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ヤムチャ「ここがハンター試験会場か……!」
1
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:48:45 ID:dfsL1CCM
人造人間との戦いまであと二年を切っていた。
ヤムチャは悟空たちと別に修行を重ねていたが、
自分の力の限界を感じていた。
フリーザより強いとされる人造人間……。
正直ついていける気はしなかったが、もう足手まといになるのもこりごりだった。
ヤムチャは悩みぬいた末、一つの決断を下した。
ドラゴンボールを集め、神龍を召還したのだ。
神龍「さぁ願いを言え……。どんな願いも一つだけかなえてやろう……」
ヤムチャ「お、オレでも満足に修行できる場所に送ってくれ!!」
神龍「それがお前の願いか……?」
プーアル「ヤムチャさま! ボクもご一緒させてください!!」
ヤムチャ「ああ! 神龍! オレとプーアルを、だ。
オレだってもっと強くなりたい……!! 頼む! 神龍!!」
神龍「わかった……」
神龍の目が光り、フッ、とヤムチャとプーアルの姿が消える。
その瞬間、ヤムチャとプーアルは地球から消えた。
90
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/01/26(土) 10:58:20 ID:r5hiWaLc
亀仙人最強説だな
91
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:52:55 ID:pWKe3jUQ
つづきです
ハンター試験を終えたヤムチャたち(ヤムチャは不合格だった)。
ヤムチャは行動を共にしたクラピカと話し合い、この地球がどうやら
自分がいた地球とは別の星であることに気付いた。
最初は驚いたヤムチャであったが、まぁそれはそれでいいとして納得していた。
それよりも、戸籍もなにもないヤムチャではまともな職もアルバイトにも就けるはずもなく、
プロハンターのクラピカ助手として、『賞金首(ブラックリスト)ハンター』の手伝いをして
修行も兼ねた生活を続けていた。
クラピカは出かけていてヤムチャ一人だった、そんなある日。
ヤムチャ達の寝泊りする安ホテルに、男が訪ねてきた……
92
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:54:22 ID:pWKe3jUQ
男「おう、アンタがヤムチャか!」
ヤムチャ「誰だあんた? オレに何か用か?」
ガタイの良い男だった。顔には傷が入っていて、只者ではない空気を纏わせていた。
男「ヤムチャ、おまえは最近、『賞金首(ブラックリスト)ハンター』として名を売ってるそうじゃねぇか」
ヤムチャ「だったらなんだ?」
男「おまえの腕を見込んで、スカウトしに来たんだ」
男「ヤムチャ、おまえオレのとこの陰獣にならねェか?」
93
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:54:57 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「なんだって! そ、それは本当か!? ヤムチャ!」
ヤムチャ「本当だって、本当本当。で、陰獣ってなんなんだ?」
ヤムチャは帰ってきたクラピカに事の次第を話した。
クラピカは驚いていた。
クラピカ「陰獣とは、世界中のマフィアを束ねる十老頭。それぞれの長の、
組織最強の武闘派を用いて結成された……言ってしまえばマフィアの最高戦力部隊だ」
ヤムチャ「マフィアの!? うぇ! そ、それって結構ヤバい奴らなんじゃ……」
クラピカ「そうだ。この世界の裏の支配者(フィクサー)の兵隊だ」
ヤムチャ「うーん……マフィアか……」
94
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:55:39 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「ヤムチャ、受ける必要はない。陰獣に入れば否応が無くマフィアの敵を殺さねばならなくなる」
クラピカ「大抵はクズだろうが……。中には殺すべきではない相手を殺せと言われることもあるだろう」
クラピカ「キミには向いていない」
ヤムチャ「よし、受けることにするよ」
クラピカ「ヤムチャ!?」
ヤムチャ「だって、マフィアの最高戦力だぜ?」
ヤムチャ「ってことは、幻影旅団の情報が入ってくる確率は高いんじゃないか?」
クラピカ「!!」
95
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:56:15 ID:pWKe3jUQ
クラピカはつい先日、マフィアのノストラードファミリーの用心棒として雇われていた。
『緋の眼』を探すためには必要なことだとヤムチャを納得させて。
クラピカ「た、確かにそうだが……」
クラピカ「十老頭はヨークシンの闇オークションを取り仕切っている……」
ヤムチャ「だろ? だったら緋の眼を探すのにも役立つし、一石二鳥じゃないか」
プーアル「さすがですヤムチャさま〜」
クラピカ「し、しかし一度陰獣に入ればそう簡単には抜けられなくなるぞ」
ヤムチャ「ま、そんときはそんときに考えるさ。それに……」
ヤムチャ「いざとなったら、力付くで抜けてやるさ!」
96
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:56:51 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「…………」
クラピカ「……ヤムチャ」
ヤムチャ「ん?」
クラピカ「……すまない」
ヤムチャ「いいってことよ」
97
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:57:29 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャは十老頭の使いに返事を出した。
そして、正式に陰獣となった。
ほかの陰獣に挨拶したいというヤムチャのため、
何人かの陰獣が集められた。
ヤムチャ「おす! オレが先日陰獣にはいりましたヤムチャです」
陰獣たち「……」
ヤムチャ「コードネームはまだないんだけど……」
ヤムチャ「な、仲良くしてくれよな……はは……」
98
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:58:08 ID:pWKe3jUQ
病犬「おい、新入り」
ヤムチャ「お、なんだなんだ! 何でも聞いてくれよな」
病犬「オレは病犬ってんだ。おまえの念能力はなんなんだ?」
ヤムチャ「えっ?」
病犬「新入りは念能力をメンバーに包み隠さず明かすキマリだぜ?」
病犬「オレたちは仲間なんだからよ」
病犬「隠し事はなし、ってわけだ」
豪猪(病犬のイビリが始まったんだな、うん)
蛭(くっくっくっ、そう言ってアイツの念能力だけ聞きだして)
蚯蚓(自分は教えない……良い性格してるぜ……)
ヤムチャ「ああ、えーっと……」
ヤムチャは念の修業を受けた時を思い返す――。
99
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:58:41 ID:pWKe3jUQ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イスナビ「ヤムチャ、その気の力ってやつは、できる限り隠しておけ」
ヤムチャ「えっ? どういうこと」
クラピカ「ワケを聞いてもいいか」
イスナビ「……いいか、その気と念は、よく似ているが全くのべつもんだ」
イスナビ「生命エネルギーが具象化したものなのは同じだが、質がまるで違う」
イスナビ「気を無理やり念で例えると、強化系と放出系を100%極められる特質系ってことになる」
イスナビ「ハッキリ言おう」
イスナビ「これは念能力の概念を根本から覆しちまうシロモノだ」
100
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:59:19 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「そうなのか……?」
イスナビ「前に話したように、念にはいくつかの決まりがある」
イスナビ「一つは念能力は本人の資質に大きく左右される」
イスナビ「そもそもどの系統の力が身につくかという点」
イスナビ「発現した能力がどんなものになるかという点」
イスナビ「能力の限界強度はあくまで、基本的には人間の限界を超越しない点」
イスナビ「だが、気は違う」
101
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 14:59:56 ID:pWKe3jUQ
イスナビ「ヤムチャの話とクラピカの気の習得具合を見るに」
イスナビ「気は誰でも同じ能力が習得可能なんだろう?」
イスナビ「これは非常に危険な話だ」
ヤムチャ「なんで……?」
クラピカ「どんな人間でも習得でき、一定以上の強さを発揮する……」
クラピカ「能力は人の善悪を選ばない」
ヤムチャ「!」
イスナビ「……そういうことだ」
102
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:00:46 ID:pWKe3jUQ
イスナビ「その力をもし極悪人が――」
イスナビ「例えば、おまえが追ってる幻影旅団の人間が手にしたらどうなる?」
ヤムチャ「……」
クラピカ「……」
イスナビ「そういうことだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
103
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:01:20 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「ああ、オレは強化系なんだ!」
病犬「強化系……」
蛭(ということは固有な能力は持ってないってことか……)
豪猪(ある意味期待外れなんだな、うん)
病犬「だったら練を見せてみろよ」
ヤムチャ「ああ、いいぞ(軽く軽ーく……)」
ヤムチャ(このくらいかな……)
ボ ッ
104
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:01:55 ID:pWKe3jUQ
病犬「……!」
蛭(へぇ……)
豪猪(なかなかのオーラなんだな、うん)
病犬「……やるじゃねぇか」
ヤムチャ「あっ、おい! あんたたちの能力は……」
病犬「ま、そのうち教えてやるよ。クククッ……」
ヤムチャ「そ、そうか……」
ヤムチャ「なあ、オレは何してたらいいんだ?」
病犬「好きにしてろよ。オレたちは十老頭からお呼びがかかったら動くが、
それ以外の時は好き勝手してるぜ」
ヤムチャ「そうか……。じゃ、オレはとりあえず帰るわ」
ヤムチャ「これからよろしくな、病犬と、えーっと……」
豪猪「豪猪なんだな、うん」
蛭「オレは蛭……」
蚯蚓「蚯蚓だ……」
ヤムチャ「じゃーな、豪猪! 蛭! 蚯蚓!」
105
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:02:29 ID:pWKe3jUQ
格安ホテル
プーアル「あ、ヤムチャさまおかえりなさい〜」
ヤムチャ「おう、帰ったぜ。アレ? クラピカは?」
プーアル「クラピカさんはお仕事で今日は帰れないそうです」
ヤムチャ「そっか、ならしばらくお前と二人だな」
プーアル「そうですね〜」
106
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:03:43 ID:pWKe3jUQ
そしてしばらくは何もない日々が続いた。
ヤムチャはくそまじめに基礎的な修行に励んでいた。
ヤムチャ(今までの修行を思い出すんだ……)
ヤムチャ(心を無にして……雷より素早く動く!)
ヤムチャ(気に頼るんじゃなく、空気のちょっとした流れを感じるんだ……)
そして、ある日。ヤムチャに十老頭から司令が入る。
オークションの競売品が賊に奪われた。
賊は只者じゃなく、念能力者である。とのことだった。
ヤムチャは急いで現場に向かった。
107
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:04:15 ID:pWKe3jUQ
郊外の砂漠
ヤムチャはクラピカの気を感じ、先にそちらに向かった。
クラピカたちは既にほかの陰獣たちと接触していた。
ヤムチャ「あ、やっぱりクラピカか!」
クラピカ「や、ヤムチャ! そうか、陰獣になったんだったな……」
ダルツォルネ「クラピカ……そ、その男も陰獣か」
クラピカ「はい。ヤムチャと言います。私の師の一人です」
スクワラ「なっ! クラピカおまえ陰獣とつながりがあったのか……!?」
バショウ「ただものじゃねーとは思ってたが……」
センリツ(この人、とても暖かい音をしている……)
108
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:04:47 ID:pWKe3jUQ
病犬「ヤムチャか、遅かったじゃねーか」
豪猪「今から殺しに行くんだな、うん」
蛭「ま、新入りのおまえは黙って見てるといいぜ」
ヤムチャは遠くのウヴォーギンを見た。
そして言った。
109
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:05:41 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「あ、あのさ。オレ一人にやらせてくれない……?」
病犬「なんだと!?」
豪猪「何を言ってるんだな、うん」
ヤムチャ「いや、さ。ほらオレ入ったばかりの新入りじゃん」
ヤムチャ「手柄を立てて認められたんだよなーって……」
陰獣たち「……」
ヤムチャ「あ、無理ならいいんだよ無理なら! オレが手柄全部もってくのもアレだし……」
病犬「なに……!」
豪猪「まるで一人でもあいつに勝てると言ってるんだな、うん」
クラピカ(ヤムチャ……優しい男だ)
110
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:06:14 ID:pWKe3jUQ
クラピカ(あの蜘蛛の男の放つオーラはこの陰獣たちより圧倒的に上だ)
クラピカ(戦えば間違いなく全員殺されるだろう)
クラピカ(それを……この男は……)
病犬「けっ、じゃあ良いぜテメェに譲ってやる!」
蛭「せいぜい殺されてこい」
豪猪「骨くらいは拾ってやるんだな、うん」
ヤムチャ「サンキュー!」
クラピカ「ヤムチャ!」
111
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:06:52 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「なんだクラピカ」
クラピカ「できるなら、生かしたまま捕えてほしい」
ダルツォルネ「クラピカ! 何を言っている!?」
スクワラ「あの化け物を生かしたまま捕える……? 無理に決まってんだろ」
ダルツォルネ「すまない、今のは気にしないでくれ……」
ヤムチャ「いやいいぜ。元から殺すつもりはねーしな」
クラピカ、センリツ以外「!!!?」
センリツ(心音は安定してる……この人はウソを言ってるつもりでも、
強がりでもないわ……本心でできると思ってる……)
センリツ(それにこのクラピカの音からは圧倒的な信頼が聞き取れるわ……)
112
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:07:27 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャは堂々と、正面からウヴォーと対峙した。
ウヴォーギン「おっ、陰獣のおでましか」
ヤムチャ「ああ、オレは陰獣のヤムチャだ」
ヤムチャ「おまえをとらえに来た。よろしくな」
ノブナガ「ウヴォーに正面から挑みに来るたぁな」
シズク「ただのバカなのかな?」
シャルナーク「いや、それだけ自信があるってことかもしれない」
フェイタン「なんにせよあいつオワリね」
113
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:08:01 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ(崖の上にもいるのか……)
ウヴォーギン「おい、よそ見してると死ぬぜ」
ヤムチャ「ん? ああ悪いな」
ヤムチャ、腰だめに構えをとる。
ヤムチャ「さ、どっからでもかかってこい!」
114
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:08:38 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「……てめぇ強化系か」
ヤムチャ「ああそうだ。なんでわかったんだ?」
ウヴォー「ハッ! 面白れェ! じゃあいっちょやりあうか!!」
ウヴォーギンがオーラを纏ってヤムチャに突進した。
繰り出された右拳は並の強化系なら硬で固めても即死するほどの威力を秘めている。
それを、ヤムチャは正面から掌で受け止めた。
ウヴォー「何!?」
ヤムチャ「なるほど、確かに凄いパンチだな」
115
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:09:34 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャはウヴォーの手を払った。
再び距離が開く。
ウヴォー「オレのパンチを片手で止めただと……」
ヤムチャ「手加減なんかする必要ないぞ! 全力でこい!」
ウヴォー「!!」
ノブナガ「ウヴォーのパンチを止めただと……」
シャルナーク「うーん、どういうことなんだろう。
あいつ、オーラを纏っているようには見えないけど」
シズク「ヤバそうな感じ?」
マチ「すごくやな予感がするんだけど……」
フェイタン「ウヴォーも本気だすね」
116
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:10:07 ID:pWKe3jUQ
ウヴォーの叫びと共に、体から圧倒的なオーラが発せられる。
それがひとしきり爆発し終わると、ウヴォーギンの体を纏うように収縮した。
ヤムチャ「……」
ウヴォーギン「これがオレの100%だ。どうした、ビビったか?」
ヤムチャ「思ってたより強いな、正直びっくりしたぜ」
ウヴォーギン「ハッ! 言うじゃねぇか!!」
ウヴォーギン「『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』!!!!」
117
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:10:57 ID:pWKe3jUQ
ウヴォーギンは再び突進した。そのスピードは先程の比ではない。
その拳は無防備なヤムチャの右頬をたたいた。
爆発音が響き、その光景を見ている者は様々な表情を浮かべた。
ある者は終わったとほくそえみ。
ある者は圧倒的な破壊の力におののき。
ある者は――。
クラピカは――――微笑みを浮かべていた。
118
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:11:43 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「……バカな……」
ヤムチャ「いやーすげーパンチだ。結構痛かったぜ」
旅団たち「!!!!?????」
ノストラード組「!!!?」
クラピカ「さすがだ……。さすがはヤムチャだ」
119
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:12:49 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「そんなバカな……オレは間違いなく本気で撃ったぞ……」
ヤムチャ「おう、確かにすげー威力だったぜ」
ウヴォー「こんなことが……」
ウヴォー「う、うおおおおおおおおおお!!!!!」
ウヴォーギンは狂ったように拳を振るった。
それをヤムチャは涼しい顔で躱していく。
120
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:13:49 ID:pWKe3jUQ
シャルナーク「……」
ノブナガ「おいシャル! 何やってんだ……?」
マチ「何って、逃げるのさ」
ノブナガ「!?」
シズク「ウヴォーギンが正面から勝てそうにないなら、
ここにいる誰もあの陰獣には勝てないでしょ?」
フェイタン「そういうことね、退くが正解よ」
ノブナガ「ふざっけんな!! ウヴォーが負けるかよ!!!」
ノブナガ「仮にウヴォーが勝てなくても、全員で掛かりゃあ……」
121
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:14:23 ID:pWKe3jUQ
シャルナーク「それはだめだ。陰獣は全員で10人いるんだよ」
マチ「ウヴォーと戦ってるやつ以外が、どこで狙ってるか分からないからね」
シャルナーク「あの男が陽動だったらどうするんだ?」
シャルナーク「オレたち全員があいつに釘付けにされてる間に、
背後から『そういう』念能力で襲われたら」
フェイタン「最悪、全滅ね」
ノブナガ「くっ……」
マチ「一応……」ヒュッ
122
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:15:22 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「ハァッ……ハアッ……」
ヤムチャ「攻撃は終わりか? じゃあこっちから行くぜ」
ウヴォー「おめぇら!!!」
ウヴォーは叫んだ。
ウヴォー「逃げろ!!!!」
ヤムチャは察した。崖の上の気配が消えている。
123
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:15:56 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「おまえ……」
ウヴォー「さ、これで何も気にせずやりあえるぜ……」
そういうと、ウヴォーギンのオーラはさらに倍に膨れ上がった。
誰かを守る時、誰かのために戦う時、ウヴォーギンはさらに強くなる。
しかし――……
124
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:16:38 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「……」
ウヴォーが殴りかかる。
ヤムチャはそれより速くウヴォーの懐に潜り込み、
その腹にひじを撃った。
ウヴォー「がっ……!」
ヤムチャ「……」
ウヴォーは気絶した。
気絶したウヴォーを抱えて、ヤムチャはクラピカたちの所に行った。
――それでもなお、ヤムチャは強かった。
125
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:17:20 ID:pWKe3jUQ
ヤムチャ「……悪いクラピカ。他は逃げられちまった」
クラピカ「構わない。ありがとうヤムチャ」
ダルツォルネ「…………」
クラピカ「リーダー」
ダルツォルネ「……ん、ああ」
クラピカ「まずこの男はうちで預かりましょう。
この男から情報を吐かせるだけ吐かせてみせます」
ダルツォルネ「え、いやしかしコミュニティに……」
ヤムチャ「あ、いいですよ。そっちはオレがなんとか連絡しとくから」
ダルツォルネ「ああ。わ、わかった……」
そうして、クラピカたちはウヴォーギンを連れていった。
126
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:18:10 ID:pWKe3jUQ
病犬「……おい、ヤムチャ」
ヤムチャ「ん? ああごめんな。勝手に話を進めちゃって」
病犬「いや、そうじゃねーよ……」
病犬「おまえ……」
病犬「やるじゃねーか……」
127
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:18:40 ID:pWKe3jUQ
ノストラードファミリーの隠れ家。
ウヴォーギンは目を覚ました。
ダルツォルネ「これから何をされるかわかるな……?」
ウヴォー「おい……」
ウヴォー「あの道着の男はなにもんだ……?」
ダルツォルネ「質問をするのはこっちだ!!」
128
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:19:16 ID:pWKe3jUQ
ノストラードはヴヴォーギンに拷問を試したが、
彼の肉体とオーラによってすべて弾かれてしまう。
ウヴォーは競売品の場所を聞き、またヤムチャのことを聞き、
知らなければ命だけは助けると言った。
クラピカ「あの道着の男なら、わたしが知っている」
ダルツォルネ「クラピカ……!?」
クラピカ「彼の名はヤムチャ。わたしの念と武術の師だ」
ウヴォー「なんだと……」
クラピカ「取引をしよう」
129
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:19:46 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「わたしと正々堂々正面から戦え」
クラピカ「わたしに勝てたのなら、彼がどこに住んでいて、
なんの能力を持ち、なぜあんなに強いのかすべてを教える」
ウヴォー「……」
クラピカ「わたしが勝ったなら、ほかの旅団のメンバーについて、
知っていることをすべて話してもらおう」
ウヴォー「……」
スクワラ「おいクラピカ……! 何考えてんだ!?」
クラピカ「おまえはヤムチャにリベンジしたいのだろう。
だが弟子であるわたしを倒せないようなら、到底ヤムチャには勝てんぞ」
ウヴォー「おもしれー……」
ウヴォーは神経ガスを吸っているにも関わらず、拘束具を破壊しながらその体を起こした。
ウヴォー「やってやろうじゃねぇか!」
130
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:20:17 ID:pWKe3jUQ
ヨークシンの郊外の荒野――
クラピカ「殺した者たちのことを覚えているか?」
ウヴォー「少しはな」
クラピカ「クルタ族は?」
ウヴォー「なんだそりゃ?」
クラピカ「緋の眼を持つルクソ地方の少数民族だ」
ウヴォー「なるほど……つまるところ、おめーは復讐者ってわけか」
ウヴォー「あのヤムチャもそうなのか?」
クラピカ「彼は違う。これはわたし個人の復讐だ」
ウヴォー「」ニッ
131
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:20:51 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「これだから殺しはやめられねェ……」
クラピカ「クズが……」
ウヴォーは最初からオーラを全開に纏った。
あのヤムチャの弟子というクラピカ相手に、様子見などするつもりはない。
その様子を、遠く双眼鏡でノストラードファミリーがうかがっている。
ウヴォー「手加減は無しだぜ! 『超破壊拳ビッグバンインパクト』!!」
クラピカ「……ッ!」
クラピカはオーラを纏い、超破壊拳を左腕でガードした。
骨は折れなかったが、肉がきしんだ。
ウヴォー「なるほど、確かにてめぇも強い! だがあいつ程じゃねェ!!」
ウヴォーは激しいラッシュを繰り出した。
守勢に回るクラピカ。ウヴォーは止まらない。
132
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:21:31 ID:pWKe3jUQ
バショウ「おいおいやべーんじゃねぇか……?」
スクワラ「おいどーすんだよ! クラピカがやられたら、
あいつオレたちを殺しに来るぞ!!」
ダルツォルネ「クラピカ……っ!」
センリツ(クラピカ……あなた……)
センリツ(あなた、笑ってるの……?)
133
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:22:06 ID:pWKe3jUQ
ウヴォーの右腕を、クラピカが掴んだ。
返しに打たれる左腕も同様に。
均衡が訪れる。
ウヴォー「なに……?」
クラピカ「絶対時間の使用も考えていたが……」
クラピカ「どうやら、その必要はなさそうだ」
134
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:22:37 ID:pWKe3jUQ
クラピカは右腕を放すと拳を造り、
それにオーラを纏わせた。それは念のオーラと気を混ぜたものだ。
吸い込まれるようにウヴォーの腹に直撃したそれは、
ウヴォーの口から血を噴出させた。
ウヴォー「おぐっ!!」
クラピカ「ふっ!」
前かがみになったウヴォーギンの横顔を裏拳で薙ぎ払う。
ウヴォーは横に吹き飛び崖にぶつかった。
135
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:23:33 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「てめぇ……操作系じゃなかったのか……!?」
クラピカ「鎖のことか? それなら正解だ。わたしは強化系ではない」
ウヴォー「なんだと!?」
ウヴォー(強化系じゃないのにこの打撃力とタフさ……)
ウヴォー(間違いなく強化系を極めたオレ以上だぞ……)
ウヴォー(いや……あの男の弟子だ。考えを改めろ!)
ウヴォー(既存の概念を捨てろ! 全力をだせ! ウヴォーギン!!)
しかし、クラピカの打撃は速く、強く、重かった。
ウヴォーは成すすべなく殴られていった。
136
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:24:07 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「どんな気分だ」
クラピカの拳がウヴォーの右腕を砕いた。
クラピカ「どんな気分だ。圧倒的な力で蹂躙される気分は……」
クラピカの蹴りは右足を破壊した。ウヴォーが崩れ落ちた。
クラピカ「わたしは不愉快だ……」
顔を挙げたウヴォーに拳を見舞う。頭蓋骨にが割れて出血する。
クラピカ「肉を殴る感触も、圧倒的弱者をいたぶる感覚も……!」
クラピカ「なぜお前たちは何も感じることなくこんなことができるんだ!!」
顎にアッパーを打ち込んだ。ウヴォーは大きくのけぞって倒れた。
顎の骨が砕け、口からとめどなく出血した。
自身の血に溺れるがごとく、ウヴォーの呼吸が弱まった。
137
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:24:42 ID:pWKe3jUQ
クラピカは一歩踏み出した。
ダルツォルネ「落ち着けクラピカ!! 殺すな!!!」
いつの間にか近くまで来ていたダルツォルネが、クラピカを羽交い絞めにした。
スクワラ「まだ情報を聞き出してねぇ! 殺すな!!」
バショウ「落ち着けってクラピカ!!」
クラピカ「……」
しかし、クラピカの足は止まらない。
と、ふと音楽が流れた。
それはクラピカ達に花が咲き乱れる草原を見せた。
138
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:25:17 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「……!」
ダルツォルネ「……これは!?」
センリツ「みんな、少し落ち着きましょ」
クラピカの足が止まった。
クラピカ(センリツ、ありがとう)
センリツ(いいわ。大丈夫よ)
瀕死のウヴォーギンを、ノストラードファミリーは
再び隠れ家に運び込んだ。
139
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:26:48 ID:pWKe3jUQ
とりあえずここまでです
140
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/25(木) 21:00:15 ID:OuE2Y0dk
久しぶり
141
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/25(木) 21:16:23 ID:m9ym8EBg
続きがきた
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/04(土) 12:44:44 ID:kig7awM2
乙
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/05(日) 17:05:34 ID:Ed2uFIuc
待ってた
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/21(火) 01:21:15 ID:ZRM5CfrI
待ってる
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/21(火) 06:57:03 ID:tN4yCObU
ヤムチャ系のss書くやつは逃げるからエタるのが運命プロレスとかな
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/24(金) 11:54:51 ID:ptlH/swU
他の掲示板のssと比較するのはどうかと思う
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/24(金) 17:02:05 ID:J92vjjvY
>>146
ヤムチャのプロレスss書いてた方と同じ作者なんだよなぁ
148
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 21:25:23 ID:7Jll8eMA
>>147
誰が言ってたんだよそれ
>>1
が明言したの?
149
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 22:00:59 ID:5RUW93sQ
>>148
自分で作者のブログ見つけろ今まで投稿してたssとか載せてるから7割りがた途中で放置なってるけどな
150
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 23:16:26 ID:7Jll8eMA
>>149
いや確信あるんならソースを出せよ
そこまで言うなら同じ作者って明言されてる文があるわけだろ
出せないんならもうそれは荒らしに他ならないでしょ
151
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 01:01:50 ID:JjH/qFVE
顔真っ赤で可哀想
152
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 02:02:28 ID:hAVbUgso
ヤバいな
153
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 06:42:13 ID:8i7RZXqQ
>>150
あなた顔真っ赤ですよ
154
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 08:44:57 ID:g/2D0wk2
>>150
一理ある
ワイもなんでおんなじ作者なんか調べてもわからんからソースくれや
155
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/06/16(日) 17:58:19 ID:/qoqjLes
クラピカ誰に念教わったんだ?
ヤムチャは修行しにきて念教わらないのか?
156
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/06/17(月) 06:43:45 ID:dz4H4U.E
>>155
念教わるもなにもそれ以上の気や力持ってるから…
ヤムチャでもこの世界なら少し力出すだけで余裕で世界征服できるんじゃないかな
157
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/12(金) 13:37:55 ID:ww/eYNO6
そういえばヤムチャって操作系も使えるな
頑張ったら変化系もできそうだな
158
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/12(金) 20:29:06 ID:GKSyrCh.
ヤムチャは盗賊だった
159
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/13(土) 02:08:21 ID:NhqGccY6
ドラゴンボールの世界の登場人物が異常なだけでヤムチャ決して弱くないからなむしろサイバイマンがハンターの世界行くだけで普通に征服出来そうなレベル差だろ
160
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:49:16 ID:aIojtFy2
おひさしぶりです。仕事やらなんやら忙しかった(言い訳)
あ、あと僕ヤムチャプロレスの人とは別人ですのであしからず
161
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:51:39 ID:aIojtFy2
クラピカ「…………」
センリツ「クラピカ……」
気絶したウヴォーギンを前に、クラピカとセンリツが座っていた。
見た目的には死んでいそうなウヴォーギンだったが、強化系の治癒力は侮れない。
コミニュティへの引き渡しが完了するまで、万が一暴れ出したときにはまた、
クラピカが止める、という約束をかわしていた。
しかし暗い表情で了承するクラピカの心音が、
ただならぬ雑音に包まれていることをセンリツは悟り、
二人で見張りをすると言ったのだった。
センリツ「複雑ね」
クラピカ「……」
センリツ「自分は復讐のために力を磨き上げた」
センリツ「でも、どこまで力を高めても、『敵わないんじゃないか』と思っていた」
162
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:52:12 ID:aIojtFy2
センリツ「それが、いざ戦ってみると、あっけないほどに勝ってしまった」
クラピカ「……」
センリツ「……クラピカ」
クラピカは答えなかった。そうだ、あっけないほどに勝ってしまった。
目の前の男が、自分には到底及ばないことが分かってしまった。
その瞬間、頬に自然と笑みが漏れた。
それが、今のクラピカには信じられないことだった。
その瞬間の記憶を何度も思い返すと、心にどす黒い何かが落ちた。
雑音はより深いノイズへと昇華し、センリツの意識を集めた。
163
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:52:43 ID:aIojtFy2
クラピカ「私は……」
センリツ「……」
クラピカ「これを……望んでいたはずだ」
センリツ「……それが本当かは」
センリツ「本当に望んでいたかは、アナタ自身が、……もうわかってる」
クラピカ「……」
センリツ「……でしょう?」
クラピカ「!!」
クラピカはいてもたってもいられずに立ち上がった。
椅子が倒れてガダッと音がした。
センリツは落ち着いていた。
クラピカはセンリツを見下ろした。
164
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:53:17 ID:aIojtFy2
クラピカ「私は私の一族の無念を晴らすために復讐を誓った!!」
クラピカ「そのためなら何でもしようと……悪魔に魂も売ろうと覚悟していた!!」
クラピカ「……それが。それがこんな……っ!」
センリツ「……」
センリツはクラピカにかける言葉が見つからなかった。
代わりに、恐ろしい音を聞き取った。
センリツ「……! 誰か来るわ!!」
クラピカ「……コミニュティの人間だろう?」
センリツは頭を振った。
センリツ「違う……! この足音は……!!」
165
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:54:04 ID:aIojtFy2
クラピカ「!!」
そこまで聞いて、クラピカは悟った。
そしてウボォーの体を『凝』で探る。
その太もも辺りから、光り輝く筋が見えた。
クラピカ「しまっ……!!」
怒りに飲まれた自分を叱責した。
こんな簡単なことに気付かないなんて……!
扉が開いた。スーツ姿の男女がぞろぞろと部屋に乗り込んできた。
166
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:54:54 ID:aIojtFy2
ノブナガ「ウボォー!!」
フィンクス「おいおい、なんてザマだ」
マチ「糸つけておいて正解だったね」
シャルナーク「そこの二人は、ウボォーをさらったマフィアだね」
クラピカ「……っ!」
センリツ「クラピカ……!!」
167
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:55:38 ID:aIojtFy2
フィンクス「あの道着の男はいねぇのか」
シャルナーク「まぁあいつは陰獣だろうしね。こいつらノストラードっていう中堅マフィアだし」
シズク「……あれ? だったらなんでウボォーがここにいるんだろう?」
シャルナーク「それ俺も疑問だったんだ。こいつら十老頭の直下の組織なのかな?」
ノブナガ「今はそんなことどうでもいいだろが!」
ノブナガ「よォ、てめぇら覚悟はできてるか?」
ノブナガ「出来てるよなァ? マフィアならよォ?」
クラピカ「くっ……!」
クラピカは思考する。
おそらく自分の力なら、ここにいるクモのメンバーを皆殺しにすることはできる。
だが確実ではない。
「念」は「気」と比べると、練りだせる単なるオーラ……パワーでは大きく劣る。
しかし、「念」には操作系や特質系のような、相手の強さやオーラの大きさに
左右されない能力が存在しているのだ。
目の前のクモたちは、戦闘力では全く自分に及ばない。それは確かだ。
しかし、有している念能力が不明な以上。下手を打つわけにはいかない。
なぜなら……
168
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:56:15 ID:aIojtFy2
センリツ「く、クラピカ……」
ここにはセンリツが、向こうのホテルにはダルツォルネを始めとする
ファミリーの面々がいるからだ。
ここで戦いを始めれば、間違いなく庇い切れずセンリツは死ぬだろう。
クラピカ「……ッ!」
クラピカは、あるいは思考の沼にハマりかけていた。
じっとりと汗が頬伝った。心音を聞かずとも、
センリツにはクラピカの動揺が見て取れた。
その時、助けは意外なところから降りてきた。
169
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:56:52 ID:aIojtFy2
ウボォー「おい、やめろ……」
ノブナガ「! ウボォー! 目を覚ましたか!」
マチ「さすが強化系バカ。回復が早いね」
シャルナーク「やめろ、って。どういうことだウボォー?」
ウボォー「言葉通りの意味だ。そいつと戦うのはやめろ」
ノブナガ「ああん!? おまえどうしたんだよ!?
こんだけヤられといて見逃すのかよ!?」
ウボォー「いいから黙って言うことを聞け!!」
旅団たち「!!」
170
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:57:26 ID:aIojtFy2
ウボォー「おい、鎖野郎……」
クラピカ「……」
ウボォー「取引だ。俺とコイツらを見逃せ。そうしたらここでおっぱじめるのはやめる」
マチ「アンタ何言って……」
ウボォー「ここでやりあえば、そりゃあ俺たちはお前に殺されるだろうよ」
シズク「そうなの?」
ウボォー「だが、代わりに隣の女は死ぬ。断言するぜ、俺たちはその女だけは殺す」
ウボォー「何があってもな」
ウボォー「お前としても、もう目の前で仲間が死ぬのは嫌だろう」
ウボォー「だから、俺たちを見逃せ……」
クラピカ「……ッ」
ウボォーの眼はまっすぐにクラピカを射ぬいていた。
クラピカは握った拳に汗がにじんでいくのを感じた。
そして、彼は決断を下した。
171
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:57:58 ID:aIojtFy2
ダルツォツネ「クラピカ!!」
部屋に飛び込んできたダルツォルネの眼に、呆然と立ち尽くすクラピカの姿が映った。
その表情はいかんとも表現しがたい苦悶に歪み、唇を噛み過ぎて血が滴っていた。
ダルツォルネは思わず言葉を詰まらせた。
センリツ「ごめんなさい……クモの男は連れていかれました……」
ダルツォルネ「……なんだと!?」
クラピカ「すみません……」
センリツ「ま、待ってください! 連中は5人で乗り込んできて、
男を引き渡さなければ私たちは……」
センリツ「……いえ」
センリツ「クラピカ一人なら、彼らを捕えることもできました。
私を助けるために……クラピカはあの男を渡したんです」
クラピカ「センリツ! それは違う……!!」
ダルツォルネ「……いや、よく無事だった」
ダルツォルネ「俺もやつらの戦闘力は見たんだ。俺たちとの力の差も……
命を優先したお前たちを、責める気にはなれん……」
172
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:58:38 ID:aIojtFy2
クラピカ「許すと……」
ダルツォルネ「ああ。こうして生きてくれたから、有益な話を聞けるわけだしな」
クラピカ「いいんですか。もしかしたら私たちは既に操作系能力者に操られていて、
内部から瓦解させるために生かされたのかもしれませんよ」
ダルツォルネ「いや、それはないだろう」
ダルツォルネ「俺たちはクラピカの強さも知っている」
ダルツォルネ「お前ほどの念能力者を操るなら、わざわざこんな回りくどい小細工をするより、
もっと単純な命令で暴れさせる方がクモには有益なはずだ」
ダルツォルネ「例えば……目に入ったマフィアは片っ端から殺す、みたいなな」
ダルツォルネ「我々がお前を止めるためには残りの陰獣の投入も、
下手すると戦争に用いるクラスの兵器が必要になるだろう」
クラピカ「残りの陰獣……?」
ダルツォルネ「逃げたクモの追討にあたった陰獣が全滅したんだ。事実上陰獣は半壊したのさ」
クラピカ「……」
ダルツォルネ「とにかく、ボスに報告だけはさせてもらう。
軽い処罰は受けるだろうが、なに。俺も一緒に頭を下げてやる」
クラピカ「……ありがとうございます」
173
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:59:15 ID:aIojtFy2
――――旅団アジト
ノブナガ「どうだ? ウボォーの様子は」
シャルナーク「だめだね。一人にさせてくれって、座り込んでボーっと地面を見ながらダンマリだ」
マチ「しかたないさ。強化系力バカ一筋のアイツが、真正面からぶちのめされたんだ」
シズク「なぐさめてこようか? よしよしって」
フランクリン「やめとけシズク。余計に傷つく」
シズク「? なんで? 男の人ってそういうの好きなんじゃないの?」
フランクリン「…………」
フェイタン「とにかく、団長に報告ね」
シャルナーク「そうだね、それと予定を変える必要があるかもしれないし」
マチ「あの道着の男ね」
フィンクス「そうだ。他の陰獣は大したことなかったんだろ?」
フェイタン「そね。刺せば死んだね」
174
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:59:52 ID:aIojtFy2
シャルナーク「あの道着の男だけが別格の強さだったんだ。
そして間違いなく、オークションの当日にはあの男が警備にいるだろうね」
フィンクス「ちとまずいかもな。なぁ、そいつはほんとにウボォーを正面から殴り倒したのか?
なにか、特殊な念も使わずに?」
ノブナガ「ああ、それは間違いないと思うぜ。アイツの強さ、オーラの量がとにかくハンパじゃなかった」
シャルナーク「対抗できるとしたら俺がアンテナ刺すとか……」
マチ「ウボォーをタコ殴りにする奴にアンタのアンテナが刺さるとは思えないけどね」
シャルナーク「だよねー」
フランクリン「おい、お前らズレてるぞ」
175
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:01:03 ID:aIojtFy2
シズク「ズレてる?」
フランクリン「シャル。俺たちが今議論するべきは道着の男をどうするかじゃねぇ。
『オークションを襲うか、やめるか』、だ」
シャルナーク「!」
フランクリン「道着の男が陰獣で、オークションの警備につくのはまず間違いねぇ」
フランクリン「となれば、下手すりゃお宝を手にできないばかりか」
フランクリン「俺たちの半数がそいつに殺される可能性だってある」
マチ「それは言いすぎじゃない?」
フランクリン「最悪のケースの話だ」
フランクリン「とにかく、『やる』なら道着の男をどうするか考えるが、
『やめる』ならさっさとヨークシンから出る」
176
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:01:36 ID:aIojtFy2
ノブナガ「あぁん? フランクリン! 俺たちは幻影旅団だぜ?」
ノブナガ「ここまでやっといてケツ巻いて逃げるんじゃ」
ノブナガ「マフィアどもに一生笑われて終わるぞ!」
フランクリン「俺たちが最優先するべきはクモを生かすことだ」
ノブナガ「……ッ」
ヒソカ「……♦」(トランプパラパラ
シズク「あ、みんな団長が帰ってきたよ」
177
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:02:06 ID:aIojtFy2
クロロ「何があった?」
シャルナーク「団長、実は……」
シャルナークはことのいきさつを話した。
道着の男にウボォーが負けたこと、それを取り戻したこと。
オークションを襲うか止めるかの話になっていたことを。
クロロはじっと、黙って聞いていた。
178
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:02:38 ID:aIojtFy2
クロロ「ウボォー」
ウボォー「団長か……」
クロロ「お前、2回敗けたな」
ウボォー「!!」
ノブナガ「!? な、なに!?」
クロロ「言動から察するに、おそらくウボォーを監視していたその鎖野郎か」
ウボォー「……さすが団長。そうだ、俺は日に二度敗けちまった……」
クロロ「……」
ノブナガ「う、ウソだろウボォー!? 鎖野郎ってあの女みてーな顔した奴だろ……?」
ノブナガ「あ、あんな奴に負けるなんてよ……」
ウボォー「事実さ、ノブナガ……」
クロロ「パクノダ、ウボォーの記憶を読み取れ」
パクノダ「分かったわ」
179
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:03:27 ID:aIojtFy2
ウボォーに触れたパクノダの脳裏に、記憶が鮮明に映り込む。
パクノダは冷や汗がぶわっと噴き出した。
クロロ「どうだ」
パクノダ「信じられないけど、確かにその鎖野郎にウボォーは負けてるわ」
クロロ「……そうか」
パクノダ「鎖野郎は道着の男の弟子だって。師は私よりはるかに強いそうよ……」
パクノダ「ごめんなさい。めまいがするわ……」
クロロ「…………」
フランクリン「決まりだな、オークションは諦めよう」
ノブナガ「フランクリン! てめぇ……!!」
シャルナーク「仕方ないさ、ウヴォーギンを真っ向から倒せる奴が二人いるんだよ?」
ノブナガ「団長……!」
180
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:04:21 ID:aIojtFy2
クロロ「まだ保留する」
フランクリン「!?」
フランクリン「なに言ってる……団長」
クロロ「それより、この道着の男……こいつと話ができないだろうか」
フィンクス「何言ってんだ団長! 無理に決まってんだろ!!」
パクノダ「こいつは陰獣よ。プライベートはマフィアの上層部が握ってるはず。
残念だけどそう簡単に会うことはできないと思うわ」
ヒソカ「その道着の男って、もしかしてヤムチャのことかい?♦」
旅団たち「!!!??」
181
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:05:58 ID:aIojtFy2
パクノダ「ヒソカ……なんでその名前を……!?」
ヒソカ「あ、やっぱり彼なんだね。だったらウヴォーギンを倒すのも納得だよ♣」
ノブナガ「ヒソカてめぇ……道着の男を知ってたのか……」
ヒソカ「まぁね。彼と僕はハンター試験の同期だからね❤」
ノブナガ「なん……だと……?」
クロロ「ヒソカ」
ヒソカ「んー?」
クロロ「そのヤムチャと言う男について知っていることを話せ」
ヒソカ「……」
ヒソカ「詳しくは僕も知らない」
ヒソカ「ただ、彼は圧倒的な強さを持っている」
ヒソカ「ハンター試験の最終試験。彼はハンター協会の会長……おっと、
『元』会長のネテロと戦い実質勝利しているもの❤」
182
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:06:32 ID:aIojtFy2
シャルナーク「なんだって……!? ネテロに勝ってるのか!」
シズク「それっすごいことなの?」
シャルナーク「ネテロは人類最強と謳われる念能力者だ。それに勝っているなんて……」
シズク「そうなんだ、じゃあウボォーが勝てなくてもしょうがないね」
ウボォー「…………」
フランクリン「お前はホントに容赦ないな……」
シャルナーク「でもハンター試験に受かってるなら、サイトで顔ぐらい割り出せるはずだろ?
出なかったよ。ヤムチャなんてやつは」
ヒソカ「実質勝ってる。って言ったろ?」
ヒソカ「試験自体は彼はネテロに降参して、ハンター試験は不合格だったからね♠」
ヒソカ「ただ、彼は試験が終わった後、ある男と行動を共にしていたハズ♦」
フィンクス「じゃあそいつを探し出せば……」
183
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:07:04 ID:aIojtFy2
クロロ「それがあの鎖野郎か」
ヒソカ「ご明察❤」
フィンクス「……じゃあどのみち難しいな」
ヒソカ「そうでもないよ♦」
ノブナガ「なんだよ、なんかあるならもったいぶらずに言えよ」
ヒソカ「彼には明確な弱点があるのさ♠」
184
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:07:48 ID:aIojtFy2
安アパート―ヤムチャの家―
ヤムチャ「クラピカのやつ大分落ち込んでたな」
プーアル「仇の相手を逃がしちゃったんですよね」
ヤムチャ「うーん。でもその幻影旅団のやつには楽勝だったって話だし」
ヤムチャ「勝てたハズなのに勝てなかったってことだろ? それもキツイよな」
ヤムチャ「あんまり思いつめなきゃいいけど……」
プーアル「あ、ヤムチャさま。飲み物がなくなってますよ」
ヤムチャ「そっか。なら買いに行ってくる」
プーアル「ボクが行きますよ。ヤムチャさまは休んでてください」
ヤムチャ「ダメだプーアルはここにいろ。お前はこの世界では珍しいみたいだから、
また前みたいに連れ去られかけたらタイヘンだからな」
185
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:08:21 ID:aIojtFy2
プーアル「はーい、わかりました」
ヤムチャ「ま、心配するなよ。下の売店に買いに行くだけだからな」
そういってヤムチャは出て行った。
仕方ないのでプーアルが食器の片づけをしていると、インターホンが鳴った。
プーアル「あれ? ヤムチャさま随分早かったですね〜」
プーアルは扉を開けた。そこにいたのはヤムチャではなかった。
プーアル「あ、あなたたち誰ですか……!?」
186
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:09:02 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「ただいまー。いやー遅くなってわるい。ちょっと雑誌読んでてさー……」
ヤムチャ「プーアル……?」
ヤムチャ「ぷ、プーアルの気を感じない……!?」
ヤムチャはテーブルの紙に気付いた。
そこには
『ペットを預った。返してほしければ取りに来い。幻影旅団より』
と書いてあった。
ヤムチャ「……!!!」
ヤムチャはホテルの窓から飛びあった。
その顔はかつてない怒りが浮かんでいた。
187
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◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:10:10 ID:aIojtFy2
〜旅団アジト〜
プーアル「だせ! ここからだせー!!」
フィンクス「ほんとにこんなんで来るのかよ……」
旅団が囲む鳥かご(コルトピ作)の中に、プーアルが閉じ込められていた。
鳥かごには念が流してあり、柵に触れるとショックが行く仕組みだ。
ノブナガ「なんでオリにわざわざ念流してんだ?」
フィンクス「こうしとかねーとこいつ逃げ出すんだよ」
ノブナガ「あ? どういうこった?」
フィンクス「おい、おまえ」
プーアル「なんだっ! いまにおまえたちなんか、ヤムチャさまにコテンパンにされるぞ!!」
フィンクス「それはわかったよ。ほら、変身してみろ」
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◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:10:46 ID:aIojtFy2
プーアル「いやだっ!」
フィンクス「やれ!」
プーアル「……ううっ、変化っ!」
POM! と音がして、プーアルの体は蠅になった。
ノブナガは目を見開いた。
ノブナガ「なっ……!? こ、こいつ」
フィンクス「な? こいつ蠅とか蚊に変身して隙間から逃げるんだよ」
マチ「変化系の念能力……にしてはオーラが全く見えないし」
シャルナーク「質量や大きさも全く変化してるからね。明らかに念の基本理念に反してる。
一応他人に変化する動物もいないこともないけど、こいつはちょっと桁が違う」
189
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◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:11:22 ID:aIojtFy2
ノブナガ「ひょっとしてコイツ自体相当の値打ちモンじゃねェか?」
プーアル「ひっ!?」
フランクリン「よせ。こいつは交渉材料だ。傷つけるんじゃねぇよ」
フィンクス「しかし、紙に地図は描かなかったんだろ?」
シャルナーク「下手にアジトをバラすのは得策じゃないからね。ましてや相手は陰獣だし」
コルトピ「ああっ!!?」
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