? でもルビィたちが集めてる勾玉とは何か違うね」
善子「ええ……大きさは私たちの集めている勾玉より大きいし、色も緑じゃなくて茶色ね……」
ルビィ「なんだろうね、これ……ルビィたちが脱出するのに何か関係があるのかな?」
善子「分からないわ……持っていきましょう」
ルビィ「大丈夫かな……取った瞬間、お化けしゃんとか出てこない?」
善子「……取るわよ」
ルビィ「……」
善子「……」
善子「何も起きないわね」
ルビィ「よかった……」
善子「この大きな勾玉も持っていくわよ」
ルビィ「うゆ」
私たちは祭壇から出て階段を下り、再び迷宮を探索する。
323
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:40:12 ID:gdc9acus
現状、2人が分かっている徘徊者の情報
・神楽鈴の徘徊者
鈴の音を鳴らしながら歩き回る着物を着た徘徊者
顔に能面をつけている
探知方法は視覚と聴覚
・走り廻る徘徊者
手や足のたくさん生えた異形の姿をした徘徊者
顔に能面をつけている
大きな足音を立てながら走りまわっている
足が速いため、もし追いかけられれば逃げ切るのは困難だろう
探知方法は視覚と聴覚(主に視覚)
・泣き声の主
すすり泣きながら暗闇にひそんでいる少女の姿の徘徊者
顔に能面をつけている
探知方法は聴覚(かなり敏感に音に反応する)
爆竹で気を引くのが有効
・憎悪を振りまく影
着物を着た女性の姿をし、おぞましい叫び声を上げながら迫ってくる敵
顔に能面をつけていない
見ると呪いの力で命を削り取られる
探知方法は不明
撒く方法も不明
以前は花丸ちゃんのおかげで助かったが……
324
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:40:50 ID:gdc9acus
善子「この棚には……これは……あったわ! コンパスよ!」
ルビィ「やったね!」
善子「それにしても変わった形のコンパスよね」
ルビィ「それで、どっちに祭壇があるの?」
善子「あっちね、ここからは祭壇を目指しながら勾玉を集めましょう」
善子「それが一番効率がいいわ」
善子「もし祭壇に辿り着いても勾玉がなかったら引き返せばいいだけだもの」
ルビィ「うゆ、先に祭壇を見つけても近くで勾玉を拾えばいいもんね」
善子「それに……あいつが出てくるかもしれないからね……」
ルビィ「……まさか」
325
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:41:38 ID:gdc9acus
善子「あのおぞましい○気を放つあのバケモノよ」
ルビィ「ひぃ……」
善子「あのバケモノは他の徘徊者とは何かが違うわ」
善子「そして撒くことはできない……前回は花丸のおかげで助かったけど……今回はどうなるか分からないわ」
ルビィ「ど、どうしよう善子ちゃん……ルビィたち……」
善子「この前は5つ目の勾玉を取ったら出てきたわ」
善子「それを考えると、祭壇すぐ近くで5つ目の勾玉を取る必要があるわ」
ルビィ「ひぃぃ……無理だよ……こんな広い迷宮で……」
326
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:42:13 ID:gdc9acus
善子「念のため古いカメラも探しておきましょう」
ルビィ「フラッシュバルブ式のカメラだよね」
善子「ええ、電球の入れ替えに時間がかかるけど……強い光で目眩ましできるわ」
善子「作戦はこうよ」
善子「あいつが出てきたらコンパスを頼りに祭壇に向かって走る」
善子「すぐ近くに祭壇があることを想定しているわ」
善子「そして出くわしたらカメラのフラッシュで目眩ましよ」
善子「そして祭壇に辿り着いたらすぐに勾玉を納めて祭壇の奥の鏡から脱出よ」
ルビィ「うゆ……怖いよ善子ちゃん……」
善子「大丈夫よルビィ……私たち2人ならできるわ」
善子(本当は私だって怖いわ……でも私がしっかりしなきゃ……ルビィはどうなるの……)
善子(一緒に脱出する……強い気持ちを持つのよ……)
327
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:42:49 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん、ここにも勾玉が置いてあるよ」
善子「ええ、これで3つ目ね」
ルビィ「カメラも見つけたよ」
善子「ええ、持っていきましょう」
善子「コンパスはあっちね」
ルビィ「うゆ……怖いよ……勾玉を集める度に、あのお化けしゃんが来るかもって……」
善子「……」
328
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:43:21 ID:gdc9acus
善子「鍵のかかった部屋ね……」
ルビィ「ここにも勾玉あるかな?」
善子「ここから部屋の中を覗けるわ……勾玉あるわね」
ルビィ「うゆ、でも鍵がないよ」
シャン……シャン……シャン……シャン……
善子「ちょうど来たわね」
ルビィ「まさか善子ちゃん……」
善子「ええ、今回もやるわよ」
善子「ルビィ、隠れられる場所はある?」
ルビィ「この台の裏かな?」
善子「分かったわ、爆竹を部屋に投げるわよ」
シャン……シャン……シャン……シャン……
329
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:44:06 ID:gdc9acus
善子「……えい!」ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
シャンシャン……シャン……シャン……
善子(隠れるわよ!)
ルビィ(うゆ!)
善子(これで音が鳴っている部屋の中を探すはずよ)
善子(鍵のかかった扉を蹴破ってもらうわ)
330
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:44:38 ID:gdc9acus
シャン……シャン……シャン……シャン……
ドン……ドンドンドン……バァァァァァァァンンンン!!!!
ルビィ(ぴぎぃ!?)
善子(ルビィ! 我慢して! それにしてもすごい力ね……扉が木っ端みじんよ……)
ルビィ(はあ……はあ……)
シャン……シャン……シャン……シャン……
シャン……シャン……シャン……シャン……
331
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:45:21 ID:gdc9acus
ルビィ「どこか行ったね」
善子「ええ、この方法なら鍵を使わずに扉を開けられるわね」
ルビィ「ルビィは怖いからあまりやりたくないよ……」
善子「これで勾玉は4つ……」
善子「次は祭壇を探すわよ、そのあと5つ目の勾玉よ」
ルビィ「うゆ……」
332
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:45:55 ID:gdc9acus
ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」
善子「ルビィ、大丈夫? 息が荒いけど……」
ルビィ「大丈夫だよ……」
善子(ルビィは無理してる……私もきついけど……)
善子(広い暗闇の迷宮……命の危機と隣り合わせ……疲労困ぱいなんだわ……)
333
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:46:33 ID:gdc9acus
善子「あった! 祭壇よ! あとは戻って近くで勾玉を拾うだけ!」
ルビィ「うゆ! やったね!」
善子「5つ目の勾玉を探すわよ!」
────
──
ルビィ「見て善子ちゃん! ここにあるよ!」
善子「あった! ……でも気をつけて、あいつが来るかもしれない」
ルビィ「うゆ……」
善子「取るわよ……」
……
善子「……」
ルビィ「……」
334
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:47:08 ID:gdc9acus
善子「あれ? 来ない?」
ルビィ「よかった……」
善子「来ないならそれでいいわ……よかった……」
ルビィ「祭壇の位置も分かってるし、戻ろう!」
善子「ええ、これで脱出よ」
善子「……」
善子「あの貼り紙……」
善子「……Kって誰だったのかしら」
ルビィ「善子ちゃん! はやく!」
善子「ええ、いま行くわ」
335
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:48:00 ID:gdc9acus
ルビィ「祭壇に着いたよ」
善子「勾玉を納めるわよ」
ルビィ「うゆ」
ギィィィ……
目の前の扉が開いた
善子「あそこにある鏡に触れれば脱出よ!」
ルビィ「やった! 行こう善子ちゃん!」
善子「ええ!」
次の瞬間だった……
シャン!!
私とルビィは落とし穴に落ちた……
下は川になっていて流されていく……
怪我はしなかったけど……
このままどこまで行くのかしら……
────
──
336
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:49:56 ID:gdc9acus
川が氾濫し、すべてのものが流される……
そんな光景が見えた……
────
──
目が覚めると、知らない場所にいた。
ルビィも一緒にいる……私たち助かったのね……
どうやら流されてここに来たみたい……
目の前にあの時の黒猫がいる。
善子「もしかして……あなたが助けてくれたの……?」
善子「……そんなわけないか」
337
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:50:34 ID:gdc9acus
よく見ると鍵をくわえている……
猫はその鍵を地面に置いた。
善子「くれるの……?」
シャリン……
猫は鈴を鳴らしてどこかへと歩いて行ってしまった……
338
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:51:10 ID:gdc9acus
善子「何だったのかしら……」
善子「そうだ……ルビィ、起きて」
ルビィ「うゆぅ……まだ眠いよ、おねいちゃぁ……」
善子「起きなさい」
ルビィ「……あれ? 善子ちゃん……」
善子「ルビィ、まだ脱出できていないわよ」
ルビィ「そんな……」
339
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:51:43 ID:gdc9acus
見渡すとそこは洞窟のような場所だった。
川が流れ、地面はぬかるんでいる。
よく見ると川の端は何か白いもので埋め尽くされている。
ルビィ「なんだろうこれ……」
善子「これって……」
善子「骨……」
ルビィ「ピギィ!?」
善子「大量の骨が水に流されてきているんだわ」
ルビィ「善子ちゃん……何ここ……」
善子「分からないわ……とにかくここから出る方法を探すしかないわね」
340
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:52:13 ID:gdc9acus
─???─
善子「とにかく歩いていくわよ……こんなところに鉄格子の扉がある……」
ルビィ「あっちで鍵拾ったよ」
善子「鍵は2個ね……開けていきましょう」
ルビィ「うゆ……」
ガチャ
小さな川になっている道を進んでいく……足元はびしょびしょだ……
善子「さっきみたいに何か使えるものがないか探しながら進みましょう」
ルビィ「うゆ……あ、善子ちゃん! あっちに何かあるよ」
善子「地面ね……こっちの川は深くて進めないわ……そっちに行くしかなさそうね」
341
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:53:04 ID:gdc9acus
善子「ここは何かしら……」
ルビィ「うゆ……善子ちゃん、レバーがあるよ?」
善子「引いてみましょう」
ザァァァァ……
善子「何の音かしら……」
ルビィ「善子ちゃん! 水が流れる音じゃない?」
善子「水……あっちに行ってみましょう」
342
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:53:37 ID:gdc9acus
善子「川の水がなくなってる……」
善子「あっちで水をせき止めていたのね」
ルビィ「あのレバーを引けば水がなくなるんだね」
善子「ええ、これで前に進めるわ」
ルビィ「これどこに向かってるんだろう」
善子「分からないわ、とにかく進んでこの世界から脱出する方法を考えるしかないわね」
ルビィ「うゆ……」
343
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:54:09 ID:gdc9acus
善子「こっちに棚があるわ……カメラもあるわね」
ルビィ「懐中電灯もあるよ」
善子「らせん階段ね……地の底まで続いているみたい……」
ルビィ「怖いよ……」
善子「こっちで鍵が使えそうよ」
ルビィ「ここを開けて……」
344
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:54:46 ID:gdc9acus
善子「うわ……」
ルビィ「床から下が見えるね……」
善子「足を踏み外して落ちないように気をつけましょう」
ルビィ「下がどうなってるか見えないね……」
善子「あそこに鍵が2つぶら下がってるわ」
ルビィ「こっちの扉は鍵がかかってるよ」
善子「あの鍵を取って進まなきゃ……」
善子「あっ……」
チャリン……
鍵は暗闇の中に消えていった……
345
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:55:18 ID:gdc9acus
善子「1個落としちゃった……」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子(気が張ってて分からなかったけど、私もかなり疲れてるみたいね……鍵を落とすなんて……)
ルビィ「だ、大丈夫だよ、1個残ってるし」
善子「え、えぇ……持っていきましょう」
346
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:56:12 ID:gdc9acus
善子「ここは……この板が橋になっているのね」
ルビィ「こんな細い板を渡るの!?」
善子「それしかないわ……」
ルビィ「おねいちゃぁ……」
板の下は真っ暗闇……落ちればただでは済まない……
善子「ここを渡って……」
ルビィ「はぁ……はぁ……」
善子「ルビィ、大丈夫?」
ルビィ「うゆ……」
347
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:56:42 ID:gdc9acus
私たちは道を進んでいく……
すると、突如、後ろで扉を蹴破る音がした!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「ってちょっと!? 急に鈴の徘徊者が出てきたじゃない!?」
ルビィ「善子ちゃん! 逃げなきゃ! 捕まっちゃうよ!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
348
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:57:15 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「あの部屋! 鏡があるわ!」
ルビィ「出口かな!?」
善子「中に入るわよ!」
ガチャガチャ……
善子「扉に鍵がかかってる!?」
ルビィ「ええ!?」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「このままじゃ追いつかれる!!」
ルビィ「やだぁ!!」
349
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:57:51 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「この部屋以外逃げる場所がない、他に道も部屋もない」
善子「私が鍵を落としたからだわ……」
ルビィ「善子ちゃんのせいじゃないよ!」
善子「でもルビィ……ごめんなさい!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
350
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:58:22 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「ああ!! ○ぬ……」
ルビィ「もうダメ!!!!」
チャリン……
善子「えっ……鍵……」
さきほどの黒猫だ。
どうやら鍵を拾ってくれたようだ。
善子「ありがとう猫ちゃん!! ルビィ! 扉を開けるわよ!!」
ルビィ「ピギィ!? 猫しゃんも逃げて!!」
351
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:59:05 ID:gdc9acus
善子「ああぁ!! 手が震えて鍵がハマらない!!」
ルビィ「善子ちゃん!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「お願いはやく!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
ガチャ
善子「開いた!! 飛び込むわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは部屋に入ると鏡に触れた。
一瞬で景色が別の場所に変わる。
どこかへと移動できたようだ。
352
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 10:59:39 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあ……はあ……」
善子「……」
ルビィ「猫しゃんありがとう……」
善子(正直、もう終わったと思っていたわ……でもなんとかなった……)
善子「問題は……」
善子「まだこの世界から脱出できていないということね」
ルビィ「ぴぎぃ……」
353
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:00:09 ID:gdc9acus
私たちは懐中電灯で前を照らしながら先を進む……
すると……
オオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァ!!!!
どこからともなくあのおぞましい叫び声が聞こえてくる……
善子「嘘でしょ……この状況で……あの○気が……」
ルビィ「もうやだぁ……」
354
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:00:47 ID:gdc9acus
善子「とにかく先に進むしかないわ……」
ルビィ「うゆ……」
善子「あら? ここは開けてる場所ね……」
ルビィ「うゆ……あの岩の上に鍵があるよ」
善子「気をつけてルビィ……」
ルビィが鍵を取ったその瞬間……
オオオオオオオオオオオオァァァァァァァァァ!!!!
ルビィ「ピギィ!? 出たぁぁぁぁ!!!!」
善子「逃げるわよルビィ!!!!」
355
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:01:25 ID:gdc9acus
それは突然現れた!!
能面をつけていない、着物を着た女性の姿のバケモノが甲高い叫び声をあげながら近づいてくる!!
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
おぞましい○気が近づいてくる!!
356
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:01:57 ID:gdc9acus
善子「はあッ……!! はあッ……!!」
ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」
善子「走って!! とにかく逃げるのよ!!」
ルビィ「ぴぎゃあぁあああああ!!!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
357
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:02:34 ID:gdc9acus
ルビィ「ピギィ!! 怖いよお!!」
ルビィは恐怖のあまり後ろを振り向いてしまう。
ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ!!」
善子「見ちゃダメよルビィ!! 目を合わせれば呪いの力で命を削り取られるわ!」
ルビィ「うう……!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
358
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:03:09 ID:gdc9acus
善子「そのカメラのフラッシュで目眩ましをするのよ!!」
ルビィ「カメラ!!」
善子「いい? 1回使うごとに電球を取り替えなきゃいけないわ!」
善子「連続でカメラは使えないの!」
ルビィ「うん!」
善子「つまり、後ろを見ずに走って、あいつが近づいてきたのを察知したら、すかさず振り向いてシャッターを切るのよ!」
善子「そうしなければ電球を切り替える前に追いつかれるわ!」
ルビィ「ぴぎぃ!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
359
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:03:49 ID:gdc9acus
ルビィ「いやああああ!! 怖いよおおおお!!」
パシャ
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
凄まじい光が放たれるとバケモノは叫び声をあげた!!
目が眩んでいるようだ!
動きが止まっている今のうちに逃げられるかもしれない。
360
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:04:21 ID:gdc9acus
善子「ルビィ!! 逃げるわよ!!」
ルビィ「もう無理!! 走れない!!」
善子「走らなきゃ生きて帰れないわ!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
バケモノはまた動き出す……
善子「はあッ……!! はあッ……!!」
ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」
361
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:05:07 ID:gdc9acus
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ガチャガチャ……
ルビィ「善子ちゃん、この扉、鍵がかかってるよ!!」
善子「開けてルビィ!!」
ルビィ「あわわわ……手が震えて開けられない……!!」
善子「はやく!! 追いつかれるわよ!!」
ガチャ
ルビィ「開いたよ!!」
善子「入って!! 走り続けて!!」
362
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:05:42 ID:gdc9acus
善子「はあッ……!! はあッ……!!」
ルビィ「はあッ……!! はあッ……!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
善子「近づいてきたわ!! ルビィ!! カメラの用意よ!!」
ルビィ「うゆ!!」
パシャ
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
善子「すごい叫び声……ッ!!」
ルビィ「ぴぎぃ……もう無理だよ!!」
363
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:06:23 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん!!」
善子「細い板でできた橋……これを渡るの!? こんなところじゃ走れないわよ!!」
ルビィ「ぴぎぃ……!!」
善子「ルビィ、カメラを私に渡して」
ルビィ「善子ちゃんは……?」
善子「あんたが先に行きなさい」
ルビィ「そんな……ッ!!」
善子「はやく!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
364
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:07:05 ID:gdc9acus
バケモノは地面を這いながら迫ってくる!!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
善子「ルビィ、先に行って!!」
善子「十分に引きつけて……」
パシャ
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
ルビィ「はあ……ッ!! はあ……ッ!!」
善子「はあッ……!! はあッ……!!」
365
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:07:38 ID:gdc9acus
善子「渡ったわ!! もっと先に走って!! まだ追ってくるわ!!」
ルビィ「はあッ……!! はあッ……!! もう無理だよ!!」
善子「走ってルビィ!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
366
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:08:15 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
善子「どうしたのルビィ!!」
ルビィ「行き止まりだよ!! 善子ちゃん!!」
善子「えっ!!」
私とルビィが走っていくとその先は行き止まりだった……
他に逃げられそうな場所もない……
367
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:08:47 ID:gdc9acus
善子「嘘でしょ!?」
ルビィ「もうダメ!!」
善子(今度こそおしまい……ごめんねルビィ!)
善子(前は花丸が助けてくれたけど……)
善子(みんなごめん……)
ドォォォォォンンンン!!!!
────
──
368
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:09:18 ID:gdc9acus
善子「あれ……?」
ルビィ「時が……止まってる?」
善子「もしかして……花丸?」
ルビィ「花丸ちゃぁ……」
カンッ!!
上からはしごが……
???「あんたたち!! 大丈夫!? こっちに来なさい!!」
善子「ルビィ!! はしごをのぼるわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私とルビィははしごをのぼっていった……
────
──
369
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:09:50 ID:gdc9acus
???「そして時は動き出す」
おぞましい○気はどこかへと消え去った……
???「はあッ……はあッ……」
そこには1人の少女がいた。
背を向けて、息を切らしている。
あの少女が助けてくれたようだ。
善子「た、助けてくれてありが……」
???「それ以上近づかないで!!」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
370
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:10:28 ID:gdc9acus
???「最初に言っておくわ……あなたたちと馴れ合うつもりはないわ」
善子「あなたが……あの回廊に貼り紙をした K ね?」
ルビィ「この人が Kしゃん?」
K「ええ、そうよ……」
Kはそう言いながら振り向く。
善子「っ!? あなた、その顔の面……」
Kは徘徊者たちと同じ能面をつけていた。
371
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:11:11 ID:gdc9acus
K「この面ね、呪いのようなものよ……彼女に会えば、あなたたちもすぐに分かるわ」
ルビィ「彼女……?」
K「この世界から出る方法を知るとしたら、彼女だけでしょうね」
善子「その彼女って子に会えば出られるのね?」
K「ええ、普段は道が閉ざされていて会うことはできないけれど……」
K「あなたたちなら話は違うわ」
K「ついてきて」
372
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:11:47 ID:gdc9acus
Kについていくと、遠くに不思議な建物が見える場所に来た。
建物のまわりは水で囲まれている。
その建物には鳥居があり、まるで大きな神社のようだった。
K「そこで止まりなさい」
K「あそこよ」
どうやらあの建物に彼女とやらがいるらしい。
K「最奥の部屋で、彼女があなたたちを待っているわ」
K「直接出口を聞きに行くというのなら、止めはしないわ」
373
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:12:21 ID:gdc9acus
K「だけどね、1つ忠告しておくわ。あの子の口車には絶対に乗ってはダメよ」
善子「口車……?」
ルビィ「うゆ……」
K「あと、そこにある水晶玉も持って行きなさい」
K「私の力を閉じ込めてあるわ」
善子「力を閉じ込めてある……?」
K「危なくなったら使いなさい。水晶玉が割れると十数秒、時が止まるわ」
K「それとこれはさっき拾った大勾玉よ」
善子「大勾玉……回廊の2階で拾った何かが違う勾玉ね……これはいったい」
K「さあ、私にも分からないわ」
善子「K、あなたって一体……」
374
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:13:11 ID:gdc9acus
そのときだった……
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
ルビィ「ぴぎぃ!?」
善子「この声は……さっきの……」
K「あの面なしの怪物はあなたたちを追っているわ」
K「他の徘徊者とは一線を画している得体のしれない奴よ」
K「命が惜しいのなら、早く行きなさい」
善子「ありがとう、行くわよルビィ!!」
ルビィ「うゆ、Kしゃんありがとう!」
────
──
375
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:13:54 ID:gdc9acus
私とルビィはあの不思議な建物を目指して歩き出す。
善子「水がすごいわね」バシャバシャ
ルビィ「うゆ……」バチャバチャ
そして、赤い巨大な鳥居の前
つまり建物の前へと辿り着いた。
善子「おそらく中はまた迷宮になっているわ」
善子「ルビィ、あきらめないで行くわよ」
ルビィ「うゆ……」
376
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:14:46 ID:gdc9acus
Kは一体何者なのだろうか……
そして、「彼女」とは……
「出口を知るとしたら彼女だけだ」
良い予感などしなかったが、私とルビィはその言葉だけを頼りに
暗黒の回廊へと足を踏み入れた……
377
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:15:17 ID:gdc9acus
─???─
善子「またあの鈴の徘徊者とかがいるのかしら……」
ルビィ「うゆ……」
善子「中はまた広いわね……壁や床は木でできているのかしら……朱色に塗られているみたいだけど」
ギシ……ギシ……
善子「足音も鳴るわね……どんな徘徊者がいるか分からない以上、慎重に行きましょう」
ルビィ「うぅ……」
378
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:16:00 ID:gdc9acus
善子「おそらく今回も勾玉を5つ集めて祭壇に納めればいいはずよ」
善子「そして奥にいる彼女とかいう子に出口を聞けばいいんだわ」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「どうしたの……ルビィ」
ルビィ「ライターの火が……」
善子「えっ……揺らめいてる……」
ルビィ「うゆ……」
善子「燃料切れかしら……いや違うわね……」
ルビィ「徘徊者しゃん?」
善子「おそらく……近くにいるわ……」
379
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:16:33 ID:gdc9acus
善子「でもおかしいわね……足音も鈴の音もしないわ」
ルビィ「よ、善子ちゃん……!!」
善子「ルビィ、大丈夫よ、落ち着いて隠れれば……」
ルビィ「後ろ……」
善子「ッ!?」
振り向くとそこには足音を立てずにゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者がいた。
顔とおぼしき場所には他の徘徊者と同じように能面がついている。
足が数本生えており、まるで蜘蛛のようだ。
380
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:17:40 ID:gdc9acus
善子「あんなところを歩いていたのね……」
ルビィ「怖いよ……」
善子「大丈夫、まだ気づかれていないわ」
善子「足音を立てずにそっちの台の裏に隠れましょう」
ルビィ「うゆ……」
徘徊者はゆっくりとゆっくりと私たちの目の前を通る……
381
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:18:15 ID:gdc9acus
善子「……」ドクン……ドクン……
ルビィ「……」ドクン……ドクン……
善子(……すごく遅いわね)
ルビィ(あれならもし追いかけられても大丈夫だね)
善子(違うわ……まずアレの接近に気づかずに近寄られたらおしまいよ)
善子(廊下や角でバッタリ出会うわけにはいかないから接近に気がついたら隠れるしかないわ)
善子(さらにあいつの足が遅いことで、私たちは隠れなきゃいけない時間が長くなる)
善子(そうなればジリ貧よ)
ルビィ(ぴぎぃ……そっか……他の徘徊者しゃんもいるんだもんね……)
善子(ええ、しかも追いかけられたら、他の徘徊者と出くわすリスクもあるわ……)
ルビィ(怖いよ……ずっと隠れてなきゃいけないなんて……)
382
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:18:50 ID:gdc9acus
善子「……」ドクン……ドクン……
ルビィ「……」ドクン……ドクン……
善子(足音がしないから近くにいるのか、遠くにいるのか分からないわ)
善子(確認するために顔を出せば見つかる可能性もある……)
ルビィ(はあッ……はあッ……)
善子(ルビィ、我慢して……)
ドクン……ドクン……
383
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:19:24 ID:gdc9acus
善子「……」
ルビィ「……」
善子(どこかに行ったかしら……それさえも分からないわ)
ルビィ(うゆ……あ、ろうそくの火がつきはじめてるよ)
善子(ということはどこかに行ってるみたいね……)
善子「もう大丈夫……とはいえないわね」
ルビィ「なんで?」
善子「移動速度が遅いということは、私たちがいそいで探索すればまた出くわす可能性があるということよ」
善子「ジリ貧の状況で、焦ったりすることも許されないのよ」
ルビィ「ひぃぃ……」
384
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:19:54 ID:gdc9acus
善子「とにかく先に進むわよ……」
ルビィ「うゆ……」
善子「コンパスはこっちを指しているわね」
ルビィ「さっきの徘徊者しゃんがどっちに行ったか分からないから、進むの怖いなあ……」
善子「そうね……あの徘徊者がいるだけでもプレッシャーね……」
善子「ここの棚も調べて……そっちのタンスには何かある?」
ルビィ「ううん……特にはないよ」
385
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:20:33 ID:gdc9acus
ルビィ「あ、見て善子ちゃん! あそこに勾玉があるよ!」
善子「本当ね……でも取らないほうがいいかもしれないわね」
ルビィ「え?」
善子「前にもあったでしょ、あれはおそらく罠よ」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
善子「そう、あの勾玉を取ろうとして部屋に入ったら奥から何かが飛び出してくるわ」
善子「そうでなければあんなところに勾玉を置いたりしないわ」
善子「前と同じなら奥から鈴の徘徊者が出てくるはずよ」
ルビィ「そんなぁ……」
善子「もしやり過ごしても、この迷宮の中に鈴の徘徊者が1体追加されることになるわ」
ルビィ「うゆ……」
386
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:21:09 ID:gdc9acus
善子「ここの勾玉を取るなら隠れる場所を探さなきゃならないわね……」
ルビィ「でも徘徊者しゃん増えちゃうんだよね……」
善子「ええ、その分、脱出が難しくなるわ」
ルビィ「ひぃぃ……」
ルビィ「まだ勾玉1個も取ってないから、やめとこうよ」
善子「……そうね、後回しでもいいわね」
ルビィ「追いかけられずに済むよ……」
善子「あとで来るかもしれないけど」
ルビィ「ピギィ!?」
387
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:21:40 ID:gdc9acus
善子「ほかの勾玉を取りにいきましょう」
善子「これだけ広い回廊よ、他にも勾玉があるはずだわ」
ルビィ「うゆ……」
善子「コンパスはこっちを指してるから……」
ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ?
ルビィ「ぴぎぃ!?」
善子「ルビィ、静かにして」
善子「泣き声の主よ……耳がいいから気をつけて」
ドコニイルノ……ドコニイルノ……
388
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:22:12 ID:gdc9acus
善子「泣き声の主はろうそくの火が揺らめかないからどこにいるか分かりにくいわね」
ルビィ「うゆ……どこにいるんだろう?」
ドコ……ドコニイルノ……
ドコニイルノ?
善子「!? しまった!! 目の前にいるわ!! 廊下を歩いていたんだわ!!」
ルビィ「ぴぎゃぁ!? なんで普通に廊下を歩いてるの!?」
善子「暗くて見えなかった!! まさかここまで接近されているなんて!!」
ドコニイルノ!!
389
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:22:52 ID:gdc9acus
善子「見つかった!! 逃げるわよルビィ!!」
ルビィ「うゆ!!」
ドコニイルノ!!
善子「追ってくるわ!! すごく足が速いわね!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!」
善子「ルビィ!! そこの扉閉めて!!」
ルビィ「分かったよ!!」
390
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:23:27 ID:gdc9acus
ドコニイルノ!!
ダンッ!! ダンダンダンッ!! バァァァァァァァンンンン!!!!
善子「扉を蹴破ってきた!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! すごい力だよ!!」
善子「しかも待って!! 向こうに何かいる……あれは!!」
ルビィ「足音が鳴らない徘徊者しゃんだよ!!」
善子「まずい!! はさみうちされてしまうわ!!」
ドコニイルノ!!
391
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:24:00 ID:gdc9acus
善子「このままだとあの忍び寄る徘徊者にもバレるわ!!」
バレた────ッ!?
アヒャヒャヒャヒャヒャ!!
その異形の化け物は飛び跳ねながら追いかけてきた!!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! あっちの徘徊者しゃんは笑いながら追いかけてくるよ!!」
善子「もうダメ!!」
そのとき私は Kから渡された水晶玉を無造作に投げた!
無駄だと分かっていても抵抗するつもりで振った手だった。
水晶玉は手から投げ出され、床に落ちて割れた!
パリィィィィィンンンン!!!!
キュキュキュキュキュキュ……
392
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:24:37 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……時間が……止まった……!?」
見ると徘徊者たちは動かなくなっていた。
ルビィ「善子ちゃん!! 今のうちに逃げよう!!」
善子「そ、そうね! 今のうちに逃げるわよ!!」
私とルビィはその場から走り去った……
そして時は動き出す……
393
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:25:07 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「なんとか撒いたわね」
ルビィ「うゆ……もうダメかと思ったよ……」
善子「Kのおかげで助かったわ……」
ルビィ「怖かったよ……」
善子「ここは前の回廊と違って接近に気づきにくい敵が多そうね……気をつけましょう」
私とルビィは再び廊下を進んでいく……
394
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:25:38 ID:gdc9acus
現状、2人が分かっている徘徊者の情報
・忍び寄る徘徊者
音もなく回廊をゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者
顔とおぼしき場所には能面をつけている
接近に気づくのは難しく、どこにいるのか分かりにくい
探知方法は視覚と聴覚
2人の走る足音にも反応するようだ
395
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:26:10 ID:gdc9acus
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「あいつもいるのね……走り廻る徘徊者……」
ルビィ「うゆぅ……」
善子「やり過ごして先に進みましょう」
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「どこかに行ったわね……」
善子「こっちのタンスも探して……」
ルビィ「善子ちゃん、鍵も見つけたよ」
善子「ええ、ありがとうルビィ」
ルビィ「鍵のかかった部屋には勾玉があるかもしれないもんね」
善子「そうね、まだ勾玉が1つも集まっていないものね」
396
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:26:42 ID:gdc9acus
ガチャガチャ……
善子「ここが鍵がかかった部屋ね……」
ルビィ「鍵で開けるよ」
善子「ええ、頼むわね」
ガチャ……
ザァァァァ……
善子「あった、勾玉ゲットね」
ルビィ「やっと1つ手に入ったよ……」
397
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:27:14 ID:gdc9acus
善子「コンパスはこっちを指してる……だけど行き止まりだから引き返してあっちの道を……」
ルビィ「善子ちゃん、あそこにも勾玉があるよ」
善子「本当ね、取りにいきましょう」
ザァァァァ……
扉を開けたその瞬間だった!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
奥の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!
善子「嘘でしょ!?」
ルビィ「ピギィ!!」
善子「罠部屋だったの!?」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
398
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:28:35 ID:gdc9acus
善子(まずい!! 逃げ遅れた!! 目の前まで来てる!!)
ルビィ「ぴぎぃ!!」
ルビィは咄嗟に手鏡を使った!
景色が別の場所へと変わる。
私たち2人は別の場所へと移動したようだ。
善子「ワープしたみたいね……ここがどこか分からないけど……助かったわ、ルビィ」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「……迂闊だったわ、罠だと気づけなかった」
ルビィ「ごめんね、善子ちゃん……ルビィのせいで大事な手鏡を使っちゃって、それに徘徊者しゃんも増えちゃった……」
善子「ルビィ……大丈夫よ、ルビィは悪くないわ……あのままだったら2人とも○されていたかもしれないわ。私だって罠だと気づけなかったし、水晶玉のことだって使ってしまったのは私だし」
ルビィ「……うぇぇぇぇんんんんごめんなさい……うぅ……」グスン
善子「泣かないで、大丈夫よ」
ルビィ「うぅ……」グスン
399
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:29:18 ID:gdc9acus
善子(ルビィも疲れているのね……)
善子(でもまずい状況になったのは事実……)
善子(いま身を守るものが何もなくなってしまった……)
善子(時を止める水晶玉、ワープできる手鏡、徘徊者を一時的に怯ませられるカメラ……)
善子(どれも使ってしまった……いま襲われれば助からないわ)
善子(さらに徘徊者が追加されてしまった)
善子(この状況で身を守るものを探しつつ、勾玉を探す……あと4つも)
善子(状況としてはかなりきびしいわね……)
400
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:29:51 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃぁ……」グスン
善子「大丈夫よ、ルビィ……私たちは今までだってAqoursとしてきびしい練習をしてきた、どんな問題だって乗り越えてきたわ」
善子「それに比べればたいしたことない、きっと無事に帰ってまたみんなに会えるわ」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「だから泣かないで、先に進むわよ」
ルビィ「うん!」
私たちは暗闇の中を進んでいく……
401
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:30:22 ID:gdc9acus
善子「次は……ここも鍵のかかった部屋ね……」
ルビィ「ここは開けられないね」
善子「徘徊者に開けてもらう方法もあるけど……」
そこまで言いかけてやめる。
身を守るものがないから襲われたらひとたまりもない、徘徊者に開けてもらうのはやめましょう……
そんなことを言えば、優しいルビィはきっと傷つくわ……自分のせいでこうなったんだって……
誰も悪くない……こんな状況でも絶対あきらめない……
善子「……」
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「……鍵がかかってるなら鍵を探さなきゃダメね」
ルビィ「うん……?」
ルビィだってつらいはずよ……私がしっかりしなきゃ……
402
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:31:00 ID:gdc9acus
善子「……はあッ……はあッ」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「大丈夫よ、ちょっと疲れただけ」
ルビィ「うゆ……」
善子「鍵はどこかしら……」
ルビィ「ここの棚は……あっ、あったよ」
善子「ありがとうルビィ、戻って勾玉を探しましょう」
ルビィ「うゆ!」
403
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:31:30 ID:gdc9acus
善子「あった! 勾玉よ! これで2つ……」
ルビィ「ひかり石もあったよ」
善子「これも何かに使えそうね」
善子「コンパスはあっちを指してるわ……あっちに行ってみましょう」
ルビィ「うゆ!」
グスン……グスン……
善子「今度は泣き声の主ね……あそこの広い部屋にいるのかしら」
ルビィ「そうだね……今度は廊下を歩いていないよね」
善子「気をつけて確認しましょう……大丈夫そうね」
ルビィ「じゃあ、あそこに勾玉が……」
善子「あるかもしれないわね……気をつけて取るわよ」
404
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:32:07 ID:gdc9acus
善子「隠れる場所はある?」
ルビィ「あそこの裏とか……」
善子「大丈夫そうね……爆竹で誘導するわよ、えいっ」ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……
善子「気を引くことができてるわね、勾玉を取って……これで3つ」
ルビィ「次に行こう、善子ちゃん」
善子「ええ、脱出するわよ、ルビィ」
405
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:32:38 ID:gdc9acus
善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」
善子「ここは一本道なのかしら?」
ルビィ「……」
ガラガラガッシャーン!!!!
ルビィ「ピギィ!?」
善子「何!?」
振り返るといままで歩いていた道が塞がれていた
建物が崩れて、天井から木や土、棚が降ってきて道を塞いでしまったのだ
善子「これじゃ後ろに戻れないじゃない……」
ルビィ「うゆ……怖かった……巻き込まれなくてよかったね……」
善子「本当ね……建物が古いからところどころ崩れたりするみたいね」
私たちは先を進む。
406
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:33:26 ID:gdc9acus
善子「今度はこっちを行って……あら? 綺麗な場所に出たわね」
ルビィ「水が引いてあるね、灯籠も浮かんでるよ」
善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」
善子「え……行き止まり?」
ルビィ「えっ?」
善子「待って、ここまで一本道……後ろは道が塞がっている……」
ルビィ「出られないってこと……?」
善子「嘘でしょ……」
ルビィ「うゆ……」
善子(この世界から出る前に、閉じ込められてこの場所から出られないなんて……)
407
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:33:59 ID:gdc9acus
ルビィ「あ、あそこに勾玉があるよ!」
善子「取りましょう……これで4つ……でも閉じ込められたから、祭壇まで行く方法がない……」
ルビィ「うゆ…………うゆ? 善子ちゃん!」
善子「どうしたのルビィ」
ルビィ「ここに手鏡が置いてあるよ!」
善子「!? 本当だわ……これでこの場所から脱出できる!!」
ルビィ「うゆ!」
善子「飛ぶわよ!!」
手鏡に触れると一瞬で景色が変わる。
どうやら別の部屋に移動できたようだ。
408
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:34:34 ID:gdc9acus
善子「ここは……ここって……」
ルビィ「罠部屋の前だよ! あとで来るかもって言って、取らなかった勾玉がある!」
善子「ここなのね……そしてまだ罠が残ってる……中には鈴の徘徊者がいる……」
ルビィ「うゆ……」
善子「……ルビィ、あれをやるわよ」
ルビィ「まさか……」
善子「前やったでしょ、ひかり石で道を作るのよ」
ルビィ「ぴぎぃ! また走るの!?」
善子「ええ、やるわよ、隠れる場所を探して」
私たちはひかり石を廊下に置いていき、隠れるための行李まで道しるべを作った。
409
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:35:15 ID:gdc9acus
善子「これでよし、徘徊者に追いかけられている間は明かりが消えてしまうわ」
善子「でもこの石の光は消えることがない」
善子「だから暗闇の中にひかり石で道を作ることで迷わず走ることができるわ」
ルビィ「うゆ……追いかけられるの怖いよ」
善子「大丈夫よ、ここで勾玉を取れば5つ揃うわ、そうしたらコンパスが指すほうに歩くだけだもの」
ルビィ「うゆ……頑張るよ……」
善子「部屋に入るわよ……」
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
予想通り奥から神楽鈴の徘徊者が出てきた!
善子「来たわよ! ルビィ、走って!!」
ルビィ「ピギィ!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
410
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:35:46 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
私たちは暗闇の中に光る道を走っていく!
善子「あった! つづら箱よ!! 中に隠れるわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは2人で箱の中に隠れた!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
411
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:36:17 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
シャン……
シャン……シャン……シャン……シャン……
シャン……シャン……シャン……シャン……
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……見失ってくれたみたいね」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「しばらく待ってあの鈴の徘徊者がいなくなったら勾玉を取るわよ」
ルビィ「うゆ……」
────
──
412
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:36:49 ID:gdc9acus
善子「あった、勾玉よ」
ルビィ「うん、これで5つだね」
善子「……あら? 奥に部屋があるわ……」
善子「祭壇……そして鬼の面……」
ルビィ「前の回廊であった、大勾玉の祭壇と同じだね」
善子「ええ、これも持って行きましょう……これで大勾玉は3つよ」
善子「勾玉が5つそろった、あとは祭壇に行って勾玉を納めればいいだけ」
ルビィ「コンパスはあっちを指してるよ」
善子「そっちね、行きましょう」
────
──
413
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:37:21 ID:gdc9acus
私たちはなんとか祭壇に到着した。
その場所はまわりを湖に覆われていた。
そして湖には大きな赤い鳥居がある。
善子「地下に大きな湖があるなんてね」
ルビィ「うゆ、善子ちゃん、勾玉を納めようよ」
善子「ええ、そうね」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
私たちが勾玉を納めると湖の水が割れていき、その中から橋が出てきた!
ルビィ「わあ、すごい!」
善子「この橋を渡れってことね」
414
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:38:19 ID:gdc9acus
私とルビィは橋を渡る……
ルビィ「見て善子ちゃん、橋を渡った先、あそこに鏡があるよ」
善子「これで脱出できるのかしら……」
善子「だとしたら Kの言っていた 彼女って誰なのかしら」
橋を渡った先で鏡に触れた。
すると景色が一瞬で変わった。
どこかへと移動したようだ。
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