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ヤムチャ「ここがハンター試験会場か……!」
133
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:22:06 ID:pWKe3jUQ
ウヴォーの右腕を、クラピカが掴んだ。
返しに打たれる左腕も同様に。
均衡が訪れる。
ウヴォー「なに……?」
クラピカ「絶対時間の使用も考えていたが……」
クラピカ「どうやら、その必要はなさそうだ」
134
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:22:37 ID:pWKe3jUQ
クラピカは右腕を放すと拳を造り、
それにオーラを纏わせた。それは念のオーラと気を混ぜたものだ。
吸い込まれるようにウヴォーの腹に直撃したそれは、
ウヴォーの口から血を噴出させた。
ウヴォー「おぐっ!!」
クラピカ「ふっ!」
前かがみになったウヴォーギンの横顔を裏拳で薙ぎ払う。
ウヴォーは横に吹き飛び崖にぶつかった。
135
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:23:33 ID:pWKe3jUQ
ウヴォー「てめぇ……操作系じゃなかったのか……!?」
クラピカ「鎖のことか? それなら正解だ。わたしは強化系ではない」
ウヴォー「なんだと!?」
ウヴォー(強化系じゃないのにこの打撃力とタフさ……)
ウヴォー(間違いなく強化系を極めたオレ以上だぞ……)
ウヴォー(いや……あの男の弟子だ。考えを改めろ!)
ウヴォー(既存の概念を捨てろ! 全力をだせ! ウヴォーギン!!)
しかし、クラピカの打撃は速く、強く、重かった。
ウヴォーは成すすべなく殴られていった。
136
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:24:07 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「どんな気分だ」
クラピカの拳がウヴォーの右腕を砕いた。
クラピカ「どんな気分だ。圧倒的な力で蹂躙される気分は……」
クラピカの蹴りは右足を破壊した。ウヴォーが崩れ落ちた。
クラピカ「わたしは不愉快だ……」
顔を挙げたウヴォーに拳を見舞う。頭蓋骨にが割れて出血する。
クラピカ「肉を殴る感触も、圧倒的弱者をいたぶる感覚も……!」
クラピカ「なぜお前たちは何も感じることなくこんなことができるんだ!!」
顎にアッパーを打ち込んだ。ウヴォーは大きくのけぞって倒れた。
顎の骨が砕け、口からとめどなく出血した。
自身の血に溺れるがごとく、ウヴォーの呼吸が弱まった。
137
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:24:42 ID:pWKe3jUQ
クラピカは一歩踏み出した。
ダルツォルネ「落ち着けクラピカ!! 殺すな!!!」
いつの間にか近くまで来ていたダルツォルネが、クラピカを羽交い絞めにした。
スクワラ「まだ情報を聞き出してねぇ! 殺すな!!」
バショウ「落ち着けってクラピカ!!」
クラピカ「……」
しかし、クラピカの足は止まらない。
と、ふと音楽が流れた。
それはクラピカ達に花が咲き乱れる草原を見せた。
138
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:25:17 ID:pWKe3jUQ
クラピカ「……!」
ダルツォルネ「……これは!?」
センリツ「みんな、少し落ち着きましょ」
クラピカの足が止まった。
クラピカ(センリツ、ありがとう)
センリツ(いいわ。大丈夫よ)
瀕死のウヴォーギンを、ノストラードファミリーは
再び隠れ家に運び込んだ。
139
:
◆seQBwpiAy2
:2019/04/25(木) 15:26:48 ID:pWKe3jUQ
とりあえずここまでです
140
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/25(木) 21:00:15 ID:OuE2Y0dk
久しぶり
141
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/25(木) 21:16:23 ID:m9ym8EBg
続きがきた
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/04(土) 12:44:44 ID:kig7awM2
乙
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/05(日) 17:05:34 ID:Ed2uFIuc
待ってた
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/21(火) 01:21:15 ID:ZRM5CfrI
待ってる
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/21(火) 06:57:03 ID:tN4yCObU
ヤムチャ系のss書くやつは逃げるからエタるのが運命プロレスとかな
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/24(金) 11:54:51 ID:ptlH/swU
他の掲示板のssと比較するのはどうかと思う
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/24(金) 17:02:05 ID:J92vjjvY
>>146
ヤムチャのプロレスss書いてた方と同じ作者なんだよなぁ
148
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 21:25:23 ID:7Jll8eMA
>>147
誰が言ってたんだよそれ
>>1
が明言したの?
149
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 22:00:59 ID:5RUW93sQ
>>148
自分で作者のブログ見つけろ今まで投稿してたssとか載せてるから7割りがた途中で放置なってるけどな
150
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/27(月) 23:16:26 ID:7Jll8eMA
>>149
いや確信あるんならソースを出せよ
そこまで言うなら同じ作者って明言されてる文があるわけだろ
出せないんならもうそれは荒らしに他ならないでしょ
151
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 01:01:50 ID:JjH/qFVE
顔真っ赤で可哀想
152
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 02:02:28 ID:hAVbUgso
ヤバいな
153
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 06:42:13 ID:8i7RZXqQ
>>150
あなた顔真っ赤ですよ
154
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/05/28(火) 08:44:57 ID:g/2D0wk2
>>150
一理ある
ワイもなんでおんなじ作者なんか調べてもわからんからソースくれや
155
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/06/16(日) 17:58:19 ID:/qoqjLes
クラピカ誰に念教わったんだ?
ヤムチャは修行しにきて念教わらないのか?
156
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/06/17(月) 06:43:45 ID:dz4H4U.E
>>155
念教わるもなにもそれ以上の気や力持ってるから…
ヤムチャでもこの世界なら少し力出すだけで余裕で世界征服できるんじゃないかな
157
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/12(金) 13:37:55 ID:ww/eYNO6
そういえばヤムチャって操作系も使えるな
頑張ったら変化系もできそうだな
158
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/12(金) 20:29:06 ID:GKSyrCh.
ヤムチャは盗賊だった
159
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/07/13(土) 02:08:21 ID:NhqGccY6
ドラゴンボールの世界の登場人物が異常なだけでヤムチャ決して弱くないからなむしろサイバイマンがハンターの世界行くだけで普通に征服出来そうなレベル差だろ
160
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:49:16 ID:aIojtFy2
おひさしぶりです。仕事やらなんやら忙しかった(言い訳)
あ、あと僕ヤムチャプロレスの人とは別人ですのであしからず
161
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:51:39 ID:aIojtFy2
クラピカ「…………」
センリツ「クラピカ……」
気絶したウヴォーギンを前に、クラピカとセンリツが座っていた。
見た目的には死んでいそうなウヴォーギンだったが、強化系の治癒力は侮れない。
コミニュティへの引き渡しが完了するまで、万が一暴れ出したときにはまた、
クラピカが止める、という約束をかわしていた。
しかし暗い表情で了承するクラピカの心音が、
ただならぬ雑音に包まれていることをセンリツは悟り、
二人で見張りをすると言ったのだった。
センリツ「複雑ね」
クラピカ「……」
センリツ「自分は復讐のために力を磨き上げた」
センリツ「でも、どこまで力を高めても、『敵わないんじゃないか』と思っていた」
162
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:52:12 ID:aIojtFy2
センリツ「それが、いざ戦ってみると、あっけないほどに勝ってしまった」
クラピカ「……」
センリツ「……クラピカ」
クラピカは答えなかった。そうだ、あっけないほどに勝ってしまった。
目の前の男が、自分には到底及ばないことが分かってしまった。
その瞬間、頬に自然と笑みが漏れた。
それが、今のクラピカには信じられないことだった。
その瞬間の記憶を何度も思い返すと、心にどす黒い何かが落ちた。
雑音はより深いノイズへと昇華し、センリツの意識を集めた。
163
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:52:43 ID:aIojtFy2
クラピカ「私は……」
センリツ「……」
クラピカ「これを……望んでいたはずだ」
センリツ「……それが本当かは」
センリツ「本当に望んでいたかは、アナタ自身が、……もうわかってる」
クラピカ「……」
センリツ「……でしょう?」
クラピカ「!!」
クラピカはいてもたってもいられずに立ち上がった。
椅子が倒れてガダッと音がした。
センリツは落ち着いていた。
クラピカはセンリツを見下ろした。
164
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:53:17 ID:aIojtFy2
クラピカ「私は私の一族の無念を晴らすために復讐を誓った!!」
クラピカ「そのためなら何でもしようと……悪魔に魂も売ろうと覚悟していた!!」
クラピカ「……それが。それがこんな……っ!」
センリツ「……」
センリツはクラピカにかける言葉が見つからなかった。
代わりに、恐ろしい音を聞き取った。
センリツ「……! 誰か来るわ!!」
クラピカ「……コミニュティの人間だろう?」
センリツは頭を振った。
センリツ「違う……! この足音は……!!」
165
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:54:04 ID:aIojtFy2
クラピカ「!!」
そこまで聞いて、クラピカは悟った。
そしてウボォーの体を『凝』で探る。
その太もも辺りから、光り輝く筋が見えた。
クラピカ「しまっ……!!」
怒りに飲まれた自分を叱責した。
こんな簡単なことに気付かないなんて……!
扉が開いた。スーツ姿の男女がぞろぞろと部屋に乗り込んできた。
166
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:54:54 ID:aIojtFy2
ノブナガ「ウボォー!!」
フィンクス「おいおい、なんてザマだ」
マチ「糸つけておいて正解だったね」
シャルナーク「そこの二人は、ウボォーをさらったマフィアだね」
クラピカ「……っ!」
センリツ「クラピカ……!!」
167
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:55:38 ID:aIojtFy2
フィンクス「あの道着の男はいねぇのか」
シャルナーク「まぁあいつは陰獣だろうしね。こいつらノストラードっていう中堅マフィアだし」
シズク「……あれ? だったらなんでウボォーがここにいるんだろう?」
シャルナーク「それ俺も疑問だったんだ。こいつら十老頭の直下の組織なのかな?」
ノブナガ「今はそんなことどうでもいいだろが!」
ノブナガ「よォ、てめぇら覚悟はできてるか?」
ノブナガ「出来てるよなァ? マフィアならよォ?」
クラピカ「くっ……!」
クラピカは思考する。
おそらく自分の力なら、ここにいるクモのメンバーを皆殺しにすることはできる。
だが確実ではない。
「念」は「気」と比べると、練りだせる単なるオーラ……パワーでは大きく劣る。
しかし、「念」には操作系や特質系のような、相手の強さやオーラの大きさに
左右されない能力が存在しているのだ。
目の前のクモたちは、戦闘力では全く自分に及ばない。それは確かだ。
しかし、有している念能力が不明な以上。下手を打つわけにはいかない。
なぜなら……
168
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:56:15 ID:aIojtFy2
センリツ「く、クラピカ……」
ここにはセンリツが、向こうのホテルにはダルツォルネを始めとする
ファミリーの面々がいるからだ。
ここで戦いを始めれば、間違いなく庇い切れずセンリツは死ぬだろう。
クラピカ「……ッ!」
クラピカは、あるいは思考の沼にハマりかけていた。
じっとりと汗が頬伝った。心音を聞かずとも、
センリツにはクラピカの動揺が見て取れた。
その時、助けは意外なところから降りてきた。
169
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:56:52 ID:aIojtFy2
ウボォー「おい、やめろ……」
ノブナガ「! ウボォー! 目を覚ましたか!」
マチ「さすが強化系バカ。回復が早いね」
シャルナーク「やめろ、って。どういうことだウボォー?」
ウボォー「言葉通りの意味だ。そいつと戦うのはやめろ」
ノブナガ「ああん!? おまえどうしたんだよ!?
こんだけヤられといて見逃すのかよ!?」
ウボォー「いいから黙って言うことを聞け!!」
旅団たち「!!」
170
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:57:26 ID:aIojtFy2
ウボォー「おい、鎖野郎……」
クラピカ「……」
ウボォー「取引だ。俺とコイツらを見逃せ。そうしたらここでおっぱじめるのはやめる」
マチ「アンタ何言って……」
ウボォー「ここでやりあえば、そりゃあ俺たちはお前に殺されるだろうよ」
シズク「そうなの?」
ウボォー「だが、代わりに隣の女は死ぬ。断言するぜ、俺たちはその女だけは殺す」
ウボォー「何があってもな」
ウボォー「お前としても、もう目の前で仲間が死ぬのは嫌だろう」
ウボォー「だから、俺たちを見逃せ……」
クラピカ「……ッ」
ウボォーの眼はまっすぐにクラピカを射ぬいていた。
クラピカは握った拳に汗がにじんでいくのを感じた。
そして、彼は決断を下した。
171
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:57:58 ID:aIojtFy2
ダルツォツネ「クラピカ!!」
部屋に飛び込んできたダルツォルネの眼に、呆然と立ち尽くすクラピカの姿が映った。
その表情はいかんとも表現しがたい苦悶に歪み、唇を噛み過ぎて血が滴っていた。
ダルツォルネは思わず言葉を詰まらせた。
センリツ「ごめんなさい……クモの男は連れていかれました……」
ダルツォルネ「……なんだと!?」
クラピカ「すみません……」
センリツ「ま、待ってください! 連中は5人で乗り込んできて、
男を引き渡さなければ私たちは……」
センリツ「……いえ」
センリツ「クラピカ一人なら、彼らを捕えることもできました。
私を助けるために……クラピカはあの男を渡したんです」
クラピカ「センリツ! それは違う……!!」
ダルツォルネ「……いや、よく無事だった」
ダルツォルネ「俺もやつらの戦闘力は見たんだ。俺たちとの力の差も……
命を優先したお前たちを、責める気にはなれん……」
172
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:58:38 ID:aIojtFy2
クラピカ「許すと……」
ダルツォルネ「ああ。こうして生きてくれたから、有益な話を聞けるわけだしな」
クラピカ「いいんですか。もしかしたら私たちは既に操作系能力者に操られていて、
内部から瓦解させるために生かされたのかもしれませんよ」
ダルツォルネ「いや、それはないだろう」
ダルツォルネ「俺たちはクラピカの強さも知っている」
ダルツォルネ「お前ほどの念能力者を操るなら、わざわざこんな回りくどい小細工をするより、
もっと単純な命令で暴れさせる方がクモには有益なはずだ」
ダルツォルネ「例えば……目に入ったマフィアは片っ端から殺す、みたいなな」
ダルツォルネ「我々がお前を止めるためには残りの陰獣の投入も、
下手すると戦争に用いるクラスの兵器が必要になるだろう」
クラピカ「残りの陰獣……?」
ダルツォルネ「逃げたクモの追討にあたった陰獣が全滅したんだ。事実上陰獣は半壊したのさ」
クラピカ「……」
ダルツォルネ「とにかく、ボスに報告だけはさせてもらう。
軽い処罰は受けるだろうが、なに。俺も一緒に頭を下げてやる」
クラピカ「……ありがとうございます」
173
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:59:15 ID:aIojtFy2
――――旅団アジト
ノブナガ「どうだ? ウボォーの様子は」
シャルナーク「だめだね。一人にさせてくれって、座り込んでボーっと地面を見ながらダンマリだ」
マチ「しかたないさ。強化系力バカ一筋のアイツが、真正面からぶちのめされたんだ」
シズク「なぐさめてこようか? よしよしって」
フランクリン「やめとけシズク。余計に傷つく」
シズク「? なんで? 男の人ってそういうの好きなんじゃないの?」
フランクリン「…………」
フェイタン「とにかく、団長に報告ね」
シャルナーク「そうだね、それと予定を変える必要があるかもしれないし」
マチ「あの道着の男ね」
フィンクス「そうだ。他の陰獣は大したことなかったんだろ?」
フェイタン「そね。刺せば死んだね」
174
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 12:59:52 ID:aIojtFy2
シャルナーク「あの道着の男だけが別格の強さだったんだ。
そして間違いなく、オークションの当日にはあの男が警備にいるだろうね」
フィンクス「ちとまずいかもな。なぁ、そいつはほんとにウボォーを正面から殴り倒したのか?
なにか、特殊な念も使わずに?」
ノブナガ「ああ、それは間違いないと思うぜ。アイツの強さ、オーラの量がとにかくハンパじゃなかった」
シャルナーク「対抗できるとしたら俺がアンテナ刺すとか……」
マチ「ウボォーをタコ殴りにする奴にアンタのアンテナが刺さるとは思えないけどね」
シャルナーク「だよねー」
フランクリン「おい、お前らズレてるぞ」
175
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:01:03 ID:aIojtFy2
シズク「ズレてる?」
フランクリン「シャル。俺たちが今議論するべきは道着の男をどうするかじゃねぇ。
『オークションを襲うか、やめるか』、だ」
シャルナーク「!」
フランクリン「道着の男が陰獣で、オークションの警備につくのはまず間違いねぇ」
フランクリン「となれば、下手すりゃお宝を手にできないばかりか」
フランクリン「俺たちの半数がそいつに殺される可能性だってある」
マチ「それは言いすぎじゃない?」
フランクリン「最悪のケースの話だ」
フランクリン「とにかく、『やる』なら道着の男をどうするか考えるが、
『やめる』ならさっさとヨークシンから出る」
176
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:01:36 ID:aIojtFy2
ノブナガ「あぁん? フランクリン! 俺たちは幻影旅団だぜ?」
ノブナガ「ここまでやっといてケツ巻いて逃げるんじゃ」
ノブナガ「マフィアどもに一生笑われて終わるぞ!」
フランクリン「俺たちが最優先するべきはクモを生かすことだ」
ノブナガ「……ッ」
ヒソカ「……♦」(トランプパラパラ
シズク「あ、みんな団長が帰ってきたよ」
177
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:02:06 ID:aIojtFy2
クロロ「何があった?」
シャルナーク「団長、実は……」
シャルナークはことのいきさつを話した。
道着の男にウボォーが負けたこと、それを取り戻したこと。
オークションを襲うか止めるかの話になっていたことを。
クロロはじっと、黙って聞いていた。
178
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:02:38 ID:aIojtFy2
クロロ「ウボォー」
ウボォー「団長か……」
クロロ「お前、2回敗けたな」
ウボォー「!!」
ノブナガ「!? な、なに!?」
クロロ「言動から察するに、おそらくウボォーを監視していたその鎖野郎か」
ウボォー「……さすが団長。そうだ、俺は日に二度敗けちまった……」
クロロ「……」
ノブナガ「う、ウソだろウボォー!? 鎖野郎ってあの女みてーな顔した奴だろ……?」
ノブナガ「あ、あんな奴に負けるなんてよ……」
ウボォー「事実さ、ノブナガ……」
クロロ「パクノダ、ウボォーの記憶を読み取れ」
パクノダ「分かったわ」
179
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:03:27 ID:aIojtFy2
ウボォーに触れたパクノダの脳裏に、記憶が鮮明に映り込む。
パクノダは冷や汗がぶわっと噴き出した。
クロロ「どうだ」
パクノダ「信じられないけど、確かにその鎖野郎にウボォーは負けてるわ」
クロロ「……そうか」
パクノダ「鎖野郎は道着の男の弟子だって。師は私よりはるかに強いそうよ……」
パクノダ「ごめんなさい。めまいがするわ……」
クロロ「…………」
フランクリン「決まりだな、オークションは諦めよう」
ノブナガ「フランクリン! てめぇ……!!」
シャルナーク「仕方ないさ、ウヴォーギンを真っ向から倒せる奴が二人いるんだよ?」
ノブナガ「団長……!」
180
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:04:21 ID:aIojtFy2
クロロ「まだ保留する」
フランクリン「!?」
フランクリン「なに言ってる……団長」
クロロ「それより、この道着の男……こいつと話ができないだろうか」
フィンクス「何言ってんだ団長! 無理に決まってんだろ!!」
パクノダ「こいつは陰獣よ。プライベートはマフィアの上層部が握ってるはず。
残念だけどそう簡単に会うことはできないと思うわ」
ヒソカ「その道着の男って、もしかしてヤムチャのことかい?♦」
旅団たち「!!!??」
181
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:05:58 ID:aIojtFy2
パクノダ「ヒソカ……なんでその名前を……!?」
ヒソカ「あ、やっぱり彼なんだね。だったらウヴォーギンを倒すのも納得だよ♣」
ノブナガ「ヒソカてめぇ……道着の男を知ってたのか……」
ヒソカ「まぁね。彼と僕はハンター試験の同期だからね❤」
ノブナガ「なん……だと……?」
クロロ「ヒソカ」
ヒソカ「んー?」
クロロ「そのヤムチャと言う男について知っていることを話せ」
ヒソカ「……」
ヒソカ「詳しくは僕も知らない」
ヒソカ「ただ、彼は圧倒的な強さを持っている」
ヒソカ「ハンター試験の最終試験。彼はハンター協会の会長……おっと、
『元』会長のネテロと戦い実質勝利しているもの❤」
182
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:06:32 ID:aIojtFy2
シャルナーク「なんだって……!? ネテロに勝ってるのか!」
シズク「それっすごいことなの?」
シャルナーク「ネテロは人類最強と謳われる念能力者だ。それに勝っているなんて……」
シズク「そうなんだ、じゃあウボォーが勝てなくてもしょうがないね」
ウボォー「…………」
フランクリン「お前はホントに容赦ないな……」
シャルナーク「でもハンター試験に受かってるなら、サイトで顔ぐらい割り出せるはずだろ?
出なかったよ。ヤムチャなんてやつは」
ヒソカ「実質勝ってる。って言ったろ?」
ヒソカ「試験自体は彼はネテロに降参して、ハンター試験は不合格だったからね♠」
ヒソカ「ただ、彼は試験が終わった後、ある男と行動を共にしていたハズ♦」
フィンクス「じゃあそいつを探し出せば……」
183
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:07:04 ID:aIojtFy2
クロロ「それがあの鎖野郎か」
ヒソカ「ご明察❤」
フィンクス「……じゃあどのみち難しいな」
ヒソカ「そうでもないよ♦」
ノブナガ「なんだよ、なんかあるならもったいぶらずに言えよ」
ヒソカ「彼には明確な弱点があるのさ♠」
184
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:07:48 ID:aIojtFy2
安アパート―ヤムチャの家―
ヤムチャ「クラピカのやつ大分落ち込んでたな」
プーアル「仇の相手を逃がしちゃったんですよね」
ヤムチャ「うーん。でもその幻影旅団のやつには楽勝だったって話だし」
ヤムチャ「勝てたハズなのに勝てなかったってことだろ? それもキツイよな」
ヤムチャ「あんまり思いつめなきゃいいけど……」
プーアル「あ、ヤムチャさま。飲み物がなくなってますよ」
ヤムチャ「そっか。なら買いに行ってくる」
プーアル「ボクが行きますよ。ヤムチャさまは休んでてください」
ヤムチャ「ダメだプーアルはここにいろ。お前はこの世界では珍しいみたいだから、
また前みたいに連れ去られかけたらタイヘンだからな」
185
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:08:21 ID:aIojtFy2
プーアル「はーい、わかりました」
ヤムチャ「ま、心配するなよ。下の売店に買いに行くだけだからな」
そういってヤムチャは出て行った。
仕方ないのでプーアルが食器の片づけをしていると、インターホンが鳴った。
プーアル「あれ? ヤムチャさま随分早かったですね〜」
プーアルは扉を開けた。そこにいたのはヤムチャではなかった。
プーアル「あ、あなたたち誰ですか……!?」
186
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:09:02 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「ただいまー。いやー遅くなってわるい。ちょっと雑誌読んでてさー……」
ヤムチャ「プーアル……?」
ヤムチャ「ぷ、プーアルの気を感じない……!?」
ヤムチャはテーブルの紙に気付いた。
そこには
『ペットを預った。返してほしければ取りに来い。幻影旅団より』
と書いてあった。
ヤムチャ「……!!!」
ヤムチャはホテルの窓から飛びあった。
その顔はかつてない怒りが浮かんでいた。
187
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:10:10 ID:aIojtFy2
〜旅団アジト〜
プーアル「だせ! ここからだせー!!」
フィンクス「ほんとにこんなんで来るのかよ……」
旅団が囲む鳥かご(コルトピ作)の中に、プーアルが閉じ込められていた。
鳥かごには念が流してあり、柵に触れるとショックが行く仕組みだ。
ノブナガ「なんでオリにわざわざ念流してんだ?」
フィンクス「こうしとかねーとこいつ逃げ出すんだよ」
ノブナガ「あ? どういうこった?」
フィンクス「おい、おまえ」
プーアル「なんだっ! いまにおまえたちなんか、ヤムチャさまにコテンパンにされるぞ!!」
フィンクス「それはわかったよ。ほら、変身してみろ」
188
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:10:46 ID:aIojtFy2
プーアル「いやだっ!」
フィンクス「やれ!」
プーアル「……ううっ、変化っ!」
POM! と音がして、プーアルの体は蠅になった。
ノブナガは目を見開いた。
ノブナガ「なっ……!? こ、こいつ」
フィンクス「な? こいつ蠅とか蚊に変身して隙間から逃げるんだよ」
マチ「変化系の念能力……にしてはオーラが全く見えないし」
シャルナーク「質量や大きさも全く変化してるからね。明らかに念の基本理念に反してる。
一応他人に変化する動物もいないこともないけど、こいつはちょっと桁が違う」
189
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:11:22 ID:aIojtFy2
ノブナガ「ひょっとしてコイツ自体相当の値打ちモンじゃねェか?」
プーアル「ひっ!?」
フランクリン「よせ。こいつは交渉材料だ。傷つけるんじゃねぇよ」
フィンクス「しかし、紙に地図は描かなかったんだろ?」
シャルナーク「下手にアジトをバラすのは得策じゃないからね。ましてや相手は陰獣だし」
コルトピ「ああっ!!?」
190
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:12:03 ID:aIojtFy2
突如としてコルトピが叫んだ。
その体がガタガタと震えている。
今日この日、コルトピは周りのビル群をコピーして配置し、
円の役割を持たせていた。
フィンクス「来たか!?」
コルトピ「こ、これは……!! だ、ダメだ!! みんな逃げなきゃ!!」
コルトピが叫んだのとほぼ同時に、それ、は落ちてきた。
191
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:12:36 ID:aIojtFy2
ビルの天井を突き破り、ガレキと日光を背景に「それ」が落ちてきた瞬間、
「それ」から発せられたオーラに、旅団は各々の反応を示した。
フィンクス、ノブナガ、フェイタンは飛びかかった。
それは、目の前に現れた「それ」が、絶望的なまでのオーラを
放っていたからだった。
百戦錬磨の彼らは、誰もがそれを認めた瞬間に勝つことをあきらめたのだ。
絶望を逡巡で押し流して、彼ら三人が我先に飛び出したのは、
ほかのメンバーを逃がす時間を稼ぐ為の捨て石を選択したからだった。
しかし、彼らは雷(いかづち)のごとき速度で三様に殴り飛ばされ、
背後の鉄くずの中に突っ込んでいった。
フェイタンは腹を撃ち抜かれ「く」の字に折れ曲がって気絶した。
ノブナガは顎に一撃をもらい鉄くずの上に仰向けに大の字となった。
辛うじてフィンクスは腕を殴られたため
(ガードしたのではなく、たまたまふりかぶっていた腕に当たった)、
気絶はしなかったが受けた腕は砕けて千切れかけ、その衝撃は彼の内臓をずたずたにした。
あまりの激痛に血と吐瀉物をまき散らして地面をもがいた。
その攻撃は、ヒソカを除いた旅団の誰もが知覚することさえできなかった。
ヒソカ(ああ……❤)
ヒソカはその攻防の瞬間絶頂に至りかけた。しかし、ぐっとこらえた。
彼にはそれは大変苦痛であったが、一応体裁もあった。
『まだ』ここで爆発するわけにはいかない。
192
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:13:06 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「プーアルを返せ!!! 幻影旅団!!!」
ヤムチャは叫んだ。
惑星を破壊してもなお有り余るほどの戦闘力は、
怒りを伴ってオーラとなり、その空間を支配した。
193
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:13:44 ID:aIojtFy2
シャルナーク(こ、これは……ッ)
マチ「……!!」
シズク(ああ私、ここで死ぬんだなぁ)
ヒソカ「」ニコニコ
パクノダ(う、動けない……何このオーラの量……!?
こ、コレと戦うつもりだったの……?
わ、私たちは、な、なんてバカな選択を……
これはもう、国家クラスの武力でも足りない……!!)
プーアル「ヤムチャさまー!!」
フランクリン「お、おっと。待ちな兄さん」
ヤムチャの歩みをフランクリンがとめた。
その額からは油汗がドロドロと流れている。
フランクリン「そのペットのオリには念を仕掛けていてな」
フランクリン「俺、マチ、シズク、シャルの誰か一人でも傷ついたら
オリの中にオーラが流れて中の生物を殺す仕組みだ」
ヤムチャ「なに……!?」
194
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:14:15 ID:aIojtFy2
フランクリン「俺たちはなにもアンタと戦う気はさらさらねぇ。
あのペットをいたずらに傷つける気もねぇ」
フランクリン「団長がアンタと話したがってたから、こうしたまでだ」
フランクリン「そこをわかってくれ」
ヤムチャ「……」
シャルナーク(ふ、フランクリン。いくらなんでも嘘が稚拙すぎるよ……)
マチ(仮にそれを信じたとして、この男ならオリを無理やり破壊して
念が流れるより早く動けるだろ……)
シズク(うーん。やっぱり今日死ぬのかなぁ?)
ヤムチャ「分かった」
旅団たち「!!!!???」
195
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:14:49 ID:aIojtFy2
マチ(え? 信じた? え? なに……?)
シャルナーク(な、何かの罠……? 油断させる作戦……??)
パクノダ(いや、この男の力ならそんな作戦たてる必要はないはず……)
シャルナーク(ま、まさかこの男信じたのか……本当に!?)
フランクリン「わ、分かってくれて嬉しいよ(ホッ」
フランクリン(一か八かのクソみてーな嘘だったが、なんとかなったか……)
フランクリン「一応団長が来るまではペットはオリに入れておく」
フランクリン「いくらアンタが速くて強くても、俺ら4人が同時に傷つくのは
止められないはずだ。おとなしくしててくれ。何もしないからよ」
ヤムチャ「…………」
ヤムチャは部屋の中央に立った。
旅団たちは気が気ではなかった。
一人、ヒソカだけが上機嫌に笑っていた。
196
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:15:31 ID:aIojtFy2
ウボォー「よぉ」
ヤムチャ「おまえは……そうか、クラピカから逃げたんだったな」
ウボォー「まぁな」
ウボォー「……なぁ、アンタ」
ヤムチャ「ん?」
ウボォー「アンタ、なんでそんなに強いんだ?」
ヤムチャ「死ぬほど修行したからな」
ウボォー「それだけか……?」
197
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:16:05 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「……あと一回死んだ(ボソッ)」
ウボォー「ん? 今なんつった?」
ヤムチャ「き、きくなっ!!」
ウボォー「なぁ、俺もアンタぐらい強くなれるかな」
ヤムチャ「さぁな」
ウボォー「……否定はしねぇんだな」
ヤムチャ「…………」
ウボォー「」(ニッ)
198
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:16:40 ID:aIojtFy2
ヒソカ「やっ、久しぶり❤」
ヤムチャ「ひ、ヒソカ!? おまえも旅団なのか!?」
ヒソカ「『一応』ね。安心してよ。プーアルには一切手出しさせないし、してないから♦」
ヤムチャ「ほんとだろうな……」
ヒソカ「ホントだよ〜。キミの強さを知っている僕が、
キミを怒らせるようなマネするわけないだろ?❤」
ヤムチャ「う、うそくせー」
ヒソカ「ひどいなぁ♠」
ヤムチャ「あっ! ていうかプーアルのこと教えたのお前だな!?」
ヒソカ「さぁてね? なんのことかなぁ♠」
ヤムチャ「くっ、このやろー……!」
199
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:17:10 ID:aIojtFy2
しばらくののち、クロロが帰ってきた。
クロロ「そいつか」
ヤムチャ(こいつが、幻影旅団の親玉か)
クロロ「俺とパク以外、外で待ってろ」
ノブナガ「だ、団長……それは……」
クロロ「命令だ」
ヤムチャ「…………」
シャルナーク「だめだ! いくら団長の命令でも聞けない!」
クロロ「ふむ、そうか……」
クロロはパクノダに耳打ちした。
パクノダの眼が見開かれた。驚きだった。
200
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:17:55 ID:aIojtFy2
クロロ「俺がヤムチャに聞きたいことはパクに教えた」
クロロ「ノブナガ」
ノブナガ「な、なんだよ」
クロロ「俺の首を斬れ」
ノブナガ「!!?」
ヤムチャ「な……!?」
201
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:18:31 ID:aIojtFy2
クロロ「この男はおそらく、この地上で最強の生物だ」
クロロ「本来俺たちなど瞬きの間に皆殺しにできるだろう。だが、
この男は『それをしていない』。なぜなら、お前たちがまだ生きているからな」
クロロ「その男の誠意に対し、俺たちが誠意を示すにはこれしかない」
ノブナガ「で、でもよ……!」
クロロ「頭が死んだ程度ではクモは死なない」
クロロ「だが、文字通り皆殺しになれば終わりだ」
クロロ「俺一人の命、安いもんさ」
ノブナガ「……わかったよ」
202
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:19:02 ID:aIojtFy2
ノブナガは刀を抜いた。クロロは目をつむった。
そして、クロロの首に刀が振るわれた。
ヤムチャ「やめろ……!」
首と刀の間に、ヤムチャの手が割って入った。
オーラを纏ったその手はノブナガの抜き打ちを容易く止めた。
ヤムチャの動きを見切れた者は、やはりヒソカと、クロロだけであった。
クロロ「……」
ノブナガ「なっ……」
ヤムチャ「話はしてやる……だから命を無駄にするな!」
クロロは誰にも気づかれない程度に、ほんのわずかに口角を持ち上げた。
203
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:19:37 ID:aIojtFy2
クロロはパクノダに命じて椅子を二脚持ってきた。
そして、ヤムチャとクロロは対座した。
ヤムチャ(なんだ……この男)
ヤムチャ(間違いなく戦闘力は俺より低い。他の奴らと大差ない)
ヤムチャ(なのに、なんだこの……)
クロロ「パク」
204
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:20:07 ID:aIojtFy2
クロロは鳥かごからプーアルを出して、パクノダに持たせた。
プーアルがジタバタと暴れたが、さすがに抑え込まれた。
ヤムチャ「プーアル! や、約束が違うぞ!」
クロロ「一応の保険、だ。遠巻きでもさっきの一合でも
おまえの力はイヤ程理解させられた。
なんの担保もなしに話し合いはできない」
パクノダ「心配しないで、絶対に傷つけないわ」
クロロ「いくつか質問させてくれ。答えたくないものは言えない、でいい」
ヤムチャ「……」
パクノダ「……」
クロロはゆっくり口を開いた。
205
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:20:54 ID:aIojtFy2
クロロ「まず、お前は何者だ。どこから来た……」
ヤムチャ「ど……どういう意味だよ」
クロロ「俺には、お前はどうもこの世界の生物には思えない。
ウボォーはおろか、あのネテロを倒すような人間が、
俺たちやハンター協会に全く知られず、突然現れた。
かといって、暗黒大陸から来たとも思えない」
クロロ「これはどういうことだ? 俺には、お前はまるで神話の……
神が下界に遣わした戦天使に思える」
クロロ「……あるいは」
クロロ「何者かが『この世界』に何かをもたらすために送り込んだ、
『機械仕掛けの神』に思えて仕方がないんだ」
206
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:21:35 ID:aIojtFy2
ヤムチャ「……言えない。答えられない……」
パクノダ「……!」
クロロ「そうか……。では次だ。お前の力は念能力じゃないな?」
ヤムチャ「!」
パクノダ「!!」
クロロ「それが『何か』であることは今はどうでもいい。興味はない。
俺はただ、それが俺の知らない『何か』であることを知りたかったが……」
クロロ「その反応を見るに、正解のようだ」
ヤムチャ「……っ!!」
クロロの黒い瞳が、じっとヤムチャを見つめていた。
ヤムチャはぞっとした。
207
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:22:19 ID:aIojtFy2
ヤムチャ(こいつ……なんなんだ……この威圧感は)
ヤムチャ(まるで心臓を直接握られているような……)
ヤムチャ(頭を切り開いて直接のぞかれているような……)
ヤムチャはどうしようもない嫌悪感を感じていた。
今まで数々の強者と出会ってきたヤムチャだったが、
クロロのようなタイプは初めてであった。
ヤムチャの理解できない強さを、クロロは持っていた。
クロロ「もう十分だ。パク、そいつを放してやれ」
パクノダ「え? あ。わ、わかったわ……」
208
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:22:50 ID:aIojtFy2
解放されたプーアルはヤムチャの胸に飛び込んだ。
プーアル「ヤムチャさまー!!」
ヤムチャ「プーアル! すまない! 怖かっただろう?」
プーアル「いえ! ヤムチャさまが必ず助けてくれると
信じてましたから!」
ヤムチャはクロロを見た。
209
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:23:22 ID:aIojtFy2
クロロ「俺たちはもう、俺たちからはお前には関わらない」
クロロ「こんなことを言うのは変な話だが……出会えてよかった」
ヤムチャたちは落ちてきた穴から飛び去った。
クロロはそれを見上げていた。
ヤムチャの姿が見えなくなっても、しばらく見上げていた。
クロロ「パク」
クロロ「記憶弾(メモリーボム)を俺に撃て」
パクノダの手に、念によってつくられたリボルバーが握られた。
そして、クロロの額に弾丸が撃ち込まれた。
210
:
◆seQBwpiAy2
:2019/09/17(火) 13:25:09 ID:aIojtFy2
前編終了です。思ったより長くなってごめんなさい
後編は「ヤムチャ&陰獣+クラピカvs幻影旅団」の予定です
ほどほどに楽しみにして頂けると幸いです
211
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/09/17(火) 22:12:35 ID:fbIljO7k
なるほど、プーアルから記憶を抜き取ったのか
212
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/09/17(火) 23:04:19 ID:xmxnsUJ2
これが天津飯だったら迷わずに旅団皆殺しにしてそう
213
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/10/01(火) 22:09:10 ID:UQw4Myq.
ジョネスみたいな単独犯だったら容赦なく殺すんだろうけど
集団で身内同士への情があると知ったら躊躇しちゃうんだろうな
214
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/10/09(水) 19:27:27 ID:xrnPxz/6
乙
215
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/05/06(水) 09:35:54 ID:iJx1bSMw
保守
216
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/23(日) 21:53:14 ID:fllEUR/.
生きてる?
217
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/23(日) 21:57:12 ID:kD/0JTQg
ヤムチャSSはエタりやすいからね
218
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/01/09(土) 11:22:39 ID:DvnD02XU
エタったかな?
219
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/07/17(日) 16:55:25 ID:aHVyhG02
期待してたのにな
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