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【ぼく勉】成幸 「キスと呼べない何か」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/07(水) 21:10:57 ID:nfKWg1KI
………………昼休み 一ノ瀬学園 3-B教室

大森 「なぁなぁ、一学期に唯我がキスしただの何だのって話あったじゃん?」

成幸 「………………」

成幸 (……こいつほんっっっとロクでもねーことしか言わないな!!)

成幸 「……そういえばそんなこともあったな。どうでも良すぎて忘れてたが」

大森 「結局噂もなくなっちゃって、俺としては不完全燃焼というかなんというか」

成幸 「っていうかお前が廊下で大声上げて走り回ったせいで噂になったんだけどな!?」

大森 「でもキスはしたんだろ?」

成幸 「………………」

プイッ

成幸 「……黙秘権を行使する」

小林 (それもう自白してるようなもんだけどね、成ちゃん)

754以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:24:54 ID:./mOxEco
………………

あすみ 「……ふー」 (……さすがにこの時間にドタバタ走り回ると疲れるな)

小美浪父 「奥さん、もう大丈夫ですよ。熱が下がり始めています」

小美浪父 「抗生物質も点滴で投与しましたから、すぐによくなりますよ」

花江 「あっ……ありがとうございます!」

成幸 「………………」 Zzzz……

花江 「よかった……」 ポロポロポロ 「本当に、よかった……っ」

花江 「なんてお礼を言ったらいいか……」

小美浪父 「そんなことは気にしなくていい。奥さんも夜の街を走り回って疲れだろう」

小美浪父 「患者の容態は安定しているから、大丈夫。心配でも隣のベッドで休んでいなさい」

花江 「すみません……。あ、でも、娘たちが……」

あすみ 「ああ、一緒についてきた女の子と双子ちゃんたちですか?」

あすみ 「それならアタシが見ときますし、隣の部屋で寝かせますよ」

小美浪父 「ああ、すまんな。頼むぞ、あすみ」

755以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:25:43 ID:./mOxEco
………………廊下

水希 「………………」

あすみ 「よっ」

水希 「……!? び、病院の方!」 ガバッ 「あの、お兄ちゃんは!?」

あすみ 「ん、もう大丈夫だよ。解熱剤で熱も下がり始めたし、抗生物質も打った。問題ないよ」

あすみ 「でも、肺炎のウイルスは子どもにうつりやすいから、今は病室に入らない方がいい」

水希 「……はい」

あすみ 「ん。心配だろうけど、我慢できて偉いな。よしよし」 ナデナデ

葉月&和樹 「「………………」」 Zzzz……

あすみ 「……この子たちも良い子たちだな。あれだけ騒いでるのに眠りっぱなしだ」

水希 「……はい。本当に。助かってます」

あすみ 「お前も疲れただろ? 隣の部屋のベッド用意しておいたから、寝ろよ」

あすみ 「そのおチビちゃんたちはアタシが見てるからさ」

756以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:26:16 ID:./mOxEco
水希 「………………」

水希 「……いえ、帰ります」

あすみ 「お、おいおい。もう深夜だぞ? さすがにお前たちだけで帰せねーよ」

水希 「……だって、」

水希 「お兄ちゃんの治療費だって出せるか、わからないのに……」

水希 「その上、入院費用とか、わたしたちの宿泊費用なんて……」

水希 「……そんなの、払えるわけないもん」 グスッ

あすみ 「……あー、なるほど」

あすみ 「あんまり裕福じゃないのか、家?」

水希 「……お父さん、死んじゃった、から……」

あすみ 「そっか……。大変なんだな」

あすみ 「……でも、大丈夫。その点は心配いらねーよ」

あすみ 「大変遺憾なことに、うちの親父は、経営のセンスがゼロだからさ」

水希 「……?」

757以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:26:51 ID:./mOxEco
………………翌日

コンコン

小美浪父 「……? どうぞ」

花江 「失礼します……。すみません、お仕事中に」

小美浪父 「構いませんよ。どうかしたかな?」

花江 「あの、その……お世話になっておいて、大変厚かましいというか、恥ずかしいことなのですが……」

花江 「実は、その、あまり……家に、お金がなくてですね……」

花江 「もちろん、お題はお支払いします。入院費も、私や娘たちの宿泊費も含めて」

花江 「……ですが、その、支払いを待っていただくことは、できないでしょうか?」

花江 「割賦にしていただけると、助かるのですが……」

小美浪父 「………………」

花江 「……っ」

小美浪父 「……あっ、しまった! あー、やらかしてしまったなー。困ったぞー、これは」

花江 「えっ……?」

758以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:27:33 ID:./mOxEco
小美浪父 「私はあなたに、息子さんの健康保険証の提示を求めるのを忘れておりました」

花江 「へ? あ、保険証ならここに……――」

小美浪父 「いやいや、医師法によって、保険証の提示は治療前に求めなければならないと規定されているんですよ」

花江 「え? えっと……」

小美浪父 「いやー、しまった。院内処方の薬も、健康保険なしでやってしまったなー」

小美浪父 「あー、これは明確な医師法、薬事法違反だ。まずいぞー。これはー」

小美浪父 「……そこで、奥さん、ひとつ相談なんですがね」

花江 「……?」

小美浪父 「このままでは私は、医者としてしてはいけないことをしてしまったことになる」

小美浪父 「なので、息子さんの診療記録や入院記録、そして娘さんたちの宿泊の記録もつけないことにする」

小美浪父 「……記録がないなら、お金も取りようがないですね?」

花江 「え……?」

小美浪父 「……と、いうことで、ご相談だ。今回の診療、なかったことにしてくれますね?」

759以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:28:45 ID:./mOxEco
………………ドアの外

あすみ 「……な? うちの親父、経営のセンスゼロだろ?」

水希 「………………」

あすみ 「……?」

水希 「っ……ひぐっ……」 ポタッ…… 「ふ……ぐっ……」 ポタポタポタ……

あすみ 「!? お、おいおい、妹ちゃんよ、何も泣くことはねーだろ」

水希 「……ありがとう……ありがとう、ございます……!」

あすみ 「よーしよし。泣くの我慢しなくていいぞー」 ギュッ 「お前もがんばってんだなー」

あすみ 「小さい弟妹がいるから、気抜けないんだよな。その上、お父さんもいないんだもんな」

あすみ 「それで大好きなお兄ちゃんが倒れちまって、怖かったんだよな」

あすみ 「今はアタシがいるから、たくさん泣いていいぞー」 ナデナデナデ

水希 「ひぐっ……うぇ……うぇええええええええええええええん!!」

あすみ 「よしよーし。がんばったなー。えらいなー。大丈夫だぞー」

あすみ (……ったく。またロハで仕事しやがって親父の奴) クスッ

あすみ (ま、でも……そんな親父だからこそ、アタシも……医者になりたいって思うんだけどさ)

760以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:29:55 ID:./mOxEco
………………現在

成幸 「……実際、病院ではそんな感じだったみたいですよ?」

成幸 「って言っても、やっぱり俺は熱のせいであんまり覚えてないんですけどね」

あすみ 「………………」

あすみ (……あー、うん。まさかあのときの急患が後輩だったとは)

あすみ (そういやあんとき肺炎になってた子ども、よく思い出してみるとこいつそっくりだな)

あすみ (……あのとき、本当に感謝してくれる妹ちゃんとお母さんを見て、)

あすみ (医者になりたいと強く決心することができた。アタシにとっても、この神社の巡り合わせは大切な思い出だ)

成幸 「俺はそのお医者さんたちにまだ会ったことないんですよ」

成幸 「でもいつか、俺がお金を稼げるようになったら、お礼をしにいくつもりです」

成幸 「会って、直接、お礼を言いたいし、ちゃんと治療費も払いたいですから」

あすみ 「………………」

クスッ

あすみ 「……だな。いつか、会ってお礼が言えるといいな、後輩」

成幸 「はい!」

761以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:30:32 ID:./mOxEco
………………小美浪診療所

コンコンコン

小美浪父 「? どうぞ?」

花江 「失礼します。お久しぶりです、先生」

小美浪父 「……またあんたか。何度来れば気が済むんですか?」

花江 「何度来ても変わりませんよ。先生がお金を受け取ってくれるまでは」

小美浪父 「何度も言うがね、私はあの日の診療記録も何も持ってない」

小美浪父 「健康保険の診療記憶にも残っていないはずだ」

小美浪父 「だから、奥さんからお金をもらうことはできないんだよ」

花江 「分かってます。だから、三割負担でなく、十割負担の金額を用意してあるんです」 ニコッ

小美浪父 「いや、だから、そういうことじゃなくてだね……」

花江 「ま、いいです。受け取ってくれるのはいつでも」

花江 「今日は普通に診療してもらおうと思って来たんです。来る途中でちょっとこけちゃって……」

小美浪父 「む、それはいけない。さっそく治療を……」

762以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:31:42 ID:./mOxEco
花江 「その前に、はい、健康保険証。またお代を払えなかったらたまったもんじゃないですからね」

小美浪父 「……奥さん、あんたは私を何だと思ってるんだ?」

小美浪父 「……ん? んんん???」

花枝 「? どうかされました?」

小美浪父 「…… “唯我” ? 唯我さん、とおっしゃるのか」

花枝 「……あれ? 名乗ってませんでしたっけ?」

小美浪父 「……唯我、成幸、くん。ああ、そうか。なるほど。あのときの子が……」

花枝 「? 先生?」

小美浪父 「……奥さん。いや、唯我さん。ひとつだけお願いがあるんだが、」

花枝 「何ですか?」

小美浪父 「……うちの娘を、息子さんの嫁にもらってやってくれないだろうか?」

花枝 「!?」 キラン 「その話、詳しくお聞かせ願えます!?」

おわり

次回! 暴走する小美浪家の父! 唯我家の母!
唯我家・小美浪家、結納編突入!
うそです。

763以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:34:31 ID:./mOxEco
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

過去の妄想をしていたら止まらなくなって書きました。
二次創作としてはわたしもあまりいい手とは思いません。
当然、あまり愉快に思わない人もいると思います。申し訳ないことです。

>>715さんのもすぐに投下できると思います。お待たせしてしまっていたらすみません。

また投下します。

764以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:49:41 ID:0UL9UOoI

結納編気になるな

765以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 00:53:10 ID:./mOxEco
連投すみません。>>1です。
IME任せにしてたら名前の漢字をいくつか間違えていました。申し訳ないことです。
以後気をつけます。
それから>>758あたりの法律関連の話は厳密に言えば間違ってるので一応注意をしてください。(そんな話を始めたら病院周りの描写は矛盾点や間違いだらけなのですが、悪しからず)

ともあれ、ここのところ少しノリと勢いだけで書きすぎかなと思います。
がんばりますので、今後も読んでいただけると嬉しいです。

766以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 07:54:10 ID:P90oUCa.
おつ
ずいぶんと本格的なスレだな

767以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 12:44:39 ID:V.HkGXtE
これは運命ですね

768以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 12:54:00 ID:YslaApJ2
>>715だけど、>>1のペースで書いてくれ

おつでした

769以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:35:46 ID:./mOxEco
>>1です。投下します。

【ぼく勉】 文乃 「手に入れたかったのなら」

770以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:36:17 ID:./mOxEco
………………問94直後

文乃 「……はぁ」


―――― 『わーっ 大っきいドハっちゃん!』

―――― 『じゃあ 古橋にやるよ』

―――― 『ええっ!! いいの!? ありがとー!!』

―――― ((また…… 成幸くんからプレゼント……)) ぎゅ……

―――― 『そんなに…… 好きなのか?』

―――― 『ぜ……ッ 全然っ ちがいますけどっ!!!』

―――― 『じゃあさ…… ぶしつけで悪いんだが…… アタシがもらっても……いいか?』


文乃 (あの大っきいドハっちゃん、本当だったらわたしがもらっていたのにな……)

モヤモヤモヤモヤ

文乃 (……一回、わたしにくれたのに)

文乃 (成幸くんの、バカっ……)

771以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:37:28 ID:./mOxEco
文乃 「………………」

文乃 (……なんて、ね)

文乃 (あれは元々成幸くんのもので、誰にあげるかを決めるのは成幸くんだもんね)

文乃 (小美浪先輩は、ドハっちゃんが大好きなんだもんね)

文乃 (そんな先輩に、ドハっちゃんをあげるのが、自然だよね……)

文乃 (そう。それでいい。それでいいはずなんだ)

文乃 (本当に好きな人が、好きなものを手に入れた方がいいに決まってる)

文乃 (手に入れたいのなら、欲しいと思わなくちゃいけない……)

文乃 (だから……)


―――― ((うん 大丈夫 絶対ない))

―――― ((絶対好きになんてなるはずがない 友達が 好きな人のこと))

―――― 『もー先輩…… そんなに好きなら最初から素直に言ってくれればいいのに……』


文乃 「っ……」 ズキッ

772以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:38:00 ID:./mOxEco
………………翌日 一ノ瀬学園

うるか 「でね! 例の友達がね、やっぱりあきらめたくないって!」

うるか 「本気で、一番を取りたい……本当に、成ゆ――男の子の一番になりたいんだって」

うるか 「そのために、がんばる。本気で、一番になる。ずっと、自分のことを見ていてもらいたいから!」

うるか 「えへへ、それで、文乃っちにお礼を言ってほしいって言ってたから、代わりに言うね?」

うるか 「ありがとう、文乃っち!」

文乃 「……うん。どういたしまして。そのお友達によろしくね」

文乃 (ふふ、相変わらずバレバレだけど、可愛いなぁうるかちゃん)

文乃 (とうとう、気持ちを固めたんだね)

文乃 (成幸くんの一番になるって、決めたんだね)

文乃 (そっか……)

うるか 「ん、もうこんな時間! 今日は部活に顔出す約束だからもう行くね!」

うるか 「じゃーねー、文乃っち!」

文乃 「うん。練習がんばってね。また明日、うるかちゃん」

文乃 「………………」 ハァ 「……今日は勉強会の約束もないし、帰ろっかな」

773以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:38:31 ID:./mOxEco
理珠 「おや、文乃ではないですか」

文乃 「あ、りっちゃん。今帰り?」

理珠 「はい。今日はお店のお手伝いなので」

文乃 「そっか。じゃあまっすぐ帰らないとだね」

文乃 「………………」

文乃 「……もしよかったら、わたしも一緒に帰ってもいいかな」

文乃 「久々にりっちゃんの家でうどんが食べたいな、って」

理珠 「本当ですか。嬉しいです」 フンスフンス 「一緒に行きましょう!」

文乃 「うん!」

文乃 (なんか昨日からモヤモヤして落ち着かないけど!)

文乃 (りっちゃん家のおうどん何杯か食べればきっと落ち着くよね!)

774以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:39:02 ID:./mOxEco
………………帰路

理珠 「ふむふむふむ……」

ペラ……ペラ……

文乃 「もー、りっちゃん。歩きながら参考書読んだら危ないよ」

文乃 「成幸くんじゃないんだから……」

理珠 「……あっ、すみません、つい」

理珠 「たしかに今のは、成幸さんみたいでしたね……」

文乃 「まったくもう。りっちゃんは成幸くんに影響受けすぎだよ」

文乃 「ほんとに……」

文乃 (……ほんとに、成幸くんのこと、大好きなんだね、りっちゃん)

理珠 「………………」

理珠 「……そう、ですね」 クスッ 「春に出会って、まだ半年ほどしか経っていないのに、」

理珠 「成幸さんに、どれだけお世話になってるか。だから、つい真似もしてしまいます」

文乃 (あれ……? 少し怒るかと思ったけど……)

文乃 (りっちゃん、なんか嬉しそうだな……)

775以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:39:39 ID:./mOxEco
文乃 「……りっちゃんは、さ」

理珠 「? はい?」

文乃 「成幸くんのこと、どう思ってるの?」

理珠 「へ……?」

理珠 「………………」

理珠 「そうですね……。ときどきヘンなことをしますし、むっつりさんですけど……」

理珠 「尊敬していますよ。成幸さんのこと」

文乃 「そっか……。うん、そうだよね」

ニコッ

文乃 「成幸くん、良い人だもんね」

理珠 「はいっ!」

文乃 (……そっか。そうだよね。りっちゃんは、少なくとも、こうやって素直に言うことはできるもんね)

文乃 (今はまだ、恋心がどういうものか分かっていなくて、成幸くんへの感情を掴んでいないだけで、)

文乃 (きっと、りっちゃんが恋を知ったら、すぐに成幸くんにアプローチし始めるだろうな)

文乃 (……それこそ、うるかちゃんよりも積極的なくらい)

776以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:40:23 ID:./mOxEco
? 「ん? おお、古橋と緒方じゃないか」

文乃 「へっ? 成幸くん!?」

理珠 「小美浪先輩も一緒ですか。こんにちは」

あすみ 「おう。今から一緒にバイトなんだ」

成幸 「ま、今日は勉強メインの日ですけどね」

文乃 (先輩と成幸くん、仲よさそう……)

文乃 (でもまぁ、このふたりはきっと、ただの先輩後輩ってだけの関係だよね)

文乃 (先輩みたいなオトナっぽい性格の人が、成幸くんみたいな男の子に本気になるわけないし)


―――― 『いや? けっこーいいと思ってっけど? カワイーじゃんそいつ』

―――― 『ま ウソだけど』


文乃 (恋人のフリも、お父さんを誤魔化すためのものだって言うしね)

文乃 (先輩はただ成幸くんをからかって遊んでるだけだろうし)

777以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:41:03 ID:./mOxEco
成幸 「古橋と緒方も今から一緒に勉強か?」

理珠 「はい! お店のお手伝いをしながらうどんを食べながら勉強します!」

あすみ 「忙しそうな勉強会だな……」

ポヨン……

文乃 「ん……あっ……!」

あすみ 「ん?」

文乃 「そ、そのバッグについてるドハっちゃん、かわいい〜! ちっちゃーい!」

あすみ 「おお、このちっちゃいやつか。へへ、いいだろ」

文乃 「これ、どこで売ってるんですか? こんなの持ってる人初めて見ましたよ」

あすみ 「ん……えっと、まぁ、その、なんだ……」

カァアアアア……

あすみ 「……後輩が、作ってくれたんだよ」

文乃 「え……?」

文乃 (作った? 成幸くんが? 手作り?)

778以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:41:43 ID:./mOxEco
文乃 (いや、いやいやいや、そんなことより……)

あすみ 「……///」

文乃 (何その可愛い照れ顔はーーーーー!?)

成幸 「ほら、前、一度お前に渡した大きいドハっちゃんぬいぐるみがあっただろ?」

成幸 「色々あって、あれがなくなっちゃって、先輩が残念そうだったからさ」

成幸 「作ってあげたんだ。小さくてブチャイクになっちゃったけど……」

理珠 「ほうほう。ドハっちゃん……。クラスメイトがハマってると言っていましたね」

理珠 「でも、意外です。先輩もこういう子どもっぽいものに興味があるのですね」

あすみ 「うぐっ……」

あすみ 「……わ、悪かったな。どうせキャラじゃねーよ。でも……」


―――― 『……キャラじゃなくたって いいじゃないですか』

―――― 『俺…… 素直に喜んでくれる先輩見れて 嬉しかったです』


あすみ 「少なくともアタシは、これが好きだってことを、隠したくないんだよ」

あすみ 「わざわざ手作りしてくれた後輩のためにも、さ……」

779以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:42:25 ID:./mOxEco
理珠 「あっ……」 アセアセ 「すみません。その、バカにしたりするつもりはなかったんです」

理珠 「ヘンな風に聞こえてしまったならすみません。その……」

理珠 「先輩に似合っていて、とても可愛いと思います。ただ、意外だっただけで……」

あすみ 「ん、おお、ありがとな。このブチャイクさが可愛くてさー」

理珠 「たしかによく見ると、ブサイクながらもどことなく愛嬌が……」

文乃 「………………」

文乃 (……ああ、そっか)

成幸 「先輩……」 ジーン 「そんな風に思っててくれてたなんて……」

あすみ 「なっ……! 何涙流してんだ! 恥ずかしいやつだな!」


―――― 『もー先輩…… そんなに好きなら最初から素直に言ってくれればいいのに……』

―――― 『う うるせーな こんなのキャラじゃねーしハズいだろ……』


文乃 (もう、あのときとは違うんだ。きっと、先輩はもう、“好き” から逃げない……)

文乃 (きっと先輩は、成幸くんのことを憎からず想っている。それが、本当に自覚できたとき、きっと……)

文乃 (先輩もまた、成幸くんの心を手に入れようと、がんばるだろう……)

780以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:43:17 ID:./mOxEco
………………緒方うどん

理珠 「かけうどん一杯、お待ちどう、です」 コトッ

文乃 「……ん、ああ、ありがとうりっちゃん」

文乃 「おだしのいい匂い〜! 食欲がそそられるよね〜。いただきまーす!」

理珠 「では、私も、いただきます」

ズルズルズル……

文乃 「………………」


―――― 『そのために、がんばる。本気で、一番になる。ずっと、自分のことを見ていてもらいたいから!』

―――― 『尊敬していますよ。成幸さんのこと』

―――― 『少なくともアタシは、これが好きだってことを、隠したくないんだよ』


文乃 (……みんな、すごいなぁ)

文乃 (自覚のあるなしに関わらず、たぶん、みんな、成幸くんのことを……)

文乃 (わたし……わたしは……)


―――― 『じゃあさ…… ぶしつけで悪いんだが…… アタシがもらっても……いいか?』

781以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:43:47 ID:./mOxEco
文乃 「っ……」

文乃 (……わたしは、欲しいって言えなかった)

文乃 (だって、欲しいのか、欲しくないのか、わからなかったから……)

文乃 (でも、今さら、やっぱり欲しかったなんて思ってる……)

文乃 (……ほんと、浅ましい女だ、わたし。きっと、これからもそんなことばかりなんだろうな)

文乃 (成幸くんのことも、きっと……――)

理珠 「――……文乃?」

文乃 「へっ!?」 ビクッ

理珠 「大丈夫ですか? ボーッとしていましたけど……」

文乃 「え? あ、あはは、ごめんごめん。うどんがあんまりにも美味しくてさー」

スカッ

文乃 「あ、あれ? もうない……?」

理珠 「無表情でうどんをすすり続けていましたから……」

文乃 「あ……そっか……」

782以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:44:32 ID:./mOxEco
文乃 「………………」

理珠 「……大丈夫ですか、文乃? 元気がないように見えますが」

文乃 「……うん。大丈夫だよ。でも、ちょっとだけ、頭が痛いかも」

文乃 「ごめん、りっちゃん。うどんごちそうさま。今日はもう帰るね」

理珠 「……えっ、一杯だけで大丈夫ですか?」

文乃 「もー、りっちゃん。当然でしょ。女子高生だよ? うどんを何杯も食べたりしないよ」

理珠 (いつもなら軽く三杯は食べていくでしょう……)

文乃 「じゃあ、りっちゃん、お会計よろしく」

理珠 「あ、はい。いま行きます」

理珠 (文乃……)

理珠 (やっぱり、元気がないように見えます……)

783以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:45:05 ID:./mOxEco
………………夜 唯我家

成幸 「………………」

カリカリカリカリカリ……

成幸 (今日は先輩の勉強を見るのがメインだったから、あまり自分の勉強が進まなかったからな……)

成幸 (今日の分だけは少なくとも終わらせないと……)

prrrrrr……

成幸 「ん……? 緒方から電話……?」

ピッ

成幸 「もしもし? 緒方か?」

理珠 『はい、こんばんは、成幸さん。突然電話してしまってすみません』

成幸 「いや、べつに構わないよ。何か分からないところでもあったのか?」

理珠 『いえ、そういうことではなく……ちょっと、相談したいことが』

成幸 「相談? ああ、俺が聞けるようなことなら話したらいいよ」

理珠 『ありがとうございます。助かります』

理珠 『……その、実は、文乃のことなのですが……』

784以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:45:47 ID:./mOxEco
………………古橋家 文乃の部屋

文乃 「………………」

文乃 (……勉強、しなくちゃいけないのに)

文乃 (こんなことで勉強が手につかなくなるなんて、自分が情けないよ)

文乃 (わたしは……)


―――― 『大丈夫 絶対ない 絶対好きになんてなるはずがない 友達が 好きな人のこと』

―――― 『起きてる』

―――― 『ぜ……ッ 全然っ ちがいますけどっ!!!』


文乃 (わたし、は……)

文乃 (好き、なの……?)

文乃 (好きになっても、いいの……?)

文乃 (りっちゃんとうるかちゃんが好きな人のことを、好きになっても……)

文乃 (わたしは……)

785以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:46:26 ID:./mOxEco
………………唯我家

理珠 『……と、そんな様子で。うどんだって一杯しか食べなかったんですよ』

理珠 『いつもだったら軽く三杯食べてカレー丼も食べて帰るのに……』

成幸 (それは食い過ぎだけど、まぁ……)

理珠 『元気もなかったし、体調不良というよりは……その、何かに悩んでいるように見えて……』

理珠 『……心配なんです』

成幸 「……うん。そうだな。大切な友達だもんな。心配だよな」

理珠 『……はい』

成幸 (……緒方の話を整理すると、最初は元気だった古橋が、俺と小美浪先輩と会ってから元気をなくし始めたらしい)

成幸 「………………」

成幸 「……うん、わかった。なんとなく、古橋が元気をなくした理由が分かった気がするんだ」

理珠 『!? 本当ですか!? さすがは成幸さんです!』

成幸 「まぁ、まだ分からないけどな。でも、古橋とは明日話をしてみるよ」

成幸 「大船に乗ったつもり……とは言えないけど、まぁ任せてくれよ」

成幸 「俺はお前たちの 『教育係』 だからさ」

786以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:46:58 ID:./mOxEco
………………

成幸 (……古橋が元気のない原因)

成幸 (心当たりがないわけじゃない。よく考えたら、俺は無神経だった)

成幸 (古橋だって、先輩と同じはずなのに……)

成幸 「……明日の朝まで、数時間。間に合うか。いや、」

成幸 「間に合わせるしかないよな……」

ハァ

成幸 (……まぁ、自分で撒いた種だ。自分で回収するしかない)

成幸 (勉強は……まぁ、明日がんばればなんとかなるだろ!)

成幸 「……っし。今日は久々の徹夜だな!」

成幸 (こんなことが先輩とお父さんにバレたらまた休めって怒られるな……)

787以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:47:41 ID:./mOxEco
………………翌朝 一ノ瀬学園 いつもの場所

文乃 「………………」 ソワソワソワソワ……


―――― 成幸 『おはよう、古橋! ちょっと話があるから、HR前にいつもの場所に来てほしい』


文乃 (……朝起きたら、こんなメッセージが届いてるんだもんなぁ)

文乃 (メッセージの着信時間、すごい早朝だったし。ひょっとして成幸くん寝てないのかな?)

文乃 (でも……)

ドキドキドキドキ……

文乃 (急に呼び出しなんて、一体何なんだろう。びっくりするからやめてほしいよ……)

成幸 「……お、いたいた。おはよう、古橋」

文乃 「っ……」 ビクッ 「お、おはよう。成幸くん」

成幸 「朝から呼び出して悪かったな」

文乃 「それは、まぁ、べつに、大丈夫だけど……」 ドキドキドキ

文乃 「はっ、話って、何かな?」

成幸 「ああ……実は、ひとつ謝らなくちゃいけないかなって思ってさ」

788以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:48:26 ID:./mOxEco
文乃 「謝る……?」

成幸 「いや、俺も考えが足りなかったかな、って」

成幸 「……っていうか、少し考えれば分かることだよな」

文乃 「? 何の話?」

成幸 「誤魔化すなよ。昨日元気がなかったって、緒方が心配してたぞ」

成幸 「……お前も、欲しいんだよな。当たり前だよな」

文乃 「へ……?」


―――― ((好きになっても、いいの……?))


文乃 「へ……へぇえええええええ!?///」

成幸 「……やっぱりそうか。そりゃそうだよな。お前だって欲しいよな」

文乃 「ち、ちょっと待って! 違うから! 違うよ!?」

文乃 「わたしは別に、欲しいなんて思ってないよ!?」

789以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:49:02 ID:./mOxEco
成幸 「誤魔化さなくていいよ。だって、すごく嬉しそうな顔してたじゃないか」

成幸 「……自分のものになるってときに。本当に、嬉しそうな顔を、してたじゃないか」

文乃 「そ、そんな顔してないよ……」


―――― 『起きてる』

―――― 『だから…… あとほんのちょっとだけ…… このままでもいい……?』


文乃 「……!?」

文乃 (……し、してた、かも。あのときは……)

文乃 (いや、だって、あのときは……しかたないじゃない……)

ドキドキドキドキ……

文乃 (でも……)

文乃 「……じ、じゃあ、成幸くんは、どうにかしてくれるの?」

文乃 「わたしが、“ほしい” って言ったら、くれるの?」

ドキドキドキドキ……

790以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:49:33 ID:./mOxEco
成幸 「……ああ、そのために、今日はお前を呼び出したんだ」

成幸 「古橋が欲しいものを、あげるために」

ギュッ

文乃 「へ……?」

ボン!!!!

文乃 「へぇええええええ……///」

文乃 (手……手! 手、握られて……!!)


―――― 『少しひんやりして…… でも心地よく包み込んでくれる ああ…… これはお母さんの 手の……』

―――― 『……成幸くん 前にもこうして手を握ってくれたよね』


成幸 「……古橋」

文乃 「ひゃ、ひゃい!」 ビグゥ!!!

成幸 「だからこれ、受け取ってくれ。あんまり上手じゃないけど……」

文乃 「へ……?」 モニュッ 「…… “もにゅっ” ?」

文乃 「これ、って……ドハっちゃん?」

791以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:50:15 ID:./mOxEco
成幸 「いやー、緒方からお前が元気がないって聞いたとき、ピンと来たんだよ」

成幸 「よく考えたら、あの大きなドハっちゃんぬいぐるみ、手に入れられなかったのは先輩だけじゃないもんな」

成幸 「お前も先輩のために譲ってくれたわけだし、先輩だけにプレゼントするのは悪いかな、って」

成幸 「それで元気がないのかなーって思ったから、昨日作ってきたんだよ」

成幸 「悪かったな、古橋。もっと早く気づいてあげればよかったよ。ごめんな」

文乃 「………………」

成幸 「……古橋?」

文乃 (……まったくもう)

文乃 (ほんと、成幸くんは成幸くんだね)

クスッ

文乃 「……ありがと、成幸くん。これ、大切にするね」

文乃 「えへへ、実は昨日、小美浪先輩がドハっちゃんのぬいぐるみ持ってて羨ましかったんだ」

文乃 「さすが成幸くん。少しずつ女心が分かるようになってきてるね」

792以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:51:24 ID:./mOxEco
成幸 「!? ほんとか!?」

パァアアアアアア……!!!

成幸 「古橋の問題を解き続けてきた甲斐があったな。俺もとうとう女心の単位修得か……」

文乃 「……ふふ、まだまだだよ。これくらいじゃ単位はあげられないよ」

成幸 「ぐっ……さすがは古橋師匠、厳しいな」

文乃 「……ねぇ、成幸くん」

成幸 「うん?」

文乃 「……わたし、決めたよ。もう迷わないし、恥ずかしいとも思わない」

文乃 「わたしも、一番になりたい。尊敬してるって言いたい。欲しいって、言いたい」

文乃 「だって……、」

成幸 「?」

文乃 (……好き)

成幸 「古橋……?」

文乃 (好き、好き、好き……! 好きだから。君のことが……)

文乃 「――――……大好き、だから……!!」

793以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:52:06 ID:./mOxEco
成幸 「へ……?」

カァアアアア……

成幸 「なっ……す、好きって……」

成幸 「あ、そ、そっか。ドハっちゃんのことだよな。はは……」

成幸 (び、びっくりしたぁ……)

文乃 「………………」

クスッ

文乃 「……うん。そうだよ。今は、それでいいよ」

文乃 「でも、覚悟しててね、成幸くん」

ニコッ

文乃 「いつか、君の全部を、もらっちゃうからねっ」

おわり

794以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:52:36 ID:./mOxEco
………………幕間1 「全部」

成幸 (俺の全部……? あれは一体どういう意味だ?)

成幸 (全部……? もしかして……)


―――― 文乃 『ヒャッハー! 唯我家の土地家財全部差し押さえだー!』

―――― 文乃 『かわいい妹たちも連れてくぜー!』


成幸 「………………」 ガタガタブルブル

陽真 「? 成ちゃん、どうしたの?」

成幸 「ど、どうしよう、小林!」

成幸 「俺の家が古橋に世紀末にされてしまう!!」

陽真 「なんて?」

795以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:53:24 ID:./mOxEco
………………幕間2 「鼻血の会」

文乃 「………………」 ニヘラ 「……えへへ」

文乃 (……成幸くんからもらった、小さなドハっちゃんぬい。かわいいなぁ……)

文乃 (えへへへへへ……)

文乃 「………………」

キョロキョロキョロ

文乃 (だ、誰もいないよね……)

文乃 「………………」

チュッ

文乃 「……っ///」 カァアアアア……

………………物陰

鹿島 「……唯我くんからもらったぬいぐるみに、キス」 ボタボタボタ

猪森 「ふむ。困ったな。尊すぎて鼻血が止まらないぞ」 ボタボタボタ

蝶野 「今回に関してはまったく同意ッス……」 ボタボタボタ

おわり

796以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 22:56:41 ID:./mOxEco
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

問99であすみさんがバッグにドハっちゃんぬいをつけているのを発見し、
感極まって興奮しすぎていてもたってもいられずに書きました。
それでなぜ文乃さんの話になったのかはわたしにもわかりません。なぜでしょう。

また投下します。また読んでくれたら嬉しいです。

797以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 23:54:36 ID:P90oUCa.
書くの速すぎるやろどないなっとんねん

798以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/04(月) 23:58:58 ID:S7r49ddE
おつつつ
貧乳こそ正義だからね仕方ないね

799以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/05(火) 01:56:19 ID:.MzTiMTw
おつ!

800以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/05(火) 12:40:26 ID:ql06vZe2
シエンタ

801以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/11(月) 21:35:04 ID:G9YothrM
もうこのスレも終わりがちかいな
1が話せる範囲で今まで書いたSS教えてくれないか?
というか酉つけてくれると嬉しいな

802以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/12(火) 19:56:44 ID:985VJ0cQ
ノベライズ発売されるらしいがはてさて

803以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/13(水) 09:48:21 ID:PSvgZInc
>>802
正直このスレ大好きだからここより面白い話かどうか比べてしまうと思う

804以下、名無しが深夜にお送りします:2019/03/31(日) 23:54:21 ID:BS7lMF5o
来年度はぼく勉ss増えたらいいな!

805以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 12:10:23 ID:NVPBQoOk
エイプリルフールssはよはよ

806以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:24:11 ID:X1SsLnS2
>>1です。
投下します。

オチなしヤマなしイミなしで自分で書いていて笑ってしまいました。
>>805さんのエイプリルフールネタです。

時系列おかしくなりますがコミックスのオマケ漫画のようなものだと思っていたければ幸いです。



【ぼく勉】 成幸 「最近女子たちの絡みを見るとドキドキしちゃってさ」 陽真 「なんて?」

807以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:24:47 ID:X1SsLnS2
………………

陽真 「いきなり何を言い出すの成ちゃん……」

成幸 「おい、そんなにドン引きするなよ。ウソだよウソ。エイプリルフール」

陽真 「なんだ、びっくりした……」

ホッ

陽真 「成ちゃん、前々からそのケがあったらからとうとう目覚めたのかと思ったよ」

成幸 「そのケって何だそのケって……」

陽真 「成ちゃんも、ソッチに興味があるのかな、ってさ……」

ギュッ

成幸 「!? な……なんで手を握るんだ、小林……?」

陽真 「成ちゃんが先に振ったんじゃないか。同性愛の話……」

クイッ

陽真 「俺をその気にさせた責任くらいは取ってくれてもいいんじゃない?」

陽真 「だって俺、ずっと、成ちゃんのこと……」

成幸 「こ、小林……? いや、その、えっと……」

808以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:25:40 ID:X1SsLnS2
陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)

809以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:26:12 ID:X1SsLnS2
陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)

810以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:27:02 ID:X1SsLnS2
………………

理珠&文乃&うるか 「「「………………」」」

文乃 「す、すごいものを見てしまったね……」

うるか 「ど、ドキドキしたよぅ。こばやんはすごい迫り方するねぇ……」

理珠 (なぜこんなに動悸が激しくなるのでしょう……)

理珠 (いや、今はそんなことはどうでもいいんです。いいことを思いつきました)

理珠 「文乃、うるかさん、協力してもらいたいことがあるのですが……」

うるか 「? 協力?」

理珠 「ええ。成幸さんにゲームで勝つ算段がついたので、その協力をしていただけたら、と」 ニヤリ

文乃 (ああ、またよからぬことを考えてるなぁ、この顔は……)

811以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:28:19 ID:X1SsLnS2
………………ファミレス

成幸 「……んー、せっかくの勉強会なのに、あいつら遅いなぁ。メッセージも来てないし……」

成幸 「何かあったのかな……――」

「――成幸!」  「成幸くん!」

成幸 「ん、うるかと古橋か? まったく、遅い、ぞ、って……」

成幸 「……え?」

文乃 「えへへ……///」 うるか 「はは……///」

ギュッ……!!!

成幸 「え、えっと……///」 プイッ 「な、なんで、ふたりは……腕を、組んでるんだ……?」

成幸 (めちゃくちゃ密着してる……)

文乃 「う、うん。あのね。実は……」

うるか 「えへへ、あたしたちね、実は付き合ってるんだ。ね、ふみのん」

文乃 「う、うん! うるたん!」

成幸 「……!?」

成幸 (付き合ってる!? ふみのん!? うるたん!?)

812以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:29:05 ID:X1SsLnS2
成幸 「………………」

成幸 「……いや、えっと」

成幸 「エイプリルフールのウソだろ?」

うるか&文乃 「「!?」」

うるか 「なんで分かったの成幸!?」

成幸 「わからいでか! 最初は少しびっくりしたけどよく考えたらわかるわ!」

文乃 「ん……まぁ、そうだよね。さすがにバレるよね……」

成幸 (まぁめっちゃドキドキしたけど!!)

成幸 「……っていうか、ふたりとも」

うるか&文乃 「「?」」

成幸 「い……いつまで、くっついてるんだ……?///」

うるか 「あっ……」 文乃 「はわっ!」

シュババッ

うるか (ふ、文乃っちいいにおいだったなぁ……) ドキドキドキドキ……

文乃 (うるかちゃん、やっぱりかわいいよなぁ……) ドキドキドキドキ……

813以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:29:40 ID:X1SsLnS2
………………物陰

理珠 「むぅ……。どうやら文乃とうるかさんはすぐに看破されたようですね」

紗和子 「まぁ、そりゃそうよね」

理珠 「そうなると、我々が同じ手段で行っても、やはりすぐ看破されるでしょうか……」

理珠 「せっかくエイプリルフールのウソで成幸さんを騙して、成幸さんに勝つチャンスだったというのに……」

紗和子 「!?」

紗和子 (ま、まずいわ! せっかく緒方理珠と合法的にくっつけるチャンスを棒に振るわけにはいかな――)

紗和子 (――じゃなくて! 緒方理珠の勝利への情熱を無駄にするわけにはいかないわ!)

紗和子 「い、いきましょう、緒方理珠! やってみないとわからないわ!」

ガシッ

理珠 「へ? ちょっ、せ、関城さん、あぶなっ……!!」

ドタドタドタッ

ムギュッ

成幸 「!? な、なんだ!?」

814以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:30:19 ID:X1SsLnS2
紗和子 「いててて……」 ハッ 「あっ」

理珠 「もう、関城さん、急に動くから……って……」

成幸 「………………」

成幸 (……ファミレスの床に倒れる緒方の胸元とスカートの裾が危ういところまで開いている)

成幸 (そして、そんな緒方の上に、関城がのしかかっている。まるで、押し倒したかのように……)

成幸 (その手は当然のように緒方の胸の上だ。口と口は今にも接触しそうなくらい、近い)

紗和子 「くわっ……」 ブシュッ

成幸 (その上鼻血を噴き出した……)

成幸 (これはもう、疑う余地はないだろう……)

成幸 「………………」

ピッピッ……

紗和子 「ゆ、唯我成幸? 一体どこへ電話をかけようとしているのかしら?」

成幸 「警察だよ。決まってるだろ」

紗和子 「随分と問答無用ね!? 早まらないでちょうだい!」

815以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:30:58 ID:X1SsLnS2
理珠 「成幸さん、感謝します。早く通報してください」

紗和子 「緒方理珠まで!?」

紗和子 「誤解よ、唯我成幸! これはウソよ! エイプリルフールのウソなのよ!」

成幸 「ウソだろうが何だろうが嫌がってる女子の胸を揉むのは犯罪だよ」

紗和子 「はっ!? 魔性の魅力ね。知らず知らずのうちに揉みしだいていたわ」

文乃 (成幸くんは冗談のつもりなんだろうけど、紗和子ちゃんは一度本当に通報された方がいいと思う)

うるか 「………………」

ドキドキドキドキ……

うるか (文乃っち、本当にきれいだよね……。えへへ、なんか、不思議な気持ち……)

うるか (こ、今度ふたりで出かけるとき、手とかつないでもいいかな……?)

うるか (とっ、友達だったら、手をつなぐくらいフツーだよね?)

文乃 「……!?」 ゾワッ (な、なんだろう、今の寒気……どこから……!?)

816以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:31:42 ID:X1SsLnS2
………………

紗和子 「まったく、唯我成幸。通報の真似をするなんて、冗談じゃすまないわよ!」

成幸 「誰がそれをさせたんだ、誰が。まったく……」

成幸 「さっさと勉強会始めるぞ。お前たちがアホなことするから時間使ったじゃないか……」

文乃 「ごめんごめん。ちょっとしたお茶目だよ」

理珠 「………………」

ドキドキドキドキ……

理珠 (……さっき、一瞬、関城さんにキスをされるのかと思いました)

理珠 (なぜ……)

紗和子 「? 緒方理珠、どうかした?」

理珠 「!? い、いえ……」

理珠 (……なぜ、それを思い出して、私は、)

理珠 (こんなにも、ドキドキしているのでしょう……)

おわり

817以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:32:25 ID:X1SsLnS2
………………幕間1 「たぎる」

ワイワイガヤガヤ……

四方谷真子 「………………」

ドキドキオロオロ

真子 (NLGL五角関係……!?)

真子 (めっちゃ修羅場だわ。どうしよう。たぎりすぎてヤバい……)

真子 (関係が複雑すぎてよく分からないけど、とりあえず……)

真子 (あのメガネ男子は絶対総受けね!)

818以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:32:58 ID:X1SsLnS2
………………幕間2 「二段構えは基本」

あすみ 「こ・う・はーい♪ 愛してるぞー?」 ムギュッ

成幸 「はいはい。エイプリルフールのウソですよね」

あすみ 「むっ……なんだよ。少しは慌てろよ。つまんねーの」

成幸 「お店のエイプリルフールフェアとかじゃないんですか?」

成幸 「お客さんみんなに愛してるって言ってるとか……――」

あすみ 「――なっ!」 カァアアアア…… 「い、言うわけねーだろそんなこと!!!!」

あすみ 「げ、ゲームでもなしに、愛してるなんて、そんなの……」

あすみ 「お、お前以外に言うわけ……ねーだろ……」

成幸 「せ、先輩、それって……///」

あすみ 「……うん。まぁ二段構えは基本だよな。ウソに決まってるだろ」

成幸 「結局やられたー!!」

あすみ (……ん、まぁ)

あすみ (ゲームでもないのに “愛してる" なんて言うのは、ほんとにお前だけだけどな)

819以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:33:43 ID:X1SsLnS2
………………幕間3 「午後」

マチコ 「ん、いけないなぁ、あしゅみー。エイプリルフールは午前中だけだよ?」

あすみ 「へ?」

マチコ 「ウソをついていいのは四月一日の午前中だけ。だから、今のウソ……」

ニヤリ

マチコ 「ホント、ってことになっちゃうねぇ?」

あすみ 「っ……///」

マチコ 「ねぇねぇ、あしゅみーは、唯我クンのことが大好きなんだねぇ?」 ニヤニヤニヤ

成幸 (マチコさんがすごく良い笑顔で先輩を攻めている……)

成幸 (……日本では午前中に限らず午後もウソをついていいって説もあるけど、)

あすみ 「う、うるせーぞマチコ! ちょっと間違えただけだろ!」

成幸 (めずらしくうろたえてる先輩が面白いから、言わないでおこう)

おわり

820以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 21:39:56 ID:X1SsLnS2
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

お題の桐須先生ネタはもうちょっと待っていただけると助かります。ごめんなさい。

リアルで疲れていてもお題をいただけると不思議と書く元気がもらえます。
書いた結果がこれだからなんとも言えませんが。
申し訳ないことです。

>>801
酉はつけません。ごめんなさい。
SSも、ジャンルがまったく違うので貼るのはためらわれます。ごめんなさい。



また投下します。

821以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/01(月) 22:15:12 ID:aJNucWtY
おつつ
陽真で分かるやつおる?ww

822以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 01:20:57 ID:6ear/QuY
乙やで

823以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 01:35:04 ID:qZKgFeuA
おつでした。
>>1の暇な時で大丈夫だよ(先生ネタ)
ところで四方谷真子って誰だっけ?

824以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:46:44 ID:QUrQhu/g
>>1です。投下します。
タイトル詐欺ですがあすみさんメインです。


【ぼく勉】 紗和子 「とんでもないものを見てしまったわ……」

825以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:48:27 ID:QUrQhu/g
………………メイド喫茶 High Stage

あすみ 「制服イベントだぁ?」

マチコ 「そうなの。この前コスプレイベントやったじゃない? あれが好評だったみたいでさ」

店長 「お客様にアンケートをとったところ、次はぜひ制服姿を見たいとのことでな」

あすみ 「……ったく。うちはメイド喫茶であってコスプレ喫茶じゃねーはずだけどな」

ミクニ 「まぁまぁ、あしゅみー。合法的に制服を着られる機会なんてめったにないしさ」

ヒムラ 「コスプレイベントも楽しかったしね。制服着たら、きっと高校の文化祭みたいで楽しいよ」

あすみ 「アタシはつい去年まで制服着て高校通ってたんだけどな……」

あすみ 「ま、別に断る理由はねーし、いいよ。どんな制服を着るんだ?」

店長 「差し支えないなら、高校時代に着ていた制服を持ってきてくれると助かる。リアリティの問題でな」

店長 「もちろん店での使用後にクリーニング代は出す」

あすみ (この店長、コワモテで良い人だけど、マジモンだよな……)

あすみ 「わかった。じゃ、イベントの日に制服持ってくよ」

店長 「そうか。助かる」 ニコッ 「ローファーも忘れずにな」

あすみ (ほんとヤベー人だよなこの人)

826以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:49:17 ID:QUrQhu/g
………………小美浪家

あすみ 「………………」

あすみ (……実際、卒業してから半年とはいえ、制服を着るのはやっぱり抵抗あるな)

あすみ 「えーい、ままよ」

スルスルスル……キュッ……シュッ……

あすみ 「……んっ」 (よかった。太ってはないみたいだな)

あすみ (姿見みるのは怖いけど……)

あすみ 「……うん」 クルッ……フワッ

あすみ 「……まぁ、悪くはないよな」 ニヤリ 「むしろ相当イケてんじゃねーか?」

あすみ 「ふふん、この格好を後輩に見せたら、また顔真っ赤にするかもな。にひひ」

コンコン

あすみ 「………………」 (って、なんでアタシはあいつに見せることなんて考えてんだ)

コンコンコンコン

あすみ (でも……) ドキドキドキドキ…… (……この格好、後輩が見たら、可愛いって言ってくれるかな?)

827以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:49:50 ID:QUrQhu/g
ガチャッ

あすみ 「……!?」

小美浪父 「あすみー、来週の往診なんだが、付き添いを……」

小美浪父 「……あすみ? なんだその格好は」

あすみ 「ち、ちがっ! 違う! 違うからな!」

あすみ 「べつに、制服コスプレをしてたわけじゃなくて、これは……!」

ハッ

あすみ (バイトのことナイショにしてるのに “店で使うため” なんて言えるかー!)

小美浪父 「……皆まで言うな、あすみ。分かっている」

ニコッ

小美浪父 「今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?」

あすみ 「……は?」

小美浪父 「そう照れなくてもいい。私は理解ある父親を目指しているからな」

小美浪父 「高校を卒業をした後でも、“制服ディ○ニー” なることをするのは普通らしいじゃないか」

828以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:50:47 ID:QUrQhu/g
あすみ 「……あー、うん」

あすみ (なんか勘違いしてるけど、否定するの必要もなさそうだしいいか)

小美浪父 「……それにしても、コスプレ好きの彼氏のために自ら制服を着るとは、」

小美浪父 「我が娘ながらいじらしい……。唯我くんが喜んでくれるといいな!」

あすみ 「……ん、まぁ、そうだな」

ハッ

あすみ 「っつーか親父! 年頃の娘の部屋にノックなしで入ってくるんじゃねーよ!」

小美浪父 「……いや、ノックはしたんだがな」

小美浪父 「唯我くんにその格好を見せることを考えて聞こえていなかっただけだろう?」

あすみ 「なっ……! そんなわけねーだろ! っていうか、話あったんじゃねーのかよ! なんだよ!」

小美浪父 「ふふ、照れるな照れるな。話は着替えてからでいい。着替えたら居間に来なさい」

あすみ 「……っ、わーったよ」

あすみ 「……ったく、親父の奴」 ドキドキドキドキ……

あすみ (……制服イベントの日、後輩、バイト入ってるかな)

あすみ 「………………」 ニヘラ 「……えへへ」

829以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:51:19 ID:QUrQhu/g
………………制服イベントデー 当日

マチコ&ミクニ&ヒムラ 「「「うー……」」」

あすみ 「? おい、三人ともどうしたんだよ。早く準備しないと開店に間に合わねーぞ」

マチコ 「わ、分かってるけどさ……」 カァアアアア……

ミクニ 「やっぱり、昔着てた制服を着るのはちょっと恥ずかしいね」

ヒムラ 「これお客様に見せるのかぁ……。万が一同級生とか来たらどうしよう」

あすみ 「なんだよ、みんなそんなこと気にしてたのかよ」

あすみ 「お客様は御主人様、だろ? せっかく来てくれるお客さんのためにも恥ずかしがってなんかいらんないだろ」

マチコ 「さすがはあしゅみー。一本筋が通ってるね……」

ミクニ 「そりゃ、あしゅみーは去年まで高校生だったんだから余裕だろうけどね」

ヒムラ 「でも、あしゅみーの言うとおりだね。恥ずかしがってらんないよね」

ワイワイワイワイ

店長 「………………」 (うむ……)

店長 (妙齢のメイドたちが高校の制服を身につけ、恥じらう……)

店長 (いい光景だ……) グッ

830以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:51:55 ID:QUrQhu/g
………………休憩室

成幸 「こんにちはー」

ヒムラ 「おお、唯我クンじゃないか」

マチコ 「わっ、唯我クン。さすがに知り合いにこの姿を見られるのは恥ずかしいね」

成幸 (話には聞いてたけど、ほんとに制服着てる……)

成幸 (でも、皆さん若々しいから違和感は少ないなぁ)

成幸 (……でも、ヘンなこと言ったらセクハラになっちゃうから、言うのはやめておこう)

成幸 「じゃあ俺着替えてきますね」

マチコ 「……む。いや、ちょっと待って唯我クン」

成幸 「?」

マチコ 「制服のまま、エプロン締めて……と」

マチコ 「……うんうん。さすがは現役男子高校生。制服エプロン姿も様になってるね」

成幸 「意味が分からないんですが……」

マチコ 「いやいや、実は最近、唯我クン目当てで来てる妙齢のお嬢様方も少なくなくてさ」

マチコ 「……そんなお客様方に喜んでもらえるかな、って」 ニヤリ

831以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:52:36 ID:QUrQhu/g
成幸 「!? このまま店に出るんですか!? 制服で!?」

マチコ 「お願い。だってみんな制服着てるのに、唯我クンだけ制服じゃないのも変じゃない?」

成幸 「いやいや、マスターや他の皆さんだって制服じゃないじゃないですか」

マチコ 「ははっ、さすがにみんなが制服着たら地獄絵図だよ」 ケラケラ

マチコ 「おねがい、唯我クン。お店のためだと思って、さ」

コソッ

マチコ 「制服のクリーニング代だすからさっ」

成幸 「……むっ。むむむ……」

ヒムラ (クリーニング代に心が揺らぎ始めている……)

成幸 「……わかりました。制服のまま店に出ます」

マチコ 「おおっ。それでこそ唯我クン! そういうところダイスキー!」

成幸 (制服のクリーニング代はバカにならないから、それが手に入るなら御の字!)

832以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:53:08 ID:QUrQhu/g
………………

あすみ 「……で、お前も制服なのか。まったく、マチコの奴」

成幸 「はい。なんだかうまく丸めこまれた気もしますけど、クリーニング代にはかえられません」

あすみ 「まぁいい。お前は普段通り接客してくれりゃいいよ」

成幸 「はい、分かりました!」

女性客1 「あ……ボーイさん! 注文お願いしまーす!」

成幸 「はい、いま行きます! じゃあ、先輩、また後で!」

女性客2 「制服着てるー! チェキいいのかな!?」

成幸 「え? あ、いや、俺――私はそういうサービスは……」

女性客3 「君にケチャップ文字書いてもらいたーい!」

成幸 「いえ、ですから、その……」

あすみ 「……ほーう」 (モテモテじゃねーかあの野郎)

成幸 「いや、あの……お、お嬢様方!? ちょっ、いや、あの……!」

あすみ 「………………」

あすみ (……アタシの制服姿にはなんの感想もなし、か)

833以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:53:44 ID:QUrQhu/g
………………退勤時刻

あすみ 「ふー、さすがにイベントデーは忙しくて勉強どころじゃなかったな」

成幸 「忙しかったですね。俺もなんか今日はよく呼ばれた気がします」

あすみ (女性客が興奮しきりだったからな)

あすみ 「この後暇か? ファミレスで勉強でもしていかねーか? 教えてもらいたいとこがあるんだよ」

成幸 「いいですね。行きましょう」

あすみ 「おう、助かる。サンキュな」

あすみ 「……じゃ、マチコ。今日は先上がるぞ。おつかれー」

マチコ 「あ、あしゅみーと唯我クン。お疲れ様。またね」

マチコ 「……あれ?」

あすみ 「? どうかしたか?」

マチコ 「ん、なんか蛇口から水が出なくてさ。なんだろ。なんか詰まってるのかな?」

あすみ 「水が出ない? ちょっと見せてみろ」

834以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:54:14 ID:QUrQhu/g
あすみ 「……ふんふん。水がチョロチョロとしか出ないな。こういうときは、っと」

キュッキュッキュッ

あすみ 「一気に水圧をかけてやれば、大体直るもんだ」

グググッ……ググッ……

成幸 「せ、先輩? なんか蛇口から不穏な音が……」

あすみ 「へ……――」

――――ブッシャァアアアアアアアア!!!!

マチコ 「!? あ、あしゅみー!?」

あすみ 「………………」

ポタポタポタ……

あすみ 「……へくしっ」

マチコ 「大変! 早くタオル持ってこなくちゃ!」

835以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:55:03 ID:QUrQhu/g
………………店の外

成幸 (……先輩、びしょ濡れだったけど大丈夫かな)

成幸 (そりゃ、ものが詰まってる蛇口に一気に水圧かけたらつまりは取れるかもしれないけど……)

成幸 (……その水圧の分、水が一気に吹き出るよ)

成幸 (先輩が理科系科目を苦手とする理由が少し分かった気がするぞ)

カツッカツッカツッ……

成幸 「あっ……先輩! 大丈夫でしたか……って……」

あすみ 「おう。大丈夫なように見えるか?」

成幸 「……な……何で制服着てるんですか!?」

あすみ 「仕方ねーだろ。服はびしょ濡れだし、他に着るものなんてコレしかねーし」

ニヤリ

あすみ 「それとも、メイド大好き後輩的にはメイド服を着た方が良かったか?」

成幸 「ち、違いますよ! 何言ってるんですか!」

836以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:56:27 ID:QUrQhu/g
あすみ 「ま、べつにいいだろ? それとも何だ?」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「に、似合ってねーか? 浪人生のアタシじゃ、女子高生に見えないか?」

成幸 「えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……」

あすみ 「……そ、そうか」 ホッ

あすみ 「このリボンの色、今はたぶん一年生が使ってるんだろ?」

成幸 「そうですね」

あすみ 「……ってことは、今アタシはお前の二つ下の後輩だな? “唯我センパイ” ?」

成幸 「っ……///」

あすみ 「お? 何照れてんだ? さてはお前、年下好きだな?」

成幸 「だ、だからまたそういうこと言ってからかわないでください!」

あすみ 「あ、間違えた」

あすみ 「……先輩って、年下好きなんですか?」 キャルーン

成幸 「だーかーらー! もー!」

あすみ 「にひひ、ほんとにからかい甲斐がある奴だなぁ、後輩は」

837以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:57:01 ID:QUrQhu/g
成幸 「まったくもう……」 プンプン

あすみ 「………………」


―――― 『えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……』


あすみ (……えへへ。似合ってる、か)


―――― 『今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?』


あすみ 「……なぁ、後輩」

成幸 「? はい?」

あすみ 「勉強の前に、制服デートでも、どうだ?」

成幸 「へ……?」

838以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:57:38 ID:QUrQhu/g
………………街中

「まいどありー!」

紗和子 (ふふふ、とうとう手に入れたわよ、地域限定数量限定釜玉うどん専用醤油!)

紗和子 (緒方理珠、喜んでくれるかしら……) ポワアアアアア……

紗和子 「ん……?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよ! 恥ずかしいですよ……」

あすみ 「にしし、顔真っ赤ですよー、先輩?」

あすみ 「可愛い後輩が腕組んであげてるんだから、もっと嬉しそうな顔してくれてもいいじゃないですかー」

成幸 「可愛い後輩は人を困らせるようなことしませんよ!」

あすみ 「何で困るんですー? にひひ、先輩のえっちー」

成幸 「だー! もうー!」

紗和子 (あ、あれは唯我成幸! と……どこかで見たことあるような女子生徒……)

紗和子 (仲睦まじく腕を組みながら歩いている……)

ガタガタガタガタガタガタ

紗和子 「と、とと、とんでもないものを見てしまったわ……」

839以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:58:36 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「……」  あすみ 「……」 ケラケラケラケラ

紗和子 「………………」 (思わず後をつけてしまっているけど……)

紗和子 (唯我成幸と後輩と覚しき女の子は、楽しそうに話をしながら歩いている……)

紗和子 (まるで、彼氏彼女といった雰囲気だわ……)

紗和子 (こんな場面を緒方理珠が見ようものなら……)


―――― 理珠 『成幸さん……ぐすっ……ひどいです……』


紗和子 (……だ、だめよ! 緒方理珠に涙を流させるわけにはいかないわ!)

紗和子 (緒方理珠の大親友、関城紗和子。この名にかけて、あのふたりのことを探ってやるわ!)

840以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:59:14 ID:QUrQhu/g
………………ゲームセンター

成幸 「制服デートとか言ってましたけど……」

成幸 「ゲームセンターで一体何をするんです?」

あすみ 「何するんですかって、ゲームセンターなんだから遊ぶに決まってるだろ」

あすみ 「ま、お前あんまりゲーセンとか行かなそうだもんなぁ」

成幸 「……あんまりそういうことに使えるお金はなかったので」

あすみ 「……そっか」 ニッ 「じゃあ、今日はアタシがおごっちゃるから、遊んでみようぜ」

成幸 「えっ、あ、でも……――」

あすみ 「――でもも何もねーだろ。ほら、行こうぜ」 ギュッ

成幸 「のわっ! だ、だからあんまりくっつかないでくださいってば……///」

あすみ 「じゃ、とりあえず音ゲーでもやろうぜ。何クレかやらしてやるから」

成幸 「クレ???」

あすみ 「……はぁ。そんなんじゃほんとに彼女ができたときに困っちまうぞ」

841以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 20:59:49 ID:QUrQhu/g
………………

紗和子 「………………」 ジーーーッ

紗和子 (楽しそうにダンスゲームを始めたわね……)

紗和子 (軽快に踊る後輩の子と、珍妙なダンスを繰り広げる唯我成幸……)

ハラハラハラ

紗和子 (あっ……唯我成幸、こけたわね。大丈夫かしら……)

紗和子 (唯我成幸は運動が苦手なのだから、あんなことやらせたらダメでしょうに……)

紗和子 (後輩の子はこけた唯我成幸を見てケラケラ笑ってるし……)

ムカムカ

紗和子 (まったく、唯我成幸の奴! 一年生の女子に手玉に取られちゃって!)

紗和子 (緒方理珠ならまじめだから、あなたに恥をかかせるようなことはしないわよ!)

紗和子 (目を覚ましなさい唯我成幸! あなたには緒方理珠っていう、魅力的な相手がいるのよ!)

842以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:00:50 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「………………」 ボロボロボロ

あすみ 「お前、運動音痴なのは察しがついてたけど、まさかリズム感もないとはな」

あすみ 「太○の達人であんな低いスコア初めて見たぞ」

成幸 「……悪かったですね。ああいうのは苦手なんですよ」

あすみ 「あー、もう。冗談ですよー、先輩。むくれないでくださいよっ」

ムギュッ

成幸 「なっ……ま、また……!」

あすみ 「じゃあ、最後に、アレ、行きましょ?」

成幸 「アレって……プリクラ?」

843以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:01:27 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 (プリクラの中って、予想以上に狭いな……)

あすみ 「……ふふーん」 ニィ

あすみ 「せーんぱいっ。もっとくっついてくださいよー」

ギュッ

成幸 「あ……う……///」 カァアアアア…… 「なんで、くっつくんですか……」

あすみ 「このプリクラ、親父に見せるつもりだからさ、恋人っぽく撮った方がいいだろ?」

成幸 「あんた制服姿で撮ったプリクラを父親に見せるつもりですか!?」

あすみ 「……まぁ、親父はお前のことをコスプレ大好き男だと思い込んでるからなぁ」

あすみ 「どっちかっていうと、恥ずかしい思いをするのはお前だと思う」

成幸 「淡々とすごく怖いことを言わんでください!」

あすみ 「ほらほら、そんなこと言ってると、撮られちまうぞ。ほら、前向け」

成幸 「あ、は、はい……」

あすみ 「……ってことで、じゃあ、恋人らしく、」

チュッ

844以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:01:57 ID:QUrQhu/g
成幸 「へ……!?」

パシャッ

成幸 「のわっ!? と、撮られた!?」

成幸 「えっ、いま、えっ!? ほっぺ!?」

あすみ 「お前動揺しすぎだろー。ちょっとほっぺにチューしただけだろうが」

成幸 「ちょっとって! いや、いやいやいや……!」

あすみ 「ん、もう二枚目の撮影だな。ほら、前向けよ」

成幸 「その手には乗りませんよ! 前向いたらまた……――」

あすみ 「――まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて」

成幸 「そういうことじゃないです! ……わ、わかりましたごめんなさい! 前向きます!」

あすみ 「にひひ。かわいい奴め」

ムギュッ

あすみ 「密室で先輩に迫られるのは好きらしいですけどが、後輩に迫られるのはどうですか?」

あすみ 「……せんぱいっ?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよっ」

845以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:02:54 ID:QUrQhu/g
………………外

紗和子 (……プリクラの中に消えてからしばらく経ったわね) ドキドキドキドキ……

紗和子 (ゆ、唯我成幸の奴、まさかいかがわしいことでもしてるんじゃないでしょうね……)

紗和子 (後輩の、しかもあんなに背がちっちゃい子と、そんな……そんなの……)

ブシュッ

紗和子 (はっ、犯罪よ! あなたは犯罪者だわ、唯我成幸!)

店員 「!?」

店員 (あの白衣の人、鼻血をボタボタ垂らしてるけど大丈夫かな……)

紗和子 (なんとか中の会話を聞くことはできないかしら……)

シャッ

あすみ 「せーんぱいっ、顔真っ赤ですよー? どんだけ照れてるんですかもー」

紗和子 「!?」 サササッ

成幸 「誰のせいですか誰の! まったくもう!」

あすみ 「アタシなんにもしてないのになー」 ニヤニヤ 「せんぱいのえっち」

紗和子 (あ、危なかったわ! 危うく見つかるところだった……!)

846以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:03:39 ID:QUrQhu/g
あすみ 「ほら、先輩。ペンでプリクラにお絵描きしましょー?」

成幸 「? どういうことです?」

あすみ 「……あー、先輩って、ほんとにしらないことばっかりですねーっ」

ニコッ

あすみ 「仕方ないですねー。先輩の将来の彼女のために、アタシが色々教えてあげないとですねっ」

成幸 「……彼女なんて、そんなの、べつに……」

あすみ 「えへへっ、ま、そうですよね。今の先輩の彼女はアタシですもんね!」 ギュッ

紗和子 「!?」 (か、彼女!? 唯我成幸、あの子とお付き合いしているってこと!?)

成幸 「あっ、ま、またくっついて……! もうっ!」

あすみ 「ほら、先輩もペン持って、色々書き込めるんですよ。スタンプとかも押せますよ?」

ムギュムギュッ

成幸 「わ、わかりました! やりますから! だからあんまりくっつかないでください!」

紗和子 (と、ととと……) ガタガタガタ (とんでもないことを聞いてしまったわ……!)

847以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:04:24 ID:QUrQhu/g
紗和子 (私ひとりじゃもう処理しきれないわ! 誰か呼ばないと……)

紗和子 (……呼ぶとしたら、あの子しかいないわよね)

ピッピッ……prrrr  ガチャッ

?? 『もしもし、紗和子ちゃん? どうかしたの?」

紗和子 「よく出てくれたわ! 助けてほしいの!」

?? 『助けてほしい? 何かあったの!?』

紗和子 「そうなの! 大変なのよ!」

紗和子 「唯我成幸の貞操の危機なのよ!!!」

?? 『!? へ? 貞操? いや、いきなり何を……――』

紗和子 「話してる時間すら惜しいわ! いますぐ来てちょうだい!」

紗和子 「唯我成幸が後輩の女子生徒にたぶらかされてるのよ!!」

?? 『後輩の女の子……!?』

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

?? 『成幸くん、また新しい女とゆきずりにフラグを立てたのかな……』

?? 『わかったよ、紗和子ちゃん。すぐ行くよ。場所を教えて』

848以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:05:18 ID:QUrQhu/g
………………ファミレス

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ほっ。勉強中もヘンなことするんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、大丈夫そうだ)

成幸 (さすが先輩。ふざけるときとまじめなときのメリハリがきいててすごいなぁ)

成幸 (……いやまぁ、いつもまじめな方が良いに決まってるけど)

あすみ 「ん? なんだ、後輩? アタシの顔になんかついてるか?」

成幸 「へっ!? あ、いや、なんでもないです。すみません……」

あすみ 「んー?」 ニヤァ 「なんですかー、せんぱいっ。アタシの顔に見惚れてたとか?」

成幸 「あー、まったくもう! またそうやってふざけだすんだから!」

あすみ 「顔真っ赤にしちゃってかわいいなぁ、後輩は」

クスクスクス

あすみ 「ま、おかげさまで勉強も結構進んだし、少し休憩しようぜ。甘いものでもおごっちゃるよ」

成幸 「ほんとですか!?」 キラキラキラ

849以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:05:51 ID:QUrQhu/g
あすみ 「む……」

あすみ (なんだ、後輩のやつ。アタシに密着されてるときよりいい顔しやがって。花より団子ってことか?)

ムカムカムカムカ

あすみ (アタシより甘いものの方がいいってか? ふーん……)

成幸 「うーん、どれにしようかな。どれも美味しそうだな……」

あすみ 「………………」 ニィ

あすみ 「すみません、店員さーん」

真子 「あ、はーい! ご注文ですか?」

成幸 「へ? 先輩? いや、まだ俺決めてな――」

あすみ 「――はい。このパフェ、お願いします。スプーンはひとつでいいんで」

真子 「特大パフェですね。かしこまりました」 (このパフェって……)

真子 (カップル御用達のやつ。しかも、スプーンはひとつって……///)

成幸 「せ、先輩……?」

あすみ (にしし。勉強中にふざけるのはよくないが、休憩中ならいいだろ?)

あすみ (覚悟しろよ……いや) ニヤリ (覚悟してくださいね、唯我センパイっ)

850以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:07:16 ID:QUrQhu/g
………………

バーーーーン!!!

成幸 「うわぁ……」

あすみ 「うおお……」 (こりゃ想像以上だな……)

成幸 (これ、この前、古橋がひとりで食べきったやつだ。先輩もこれをひとりで食べるつもりなのかな)

あすみ 「……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん」 スッ

成幸 「へっ? あーん、って……」

あすみ 「ほら、唯我センパイっ。早く口開けてくださいよ。それともぉ……」

グスッ

あすみ 「アタシのパフェ、食べられないんですか?」

成幸 「いや、そんなことは……」

成幸 (っ……!! 嘘泣きだって……嘘泣きだって分かってるのに……!!)

成幸 (泣き真似には抗えない……!!!)

成幸 「あ……あーん……――」


   「――何をしてるんですか? 先輩? 成幸くん?」

851以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:07:47 ID:QUrQhu/g
成幸 「へ……?」

あすみ 「あっ、古橋……」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 「……あれぇ? おかしいなぁ。わたし、何をしてるんですか、って聞いたはずだけどなぁ?」

成幸 「ひっ……」 (こ、怖っ……!! 何で怒ってるんだ古橋!?)

文乃 「……はぁ。ま、べつに怒ってるわけじゃないですけど」

文乃 「紗和子ちゃん。安心していいよ。この人、得体の知れない後輩なんかじゃないから」

紗和子 「……? どういうこと?」 ヒョコッ

成幸 「関城も!? 何でここに……?」

文乃 「今から説明するよ。だからちょっと勉強会に混ぜてね?」

文乃 「こっちも説明を聞かなくちゃだから、ね」

あすみ 「説明?」

文乃 「やだなぁ、先輩ったらとぼけちゃって」 ニコッ

文乃 「…… “唯我センパイ” って何かなぁ? 教えてほしいなぁ?」

あすみ 「!?」 (やっぱり怒ってるだろこいつ!?)

852以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:08:26 ID:QUrQhu/g
………………

成幸 「……と、いうわけです」

文乃 「なるほどなるほど。ふんふん……」

文乃 「つまり、先輩が久々の制服にテンションが上がって先輩後輩ごっこに熱が入っちゃった、と?」

あすみ 「あっ、改めて言うな! 恥ずかしいだろ!」

あすみ 「……悪かったよ。ちょっとはしゃぎすぎたよ」

あすみ 「まさか誰かに見られてるとは思ってなくてさ」

文乃 「ってことで紗和子ちゃん、この人は先輩だよ。文化祭の後夜祭で一度会ったことあるんじゃない?」

紗和子 「ん……あ、ひょっとして、あのバンギャっぽい格好をしてた人かしら?」

あすみ 「バンギャて……。まぁ間違いじゃねーけどさ」

あすみ 「小美浪あすみだ。こいつらの一個上で、一ノ瀬のOGだよ。なんか勘違いさせたみたいで悪かったな」

紗和子 「せ、先輩だったんですか。こちらこそ失礼しました……」

紗和子 「関城紗和子です。唯我成幸の同級生です」

紗和子 (身長が身長だから絶対後輩だと思いこんでいたわ……)

あすみ (なんか失礼なことを考えてるなこいつ……)

853以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:09:12 ID:QUrQhu/g
紗和子 「……つまり、彼女云々の話も、ただのごっこあそび、ってことかしら?」

成幸 「ん、まぁそうなるかな」 (まぁ、恋人役の話はわざわざしなくていいだろう……)

紗和子 「そう……」

紗和子 (……よ、よよよ、よかったわぁ……!! これで緒方理珠が悲しむ姿を見なくて済むわ!)

ニコニコニコニコ

あすみ (? この子、急に笑顔になったな……)

あすみ (……まさかとは思うが、こいつ、後輩のこと……)

紗和子 (でも、そもそもよく考えたら……)

あすみ (……うーん、でも、よく考えてみりゃ……)

紗和子 (こんな美人な人が唯我成幸のことを好きになるはずないものね)

あすみ (こんなオトナっぽい同級生が、後輩を好きになるはずねーよな)

成幸 (このふたり、なんかとんでもなく失礼なことを考えている気がするぞ……)

文乃 (……胃が痛い) キリキリキリ……




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