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ヤムチャ「ここがハンター試験会場か……!」
190
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:12:03 ID:aIojtFy2
突如としてコルトピが叫んだ。
その体がガタガタと震えている。
今日この日、コルトピは周りのビル群をコピーして配置し、
円の役割を持たせていた。
フィンクス「来たか!?」
コルトピ「こ、これは……!! だ、ダメだ!! みんな逃げなきゃ!!」
コルトピが叫んだのとほぼ同時に、それ、は落ちてきた。
191
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:12:36 ID:aIojtFy2
ビルの天井を突き破り、ガレキと日光を背景に「それ」が落ちてきた瞬間、
「それ」から発せられたオーラに、旅団は各々の反応を示した。
フィンクス、ノブナガ、フェイタンは飛びかかった。
それは、目の前に現れた「それ」が、絶望的なまでのオーラを
放っていたからだった。
百戦錬磨の彼らは、誰もがそれを認めた瞬間に勝つことをあきらめたのだ。
絶望を逡巡で押し流して、彼ら三人が我先に飛び出したのは、
ほかのメンバーを逃がす時間を稼ぐ為の捨て石を選択したからだった。
しかし、彼らは雷(いかづち)のごとき速度で三様に殴り飛ばされ、
背後の鉄くずの中に突っ込んでいった。
フェイタンは腹を撃ち抜かれ「く」の字に折れ曲がって気絶した。
ノブナガは顎に一撃をもらい鉄くずの上に仰向けに大の字となった。
辛うじてフィンクスは腕を殴られたため
(ガードしたのではなく、たまたまふりかぶっていた腕に当たった)、
気絶はしなかったが受けた腕は砕けて千切れかけ、その衝撃は彼の内臓をずたずたにした。
あまりの激痛に血と吐瀉物をまき散らして地面をもがいた。
その攻撃は、ヒソカを除いた旅団の誰もが知覚することさえできなかった。
ヒソカ(ああ……❤)
ヒソカはその攻防の瞬間絶頂に至りかけた。しかし、ぐっとこらえた。
彼にはそれは大変苦痛であったが、一応体裁もあった。
『まだ』ここで爆発するわけにはいかない。
192
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:13:06 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「プーアルを返せ!!! 幻影旅団!!!」
ヤムチャは叫んだ。
惑星を破壊してもなお有り余るほどの戦闘力は、
怒りを伴ってオーラとなり、その空間を支配した。
193
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:13:44 ID:aIojtFy2
シャルナーク(こ、これは……ッ)
マチ「……!!」
シズク(ああ私、ここで死ぬんだなぁ)
ヒソカ「」ニコニコ
パクノダ(う、動けない……何このオーラの量……!?
こ、コレと戦うつもりだったの……?
わ、私たちは、な、なんてバカな選択を……
これはもう、国家クラスの武力でも足りない……!!)
プーアル「ヤムチャさまー!!」
フランクリン「お、おっと。待ちな兄さん」
ヤムチャの歩みをフランクリンがとめた。
その額からは油汗がドロドロと流れている。
フランクリン「そのペットのオリには念を仕掛けていてな」
フランクリン「俺、マチ、シズク、シャルの誰か一人でも傷ついたら
オリの中にオーラが流れて中の生物を殺す仕組みだ」
ヤムチャ「なに……!?」
194
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:14:15 ID:aIojtFy2
フランクリン「俺たちはなにもアンタと戦う気はさらさらねぇ。
あのペットをいたずらに傷つける気もねぇ」
フランクリン「団長がアンタと話したがってたから、こうしたまでだ」
フランクリン「そこをわかってくれ」
ヤムチャ「……」
シャルナーク(ふ、フランクリン。いくらなんでも嘘が稚拙すぎるよ……)
マチ(仮にそれを信じたとして、この男ならオリを無理やり破壊して
念が流れるより早く動けるだろ……)
シズク(うーん。やっぱり今日死ぬのかなぁ?)
ヤムチャ「分かった」
旅団たち「!!!!???」
195
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:14:49 ID:aIojtFy2
マチ(え? 信じた? え? なに……?)
シャルナーク(な、何かの罠……? 油断させる作戦……??)
パクノダ(いや、この男の力ならそんな作戦たてる必要はないはず……)
シャルナーク(ま、まさかこの男信じたのか……本当に!?)
フランクリン「わ、分かってくれて嬉しいよ(ホッ」
フランクリン(一か八かのクソみてーな嘘だったが、なんとかなったか……)
フランクリン「一応団長が来るまではペットはオリに入れておく」
フランクリン「いくらアンタが速くて強くても、俺ら4人が同時に傷つくのは
止められないはずだ。おとなしくしててくれ。何もしないからよ」
ヤムチャ「…………」
ヤムチャは部屋の中央に立った。
旅団たちは気が気ではなかった。
一人、ヒソカだけが上機嫌に笑っていた。
196
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:15:31 ID:aIojtFy2
ウボォー「よぉ」
ヤムチャ「おまえは……そうか、クラピカから逃げたんだったな」
ウボォー「まぁな」
ウボォー「……なぁ、アンタ」
ヤムチャ「ん?」
ウボォー「アンタ、なんでそんなに強いんだ?」
ヤムチャ「死ぬほど修行したからな」
ウボォー「それだけか……?」
197
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:16:05 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「……あと一回死んだ(ボソッ)」
ウボォー「ん? 今なんつった?」
ヤムチャ「き、きくなっ!!」
ウボォー「なぁ、俺もアンタぐらい強くなれるかな」
ヤムチャ「さぁな」
ウボォー「……否定はしねぇんだな」
ヤムチャ「…………」
ウボォー「」(ニッ)
198
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:16:40 ID:aIojtFy2
ヒソカ「やっ、久しぶり❤」
ヤムチャ「ひ、ヒソカ!? おまえも旅団なのか!?」
ヒソカ「『一応』ね。安心してよ。プーアルには一切手出しさせないし、してないから♦」
ヤムチャ「ほんとだろうな……」
ヒソカ「ホントだよ〜。キミの強さを知っている僕が、
キミを怒らせるようなマネするわけないだろ?❤」
ヤムチャ「う、うそくせー」
ヒソカ「ひどいなぁ♠」
ヤムチャ「あっ! ていうかプーアルのこと教えたのお前だな!?」
ヒソカ「さぁてね? なんのことかなぁ♠」
ヤムチャ「くっ、このやろー……!」
199
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:17:10 ID:aIojtFy2
しばらくののち、クロロが帰ってきた。
クロロ「そいつか」
ヤムチャ(こいつが、幻影旅団の親玉か)
クロロ「俺とパク以外、外で待ってろ」
ノブナガ「だ、団長……それは……」
クロロ「命令だ」
ヤムチャ「…………」
シャルナーク「だめだ! いくら団長の命令でも聞けない!」
クロロ「ふむ、そうか……」
クロロはパクノダに耳打ちした。
パクノダの眼が見開かれた。驚きだった。
200
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:17:55 ID:aIojtFy2
クロロ「俺がヤムチャに聞きたいことはパクに教えた」
クロロ「ノブナガ」
ノブナガ「な、なんだよ」
クロロ「俺の首を斬れ」
ノブナガ「!!?」
ヤムチャ「な……!?」
201
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:18:31 ID:aIojtFy2
クロロ「この男はおそらく、この地上で最強の生物だ」
クロロ「本来俺たちなど瞬きの間に皆殺しにできるだろう。だが、
この男は『それをしていない』。なぜなら、お前たちがまだ生きているからな」
クロロ「その男の誠意に対し、俺たちが誠意を示すにはこれしかない」
ノブナガ「で、でもよ……!」
クロロ「頭が死んだ程度ではクモは死なない」
クロロ「だが、文字通り皆殺しになれば終わりだ」
クロロ「俺一人の命、安いもんさ」
ノブナガ「……わかったよ」
202
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:19:02 ID:aIojtFy2
ノブナガは刀を抜いた。クロロは目をつむった。
そして、クロロの首に刀が振るわれた。
ヤムチャ「やめろ……!」
首と刀の間に、ヤムチャの手が割って入った。
オーラを纏ったその手はノブナガの抜き打ちを容易く止めた。
ヤムチャの動きを見切れた者は、やはりヒソカと、クロロだけであった。
クロロ「……」
ノブナガ「なっ……」
ヤムチャ「話はしてやる……だから命を無駄にするな!」
クロロは誰にも気づかれない程度に、ほんのわずかに口角を持ち上げた。
203
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:19:37 ID:aIojtFy2
クロロはパクノダに命じて椅子を二脚持ってきた。
そして、ヤムチャとクロロは対座した。
ヤムチャ(なんだ……この男)
ヤムチャ(間違いなく戦闘力は俺より低い。他の奴らと大差ない)
ヤムチャ(なのに、なんだこの……)
クロロ「パク」
204
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:20:07 ID:aIojtFy2
クロロは鳥かごからプーアルを出して、パクノダに持たせた。
プーアルがジタバタと暴れたが、さすがに抑え込まれた。
ヤムチャ「プーアル! や、約束が違うぞ!」
クロロ「一応の保険、だ。遠巻きでもさっきの一合でも
おまえの力はイヤ程理解させられた。
なんの担保もなしに話し合いはできない」
パクノダ「心配しないで、絶対に傷つけないわ」
クロロ「いくつか質問させてくれ。答えたくないものは言えない、でいい」
ヤムチャ「……」
パクノダ「……」
クロロはゆっくり口を開いた。
205
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:20:54 ID:aIojtFy2
クロロ「まず、お前は何者だ。どこから来た……」
ヤムチャ「ど……どういう意味だよ」
クロロ「俺には、お前はどうもこの世界の生物には思えない。
ウボォーはおろか、あのネテロを倒すような人間が、
俺たちやハンター協会に全く知られず、突然現れた。
かといって、暗黒大陸から来たとも思えない」
クロロ「これはどういうことだ? 俺には、お前はまるで神話の……
神が下界に遣わした戦天使に思える」
クロロ「……あるいは」
クロロ「何者かが『この世界』に何かをもたらすために送り込んだ、
『機械仕掛けの神』に思えて仕方がないんだ」
206
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:21:35 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「……言えない。答えられない……」
パクノダ「……!」
クロロ「そうか……。では次だ。お前の力は念能力じゃないな?」
ヤムチャ「!」
パクノダ「!!」
クロロ「それが『何か』であることは今はどうでもいい。興味はない。
俺はただ、それが俺の知らない『何か』であることを知りたかったが……」
クロロ「その反応を見るに、正解のようだ」
ヤムチャ「……っ!!」
クロロの黒い瞳が、じっとヤムチャを見つめていた。
ヤムチャはぞっとした。
207
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:22:19 ID:aIojtFy2
ヤムチャ(こいつ……なんなんだ……この威圧感は)
ヤムチャ(まるで心臓を直接握られているような……)
ヤムチャ(頭を切り開いて直接のぞかれているような……)
ヤムチャはどうしようもない嫌悪感を感じていた。
今まで数々の強者と出会ってきたヤムチャだったが、
クロロのようなタイプは初めてであった。
ヤムチャの理解できない強さを、クロロは持っていた。
クロロ「もう十分だ。パク、そいつを放してやれ」
パクノダ「え? あ。わ、わかったわ……」
208
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:22:50 ID:aIojtFy2
解放されたプーアルはヤムチャの胸に飛び込んだ。
プーアル「ヤムチャさまー!!」
ヤムチャ「プーアル! すまない! 怖かっただろう?」
プーアル「いえ! ヤムチャさまが必ず助けてくれると
信じてましたから!」
ヤムチャはクロロを見た。
209
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:23:22 ID:aIojtFy2
クロロ「俺たちはもう、俺たちからはお前には関わらない」
クロロ「こんなことを言うのは変な話だが……出会えてよかった」
ヤムチャたちは落ちてきた穴から飛び去った。
クロロはそれを見上げていた。
ヤムチャの姿が見えなくなっても、しばらく見上げていた。
クロロ「パク」
クロロ「記憶弾(メモリーボム)を俺に撃て」
パクノダの手に、念によってつくられたリボルバーが握られた。
そして、クロロの額に弾丸が撃ち込まれた。
210
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:25:09 ID:aIojtFy2
前編終了です。思ったより長くなってごめんなさい
後編は「ヤムチャ&陰獣+クラピカvs幻影旅団」の予定です
ほどほどに楽しみにして頂けると幸いです
211
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/09/17(火) 22:12:35 ID:fbIljO7k
なるほど、プーアルから記憶を抜き取ったのか
212
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/09/17(火) 23:04:19 ID:xmxnsUJ2
これが天津飯だったら迷わずに旅団皆殺しにしてそう
213
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/10/01(火) 22:09:10 ID:UQw4Myq.
ジョネスみたいな単独犯だったら容赦なく殺すんだろうけど
集団で身内同士への情があると知ったら躊躇しちゃうんだろうな
214
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/10/09(水) 19:27:27 ID:xrnPxz/6
乙
215
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/06(水) 09:35:54 ID:iJx1bSMw
保守
216
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/23(日) 21:53:14 ID:fllEUR/.
生きてる?
217
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/23(日) 21:57:12 ID:kD/0JTQg
ヤムチャSSはエタりやすいからね
218
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/09(土) 11:22:39 ID:DvnD02XU
エタったかな?
219
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/07/17(日) 16:55:25 ID:aHVyhG02
期待してたのにな
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