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ヤムチャ「ここがハンター試験会場か……!」
1
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:48:45 ID:dfsL1CCM
人造人間との戦いまであと二年を切っていた。
ヤムチャは悟空たちと別に修行を重ねていたが、
自分の力の限界を感じていた。
フリーザより強いとされる人造人間……。
正直ついていける気はしなかったが、もう足手まといになるのもこりごりだった。
ヤムチャは悩みぬいた末、一つの決断を下した。
ドラゴンボールを集め、神龍を召還したのだ。
神龍「さぁ願いを言え……。どんな願いも一つだけかなえてやろう……」
ヤムチャ「お、オレでも満足に修行できる場所に送ってくれ!!」
神龍「それがお前の願いか……?」
プーアル「ヤムチャさま! ボクもご一緒させてください!!」
ヤムチャ「ああ! 神龍! オレとプーアルを、だ。
オレだってもっと強くなりたい……!! 頼む! 神龍!!」
神龍「わかった……」
神龍の目が光り、フッ、とヤムチャとプーアルの姿が消える。
その瞬間、ヤムチャとプーアルは地球から消えた。
2
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:49:26 ID:dfsL1CCM
ビーンズ「はい、次はあなたですね。これがプレートです」
ヤムチャ「えっ? はっ! ここは……?」
ヤムチャが周りを見渡すと、そこは地下道のようだった。
何百人と言う男たちが目をぎらつかせている。
ヤムチャ「やったぞプーアル! 成功だ!! ここがオレの修行場だ!!」
プーアル「はい! やりましたねヤムチャさま!!」
ビーンズ「あの〜、どうでもいいけど早く受け取ってください」
ヤムチャは訳も分からないまま、『406』と書かれたプレートを受け取った。
ヤムチャ「それにしてもここはどこで、なんなんだろうな?」
ヤムチャは再度、周りを見渡した。
ヤムチャ(結構な人がいるが……たいした奴はいなさそうだ)
ヒソカ「……」ズキュウゥゥゥン
3
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:50:01 ID:dfsL1CCM
トンパ「やぁ、そこの兄ちゃん。さっきからきょろきょろして、
もしかしてハンター試験は初めてか?」
ヤムチャ「ああ、そうだ。ハンター試験って……?」
プーアル(ヤムチャさま! もしかして神龍がヤムチャさまにふさわしい修行の場として
強さを競う試験の場に送ってくれたんじゃないですか?)
ヤムチャ(おお、そうか! 神龍も気が利いてるじゃないか〜)
ヤムチャ「そうだそうだ! オレはハンター試験を受けに来たんだ、はは……!」
トンパ「なんだがしゃっきりしねぇ兄ちゃんだな。
ま、そういうことなら俺にまかせときな」
トンパ「なにせ俺はもう35回も試験を受けてるからな」
ヤムチャ「35回!? す、すげーなアンタ……」
4
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:51:04 ID:dfsL1CCM
それからヤムチャはとトンパにいろいろ話をしてもらい……。
トンパ「お、そうだ。よかったらこれ飲みな。お近づきのしるしだ」
ヤムチャ「お、ジュースか! ありがとうトンパ」
プーアル「やさしいんですね」
トンパ「へへっ、まぁな……」
ヤムチャは遠慮なくジュースを飲んだ。
トンパはニヤニヤ薄ら笑いを浮かべていた。
ジリリリリリリリリリリリリ!!
5
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:51:58 ID:dfsL1CCM
サトツ「ただいまを持ちまして、受付時間を終了とさせていただきます。
同時に第287期ハンター試験、一次試験を開始いたします」
プーアル「あ、はじまるみたいですよ、ヤムチャさま」
ヤムチャ「あ……ああ……!!」
プーアル「ヤムチャさま……?」
ヤムチャはかつてないほどの腹痛に襲われていた。
足をぴょこぴょこさせ、前かがみになり、便意と戦っていた。
サトツ「申し遅れましたが私、一次試験官のサトツと申します。
それでは皆様を会場までご案内いたします」
ヤムチャ「あの……! ちょっと!!」
サトツ「はい? なんでしょうか?」
ヤムチャ「ここ、トイレってあります……?」(震え声
爆笑が湧き起こった。
6
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:52:40 ID:dfsL1CCM
モブA「おいおい、試験前にトイレに行っとくなんて常識だろ〜じ・ょ・う・し・き!」
モブB「おい誰だよこんなやつ会場まで通したバカは?」
モブC「お兄ちゃんぽんぽんいたいんでちゅね〜?」
ギャハハハハアハハハアハハ!!!!!!!
ヤムチャ「くっ……」プルプル
サトツ「みなさんお静かに。残念ですがここにトイレはありません。
試験をやめて地上に戻るなら、案内も可能ですが……」
サトツ「どうされます?」
ヤムチャ(ぐっ……! なんてこった!!)
ヤムチャ(せっかく修行に来たのに何もせずに帰れるかよ!!)
ヤムチャ「わかりました……このままうけます……」
サトツ「よろしい。ならば参りましょう」
7
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:53:17 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ(くそっ、さっきのジュースだな! 仕組まれてたんだな。クソッ!!)
レオリオ「おいあんた大丈夫か?」
レオリオ「まさかトンパのジュースを飲んだんじゃねェだろうな?」
ヤムチャ「な、なぜ……それを……?」
レオリオ「俺たちも騙されかけたからな。ほら、これ胃薬だ。
効くかは微妙だが、飲んどきな」
ヤムチャ「あ、ありが……」
ヤムチャ(ハッ! 待てよ……)
ヤムチャ(この男も騙そうとしてるんじゃ……)
ヤムチャ(この男がトンパとグルって可能性もある……)
8
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:53:52 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「だ、だまされねーぞ! もう騙されてたまるか……!」
レオリオ「あ、オイ待てよ! 俺はあいつとはちげーぞ!! オイ!!」
レオリオ「ったくもう知らねーぞ下痢ピー野郎が!」
サトツの先導する一団は走り続けた。
途中、これが一次試験であると告げられた受験生たちは、
いつ終わるかわからないマラソンを強いられることになる。
そして6時間が経過した……。
9
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:54:37 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「うぉっ、うお……うぉぉぉおぉ!!!」
ゴン「お兄さん大丈夫?」
ヤムチャ「ああ、だいじょうぶ……さ。こん……なの……
なんて……こと、ないんだぜ……」
プーアル「ヤムチャさまファイトー! がんばってください!!」
ゴン「キミは喋れるの? すごいね!」
プーアル「はい! ボクはプーアルと言います。
ヤムチャさまのパートナーです」
ゴン(この子にすごく慕われてるんだな。
このヤムチャって人は良い人だ)
キルア「やめろよゴン。うんこくさいのがうつっちまうぜ」
ゴン「もう、キルアダメだよ! そんなこと言っちゃ」
ヤムチャ「そう……だ。まだ……漏らしてな……い」
ゴン「頑張れ! ヤムチャさん」
10
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:55:29 ID:dfsL1CCM
クラピカ「……大したものだな」
レオリオ「あぁん? なんだって……ぜぇ……はぁ……!」
クラピカの視線をレオリオが追うと、そこにはヤムチャがいた。
レオリオ「あンの下痢ピー野郎がどうしたんだ?
つーかアイツまだ落ちてなかったのか……はぁ、ゼェ」
クラピカ「そこだ、レオリオ。気付かないのか」
レオリオ「?」
クラピカ「彼は……おそらく下剤を飲まされ腹を下し、
コンディションは最悪のはずだ」
クラピカ「にも拘らず、ここまでの道のりで全くペースを落とさず走り続け、
それどころか、先頭におどりでてしまっている……」
レオリオ「あ! そ、そういやそうだ……」
クラピカ「レオリオ、おまえならできるか? コンディションが最悪の状態で、
ゴールもわからない。あとどれだけ走ればいいか分からない。
そんな地獄のマラソンで先頭で走り続けることができるか?」
レオリオ「……!!」
クラピカ(ヤムチャ、と言うらしいが……)
クラピカ(一体何者なんだ……?)
11
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:56:17 ID:dfsL1CCM
一行はスメーレ湿原の入口へとたどり着いた。
そこでいきなり、『自分が試験官である、その男はニセモノだ!』
と言い張る男が現れた。
だがそんなこと今のヤムチャには関係なかった。
ヤムチャ「お……い、あんた……」
レオリオ「なんだよ……」
ヤムチャ「やっぱさっきの胃薬わけてくんない? もう限界で……」
レオリオ「だーっ! やめろここで漏らすな!
ほらこれだよさっさと飲め!!」
ヤムチャ「す、すまん」(ゴクリ
ぐぎゅ〜っ
ヤムチャ(ウッ! 薬を飲んで安心したら腹が……)
ヤムチャ(も、もうガマンできない……)
ヤムチャは一行からコッソリ離れ、草葉の陰で用を致した。
12
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:56:49 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「すっかりはぐれちまったな」
ヤムチャ「幸い腹の調子はそこそこマシになったけど……」
プーアル「みんなどっちにいったんでしょうね?」
ヤムチャ「あっちで大勢の気が動いてる。あっちだな」
ヤムチャは軽快に走りだした。
13
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:57:41 ID:dfsL1CCM
霧の中はヒソカによる虐殺が行われていた。
残ったのは三人。クラピカ、レオリオ、チェリー。
ヒソカ「残るはキミたち3人だけだねぇ。どうする?♦」
チェリー(おい、俺が合図したら一斉に逃げるぞ……)
ヒソカ「ん?♦ 逃げるのかい?♠」
レオリオ「………!」(ギリッ
クラピカ(よせレオリオ! 私たちでは奴には勝てない!)
ヤムチャ「あれ? これどういう状況?」
三人「!!?」
ヒソカ「あっ、キミは……♦」
ヤムチャは周囲を一瞥し、状況を理解した。
ヤムチャ「なるほど、おいお前たち、逃げたほうがいいぞ!」
ヤムチャ「コイツの相手はオレがしてやる」
三人「!!?」
ヒソカ「……!!」ビンッ!!ビンッ!!
14
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:58:15 ID:dfsL1CCM
レオリオ「バカやろう! おまえひとりでなんとかなるかよ!!」
ヤムチャ「いいから任せろって。アンタには薬の恩があるからな」
クラピカ「レオリオ、ここは彼の言葉を聞こう!」
レオリオ「クラピカ! アイツを見捨てるってのか!?」
チェリー「いや、確かに一人囮になってくれれば
俺たちの助かる確率はハネ上がる……」
クラピカ「レオリオ!」
レオリオ「……くっ!」
三人は立ち去り、霧の中にヒソカとヤムチャだけが残った。
15
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:58:49 ID:dfsL1CCM
ヒソカ「いいのかい? キミ一人で?♦」
ヤムチャ「ふん。おまえ最初っからオレが狙いだったんだろう?」
ヤムチャ「あの地下道の時から妙に視線を感じてたんだ」
ヤムチャ「あれはおまえだろう?」
プーアル「そうなんですか?」
ヒソカ「……! ちょっと熱視線送りすぎてたかな?♠」
一拍の間。ヒソカが動いた。
どこからか取り出した複数枚のトランプを投げる。
トランプはナイフのように鋭く、まっすぐにヤムチャへと伸びた。
しかし、ヤムチャは一歩も動くことなく
トランプをすべて叩き落とした。
16
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 15:59:31 ID:dfsL1CCM
ヒソカ「……!」
ヤムチャ「おい、こんなもんか?」
ヒソカ(ゾクゾクゾクッ!!!
ヤムチャ「じゃあ今度はこっちから行くぜ!」
ヤムチャが腰だめに構えるとともに、気を解放する。
それはヒソカの目に巨大な炎となって現れた。
山をも焼き尽くすほどに、巨大な炎に見えた。
ヒソカ(素晴らしい……!!!)ズキュゥゥゥゥンン!!!!!!
ヒソカはがっくりと腰を落とした。ヤムチャとは違って
膝の力が抜けた落ち方だった。
ヒソカ「鎮めなきゃ、抑えなきゃ……」
ヤムチャ「おいどうした?(急に震えだしたぞ。どうしたんだ?)」
ヒソカは目線を戻すと、にこやかな笑顔だった。
ヒソカ「うん! やめとく❤」
ヤムチャ「はぁ?」
プーアル「ええ!?」
17
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:00:03 ID:dfsL1CCM
ヒソカ「キミとこんなところで戦うのはもったいなさすぎるよ❤」
ヒソカ(たぶん今やりあうと、抑えられなくなっちゃしね♠)
ヒソカ「じゃあね、良いハンターになりなよ♦」
霧の中へ消えていくヒソカ。
ヤムチャはすっかりぽかんとしていた。
レオリオ「やっぱりアイツ一人に任せられねェ!! 大丈夫かおい!!」
レオリオ「ってあれ?」
クラピカ「待てレオリオ……。これは……?」
ヤムチャ「あいつ、なんだったんだ……?」
18
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:00:39 ID:dfsL1CCM
レオリオ「無事だったか! よかったぜ!!」
クラピカ「ど、どういうことだ?
ヒソカを無傷で撃退したというのか……?」
ヤムチャ「いや、あいつなんか勝手にどっか行っちまった」
レオリオ「なに? かーっ! 試験官ごっことか言ってやがった癖に!
なんて自分勝手なヤローだ!!」
クラピカ(ヒソカが自ら退いた……なぜだ?)
クラピカ(さっき一瞬……おそらく、ここから発せられた
『異様な気配』と何か関係があるのか……?)
19
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:01:15 ID:dfsL1CCM
ゴン「あ、レオリオ! クラピカ!! 無事だったんだね!!」
レオリオ「ゴンか! この通り無事だぜ!」
ゴン「よかった〜。ヒソカが暴れるって聞いたから、心配したんだよ」
クラピカ「……」
レオリオ「にしてもだいぶ離れちまったな。追いつけっかな?」
ゴン「それなら大丈夫だよ、オレの……」
ヤムチャ「ん? みんななら多分向こうだぞ?」
ゴン「」
レオリオ「なんでそんなはっきり言えんだよ」
ヤムチャ「だって向こう側が、一番大勢の気が動いてるからな」
クラピカ「気……? 気配のことか?」
ヤムチャ「まぁそんなとこさ。行こうぜ」
クラピカ「……」
ゴン「」
20
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:01:53 ID:dfsL1CCM
無事二次試験会場にたどり着いたヤムチャたち。
そこでの試験は料理を作ることだった。
一つ目の試験、豚の丸焼きは難なくこなした受験生たちであったが、
二つ目の試験。『スシ』がヤムチャたちの前に立ちはだかる……。
ヤムチャ「ニギリズシか……。まいったな〜ブルマんちでよく食べてたけど、
作り方まではわかんねーよ」
プーアル「ただお刺身を乗せるだけじゃないんですか?」
ヤムチャ「たぶん、それだけじゃうまい寿司は作れないんだ」
ハンゾー(くそっ、なんであいつスシのこと知ってんだ?)
ゴン「ライスだけで作るのかな?」
ヤムチャ「いや、違うぜゴン。
寿司ってのは刺身にした魚を握った米の上に乗せるんだ」
レオリオ「なんだヤムチャ? 知ってんのかよ!?」
21
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:02:23 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「逆におまえらなんで知らないの……?」
クラピカ「なるほど、魚か!」
ヤムチャが漏らした情報により、受験生たちはいっせいに魚を取り、
思い思いに刺身にし、スシを作った。しかし、誰一人として
二次試験官――メンチの舌を唸らせることはできなかった!
このまま合格者0人になると思われた矢先、
ハンター協会会長のネテロが現れた。
ネテロの提案により、クモワシの卵をとってくること、に
試験が変えられ、ヤムチャたちはなんなく試験を突破したのだった。
ゴン「ヤムチャさん……? え? 飛んでる!!?」
クラピカ「…………!!」
レオリオ「うそだろ? ひ、人が飛ぶなんて……
と、トリックか?」
ヤムチャ「トリックじゃねーよ。種も仕掛けもない」
キルア(……うそだろ?)
22
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:03:06 ID:dfsL1CCM
一行は三次試験会場、トリックタワーの屋上に降り立った。
ゴン達はヤムチャに先ほどの技――舞空術について、
ひっきりなしに聞いていた。
ヤムチャ「だから、舞空術は気をある程度扱えたら
誰でもできるんだって……」
レオリオ「だからその”気”ってやつは何なんだよ!? 俺は医者の勉強してきたが、
どの本にも人間の体にそんなスゲーパワーがあるなんて書いてなかったぜ!?」
ゴン「ねぇヤムチャさん! 俺にもできるかな!?
空……飛べるかな?」
ヤムチャ「はは、修行すればできるさ」
キルア「……つまんねーの、ちやほやされやがって」
クラピカ「…………」
キルア「っていうか第三試験こっから降りるんだぜ?
そのおっさんだけラクショーじゃねぇか!」
キルア「ズルだよ! そんなのズルだ!!」
レオリオ「最初スケボーにのってた奴がそれ言うか……」
クラピカ「人数が減っている。どうやら隠し扉があるようだな」
23
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:03:41 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「はは、なんだったら下まで送って行ってやろうか?
オレだったらあんな怪鳥やっつけれるし」
レオリオ「おおっ! そりゃあいいぜ!!
第三試験合格第一号になれるな!!」
ゴン「……いや、俺はいいかな」
ヤムチャ「ゴン?」
ゴン「なんていうか、ハンター試験は、自分の力でやらなきゃ
ダメだと思うんだ。ハンターって資格は、ちゃんと試験を
乗り越えた人がもらえるモノだと思うから……」
ヤムチャ「……」
24
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:04:17 ID:dfsL1CCM
ゴン「あ、でもヤムチャさんは降りていいと思うよ!
そのブクージュツは、ヤムチャさんの力で間違いないし!」
ヤムチャ「いや、オレもまっとうに降りることにするぜ」
ヤムチャ「考えてみたら、オレはここに修行に来たんだ」
ヤムチャ「楽をしちゃ修行にならねーからな、はは」
プーアル「さすがヤムチャさまです〜!」
25
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:04:52 ID:dfsL1CCM
隠し扉を見つけたヤムチャたち。しかし降りた先で再び合流し、
5人はトリックタワーを進む。
『どっちに行く? 右⇒○ 左⇒×』
レオリオ「ちっ、決まってんだろこ……」
ヤムチャ「右だな。多数の気が感じられる」
クラピカ「その気とやらは、遠くの気配まで探れるのか?」
ヤムチャ「ん? まぁこのタワー全域ぐらいならわけないぜ」
レオリオ「便利だなー気ってやつは」
26
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:05:24 ID:dfsL1CCM
トリックタワー リング
ベンドット「ここから先、一対一の勝負で我々5人を倒さねば
先へは進めない」
ベンドット「一人につき一度しか戦えない。
受けるなら○、受けないなら×だ」
クラピカ「当然受けるとして、一番手は誰が行く?」
ヤムチャ「まずオレから行かせてもらうぜ」
レオリオ「いいのか、ヤムチャ?」
ヤムチャ「ああ、連中の腕がどのくらいか試してやるさ」
ヤムチャ(とはいっても、
あの中にもたいした奴はいなさそうだけどな……)
ベンドット「じゃあ一番手は俺……」
???「オレが行く……。もうガマンできそうにない……」
ベンドット「……ッ! わかった、お前に先鋒は譲ろう」
???「」ニィ
27
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:06:08 ID:dfsL1CCM
リングに降り立った二人。ヤムチャと対面する男を見て、
ゴンとレオリオの背筋は凍った。
ゴン「……」ゾクッ
レオリオ「なっ……! やめろヤムチャ! 戻れ!
俺たちの負けでいい!!」
ヤムチャ「何言ってんだレオリオ。まだ始まってすらないんだぞ!」
レオリオ「いいから棄権するんだ! ヤツは……!!」
ジョネス「久しぶりに……シャバの肉をつかめる……」
28
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:07:16 ID:dfsL1CCM
レオリオは叫んだ。その男の名はジョネス。
ザパン市史上最悪の大量殺人鬼。146人の命を奪った男だと。
ヤムチャ「なるほど極悪人ってわけか……」
レオリオ「わかっただろ!? だから棄権……!!」
ヤムチャ「構わない、はじめてくれ」
レオリオ「お、おい……!」
クラピカ「よせレオリオ。既にリングに降りている。
勝負は成立したとみなされているんだ」
レオリオ「でもよ……!」
ゴン「……ヤムチャさんなら大丈夫だよ」
キルア(さて、ヤムチャのお手並み拝見だぜ……)
29
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:07:54 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「おまえ、自分の罪を悔いたことはあるか?」
ジョネス「くっくっくっ? 悔いるだと? 何をだ?
オレはただ肉をつまんで千切って捨てる。
ただそれだけのことをしているだけだ……」
ヤムチャ「……」
ジョネス「これから行われるのは一方的な虐殺さ。
試験も恩赦もオレには興味がない。
おまえは――――……」
ぱん
30
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:08:26 ID:dfsL1CCM
小さな、小さな破裂音だった。
それは空気が超高速で炸裂し、音が後から来た故の現象だった。
最初に気付いたのはキルアだった。
ヤムチャがジョネスに裏拳を打ち込んだのだ。
だが撃った瞬間が見えたわけではない。撃ち終わりの姿勢を見て、
そう判断できただけだ。
次に気づいたのはゴンだった。
ものすごい勢いでジョネスが壁にぶつかっていた。
そのまま壁を砕き、奥へと吹き飛んで行った。
吹き飛んだジョネスが壁を突き抜けた音を、ようやくクラピカは察した。
たった一撃で終わったのだと。
たった一撃で、この男は勝ったのだと。
31
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:09:08 ID:dfsL1CCM
受刑者たち「………………!!?」
受刑者たち「……………………………!!???」
ヤムチャ「おい! オレの勝ちだろう? さっさと次、降りてきやがれ」
レオリオ「えっ? 何が起きたんだよ!? なんでジョネスがいないんだ……??」
クラピカ「ヤムチャがタワーの外に……吹き飛ばしたのだ……」
ゴン「…………!」
キルア(ウソだろ……全く、全く見えなかった……)
ベンドット「い、いや確かに君の勝ちだが、これは勝ち抜きじゃない。
そちらも交代してもらわなければ……」
マジタニ「おいなんなんだよ!? あんな化け物の相手なんて、お、
オレはごめんだぜ!?」
セドカン「お、落ち着きなよ。も、もうあいつの出番は終わったから……」
レルート「こりゃあ、なめてかかったらヤバそうね」
32
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:09:43 ID:dfsL1CCM
ゴン「すごいよヤムチャさん! どうやったの!?」
レオリオ「ヤムチャ……お前実はとんでもねーやつなのか……?」
クラピカ「今のも気の力なのか……?」
ヤムチャ「一片に話しかけないでくれよ。みんなの話はタワーを降りて
暇なときに答えるからさ……」
ゴン「んー! なんかオレもやれそうな気がしてきた!!
じゃあ二番手オレがいくね!!」
ヤムチャの一撃で士気の上がったメンバーは次々と勝ちを重ねた。
ゴンは蝋燭を一気に噴き上げて瞬殺。
クラピカは蜘蛛の入れ墨をみて激怒しマジタニを瞬殺。
キルアは……。
33
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:10:14 ID:dfsL1CCM
ベントッド「オレの相手はキミか……」
ベンドット「悪いが子供相手でも容赦はしない」
キルア「……っ……な」
ベンドット「ん?」
キルア「うっせーよ。御託はいいから早くきやがれ」
ゴン「キルア……?」
キルア(なんだよ! ゴンはせっかくできたオレの……オレの……)
キルア(なのに、ヤムチャヤムチャって……)
キルア(クラピカもレオリオもだ。あんなやつ……)
キルア(オレだって……!!)
34
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:10:51 ID:dfsL1CCM
キルアはまず、すれ違いざまにベンドットの両足の健を切断した。
リングに転がるベンドットの、さらに両肩の筋肉を切断した。
動けなくなったベンドットを、キルアは殴り続けた。
キルア(オレだって……オレだって……!!)
レオリオ「うえっ……もうやめろキルア! そいつもう意識ねーぞ!!」
キルア「…………」
クラピカ「聞こえていないのか?」
ヤムチャ「ヤバいぞ、あっちの男はもう死にかけだ」
ゴン「キルア―!!!!!」
キルア「!」ピクッ
35
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:11:26 ID:dfsL1CCM
ゴン「……どうしたの、もういいんだよ」
キルア「……」
キルア、動かなくなったベンドットを撃ち捨て、リングを降りた。
ゴン「キルア……」
キルア「悪いゴン、ちょっと放っておいてくれ……」
ゴン「キルア……!!」
36
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:12:03 ID:dfsL1CCM
最終戦、もはやするまでもないのだが、
「せっかくだから全勝しようぜ!」というレオリオの提案で
レオリオ対レルートが行われ、レオリオ惨敗。
ヤムチャたちは50時間のロスを食う羽目になった。
クラピカ「ヤムチャ……」
ヤムチャ「ん? どうしたクラピカ?
わっ? なんだよ!? 頭なんか下げて……」
クラピカ「私に気を教えてほしい!」
ヤムチャ「え?」
クラピカ「ぶしつけな頼みなのは承知だ……だが、
どうか頼む……!」
ゴン「あ、ずるいクラピカ! ねぇヤムチャさん! オレにも教えて!」
レオリオ「そういや気ってのは、誰でも覚えられるんだろ?
オレにも教えてくれよ!」
ゴン「キルアも一緒に……」
キルア「オレは……今はいいよ……」
ゴン「キルア……」
37
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:12:37 ID:dfsL1CCM
クラピカはヤムチャに理由を話した。
自分は滅ぼされたクルタ族の生き残りであり、
クルタ族を滅ぼした『幻影旅団』を倒すためにハンターを
目指している。
気の力を身につけることは旅団打倒に近づくカギだと。
ヤムチャ「復讐、か……」
クラピカ「常識から考えて、復讐など目指すものに、
力を授けられないというのはわかる……」
クラピカ「だが、私には力が必要なんだ……!!」
ヤムチャ「……いいぜ。教えてやるよ」
クラピカ「本当か!」
ヤムチャ「ああ、ただし……」
ヤムチャ「気の……身につけた力を悪いことに使うのはなしだ。
あくまでその旅団とかいうのを倒すためだけに使ってくれ!」
クラピカ「誓おう……」
ヤムチャ「よし、じゃあ教えるよ。もっとこっちに……」
38
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:13:07 ID:dfsL1CCM
〜〜〜〜〜〜〜
ヤムチャ「だめだめ。レオリオはもっと心を落ち着かせて……
最初は落ち着かないと、気を引き出せないぞ」
レオリオ「うぐぐ、難しいぞ全然わからねェ……」
ゴン「あっ! ねぇヤムチャさんこれ……?」
ヤムチャ「おっ! そうだゴン。その小さな光の玉が
おまえの気の集まりだ! うまいぞ」
クラピカ「……!」
ヤムチャ「クラピカはもっと肩の力を抜いた方がいいな」
クラピカ「そうか」
39
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:13:38 ID:dfsL1CCM
〜〜〜〜
ゴン「す、すごいよクラピカ! ちょっと浮いてるよ!!」
クラピカ「しっ、静かに、ゴン。集中させてくれ……」
レオリオ「くっそー! まだ俺だけ何もできてねーぜ」
〜〜〜〜〜〜
そしてあっという間に50時間が流れた。
40
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:14:14 ID:dfsL1CCM
飛行船の中
キルア(……ヤムチャ!)
ヤムチャ「なんかハンター試験ってやつも大したことないな〜」
プーアル「そうですね……ヤムチャさまにはちょっと物足りないですよね」
ヤムチャ「神龍もなんでこんなとこにオレを送ったんだろな?」
キルア(ふざけやがって……! オレだって……オレだって……)
キルア、自信の手を鋭く変化させる。
キルア(オレだって……!!)
ヤムチャ「そう殺気立たれたら地球の裏側にいてもわかるぞ」
キルア「!?」
41
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:14:56 ID:dfsL1CCM
キルアは驚いて振り返った。そこにはヤムチャがいた。
もう一度振り返ると、そこにヤムチャはいない。
キルア(そんな……オレに全く気付かれずに背後にまわったのか……
ウソだ……! 全く見えないなんて……そんなこと……!)
キルア「さ、さすがに速いんだね……」
ヤムチャ「ん、まぁな」
ヤムチャ「それよりまぁ座れよ。話そうぜ」
ヤムチャはキルアと並んで座った。
42
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:16:35 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「なぁ、おまえなんかトリックタワー以降、ピリピリしてるよな」
キルア「……あんたのせいだよ」
ヤムチャ「ああ、やっぱりか」
キルア「オレは……暗殺一家で生まれ育った。物心つく前から人を殺す技ばかり学んできた。
自慢にもならないけどさ……これでも結構自信あったんだぜ」
キルア「でも、やっぱりオレ。普通に友達作りたかったんだ……。
同じ年の友達作って……普通に遊んだりバカなことで笑ったり……」
キルア「そういうことをしたかったんだ……」
ヤムチャ「……」
ヤムチャ「なるほど、友達に自慢できる唯一の特技すらこのオレに敵わない。
ゴンはオレのことを見てくれない。だからどうしたらいいかわからない、
ってとこか」
キルア「……!」
43
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:17:11 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「あのな、勘違いされたら困るんだが」
ヤムチャ「オレの技はあくまで武術だってーの」
ヤムチャ「敵と戦う術ではあるけど、殺しを目的とした技じゃねー」
キルア「それでも、同じさ」
ヤムチャ「それに、ゴンはお前のこと見限ってなんかいねーよ」
キルア「……!」
ヤムチャ「それどころか、キルアが心配だって、オレたちにしきりに
相談してきたんだぜ? おまえは心を閉ざしてたから
気付かなかったかもしれないが」
キルア「……そう、なの……?」
44
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:17:41 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「ああ! まぁお前の気持ちはよくわかるよ」
ヤムチャ「オレも、もといた場所じゃ。戦力としては微妙扱いだからな……」
キルア「えー……。それはウソだろ!」
ヤムチャ「ウソじゃないんだよなぁ……。オレがハンター試験受けてるのも
修行としてももっと強くなるためだし……」
キルア「じゃあ期待外れだったんじゃない?」
ヤムチャ「うん、正直……」
キルア「……ねぇ、ヤムチャの話を聞かせてよ」
ヤムチャ「ん、いいぞ(恥ずかしい部分は省いとくけどな……)」
45
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:18:18 ID:dfsL1CCM
ヤムチャはキルアにこれまでの戦いを話し始めた。
天下一武道会、ピッコロ大魔王、マジュニア、サイヤ人……。
まるで作り話のような、おとぎ話のような冒険譚に、キルアは聞き入った。
キルア「じゃあ、ヤムチャはもう何回も世界を救う戦いに参加してんだね」
ヤムチャ「はは、まぁな……大した力にはなれなかったけど。
っていうか、信じるのか? オレの話」
キルア「あんなとんでもない力を見せられた後だしね」
キルア「信じるしかねーよ」
キルア「……なぁヤムチャ」
ヤムチャ「ん?」
キルア「やっぱり、俺にも気を教えてくれないか」
ヤムチャ「……」
キルア「やっぱりだめ?」
46
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:19:02 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「いや、いいぞ。ただし、先にゴンに謝ってからだ」
キルア「えっ……」
ヤムチャ「友達に散々心配かけてたんだ。まず謝りに行くのが
スジってもんだ!」
キルア「友達……オレが、ゴンと……」
ヤムチャ「さ、いって……」
ゴン「あっ! ヤムチャさーん! キルア!!」
47
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:19:32 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「ゴンか! どうした? ってあんたはネテロさん?」
ネテロ「ホッホッホッ。キミは確かヤムチャくんだったの」
キルア「なにしてんだ、ゴン」
ゴン「今ね、ネテロさんとゲームしようって話になったんだ。
それでキルアも誘おうと思って探してたんだよ!」
キルア「オレを……探してくれたのか」
ゴン「あったりまえじゃん。友達だもん!」
キルア「ゴン……」
ネテロ「ほっほっほっ、青春じゃの〜」
プーアル「よかったですね、キルアくん」
48
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:20:05 ID:dfsL1CCM
ネテロ「ヤムチャくんもどうじゃ? 退屈しとるじゃろ?」
ヤムチャ「あ、オレはいいです。二人の邪魔したくないし……」
ネテロ「……そうか、では行こうかの」
ゴン「ほら、キルアこっちだよ」
キルア「あっ、待てよゴン!」
キルア、立ち去る前に一度振り返る。
キルア「あの……ヤムチャ……ありがと……」
ヤムチャは笑顔で二人を見送った。
ネテロ(ヤムチャ……か。クックックッ、震えが止まらねーぜ……)ブルブルッ
49
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:20:40 ID:dfsL1CCM
ゼビル島での試験はプレートの奪い合いであった。
広大な島でターゲットを探すのさえ苦労するものだが、
気で気配を探り、舞空術で接近できるヤムチャには関係なかった。
ヤムチャ「さて、プレートも得点分集めたし、
時間までぶらぶらするか」
第四次試験はヤムチャにしてみればかつてないほどに簡単であった。
50
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:21:19 ID:dfsL1CCM
ゴン「ヒソカ……」
ヒソカ「くっくっくっ……どうしたんだい? 短期間でまるで見違えたよ♦」
ゴン(見える……ヒソカのオーラが! ヒソカも気の使い手だったんだ……!)
ヒソカ「ヤムチャ、彼に教えてもらったんだね? やはり彼も素晴らしい……❤」
ヒソカ「プレートは返してあげる♦
キミがボクに一撃返せるようになったら、改めて受け取るよ♠」
ゴン(今のオレじゃ勝てない……くやしいな……)
51
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:22:00 ID:dfsL1CCM
最終試験前、飛行船。試験官室。
ネテロ「10人中7人ルーキーか! 今年は豊作じゃのう!」
メンチ(な、なんか会長妙にテンション高くない?)
ブハラ(ホラ、アレだよ406番……)
ネテロ「みんな誰に注目しとるかね?」
メンチ「あたしは294番(ハンゾー)ですかねー」
ブハラ(スシ知ってたしね)
ブハラ「オレは44番(ヒソカ)かなー。やっぱうん。別格だと思うよ」
サトツ「私は将来性を見て99番(キルア)ですかね。
あの歳であの隙のなさは中々ですよ」
ネテロ「ふむふむ。確かに皆の意見ももっともじゃな」
リッポー「おまえらわかってないな。一番ヤバいのは406番だよ」
52
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:22:40 ID:dfsL1CCM
メンチ「わかってるわよー。むしろ当たり前すぎて誰も口にしないアレよ、これは」
サトツ「私は彼はどうかと思いますが……念能力者としては大したものだと思いますが、
ハンターとしてはどうかと……」
リッポー「おまえらはトリックタワーでのアイツを見てないから、
そんなことが言えるんだよ」
ブハラ「でも、実際何者なんだろうなぁ」
サトツ「底の見えないオーラ量。よどみないオーラの流れ。おそらく強化系でしょうが、
あれほどの使い手はプロハンター、賞金首の世界でもそうそういないと思います」
ネテロ「うん、ていうかあいつ多分わしより強いぞ」
試験官たち「!!?」
メンチ「さ、さすがにそれはないでしょ……」
サトツ「ま、まさかプロ資格もない、名前も知られていない者の中に、
会長より強い念能力者など……」
ネテロ「ま、すぐにわかるさ」ニィイ
ブハラ(あ、会長が悪い顔してる……)
53
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:23:40 ID:dfsL1CCM
最終試験の前に、受験者たちはネテロに面接を受けることになった。
ネテロ「まぁ座りなされ」
ネテロ「最終試験前に、2,3質問させてもらうぞ」
ヤムチャ「はぁ……」
ネテロ「よし、ズバリ聞くけどよ。ヤムチャくんって何者?」
ヤムチャ「え? なんすかその質問……?」
ネテロ「これ見えるじゃろ?」
ネテロ、オーラで人差し指の先に塊をつくる。
54
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:24:19 ID:dfsL1CCM
ヤムチャ「あー、やっぱりネテロさんも気を使えたんですね!」
ネテロ(気? こいつは念だが……)
ネテロ「ヤムチャくん。キミも同じ力が使えるなら」
ネテロ「ちょっと見せてくれんかの?」
ヤムチャ「いいですよ」
ヤムチャ、立ち上がり手を腰だめに構える。
ヤムチャ「ハッ!」
グ ア ッ !!!
55
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:24:58 ID:dfsL1CCM
ゴン「!」
クラピカ「!」
レオリオ「!」
キルア「!」(ゴンに気を教えてもらってる所
ヒソカ「!!」(バラバラ(トランプタワーが崩れる。
試験管たち「!!!!」
クラピカ「なっ、なんだこの恐ろしい気は……!!」
ゴン「ヤムチャさんだ! ヤムチャさんの気だよ!!」
レオリオ「ヤムチャの……ウソだろ?
と、トンデモねーデカさじゃねーか!!」
キルア(……! じ、次元が違う……!!)
ヒソカ「」ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!
56
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:25:36 ID:dfsL1CCM
ネテロ「……もうよいぞ」
ヤムチャ「えっ、わかりました」
ネテロ「……ん。ありがとうよ。さがってくれ」
ヤムチャ「えっ? もういんすか?」
ネテロ「……ああ」
ヤムチャ、退室する。
ネテロ「…………」
ネテロの両腕は震えていた。
それはヤムチャの気に圧倒された故であり――
ネテロ「」ニヤリ(ブルブル
かつて見たこともない強大な相手に対する武者震いであった。
57
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:26:25 ID:dfsL1CCM
飛行船内
サトツ「ネテロ会長。入ってもよろしいですか?」
ネテロ「いや、入らんでくれるか? 要件はここで聞く」
サトツ「会長のおっしゃる通りにトーナメント表が完成しましたので、
報告を……」
ネテロ「ああ、センキュ」
サトツ「会長……本気ですか?」
ネテロ「……」
サトツ(応接を終えてから、会長は部屋にこもりきり……)
サトツ(会長は本気だ……)
58
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:26:59 ID:dfsL1CCM
最終試験会場
ボドロ「負けあがりトーナメントとはな……」
ポックル「ってことは、不合格は一人か、へへ。運がめぐってきたぜ」
ネテロ「ルールは単純。相手に負けを認めさせたら勝ち!
武器OK反則ナシ! ただし相手を死に至らしめたら失格。
その時点で残りの者が合格となる」
ヤムチャ「あの〜ネテロさん」
ネテロ「なんじゃ、ヤムチャくん?」
ヤムチャ「トーナメント表に、オレの番号がないんですが……」
ネテロ「ああ、すまんの。ヤムチャくんだけはちょっと
別の最終試験を受けてもらうことにした」
ヤムチャ「ええ? まじすか!?」
ネテロ「うん」
ハンゾー(どうでもいいけどなんでじーさんはTシャツ短パンなんだよ?)
そして始まった。
59
:
◆seQBwpiAy2
:2019/01/15(火) 16:27:35 ID:dfsL1CCM
一回戦。ハンゾー対ゴン。
接戦の果てに、技術の差でハンゾーが勝利しかけるも、
負けを認めないゴンに根負けし、ハンゾーが勝ちを譲る。
二回戦。ハンゾー対ポックルはハンゾーが瞬殺した。
三回戦。問題はここでおこった。
イルミ「やぁキル」
キルア「あ、兄貴……」
ヤムチャ「え? キルアの兄ちゃんか!?」
レオリオ「つーか骨格から変わってんじゃねーか……おえッ」
イルミ「オレも次の仕事で資格が必要でさー。
奇遇だね、キルも試験を受けに来てるなんて」
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