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【ぼく勉】成幸 「キスと呼べない何か」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/07(水) 21:10:57 ID:nfKWg1KI
………………昼休み 一ノ瀬学園 3-B教室

大森 「なぁなぁ、一学期に唯我がキスしただの何だのって話あったじゃん?」

成幸 「………………」

成幸 (……こいつほんっっっとロクでもねーことしか言わないな!!)

成幸 「……そういえばそんなこともあったな。どうでも良すぎて忘れてたが」

大森 「結局噂もなくなっちゃって、俺としては不完全燃焼というかなんというか」

成幸 「っていうかお前が廊下で大声上げて走り回ったせいで噂になったんだけどな!?」

大森 「でもキスはしたんだろ?」

成幸 「………………」

プイッ

成幸 「……黙秘権を行使する」

小林 (それもう自白してるようなもんだけどね、成ちゃん)

792以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:51:24 ID:./mOxEco
成幸 「!? ほんとか!?」

パァアアアアアア……!!!

成幸 「古橋の問題を解き続けてきた甲斐があったな。俺もとうとう女心の単位修得か……」

文乃 「……ふふ、まだまだだよ。これくらいじゃ単位はあげられないよ」

成幸 「ぐっ……さすがは古橋師匠、厳しいな」

文乃 「……ねぇ、成幸くん」

成幸 「うん?」

文乃 「……わたし、決めたよ。もう迷わないし、恥ずかしいとも思わない」

文乃 「わたしも、一番になりたい。尊敬してるって言いたい。欲しいって、言いたい」

文乃 「だって……、」

成幸 「?」

文乃 (……好き)

成幸 「古橋……?」

文乃 (好き、好き、好き……! 好きだから。君のことが……)

文乃 「――――……大好き、だから……!!」

793以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:52:06 ID:./mOxEco
成幸 「へ……?」

カァアアアア……

成幸 「なっ……す、好きって……」

成幸 「あ、そ、そっか。ドハっちゃんのことだよな。はは……」

成幸 (び、びっくりしたぁ……)

文乃 「………………」

クスッ

文乃 「……うん。そうだよ。今は、それでいいよ」

文乃 「でも、覚悟しててね、成幸くん」

ニコッ

文乃 「いつか、君の全部を、もらっちゃうからねっ」

おわり

794以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:52:36 ID:./mOxEco
………………幕間1 「全部」

成幸 (俺の全部……? あれは一体どういう意味だ?)

成幸 (全部……? もしかして……)


―――― 文乃 『ヒャッハー! 唯我家の土地家財全部差し押さえだー!』

―――― 文乃 『かわいい妹たちも連れてくぜー!』


成幸 「………………」 ガタガタブルブル

陽真 「? 成ちゃん、どうしたの?」

成幸 「ど、どうしよう、小林!」

成幸 「俺の家が古橋に世紀末にされてしまう!!」

陽真 「なんて?」

795以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:53:24 ID:./mOxEco
………………幕間2 「鼻血の会」

文乃 「………………」 ニヘラ 「……えへへ」

文乃 (……成幸くんからもらった、小さなドハっちゃんぬい。かわいいなぁ……)

文乃 (えへへへへへ……)

文乃 「………………」

キョロキョロキョロ

文乃 (だ、誰もいないよね……)

文乃 「………………」

チュッ

文乃 「……っ///」 カァアアアア……

………………物陰

鹿島 「……唯我くんからもらったぬいぐるみに、キス」 ボタボタボタ

猪森 「ふむ。困ったな。尊すぎて鼻血が止まらないぞ」 ボタボタボタ

蝶野 「今回に関してはまったく同意ッス……」 ボタボタボタ

おわり

796以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:56:41 ID:./mOxEco
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

問99であすみさんがバッグにドハっちゃんぬいをつけているのを発見し、
感極まって興奮しすぎていてもたってもいられずに書きました。
それでなぜ文乃さんの話になったのかはわたしにもわかりません。なぜでしょう。

また投下します。また読んでくれたら嬉しいです。

797以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 23:54:36 ID:P90oUCa.
書くの速すぎるやろどないなっとんねん

798以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 23:58:58 ID:S7r49ddE
おつつつ
貧乳こそ正義だからね仕方ないね

799以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/05(火) 01:56:19 ID:.MzTiMTw
おつ!

800以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/05(火) 12:40:26 ID:ql06vZe2
シエンタ

801以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/11(月) 21:35:04 ID:G9YothrM
もうこのスレも終わりがちかいな
1が話せる範囲で今まで書いたSS教えてくれないか?
というか酉つけてくれると嬉しいな

802以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/12(火) 19:56:44 ID:985VJ0cQ
ノベライズ発売されるらしいがはてさて

803以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/13(水) 09:48:21 ID:PSvgZInc
>>802
正直このスレ大好きだからここより面白い話かどうか比べてしまうと思う

804以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/31(日) 23:54:21 ID:BS7lMF5o
来年度はぼく勉ss増えたらいいな!

805以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 12:10:23 ID:NVPBQoOk
エイプリルフールssはよはよ

806以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:24:11 ID:X1SsLnS2
>>1です。
投下します。

オチなしヤマなしイミなしで自分で書いていて笑ってしまいました。
>>805さんのエイプリルフールネタです。

時系列おかしくなりますがコミックスのオマケ漫画のようなものだと思っていたければ幸いです。



【ぼく勉】 成幸 「最近女子たちの絡みを見るとドキドキしちゃってさ」 陽真 「なんて?」

807以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:24:47 ID:X1SsLnS2
………………

陽真 「いきなり何を言い出すの成ちゃん……」

成幸 「おい、そんなにドン引きするなよ。ウソだよウソ。エイプリルフール」

陽真 「なんだ、びっくりした……」

ホッ

陽真 「成ちゃん、前々からそのケがあったらからとうとう目覚めたのかと思ったよ」

成幸 「そのケって何だそのケって……」

陽真 「成ちゃんも、ソッチに興味があるのかな、ってさ……」

ギュッ

成幸 「!? な……なんで手を握るんだ、小林……?」

陽真 「成ちゃんが先に振ったんじゃないか。同性愛の話……」

クイッ

陽真 「俺をその気にさせた責任くらいは取ってくれてもいいんじゃない?」

陽真 「だって俺、ずっと、成ちゃんのこと……」

成幸 「こ、小林……? いや、その、えっと……」

808以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:25:40 ID:X1SsLnS2
陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)

809以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:26:12 ID:X1SsLnS2
陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)

810以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:27:02 ID:X1SsLnS2
………………

理珠&文乃&うるか 「「「………………」」」

文乃 「す、すごいものを見てしまったね……」

うるか 「ど、ドキドキしたよぅ。こばやんはすごい迫り方するねぇ……」

理珠 (なぜこんなに動悸が激しくなるのでしょう……)

理珠 (いや、今はそんなことはどうでもいいんです。いいことを思いつきました)

理珠 「文乃、うるかさん、協力してもらいたいことがあるのですが……」

うるか 「? 協力?」

理珠 「ええ。成幸さんにゲームで勝つ算段がついたので、その協力をしていただけたら、と」 ニヤリ

文乃 (ああ、またよからぬことを考えてるなぁ、この顔は……)

811以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:28:19 ID:X1SsLnS2
………………ファミレス

成幸 「……んー、せっかくの勉強会なのに、あいつら遅いなぁ。メッセージも来てないし……」

成幸 「何かあったのかな……――」

「――成幸!」  「成幸くん!」

成幸 「ん、うるかと古橋か? まったく、遅い、ぞ、って……」

成幸 「……え?」

文乃 「えへへ……///」 うるか 「はは……///」

ギュッ……!!!

成幸 「え、えっと……///」 プイッ 「な、なんで、ふたりは……腕を、組んでるんだ……?」

成幸 (めちゃくちゃ密着してる……)

文乃 「う、うん。あのね。実は……」

うるか 「えへへ、あたしたちね、実は付き合ってるんだ。ね、ふみのん」

文乃 「う、うん! うるたん!」

成幸 「……!?」

成幸 (付き合ってる!? ふみのん!? うるたん!?)

812以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:29:05 ID:X1SsLnS2
成幸 「………………」

成幸 「……いや、えっと」

成幸 「エイプリルフールのウソだろ?」

うるか&文乃 「「!?」」

うるか 「なんで分かったの成幸!?」

成幸 「わからいでか! 最初は少しびっくりしたけどよく考えたらわかるわ!」

文乃 「ん……まぁ、そうだよね。さすがにバレるよね……」

成幸 (まぁめっちゃドキドキしたけど!!)

成幸 「……っていうか、ふたりとも」

うるか&文乃 「「?」」

成幸 「い……いつまで、くっついてるんだ……?///」

うるか 「あっ……」 文乃 「はわっ!」

シュババッ

うるか (ふ、文乃っちいいにおいだったなぁ……) ドキドキドキドキ……

文乃 (うるかちゃん、やっぱりかわいいよなぁ……) ドキドキドキドキ……

813以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:29:40 ID:X1SsLnS2
………………物陰

理珠 「むぅ……。どうやら文乃とうるかさんはすぐに看破されたようですね」

紗和子 「まぁ、そりゃそうよね」

理珠 「そうなると、我々が同じ手段で行っても、やはりすぐ看破されるでしょうか……」

理珠 「せっかくエイプリルフールのウソで成幸さんを騙して、成幸さんに勝つチャンスだったというのに……」

紗和子 「!?」

紗和子 (ま、まずいわ! せっかく緒方理珠と合法的にくっつけるチャンスを棒に振るわけにはいかな――)

紗和子 (――じゃなくて! 緒方理珠の勝利への情熱を無駄にするわけにはいかないわ!)

紗和子 「い、いきましょう、緒方理珠! やってみないとわからないわ!」

ガシッ

理珠 「へ? ちょっ、せ、関城さん、あぶなっ……!!」

ドタドタドタッ

ムギュッ

成幸 「!? な、なんだ!?」

814以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:30:19 ID:X1SsLnS2
紗和子 「いててて……」 ハッ 「あっ」

理珠 「もう、関城さん、急に動くから……って……」

成幸 「………………」

成幸 (……ファミレスの床に倒れる緒方の胸元とスカートの裾が危ういところまで開いている)

成幸 (そして、そんな緒方の上に、関城がのしかかっている。まるで、押し倒したかのように……)

成幸 (その手は当然のように緒方の胸の上だ。口と口は今にも接触しそうなくらい、近い)

紗和子 「くわっ……」 ブシュッ

成幸 (その上鼻血を噴き出した……)

成幸 (これはもう、疑う余地はないだろう……)

成幸 「………………」

ピッピッ……

紗和子 「ゆ、唯我成幸? 一体どこへ電話をかけようとしているのかしら?」

成幸 「警察だよ。決まってるだろ」

紗和子 「随分と問答無用ね!? 早まらないでちょうだい!」

815以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:30:58 ID:X1SsLnS2
理珠 「成幸さん、感謝します。早く通報してください」

紗和子 「緒方理珠まで!?」

紗和子 「誤解よ、唯我成幸! これはウソよ! エイプリルフールのウソなのよ!」

成幸 「ウソだろうが何だろうが嫌がってる女子の胸を揉むのは犯罪だよ」

紗和子 「はっ!? 魔性の魅力ね。知らず知らずのうちに揉みしだいていたわ」

文乃 (成幸くんは冗談のつもりなんだろうけど、紗和子ちゃんは一度本当に通報された方がいいと思う)

うるか 「………………」

ドキドキドキドキ……

うるか (文乃っち、本当にきれいだよね……。えへへ、なんか、不思議な気持ち……)

うるか (こ、今度ふたりで出かけるとき、手とかつないでもいいかな……?)

うるか (とっ、友達だったら、手をつなぐくらいフツーだよね?)

文乃 「……!?」 ゾワッ (な、なんだろう、今の寒気……どこから……!?)

816以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:31:42 ID:X1SsLnS2
………………

紗和子 「まったく、唯我成幸。通報の真似をするなんて、冗談じゃすまないわよ!」

成幸 「誰がそれをさせたんだ、誰が。まったく……」

成幸 「さっさと勉強会始めるぞ。お前たちがアホなことするから時間使ったじゃないか……」

文乃 「ごめんごめん。ちょっとしたお茶目だよ」

理珠 「………………」

ドキドキドキドキ……

理珠 (……さっき、一瞬、関城さんにキスをされるのかと思いました)

理珠 (なぜ……)

紗和子 「? 緒方理珠、どうかした?」

理珠 「!? い、いえ……」

理珠 (……なぜ、それを思い出して、私は、)

理珠 (こんなにも、ドキドキしているのでしょう……)

おわり

817以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:32:25 ID:X1SsLnS2
………………幕間1 「たぎる」

ワイワイガヤガヤ……

四方谷真子 「………………」

ドキドキオロオロ

真子 (NLGL五角関係……!?)

真子 (めっちゃ修羅場だわ。どうしよう。たぎりすぎてヤバい……)

真子 (関係が複雑すぎてよく分からないけど、とりあえず……)

真子 (あのメガネ男子は絶対総受けね!)

818以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:32:58 ID:X1SsLnS2
………………幕間2 「二段構えは基本」

あすみ 「こ・う・はーい♪ 愛してるぞー?」 ムギュッ

成幸 「はいはい。エイプリルフールのウソですよね」

あすみ 「むっ……なんだよ。少しは慌てろよ。つまんねーの」

成幸 「お店のエイプリルフールフェアとかじゃないんですか?」

成幸 「お客さんみんなに愛してるって言ってるとか……――」

あすみ 「――なっ!」 カァアアアア…… 「い、言うわけねーだろそんなこと!!!!」

あすみ 「げ、ゲームでもなしに、愛してるなんて、そんなの……」

あすみ 「お、お前以外に言うわけ……ねーだろ……」

成幸 「せ、先輩、それって……///」

あすみ 「……うん。まぁ二段構えは基本だよな。ウソに決まってるだろ」

成幸 「結局やられたー!!」

あすみ (……ん、まぁ)

あすみ (ゲームでもないのに “愛してる" なんて言うのは、ほんとにお前だけだけどな)

819以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:33:43 ID:X1SsLnS2
………………幕間3 「午後」

マチコ 「ん、いけないなぁ、あしゅみー。エイプリルフールは午前中だけだよ?」

あすみ 「へ?」

マチコ 「ウソをついていいのは四月一日の午前中だけ。だから、今のウソ……」

ニヤリ

マチコ 「ホント、ってことになっちゃうねぇ?」

あすみ 「っ……///」

マチコ 「ねぇねぇ、あしゅみーは、唯我クンのことが大好きなんだねぇ?」 ニヤニヤニヤ

成幸 (マチコさんがすごく良い笑顔で先輩を攻めている……)

成幸 (……日本では午前中に限らず午後もウソをついていいって説もあるけど、)

あすみ 「う、うるせーぞマチコ! ちょっと間違えただけだろ!」

成幸 (めずらしくうろたえてる先輩が面白いから、言わないでおこう)

おわり

820以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:39:56 ID:X1SsLnS2
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

お題の桐須先生ネタはもうちょっと待っていただけると助かります。ごめんなさい。

リアルで疲れていてもお題をいただけると不思議と書く元気がもらえます。
書いた結果がこれだからなんとも言えませんが。
申し訳ないことです。

>>801
酉はつけません。ごめんなさい。
SSも、ジャンルがまったく違うので貼るのはためらわれます。ごめんなさい。



また投下します。

821以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 22:15:12 ID:aJNucWtY
おつつ
陽真で分かるやつおる?ww

822以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 01:20:57 ID:6ear/QuY
乙やで

823以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 01:35:04 ID:qZKgFeuA
おつでした。
>>1の暇な時で大丈夫だよ(先生ネタ)
ところで四方谷真子って誰だっけ?

824以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:46:44 ID:QUrQhu/g
>>1です。投下します。
タイトル詐欺ですがあすみさんメインです。


【ぼく勉】 紗和子 「とんでもないものを見てしまったわ……」

825以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:48:27 ID:QUrQhu/g
………………メイド喫茶 High Stage

あすみ 「制服イベントだぁ?」

マチコ 「そうなの。この前コスプレイベントやったじゃない? あれが好評だったみたいでさ」

店長 「お客様にアンケートをとったところ、次はぜひ制服姿を見たいとのことでな」

あすみ 「……ったく。うちはメイド喫茶であってコスプレ喫茶じゃねーはずだけどな」

ミクニ 「まぁまぁ、あしゅみー。合法的に制服を着られる機会なんてめったにないしさ」

ヒムラ 「コスプレイベントも楽しかったしね。制服着たら、きっと高校の文化祭みたいで楽しいよ」

あすみ 「アタシはつい去年まで制服着て高校通ってたんだけどな……」

あすみ 「ま、別に断る理由はねーし、いいよ。どんな制服を着るんだ?」

店長 「差し支えないなら、高校時代に着ていた制服を持ってきてくれると助かる。リアリティの問題でな」

店長 「もちろん店での使用後にクリーニング代は出す」

あすみ (この店長、コワモテで良い人だけど、マジモンだよな……)

あすみ 「わかった。じゃ、イベントの日に制服持ってくよ」

店長 「そうか。助かる」 ニコッ 「ローファーも忘れずにな」

あすみ (ほんとヤベー人だよなこの人)

826以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:49:17 ID:QUrQhu/g
………………小美浪家

あすみ 「………………」

あすみ (……実際、卒業してから半年とはいえ、制服を着るのはやっぱり抵抗あるな)

あすみ 「えーい、ままよ」

スルスルスル……キュッ……シュッ……

あすみ 「……んっ」 (よかった。太ってはないみたいだな)

あすみ (姿見みるのは怖いけど……)

あすみ 「……うん」 クルッ……フワッ

あすみ 「……まぁ、悪くはないよな」 ニヤリ 「むしろ相当イケてんじゃねーか?」

あすみ 「ふふん、この格好を後輩に見せたら、また顔真っ赤にするかもな。にひひ」

コンコン

あすみ 「………………」 (って、なんでアタシはあいつに見せることなんて考えてんだ)

コンコンコンコン

あすみ (でも……) ドキドキドキドキ…… (……この格好、後輩が見たら、可愛いって言ってくれるかな?)

827以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:49:50 ID:QUrQhu/g
ガチャッ

あすみ 「……!?」

小美浪父 「あすみー、来週の往診なんだが、付き添いを……」

小美浪父 「……あすみ? なんだその格好は」

あすみ 「ち、ちがっ! 違う! 違うからな!」

あすみ 「べつに、制服コスプレをしてたわけじゃなくて、これは……!」

ハッ

あすみ (バイトのことナイショにしてるのに “店で使うため” なんて言えるかー!)

小美浪父 「……皆まで言うな、あすみ。分かっている」

ニコッ

小美浪父 「今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?」

あすみ 「……は?」

小美浪父 「そう照れなくてもいい。私は理解ある父親を目指しているからな」

小美浪父 「高校を卒業をした後でも、“制服ディ○ニー” なることをするのは普通らしいじゃないか」

828以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:50:47 ID:QUrQhu/g
あすみ 「……あー、うん」

あすみ (なんか勘違いしてるけど、否定するの必要もなさそうだしいいか)

小美浪父 「……それにしても、コスプレ好きの彼氏のために自ら制服を着るとは、」

小美浪父 「我が娘ながらいじらしい……。唯我くんが喜んでくれるといいな!」

あすみ 「……ん、まぁ、そうだな」

ハッ

あすみ 「っつーか親父! 年頃の娘の部屋にノックなしで入ってくるんじゃねーよ!」

小美浪父 「……いや、ノックはしたんだがな」

小美浪父 「唯我くんにその格好を見せることを考えて聞こえていなかっただけだろう?」

あすみ 「なっ……! そんなわけねーだろ! っていうか、話あったんじゃねーのかよ! なんだよ!」

小美浪父 「ふふ、照れるな照れるな。話は着替えてからでいい。着替えたら居間に来なさい」

あすみ 「……っ、わーったよ」

あすみ 「……ったく、親父の奴」 ドキドキドキドキ……

あすみ (……制服イベントの日、後輩、バイト入ってるかな)

あすみ 「………………」 ニヘラ 「……えへへ」

829以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:51:19 ID:QUrQhu/g
………………制服イベントデー 当日

マチコ&ミクニ&ヒムラ 「「「うー……」」」

あすみ 「? おい、三人ともどうしたんだよ。早く準備しないと開店に間に合わねーぞ」

マチコ 「わ、分かってるけどさ……」 カァアアアア……

ミクニ 「やっぱり、昔着てた制服を着るのはちょっと恥ずかしいね」

ヒムラ 「これお客様に見せるのかぁ……。万が一同級生とか来たらどうしよう」

あすみ 「なんだよ、みんなそんなこと気にしてたのかよ」

あすみ 「お客様は御主人様、だろ? せっかく来てくれるお客さんのためにも恥ずかしがってなんかいらんないだろ」

マチコ 「さすがはあしゅみー。一本筋が通ってるね……」

ミクニ 「そりゃ、あしゅみーは去年まで高校生だったんだから余裕だろうけどね」

ヒムラ 「でも、あしゅみーの言うとおりだね。恥ずかしがってらんないよね」

ワイワイワイワイ

店長 「………………」 (うむ……)

店長 (妙齢のメイドたちが高校の制服を身につけ、恥じらう……)

店長 (いい光景だ……) グッ

830以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:51:55 ID:QUrQhu/g
………………休憩室

成幸 「こんにちはー」

ヒムラ 「おお、唯我クンじゃないか」

マチコ 「わっ、唯我クン。さすがに知り合いにこの姿を見られるのは恥ずかしいね」

成幸 (話には聞いてたけど、ほんとに制服着てる……)

成幸 (でも、皆さん若々しいから違和感は少ないなぁ)

成幸 (……でも、ヘンなこと言ったらセクハラになっちゃうから、言うのはやめておこう)

成幸 「じゃあ俺着替えてきますね」

マチコ 「……む。いや、ちょっと待って唯我クン」

成幸 「?」

マチコ 「制服のまま、エプロン締めて……と」

マチコ 「……うんうん。さすがは現役男子高校生。制服エプロン姿も様になってるね」

成幸 「意味が分からないんですが……」

マチコ 「いやいや、実は最近、唯我クン目当てで来てる妙齢のお嬢様方も少なくなくてさ」

マチコ 「……そんなお客様方に喜んでもらえるかな、って」 ニヤリ

831以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:52:36 ID:QUrQhu/g
成幸 「!? このまま店に出るんですか!? 制服で!?」

マチコ 「お願い。だってみんな制服着てるのに、唯我クンだけ制服じゃないのも変じゃない?」

成幸 「いやいや、マスターや他の皆さんだって制服じゃないじゃないですか」

マチコ 「ははっ、さすがにみんなが制服着たら地獄絵図だよ」 ケラケラ

マチコ 「おねがい、唯我クン。お店のためだと思って、さ」

コソッ

マチコ 「制服のクリーニング代だすからさっ」

成幸 「……むっ。むむむ……」

ヒムラ (クリーニング代に心が揺らぎ始めている……)

成幸 「……わかりました。制服のまま店に出ます」

マチコ 「おおっ。それでこそ唯我クン! そういうところダイスキー!」

成幸 (制服のクリーニング代はバカにならないから、それが手に入るなら御の字!)

832以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:53:08 ID:QUrQhu/g
………………

あすみ 「……で、お前も制服なのか。まったく、マチコの奴」

成幸 「はい。なんだかうまく丸めこまれた気もしますけど、クリーニング代にはかえられません」

あすみ 「まぁいい。お前は普段通り接客してくれりゃいいよ」

成幸 「はい、分かりました!」

女性客1 「あ……ボーイさん! 注文お願いしまーす!」

成幸 「はい、いま行きます! じゃあ、先輩、また後で!」

女性客2 「制服着てるー! チェキいいのかな!?」

成幸 「え? あ、いや、俺――私はそういうサービスは……」

女性客3 「君にケチャップ文字書いてもらいたーい!」

成幸 「いえ、ですから、その……」

あすみ 「……ほーう」 (モテモテじゃねーかあの野郎)

成幸 「いや、あの……お、お嬢様方!? ちょっ、いや、あの……!」

あすみ 「………………」

あすみ (……アタシの制服姿にはなんの感想もなし、か)

833以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:53:44 ID:QUrQhu/g
………………退勤時刻

あすみ 「ふー、さすがにイベントデーは忙しくて勉強どころじゃなかったな」

成幸 「忙しかったですね。俺もなんか今日はよく呼ばれた気がします」

あすみ (女性客が興奮しきりだったからな)

あすみ 「この後暇か? ファミレスで勉強でもしていかねーか? 教えてもらいたいとこがあるんだよ」

成幸 「いいですね。行きましょう」

あすみ 「おう、助かる。サンキュな」

あすみ 「……じゃ、マチコ。今日は先上がるぞ。おつかれー」

マチコ 「あ、あしゅみーと唯我クン。お疲れ様。またね」

マチコ 「……あれ?」

あすみ 「? どうかしたか?」

マチコ 「ん、なんか蛇口から水が出なくてさ。なんだろ。なんか詰まってるのかな?」

あすみ 「水が出ない? ちょっと見せてみろ」

834以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:54:14 ID:QUrQhu/g
あすみ 「……ふんふん。水がチョロチョロとしか出ないな。こういうときは、っと」

キュッキュッキュッ

あすみ 「一気に水圧をかけてやれば、大体直るもんだ」

グググッ……ググッ……

成幸 「せ、先輩? なんか蛇口から不穏な音が……」

あすみ 「へ……――」

――――ブッシャァアアアアアアアア!!!!

マチコ 「!? あ、あしゅみー!?」

あすみ 「………………」

ポタポタポタ……

あすみ 「……へくしっ」

マチコ 「大変! 早くタオル持ってこなくちゃ!」

835以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:55:03 ID:QUrQhu/g
………………店の外

成幸 (……先輩、びしょ濡れだったけど大丈夫かな)

成幸 (そりゃ、ものが詰まってる蛇口に一気に水圧かけたらつまりは取れるかもしれないけど……)

成幸 (……その水圧の分、水が一気に吹き出るよ)

成幸 (先輩が理科系科目を苦手とする理由が少し分かった気がするぞ)

カツッカツッカツッ……

成幸 「あっ……先輩! 大丈夫でしたか……って……」

あすみ 「おう。大丈夫なように見えるか?」

成幸 「……な……何で制服着てるんですか!?」

あすみ 「仕方ねーだろ。服はびしょ濡れだし、他に着るものなんてコレしかねーし」

ニヤリ

あすみ 「それとも、メイド大好き後輩的にはメイド服を着た方が良かったか?」

成幸 「ち、違いますよ! 何言ってるんですか!」

836以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:56:27 ID:QUrQhu/g
あすみ 「ま、べつにいいだろ? それとも何だ?」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「に、似合ってねーか? 浪人生のアタシじゃ、女子高生に見えないか?」

成幸 「えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……」

あすみ 「……そ、そうか」 ホッ

あすみ 「このリボンの色、今はたぶん一年生が使ってるんだろ?」

成幸 「そうですね」

あすみ 「……ってことは、今アタシはお前の二つ下の後輩だな? “唯我センパイ” ?」

成幸 「っ……///」

あすみ 「お? 何照れてんだ? さてはお前、年下好きだな?」

成幸 「だ、だからまたそういうこと言ってからかわないでください!」

あすみ 「あ、間違えた」

あすみ 「……先輩って、年下好きなんですか?」 キャルーン

成幸 「だーかーらー! もー!」

あすみ 「にひひ、ほんとにからかい甲斐がある奴だなぁ、後輩は」

837以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:57:01 ID:QUrQhu/g
成幸 「まったくもう……」 プンプン

あすみ 「………………」


―――― 『えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……』


あすみ (……えへへ。似合ってる、か)


―――― 『今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?』


あすみ 「……なぁ、後輩」

成幸 「? はい?」

あすみ 「勉強の前に、制服デートでも、どうだ?」

成幸 「へ……?」

838以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:57:38 ID:QUrQhu/g
………………街中

「まいどありー!」

紗和子 (ふふふ、とうとう手に入れたわよ、地域限定数量限定釜玉うどん専用醤油!)

紗和子 (緒方理珠、喜んでくれるかしら……) ポワアアアアア……

紗和子 「ん……?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよ! 恥ずかしいですよ……」

あすみ 「にしし、顔真っ赤ですよー、先輩?」

あすみ 「可愛い後輩が腕組んであげてるんだから、もっと嬉しそうな顔してくれてもいいじゃないですかー」

成幸 「可愛い後輩は人を困らせるようなことしませんよ!」

あすみ 「何で困るんですー? にひひ、先輩のえっちー」

成幸 「だー! もうー!」

紗和子 (あ、あれは唯我成幸! と……どこかで見たことあるような女子生徒……)

紗和子 (仲睦まじく腕を組みながら歩いている……)

ガタガタガタガタガタガタ

紗和子 「と、とと、とんでもないものを見てしまったわ……」

839以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:58:36 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「……」  あすみ 「……」 ケラケラケラケラ

紗和子 「………………」 (思わず後をつけてしまっているけど……)

紗和子 (唯我成幸と後輩と覚しき女の子は、楽しそうに話をしながら歩いている……)

紗和子 (まるで、彼氏彼女といった雰囲気だわ……)

紗和子 (こんな場面を緒方理珠が見ようものなら……)


―――― 理珠 『成幸さん……ぐすっ……ひどいです……』


紗和子 (……だ、だめよ! 緒方理珠に涙を流させるわけにはいかないわ!)

紗和子 (緒方理珠の大親友、関城紗和子。この名にかけて、あのふたりのことを探ってやるわ!)

840以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:59:14 ID:QUrQhu/g
………………ゲームセンター

成幸 「制服デートとか言ってましたけど……」

成幸 「ゲームセンターで一体何をするんです?」

あすみ 「何するんですかって、ゲームセンターなんだから遊ぶに決まってるだろ」

あすみ 「ま、お前あんまりゲーセンとか行かなそうだもんなぁ」

成幸 「……あんまりそういうことに使えるお金はなかったので」

あすみ 「……そっか」 ニッ 「じゃあ、今日はアタシがおごっちゃるから、遊んでみようぜ」

成幸 「えっ、あ、でも……――」

あすみ 「――でもも何もねーだろ。ほら、行こうぜ」 ギュッ

成幸 「のわっ! だ、だからあんまりくっつかないでくださいってば……///」

あすみ 「じゃ、とりあえず音ゲーでもやろうぜ。何クレかやらしてやるから」

成幸 「クレ???」

あすみ 「……はぁ。そんなんじゃほんとに彼女ができたときに困っちまうぞ」

841以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:59:49 ID:QUrQhu/g
………………

紗和子 「………………」 ジーーーッ

紗和子 (楽しそうにダンスゲームを始めたわね……)

紗和子 (軽快に踊る後輩の子と、珍妙なダンスを繰り広げる唯我成幸……)

ハラハラハラ

紗和子 (あっ……唯我成幸、こけたわね。大丈夫かしら……)

紗和子 (唯我成幸は運動が苦手なのだから、あんなことやらせたらダメでしょうに……)

紗和子 (後輩の子はこけた唯我成幸を見てケラケラ笑ってるし……)

ムカムカ

紗和子 (まったく、唯我成幸の奴! 一年生の女子に手玉に取られちゃって!)

紗和子 (緒方理珠ならまじめだから、あなたに恥をかかせるようなことはしないわよ!)

紗和子 (目を覚ましなさい唯我成幸! あなたには緒方理珠っていう、魅力的な相手がいるのよ!)

842以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:00:50 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「………………」 ボロボロボロ

あすみ 「お前、運動音痴なのは察しがついてたけど、まさかリズム感もないとはな」

あすみ 「太○の達人であんな低いスコア初めて見たぞ」

成幸 「……悪かったですね。ああいうのは苦手なんですよ」

あすみ 「あー、もう。冗談ですよー、先輩。むくれないでくださいよっ」

ムギュッ

成幸 「なっ……ま、また……!」

あすみ 「じゃあ、最後に、アレ、行きましょ?」

成幸 「アレって……プリクラ?」

843以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:01:27 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 (プリクラの中って、予想以上に狭いな……)

あすみ 「……ふふーん」 ニィ

あすみ 「せーんぱいっ。もっとくっついてくださいよー」

ギュッ

成幸 「あ……う……///」 カァアアアア…… 「なんで、くっつくんですか……」

あすみ 「このプリクラ、親父に見せるつもりだからさ、恋人っぽく撮った方がいいだろ?」

成幸 「あんた制服姿で撮ったプリクラを父親に見せるつもりですか!?」

あすみ 「……まぁ、親父はお前のことをコスプレ大好き男だと思い込んでるからなぁ」

あすみ 「どっちかっていうと、恥ずかしい思いをするのはお前だと思う」

成幸 「淡々とすごく怖いことを言わんでください!」

あすみ 「ほらほら、そんなこと言ってると、撮られちまうぞ。ほら、前向け」

成幸 「あ、は、はい……」

あすみ 「……ってことで、じゃあ、恋人らしく、」

チュッ

844以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:01:57 ID:QUrQhu/g
成幸 「へ……!?」

パシャッ

成幸 「のわっ!? と、撮られた!?」

成幸 「えっ、いま、えっ!? ほっぺ!?」

あすみ 「お前動揺しすぎだろー。ちょっとほっぺにチューしただけだろうが」

成幸 「ちょっとって! いや、いやいやいや……!」

あすみ 「ん、もう二枚目の撮影だな。ほら、前向けよ」

成幸 「その手には乗りませんよ! 前向いたらまた……――」

あすみ 「――まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて」

成幸 「そういうことじゃないです! ……わ、わかりましたごめんなさい! 前向きます!」

あすみ 「にひひ。かわいい奴め」

ムギュッ

あすみ 「密室で先輩に迫られるのは好きらしいですけどが、後輩に迫られるのはどうですか?」

あすみ 「……せんぱいっ?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよっ」

845以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:02:54 ID:QUrQhu/g
………………外

紗和子 (……プリクラの中に消えてからしばらく経ったわね) ドキドキドキドキ……

紗和子 (ゆ、唯我成幸の奴、まさかいかがわしいことでもしてるんじゃないでしょうね……)

紗和子 (後輩の、しかもあんなに背がちっちゃい子と、そんな……そんなの……)

ブシュッ

紗和子 (はっ、犯罪よ! あなたは犯罪者だわ、唯我成幸!)

店員 「!?」

店員 (あの白衣の人、鼻血をボタボタ垂らしてるけど大丈夫かな……)

紗和子 (なんとか中の会話を聞くことはできないかしら……)

シャッ

あすみ 「せーんぱいっ、顔真っ赤ですよー? どんだけ照れてるんですかもー」

紗和子 「!?」 サササッ

成幸 「誰のせいですか誰の! まったくもう!」

あすみ 「アタシなんにもしてないのになー」 ニヤニヤ 「せんぱいのえっち」

紗和子 (あ、危なかったわ! 危うく見つかるところだった……!)

846以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:03:39 ID:QUrQhu/g
あすみ 「ほら、先輩。ペンでプリクラにお絵描きしましょー?」

成幸 「? どういうことです?」

あすみ 「……あー、先輩って、ほんとにしらないことばっかりですねーっ」

ニコッ

あすみ 「仕方ないですねー。先輩の将来の彼女のために、アタシが色々教えてあげないとですねっ」

成幸 「……彼女なんて、そんなの、べつに……」

あすみ 「えへへっ、ま、そうですよね。今の先輩の彼女はアタシですもんね!」 ギュッ

紗和子 「!?」 (か、彼女!? 唯我成幸、あの子とお付き合いしているってこと!?)

成幸 「あっ、ま、またくっついて……! もうっ!」

あすみ 「ほら、先輩もペン持って、色々書き込めるんですよ。スタンプとかも押せますよ?」

ムギュムギュッ

成幸 「わ、わかりました! やりますから! だからあんまりくっつかないでください!」

紗和子 (と、ととと……) ガタガタガタ (とんでもないことを聞いてしまったわ……!)

847以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:04:24 ID:QUrQhu/g
紗和子 (私ひとりじゃもう処理しきれないわ! 誰か呼ばないと……)

紗和子 (……呼ぶとしたら、あの子しかいないわよね)

ピッピッ……prrrr  ガチャッ

?? 『もしもし、紗和子ちゃん? どうかしたの?」

紗和子 「よく出てくれたわ! 助けてほしいの!」

?? 『助けてほしい? 何かあったの!?』

紗和子 「そうなの! 大変なのよ!」

紗和子 「唯我成幸の貞操の危機なのよ!!!」

?? 『!? へ? 貞操? いや、いきなり何を……――』

紗和子 「話してる時間すら惜しいわ! いますぐ来てちょうだい!」

紗和子 「唯我成幸が後輩の女子生徒にたぶらかされてるのよ!!」

?? 『後輩の女の子……!?』

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

?? 『成幸くん、また新しい女とゆきずりにフラグを立てたのかな……』

?? 『わかったよ、紗和子ちゃん。すぐ行くよ。場所を教えて』

848以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:05:18 ID:QUrQhu/g
………………ファミレス

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ほっ。勉強中もヘンなことするんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、大丈夫そうだ)

成幸 (さすが先輩。ふざけるときとまじめなときのメリハリがきいててすごいなぁ)

成幸 (……いやまぁ、いつもまじめな方が良いに決まってるけど)

あすみ 「ん? なんだ、後輩? アタシの顔になんかついてるか?」

成幸 「へっ!? あ、いや、なんでもないです。すみません……」

あすみ 「んー?」 ニヤァ 「なんですかー、せんぱいっ。アタシの顔に見惚れてたとか?」

成幸 「あー、まったくもう! またそうやってふざけだすんだから!」

あすみ 「顔真っ赤にしちゃってかわいいなぁ、後輩は」

クスクスクス

あすみ 「ま、おかげさまで勉強も結構進んだし、少し休憩しようぜ。甘いものでもおごっちゃるよ」

成幸 「ほんとですか!?」 キラキラキラ

849以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:05:51 ID:QUrQhu/g
あすみ 「む……」

あすみ (なんだ、後輩のやつ。アタシに密着されてるときよりいい顔しやがって。花より団子ってことか?)

ムカムカムカムカ

あすみ (アタシより甘いものの方がいいってか? ふーん……)

成幸 「うーん、どれにしようかな。どれも美味しそうだな……」

あすみ 「………………」 ニィ

あすみ 「すみません、店員さーん」

真子 「あ、はーい! ご注文ですか?」

成幸 「へ? 先輩? いや、まだ俺決めてな――」

あすみ 「――はい。このパフェ、お願いします。スプーンはひとつでいいんで」

真子 「特大パフェですね。かしこまりました」 (このパフェって……)

真子 (カップル御用達のやつ。しかも、スプーンはひとつって……///)

成幸 「せ、先輩……?」

あすみ (にしし。勉強中にふざけるのはよくないが、休憩中ならいいだろ?)

あすみ (覚悟しろよ……いや) ニヤリ (覚悟してくださいね、唯我センパイっ)

850以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:07:16 ID:QUrQhu/g
………………

バーーーーン!!!

成幸 「うわぁ……」

あすみ 「うおお……」 (こりゃ想像以上だな……)

成幸 (これ、この前、古橋がひとりで食べきったやつだ。先輩もこれをひとりで食べるつもりなのかな)

あすみ 「……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん」 スッ

成幸 「へっ? あーん、って……」

あすみ 「ほら、唯我センパイっ。早く口開けてくださいよ。それともぉ……」

グスッ

あすみ 「アタシのパフェ、食べられないんですか?」

成幸 「いや、そんなことは……」

成幸 (っ……!! 嘘泣きだって……嘘泣きだって分かってるのに……!!)

成幸 (泣き真似には抗えない……!!!)

成幸 「あ……あーん……――」


   「――何をしてるんですか? 先輩? 成幸くん?」

851以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:07:47 ID:QUrQhu/g
成幸 「へ……?」

あすみ 「あっ、古橋……」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 「……あれぇ? おかしいなぁ。わたし、何をしてるんですか、って聞いたはずだけどなぁ?」

成幸 「ひっ……」 (こ、怖っ……!! 何で怒ってるんだ古橋!?)

文乃 「……はぁ。ま、べつに怒ってるわけじゃないですけど」

文乃 「紗和子ちゃん。安心していいよ。この人、得体の知れない後輩なんかじゃないから」

紗和子 「……? どういうこと?」 ヒョコッ

成幸 「関城も!? 何でここに……?」

文乃 「今から説明するよ。だからちょっと勉強会に混ぜてね?」

文乃 「こっちも説明を聞かなくちゃだから、ね」

あすみ 「説明?」

文乃 「やだなぁ、先輩ったらとぼけちゃって」 ニコッ

文乃 「…… “唯我センパイ” って何かなぁ? 教えてほしいなぁ?」

あすみ 「!?」 (やっぱり怒ってるだろこいつ!?)

852以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:08:26 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「……と、いうわけです」

文乃 「なるほどなるほど。ふんふん……」

文乃 「つまり、先輩が久々の制服にテンションが上がって先輩後輩ごっこに熱が入っちゃった、と?」

あすみ 「あっ、改めて言うな! 恥ずかしいだろ!」

あすみ 「……悪かったよ。ちょっとはしゃぎすぎたよ」

あすみ 「まさか誰かに見られてるとは思ってなくてさ」

文乃 「ってことで紗和子ちゃん、この人は先輩だよ。文化祭の後夜祭で一度会ったことあるんじゃない?」

紗和子 「ん……あ、ひょっとして、あのバンギャっぽい格好をしてた人かしら?」

あすみ 「バンギャて……。まぁ間違いじゃねーけどさ」

あすみ 「小美浪あすみだ。こいつらの一個上で、一ノ瀬のOGだよ。なんか勘違いさせたみたいで悪かったな」

紗和子 「せ、先輩だったんですか。こちらこそ失礼しました……」

紗和子 「関城紗和子です。唯我成幸の同級生です」

紗和子 (身長が身長だから絶対後輩だと思いこんでいたわ……)

あすみ (なんか失礼なことを考えてるなこいつ……)

853以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:09:12 ID:QUrQhu/g
紗和子 「……つまり、彼女云々の話も、ただのごっこあそび、ってことかしら?」

成幸 「ん、まぁそうなるかな」 (まぁ、恋人役の話はわざわざしなくていいだろう……)

紗和子 「そう……」

紗和子 (……よ、よよよ、よかったわぁ……!! これで緒方理珠が悲しむ姿を見なくて済むわ!)

ニコニコニコニコ

あすみ (? この子、急に笑顔になったな……)

あすみ (……まさかとは思うが、こいつ、後輩のこと……)

紗和子 (でも、そもそもよく考えたら……)

あすみ (……うーん、でも、よく考えてみりゃ……)

紗和子 (こんな美人な人が唯我成幸のことを好きになるはずないものね)

あすみ (こんなオトナっぽい同級生が、後輩を好きになるはずねーよな)

成幸 (このふたり、なんかとんでもなく失礼なことを考えている気がするぞ……)

文乃 (……胃が痛い) キリキリキリ……

854以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:09:48 ID:QUrQhu/g
あすみ 「………………」 ジトッ

成幸 「? 何です、先輩?」

あすみ 「……いつも思うけどさ、お前って……」

成幸 「?」

あすみ 「ほんっっっっとうに、女たらしだよなぁ」

成幸 「しみじみとひどいことを言わないでくれますか!?」

文乃&紗和子 「「………………」」 コクコクコク

成幸 「お前たちもうなずかなくていいよ!!」

855以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:10:22 ID:QUrQhu/g
あすみ 「でもまぁ、お前たちが来てくれてちょうどよかったよ」

あすみ 「これ、勢いで頼んじまったけど、どう考えてもふたりじゃ食べきらないからさ」

紗和子 「このパフェ、四人でもギリギリじゃないかしら……」

文乃 「? やだなぁ、先輩も紗和子ちゃんも。これくらいならふたりいれば余裕じゃないですか」

あすみ&紗和子 「「!?」」

文乃 「でもせっかくだし、お言葉に甘えていただきまーすっ」 ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

文乃 「んーっ♪ 甘くておいしーい!」

成幸 (まぁ、古橋はその気になればあのパフェひとりで食い切るしな……) ゲッソリ

成幸 「俺、ちょっと飲み物とりにいってきますね」

文乃 「あ、わたしも行くよ。甘い物にはお茶が必要だよね」

あすみ 「んー、じゃ、アタシもなんか取りに行こうかな」

紗和子 「じゃあ、私は待ってるわ。いってらっしゃい」

あすみ 「おう、頼むなー」

ピラッ…………

紗和子 「ん……?」 (なんか、紙が落ちた……?)

856以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:10:52 ID:QUrQhu/g
ヒョイッ

紗和子 「……!?」

紗和子 (こ、これは、プリクラ……。せ、先輩と、唯我成幸の、ツーショット……)

紗和子 (きっ……キスしてるプリクラまであるじゃない……!!)

紗和子 (こんなこと、さっきの説明では言ってなかったわよね!?)

紗和子 (まさかあの先輩、本当に唯我成幸のことを……!?)

紗和子 「………………」

ガタガタガタ

紗和子 「とっ……とんでもないものを見てしまったわ……!!」

※その後、誤解は解けました。

おわり

857以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:12:46 ID:QUrQhu/g
………………幕間1 「小美浪家」


―――― 『……先輩って、年下好きなんですか?』

―――― 『まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて』

―――― 『……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん』


あすみ 「……っ」 ボフッ!!!!! (よ、よくよく思い返してみると、今日のアタシはほんとどうかしてるぞ!)

あすみ (恥ずかしいとかそういうレベルじゃない! 制服を着た程度であんなにはしゃぎ回るなんて……)

あすみ (は、恥っず……)

ピラッ

あすみ (……まぁ、でも、後輩と制服でデートして、プリクラも撮れたのは、少し、嬉しいかな、なんて)

あすみ 「えへへ……」

………………ドアの外

小美浪父 (高校の制服で帰宅したときは度肝を抜かれたが、本当に唯我くんと制服デートをしたのだな……)

小美浪父 (今日のデートのことを思いだしながらニヤニヤするとは……。あの子にあんな乙女な一面があるとはな)

858以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:13:25 ID:QUrQhu/g
………………幕間2 「唯我家」

成幸 (はぁ、今日は疲れたな……)

成幸 「ただいまー」

水希 「おかえりなさい、お兄ちゃんっ!」

成幸 「ああ――……って、なんだその格好は」

水希 「あっ、そうだ。間違えた……えっと……」

水希 「……おかえりなさい、せんぱいっ」

成幸 「……うん。とりあえずその一ノ瀬の制服は盗品じゃないよな?」

水希 「卒業生の人にもらったんだ。えへへ。似合う?」

成幸 「ならよし」

花枝 (高校の制服でお出迎えだとかせんぱい呼びだとかはスルーなのね……)

おわり

859以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:13:58 ID:QUrQhu/g
………………幕間3 「古橋家」

文乃 「よ、四人で……」

文乃 「四人でわけっこしたはずなのに……」

ガーーーーン!!!!

文乃 「何でこんなに体重が増えてるの!?」

おわり

860以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:20:22 ID:QUrQhu/g
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

どうでもいい話ですが、今のところ
理珠さんメイン 6つ
文乃さんメイン 13つ
うるかさんメイン 5つ
真冬先生メイン 8つ
あすみさんメイン 11つ
その他 11つ(内紗和子さんメイン4つ)
という数のSSを書いたようです。

理珠さんとうるかさんのSSはなかなかむつかしいですが、もっと書きたいと思います。

また投下します。また読んでくれたら嬉しいです。

861以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 22:37:06 ID:agL9V37M
おつおつ

862以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:17:14 ID:hgNnmgHA
>>1です。
書き上がってしまったので投下します。


【ぼく勉】 理珠 「あの日、手を貸してくれたのは」 紗和子 「あの時、背中を押してくれたのは」

863以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:18:06 ID:hgNnmgHA
………………休日

理珠 「……うぅ」

ゼェゼェゼェ……

理珠 「う、うどん屋はまだですか……」

紗和子 「マップによるとあと2キロね」

理珠 「うぅ……。なぜこんな山道にうどん屋を作るのか、理解に苦しみます……」

紗和子 (山道だからこそドライブインが必要なんだと思うんだけど……)

紗和子 (というかこの店、徒歩で向かう店ではないと思うけど……)


―――― 理珠 『関城さん、次の休日にうどん屋巡りに行くのですが一緒にどうですか?』

―――― 紗和子 『デートのお誘い!? 行くわ行くわ行くわー!!』


紗和子 (……安易に飛びつくものではないわね。まったく。こんなの軽い登山だわ)

理珠 「まったく……」 ブツブツブツ

紗和子 「……ふふ」 (まぁ、緒方理珠と一緒なら、何でも楽しいのだけれどね)

864以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:18:46 ID:hgNnmgHA
理珠 「……これもうどんを楽しむためうどんを楽しむため……」 ブツブツブツ

紗和子 「本当にうどんが好きねぇ」 クスクス

紗和子 「そういえば、一年の最初の登山でも、山頂の鍋焼きうどんのためにがんばってたわね」

理珠 「え?」

理珠 「……? 私、あのとき、鍋焼きうどんのこと、誰にも話してないような……」

紗和子 「へ?」 ハッ 「……あっ」

理珠 「……ん、でも、たしか、ひとりだけその話をした相手がいたような……」

理珠 (……あれは、そうです。二年前、まだ入学した頃のオリエンテーリングのとき、)

理珠 (私は、誰かとうどんの話をした……)

理珠 (……そう。あの登山で、私は……)

理珠 (誰かに、助けてもらって……)

………………

……………………

…………………………

865以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:19:23 ID:hgNnmgHA
…………………………

……………………

………………二年前 春 緒方家

理珠 (明日は一ノ瀬学園入学直後のオリエンテーリングで山登り……)

ハァ

理珠 (正直、とても憂鬱です。休みたいくらいですが……)

理珠 (学校行事を休むと内申点にも響きますし、進路のことを考えると参加するしかないでしょうか)

理珠 (はぁ、本当に憂鬱です……)

親父さん 「あっ、リズたま! 明日は山登りだろう? がんばってな!」

理珠 「お父さん……」 (人の気もしらないで、まったく……)

親父さん 「明日登るのは鍋○山だろう? あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで」

理珠 「……!? うどんが食べられるのですか!?」

理珠 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

理珠 (……俄然やる気が湧いてきました!)

866以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:20:00 ID:hgNnmgHA
………………関城家

紗和子 (明日はオリエンテーリングで登山……)

紗和子 (友達を作るためのイベントなんでしょうけど、私は……)

紗和子 (どうせ、中学のときと同じ。うまく友達なんか作れるわけもないし)

紗和子 (休みたい。休みたい、けど……)


―――― 『終わりました』

―――― 『おそらく全問合ってると思いますので 帰ってもいいですか』

―――― 『私 あの人と同じ高校に行く!』


紗和子 (……ひょっとしたら、あの子と友達になれるかもしれない)

紗和子 (なら……)

グッ

紗和子 「……行くしか、ないじゃない」

867以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:20:44 ID:hgNnmgHA
………………オリエンテーリング当日 麓

先生 「じゃあ、今から本格的な登山道に入るぞー」

先生 「事前に伝えた通り、このオリエンテーリングは水の運び上げの奉仕活動も兼ねている」

先生 「各自、ここで最低2Lペットボトル一本以上は運び上げるように」

先生 「体調不良やケガ、その他不測の事態があった場合はすぐに教員に伝えること。以上だ」

先生 「では、楽しい登山にしよう。出発するぞ」

理珠 「………………」 (冗談でしょう?)

理珠 (駅からここまでのハイキングコースだけでもうヘトヘトだと言うのに……)

理珠 (この後に水を2Lも運ばなければならないなんて……)


―――― 『あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで』


理珠 「っ……」 (でも、負けるわけにはいきません……!)

理珠 (鍋焼きうどんが待っているのですから!!!)

868以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:22:25 ID:hgNnmgHA
………………

「でさー……」  「えーっ、わかるー!」  「……ねぇねぇ、メッセ交換しよ?」

紗和子 「………………」 (周囲では着々と仲良しグループができはじめている……)

紗和子 (そんな輪の中に、もちろん私が易々と入れるわけもない……)

グスッ

紗和子 (……やっぱり、こなければよかっ――――)


理珠 「――……んっ……んんんん……!!!」


紗和子 「あっ……」 (緒方理珠、さん……?)

紗和子 (顔を真っ赤にして、リュックを背負い直しているけど……)

紗和子 (ああ、ペットボトルを積んだのね。重そうだわ)

紗和子 (……っていうか、あの体格で2kgの重量増はきついんじゃ……)

紗和子 「………………」

紗和子 (……負けてられないわ。あの子があんなにがんばっているのだから)

紗和子 (私も、がんばらないと……!!)

869以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:23:08 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 「………………」

ゼェゼェゼェゼェ……

理珠 (つ、つらい、です……)

理珠 (リュックがとても重たいですし、山道は想像以上にデコボコです……)

理珠 (何度も何度もこけそうになって……――)

――――カツッ

理珠 「はうあっ……!!」

理珠 (あ、危ない……! またこけるところでした……!)


………………物陰

紗和子 (だ、大丈夫かしら、緒方理珠さん……) ハラハラハラ (こけて山道をころげ落ちたりしないかしら……)

紗和子 (本当に体力がないのね。心配で目が離せないわ……)

870以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:23:39 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 「………………」

クタァ……

理珠 (も、もう動けません……)

理珠 (少しの休憩のつもりが、もう足が動かない、です……)

理珠 (……でも)

理珠 (鍋焼きうどんの、ために……) スッ……

フラッ……

理珠 「あっ……」

ドシャアアアッ!!

理珠 「痛っ……」

理珠 (うぅ……足に全然力が入りませんでした……)

理珠 (とにかく、立ち上がらないと……ん? あれ……?)

ハッ

理珠 (め、めがねがない!?)

871以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:24:13 ID:hgNnmgHA
………………物陰

紗和子 「あっ……」

紗和子 (緒方理珠さん、派手にこけてしまったわ……)

紗和子 (近くに先生はいないし、生徒の姿もないわ……)

紗和子 (ど、どどど、どうしたら……)

紗和子 「………………」

紗和子 (わ、私が……出て行っても、いいのかしら……?)

紗和子 (あの人の……緒方理珠さんに手を貸してあげても、いいのかしら……?)

紗和子 (できるのかしら。私に、そんなことが……)


―――― 『空気を読むとはどういうことですか?』

―――― 『できたのにできないフリをしろということですか? どうなのですか?』


ギリッ

紗和子 (……行かなきゃ)

紗和子 (あのとき背中を押してくれたあの人のために、行かなくちゃ……!)

872以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:24:53 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 (困りました……) ズーン (メガネが見当たりません)

理珠 (メガネがないと、鍋焼きうどんどころの話ではありません。下山もままならないですね……)

理珠 (さて、どうしたものか……――)

?? 「――これ、あなたのメガネでしょう?」

理珠 「へ……?」 (人……? クラスメイトでしょうか?)

理珠 (メガネがないから、顔も何も見えませんが……)

?? 「とりあえず、へたり込んだままじゃ何だから、立ち上がりなさい。ほら」

スッ

理珠 「あっ……ありがとうございます」

?? 「はい、メガネ」

理珠 「助かりました。これがないと何も見えないので……」

?? 「あっ、メガネをかけるのはちょっと待ってちょうだい」

?? 「まだ面と向かって話すのは恥ずかしいから……」

理珠 「……?」

873以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:25:30 ID:hgNnmgHA
?? 「私は、実は、あなたのことを中学のときから知っているの」

?? 「……そして、私はあなたに、とても感謝しているの。だから……」


?? 「……あのとき、背中を押してくれて、ありがとう」


理珠 「……? すみません、顔も見えないので、あなたのことを思い出せないのですが……」

?? 「当然だわ。あなたは私のことを知らないでしょうから」

?? 「……それだけよ。時間を取らせて悪かったわね」

?? 「あと少しで頂上みたいだから、がんばりなさい」

理珠 「本当ですか!? ということは、あとすこしで鍋焼きうどんですね!!」

?? 「……ふふっ、あなたうどんが好きなのね。覚えておくわ」

理珠 「はい、家がうどん屋なのでうどんは大好きです。それから、この山の頂上の鍋焼きうどんも絶品だそうですよ?」

?? 「へぇ、そうなのね。じゃあ、私も後でいただこうかしら」

?? 「それじゃ、先に頂上で待っているわ。もうメガネをかけてもいいわよ」

理珠 「……?」 スッ 「あれ……?」

理珠 「誰もいない……?」

874以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:26:26 ID:hgNnmgHA
理珠 (……一体、今の方はどなただったのでしょう?)

理珠 (一方的にお礼だけ言って去ってしまいましたが……)

理珠 (正直、改めてお礼を言いたいのはこちらなのですが……)

理珠 「………………」

ギュッ

理珠 (……温かい手と、温かい言葉)

クスッ

理珠 「……ヘンな人です。でも……」

理珠 「きっと、すごく良い人なんでしょうね」

………………

……………………

…………………………

875以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:26:56 ID:hgNnmgHA
…………………………

……………………

………………現在

理珠 「………………」

紗和子 「………………」 ダラダラダラ……

理珠 「……関城さんだったんですね」

紗和子 「な、何の話かしら? 全然分からないわねー?」

理珠 「………………」 クスッ 「……今思い返してみれば、声もそっくりです。シルエットも」

理珠 「髪も今日みたいなお団子でしたね」

紗和子 「……し、知らないわっ」

紗和子 (……は、恥ずかしくて、今さら 『実は私でした』 なんて言えないわよ!)

理珠 「そうですか……」 クスッ 「じゃあ、これならいいですか?」

スッ

紗和子 「へ……? めがね、どうして外して……?」

876以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:27:41 ID:hgNnmgHA
理珠 「今は何も見えません。目の前のあなたの顔も、見えません。だから、聞いてくれますよね?」


理珠 「……あの日、手を貸してくれてありがとうございました」


紗和子 「あっ……」

カァアアアア……

紗和子 「……どっ……どういたし、まして……」

理珠 「はい」

理珠 「……では、今日も手を貸してもらえますか?」

紗和子 「?」

理珠 「手、引いてください。疲れちゃいました」

紗和子 「っ……」 ボフッ 「しっ、仕方ないわね……!!///」

ギュッ

紗和子 (お、緒方理珠と、手を繋いでいる……///)

理珠 (……あのときと同じ、温かい手。私の想像通りでした)

理珠 (やっぱり、すごく良い人でした)

877以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:28:27 ID:hgNnmgHA
理珠 (……あの日、この人が手を貸してくれたから、私は山頂のうどんを味わえました)

紗和子 (……あの時、この子が私の背中を押してくれたから、私は今ここにいられるわ)

理珠 (そして今も、私の手を引いてくれています)

紗和子 (今だって、あなたがいるから、私はこうやって笑うことができるのよ)

理珠&紗和子 ((だから……))

理珠 「……なっ、なんですか。関城さん。顔がニヤけてますよ?」

紗和子 「そういう緒方理珠こそ。ちょっと顔が赤いんじゃないかしら?」

紗和子 「ほら、あと1キロよ! あと1キロで念願のうどんよ!」

理珠 「自動車がないから諦めていたドライブインの激うまうどん……! 楽しみです!」

理珠 (……だから、これからもどうか、ずっと、友達でいてくださいね)

紗和子 (だから、これからも、この子の友達でいられたら、私は満足だわ)

おわり

878以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:29:12 ID:hgNnmgHA
………………幕間 「問103の大判写真についての考察」

先生 「おお、緒方もしっかりと水を運んでくれたんだな。ご苦労ご苦労」

理珠 「……はい。がんばりました」 ズルズルズルズル……

先生 (すごい勢いで名物の鍋焼きうどんをすすっている……)

先生 「そうだ。緒方、あんまり写真に写ってなかっただろう?」

先生 「販売用の写真を撮るから、うどん食べながらでいいからこっちに目線をくれないか?」

理珠 「……わかりました」 ズルズルズル……

先生 「じゃあ、撮るぞー? 3,2,1……」

紗和子 「………………」 ピース

カシャッ

先生 「ん……?」 (奥の木立から突然女子生徒が現われてピースサインをしたが……)

先生 (……まぁ、いいか)

おわり

879以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:31:35 ID:hgNnmgHA
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

実は鍋割山の鍋焼きうどんネタは一度やりたかったのですが、
問103で遠足と覚しき写真が出てきたことで、勝手に頭の中ですべてが繋がりました。

久しぶりに気持ち良くお話が書けた気がしますが、ラブコメ漫画のSSだというのに
ラブコメのラの字もないのはどうかと思います。申し訳ないことです。

自分語りが長くなりました。
申し訳ないことです。

また投下します。

880以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 07:55:54 ID:G7mSOgZU
乙やで

881以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 12:09:33 ID:tRAL6jPo
やっぱり先輩なんだよなぁ

882以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 21:20:54 ID:SfbK2b9Q
おつ!

883以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:53:15 ID:MOT0E4vs
>>1です。投下します。
>>715さんのお題です。ご期待に沿えているかどうか未知数ですが。

【ぼく勉】 真冬 「彼は教え子につき」

884以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:53:54 ID:MOT0E4vs
………………週休日 水泳部 部室

うるか 「さー、今日は息抜きがてら、久々に泳ぐぞーっ!」

智波 「あはは、元気だねー、うるか」

あゆ子 「少しわけてもらいたいくらいだよ、まったく」

池田 「あ、先輩! こんにちは!」

池田 「今日は先輩たちも練習に参加してくれるんですか?」

うるか 「うん! 池田っちたちの邪魔にならないようにするからレーン貸してねっ」

池田 「邪魔だなんてそんな! 来てくれて嬉しいです!」

池田 「皆さんに久しぶりにフォーム見てもらいたいです!」

智波 「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいね」

あゆ子 「ほんとに可愛い後輩だなぁ、池田はー」

池田 「可愛いだなんて、そんな……っ」

885以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:54:25 ID:MOT0E4vs
うるか 「あっ、そうだ。池田っち、これ貸してくれてありがとね」

池田 「あっ! 先輩、カレエゴ一巻読み終わったんですね!」

うるか 「めっちゃ面白かったよ! 続きが気になるよ〜!」

あゆ子 「? なんだそれ? 漫画?」

うるか 「うん。池田っちが貸してくれたんだ。めっちゃ面白かったよ」

あゆ子 「池田ー? うるかはただでさえおバカなんだから、漫画なんか貸すんじゃないよ」

あゆ子 「せっかく最近まぁまぁになってきた英語がまたぱっぱらぱーになっちゃうだろ」

池田 「うっ……。たしかに、先輩たち受験生ですもんね……」

うるか 「ちょっと、川っち! ぱっぱらぱーってなにー!」

あゆ子 「そのまんまでしょうが。まったくもう……」

智波 「まぁ、息抜きも大事だよね。でも、続きは受験が終わったらにしたら?」

うるか 「うぅ……。海っちの正論が心に刺さるよぅ……」

池田 「あ……じゃあ、受験が終わったら、二巻以降も貸しますね!」

うるか 「うん! 早く借りられるようにがんばるね!」

886以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:54:59 ID:MOT0E4vs
あゆ子 「そんなに面白いのか、その漫画……」

あゆ子 「………………」

コソッ

あゆ子 「なぁ、池田。それ、私が借りてもいいか?」

池田 「!? もちろんです! どうぞ!」

あゆ子 「ん、ありがとう。読ませてもらうな」

池田 「いえいえ、カレエゴファンが増えてすごく嬉しいですから!」

池田 (……あっ、そういえば、)


―――― 『とりあえず10巻まで……』


池田 (桐須先生、カレエゴ買ってたよね……)

池田 (ひょっとして、先生もカレエゴファンになってたりなんて……)

池田 「………………」

クスッ

池田 (まさか、そんなわけないよね)

887以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:55:53 ID:MOT0E4vs
………………真冬の家

真冬 「………………」

バーン!!!

真冬 (……驚愕。まさか私の家に漫画本が並ぶことになるとは)

真冬 (結局最新刊まで買いそろえて読み込んでしまったわ……)

真冬 (まぁ、これは学校現場の物語なのだから、これからの仕事に役立たないこともないでしょう)

ペラッ……ペラッ……

真冬 (……中身は、荒唐無稽としか言いようのないようなシチュエーションばかりだけれど)

真冬 (でも、どこかリアリティを感じてしまうのは、私が似たような経験をしているからかしら)


―――― 『たいした傷じゃないですし もう……』

―――― 『だめよ! 化膿でもしたら……』


真冬 「っ……」

888以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:57:25 ID:MOT0E4vs
真冬 (……まったく、本当に、)


―――― 『先生危ない!』

―――― ((ここで唯我君に受け止められてしまったら……))


真冬 (私は、彼の前だとどうしても、醜態ばかり晒してしまう……)


―――― 『先生 目つぶって……』

―――― 『だ……っ だだ だめよ唯我君……! 私とあなたは教師と生徒!!』

―――― 『でも……っ』


真冬 (……それが、この作品と重なることが多いのね)

真冬 (この作品の主人公、クリスも生徒の結人に助けられることが多いし……)

真冬 (……いえ、もちろん私はこんな生徒にときめくようなダメ教員ではないけれど)

889以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:58:29 ID:MOT0E4vs
真冬 (でも、そんなダメなところばかりのクリスの働きかけで、結人はどんどん成長している……)

真冬 (……実際、これだけリアリティのある描写を描くためにかなりの取材をしたのではないかしら)
※真冬先生個人の感想です。

真冬 (だとすれば、この本を参考にすれば、生徒の教育の一助になる可能性もある……?)

真冬 「………………」

ピンポーン

真冬 (? 新聞の勧誘? それとも通販でも頼んでいたかしら?)

ガチャッ

成幸 「こんばんは、先生」

真冬 「あら、唯我くん。こんばんは。何か用かしら?」

成幸 「おでん作り過ぎちゃって。もしよかったらもらってくれませんか?

成幸 「あと、ついでに……」 ニコッ 「そろそろ掃除が必要かな、と」

890以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:59:11 ID:MOT0E4vs
………………少し前 唯我家

葉月 「ねー兄ちゃん、遊んで遊んでー」

和樹 「遊んでー!」

成幸 「だー! 後で遊んであげるから、今は勉強させてくれー!」

葉月 「だってー! 母ちゃんも姉ちゃんもお台所で忙しそうなんだもん!」

和樹 「兄ちゃんが一番暇そうだもん!」

成幸 「ひどい言い草だなお前たち……」

水希 「こら、葉月、和樹。お兄ちゃんを困らせないの」

水希 「そろそろご飯だから居間においで。お兄ちゃんも、区切りがいいところで来てね」

成幸 「ああ、ちょうどいいから行くよ」

成幸 「……ん、今日の晩ご飯はおでんかな?」

水希 「うん! 大根練り物こんにゃくたまごも特売だったから、たくさんあるよ!」

成幸 「おお、そりゃ楽しみだ」

891以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:59:46 ID:MOT0E4vs
花枝 「……とはいえ、」

ドーーーーーン!!!

花枝 「いくら何でも作りすぎたわね」

成幸 「お、おお……」 (大きめの鍋ふたつにおでんタネがてんこもりだ……)

葉月&和樹 「「山盛りおでんだー!!!」」 キラキラキラ……!!!

花枝 「この分じゃ、丸三日はおでんね。もちろんお弁当もおでんよ」

成幸 「そ、それはちょっときつそうだな……」

花枝 「ま、さすがにそれは冗談よ。あとでご近所さんにでもお裾分けするわ」

成幸 「ん……」 (お裾分け、か……)


―――― 『不覚……! 家にエプロンがないんだったわ……!!』

―――― 『不味…… 何かしらコレ 圧倒的に苦くて硬くてしょっぱいわ……』


成幸 (先生、またろくなもの食べてないだろうし、持って行ってあげようかな。ついでに掃除とか……)




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